説明

指掌紋画像処理装置、指掌紋画像処理方法及び指掌紋画像処理プログラム

【課題】指掌紋画像を用いて照合対象領域を特定出来る、指掌紋画像処理装置、指掌紋画像処理方法及び指掌紋画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】指掌紋の画像である指掌紋画像を処理する指掌紋画像処理装置であって、前記指掌紋画像を、第一集合要素と第二集合要素とからなる変換画像に変換する画像変換手段と、前記画像変換手段が変換した前記変換画像の中から前記第一集合要素の数が所定数以上である領域を特定する領域特定手段と、を備え、前記第一集合要素と前記第二集合要素とは、前記指掌紋画像の要素が集合した集合要素であり、前記第一集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たす集合要素であり、前記第二集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たさない集合要素であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指掌紋の画像である指掌紋画像を処理する指掌紋画像処理装置、指掌紋画像処理方法及び指掌紋画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、「画像認識部24により検出された基準点Pを基準として、画像補正部23から供給される補正後の手の平の画像データから実際に掌紋の照合に使用する部分である認証対象画像を決定する処理を行う」技術が開示されている(特許文献1の明細書[0041]参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−217307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術は、基準点Pの求め方を予め決めているため、指掌紋のどの部分を照合用に使用するか決定できない。すなわち、特許文献1に記載された技術は、指掌紋の画像である指掌紋画像(即ち、指掌紋画像データ)の中のどの部分を指掌紋の照合に用いる照合対象領域にするかを予め特定している。
【0005】
一方、指掌紋画像の取得の仕方又は個人差によっては、得られた指掌紋画像の中に、照合に使用できる部分と使用出来ない部分とが存在してしまう場合がある。特許文献1に記載された技術のように、照合対象領域が予め特定されていると、その領域が照合に用いることが出来ない場合に、指掌紋の照合が出来ない場合がある。
【0006】
このため、照合対象領域は、予め特定せずに、指掌紋画像を用いて適宜特定出来た方がよい。
【0007】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、指掌紋画像を用いて照合対象領域を特定する、指掌紋画像処理装置、指掌紋画像処理方法及び指掌紋画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の観点に係る指掌紋画像処理装置は、
指掌紋の画像である指掌紋画像を処理する指掌紋画像処理装置であって、
前記指掌紋画像を、第一集合要素と第二集合要素とからなる変換画像に変換する画像変換手段と、
前記画像変換手段が変換した前記変換画像の中から前記第一集合要素の数が所定数以上である領域を特定する領域特定手段と、を備え、
前記第一集合要素と前記第二集合要素とは、前記指掌紋画像の要素が集合した集合要素であり、
前記第一集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たす集合要素であり、
前記第二集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たさない集合要素であることを特徴とする。
【0009】
本発明の第二の観点に係る指掌紋画像処理方法は、
指掌紋の画像である指掌紋画像を処理する指掌紋画像処理方法であって、
前記指掌紋画像を、第一集合要素と第二集合要素とからなる変換画像に変換する画像変換ステップと、
前記画像変換ステップで変換した前記変換画像の中から前記第一集合要素の数が所定数以上である領域を特定する領域特定ステップと、を有し、
前記第一集合要素と前記第二集合要素とは、前記指掌紋画像の要素が集合した集合要素であり、
前記第一集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たす集合要素であり、
前記第二集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たさない集合要素であることを特徴とする。
【0010】
本発明の第三の観点に係る指掌紋画像処理プログラムは、
指掌紋の画像である指掌紋画像を処理する指掌紋画像処理方法をコンピュータに行わせるための指掌紋画像処理プログラムであって、
前記指掌紋画像を、第一集合要素と第二集合要素とからなる変換画像に変換する画像変換ステップと、
前記画像変換ステップで変換した前記変換画像の中から前記第一集合要素の数が所定数以上である領域を特定する領域特定ステップと、を有し、
前記第一集合要素と前記第二集合要素とは、前記指掌紋画像の要素が集合した集合要素であり、
前記第一集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たす集合要素であり、
前記第二集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たさない集合要素である指掌紋画像処理方法をコンピュータに行わせることを特徴とする。
【0011】
なお、本発明において、指掌紋は、指紋及び掌紋のいずれか少なくとも一方を含むものとして定義する。
【0012】
また、本発明において、指掌紋画像は、指掌紋のみの画像の他、指掌紋と他の領域(例えば、掌の外の領域又は指と指の間の部分の領域)とを含んだ画像をも適宜含むものとして定義する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る指掌紋画像処理装置、指掌紋画像処理方法及び指掌紋画像処理プログラムによれば、指掌紋画像を用いて照合対象領域を特定出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態及び図面によって限定されるものではない。下記の実施形態及び図面に変更を加えることが出来るのはもちろんである。
【0015】
本実施形態では、予め登録された、同一人物と思われる二つの指掌紋画像を比較し、この二つの指掌紋画像の指掌紋が同一人物のものであるかを照合する場合について説明するが、本発明に係る指掌紋画像処理装置等は、他の装置、特に従来の指掌紋照合装置に適用可能である。本発明に係る指掌紋画像処理装置等は、指掌紋照合装置であってもよい。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る指掌紋画像処理装置のブロック図である。
【0017】
図1のように、指掌紋画像処理装置100は、入力部10と、画像取得部20と、画像変換部30と、領域特定部40と、照合部50と、表示部60と、記憶部70と、を備える。
【0018】
入力部10は、キーボード及びマウス等の入力装置の適宜の組合せで構成される。画像取得部20と、画像変換部30と、領域特定部40と、照合部50とは、例えば、一以上のCPU(中央演算処理装置)と、一以上の記憶領域と、の組合せ等により構成される。記憶領域は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の計算領域と、各部が処理中に生成したデータ等を保持する、記憶装置内の記憶領域とで構成される。表示部60は、ディスプレイ等の表示装置により構成される。記憶部70は、例えば、一以上の記憶装置内の所定の記憶領域により構成される。記憶装置の例としては、フラッシュメモリ又はハードディスクがある。
【0019】
指掌紋画像処理装置100は、例えば、一以上のコンピュータにより構成される。指掌紋画像処理装置100が行う処理は、複数の装置で分散処理してもよい。この場合は、複数の装置全体で指掌紋画像処理装置100となる。また、記憶部70をサーバ等に設けてもよい。すなわち、記憶部70は、指掌紋画像処理装置100の外部にあってもよい。
【0020】
記憶部70は、指掌紋画像、各種の情報等を記憶する。指掌紋の照合では、指掌紋の様々な部位を用いることが出来るため、指掌紋の照合に用いる指掌紋画像の種類も様々である。指掌紋画像は、例えば指掌紋を電子データ化して得られる。指掌紋画像は、指掌紋読取装置によって読み取る等の適宜の方法で得られる。指掌紋画像は、手形及び犯罪現場等に残された指掌紋を電子データ化したものでもよい。指掌紋画像は、例えば、指掌紋の画像を濃淡化した画像データである。
【0021】
指掌紋の照合に用いる指掌紋画像の例は、以下のものである。
(1)右全掌(Right Full Hand)
(2)左全掌(Left Full Hand)
(3)右の上掌部(Right Upper Palm)
(4)左の上掌部(Left Upper Palm)
(5)右の下掌部(Right Lower Palm)
(6)左の下掌部(Left Lower Palm)
(7)右の側掌(Right Writers)
(8)左の側掌(Left Writers)
(9)右の各指(Right Thumb、Right Index、Right Middle、Right Ring及びRight Little)
(10)左の各指(Left Thumb、Left Index、Left Middle、Left Ring及びLeft Little)
(11)右平面4指及び右拇指(Right 4−Slap及びRight Slap Thumb)
(12)左平面4指及び左拇指(Left 4−Slap及びLeft Slap Thumb)
【0022】
入力部10は、例えば、ユーザが照合したい二つの指掌紋画像を選択するために用いる。表示部60は、例えば、ユーザが照合したい二つの指掌紋画像を選択する画面を表示する。また、表示部60は、照合部50が行った照合結果等を表示する。
【0023】
画像取得部20は、指掌紋画像を記憶部70から取得する(後述のステップS101に対応)。画像取得部20は、例えば、表示部60に指掌紋画像を選択する画面を表示する。ユーザが入力部10を操作して二つの指掌紋画像を選択すると、画像取得部20は、選択された二つの指掌紋画像を記憶部70から取得する。二つの指掌紋画像は、例えば、同一人物のものと思われる右の上掌部の画像と右の下掌部の画像である。画像取得部20は、例えば、入力部10が有する、指掌紋を読み取る指掌紋読取装置から指掌紋画像を直接取得してもよい。
【0024】
また、画像取得部20は、取得した二つの指掌紋画像(例えば右の上掌部の画像)のうちの一つを選択し、画像変換部30に渡す。また、画像取得部20は、取得した二つの指掌紋画像(例えば右の下掌部の画像)を、この二つの指掌紋画像のうちのどちらを画像変換部30に渡したかを特定する渡し情報とともに、照合部50に渡す。
【0025】
画像変換部30は、画像取得部20から指掌紋画像を取得する。画像変換部30は、画像取得部20が取得した指掌紋画像を変換画像に変換する(具体例は、後述のステップS102及びステップS103を参照)。変換画像は、複数の第一集合要素と、複数の第二集合要素と、からなる。第一集合要素及び第二集合要素は、指掌紋画像の要素が集合した集合要素である。第一集合要素は、集合要素内の要素の色情報の変化度が所定基準を満たす集合要素である。第二集合要素は、集合要素内の要素の色情報の変化度が前記所定基準を満たさない集合要素である。そして、画像変換部30は、変換画像を領域特定部40に渡す。所定基準としては、一定の閾値がある。閾値は、適宜決定できるが、閾値以上の集合要素が指掌紋の照合に適した集合要素となるような閾値とすることが望ましい。閾値以上の集合要素は、所定基準を満たす集合要素である。閾値未満の集合要素は、所定基準を満たさない集合要素である。変換画像は、例えば、集合要素を一単位(一画素)として構成される。画像変換部30は、領域特定部40に変換画像を渡す。例えば閾値は、集合要素の中の最大濃淡値(又は最大階調)が最小濃淡値(又は最小階調)の2又は3倍となるような値である。
【0026】
領域特定部40は、画像変換部30から変換画像を取得する。領域特定部40は、画像変換部30が変換した変換画像の中から第一集合要素の数が所定数以上である領域を特定する(具体例は、後述のS104乃至S116を参照)。所定数としては、一定の閾値がある。閾値は、適宜決定できるが、閾値以上の領域が指掌紋の照合に適した領域となるような閾値とすることが望ましい。領域特定部40が特定した領域を下記では特定領域という。特定領域は通常複数特定される。例えば、3つ以上の特定領域があれば指掌紋の照合の精度を上げることができる。例えば、閾値は、特定領域を構成する集合要素の80パーセント、すなわち、特定領域に含まれる第一集合要素及び第二集合要素の合計×0.8の数値とする。
【0027】
領域特定部40が特定領域を特定出来なかった場合には、領域特定部40は特定不可の情報を照合部50に渡す。領域特定部40が特定領域を特定出来た場合には、領域特定部40は特定領域の領域特定情報を生成し、照合部50に渡す。領域特定情報は、指掌紋画像の中の特定領域に対応する領域を特定できるデータである。例えば、画像変換部30は、指掌紋画像を変換する際に、変換画像のデータの中に、変換画像を構成する第一集合要素と第二集合要素とが指掌紋画像のどの領域に対応するかの情報である領域対応情報を含ませておく。領域特定部40は、特定領域に含まれる第一集合要素と第二集合要素とが指掌紋画像のどの領域に対応するかを、領域対応情報を用いて特定することにより、領域特定情報を生成できる。第一集合要素と第二集合要素とは指掌紋画像から得られるので、第一集合要素と第二集合要素とが指掌紋画像のどの領域に対応するかが分かれば、これらを包含する特定領域が指掌紋画像のどの領域に対応するか分かるからである。また、後述するように、指掌紋画像を予め定められた大きさで区画し、区画した領域を集合要素とする場合には、変換画像中の集合要素の位置からこれらを包含する特定領域が指掌紋画像のどの領域に対応するかが分かるので、特定領域が包含する第一集合要素と第二集合要素の位置情報から、領域特定情報を生成してもよい。第一集合要素と第二集合要素の位置情報は、変換画像に含まれる。
【0028】
照合部50は、画像取得部20から二つの指掌紋画像と渡し情報とを取得する。また、照合部50は、領域特定部40から領域特定情報又は特定不可の情報を取得する。
【0029】
照合部50は、領域特定情報を取得した場合には、取得した渡し情報から変換画像の元データである指掌紋画像を特定する。そして、照合部50は、領域特定情報を用いてこの指掌紋画像の中の特定領域に対応する領域を特定し、指掌紋画像から特定したこの領域の画像を取り出す。
【0030】
照合部50は、取り出した領域の画像と、二つの指掌紋画像のうちの前記渡し情報で特定していない方の指掌紋画像とを照合する。照合は、特徴点及びリレーションを用いた方法で行うことが出来る。
【0031】
照合部50は、照合の結果を生成し、表示部60に照合の結果を表示させる。なお、照合により両者が一致すれば、二つの指掌紋画像の指掌紋の持ち主は同一人物であると判定できる。照合部50は、領域特定部40から特定不可の情報を取得した場合は、照合不可の情報を照合結果として表示部60に表示させる。
【0032】
上述のように、指掌紋画像処理装置100は、指掌紋画像を、第一集合要素と第二集合要素とからなる変換画像に変換する画像変換部30と、画像変換手段が変換した変換画像の中から第一集合要素の数が所定数以上である領域を特定する領域特定部40と、を備える。そして、第一集合要素と第二集合要素とは、指掌紋画像の要素が集合した集合要素であり、第一集合要素は、集合要素内における要素の色情報の変化度が所定基準を満たす集合要素であり、第二集合要素は、集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たさない集合要素である。
【0033】
これにより、画像変換部30は、指掌紋画像を構成するある要素の集合(指掌紋画像の中の所定の領域)を、要素の色情報の変化度が大きい第一集合要素と小さい第二集合要素とに分類することができる。そして、領域特定部40は、第一集合要素を所定数以上含む領域を特定領域として特定するので、領域特定部40は、色情報についての変化度が大きい第一集合要素が多い特定領域を特定できる。このため、この特定領域に対応する指掌紋画像の領域は、指掌紋の照合に適した領域となることが分かる。第一集合要素が多いということは、色の変化が大きい集合要素が多いということであり、この領域は、指掌紋の特徴点の抽出等の指掌紋の性質を解析しやすい領域である。一方で、色の変化が小さい領域は、指掌紋の性質を解析しにくい。なお、指掌紋の照合に適した領域は照合対象領域となる。このように、指掌紋画像処理装置100は、指掌紋画像を用いて照合対象領域を適宜特定出来る。
【0034】
また、上述のように、指掌紋画像処理装置100は、他の指掌紋画像を取得するとともに、領域特定部40が特定した特定領域に対応する領域を指掌紋画像から取り出して、取り出した領域と他の指掌紋画像とを照合する照合部50をさらに備える(具体例は、上記の説明及び後述のステップS117を参照)。照合部50は、他の指掌紋画像を上記以外の適宜の方法で取得してもよいし、指掌紋画像から照合対象領域を取り出す方法も適宜の方法で出来る。
【0035】
指掌紋画像処理装置100は、照合部50をさらに備えることにより、指掌紋の照合ができることになる。また、指掌紋画像処理装置100は、指掌紋画像から取り出した照合対象領域と、他の指掌紋画像とを照合するので、指掌紋画像全体同士を照合に用いる場合に比べて、処理の負担が少なくなる。
【0036】
また、指掌紋画像処理装置100が行う処理は、指掌紋画像処理方法である。指掌紋画像処理方法によっても上記で説明した効果を得ることが出来る。
【0037】
なお、色情報とは、指掌紋画像の要素が持つ色の情報であり、色情報についての変化度とは、この色の変化度である。要素とは、指掌紋画像を構成する一以上の画素である。色情報の例としては、濃淡値がある。濃淡値は、指掌紋画像の各要素の濃淡を識別できる値であり、例えば、大きければその要素の色が濃く、小さければその要素の色が淡くなる。要素が複数の画素からなる場合、濃淡値は、例えば複数の画素の平均値とする。色情報の変化度の例としては、濃淡差がある。濃淡差とは、所定の集合要素内にある要素の濃淡値の差であり、例えば、集合要素内の最大濃淡値と最小濃淡値との差である。この差が大きいほど、集合要素内の濃淡の差が大きくなる。濃淡差が大きければ、指掌紋の性質を見いだしやすいため、指掌紋画像処理装置100は、より指掌紋の照合がしやすい照合対象領域を特定出来る。濃淡値の変わらない部分は、画像の色状態に変化がなく、指掌紋の特徴点等を見いだしにくい。
【0038】
また、濃淡値の例としては、階調がある。なお、画像がカラーの場合には、例えば、画素の有する各色(赤、青、及び緑)の階調の平均値を階調とする。濃淡差の例としては、コントラストがある。コントラストは、集合要素内の最大階調と最小階調の差である。要素が複数の画素からなる場合、階調は、例えば複数の画素の平均値とする。コントラストが大きいほど、集合要素内の階調の差が大きくなる。コントラストが大きければ、指掌紋の性質を見いだしやすいため、指掌紋画像処理装置100は、より指掌紋の照合がしやすい照合対象領域を特定出来る。コントラストが小さい部分は、画像の色状態に変化がなく、指掌紋の特徴点等を見いだしにくい。なお、集合要素内における要素の階調のコントラストが所定基準を満たすとは、コントラスト閾値が所定基準を満たすか、コントラスト感度が所定基準を満たす場合も含む。
【0039】
ここで、指掌紋画像処理装置100が行う詳細な処理の一例について、簡単に説明する。まず、指掌紋画像処理装置100は、1024×1024個の画素からなる指掌紋画像(指掌紋の画像を濃淡化した画像)の画素毎の階調(例えば256階調)を調べる。指掌紋画像処理装置100は、階調を調べたら、16×16個の画素からなる集合要素毎に、この集合要素内の階調のコントラストが一定の閾値以上か判定し、一定の閾値以上であれば「1」(第一集合要素)、前記閾値未満であれば「0」(第二集合要素)として、この集合要素を1単位(画素)とする64×64個の集合要素(画素)からなる変換画像を生成する。次に、指掌紋画像処理装置100は、変換画像内にポイントを設定して、このポイントを含む16×16の領域を変換画像の中から選択する。選択した選択領域が「1」を多く含めば、この領域を特定領域として特定する。特定領域は、照合対象領域に対応するので、指掌紋画像処理装置100は、指掌紋画像から照合対象領域を取り出して、指掌紋の照合に用いることが出来る。選択領域が、「1」を多く含まなければ、指掌紋画像処理装置100は、この領域の周辺を所定回数選択し直し、「1」を多く含む領域を探す。また、指掌紋画像処理装置100は、特定領域を特定したら、又は、所定回数選択し直しても特定領域を特定できなければ、変換画像内に他のポイントを設定して上記と同様の方法で「1」を多く含む領域をさらに探す。このようにして、指掌紋画像処理装置100は、特定領域を三箇所以上特定する。
【0040】
指掌紋画像処理装置100が行う詳細な処理の一例について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る指掌紋画像処理装置が行う画像処理フローを示す図である。図3(a)は、右の上掌部の画像を示す図である。図3(b)は、右の下掌部の画像を示す図である。
【0041】
なお、指掌紋画像は、各画素についての位置情報のデータ及び色情報(階調)のデータと、この指掌紋画像の指掌紋の持ち主を特定する持ち主特定情報と、この指掌紋画像の種類を特定する種類特定情報とを含むデータである。ここでは、持ち主特定情報は持ち主の氏名のデータであり、種類特定情報は指掌紋画像の種類のデータである。なお、持ち主特定情報と種類特定情報とのうちの少なくとも一方は、無くてもよく、他の情報に置き換えてもよい。また、これらの情報は下記の処理の間に適宜削除してもよい。指掌紋画像は、適宜の方法で記憶部70に予め記録されている。なお、持ち主特定情報は正しくない場合があり、この持ち主特定情報が本当に正しい情報であるかを指掌紋画像の照合を通じて検証する。
【0042】
指掌紋画像処理装置100が行う画像処理は、例えば、ユーザが入力部10を用いて行った所定操作を契機としてスタートする。例えば、ユーザの入力部10の操作により、画像取得部20は、記憶部70から、指掌紋画像を複数取得する。画像取得部20は、指掌紋画像に含まれる持ち主特定情報が特定する指掌紋の持ち主(持ち主の氏名)と種類特定情報が特定する指掌紋画像の種類とを、表示部60に一覧表示して、指掌紋画像の選択をユーザに促す。ユーザが入力部10を操作して、二つの指掌紋画像を選択すると画像処理がスタートする。なお、二つの指掌紋画像が照合できない、例えば、重なる部分を有さないと思われる二つの指掌紋画像をユーザが選択した場合には、画像取得部20は、照合できない旨の情報を表示部60に表示させる。これは、種類特定情報から判別できる。例えば、画像取得部20は、予め記憶部70に記録してある照合可能な指掌紋画像の組合せを記憶部70から取得して、二つの種類特定情報が前記の組み合わせの中にあるか判断して、あれば画像処理をスタートする。なければ、画像取得部20は、照合できない旨の情報を表示部60に表示させて画像処理を終了する。
【0043】
画像処理のスタート後、画像取得部20は、二つの指掌紋画像を記憶部70から取得する(ステップS101)。上記では、二つの指掌紋画像が選択された場合に、画像取得部20が指掌紋画像を取得したとして扱うが、画像取得部20が、指掌紋画像を取得する方法は適宜の方法を採用できる。二つの指掌紋画像は、例えば、同一人物のものと思われる(持ち主特定情報が特定する持ち主が同じ)、右の上掌部の画像と右の下掌部の画像とである(図3(a)及び(b)の四角で囲まれた部分を参照)。以下では、二つの指掌紋画像が、右の上掌部の画像と右の下掌部の画像とであるとして画像処理フローを説明する。
【0044】
画像取得部20は、取得した二つの指掌紋画像のうちの一つを選択する。この指掌紋画像の選択の方法は、画像取得部20がランダムに選択する方法でもよいし、画像取得部20がどちらの指掌紋画像を変換画像に変換するか選択させる画面を表示部60に表示し、ユーザが入力部10を用いて選択した方の指掌紋画像を画像取得部20が選択する方法でもよい。
【0045】
なお、画像取得部20は、選択した指掌紋画像の中の、他の指掌紋画像(取得した指掌紋画像のうちの選択していない方の指掌紋画像)と重なる部分を特定する重複部分特定情報を、選択した指掌紋画像に含ませる。この重複部分特定情報は不要の場合もある。
【0046】
重複部分特定情報は、画像取得部20によって以下のように生成される。なお、記憶部70は、二つの指掌紋画像の中の、一方の指掌紋画像の種類特定情報とこの一方の指掌紋画像のどの部分が他方の指掌紋画像に重なるかを特定する第一の重なり特定情報とを含む第一情報と、前記他方の指掌紋画像の種類特定情報とこの他方の指掌紋画像のどの部分が前記一方の指掌紋画像に重なるかを特定する第二の重なり特定情報とを含む第二情報と、がそれぞれ対応付けられた対応情報一覧を記憶している。
【0047】
重なり特定情報は、指掌紋画像の組合せによりある程度予想できる。このため、予め、指掌紋画像の組合せと重なる部分とを上記第一情報及び第二情報として、記憶部70に記録できる。なお、個人差や指掌紋画像の取得の方法等によって、指掌紋画像の指掌紋の位置は多少ずれるため、上記の第一乃至第二の重なり特定情報で特定する部分の大きさは、ある程度大きくしたがよい。
【0048】
画像取得部20は、取得した二つの指掌紋画像がそれぞれ含む二つの種類特定情報をキーに互いに対応付けられた第一情報と第二情報とを記憶部70から取得する。画像取得部20は、取得した二つの指掌紋画像のうちの前記で選択した指掌紋画像に含まれる種類特定情報をキーに前記で取得した第一情報又は第二情報のうちの当該種類特定情報を含む方に含まれる第一の重なり特定情報又は第二の重なり特定情報を抽出する。画像取得部20は、抽出した第一の重なり特定情報又は第二の重なり特定情報を重複部分特定情報とすることにより、重複部分特定情報を生成することになる。
【0049】
例えば、前記の一方の指掌紋画像が右の上掌部の画像で、前記の他方の指掌紋画像が右の下掌部の画像である場合、第一情報が含む、種類特定情報は右の上掌部であり、第一の重なり特定情報は指掌紋画像の中の下1/2部分を特定する情報(図3(a)の四角の中の点線で分けられた下部分参照)になる。そして、第二情報が含む、種類特定情報は右の下掌部であり、第二の重なり特定情報は指掌紋画像の中の上1/2部分を特定する情報(図3(b)の四角の中の点線で分けられた上部分参照)になる。
【0050】
画像取得部20は、二つの指掌紋画像に含まれる種類特定情報である右の上掌部及び右の下掌部をキーに記憶部70から上記の第一情報及び第二情報を取得する。そして、選択した指掌紋画像が右の上掌部の画像である場合、画像取得部20は、この指掌紋画像が含む種類特定情報である右の上掌部をキーに、第一の重なり情報又は第二の重なり情報を抽出する。ここでは、右の上掌部をキーにしているので、右の上掌部を含む前記第一情報の中から、この第一情報が含む第一の重なり特定情報である指掌紋画像の中の下1/2部分を特定する情報を抽出する。画像取得部20は、抽出したこの情報を重複部分特定情報とすることにより、重複部分特定情報を生成し、生成した重複部分特定情報を上記で選択した指掌紋画像に含ませる。
【0051】
画像取得部20は、選択した指掌紋画像を画像変換部30に渡す。画像変換部30は、画像取得部20から指掌紋画像を取得する。
【0052】
画像変換部30は、取得した指掌紋画像を用いて、指掌紋画像の画素の階調を検知する(ステップS102)。
【0053】
指掌紋画像は、1024×1024個の画素により構成される。指掌紋画像は、この大きさでなくてもよい。画像変換部30は、各画素の色(ここでは明暗)を用いて、階調(例えば256階調)を画素毎に検知する。画像変換部30は、各画素の階調情報(画像階調情報)を生成する。画像階調情報は、各画素についての位置情報のデータ及び階調を表すデータと、指掌紋画像に含まれていた持ち主特定情報及び種類特定情報と、重複部分特定情報と、を含むデータである。持ち主特定情報と種類特定情報と重複部分特定情報とのうちの少なくとも一つは不要の場合もある。図4は、指掌紋画像の一部の画素の様子を示す図である。図4のように、画素Aは、色(ここでは、明暗)を持っている。
【0054】
画像変換部30は、検知した階調(画像階調情報)をもとに、変換画像を生成する(ステップS103)。具体的には、画像変換部30は、指掌紋画像(ここでは、画像階調情報)を16×16個の画素の集合毎に区画し、区画した集合である集合要素毎にコントラストを検知する。この集合要素は、16×16個の他、12×12個、又は、8×8個の画素等、適宜の大きさにできる。図5は、1024×1024個の画素Aの一部(左上の部分)を16×16個の集合要素Bで区画した例を示す。そして、画像変換部30は、閾値以上の集合要素を「1」(第一集合要素)とし、閾値未満の領域を「0」(第二集合要素)と設定する。
【0055】
そして、画像変換部30は、16×16個の画素(すなわち集合要素)を一単位(1画素)とし、複数の第一集合要素及び複数の第二集合要素からなる変換画像を生成する。図6は変換画像の一部の一例を示す図である。図6のように、変換画像は、「1」である第一集合要素Cと「0」である第二集合要素Dとからなる。「1」は、コントラストが大きい集合要素となる。また「0」は、コントラストが小さい集合要素となる。なお、Eは後述の選択領域を示す。
【0056】
このようにして、画像変換部30は、1024×1024個の画素の指掌紋画像のデータを、予め定められた大きさで区画した第一集合要素と第二集合要素とからなる64×64個の画素(集合要素)からなる変換画像のデータに変換する。このように、画像変換部30が集合要素を一単位とする変換画像を生成するので、変換画像のデータが小さくなり、特定領域の特定における処理の負担を軽減できる。この変換画像のデータは、例えば、各集合要素の位置情報のデータ及び各集合要素が「1」(第一集合要素)か「0」(第二集合要素)であるかを特定するデータと、指掌紋画像に含まれていた持ち主特定情報及び種類特定情報と、重複部分特定情報と、を含むデータである。持ち主特定情報と種類特定情報と重複部分特定情報とのうちの少なくとも一つは不要の場合もある。
【0057】
なお、画像変換部30は、指掌紋画像を変換画像に変換する際に、所定部分(不要な部分)、例えば、指の部分を削除して変換情報を生成してもよい。例えば、指掌紋画像のうちの図3(a)の四角内の点線より上の部分を削除する。この場合には、画像変換部30は、第一集合要素と第二集合要素とが指掌紋画像のどの領域に対応するか特定できる情報である領域対応情報を変換画像のデータに含ませておく。この領域対応情報は、例えば、指掌紋画像又は階調情報に含まれる画素の位置情報のデータから生成出来る。
【0058】
所定部分の特定は、重複部分特定情報を用いて行う。例えば、重複部分特定情報が特定する部分以外の部分を所定部分とすることが出来る。例えば、今回のように、右の上掌部の画像と右の下掌部の画像とを比較する場合かつ右の上掌部の画像を変換する場合には、例えば、画像の上から1/2の部分を所定部分として特定する。右の上掌部の画像の上部は右の下掌部の画像と重ならない可能性が高いので指掌紋の照合に使えないからである。このように、照合する指掌紋画像の種類に応じて削除する所定部分を特定する。なお、この所定部分の削除は、画像変換部30以外の部に行わせてもよい。つまり、この所定部分の削除を、画像取得部20と、画像変換部30の間に設けた図示しない不要部分削除部により行ってもよい。
【0059】
また、指部分を指掌紋の照合に使わない場合等には、色情報(ここでは階調)又は色情報の変化度(ここではコントラスト)の値から指部分に対応する部分を特定してもよい。色情報(ここでは階調)又は色情報の変化度(ここではコントラスト)に変化のない(又は少ない)部分と、色情報(ここでは階調)又は色情報の変化度(ここではコントラスト)に変化のある(又は大きい)部分とが帯状に交互に並んでいる場合、これらの部分は、指の部分に対応することが分かる。色情報(ここでは階調)又は色情報の変化度(ここではコントラスト)に変化のない(又は少ない)部分は、そこに物体が無く、指の間の領域と考えられ、色情報(ここでは階調)又は色情報の変化度(ここではコントラスト)に変化のある(又は大きい)部分は、そこに何か物体があるので指の領域と考えられるからである。
【0060】
上記二つの例のように、画像変換部30は、指掌紋画像を変換画像に変換する際に、所定の条件に応じて所定部分(不要な部分)を削除した変換情報を生成することにより、変換画像のデータを小さくでき、処理の負担を軽減できる。
【0061】
画像変換部30は、変換画像を領域特定部40に渡す。領域特定部40は、変換画像を画像変換部30から取得する。
【0062】
領域特定部40は、取得した変換画像について、初期値として、N=1、X=1を設定する(ステップS104)。さらに、領域特定部40は、取得した変換画像について、初期値として、M=1を設定する(ステップS105)。
【0063】
領域特定部40は、Nが所定値であるか判定する(ステップS106)。Nが所定値であれば(ステップS106;YES)、特定領域を探すための後述のポイントが無いことになり、かつ、必要な数の特定領域を特定出来なかったことになり、ステップS118に進む。このとき、領域特定部40は、特定不可の情報を生成し、照合部50に渡す。ここでは、このポイントが3つなので、Nが4であれば、ステップS106で「YES」になる。Nが所定値未満であれば(ステップS106;NO)、前記のポイントがまだ残っていることになるので、ステップS107に進む。
【0064】
領域特定部40は、変換画像内にN番目のポイントを設定する(ステップS107)。領域特定部40は、例えば、変換画像に含まれる重複部分特定情報をもとにこのポイントを設定する。具体的には、重複部分特定情報が特定する部分内の所定位置にポイントを設定する。さらに具体的には、記憶部70は、予め、種類特定情報と、重複部分特定情報と、ポイントの位置を特定するポイント特定情報とを対応付けて記録しておく。領域特定部40は、変換画像に含まれる種類特定情報と重複部分特定情報とをキーにしてポイント特定情報を取得し、このポイント特定情報をもとにポイントを設定する。図7のようにN=1番目のポイントは、91aで、2番目のポイントは、91bで、3番目のポイントは、91cである。このように、領域特定部40がポイントを設定することにより、領域特定部40は、効率よく特定領域を特定できる。
【0065】
ここで、図7は、変換画像内に設定する複数のポイントの位置と、このポイントを含んで選択した複数の選択領域と、を説明する説明図である。変換画像90は、64×64個の画素(上記の「1」及び「0」)からなる。また、ポイント91a、91b、及び91cは、1画素毎に設定している。さらに、ポイント91a、91b、及び91cをそれぞれ含んだ選択領域92a、92b、及び92cは、それぞれ、ポイント91a、91b、及び91cを略中心にして16×16個の画素からなる。選択領域は、16×16個の他、12×12個、又は、8×8個の画素等、適宜の大きさにできる。
【0066】
複数のポイントは、変換画像内に均一に散在していてもよいが、図7のように、変換画像90の中の所定の範囲内に設定されることが望ましい。ここでの例のように、右の上掌部の画像と、右の下掌部の画像と、を照合する場合、すなわち、異なる種類かつ一部が重なる指掌紋画像を比較する場合には、前記の重なる場所に存在させることにより、照合に使用できる特定領域を効率良く特定できる。ここでは、右の上掌部の画像の下部分と、右の下掌部の画像の上部分とが重なる。また、変換画像は、右の上掌部の画像を変換した情報である。このため、複数のポイント91a、91b、及び91cは、図7のように、下部に偏在している。また、複数のポイントは、特定領域を特定しやすい領域を予め経験的に把握しているポイントに偏在させてもよい。この場合、記憶部70は、予め、種類特定情報と、ポイントの位置を特定するポイント特定情報とを対応付けて記録しておく。領域特定部40は、変換画像に含まれる種類特定情報をキーにしてポイント特定情報を取得し、このポイント特定情報をもとにポイントを設定する。なお、ポイントが散在している場合、変換画像内において、まんべんなく特定領域を探すことが出来る。ポイントは、例えば、一画素を単位とする。
【0067】
領域特定部40は、変換画像内のN番目のポイントを含む領域を選択する(ステップS108)。例えば、図7のようにN=1番目なら、ポイント91aを含む領域92aを選択する。2番目なら、ポイント91bを含む領域92bを選択する。3番目なら、ポイント91cを含む領域92cを選択する。このように、所定のポイントを含むように、変換画像内の所定領域を選択することにより、無駄な部分を選択しないため、効率よく特定領域を特定できる。そして、変換画像の中の互いに離間した複数の所定位置それぞれに設定される複数のポイントのうちの一つを含む領域を選択することにより、領域特定部40は、効率よく特定領域を特定できる。ポイントは、第一集合要素及び第二集合要素の位置情報から特定できる。この選択した領域が選択領域となる。
【0068】
領域特定部40は、選択した領域である選択領域が特定領域であるか判定する(ステップS109)。すなわち、第一集合要素の数が選択領域の中でどれだけ以上あるかを判定する。例えば、選択領域を構成する第一集合要素の数が全体の80%以上あるかを判定する。図6では、選択領域E内の「1」が209個あり、選択領域の画素(256画素)の80%を超えるので、この選択領域が特定領域となる。
【0069】
領域特定部40は、選択領域が特定領域であると判定した場合には、ステップS110に進み、この選択領域をX番目の特定領域とする(ステップS110)。領域特定部40は、このときに、特定領域が含む第一集合要素及び第二集合要素の位置情報(例えば変換画像のデータに含まれる。)から、特定領域が変換画像の元データである指掌紋画像のどの領域に対応しているかを特定できる領域特定情報を生成し、これをX番目の領域特定情報として保持する。ここでは、集合領域は、指掌紋画像を予め定められた大きさで規則的に区画されているため、集合要素と指掌紋画像との対応関係は明確であり、第一集合要素及び第二集合要素の位置情報のみでもこれらが指掌紋画像のどの部分に対応しているか特定できる。このため、領域特定部40は、領域特定情報を生成できる。
【0070】
なお、上述のように、画像変換部30等が、指掌紋画像を変換画像に変換する際に、所定部分を削除して変換画像を生成した場合、領域特定部40は、変換画像に含まれる上記の領域対応情報を用いて領域特定情報を生成する。この領域対応情報は、第一集合要素と第二集合要素とが指掌紋画像のどの領域に対応するか特定できる情報であるため、この情報により、特定領域が含む第一集合要素と第二集合要素とが指掌紋画像のどの領域に対応するか特定できる。このため、領域特定部40は、第一集合要素と第二集合要素とを含む特定領域が指掌紋画像のどの領域に対応するかを、領域対応情報を用いて特定できる。
【0071】
領域特定部40は、生成した領域特定情報をX番目の領域特定情報として保持する。このようにして、領域特定部40は、変換画像の中から特定領域を特定する。領域特定部40は、領域特定情報を照合部50に渡すか、指掌紋画像処理装置100が処理を終了するまで、領域特定情報を順次蓄積して保持する。
【0072】
領域特定部40は、X番目の領域特定情報を保持すると、Xが所定値であるか判断する(ステップS111)。Xが所定値である場合(ステップS111;YES)には、ステップS117に進む。この際に、領域特定部40は、X個の領域特定情報を照合部50に渡す。Xが所定値にある場合には、指掌紋の照合に用いるために必要な数の指掌紋画像の領域を特定できることになる。今回は、指掌紋画像の中の3箇所の領域を用いて指掌紋の照合を行うので、Xは3になる。Xが所定値未満である場合(ステップS111;NO)には、ステップS112に進む。Xが所定値未満の場合には、指掌紋の照合に用いるために必要な数の指掌紋画像の領域を特定できていない。
【0073】
領域特定部40は、ステップS112でX=X+1としてステップS113に進む。つまり、領域特定部40は、X番目の特定領域を特定したのち、X+1番目の特定領域をさらに探すことになる。また、領域特定部40は、ステップS113で、N=N+1として、S105に戻る。すなわち、特定領域を特定した後に、上記のポイントのうちのN+1番目のポイントに選択領域が移ることになる。
【0074】
領域特定部40は、ステップS109でNOだった場合に、Mが所定値であるか判断する(ステップS114)。Mが所定値である場合(ステップS114;YES)、領域特定部40は、ステップS107で設定したポイントの周囲をすべて選択したので、ステップS113に進む。この所定値は、ここでは、9である。領域特定部40は、ステップS113でN=N+1として、S105に戻るので、上記のポイントのうちのN+1番目のポイントに選択領域が移ることになる。
【0075】
Mが所定値未満である場合(ステップS114;NO)、領域特定部40は、ステップS107で設定したポイントの周囲をすべて選択していないので、領域特定部40はステップS115に進む。領域特定部40は、ステップS115でN番目のポイントについて、Mに対応する位置の領域を選択する(ステップS115)。そして、領域特定部40は、ステップS116に進み、M=M+1とし(ステップS116)、ステップS109に戻る。領域特定部40は、ステップS109でNOであれば、ステップS114に進む。このようにして、領域特定部40は、特定領域を特定できるまで、又は、ステップS107で設定したポイントの周囲をすべて選択するまで、ステップS107で設定したポイントの周囲の領域を選択する。このポイントの周囲の領域とは、この領域の中心がこのポイントから一定の距離内にある領域をいう。このため、このポイントの周囲の領域は、このポイントを含む領域であっても、このポイントを含まない領域であってもよい。
【0076】
図8(a)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の1番目の選択領域の一例を示す図である。図8(b)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の2番目の選択領域の一例を示す図である。図8(c)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の3番目の選択領域の一例を示す図である。図8(d)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の4番目の選択領域の一例を示す図である。図8(e)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の5番目の選択領域の一例を示す図である。図8(f)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の6番目の選択領域の一例を示す図である。図8(g)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の7番目の選択領域の一例を示す図である。図8(h)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の8番目の選択領域の一例を示す図である。
【0077】
図8(a)乃至(h)は、N=1番目に設定したポイントについての選択領域を示している。すなわち、点線で囲まれた領域95は、図7の領域92aに対応する。
【0078】
図8(a)のように、M=1のとき、選択領域95aは、領域95から右に4画素ずれている。図8(b)のように、M=2のとき、選択領域95bは、選択領域95aから上に4画素ずれている。すなわち、選択領域95bは、領域95から右に4画素、上に4画素ずれている。図8(c)のように、M=3のとき、選択領域95cは、選択領域95bから左に4画素ずれている。すなわち、選択領域95cは、領域95から上に4画素ずれている。そして、領域特定部40は、図8(d)乃至(h)のように、画素を4画素ずつ縦方向又は横方向にずらした領域を選択していく。領域特定部40は、ステップS107で設定したポイントを基準として、Mに対応する領域を選択していく。なお、このMに対応する領域は予め設定されている。
【0079】
領域特定部40は、このようにして、ステップS107で設定したポイントの周囲を回るように選択し直していく。すなわち、領域特定部40は、特定領域を特定するまで、ステップS107で設定したポイントの周囲の領域を所定距離移動させながら、選択し直していく。なお、選択領域の移動の距離は、今回、選択領域が大きいので、4画素としたが、もっと大きくしてもよいし、小さくしてもよい。大きくする場合には、効率よく特定領域を特定出来る。小さくする場合には、選択する領域を大きくすることが出来る。
【0080】
但し、この移動の距離が大きすぎると、所定の選択領域が、他のポイントの周囲を選択した場合の選択領域と一部又は全部が重なる場合がある。例えばこの移動の距離が大きすぎると、図7で、92aから右にずれた選択領域と、92bから左にずれた選択領域との大部分が重複する場合がある。このような場合には、大部分が重複する二つの特定領域が特定されてしまう可能性があるので、前記の移動の距離はある程度小さい方がよい。なお、今回でも選択領域の重なり起こるが、重なる部分が、選択領域の中の小さい部分なので、重なった選択領域同士を特定領域と特定しても、指掌紋の照合には問題ない。
【0081】
一方、前記の移動の距離が小さすぎると、効率よく特定領域を特定できない可能性がある。一つ前に選択した領域と、その後に選択した領域との重なる部分が大きくなるからである。一つ前に選択した領域は、特定領域ではないため、第二集合要素を多く含むことになり、重なる部分が大きいと、その後に選択した領域も第二集合要素を多く含んでしまう可能性がある。
【0082】
図8では、領域特定部40は、前に選択した領域と後に選択した領域とが重なるように領域を選択している。この場合、領域特定部40は、特定領域を細かく探せることになる。
【0083】
図9(a)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の1番目の選択領域の一例を示す図である。図9(b)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の2番目の選択領域の一例を示す図である。
【0084】
図9のように、領域特定部40は、前に選択した領域と後に選択した領域とが重ならないように領域を選択することも出来る。この場合、特定領域を効率よく探せる。一つ前に選択した領域は、特定領域ではないため、第二集合要素を多く含むことになり、重なる部分があると、その後に選択した領域も第二集合要素を多く含んでしまう可能性があり、この場合には、重なる領域の無い領域を選択する方がよい場合があるからである。
【0085】
なお、図9において、96はステップS107で設定したポイントを含むように選択した領域を示す。図9(a)の96aは、M=1のときに選択した選択領域である。図9(b)の96bは、M=2のときに選択した選択領域である。図9(b)の矢印は、M=3以降に選択した領域の中心の移動を示すものである。
【0086】
図8及び図9では、領域特定部40は、ポイントからみて上下左右及びその間の斜め方向にある8箇所の領域を選択しているが、領域特定部40は、上下左右のみ、又は、その間の斜め方向のみの領域を特定してもよい。すなわち、領域特定部40がポイントの周囲の領域を選択する数は、8以下であってもよいし、8以上であってもよい。
【0087】
また、ここでは、領域特定部40は、第三領域が特定出来ない場合にのみ、ポイントの周囲を区画し直し続けているが、第三領域が見つかっても領域をMが所定の値に達するまで、選択し直してもよい。この場合には、図9のように、領域特定部40は、前に選択した領域と後に選択した領域とが重ならないように又は重なっても所定範囲内の領域で重なるように、領域を選択することが望ましい。ある特定領域の一部が他の特定領域と大部分重なると、大部分が重なる複数の照合対象領域が指掌紋の照合に使用されてしまうからである。これでは、指掌紋の照合の精度が悪くなってしまう。
【0088】
図8及び図9のように、領域特定部40は、ステップS107で設定したポイントの周囲の領域を選択する際の前半、つまり、変換画像の一部の領域を選択し直すときの前半に、ポイントから指掌紋画像の内側の位置にある領域からを選択している(図7の矢印も参照)。指掌紋画像の外側は、指掌紋が無い領域であるか、指掌紋の照合がしにくい部分である可能性があり、外側から選択していくと、特定領域の特定の効率が悪くなる。ここで、指掌紋の内側とは、例えば、ポイントから一番目及び二番目に近い指掌紋画像の辺に向かわない方向をいう。このように、領域特定部40が、ポイントから指掌紋画像の内側の位置にある領域を選択することにより、特定領域の特定の効率がよくなる。領域特定部40は、変換画像中のポイントの位置から、選択する領域の方向を決定できる。
【0089】
図8及び図9のように、領域特定部40は、ステップS107で設定したポイントの周囲の領域を選択し直す際において、つまり、変換画像の一部の領域を選択し直すときに、ポイントから指掌紋画像の内側の位置にある領域を選択し、そこから、最初に前記指掌紋画像の内側に向かう方向でポイントの周囲を一周するように領域を選択し直している。このように、領域特定部40が、最初に前記指掌紋画像の内側に向かう方向でポイントの周囲を一周するように領域を選択し直すことにより、特定領域の特定の効率がよくなる。
【0090】
図10は、領域特定部がポイントの周囲を一周するように領域を選択する場合の回る方向を示す図である。図10の矢印は、この回る方向を示す。図10の97a及び97cは、ポイント97b及び97dを含むようにステップS107で選択した選択領域を示す。
【0091】
図10のように、領域特定部40は、変換画像97の左側にポイント97bがある場合には、ポイント97bに対して変換画像97の内側(ここでは、右側)を選択し、その後、まず、直前に選択した選択領域に対して変換画像97の内側に向かう方向で、このポイントの周囲を一周するように領域を選択し直している(すなわち、左回りに選択し直している。矢印参照)。図10のように、領域特定部40は、変換画像97の右側にポイント97dがある場合には、ポイント97dに対して変換画像97の内側(ここでは、左側)を選択し、その後、まず、直前に選択した選択領域に対して変換画像97の内側に向かう方向で、このポイントの周囲を一周するように領域を選択し直している(すなわち、右回りに選択し直している。矢印参照)。このように、領域特定部40が、最初に前記指掌紋画像の内側に向かう方向でポイントの周囲を一周するように領域を選択し直すことにより、特定領域の特定の効率がよくなる。
【0092】
上述のように、領域特定部40は、変換画像の一部の領域を選択し、選択した領域である選択領域が第一集合要素を所定数以上含むか判断し、所定数以上含む場合にのみ、選択領域を第一集合要素の数が所定数以上である領域と特定し、第一集合要素の数が所定数以上である領域を一定数特定するまで、変換画像の一部の領域を選択し直す。これにより、指掌紋の照合対象領域を所定数特定出来るので指掌紋の照合の精度を上げることができる。また、選択のし直しにより、効率よく特定領域を特定出来る。
【0093】
ステップS117において、照合部50は、領域特定部40からX個(3つ)の領域特定情報を取得すると、これを保持し、画像取得部20から画像取得部20が保持する二つの指掌紋画像と渡し情報とを取得する。渡し情報から変換画像の元データである指掌紋画像を特定し、3つの領域特定情報を用いて特定領域に対応する領域を指掌紋画像から3つ取り出す。
【0094】
照合部50は、取り出した3つの領域(照合対象領域)と、二つの指掌紋画像のうちの前記渡し情報で特定していない方の指掌紋画像とを照合し、照合の成功又は照合の失敗の情報である照合結果を生成する(S117)。照合の仕方は、特徴点を用いた方法等、公知の方法で行うことが出来る。具体的には、3つの照合対象領域を用いて、前記特定していない指掌紋画像の中から、特徴点等が一致する部分を特定する。この一致する部分を1つでも特定できれば、照合は成功になる。取り出した3つ領域のうち1つも特定出来なければ、照合は失敗になる。照合により、3つの照合対象領域のいずれか1つと、指掌紋画像が一致すれば、照合が成功し、成功であれば、二つの指掌紋画像の指掌紋の持ち主は同一人物であると判定できる。すなわち、持ち主特定情報が正しいことになる。
【0095】
照合部50は、照合結果を生成するか、S106でYESだった場合の特定不可の情報を領域特定部40から取得すると、表示部60に照合の成功、照合の失敗又は照合不可の照合結果を表示させ、処理を終了する。
【0096】
図11は、本発明の一実施形態に係る指掌紋画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。入力部10は、キーボード及びマウス等の入力装置5で構成される。画像取得部20と、画像変換部30と、領域特定部40と、照合部50とは、CPU1と、RAM2の計算領域と、CPU1が処理中に生成したデータ等を保持する記憶装置4内の記憶領域とにより構成される。記憶部70は、記憶装置4の所定の記憶領域により構成される。表示部60は、表示装置3で構成される。また、指掌紋画像処理プログラム6は、指掌紋画像処理プログラム6を記憶したCD−ROM等の持ち運び可能な情報記憶媒体7とCD−ROMドライブ等の読取装置8とを用いてインストールされるか、ネットワークを通じてダウンロードされる。また、指掌紋画像処理プログラム6は、記憶装置4を構成するROM(Read Only Memory)等に予め記憶されていても良い。このようにして、指掌紋処理画像プログラム6は、記憶装置4に記録される。指掌紋処理画像プログラム6は、RAM2に展開される。指掌紋画像処理プログラム6が記録された、RAM2、ROM、記憶装置4、又は、持ち運び可能な情報記憶媒体7等の記憶媒体は指掌紋画像処理プログラム製品となる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態に係る指掌紋画像処理装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る指掌紋画像処理装置が行う画像処理フローを示す図である。
【図3】(a)は、右の上掌部の画像を示す図である。(b)は、右の下掌部の画像を示す図である。
【図4】指掌紋画像の一部の画素の様子を示す図である。
【図5】1024×1024個の画素Aの一部(左上の部分)を16×16個の集合要素Bで区画した例を示す。
【図6】変換画像の一部の一例を示す図である。
【図7】変換画像内に設定する複数のポイントの位置と、このポイントを含んで選択した複数の選択領域と、を説明する説明図である。
【図8】(a)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の1番目の選択領域の一例を示す図である。(b)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の2番目の選択領域の一例を示す図である。(c)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の3番目の選択領域の一例を示す図である。(d)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の4番目の選択領域の一例を示す図である。(e)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の5番目の選択領域の一例を示す図である。(f)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の6番目の選択領域の一例を示す図である。(g)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の7番目の選択領域の一例を示す図である。(h)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の8番目の選択領域の一例を示す図である。
【図9】(a)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の1番目の選択領域の一例を示す図である。(b)は、設定したポイントの周囲を選択する場合の2番目の選択領域の一例を示す図である。
【図10】領域特定部がポイントの周囲を一周するように領域を選択する場合の回る方向を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る指掌紋画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 CPU
2 RAM
3 表示装置
4 記憶装置
5 入力装置
6 指掌紋画像処理プログラム
7 持ち運び可能な情報記憶媒体
8 読取装置
10 入力部
20 画像取得部
30 画像変換部
40 領域特定部
50 照合部
60 表示部
70 記憶部
90 変換画像
91a乃至91c ポイント
92a乃至91c 選択領域
95 領域
95a乃至95h 選択領域
96 領域
96a乃至96b 選択領域
97 変換画像
97a 選択領域
97b ポイント
97c 選択領域
97d ポイント
100 指掌紋画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指掌紋の画像である指掌紋画像を処理する指掌紋画像処理装置であって、
前記指掌紋画像を、第一集合要素と第二集合要素とからなる変換画像に変換する画像変換手段と、
前記画像変換手段が変換した前記変換画像の中から前記第一集合要素の数が所定数以上である領域を特定する領域特定手段と、を備え、
前記第一集合要素と前記第二集合要素とは、前記指掌紋画像の要素が集合した集合要素であり、
前記第一集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たす集合要素であり、
前記第二集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たさない集合要素であることを特徴とする指掌紋画像処理装置。
【請求項2】
前記色情報は、濃淡値であり、
前記変化度は、前記要素の濃淡値の差である濃淡差であることを特徴とする請求項1記載の指掌紋画像処理装置。
【請求項3】
前記濃淡値は、階調であり、
前記濃淡差は、コントラストであることを特徴とする請求項2記載の指掌紋画像処理装置。
【請求項4】
前記領域特定手段は、前記変換画像の一部の領域を選択し、選択した前記領域である選択領域が前記第一集合要素を所定数以上含むか判断し、所定数以上含む場合にのみ、前記選択領域を前記第一集合要素の数が所定数以上である領域と特定し、前記第一集合要素の数が所定数以上である領域を一定数特定するまで、前記変換画像の一部の領域を選択し直すことを特徴する請求項1記載の指掌紋画像処理装置。
【請求項5】
前記領域特定手段は、前記変換画像の中の互いに離間した複数の所定位置それぞれに設定される複数のポイントのうちの一つを含む領域を選択することにより、前記変換画像の一部の領域を選択することを特徴とする請求項4記載の指掌紋画像処理装置。
【請求項6】
前記領域特定手段は、前記変換画像の一部の領域を選択し直すときに、前記ポイントから前記指掌紋画像の内側の位置にある領域を選択することを特徴とする請求項5記載の指掌紋画像処理装置。
【請求項7】
前記領域特定手段は、前記変換画像の一部の領域を選択し直すときに、前記ポイントから前記指掌紋画像の内側の位置にある領域を選択し、そこから、最初に、前記指掌紋画像の内側に向かう方向で前記ポイントの周囲を一周するように前記領域を選択し直すことを特徴する請求項5記載の指掌紋処理装置。
【請求項8】
前記複数のポイントは、前記変換画像の中の所定の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項5記載の指掌紋画像処理装置。
【請求項9】
他の指掌紋画像を取得するとともに、前記領域特定手段が特定した領域に対応する領域を前記指掌紋画像から取り出して、取り出した前記領域と前記他の指掌紋画像とを照合する照合手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の指掌紋画像処理装置。
【請求項10】
指掌紋の画像である指掌紋画像を処理する指掌紋画像処理方法であって、
前記指掌紋画像を、第一集合要素と第二集合要素とからなる変換画像に変換する画像変換ステップと、
前記画像変換ステップで変換した前記変換画像の中から前記第一集合要素の数が所定数以上である領域を特定する領域特定ステップと、を有し、
前記第一集合要素と前記第二集合要素とは、前記指掌紋画像の要素が集合した集合要素であり、
前記第一集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たす集合要素であり、
前記第二集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たさない集合要素であることを特徴とする指掌紋画像処理方法。
【請求項11】
指掌紋の画像である指掌紋画像を処理する指掌紋画像処理方法をコンピュータに行わせるための指掌紋画像処理プログラムであって、
前記指掌紋画像を、第一集合要素と第二集合要素とからなる変換画像に変換する画像変換ステップと、
前記画像変換ステップで変換した前記変換画像の中から前記第一集合要素の数が所定数以上である領域を特定する領域特定ステップと、を有し、
前記第一集合要素と前記第二集合要素とは、前記指掌紋画像の要素が集合した集合要素であり、
前記第一集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たす集合要素であり、
前記第二集合要素は、前記集合要素内における前記要素の色情報の変化度が所定基準を満たさない集合要素である指掌紋画像処理方法をコンピュータに行わせることを特徴とする指掌紋画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−146442(P2010−146442A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325120(P2008−325120)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000213301)中部日本電気ソフトウェア株式会社 (56)
【Fターム(参考)】