説明

担持金属触媒を用いる酢酸からのアセトアルデヒドの直接及び選択的な製造

水素化触媒組成物上で酢酸を気相反応させてアセトアルデヒドを生成することによってアセトアルデヒドを選択的に製造する方法を開示し、特許請求する。本発明の一態様においては、シリカ上に担持されている白金及び鉄の上で酢酸と水素を反応させることによって、気相中約300℃の温度においてアセトアルデヒドが選択的に製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、同じ表題の2008年7月31日出願の米国特許出願12/221,135に基づくものであり、ここにその優先権を主張し、その開示事項は参照として本明細書中に包含する。
【0002】
本発明は、一般に酢酸からアセトアルデヒドを製造する方法に関する。より詳しくは、本発明は、好適な触媒担体上に担持されており、場合によっては1種類以上の更なる水素化金属を含む、例えば鉄、白金、又はルテニウムのような担持触媒金属を用いて酢酸を水素化して、高い選択率でアセトアルデヒドを生成することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0003】
酢酸をアセトアルデヒドに転化させる経済的に実現可能なプロセスに対する必要性が長い間感じられている。アセトアルデヒドは、種々の工業製品のための重要な商業的供給原料である。例えば、アセトアルデヒドはエタノールに容易に水素化することができ、これはそれ自体、ガソリン添加剤としてのその広い利用などの多種多様の工業用途を有する。アセトアルデヒドはまた、ティシチェンコ反応によって酢酸エチルに転化させることもでき、或いは他の化合物と反応させて他の生成物を生成することもできる。現在は、アセトアルデヒドは、エチレンの酸化、エチレンのワッカー酸化によって製造されている。天然ガス及び原油の変動する価格は、通常製造される石油又は天然ガスを原料とするアセトアルデヒドのコストにおける変動の原因となり、このために石油の価格が上昇している際には、アセトアルデヒドの代替源に対する必要性が益々大きくなっている。したがって、酢酸をアセトアルデヒドに選択的に水素化する商業的に実現可能な経路を開発することに興味が持たれている。
【0004】
芳香族カルボン酸を接触水素化して芳香族アルデヒドを製造することが文献において報告されている。例えば、Makiらの米国特許4,613,700においては、クロム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ビスマス、鉛、レニウム、及び周期律表3〜6周期の第III族の元素からなる群から選択される少なくとも1種類の元素を必須成分として含む酸化ジルコニウムを含む触媒を用いて、芳香族カルボン酸から芳香族アルデヒドを生成することができることが開示されている。しかしながら、酢酸のような脂肪族カルボン酸の接触水素化の例は、この文献には与えられていない。
【0005】
Yokohamaらの米国特許5,306,845においては、少なくとも10m/gの比表面積、及び0.4重量%以下のナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウムの合計含量を有する高純度の酸化クロムを含む触媒の存在下において、カルボン酸又はそのアルキルエステルを分子状水素で水素化することを含む、アルデヒドを製造する方法が開示されている。ここでは、水素化反応を、カルボン酸又はそのアルキルエステルを10体積%以下の濃度に保持しながら行うことが更に報告されている。更に、ここで報告されている唯一の実施例は、ステアリン酸のステアリルアルデヒドへの水素化である。最も重要なことには、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウムの合計含量が約0.3重量%から約0.46重量%に増加した場合においても、アルデヒドへの選択率は大きく低下し、このためにこのプロセスは商業的運転のためには好適でない。
【0006】
Ferreroらの米国特許5,476,827においては、2元金属ルテニウム/スズ触媒を用いて、カルボン酸、エステル、又は無水物を接触水素化することによってアルデヒドを製造する方法が記載されている。好ましいカルボン酸は、芳香族骨格を有するα−β−不飽和カルボン酸、或いは芳香族カルボン酸である。酢酸などの脂肪族カルボン酸の例は与えられていない。
【0007】
Tustinらの米国特許6,121,498においては、酢酸からアセトアルデヒドを製造する方法が開示されている。このプロセスにおいては、酢酸を、昇温温度において、2.5〜90重量%のパラジウムを含む酸化鉄触媒の存在下で水素によって水素化する。しかしながら、ここで報告されている最適の条件は、少なくとも約20重量%のパラジウムを含む酸化鉄触媒を含んでおり、これによってアセトアルデヒドへの約80%の選択率、及び酢酸の約50%の転化率が与えられる。更に、メタン、エタン、エチレン、エタノール、及びアセトンなどの相当量の副生成物が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許4,613,700
【特許文献2】米国特許5,306,845
【特許文献3】米国特許5,476,827
【特許文献4】米国特許6,121,498
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記から、既存のプロセスは酢酸をアセトアルデヒドに選択的に転化させる必要な触媒を有していないか、或いは既存の技術は、高価であるか及び/又はアセトアルデヒドの生成に関して非選択的である触媒を用いており、望ましくない副生成物を生成することが明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、ここで、予期しなかったことに、アセトアルデヒドを工業的スケールで酢酸から直接に非常に高い選択率及び収率で製造することができることが見出された。より詳しくは、本発明は、好適な触媒担体上に担持されている鉄、銅、金、白金、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選択される少なくとも1種類の金属を含む水素化触媒上において、酢酸を水素の存在下で水素化することを含む、酢酸からアセトアルデヒドを選択的に生成する方法を提供する。場合によっては、触媒は、スズ、アルミニウム、カリウム、コバルト、モリブデン、タングステン、及びバナジウムからなる群から選択される1種類以上の金属触媒を更に含む。より詳しくは、本発明方法のために好適な触媒は、通常は、単独か又はスズ若しくは鉄と組み合わさった担持されているルテニウム;単独か又は白金若しくはコバルトと組み合わさった担持されている鉄;或いは更に酢酸カリウムを含んでいてもよいパラジウム/金(Pd/Au)又はパラジウム/銅(Pd/Cu);を含む。パラジウム/鉄(Pd/Fe)、鉄/コバルト(Fe/Co)、銅/モリブデン(Cu/Mo)、又は銅/アルミニウムの組み合わせも好適な触媒である。好適な触媒担体としては、限定なしに、シリカ、アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭素、ジルコニア、ジルコニア−シリカ、チタニア、チタニア−シリカ、酸化鉄、及び例えばH−ZSM−5のようなゼオライト触媒が挙げられる。シリカ及び酸化鉄が、本発明方法において特に好ましい触媒担体である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、例証及び例示のみの目的のための数多くの態様を参照して本発明を詳細に記載する。特許請求の範囲において示す本発明の精神及び範囲内の特定の態様に対する修正は、当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0012】
下記においてより具体的に定義しない限りにおいて、用語はその通常の意味で与えられる。
通常は、触媒の金属装填量は、金属及び触媒担体の合計乾燥重量を基準とする触媒金属の重量%として表す。したがって、例えば担体上の1重量%の金属とは、担持金属触媒100g、すなわち担体(99g)と金属(1g)の合計重量中に1gの純粋な金属が存在していることを意味する。
【0013】
「転化率」は、供給流中の酢酸を基準とするモル%として表す。酢酸(AcOH)の転化率は、ガスクロマトグラフィー(GC)のデータから下式:
【0014】
【化1】

【0015】
を用いて計算する。
「選択率」は、転化した酢酸を基準とするモル%として表す。例えば、転化率が50モル%であり、転化した酢酸の50モル%がアセトアルデヒド(AcH)に転化している場合には、本発明者らはアセトアルデヒド選択率が50%であると言う。選択率は、ガスクロマトグラフィー(GC)のデータから下式:
【0016】
【化2】

【0017】
を用いて計算する。ここで、「(GC)から排出されるCの全ミリモル」とは、ガスクロマトグラフによって分析される全ての生成物からの炭素の全ミリモル数を指す。
反応は、次の化学式:
【0018】
【化3】

【0019】
にしたがって進行する。
本発明によれば、酢酸のアセトアルデヒドへの転化は、例えば、所望の場合には層状固定床であってよい単一の反応区域内のような種々の形態で行うことができる。断熱反応器を用いることができ、或いは熱伝達媒体を備えたシェルアンドチューブ反応器を用いることができる。固定床には、異なる触媒粒子又はここで更に記載する複数の触媒を含む触媒粒子の混合物を含ませることができる。固定床にはまた、反応物質のための混合区域を構成する粒子状材料の層を含ませることもできる。酢酸、水素、及び場合によっては不活性キャリアガスを含む反応混合物を、混合区域への加圧流として床に供給する。この流れは、次に(差圧を用いて)反応区域又は層に供給される。反応区域は、好適な水素化触媒を含む触媒組成物を含み、ここで酢酸が水素化されてアセトアルデヒドが生成する。反応器のタイプ、処理量の要求などに応じて、任意の好適な粒径を用いることができる。
【0020】
本発明方法においては、当業者に公知の種々の金属担持水素化触媒を、酢酸を水素化してアセトアルデヒドを生成するのに用いることができるが、用いる水素化触媒は、好適な触媒担体上に担持されている、鉄、銅、金、白金、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選択される少なくとも1種類又はそれ以上の金属を含むことが好ましい。場合によっては、スズ、アルミニウム、カリウム、コバルト、モリブデン、タングステン、及びバナジウムからなる群から第2又は第3の金属を選択することができる。好ましくは、本発明方法のために好適な触媒は、酸化鉄又はシリカのような好適な担体上に担持されているルテニウム単独、或いは好適な触媒担体上に担持されているルテニウム及びスズ又はルテニウム及び鉄の組み合わせを含む。同様に、好ましい水素化触媒は、シリカのような好適な担体上に担持されている鉄単独、或いはシリカのような好適な触媒担体上に担持されている鉄及び白金の組み合わせ又は鉄及びコバルトの組み合わせである。同様に、本発明方法において好適な他の触媒としては、担持されているパラジウム単独、或いは更に酢酸カリウムを含んでいてもよいパラジウム/金(Pd/Au)又はパラジウム/銅(Pd/Cu)の組み合わせが挙げられる。パラジウム/鉄(Pd/Fe)、鉄/コバルト(Fe/Co)、銅/モリブデン(Cu/Mo)、又は銅/アルミニウムの組み合わせもまた好適な触媒である。
【0021】
通常は、2元金属触媒を用いる場合には、好適な担体上の好適な重量比の金属の組み合わせを水素化触媒として用いることができることが好ましい。したがって、例えば約0.1〜1の重量比のルテニウム及び鉄(Ru/Fe)、ルテニウム及びスズ(Ru/Sn)、パラジウム/銅(Pd/Cu)、パラジウム/鉄(Pd/Fe)の組み合わせが特に好ましい。より好ましくは、Ru/Fe又はRu/Sn又はPd/Cu又はPd/Feの重量比は約0.2〜0.5であり、最も好ましくは、Ru/Fe又はRu/Sn又はPd/Cu又はPd/Feの重量比は約0.2である。白金及び鉄:Pt/Feの触媒の組み合わせに関して、同等の重量比、即ち0.1〜1、好ましくは0.2〜0.5、最も好ましくは0.2の重量比を用いることができる。好適な触媒担体上に担持されているコバルト及び鉄(Co/Fe)又は銅/モリブデン(Cu/Mo)又は銅/アルミニウム(Cu/Al)の組み合わせを用いる場合には、Co/Fe又はCu/Mo又はCu/Alの好ましい重量比は1〜5の範囲である。例えば、シリカ上に担持されている17.4重量%のコバルト及び4.8重量%の鉄の組み合わせを商業的に入手することができる。同様に、銅−アルミニウム触媒は、Sud ChemieによってT-4489の名称で販売されている。
【0022】
ルテニウム単独又はパラジウム単独又は鉄単独を好適な担体上で金属触媒として用いる場合には、酢酸のアセトアルデヒドへの選択的水素化に影響を与えるようなルテニウム、パラジウム、又は鉄の任意の装填レベルを用いることができる。しかしながら、通常は、ルテニウム又はパラジウムの装填レベルは、0.5重量%〜約20重量%、好ましくは1重量%〜約10重量%、最も好ましくは1重量%〜約5重量%の範囲であってよい。一般に、ルテニウム又はパラジウムのような貴金属単独を本発明方法において用いる場合には、最適の触媒効果を得るためには0.5〜1重量%の触媒金属で十分である可能性がある。ルテニウム又はパラジウムに関して好ましい触媒担体は、酸化鉄又はシリカである。同様に、鉄単独を触媒金属として用いる場合には、鉄の装填レベルは、1重量%〜約20重量%、好ましくは2重量%〜約10重量%、最も好ましくは3重量%〜約8重量%の範囲であってよい。鉄に関して好ましい触媒担体はシリカである。
【0023】
用いる2元金属触媒がパラジウム及び金のような2種類の貴金属である場合には、それぞれの貴金属の金属装填量は、約0.5重量%〜約20重量%、好ましくは1重量%〜約10重量%、最も好ましくは1重量%〜約5重量%の範囲である。しかしながら、上述したように、パラジウム又は金属のようなそれぞれの貴金属の約0.5重量%又は1重量%の低い装填量で、本発明方法において最適の触媒効果が得られる。
【0024】
当該技術において公知の種々の触媒担体を用いて本発明の触媒を担持することができる。かかる担体の例としては、限定なしに、H−ZSM−5のようなゼオライト、酸化鉄、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭素、黒鉛、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい担体は、シリカ及び酸化鉄である。より好ましくは、本発明方法における触媒担体としてシリカを用いる。また、シリカの純度がより高いと、担体としてより良好であることを注意することも重要である。高表面積シリカ(HSAシリカ)及び低表面積シリカ(LSAシリカ)などの種々の形態の商業的に入手できるシリカ担体を、本発明において用いることができる。
【0025】
本発明方法の他の形態においては、任意の公知のゼオライト触媒を触媒担体として用いることもできる。少なくとも約0.6nmの孔径を有する任意のゼオライトを用いることができるが、かかるゼオライトの中で、モルデナイト、ZSM−5、ゼオライトX、及びゼオライトYからなる群から選択される触媒担体が好ましく用いられる。
【0026】
大孔モルデナイトの製造は、例えば米国特許4,018,514、及びD. DOMINE及びJ. QUOBEXのMol. Sieves Pap. Conf., 1967, 78, Soc. Chem. Ind. Londonに記載されている。
【0027】
ゼオライトXは例えば米国特許2,882,244に、ゼオライトYは米国特許3,130,007に記載されている。
種々のゼオライト及びゼオライトタイプの材料が、化学反応を触媒することに関して当該技術において公知である。例えば、Argauerの米国特許3,702,886においては、種々の炭化水素転化プロセスを触媒するのに有効である「ゼオライトZSM−5」と示される合成ゼオライトの種類が開示されている。
【0028】
本発明の手順のために好適なゼオライトは、塩基性形態、部分的か又は完全に酸性化の形態、或いは部分的に脱アルミニウム化した形態であってよい。
好ましくは、本発明方法におけるゼオライト触媒担体は、対応する「ZSM−5」ゼオライト又は「モルデナイト」ゼオライトから、当該技術において周知の技術を用いてこのゼオライトのカチオンの殆ど、一般には少なくとも約80%を水素イオンで置換することによって製造される、「H−ZSM−5」又は「H−モルデナイト」ゼオライトとして示されるプロトン性形態のものである。これらのゼオライト触媒は、実質的に結晶質のアルミノシリケートであるか、或いは中性形態で明確な結晶構造のシリカ及びアルミナの組み合わせである。本発明の目的のために特に好ましい種類のゼオライト触媒においては、これらのゼオライトにおけるAlに対するSiOのモル比は、約10〜60の比の範囲内である。
【0029】
本発明の他の形態においては、ルテニウムはシリカ又は酸化鉄のいずれかの上に担持させる。ルテニウム及びスズの組み合わせ、鉄単独、或いは白金及び鉄、鉄及びコバルト、鉄及びルテニウム、並びに白金及びスズの組み合わせは、当該技術において周知の手順又はここで更に記載する手順を用いて、高純度で低表面積のシリカ、又は高純度で高表面積のシリカの上に担持させる。白金又はルテニウムベースの金属触媒に関する他の好ましい触媒担体は、チタニア及びジルコニアである。
【0030】
上述したように、2つの金属触媒の組み合わせの装填レベルは、一般に主触媒金属の含量及び組み合わせの重量比を基準とする。例えば、Ru/Sn、Ru/Fe、Pt/Sn、又はPt/Feの重量比は約0.1〜2の範囲である。したがって、Ru/Sn、Ru/Fe、又はPt/Feの重量比が0.1である場合には、ルテニウム又は白金の量は0.1又は1重量%であってよく、1又は10重量%のスズ又は鉄が触媒担体上に存在する。好ましくは、Ru/Sn、Ru/Fe、Pt/Sn、又はPt/Feの重量比は約0.5であり、したがって触媒担体上のルテニウム又は白金の量は0.5又は1重量%のいずれかであってよく、スズ又は鉄の量は1又は2重量%のいずれかである。より好ましくは、Ru/Sn、Ru/Fe、Pt/Sn、又はPt/Feの重量比は1又は0.2である。担体上のルテニウム又は白金の量は0.5、1、又は2重量%であり、重量比が1である場合にはスズ又は鉄の量も0.5、1、又は2重量%である。同様に、Ru/Sn、Ru/Fe、又はPt/Feの重量比が0.2である場合には、担体上のルテニウム又は白金の量は0.5又は1重量%であってよく、スズ又は鉄の量は2.5又は5重量%のいずれかである。
【0031】
担体上に存在する場合には、第3の金属の装填量は、本発明においてはあまり重要ではなく、約0.1重量%〜約10重量%の範囲で変化させることができる。担体の重量を基準として約1重量%〜約6重量%の金属装填量が特に好ましい。
【0032】
金属の含浸は、当該技術において公知の任意の方法を用いて行うことができる。通常は、含浸の前に、担体を120℃において乾燥し、約0.2〜0.4mmの範囲の寸法分布を有する粒子に成形する。場合によっては、担体をプレスし、粉砕し、所望の寸法分布に篩別することができる。担体材料を所望の寸法分布に成形する任意の公知の方法を用いることができる。
【0033】
例えばα−アルミナのような低い表面積を有する担体に関しては、所望の金属装填量が得られるように、完全な湿潤又は過剰の液体含浸が得られるまで金属溶液を過剰に加える。
【0034】
上述したように、本発明方法において用いる水素化触媒は、一般に、白金/鉄、ルテニウム/スズ、ルテニウム/鉄、鉄/コバルトなどを含む2元金属材料である。いかなる理論にも縛られることは意図しないが、一般に、1つの金属が促進剤金属として作用し、他方の金属が主金属であると考えられる。例えば、本発明のこの方法においては、上記の組み合わせの中で、それぞれ白金、ルテニウム、及び鉄が、本発明の水素化触媒を製造するための主金属であると考えられる。他の金属、即ち、ルテニウムの場合にはスズ、コバルト、白金、又はルテニウムの場合には鉄は、用いる触媒担体、反応温度、及び圧力など(しかしながらこれらに限定されない)の種々の反応パラメーターによって促進剤金属と考えられる。触媒には、タングステン、バナジウム、モリブデン、クロム、又は亜鉛のような他の促進剤金属を含ませることができる。
【0035】
2元金属触媒は、一般に2工程で含浸させる。それぞれの含浸工程の後に、乾燥及びカ焼を行う。2元金属触媒はまた、共含浸によって製造することもできる。殆どの場合において、含浸は金属硝酸塩溶液を用いて行うことができる。しかしながら、カ焼によって金属イオンを放出する種々の他の可溶性塩を用いることもできる。含浸のために好適な他の金属塩の例としては、金属シュウ酸塩、金属水酸化物、金属酸化物、金属酢酸塩、アンモニウム金属酸化物、例えば7モリブデン酸アンモニウム6水和物、金属酸、例えば過レニウム酸溶液などが挙げられる。
【0036】
したがって、本発明の一態様においては、触媒担体がシリカ又は酸化鉄であり、これに水素化触媒としてルテニウム単独を有する水素化触媒が提供される。本発明のこの形態においては、ルテニウムの金属装填量は1重量%〜約20重量%、好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは1〜5重量%の範囲であってよい。
【0037】
本発明の他の態様においては、触媒担体がシリカであり、これに水素化触媒として鉄単独を有する水素化触媒が提供される。本発明のこの形態においては、鉄の金属装填量は1重量%〜約20重量%、好ましくは2〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%の鉄の範囲であってよい。
【0038】
本発明の他の態様においては、ルテニウム及びスズ又は白金及びスズの2元金属装填が提供される。本発明のこの形態においては、ルテニウム又は白金の装填量は約0.5重量%〜約2重量%であり、スズの装填量は約2.5重量%〜約10重量%である。具体的には、シリカ上の1/1、1/5、0.5/5、及び0.5/2.5重量%のルテニウム/スズ又は白金/スズの装填レベルを用いることができる。
【0039】
本発明の他の態様においては、触媒担体が高純度で低表面積のシリカであり、これに白金及び鉄又はルテニウム及び鉄が2元金属装填されている水素化触媒が更に提供される。本発明のこの形態においては、白金又はルテニウムの装填量は約0.5重量%〜約2重量%であり、鉄の装填量は約4重量%〜約10重量%である。具体的には、高純度で低表面積のシリカ上の1/1、1/5、0.5/5、及び0.5/2.5の白金/鉄又はルテニウム/鉄の装填レベルを用いることができる。本発明のこの形態において好ましい他の担体としては、H−ZSM−5、黒鉛化炭素、ジルコニア、チタニア、酸化鉄、シリカ−アルミナ、及びケイ酸カルシウムが挙げられる。
【0040】
本発明の他の態様においては、2元金属がシリカ上に担持されているコバルト及び鉄である水素化触媒が更に提供される。本発明のこの形態においては、コバルトの装填レベルは約12重量%〜約22重量%であり、鉄の装填レベルは約3〜8重量%である。具体的には、シリカ上に担持されている17.4重量%のコバルトの装填レベル及び4.8重量%の鉄の装填レベルのものは、商業的に入手できる。
【0041】
一般に、本発明の実施によって、酢酸を非常に高い割合でアセトアルデヒドに選択的に転化させることができる。アセトアルデヒドへの選択率は一般に非常に高く、少なくとも60%とすることができる。好ましい反応条件下においては、酢酸は、少なくとも70%の選択率、又はより好ましくは80%超、例えば少なくとも90%の選択率でアセトアルデヒドに転化する。
【0042】
本発明の触媒を用いる酢酸の転化率は少なくとも10%であり、40%以下とすることができ、アセトアルデヒドへの選択率は少なくとも60%、好ましくは70%、最も好ましくは80%である。
【0043】
一般に、本発明の活性触媒は、ここで記載する単一金属又は2元金属触媒である。より具体的には、0.5〜1重量%のルテニウム又は白金の装填量及び5重量%の鉄の装填量並びに約18重量%のコバルトの装填量を有するシリカ上に担持されているルテニウム及びスズ、ルテニウム及び鉄、白金及びスズ、白金及び鉄、並びにコバルト及び鉄を含む2元金属触媒が好ましい。本発明の実施によれば、この触媒を用いて、酢酸を約40%の転化率及び少なくとも60%のアセトアルデヒド選択率で転化させることができ、より好ましくは少なくとも80%のアセトアルデヒドへの選択率を達成することができる。
【0044】
担体としてジルコニア、黒鉛、又はチタニアを用い、上記記載と同等のルテニウム、白金、スズ、鉄、及びコバルトの装填量で、同等の転化率及び選択率が達成される。上述のように、ルテニウム又は白金と組み合わせて他の促進剤金属を用いることもできる。
【0045】
本発明の他の形態においては、触媒担体としてシリカ又は酸化鉄の上の1重量%〜約5重量%のルテニウム又は鉄の装填量を用いて、少なくとも25%のオーダーの高レベルの転化率、及び少なくとも約80%のアセトアルデヒドへの高い選択率を得ることもできる。本発明のこの形態において、他の好ましい触媒担体としては、黒鉛化炭素、チタニア、ジルコニア、シリカ−アルミナ、及びケイ酸カルシウムが挙げられる。
【0046】
本発明方法の他の形態においては、水素化は、触媒床を横切る圧力損失を克服するのに丁度十分な圧力において行う。
反応は、気体状態又は液体状態において、広範囲の条件下で行うことができる。好ましくは、反応は気相中で行う。例えば約250℃〜約350℃、好ましくは約290℃〜約310℃の範囲の反応温度を用いることができる。圧力は一般に反応に対して重要ではなく、大気圧以下、大気圧、又は大気圧以上の圧力を用いることができる。しかしながら、殆どの場合においては、反応圧は約5〜30絶対気圧の範囲であり、最も好ましくは反応区域の圧力は約8〜20絶対気圧の範囲である。
【0047】
反応は、1モルのアセトアルデヒドを製造するために酢酸1モルあたり1モルの水素を消費するが、供給流中の酢酸と水素との実際のモル比は広範囲の限界値の間、例えば約100:1〜1:100の間で変化させることができる。しかしながら、この比は約1:20〜1:2の範囲であることが好ましい。より好ましくは、酢酸と水素とのモル比は約1:5である。
【0048】
本発明方法に関して用いられる原材料は、天然ガス、石油、石炭、バイオマスなどの任意の好適な源から誘導することができる。メタノールのカルボニル化、アセトアルデヒドの酸化、エチレンの酸化、酸化発酵、及び嫌気発酵などによって酢酸を製造することは周知である。石油及び天然ガスはより高価になってきているので、代替の炭素源から酢酸並びにメタノール及び一酸化炭素のような中間体を製造する方法により興味が持たれている。任意の好適な炭素源から誘導することができる合成ガス(シンガス)からの酢酸の製造が特に興味深い。例えば、Vidalinの米国特許6,232,352(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)においては、酢酸を製造するためにメタノールプラントを改造する方法が教示されている。メタノールプラントを改造することによって、新しい酢酸プラントのためのCO製造に関連する大きな設備コストが大きく減少するか又は大きく排除される。シンガスの全部又は一部をメタノール合成ループから迂回させ、分離器ユニットに供給してCO及び水素を回収し、これを次に酢酸を製造するために用いる。酢酸に加えて、このプロセスを用いて本発明に関して用いられる水素を製造することもできる。
【0049】
Steinbergらの米国特許RE35,377(これも参照として本明細書中に包含する)においては、石油、石炭、天然ガス、及びバイオマス材料のような炭素質材料を転化させることによってメタノールを製造する方法が与えられている。このプロセスは、固体及び/又は液体の炭素質材料を水素添加ガス化してプロセスガスを得て、これを更なる天然ガスで蒸気熱分解して合成ガスを生成することを含む。シンガスをメタノールに転化させ、これを酢酸にカルボニル化することができる。この方法では更に、上述のように本発明に関して用いることができる水素が生成する。Gradyらの米国特許5,821,111(ガス化によって廃バイオマスを合成ガスに転化させる方法が開示されている)、及びKindigらの米国特許6,685,754(これらの開示事項は参照として本明細書中に包含する)も参照。
【0050】
酢酸は、反応温度において気化させて、次に、非希釈状態か、或いは窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などのような比較的不活性のキャリアガスで希釈して、水素と一緒に供給することができる。
【0051】
或いは、Scatesらの米国特許6,657,078(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)に記載されている種類のメタノールカルボニル化ユニットのフラッシュ容器からの粗生成物として、蒸気形態の酢酸を直接回収することができる。粗蒸気生成物は、酢酸及び軽質留分を凝縮するか、又は水を除去する必要なしに本発明の反応区域に直接供給することができ、これによって全体の処理コストが節約される。
【0052】
接触又は滞留時間も、酢酸の量、触媒、反応器、温度、及び圧力のような変数によって広範囲に変化させることができる。通常の接触時間は、固定床以外の触媒系を用いる場合には1秒以下乃至数時間超の範囲であり、好ましい接触時間は、少なくとも気相反応に関しては約0.5〜100秒の間である。
【0053】
通常は、触媒は、例えば、通常は蒸気形態の反応物質が触媒の上又は触媒を通して通過する細長いパイプ又はチューブの形状の固定床反応器内で用いる。所望の場合には、流動床又は沸騰床反応器のような他の反応器を用いることができる。幾つかの場合においては、水素化触媒を不活性材料と組み合わせて用いて、圧力損失、流動性、熱平衡、又は触媒床における他のプロセスパラメーター、例えば反応物質化合物と触媒粒子との接触時間を調節することが有利である。
【0054】
1つの好ましい態様においては、酢酸及び水素を含む供給流を、昇温温度において、好適な触媒担体上の約0.5重量%〜約1重量%の白金又はルテニウム及び約2.5重量%〜約5重量%のスズ又は鉄を含む好適な水素化触媒と接触させることを含む、酢酸からアセトアルデヒドを選択的且つ直接に生成する方法も提供される。本発明のこの態様において好ましい触媒担体はシリカである。
【0055】
本発明方法のこの態様においては、好ましい水素化触媒は、約0.5重量%又は約1重量%の白金及び約5重量%の鉄又はスズ;或いは約0.5重量%又は約1重量%のルテニウム及び約5重量%のスズ又は鉄;を含む。本発明方法のこの態様においては、水素化触媒を固定床内で層状にして、反応を、気相中において、約1:20〜1:5のモル範囲の酢酸及び水素の供給流を用い、約290℃〜310℃の範囲の温度、及び約8〜20絶対気圧の範囲の反応区域の圧力で行い、反応物質の接触時間を約0.5〜約100秒の範囲にすることが好ましい。
【実施例】
【0056】
以下の実施例によって、その後に続く実施例において用いる種々の触媒を製造するために用いる手順を記載する。
実施例A
酸化鉄上1重量%ルテニウムの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した酸化鉄(99g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(32mL)中の硝酸ニトロシルルテニウム(Heraeus)(3.14g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。
【0057】
実施例B
酸化鉄上3重量%ルテニウムの製造:
蒸留水(96mL)中の硝酸ニトロシルルテニウム(Heraeus)(9.42g)の溶液、及び97gの酸化鉄を用いた他は、実施例Aの手順を実質的に繰り返した。
【0058】
実施例C
高純度低表面積シリカ上5重量%鉄の製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度で低表面積のシリカ(95g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(36mL)中の硝酸鉄9水和物(Alfa Aesar)(36.2g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。
【0059】
実施例D
高純度低表面積シリカ上5重量%スズ/0.5重量%ルテニウムの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度で低表面積のシリカ(94g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、希硝酸(1N、45mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(8.7g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。このカ焼し冷却した材料に、蒸留水(16mL)中の硝酸ニトロシルルテニウム(Heraeus)(1.57g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。
【0060】
実施例E
高純度低表面積シリカ上1重量%ルテニウム/5重量%鉄の製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度で低表面積のシリカ(94g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(32mL)中の硝酸ニトロシルルテニウム(Heraeus)(3.14g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。このカ焼し冷却した材料に、蒸留水(36mL)中の硝酸鉄9水和物(Alfa Aesar)(36.2g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。
【0061】
実施例F
高純度低表面積シリカ上5重量%鉄/1重量%白金の製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度で低表面積のシリカ(94g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(36mL)中の硝酸鉄9水和物(Alfa Aesar)(36.2g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。このカ焼し冷却した材料に、蒸留水(16mL)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。
【0062】
実施例G
高純度低表面積シリカ上1重量%白金/5重量%スズの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度で低表面積のシリカ(94g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(16mL)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液、及び希硝酸(1N、43.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(8.7g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。
【0063】
実施例H
高純度低表面積シリカ上1重量%パラジウム/1重量%金/5重量%酢酸カリウムの製造:
蒸留水(22mL)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(10mL)中の水酸化金(III)(Alfa Aesar)(1.26g)及び水酸化カリウム(0.28g)の溶液、蒸留水(10mL)中の酢酸カリウム(Sigma)(5g)の溶液、及び93gのシリカを用いた他は、実施例Dの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まずパラジウム、次に金、及び最後に酢酸カリウムを順次含侵させた。
【0064】
実施例I
高純度低表面積シリカ上1重量%パラジウム/5重量%銅/5重量%酢酸カリウムの製造:
蒸留水(22mL)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(20mL)中の硝酸銅3水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液、蒸留水(10mL)中の酢酸カリウム(Sigma)(5g)の溶液、及び89gのシリカを用いた他は、実施例Dの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まず銅、次にパラジウム、及び最後に酢酸カリウムを順次含侵させた。
【0065】
実施例J
炭素上1重量%パラジウム/5重量%銅の製造:
蒸留水(22mL)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(20mL)中の硝酸銅3水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液、及び94gの炭素を用いた他は、実施例Dの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まず銅、次にパラジウムを順次含侵させた。
【0066】
実施例K
高純度低表面積シリカ上1重量%パラジウム/5重量%鉄の製造:
蒸留水(22mL)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(30mL)中の硝酸鉄9水和物(Alfa Aesar)(36.2g)の溶液、及び94gのシリカ上を用いた他は、実施例Dの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まず鉄、次にパラジウムを順次含侵させた。
【0067】
実施例L
高純度低表面積シリカ上5重量%鉄/5重量%コバルトの製造:
蒸留水(30mL)中の硝酸鉄9水和物(Alfa Aesar)(36.2g)の溶液、蒸留水(25mL)中の硝酸コバルト6水和物(24.7g)の溶液、及び90gのシリカを用いた他は、実施例Dの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まず鉄、次にコバルトを順次含侵させた。
【0068】
実施例M
高純度低表面積シリカ上5重量%銅/5重量%モリブデンの製造:
蒸留水(20mL)中の硝酸銅3水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液、蒸留水(65mL)中の7モリブデン酸アンモニウム6水和物(Sigma)(9.5g)の溶液、及び90gのシリカを用いた他は、実施例Dの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まず銅、次にモリブデンを順次含侵させた。
【0069】
実施例N
高純度低表面積シリカ上5重量%スズ/1重量%ルテニウムの製造:
希硝酸(1N、43.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(8.7g)の溶液、蒸留水(32mL)中の硝酸ニトロシルルテニウム(Heraeus)(3.14g)の溶液、及び94gのシリカを用いた他は、実施例Dの手順を実質的に繰り返した。触媒に、スズ及びルテニウムを共含侵させた。
【0070】
実施例O
酸化鉄上1重量%パラジウムの製造:
蒸留水(22mL)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、及び99gの酸化鉄を用いた他は、実施例Dの手順を実質的に繰り返した。
【0071】
生成物のガスクロマトグラフィー(GC)分析:
オンラインGCによって生成物の分析を行った。1つの炎イオン化検出器(FID)及び2つの熱伝導度型検出器(TCD)を備えた3チャンネルの小型GCを用いて、反応物質及び生成物を分析した。フロントチャンネルには、FID及びCP-Sil 5(20m)+WaxFFap(5m)カラムを取り付け、これを用いて
アセトアルデヒド;
エタノール;
アセトン;
酢酸メチル;
酢酸ビニル;
酢酸エチル;
酢酸;
エチレングリコールジアセテート;
エチレングリコール;
エチリデンジアセテート;
パラアルデヒド;
を定量した。
【0072】
ミドルチャンネルには、TCD及びPorabond Qカラムを取り付け、これを用いて
CO
エチレン;
エタン;
を定量した。
【0073】
バックチャンネルには、TCD及びMolsieve 5Aカラムを取り付け、これを用いて
ヘリウム;
水素;
窒素;
メタン;
一酸化炭素;
を定量した。
【0074】
反応の前に、個々の化合物をスパイクすることによって異なる成分の保持時間を求め、公知の組成の較正用ガス又は公知の組成の液体溶液のいずれかを用いてGCを較正した。これによって、種々の成分に関する応答係数を決定することができた。
【0075】
実施例1
用いた触媒は、実施例Aの手順にしたがって製造した酸化鉄上1重量%ルテニウムであった。
【0076】
30mmの内径を有し、制御された温度に昇温することができるステンレススチール製の管状反応器内に、50mLの酸化鉄上に担持されている1重量%ルテニウムを配置した。充填後の触媒床の長さは約70mmであった。反応の前に、2℃/分の速度で400℃の最終温度に加熱することによって、触媒をその場で還元した。次に、窒素中5モル%の水素を、7500hr−1の気体時間空間速度(GHSV)で触媒室に導入した。還元の後、窒素中5モル%の水素の気体流を継続することによって、触媒を350℃の反応温度に冷却した。反応温度が350℃で安定したら、以下のようにして酢酸の水素化を開始した。
【0077】
供給液は実質的に酢酸から構成されていた。反応供給液を蒸発させ、水素及びキャリアガスとしてヘリウムと一緒に、約2500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)で、約350℃の温度において反応器に充填した。得られた供給流は、約4.4モル%〜約13.8モル%の酢酸、及び約14モル%〜約77モル%の水素を含んでいた。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。50%の酢酸の転化率において、アセトアルデヒドへの選択率は60%であった。
【0078】
実施例2
用いた触媒は、実施例Cの手順にしたがって製造したシリカ上5重量%鉄であった。
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、350℃の温度において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は75%であり、アセトアルデヒド選択率は70%であった。
【0079】
実施例3
用いた触媒は、実施例Dの手順にしたがって製造したシリカ上0.5重量%ルテニウム/5重量%スズであった。
【0080】
10,000hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は4%であり、アセトアルデヒド選択率は91%であった。生成された他の生成物は、エタン(1%)及びエタノール(8%)であった。
【0081】
実施例4
用いた触媒は、実施例Eの手順にしたがって製造したシリカ上1重量%ルテニウム/5重量%鉄であった。
【0082】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、300℃の温度において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は35%であり、アセトアルデヒド選択率は約70%であった。
【0083】
実施例5
用いた触媒は、実施例Fの手順にしたがって製造した高純度低表面積シリカ上1重量%白金/5重量%鉄であった。
【0084】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、350℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は65%であり、アセトアルデヒド選択率は60%であった。生成された他の生成物は、二酸化炭素(6%)及び酢酸エチル(9%)であった。
【0085】
実施例6
用いた触媒は、実施例Gの手順にしたがって製造したシリカ上0.5重量%白金/5重量%スズであった。
【0086】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、350℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は85%であり、アセトアルデヒド選択率は65%であった。生成された他の生成物は、メタン(4%)及び酢酸エチル(9%)であった。
【0087】
実施例7
用いた触媒は、シリカ上の17.4重量%のコバルト及び4.8重量%の鉄を含む商業的に入手できるCo/Fe触媒であった。
【0088】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流を用いて、350℃の温度において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は約65%であり、アセトアルデヒド選択率は75%であった。
【0089】
実施例8
用いた触媒は、実施例Hの手順にしたがって製造したシリカ上1重量%パラジウム/1重量%金/5重量%酢酸カリウムであった。
【0090】
10,000hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は5%であり、アセトアルデヒド選択率は98.5%であった。生成された他の生成物は、エタン(1%)及びエタノール(0.5%)であった。
【0091】
実施例9
用いた触媒は、実施例Iの手順にしたがって製造したシリカ上1重量%パラジウム/5重量%銅/5重量%酢酸カリウムであった。
【0092】
10,000hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は2%であり、アセトアルデヒド選択率は97.5%であった。生成された他の生成物はエタン(2.5%)であった。
【0093】
実施例10
用いた触媒は、実施例Jの手順にしたがって製造した炭素上1重量%パラジウム/5重量%銅であった。
【0094】
10,000hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は1%であり、アセトアルデヒド選択率は97%であった。生成された他の生成物はエタン(3%)であった。
【0095】
実施例11
用いた触媒は、実施例Kの手順にしたがって製造したシリカ上1重量%パラジウム/5重量%鉄であった。
【0096】
10,000hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は9%であり、アセトアルデヒド選択率は96%であった。生成された他の生成物は、エタン(0.6%)及びエタノール(3.6%)であった。
【0097】
実施例12
用いた触媒は、実施例Lの手順にしたがって製造したシリカ上5重量%鉄/5重量%コバルトであった。
【0098】
10,000hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は11%であり、アセトアルデヒド選択率は95%であった。生成された他の生成物は、エタン(1%)及びエタノール(4%)であった。
【0099】
実施例13
用いた触媒は、実施例Lの手順にしたがって製造したシリカ上5重量%鉄/5重量%コバルトであった。
【0100】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、350℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は75%であり、アセトアルデヒド選択率は70%であった。生成された他の生成物は、メタン(4%)及び二酸化炭素(3%)であった。
【0101】
実施例14
用いた触媒は、実施例Mの手順にしたがって製造したシリカ上5重量%銅/5重量%モリブデンであった。
【0102】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、350℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は10%であり、アセトアルデヒド選択率は90%であった。生成された他の生成物は、エタン(1.5%)及びアセトン(6.6%)であった。
【0103】
実施例15
用いた触媒は、実施例Nの手順にしたがって製造したシリカ上1重量%ルテニウム/5重量%スズであった。
【0104】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、350℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は60%であり、アセトアルデヒド選択率は78%であった。生成された他の生成物は、メタン(6%)及びエタノール(12%)であった。
【0105】
実施例16
用いた触媒は、実施例Oの手順にしたがって製造した酸化鉄上1重量%パラジウムであった。
【0106】
10,000hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、350℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は66%であり、アセトアルデヒド選択率は59%であった。生成された他の生成物は、二酸化炭素(4%)及びエタノール(18%)であった。
【0107】
実施例17
用いた触媒は、Sud ChemieからT-4489の名称で販売されている商業的に入手できる銅−アルミニウム触媒であった。
【0108】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、350℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は88%であり、アセトアルデヒド選択率は51%であった。生成された他の生成物は、二酸化炭素(5%)及びエタノール(16%)であった。
【0109】
比較例1A〜4A
これらの例は、アセトアルデヒドが生成されなかったか及び/又は酢酸の低い転化率においてアセトアルデヒドへの非常に低い選択率が観察された種々の触媒上での酢酸と水素の反応を示す。
【0110】
これらの例の全てにおいて、表1に示す異なる触媒を用いた他は実施例1に示す手順に実質的にしたがった。反応温度、並びにアセトアルデヒド及び他の生成物への選択率も表1にまとめる。
【0111】
【表1】

【0112】
特定の例に関して本発明を示したが、本発明の精神及び範囲内のこれらの例に対する修正は当業者には容易に明らかとなるであろう。上述の議論、当該技術における関連する知識、並びに背景技術及び詳細な説明に関連して上記で議論した参考文献(その開示事項は全て参照として本明細書中に包含する)を考慮すると、更なる説明は不要であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸及び水素を含む供給流を、昇温温度において、好適な触媒担体上に担持されている鉄、銅、金、白金、パラジウム、及びルテニウムからなる群から選択される少なくとも1種類の金属を、場合によってはスズ、アルミニウム、カリウム、コバルト、モリブデン、タングステン、及びバナジウムからなる群から選択される1種類以上の金属触媒と組み合わせて含む好適な水素化触媒と接触させることを含む、酢酸からアセトアルデヒドを選択的且つ直接に生成する方法。
【請求項2】
触媒担体が、酸化鉄、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭素、ジルコニア、チタニア、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒担体がシリカである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
触媒担体が高純度シリカである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
触媒担体が酸化鉄である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
水素化触媒が好適な担体上のルテニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
触媒担体がシリカ又は酸化鉄である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
水素化触媒がシリカ上に担持されている鉄を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
水素化触媒が、約0.1〜1の範囲のRu/Sn又はRu/Feの重量比のルテニウム及びスズ又はルテニウム及び鉄の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ルテニウムの装填量が約0.5重量%〜約1重量%であり、スズ又は鉄の装填量が約2.5重量%〜約10重量%であり、触媒担体がシリカである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ルテニウムの装填量が約0.5重量%であり、スズの装填量が約5重量%であり、触媒担体がシリカであるか、或いはルテニウムの装填量が約1重量%であり、鉄の装填量が約5重量%であり、触媒担体がシリカである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
水素化触媒が、約0.1〜1の範囲のPt/Sn又はPt/Feの重量比の白金及び鉄又は白金及びスズの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
白金の装填量が約0.5重量%〜約1重量%であり、スズ又は鉄の装填量が約2.5重量%〜約10重量%であり、触媒担体がシリカである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
水素化触媒が鉄及びコバルトの組み合わせを含み、鉄の装填量が約3重量%〜10重量%であり、コバルトの装填量が約8重量%〜約20重量%であり、触媒担体がシリカである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
消費された酢酸を基準とするアセトアルデヒドへの選択率が少なくとも60%である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
消費された酢酸を基準とするアセトアルデヒドへの選択率が少なくとも70%である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
消費された酢酸を基準とするアセトアルデヒドへの選択率が少なくとも80%である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
アセトアルデヒドへの水素化を、気相中、約250℃〜350℃の範囲の温度において行う、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
アセトアルデヒドへの水素化を、気相中、約270℃〜310℃の範囲の温度において行う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
供給流が不活性キャリアガスを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
反応物質が約100:1〜1:100の範囲のモル比の酢酸及び水素から構成され、反応区域の温度が約250℃〜350℃の範囲であり、反応区域の圧力が約5〜25絶対気圧の範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
反応物質が約1:20〜1:2の範囲のモル比の酢酸及び水素から構成され、反応区域の温度が約270℃〜310℃の範囲であり、反応区域の圧力が約8〜20絶対気圧の範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
酢酸及び水素を含む供給流を、昇温温度において、好適な触媒担体上の約0.5重量%〜約1重量%の白金又はルテニウム及び2.5重量%〜約5重量%のスズ又は鉄を含む好適な水素化触媒と接触させることを含む、酢酸からアセトアルデヒドを選択的且つ直接に生成する方法。
【請求項24】
触媒担体が約0.5重量%又は約1重量%の装填レベルの白金、及び約5重量%の装填レベルのスズ又は鉄を含み、触媒担体がシリカである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
触媒担体が約0.5重量%又は約1重量%の装填レベルのルテニウム、及び約5重量%の装填レベルのスズ又は鉄を含み、触媒担体がシリカである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
反応物質が約1:20〜1:5の範囲のモル比の酢酸及び水素から構成され、反応区域の温度が約270℃〜310℃の範囲である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
触媒が、シリカ又は炭素上に担持されているパラジウム/金(Pd/Au)又はパラジウム/銅(Pd/Cu)の2元金属の組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
触媒が酢酸カリウムを更に含み、触媒担体がシリカである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
触媒が、シリカ上に担持されているパラジウム/鉄(Pd/Fe)、鉄/コバルト(Fe/Co)、銅/モリブデン(Cu/Mo)、又は銅/アルミニウム(Cu/Al)の2元金属の組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
触媒が、シリカ上に担持されているパラジウム/鉄(Pd/Fe)、鉄/コバルト(Fe/Co)、又は銅/モリブデン(Cu/Mo)である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
触媒がシリカ上に担持されている銅/アルミニウム(Cu/Al)である、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2011−529494(P2011−529494A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521093(P2011−521093)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/004187
【国際公開番号】WO2010/014146
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(500175107)セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション (77)
【Fターム(参考)】