説明

拡径先端チップを持つ注射器とともに使用するための液体薬剤送出デバイス

【課題】 注射器が誤って外れたり内容物が漏れたりする虞を防止する。
【解決手段】 液体薬剤送出デバイスは、ハウジングを有しており、該ハウジングは、拡径先端チップで終端する注射器チップを持つ注射器を密封をなして受け入れるための注射器ポートと、バイアルをスナップ嵌め受け入れするためのバイアルアダプタを持つバイアルアダプタポートと、液体薬剤を投与するための薬剤投与ポートとを含む。バイアルアダプタは、使用済みのバイアルとともに廃棄するため、混合手順後に回して取り外されるようになっている。注射器ポートは、更に、再構成を目的とした攪拌を含む通常の使用時に注射器が誤って外れないようにするため、注射器を固定するための一回使用係止機構を含む。薬剤投与ポートの先端チップは、雌ルアーコネクタを持つ従来のニードルが摺動取付けされないようにする同じ目的のため、好ましくは、注射器の拡径先端チップと同様である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雌ルアーコネクタを持つ従来のニードルが摺動取り付けされないようにするため、拡径先端チップ(拡径先端頂部)を持つ注射器とともに使用するための液体薬剤送出デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
「液体薬剤送出デバイス及びニードルシールド取り外しデバイス」という標題の、同じ出願人が所有するPCT国際出願第PCT/IL2005/000376号(PCT国際出願公開第WO2005/105014号)には、再構成した液体薬剤を対象に直ちに投与できるように、拡径先端チップ(拡径先端頂部)を持つ注射器を再構成した液体薬剤で準備するため、エラストマーチューブを備えたバイアルアダプタを含む液体薬剤移転デバイスが示してあり且つ説明されている(WO2005/105014の図8乃至図11参照)。拡径先端チップは、従来のニードルが摺動取り付けされないような寸法を備えている。エラストマーチューブの自由端は、注射器と再構成を必要とする薬剤が入った薬剤バイアルとの間を流体連通するため、引き延ばされて注射器の拡径先端チップに密封をなして被せられるようになっている。再構成には、代表的には、液体薬剤移転デバイス、バイアル、及び注射器からなるアッセンブラージュを攪拌することを必要とし、これにより、場合によっては、注射器が誤って外れたり内容物が漏れたりする虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2005/105014
【特許文献2】米国特許第6,238,372号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、拡径先端チップ(拡径先端頂部)を持つ注射器を、対象に直ちに投与するために再構成された液体薬剤で安全に且つ確実に準備するための液体薬剤送出デバイスに関する。本発明は、回転により取り外すことができるバイアルアダプタを含む、同じ出願人に譲渡された、ジンガー等に付与された米国特許第6,238,372号の図11乃至図15に示してあり且つ説明された流体制御デバイスに基づいている。本発明は、以下の二つの変更を含む。
【0005】
第1の変更点は、本発明の液体薬剤送出デバイスが、
拡径先端チップ(拡径先端頂部)を持つ注射器と密封流体連通(外部に漏れが生じることがない密封状態の流体連通)するためのエラストマー製のシール部材が設けられた注射器ポートと、
再構成を目的とした攪拌を含む通常の使用時に注射器が誤って外れることがないように注射器を固定するための一回使用の(使い捨ての)係止機構(ロック機構)とを含むということである。
【0006】
第2の変更点は、本発明の液体薬剤送出デバイスが、雌ルアーコネクタを持つ従来のニードルが摺動取り付けされないようにする同じ目的で、好ましくは、注射器の拡径先端チップと同様の拡径先端チップを持つ薬剤投与ポートを含むということである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
注射器ポートは、注射器の拡径先端チップ(拡径先端頂部)と密封流体連通(外部に漏れが生じることがない密封状態の流体連通)するための任意の適当なシール構成を含んでいてもよい。適当なシール構成は、とりわけ、WO2005/105014の液体薬剤移転デバイスと同様の注射器の拡径先端チップ上に密封して延ばして被せるためのエラストマーチューブ、注射器の拡径先端チップが密封をなして押し付けられるエラストマー製のガスケット、等を含む。一回使用の(使い捨ての)係止機構は、注射器の拡径先端チップの後側にスナップ嵌めして注射器チップを取り囲むことができるようにした一つ又はそれ以上のストッパー部材を設けることによって、注射器が誤って外れないようにすることが好ましい。一回使用の係止機構は、好ましくは、注射器ポートへの注射器の摺動挿入時に自動的に作動する。別の態様では、一回使用の係止機構は、使用者による作動を必要としてもよい。
【0008】
本発明を理解するため、及び本発明を実際にどのように実施するのかを理解するため、同様の部分に同様の参照番号を付した添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を以下に単なる非限定的例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、対象に直ちに投与するために注射器を再構成された液体薬剤で準備するための、エラストマーチューブを備えたバイアルアダプタを含む液体薬剤移転デバイスを示す、同じ出願人が所有する上掲のされたWO2005/105014の図8と対応する図である。
【図1B】図1Bは、同じ出願人が所有する上掲のされたWO2005/105014の図9と対応する、図1AのA−A線に沿った液体薬剤移転デバイスの長さ方向断面図である。
【図2】図2は、同じ出願人に譲渡された上掲のされた米国特許第6,238,372号の図11乃至図15による注射器、バイアル、及び流体制御デバイスの斜視図である。
【図3】図3は、図2の流体制御デバイスの分解図である。
【図4】図4は、図2の流体制御デバイスの図2のB−B線に沿った、再構成流れ制御位置での長さ方向断面図である。
【図5】図5は、図2の流体制御デバイスの図2のB−B線に沿った、バイアルアダプタを取り外した後の投与流制御位置での長さ方向断面図である。
【図6】図6は、液体薬剤送出デバイスの第1の好ましい実施例の側面図であり、液体薬剤送出デバイスは、再構成した液体薬剤で注射器を安全に且つ確実に準備するため、拡径先端チップを持つ注射器とともに使用するための、本発明に係る一回使用の自動式係止機構及びエラストマーチューブを備えた注射器ポートを含む。
【図7】図7は、図6の注射器ポートの分解図である。
【図8】図8は、図6の液体薬剤送出デバイス及び拡径先端チップを持つ注射器の組み立てた状態の側面図である。
【図9】図9は、エラストマーチューブの代わりにガスケットを使用した図6の液体薬剤送出デバイスの斜視図である。
【図10】図10は、図9の液体薬剤送出デバイスと拡径先端チップを持つ注射器とを組み立てた状態の側面図である。
【図11】図11は、本発明による一回使用の手動式係止機構及びエラストマーチューブを備えた注射器ポートを含む、液体薬剤送出デバイスの第2の好ましい実施例の斜視図である。
【図12】図12は、図11の一回使用の手動式係止機構の手動作動を示す斜視図である。
【図13】図13は、本発明による変形例の一回使用の自動式係止機構及びエラストマーチューブを備えた注射器ポートを含む、液体薬剤送出デバイスの第3の好ましい実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは、注射器10、バイアル(ガラス瓶などの小びん)16、及び液体薬剤の再構成を目的とした液体薬剤移転デバイス20を示す。注射器10は、バレル11及びプランジャー12を含み、雌ルアーコネクタを持つ従来のニードルが摺動取り付けされないようにするための拡径先端チップ(拡径先端頂部)14で注射器チップ(注射器頂部)13が終端する。先端チップ(先端頂部)14は、外径がD1であり、長さがL1であり、環状後面15を備えている。注射器10には、代表的には、粉体薬剤の再構成又はバイアル16に入った液体薬剤との混合のいずれかを行うため、希釈剤が入っている。バイアル16は、頂部が開放したボトル17を含み、このボトルは、ゴム製ストッパ18によってシールされており、金属バンド19が被されている。
【0011】
図1A及び図1Bは、バイアルアダプタ21を含む液体薬剤移転デバイス20を示す。バイアルアダプタ21は、上壁22と、バイアル16にスナップ嵌めするための弾性変形可能なスリット付きスカート23と、バイアルのゴム製ストッパ18を穿刺するための中空穿刺部材24とを含む。エラストマーチューブ(すなわち、エラストマー製の管)26が、穿刺部材24と流れ連通している。注射器10とバイアル16との間を流れ連通できるようにするため、チューブ(管)26の先端27は、先端チップ14に密封をなして被せられる。チューブ26は、裂けたりすることなく、チューブを延ばして先端チップ14に密封をなして完全に被せるため、内径D2(D2<D1)を有し、チューブ26とバイアルアダプタ21との取り付け点から所定の自由長さL2(L2>L1)を有する。チューブ26は、好ましくは、PVC、シリコーン樹脂、ゴム等の物質のうちの一つから形成される。
【0012】
図2乃至図5は、ルアーロックコネクタ29を備えた従来の注射器28及びバイアル16とともに使用するための、液体薬剤の再構成及び投与を目的とした従来の流体制御デバイス30を示す。流体制御デバイス30は、ハウジング31を有する。ハウジング31は、長さ方向軸線32と、この長さ方向軸線32上の注射器ポート33及び薬剤投与ポート34と、注射器ポート33と薬剤投与ポート34との中間に設けられた管状の(チューブ状の)バイアルアダプタポート36とを備えている。注射器ポート33は、バイアルアダプタポート36と流れ連通した、注射器28を摺動自在に受け入れる内腔37を含む。薬剤投与ポート34は、バイアルアダプタポート36と流れ連通した、液体薬剤を投与するようになった内腔38を含む。
【0013】
バイアルアダプタポート36は円筒形外面39を有する。この外面の最下部分41には、一対の向き合った1/4巻回ねじ山42が設けられている。バイアルアダプタポート36は、長さ方向軸線32に対してほぼ垂直な回転軸線44を中心として回転できる流れ制御部材43を支持する。流れ制御部材43は、L字形状混合流チャンネル46を有する。このチャンネルは、混合流制御位置で注射器ポート33の内腔37と整合する半径方向区分47と、直径方向スロット49で終端する軸線方向区分48とを含む。流れ制御部材43は、混合流制御位置に関して1/4回転させた後の投与流制御位置で、注射器ポート33の内腔37と薬剤投与ポート34の内腔38とを整合するための周囲半円形投与流チャンネル51を有する。
【0014】
流体制御デバイス30は、バイアルを入れ子式に受け入れるためのスカート54を持つバイアルアダプタ53を含む。スカート54の上面56には、ねじ山42と螺合することによってバイアルアダプタ53をハウジング31に連結するための一対の向き合ったねじ山部材57が設けられている。スカート54は、更に、バイアル16にスナップ嵌めするための下方に垂下した6個の撓み部材53を有する。バイアルアダプタ53は、流れ制御部材43の軸線方向区分48に密封をなして挿入するための直立したテーパ付きの中空雄コネクタ59と、バイアルアダプタ53を流れ制御部材43に連結できるように流れ制御部材43のスロット49に挿入するためのキー61を備えている。バイアルアダプタ53は、バイアルのゴム製ストッパ18を穿刺してバイアルボトルの内部に延びることができるようにした、下方に垂下する中空カニューレ62を含む。雄コネクタ59及びカニューレ62は流れ連通している。
【0015】
図4及び図5は、流体制御デバイス30の作動を示す。
【0016】
図4は、バイアルアダプタ53が連結された流体制御デバイス30を示す。この図では、流れ制御部材43は、その初期混合流制御位置にあり、この初期混合流制御位置では、注射器ポート33に挿入した注射器と、バイアルアダプタ53に挿入したバイアルとの間を流れ連通できる。希釈剤をバイアルに注入し、バイアルの内容物と混合した後、液体薬剤を注射器に吸い込んでいつでも投与できるようにする。
【0017】
図5は、バイアルアダプタ53を使用済バイアルとともに流体制御デバイス30から取り外すため、バイアルアダプタ53をハウジング31に対して1/4回転させた後の流体制御デバイス30を示す。取り外しと同時に、流れ制御部材43が、その初期混合流制御位置から投与流制御位置まで回転され、注射器ポート33と薬剤投与ポート34との間を流れ連通できる。
【0018】
図6、図7、及び図8は、注射器10及びバイアル16とともに使用するための液体薬剤送出デバイス70Aを示す。液体薬剤送出デバイス70Aは、構造が流体制御デバイス30と同様であり、従って、同様の部分には同じ参照番号が付してある。デバイス70Aとデバイス30との間の二つの主要な相違点は以下の通りである。第1に、デバイス70Aは、注射器28でなく注射器10と密封流体連通(外部に漏れが生じることがない密封状態の流体連通)するように設計された注射器ポート71を含む。第2に、デバイス70Aは、雌ルアーコネクタを備えた従来のニードルが注射器10と同様に摺動取り付けされないようにするため、先端チップ(先端頂部)73が拡径された薬剤投与ポート72を含む。
【0019】
注射器ポート71は、エラストマー製のチューブ状シール部材(エラストマー製の管状シール部材)76が設けられた入口ポート74を含む。シール部材76は、自由端78を持つ、長さ方向軸線32に関して同軸のエラストマーチューブ(エラストマー製の管)77によって形成されている。チューブ(管)77は、好ましくは、PVC、シリコーン樹脂、ゴム等から形成される。チューブ77は、内径D3と、入口ポート74との取り付け点を越えて延びる自由長L3とを有し、強制摺動挿入時に注射器の先端チップ14を密封をなして受け入れるため、D3<D1であり且つL3>L1である。入口ポート74は、注射器が誤って外れないようにするため、一回使用の(使い捨ての)自動式係止機構79を支持する。この係止機構79は、使用者が注射器10を長さ方向軸線32に沿って整合し、注射器ポート71に挿入するのを補助する、長さ方向軸線32と同軸の堅固なチューブ状(管状)のガイド部材81を含む。しかしながら、ガイド部材81の内径D4は、先端チップ14の外径D1よりも僅かに大きく、先端チップ14はこれを自由に通過できる。ガイド部材81は、等間隔に間隔が隔てられた4個の弾性的に撓むことができるストッパー部材82を有する。これらのストッパー部材82は、バイアルアダプタポート36に向かって内方に先細になっており、ストッパー部材チップ(ストッパー部材頂部)82Aで終端する。これらのストッパー部材チップ82Aは、自由端78の手前で、すなわち自由端78から間隔S1だけ離れて停止し、先端チップ14の外径D1よりも小径の穴を形成する。そのため、注射器の先端チップ14は、ストッパー部材82を半径方向外方に弾性的に押圧し、これらのストッパー部材82は先端チップ14の後側にスナップ嵌めし、強制摺動挿入時に注射器チップ13を取り囲む。後面15がストッパー部材チップ82Aに当たって停止することにより、注射器10が液体薬剤送出デバイス70Aから誤って外れることがないようになっている。注射器10がデバイス70Aに関して最も後方の位置にあって後面15がストッパー部材チップ82Aに当接したとき、先端チップ14がチューブ77内に確実にとどまるようにするため、離間距離S1は長さL1よりも小さい。
【0020】
対象に直ちに投与するため、再構成した液体薬剤で注射器10を安全に且つ確実に準備するための液体薬剤送出デバイス70Aの使用は、流体制御デバイス30の使用と同様である。
【0021】
液体薬剤送出デバイス70Aを使用するための工程は以下の通りである。使用者が、バイアル16を液体薬剤送出デバイス70Aのバイアルアダプタ53に取り付ける。使用者は、液体薬剤送出デバイス70Aの長さ方向軸線に沿って注射器10を整合させ、その後、注射器10を、液体薬剤送出デバイス70Aの注射器ポート71に挿入する。エラストマーチューブ77の自由端78を拡げる前に、拡径先端チップ14がストッパー部材82を半径方向外方に押圧するため、ガイド部材81は注射器10を支持する。使用者は、ストッパー部材チップ82Aが注射器10の先端チップ14の後側15にスナップ嵌めし、注射器をそこに固定し、注射器が外方に変位しないようにするまで、注射器10を摺動挿入し続ける。注射器は、エラストマーチューブ77の自由端78と密封をなして確実に流体連通できるように十分にエラストマーチューブ77の自由端78に挿入される。使用者は、注射器の希釈剤をバイアルに注入し、その組み合わせ体を攪拌し、バイアルの薬剤を再構成する。使用者はその組み合わせ体を逆さまにし、再構成された液体薬剤を注射器に吸い込む。使用者はバイアルを1/4回転させて取り外す。これで、液体薬剤送出デバイス70Aは、再構成された液体薬剤を対象に直ちに投与する準備ができる。
【0022】
図9及び図10は、エラストマー製のチューブ状シール部材76が、チューブ77の代わりに環状ガスケット83によって形成されていることを除き、液体薬剤送出デバイス70Aと同様の液体薬剤送出デバイス70Bを示す。ガスケット83は、露呈された前面83Aと、内径がD5(D5<D1)の軸線方向貫通ボア84とを有する。ストッパー部材チップ82Aは、ガスケットの前面83Aから、L1よりも短い所定距離手前で終端する。これにより、ストッパー部材チップ82Aが後面15をバイアルアダプタポートに積極的に押し付け続け、これによって、先端チップ14がガスケット83を僅かに圧縮し続ける。その結果、注射器10を注射器ポート71に強制的に摺動挿入することにより、密封流体連通(外部に漏れが生じることがない密封状態の流体連通)が形成される。
【0023】
図11及び図12は、入口ポート74に一回使用の(使い捨ての)自動式係止機構79の代わりに一回使用の手動式係止機構86が設けられていることを除き、液体薬剤送出デバイス70Aと同様の液体薬剤送出デバイス70Cを示す。一回使用の手動式係止機構86は、長さ方向軸線32に向かって差し向けられた圧縮力Fを手作業で加えたとき、注射器チップ13の拡径先端チップ14の後側にスナップ嵌めするための、枢着(枢動可能に取り付けられた)された雄及び雌の係止部材87A、87Bを含む。
【0024】
図13は、変形例の液体薬剤送出デバイス70Dを示す。液体薬剤送出デバイス70Dは、液体薬剤送出デバイス70Aと同様の構成となっているが、入口ポート74が一回使用の自動式係止機構88を含む点で異なっている。係止機構88は、長さ方向軸線32と同軸の、割りリング(分割リング)状でチューブ状(管状)のガイド部材89を含む。ガイド部材89は、入口ポート74に弾性的に撓むことができるように連結された、向き合った(対向した)ガイド部材エレメント89A及び89Bを有している。ガイド部材89の内径は直径D1よりも大きく、先端チップ14はこれを自由に通過できる。ガイド部材89は、一対の向き合ったストッパー部材91を有する。この対向する一対のストッパー部材91は、バイアルアダプタポート36に向かって内方に先細になり、ストッパー部材チップ91Aで終端する。ストッパー部材チップ91Aは、自由端78の手前で終端し、直径が先端チップ14の直径D1よりも小さい穴を形成する。この穴に先端チップ14を強制的に挿入すると、注射器の先端チップ14がストッパー部材91を弾性的に外方に押圧し、これらのストッパー部材91が先端チップ14の後側にスナップ嵌めし、注射器チップ13を取り囲む。後面15がストッパー部材チップ91Aに当たって停止することによって、注射器10が、液体薬剤送出デバイス70Dから誤って(または不注意で)外れないようになっている。注射器10がデバイス70Dに関して最も後方の位置にある場合に後面15がストッパー部材チップ91Aに当接したとき、先端チップ14がチューブ77内にとどまる。
【0025】
本発明を限られた数の実施例に関して説明したが、添付の特許請求の範囲内で、本発明の多くの変形、変更、及びこの他の適用を行うことができるということは理解されよう。
【符号の説明】
【0026】
10 注射器
11 バレル
12 プランジャー
13 注射器チップ
14 拡径先端チップ
15 環状後面
16 バイアル
17 ボトル
18 ゴム製ストッパ
19 金属バンド
20 液体薬剤移転デバイス
21 バイアルアダプタ
22 上壁
23 スロット付きスカート
24 中空穿刺部材
26 エラストマーチューブ
27 先端
28 注射器
29 ルアーロックコネクタ
30 流体制御デバイス
31 ハウジング
32 長さ方向軸線
33 注射器ポート
34 薬剤投与ポート
36 チューブ状バイアルアダプタポート
37 内腔
38 内腔
39 円筒形外面
41 最下部分
42 1/4巻回ねじ山
43 流れ制御部材
44 回転軸線
46 L字形状混合流チャンネル
47 半径方向区分
48 軸線方向区分
49 直径方向スロット
51 周囲半円形投与流チャンネル
53 バイアルアダプタ
54 スカート
56 上面
57 ねじ山部材
59 中空雄コネクタ
61 キー
62 中空カニューレ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径がD1で長さがL1の拡径先端チップで終端する注射器チップを持つ注射器と、ゴム製ストッパを持つ薬品バイアルとともに使用するための液体薬剤送出デバイスであって、
(a)ハウジングであって、
長さ方向軸線と、
前記注射器を受け入れるため、及び液体薬剤を投与するための前記長さ方向軸線に関して同軸の注射器ポート及び薬剤投与ポートと、
前記注射器ポート及び前記薬剤投与ポートの中間のチューブ状のバイアルアダプタポートとを含むハウジングと、
(b)前記バイアルアダプタポート内に、前記長さ方向軸線に対してほぼ垂直な回転軸線を中心として回転可能に支持された流れ制御部材とを備え、
前記流れ制御部材はL字形状混合流チャンネルを含み、
前記L字形状混合流チャンネルは、混合流制御位置で前記注射器ポートと流れ連通するための半径方向区分と、軸線方向区分とを含み、
前記流れ制御部材は、続く投与流制御位置で、前記注射器ポートと前記薬剤投与ポートとの間を流れ連通可能にするための半円形周囲投与流チャンネルを有しており、
(c)前記液体薬剤送出デバイスは、また、バイアルを入れ子式に受け入れるためのバイアルアダプタを備え、
前記バイアルアダプタは、
直立したチューブ状の雄コネクタと、
この雄コネクタと流れ連通した、前記バイアル内に延びるための下方に垂下したチューブ状のカニューレとを含み、
前記バイアルアダプタは、先ず最初に前記雄コネクタを前記軸線方向区分に密封をなして挿入することにより前記ハウジングに連結され、
前記バイアルアダプタを前記ハウジングに対して回転させて、同時に、前記流れ制御部材を前記混合流制御位置から前記投与流制御位置まで回転したとき、前記バイアルアダプタを前記ハウジングから回転により取り外すことができる、
液体薬剤送出デバイスにおいて、
前記注射器ポートは、
前記注射器と密封流体連通するためのエラストマー製のチューブ状シール部材が設けられた入口ポートと、
前記注射器を前記注射器ポートに挿入したときに前記注射器の先端チップの後方に展開し、これによって、注射器が誤って前記注射器ポートから外れないようにするための少なくとも二つの向き合ったストッパー部材を含む一回使用の係止機構とを有しており、
前記薬剤投与ポートは、通常のニードルが摺動取り付けされないようにするための拡径先端チップを有する、ことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記シール部材は、内径D3と、前記入口ポートとの取り付け点からの自由長L3とを有するエラストマー製のチューブによって形成されており、
前記注射器を前記注射器ポートに強制摺動挿入するときに前記拡径先端チップを密封をなして受け入れるため、D3<D1であり且つL3>L1である、デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記シール部材は、エラストマー製の環状ガスケットによって形成されており、前記注射器を前記注射器ポートに強制摺動挿入するときに前記拡径先端チップが密封をなして前記環状ガスケット押し付けられる、デバイス。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載のデバイスにおいて、
前記係止機構は、前記注射器ポートへの前記注射器の挿入を容易にするために使用者が前記注射器を前記係止機構に沿って整合するのを補助するため、前記長さ方向軸線と同軸のチューブ状ガイド部材を含み、
前記チューブ状ガイド部材は、前記バイアルアダプタポートに向かって内方に先細になる少なくとも二つの向き合ったストッパー部材を有し、
これらのストッパー部材は、前記シール部材の手前まで延びる、直径が直径D1よりも小さい穴を形成するストッパー部材チップで終端し、
前記注射器の前記拡径先端チップを前記穴を通して強制的に挿入したとき、前記先端チップが前記少なくとも二つのストッパー部材を半径方向外方に弾性的に押圧し、前記注射器の前記拡径先端チップの後側にスナップ嵌めし、その注射器チップを取り囲む、デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載のデバイスにおいて、
前記係止機構は、弾性的に撓むことができる少なくとも二つのストッパー部材を持つ堅固なチューブ状ガイド部材を含む、デバイス。
【請求項6】
請求項4に記載のデバイスにおいて、
前記係止機構は、前記入口ポートに弾性的に撓むことができるように連結された割りリング状でチューブ状のガイド部材を含む、デバイス。
【請求項7】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載のデバイスにおいて、
前記係止機構は、前記長さ方向軸線に向かって差し向けられた圧縮力を手作業で加えたときに第2係止部材にスナップ嵌めし、前記注射器チップを取り囲む第1係止部材を含む、デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−540066(P2010−540066A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526421(P2010−526421)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【国際出願番号】PCT/IL2008/001278
【国際公開番号】WO2009/040804
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(506361719)メディモップ・メディカル・プロジェクツ・リミテッド (16)
【Fターム(参考)】