説明

指針式計器装置

【課題】 光源の光が発光部材に設けた着色層を通過することによって、表示板に漏れる光を抑制することができるため、デザイン性が向上した指針式計器
装置を提供することができる。
【解決手段】 指針キャップ12を有する指針1と、指針1が指示する指標部21を有する表示板2と、表示板2が配置されるケース体3と、指針1及び表示板2とを照明する光源4と、光源1が実装された回路基板5と、先端に指針1が装着される指針軸61を有する駆動源6と、光源4の光を指針1及び表示板2に導光する導光体7と、を備えた指針式計器装置において、指針キャップ12と表示板2との間に、指針キャップ12の径よりも径大な発光部材8が介在され、導光体7は、光源2からの光を発光部材8側に出射する出光部71を有し、発光部材8は、出光部71から出光した光が入光する入光部84を有する凹部81と、表示板2側の面に着色層9が設けられたフランジ部82とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針と表示板との間に発光部材を介在させた指針式計器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、指針の周辺を光らせて、デザイン性を高めた指針式計器装置として特許文献1に記載のものが知られている。この指針式計器装置は、指針と表示板との間に透光性樹脂部材などから形成された遮光部材を設け、文字盤における遮光部材より外側を照明するものである。また、透光性樹脂部材にホットスタンプ等による着色層を塗布し、光源の光を別色で発光させるものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−30071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記指針式計器装置は、光源の光の入射角度によっては着色層で反射されずに表示板に漏れ出て、文字盤にハレーションが生じ、意図しない光源の色が観察者にそのまま視認されてしまうといった問題点があり改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、指針キャップを有する指針と、前記指針が指示する指標部を有する表示板と、前記表示板が配置されるケース体と、前記指針及び前記表示板とを照明する光源と、前記光源が実装された回路基板と、先端に前記指針が装着される指針軸を有する駆動源と、前記光源の光を前記指針及び前記表示板に導光する導光体と、を備えた指針式計器装置において、
前記指針キャップと前記表示板との間に、前記指針キャップの径よりも径大な発光部材が介在され、
前記導光体は、前記光源からの光を前記発光部材側に出射する出光部を有し、前記発光部材は、前記出光部から出光した光が入光する入光部を有する凹部と、
前記表示板側の面に着色層が設けられたフランジ部とから構成されるものである。
【0006】
また、本発明は、前記発光部材は、前記凹部から前記フランジ部へと一段高くなる箇所の角部が曲面であるものである。
【0007】
また、本発明は、前記角部は、前記着色層が前記凹部との間に隙間を有するように前記着色層によって覆われているものである。
【発明の効果】
【0008】
光源の光が発光部材に設けた着色層を通過することによって、指針キャップの周縁を光源と違う色で照明することができるので、デザイン性が向上した指針式計器装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態を示す正面図。
【図2】同上実施形態を示すA−A断面図。
【図3】同上実施形態の発光部材周辺の拡大図
【図4】同上実施形態の発光部材の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態を説明する。指針式計器装置は、指針1と、表示板2と、ケース体3と、光源4と、回路基板5と、駆動源6と、導光体7とから主に構成され、指針1と、駆動源6から伸長する指針軸61とを回路基板5と表示板2を介して連結固定し、駆動源6の指針軸61の駆動に応じた指針1の軸周り回動により、表示板2に形成された指標部21を指示するとともに、光源4の点灯により、導光体7によって光が導光され指針1を照明できるようになっている。
【0011】
指針1は、ポリカーボネート,アクリルなどの合成樹脂からなる透光性の指針本体11と、この指針本体11の回動中心領域の前方及びその周囲を覆って背後が開口する、黒色系の遮光性合成樹脂からなる指針キャップ12とからなり、指針軸61に装着される。
【0012】
表示板2は、透明樹脂に指標部21となる数字及び目盛りを印刷したものであり、指標部21は、指針本体11によって指示される。
【0013】
ケース体3は、白色樹脂からなるものであり、回路基板5と導光体7等を保持する。ケース体3には、第一、第二の導光体7a、7bを区画するように遮光壁が一体成形されていることにより、光源4a、4bが色混ざりなどしないで各々照明可能となる。
【0014】
光源4は、指針用光源4aと表示板用光源4bとから構成されている。指針用光源4aは、後述する指針用導光体4aによって光を指針1に向けて導光し、表示板用光源4bは、表示板用導光体7bによって光を表示板2に向けて導光する。
【0015】
回路基板5は、アルミ等の高熱伝導率の材質からなり、光源4a、4bと電気的に接続され、光源4a、4bに電力を供給する。また、回路基板5の裏面側には、駆動源6が配置されている。
【0016】
導光体7は、指針用導光体7aと表示板用導光体7bとから構成されている。
指針用導光体7aは、指針用光源4aから発せられた光を指針1に向けて導光し、指針1を透過照明する。表示板用光源7bは、表示板用光源4bから発せられた光を表示板2に向けて導光し、表示板2を透過照明する。
【0017】
発光部材8は、指針キャップ12と表示板2との間に配置される円盤状の発光部材であり、指針軸61を中心とした内周側に凹部81と、外周側に凹部81から一段高く形成されたフランジ部82とを有している。凹部81には、指針用導光体7aの出光部71から出光した光が入光する入光部84が形成されている。また、凹部81からフランジ部82へと一段高くなる箇所の角部83が曲面から形成されている。
【0018】
着色層9は、例えばホットスタンプなどの手法を用いて発光部材8の表示板2側に配置された印刷層であり、指針用光源4aの光が発光部材8内を反射することによって着色層9の色に変換する構造となっている。着色層9は、フランジ部82に沿って塗布され、角部83を覆い、凹部81までの間に隙間(隙間部85)を有する。
【0019】
このように構成された指針式計器装置において、指針用光源4aが点灯すると、指針用導光体7aの出光部71から出光した光は、その一部(L1)が入光部84から凹部81方向へ進み、指針キャップ12内に入光し、指針本体11を照明する。その他の光は、入光部84や隙間部85から入光し、発光部材8内を反射することで、フランジ部82を覆う着色層9を反射し、色変換される(L2)。また、着色層9によって覆われた角部83から入光した光は、着色層9を透過することによって色変換される(L3)。色変換された光は、指針キャップ12の外周に延出する面(フランジ部82と対向する面)及び発光部材8の端部86から放射され、指針キャップ12の周辺を照明する。
【0020】
本実施形態のように、指針キャップ12を有する指針1と、指針1が指示する指標部21を有する表示板2と、表示板2が配置されるケース体3と、指針1及び表示板2とを照明する光源4と、光源1が実装された回路基板5と、先端に指針1が装着される指針軸61を有する駆動源6と、光源4の光を指針1及び表示板2に導光する導光体7と、を備えた指針式計器装置において、指針キャップ12と表示板2との間に、指針キャップ12の径よりも径大な発光部材8が介在され、導光体7は、光源2からの光を発光部材8側に出射する出光部71を有し、発光部材8は、出光部71から出光した光が入光する入光部84を有する凹部81と、表示板2側の面に着色層9が設けられたフランジ部82とから構成されることによって、光源1の色とは違う色で発光部材8を照明することができるので、デザイン性の向上した指針式計器装置を提供することができる。
【0021】
また、発光部材8は、凹部81からフランジ部82へと一段高くなる箇所の角部83が曲面であることによって、着色層9を角部83に塗布する工程が容易くなる。
【0022】
また、角部83は、着色層9が凹部81との間に隙間を有するように着色層9によって覆われているため、入光角度の違う光で合っても、確実に着色層9によって色変換させることが可能となる。
【0023】
なお、本発明は、発光部材の視認される面が平面からなる構造としたが、例えば山切り面にすることで螺旋状に光らせる効果も期待できる。
【符号の説明】
【0024】
1 指針
2 表示板
3 ケース体
4 光源
5 回路基板
6 駆動源
7 導光体
8 発光部材
9 着色層
11 指針本体
12 指針キャップ
21 指標部
61 指針軸
71 出光部
81 凹部
82 フランジ部
83 角部
84 入光部
L1 光線1
L2 光線2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針キャップを有する指針と、前記指針が指示する指標部を有する表示板と、前記表示板が配置されるケース体と、前記指針を照明する光源と、前記光源が実装された回路基板と、先端に前記指針が装着される指針軸を有する駆動源と、前記光源の光を前記指針に導光する導光体と、を備えた指針式計器装置において、
前記指針キャップと前記表示板との間に、前記指針キャップの径よりも径大な発光部材が介在され、
前記導光体は、前記光源からの光を前記発光部材側に出射する出光部を有し、前記発光部材は、前記出光部から出光した光が入光する入光部を有する凹部と、
前記表示板側の面に着色層が設けられたフランジ部とから構成されることを特徴とする指針式計器装置。
【請求項2】
前記発光部材は、前記凹部から前記フランジ部へと一段高くなる箇所の角部が曲面であることを特徴とする請求項1に記載の指針式計器装置。
【請求項3】
前記角部は、前記着色層が前記凹部との間に隙間を有するように前記着色層によって覆われていることを特徴とする請求項1に記載の指針式計器装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−104818(P2013−104818A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249883(P2011−249883)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】