説明

指骨間固定用インプラント、対応する手術キット、及び対応する製造方法

【課題】指骨間固定用インプラント、対応する手術キット、及び対応する製造方法。
【解決手段】第1骨と第2骨の骨癒合をするために第1骨と第2骨の間に介在させられるよう意図された医療用インプラント1であって、前記インプラント1は、少なくとも1つの第1部分4を有し、第1部分4は、第1骨内に導入されるように設計されており、第1部分4に対して外側に開いた発散部10A及び前記インプラント1の前記第1骨内への導入を実質的に容易にするために先端部を下方に曲げる収束部10Bをインプラント1の骨内への取付け前に有することができるように製造時に裾広がりに成形される複数の非同一平面上のアンカー分枝10を含み第1部分4と一体をなす第1固定手段5を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形外科的な手術において骨内に固定されるよう意図された医療用インプラントに関し、具体的には、骨又は骨片どうしを骨癒合(bone fusion)により結合するために、これらの組み立てに用いられるインプラントに関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、第1骨と第2骨の骨癒合を達成するため、実質的に相互に結合された第1骨及び第2骨を支持するために第1骨と第2骨の間に介在させられるよう意図された医療用インプラントに関し、前記インプラントは、第1骨の内部に導入されるように設計され、当該インプラントを第1骨の内部に保持するために設けられた第1固定手段を備えた少なくとも1つの第1部分、及び第2骨の内部に導入されるように設計され、前記インプラントを第2骨の内部に保持するために設けられた第2部分を有する。
【0003】
また、本発明は、手術キットに関するものでもある。
【0004】
最後に、本発明は、前記インプラントを骨内に保持するために設けられた固定手段を備えた医療用インプラントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0005】
整形外科の分野において、多くの手術は、例えば、移植片の採取を容易にするため、細胞どうしの自然な連結状態を、それが疾病又は外傷により損傷又は破壊されてしまった後に回復するため、骨を増強するため、又は骨折した関節を強化するために、1つの組織を別の組織に固定するよう意図されている。
【0006】
特に、関節固定具を取り付けること、つまり、問題の関節を構成する骨どうしの癒合を誘発することによりその関節を強制的に固定する方法が、特に、軟骨及び/又は骨の関節面の損傷を引き起こす程の深刻な関節炎等の大きな関節損傷に苦しむ患者とともに知られている。
【0007】
このような関節固定具は、例えば、指骨間関節、特に足の指骨間関節に取り付けられることができ、種々の手術法を採用することができる。
【0008】
そのような手術法の1つは、「出血表面(“bleeding”)」と呼ばれる表面を形成し、その出血表面どうしを接触させてから接触面における骨組織の再生を促進するよう意図された固定用インプラントを取り付けるため、癒合させられる2つの隣接した指骨の端部を切除することを伴う。
【0009】
その目的のため、ピン、すなわち前記指骨の骨髄の軸(medullary axis)と一致する細い円筒状の金属棒を、それが関節を端から端まで横切って一方の指骨の他方に対する半径方向運動を制限するように導入する方法が知られている。
【0010】
この技術の1つの変形例は、ピンの代わりにネジを用いることからなり、前記ネジは、関節を横切ることで2つの指骨をそれらが相互に圧迫されるように支持するため、末節骨の骨髄の軸と一致するように指の端部から挿入される。
【0011】
これらは治療方法としては概ね満足できるが、そこで使用される関節固定用インプラントは、生体組織との間でなす機械的結合、特に支持対象である骨との間でなす機械的結合の特性に関連して無視できない欠点を備えている。
【0012】
事実、上述のインプラントは、第2骨に対する第1骨の不完全な機械的支持を、より具体的には、第2の指骨に対する第1の指骨の不完全な機械的支持をもたらすにすぎず、それが前記骨どうしの接触面における骨組織の再生を遅延させるとともに複雑化させている。
【0013】
より正確には、患者が例えば歩行中に問題の部材を動かした場合であって、それが足に埋め込まれた関節固定具であった場合、関節に加わる機械的応力は、前記骨の望ましくない相対運動の原因となり、かかる相対運動は形成される組織の断裂及び剥離につながりやすい。
【0014】
例えば、骨はピンに沿ってスライドすることで軸方向に沿って互いに分離するか、又は前記ピンによって形成される軸回りに回転する傾向がある。同様に、骨髄と一致するネジは、前記骨どうしの相対的運動を許容するため、第2骨に対する第1骨の相対的回転の影響で緩んでしまう場合がある。
【0015】
さらに、一般的に従来技術による関節固定用インプラントは、治療される関節の周囲に位置する関節組織の損傷を患者に被らせる。そのため、骨髄と一致するピンは、その延伸方向軸の延長線上に位置する皮質組織又は軟組織に対して支持されるまで長手方向に移動するか、又は前記組織に穴を開けることすらある。ネジの頭がなす突出部分は、関節の周辺組織と接触するため、圧迫時に患者が痛みを感じる地点を形成し、且つ/又は前記組織の早期損耗を引き起こす。
【0016】
次に、従来技術による関節固定用インプラントが関節を固定する際の強制的な配置は、患者の本来の生体構造とは異なる場合が多く、それが患者の不快感又は苦痛すら伴う状況を生み出す。
【0017】
最後に、一般的に従来技術による関節固定用インプラントは、関節に対してかなり多くの外科的処理を必要とし、さらに、体積が非常に大きいので、手術を長期化、複雑化するとともに患者の外傷を伴うものとしてしまう傾向がある。
【発明の開示】
【0018】
そこで、本発明の目的は、上述の問題点を改善し、骨内に強固に且つ確実に固定されることができる新規な医療用インプラントを提案することである。
【0019】
本発明の他の目的は、骨内に固定されるよう意図されており極めて使用が容易である新規な医療用インプラントを提案することである。
【0020】
本発明の他の目的は、シンプル且つコンパクトであり体積が小さい新規な医療用インプラントを提案することである。
【0021】
本発明の他の目的は、極めて安価に製造できる新規な医療用インプラントを提案することである。
【0022】
本発明の他の目的は、患者にとって真に快適であり、ほとんど外傷を与えることのない新規な医療用インプラントを提案することである。
【0023】
本発明の目的は、使用が極めて容易であり、本発明のインプラントを迅速、簡易、確実に装着することを可能にする新規な手術キットを提案することでもある。
【0024】
本発明の他の目的は、前記インプラントに、確実且つ効率的な骨内固定手段を付与することができる新規な医療用インプラント製造方法を提案することである。
【0025】
最後に、本発明の他の目的は、極めて使用がシンプル且つ経済的である医療用インプラント製造方法を提供することである。
【0026】
本発明の目的は、第1骨と第2骨の骨癒合を達成するため、実質的に相互に結合された第1骨と第2骨の間に介在させられるよう意図された医療用インプラントによって達成されるものであり、前記インプラントは、第1骨の内部に導入されるように設計され、当該インプラントを第1骨の内部に保持するために設けられた第1固定手段を備えた少なくとも1つの第1部分、及び第2骨の内部に導入されるように設計され、前記インプラントを第2骨の内部に保持するために設けられた第2部分を有しており、第1固定手段は、第1部分と一体をなしており、インプラントと第1骨の間で埋め込み式の連結状態を形成するよう意図された複数の非同一平面上のアンカー分枝を含んでおり、前記インプラントは、第1部分に比べて外側に開いた発散部、及び前記インプラントの前記第1骨の内部への導入を実質的に容易にするために前記アンカー分枝の先端部を下方に曲げた収束部を、前記アンカー分枝が前記インプラントの骨内への取付け前に有するようにするため、前記アンカー分枝が裾広がりに形成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明の目的は、以下を含むことを特徴とする手術キットによっても達成される。
【0028】
−第1に、本発明の医療用インプラント。
【0029】
−第2に、骨の前処理のための手術器具であって、当該器具は、前記インプラントのアンカー分枝を収容するよう意図された複数の空洞を含む圧痕(imprint)を、打撃により一度に付するために設けられた複数の凸状要素を有するパンチを備えており、前記空洞の配置は、前記アンカー分枝の配置と実質的に対をなしている。
【0030】
最後に、本発明の目的は、本発明の医療用インプラントを製造するための方法によって達成されるものであり、当該方法は、第1固定手段を製作するためのステップ(a)であって、矩形(oblong)部分に刻み目が入れられ、インプラントの断片が前記矩形部と一体をなす複数の非同一平面上のアンカー分枝へと分割されるステップを含むものであり、第1固定手段を製作するための当該ステップ(a)は、発散部を配備するためのサブステップ(a2)であって、前記アンカー分枝を横断面上で分散するような配置に従って発散させるために、前記アンカー分枝が外側に折られるサブステップ、及び収束部を形成するためのサブステップ(a3)であって、自由端を矩形部の延伸方向軸に向かって折ることにより、前記アンカー分枝が分割されるサブステップを含むことを特徴とする。
【0031】
本発明の他の目的、特徴、及び利点の詳細は、以下に続く説明中に記載されるほか、以下の添付図面に基づき明らかになるが、これらの図面は例示的なものにすぎず、本発明を制限するものではない。
【0032】
−図1は、本発明のインプラントの一実施形態を示す等角図である。
【0033】
−図2は、指骨間関節の固定に用いられる本発明のインプラントの一実施形態を示す等角図である。
【0034】
−図3は、図1のインプラントを示す側面図である。
【0035】
−図4は、本発明のインプラントの他の実施形態を示す側面図であって、インプラントの骨内への導入方法を図式化して示している。
【0036】
−図5Aは、本発明の手術キット用の手術器具の一部を示す等角図である。
【0037】
−図5Bは、図5Aに示された器具を用いて骨内に付されることができる圧痕を示す断面図である。
【0038】
−図6は、本発明のインプラントの一実施形態を示す平面図である。
【0039】
−図7は、図6のインプラントを示す等角図である。
【0040】
−図8は、図6に表されたインプラントのA−A及びB−Bに沿った断面を単一の図面で示す側面図である。
【0041】
以下、「インプラント(“implant”)」と称される本発明の医療用インプラントは、一の組織の他の組織への固定を達成するために、人間又は動物の患者の体内に導入されるよう意図されている。
【0042】
より正確には、インプラント1は、第1骨と第2骨の骨癒合を達成するため、実質的に相互に結合された第1骨及び第2骨を支持するために第1骨と第2骨の間に介在させられるよう意図されている。
【0043】
そのため、前記インプラント1は、骨折箇所の軽減及び強化等の他の発明分野のける利用も検討可能ではあるが、より好ましくは関節固定用のインプラントである。
【0044】
さらに、インプラント1は、より好ましくは骨髄内のインプラントであり、特に、骨髄軸に近い方向に沿って第1骨(及び第2骨のそれぞれ)の骨幹(diaphysis)及び/又は骨突起(apophysis)に係合するよう意図されている。
【0045】
本発明の意義の範囲内で、第1及び/又は第2骨は、治療される領域に元々存在するものであっても、移植片、内因性物質(endogens)又は外因性物質(exogens)として追加されたものであってもよい。
【0046】
特に好ましい様式において、第1骨2及び第2骨2は指骨であり、その場合、インプラント1は指骨間関節固定用インプラントを形成する。より具体的には、前記インプラントは、より好ましくは、患者の足に埋め込まれて、歩行に伴う機械的応力に対抗できるように設計されている。
【0047】
本発明によるインプラント1は、第1骨2の内部に導入されるように設計されており、前記インプラント1を第1骨2の内部に固定するために設けられた第1固定手段5を備えた少なくとも1つの第1部分4を有する。
【0048】
本発明によれば、インプラント1はまた、第2骨3の内部に導入されるように設計されており、前記インプラントを第2骨3の内部に固定するために設けられた第2固定手段7を備えた第2部分6を有する。
【0049】
本発明の1つの重要な特徴によれば、第1固定手段5は、前記第1部分4と一体をなしており、前記インプラントと前記第1骨2の間の埋め込み式の連結状態を形成するために非同一平面上のレイアウトに従って設けられる複数のアンカー分枝(anchoring branches)10を有する。
【0050】
ここで、「埋め込み式の連結状態(“built−in link”)」とは、運動学的な連結状態であって、全ての自由度、すなわち、平行運動のための3つの自由度、及び回転運動のための3つの自由度が抑制されるような連結状態を意味している。換言すると、第1固定手段5は、インプラント1が運動平面上で単一のユニットを形成するように、インプラント1を第1骨2に対して固定できるように設計されている。
【0051】
「非同一平面上のレイアウト(“non−coplanar layout”)」とは、本発明によるアンカー分枝10が、3次元的に広がる連結構造を形成することを意味している。事実、仮にアンカー分枝が実質的に一平面上にのみ広がっていると仮定すると、つまり、アンカー分枝が、明らかに長さ及び/又は幅が厚さよりも大きい直方体に内接する空間領域を占めていると仮定すると、インプラント1と骨2の間に機構的な遊びが生じる可能性が高く、且つ/又は第1固定手段5が前記平面に含まれる軸に従って曲がることにより歪が生じる可能性が高いため(前記第1固定手段5は応力を受けると「折れ曲がる(“fold”)」傾向がある)、固定を行ったとしても安定性を欠くことになる。
【0052】
アンカー分枝の非同一平面上のレイアウトは、長さが十分な少なくとも3つの線分を形成するように曲げられた2つのアンカー分枝、及びこれらの間の発散方向によって実現されると予測される。しかし、この方法では、インプラントの取付けが複雑化する可能性がある。第1固定部分5は、より好ましくは少なくとも3つのアンカー分枝10を含み、最も好ましくは4つのアンカー分枝10を含むためである。
【0053】
便宜的に、このようにアンカー分枝による固定点が多数存在し、アンカー分枝10の各々が残りのアンカー分枝10により形成される空間的広がり(network)の内部で前記固定の頑強性に寄与する支柱として機能するので、骨内でのインプラントの着座を改善することができ、その結果、固定の安定性を改善することができる。
【0054】
以下に詳述される特徴のうちのあらゆる組み合わせに対応するためには、個々のアンカー分枝10はそれぞれ独立して多様な生産方法に従わなければならないとも考えられるが、説明を容易にするため、以下では、複数のアンカー分枝10の全体について言及するものとする。
【0055】
本発明によれば、アンカー分枝10は、「第1部分4と一体をなしている(“integral with the first section 4”)」。つまり、アンカー分枝10は、前記第1部分4と埋め込み式の接合状態をなして固定されている。そのため、本発明の意義の範囲において、アンカー分枝が取り付けられる第1部分4に対しては、応力を受けた物質の内部ひずみによるものを除き、アンカー分枝10の機構上の遊びはおろか、いかなる運動も発生することはない。
【0056】
このようなアンカー分枝10の第1部分4との緊密な接合状態は、より好ましくはインプラントの取付け前に存在しており、より正確には、第1部分4が第1骨2の内部に導入される前に存在している。
【0057】
換言すると、前記アンカー分枝10は、より好ましくは、第1骨2の内部への第1部分4の導入手術の後に付加されるのではなく、その導入と同時に用いることができるように設計される。
【0058】
好ましい一実施形態において、アンカー分枝10は、第1部分4と同一の材料で作られる。
【0059】
より好ましくは、アンカー分枝10は、第1部分4の周囲に花冠のように分布させられる。より好ましくは均一であるこの分布により、便宜的に、骨2に対するインプラント1からの支持が及ぶ範囲のバランスを保つことができ、固定の安定性を改善することができる。
【0060】
第1の固定手段5はインプラント1のいかなる領域に配置されてもよいと考えられるが、第1部分4は、より好ましくは、インプラント1の一端部に配置され、アンカー分枝10は、より好ましくは、図1〜4に図示されるように、前記第1部分4から前記端部を実質的に越えて延伸している。
【0061】
換言すると、アンカー分枝10は、より好ましくは、インプラント1の端部に配置されており、実質的に前記インプラントの外側に向けられる。特に、第1部分4がインプラント1の遠位端を形成する場合、アンカー分枝10は、より好ましくは、第1部分4から実質的にインプラントの近位端の反対方向に向けられる。
【0062】
より好ましくは、第1部分4、そして、より一般的にインプラント1全体は、実質的に矩形状(oblong)である。
【0063】
本発明によらない一変形例に準拠すれば、アンカー分枝は、第1部分4を当該第1部分が配置される端部を越えて延長することにより形成される仮想的なエンベロープ(envelope)内に拘束されると予測されるが、アンカー分枝10は、より好ましくは、骨内でのアンカー固定の範囲、つまり第1固定手段5の作動領域を最大化するために、前記エンベロープを越えてその端部に向かって延伸する。
【0064】
より正確には、図1〜4に図示されるように、第1部分は、より好ましくは、第1の延伸方向軸(XX´)に沿って延伸しており、アンカー分枝10は、前記延伸方向軸(XX´)から発散している前記第1部分4からの発散部10Aを含む。
【0065】
換言すると、アンカー分枝10を構成する材料の空間的配置は、発散部10Aが第1部分4に対して外開きになるように、第1の延伸方向軸(XX´)に対して半径方向外側に延伸する少なくとも1つの要素を含む。
【0066】
第1の延伸方向軸(XX´)に対して発散部が外側に開く角度αは、より好ましくは実質的に5°以上20°以下である。
【0067】
アンカー分枝10は、実質的に交わるセカント面(secant plates)により形成されうるが(例えば十字形のアセンブリに従って結合される)、前記分枝は、より好ましくは、長い直線状であり、互いに交わらない。さらに、前記アンカー分枝は分割されうるものの、より好ましくは、実質的に直線状である。このような配置は、特に前記アンカー分枝の骨内への貫通に適している。
【0068】
さらに、アンカー分枝10は、例えば、耳状(ears)、又はシェブロン状(chevron)に第1部分4に沿って形成されうるほか、単一の共通基底部11から突出形成されうる。
【0069】
特に好ましい様式において、全てのアンカー分枝10は実質的に同一の形状をなし、同一の寸法を有し、第1部分4の周囲に等間隔に分散される。
【0070】
よって、アンカー分枝の発散部10Aは、より好ましくは、軸(XX´)及び10°に等しい頂角を有する内側の部分的エンベロープと、同一の軸(XX´)及び40°に等しい頂角を有する外側の部分的エンベロープの間の空間内に実質的に拘束される。
【0071】
本発明の重要な特徴の1つによると、アンカー分枝10は、以下においてより詳細に説明されるように、製造時に裾広がり形状にされる。
【0072】
換言すると、アンカー分枝10は、インプラントの一又は複数の骨2,3への導入及び取付けに先立ち、製造時に予め成形されている。
【0073】
特に、発散部10Aは、導入後に発散させられるのではなく、発散特性を本来的に備えるように、製造時に向きが変えられる。
【0074】
特に好ましい様式において、本発明のインプラント1は、取付け時にその幾何学的形状を能動的に変更するための固有の又は付加的な裾広げ成形手段(means of splaying)であって、より具体的には、例えば、応力下で塑性ひずみを強制的に生じさせることにより、アンカー分枝10をそれが取付け前に占めていた空間を越えて半径方向外向きに配置させるための裾広げ成形手段を必要としない。
【0075】
そのため、インプラント1は、支持が自律的且つ実質的に不変となるような極めてシンプル且つ本質的に安定な形状を有しうる。このようなインプラント1を用いることにより、便宜的に、インプラントが骨内に導入された後に骨に生じる亀裂、及び骨2,3相互の制御不能な相対運動のリスクを限定することができる。
【0076】
本発明の他の重要な特徴によれば、図1〜4に図示されるように、アンカー分枝10は、実質的にインプラント1の第1骨2の内部への導入を容易にするために、これらの端部を下方に曲げる収束部10Bを有している。
【0077】
そのため、アンカー脚10の勾配には不連続な部分があり、その部分がアンカー脚10に延伸方向軸(XX´)と適切な角度をなす方向に沿って全体的に凸状をなす外形(そして、より具体的には偏円チューブV内で)を持たせている。
【0078】
本発明の意義の範囲内で、アンカー分枝における収束特性又は発散特性を備えた部分10A,10Bは、より好ましくは、各部分の全長に亘り連続的な形状をなす。しかし、波状構造(undulations)のように、発散又は収束の特性を保持しつつアンカー分枝の一部位の軸(XX´)からの距離を局所的に変更することも不可能ではない。
【0079】
より好ましくは、アンカー分枝10は、少なくとも1つの屈曲部12、つまり、隣接する2つの面、又は連続する2つの線分の向きが変わる部分であって突き出した角を形成する部分を備えている。
【0080】
便宜的に、屈曲部12は、実質的に発散部10Aと収束部10Bの間に続く遷移部分をなし、より好ましくは、全体的に丸みを帯びているとともに実質的に厚さが均一であり、その厚さは隣接する部分10A,10bと実質的に等しい。
【0081】
無論、本発明の意義の範囲内で、アンカー分枝10が2以上の異なる連続した部分を有しており、例えば、1つの「大きな(“large”)」発散部、及びこれに続く2つの「小さな(“small”)」収束部であって、一方は中間部分、もう一方は末端部分に連続して配置され、各々アンカー分枝を第1の延伸方向軸(XX´)に向かって徐々に下方に曲げる2つの収束部をそれぞれ形成する3つの部分からなることは十分に予測される。
【0082】
しかし、前記アンカー分枝10は、より好ましくは、第1部分4の拘束端(captive end)と屈曲部12の間に延伸する発散部10A、及び屈曲部12と第1部分4の反対側の自由端の間に延伸する収束部10Bを含むが、これらは便宜的にインプラントの他の構成要素からは完全に独立している。
【0083】
このような構成により、便宜的に、第1固定手段5に一定の構造上及び機能上の柔軟性を持たせることができ、インプラント導入時に発散部10Aに生じる微小な機能上の弾性ひずみを許容することができるので、骨内での優れた係合状態を実現することができる。
【0084】
よって、より好ましくは、図1〜4に図示されているように、屈曲部12は、発散部10Aと、前記屈曲部12からアンカー分枝10の一自由端14まで延伸する収束部10Bの遷移部分に相当し、前記自由端14は第1の延伸方向軸(XX´)に向かって実質的に下方に曲げられることになる。
【0085】
そのため、屈曲部12は、アンカー分枝10の頂点、すなわち「最高点(“culminating point”)」(つまり、延伸方向軸(XX´)から最も離れた部分)を形成している。
【0086】
好ましい一実施形態によれば、第1の延伸方向軸(XX´)に対して収束部10Bが傾けられる閉じ角βは、実質的に0°以上30°以下とされる。
【0087】
よって、屈曲部12によって区画され、延伸方向軸(XX´)と前記屈曲部12の間に含まれる部分の角度は、より好ましくは、実質的に130°以上175°以下とされる
β=0°である場合には、収束部10Bは延伸方向軸(XX´)と実質的に平行をなし、発散部10Aと収束部10Bの間の発散の角は、開き角αと等しくなる点に注目すべきである。
【0088】
β>0°である場合には、収束部10Bは、第1の延伸軸軸(XX´)上のアンカー分枝10の末端部分に接近する傾向にある。
【0089】
便宜的に、本発明のようにアンカー分枝10を湾曲形状にすることで、前記アンカー分枝10の骨2内への導入、そして、より一般的にインプラント1の骨2内への導入を容易にするための係合する傾斜(engagement ramp)が形成されることができる。より広範には、アンカー分枝10、そして、より具体的に収束部10Bは、それら全体が実質的に骨内に貫通する円錐角(conical)をなす地点を形成することができる。
【0090】
さらに、図4に図示されるように、このような傾斜は、便宜的に、収束部10Bが第1骨2内の中空のハウジング15の内壁15Iに沿ってスライドするときに、当該内壁15Iがアンカー分枝10を第1の延伸方向軸(XX´)に向かって下方に曲げることによりアンカー分枝10を弾性変形させる応力を生じさせるように当該内壁15Iと連携することができる。特に便宜的な様式において、アンカー分枝10は、それらに生じる弾性ひずみの影響下で、より具体的には発散部10Aを反らすことにより、ハウジング15の内壁15Iに対して圧力を及ぼし、逆に、ハウジング15は、作用・反作用の原理により、固定手段5に対して実質的に求心性のロッキング(locking)効果を発揮することができる。
【0091】
本発明のアンカー分枝10は、より好ましくは、中心軸が実質的に第1の延伸方向軸(XX´)と一致し、最大のベース直径であるD1が屈曲部12を通過する仮想的な円周の直径と等しくなるような一対の円錐からなる仮想的なエンベロープを生成するものを実質的に形成することができるように、「傘のような(“like an umbrella”)」裾広がりの形状を有する。
【0092】
さらに、発散部10Aの長さは、より好ましくは、アンカー分枝10の全長の50%〜90%を占め、収束部10Bの長さは、より好ましくは、前記アンカー分枝10の全長の10%〜50%を占める。
【0093】
換言すると、収束部10Bにより形成される「下方に曲げられた導入部分(“introduction turn−down”)」は、対応する発散部10Aにより形成される「固定用パッド(“fixing pad”)」よりも実質的に短くなる。
【0094】
さらに、アンカー分枝10は、より好ましくは、その全長ではないにしても大部分に亘り均等な左右面(transverse dimensions)、及び厚さ(つまり、実質的に均等な断面)を有している。このような構成は、特に、以下においてさらに詳細に説明されるように、おおよそチューブ状をなす初期形状から始まるインプラントの製造によって実現しうる。
【0095】
第2に、発散部10A及び収束部10Bは、より好ましくは、実質的に直線状に延伸するが、これらの両方又は片方が長手方向に沿って湾曲しており、実質的に凹状又は凸状に湾曲した形状を有することもまた予測される。
【0096】
より好ましくは、インプラント1の固定を改善するため、特に、第1骨2の内部、より具体的にはハウジング15の内部への導入後に、第1の延伸方向軸(XX´)に沿ったインプラント1の移動を阻止するため、屈曲部12の頂角には、第1部分4が骨内に貫通する方向の運動を許容しつつ、対応するアンカー分枝10の第1骨2からの引抜け(extraction)を防止するために設けられた鉤(barb)状又は突起(lug)状の戻り防止機構16が備えられている。より正確には、前記のような鉤は、分枝10を骨組織内にアンカー固定するため、ハウジング15の内壁15Iに係合するよう意図されている。
【0097】
便宜的に、戻り防止機構16の内壁への貫通は、アンカー分枝10、より具体的には発散部10Aが弾性ひずみの影響下で生じさせる屈曲部12から内壁への杭打ち応力(piling stress)により促進される。
【0098】
第1骨2の内部への導入方向に対する第1部分4の第1の延伸方向軸に沿った水平方向の支持は、例えば、片側のみである場合には自由端14をハウジング15に接触させるか、又は骨物質を前記導入時にアンカー分枝10どうしの間の空間内に閉じ込めることにより提供されるものであり、前記の集積された物質は、インプラント1の移動に抗するクッションを形成する。
【0099】
本発明の意義の範囲内で、第2固定手段7は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特に、ねじ、ピン、又はホックのような種々の機械的固定方法によるものである。
【0100】
しかし、好ましい様式において、第2固定手段7は、第1固定手段5により採用された解決手段を実質的に再現するものであり、前記第2固定手段7の構成及び機能は、第1固定手段7の構成及び機能に基づき必要な変更を加えることにより推測される。
【0101】
説明の都合上、第2固定手段7を構成する特異な要素にのみ、第1固定手段5を構成する類似の要素を表す参照番号に100を加えた番号が付されるものとする。
【0102】
より具体的には、第2固定手段7は、より好ましくは、前記インプラント1と前記第2骨3の間で埋め込み式の連結状態を形成するために、第2部分6と一体をなし、非同一平面上のレイアウトに従って配置される複数のアンカー分枝110を有する。
【0103】
さらに、前記アンカー分枝110は、第1部分に対して外側に開いた発散部、及びインプラント1の第2骨3の内部への導入を容易にするため実質的にアンカー分枝の先端部において下方に曲がった収束部を有することができるように、製造時に裾広がり形状に成形される。
【0104】
特に好ましい様式において、インプラント1は、実質的に矩形状であり、第2部分6は、前記インプラントの第1部分4の反対側の端部に位置している。
【0105】
好ましい様式において、図1〜4に図示されるように、第2部分6に対応するアンカー分枝110もまた、第2部分6の周囲に花冠のように分布させられ、それに対応するインプラント1の端部を越えて第1部分4のアンカー分枝10とは実質的に反対の方向に延伸するものである。
【0106】
図示されていない一実施形態によれば、第2固定手段7の立体的配置は、第1固定手段5のそれと同一である。
【0107】
特に、インプラント1は、互いに完全に一致するように構成された2つの部分4,6の端と端を合わせることにより製作されることができ、前記2つの部分は、第1の延伸方向軸(XX´)と実質的に垂直をなす鏡映面を備えたインプラント1を形成するために、本発明によるものと厳密に一致する固定手段5,7を備えている。
【0108】
しかし、第2固定手段7の立体的配置が、第1固定手段5のそれと比べて、幾何学的形状、寸法、それぞれの部分に対応するアンカー分枝の個数、屈曲部分の個数及び角度等において相違することは十分に予測される。
【0109】
そのため、図1、3、4、6、及び7に描かれるように、第2固定手段7の立体的配置は、より好ましくは、第1固定手段5のそれと比べて、寸法、そして、より具体的にはアンカー分枝110の長さ、及び/または第2部分6の延伸方向軸に対してアンカー分枝が開く角度において相違する。
【0110】
特に、アンカー分枝10,110の中心軸が対応する第1、第2部分の軸と実質的に一致し、最大のベース直径(全径)が、屈曲部12,112を通過する仮想的な円周の直径と等しくなるような一対の円錐からなる仮想的なエンベロープを生成するものを実質的に形成するために、「傘のような(“like an umbrella”)」裾広がり形状を有するように形成されることを考慮すると、インプラントの遠位端に位置する第1固定手段5の静止時の全径D1は、インプラント1の近位端に位置する第2固定手段の静止時の最大全径D2よりも大きくされるべきである。
【0111】
実際、指骨の先端部が切除される場合、基節骨、つまり、足の指骨の場合には足首に最も近い指骨の骨頭部は比較的幅が狭く、それに対応する末節骨であるつま先に最も近い指骨の骨底部は実質的に幅が広い。よって、非対称のインプラントは、対応する固定手段が作用する領域を最大化することで、便宜的に、個々の指骨内の利用可能なアンカー固定領域を最も効果的に利用することができる。
【0112】
図4及び7に示される特に好ましい実施形態によれば、第1部分は実質的に第1の延伸方向軸(XX´)に沿って延伸し、第2部分は実質的に第2の延伸方向軸(YY´)に沿って延伸し、インプラント1は、前記第2の延伸方向軸(YY´)が前記第1の延伸方向軸(XX´)から発散するように曲げられている。
【0113】
特に好ましい様式において、第1の延伸方向軸(XX´)に対する第2の延伸方向軸の発散の角度ηは、実質的に10°以上20°以下とされ、より好ましくは15°に等しくされる。このような構成により、基節骨の末節骨に対する本来の角度、より正確には前記指骨の骨髄の軸どうしによって形成される角度を理想的に再現することが可能となる。
【0114】
より一般的には、患者の生体構造及び/又は治療される領域に対する前記インプラント1の幾何学的形状をケースバイケースにカスタマイズするために、直線又は曲線形状をなす本発明のインプラントを一様に製作することが予測される。
【0115】
さらに、単独で発明を構成しうる1つの特徴によれば、製造時における準備段階の裾広げ成形ともアンカー分枝の形状とも無関係に、第1部分4に対応するアンカー分枝10の第1の延伸方向軸(XX´)と垂直をなす断面上の分布は、第2部分6に対応するアンカー分枝110の第2の延伸方向軸(YY´)と垂直をなす断面上の分布に対して、角度δだけ角度をずらしたものでありうる。
【0116】
より正確には、図6、7、及び8に描かれるように、第1固定手段5は、アンカー分枝10からなる第1の空間的広がりを構成し、また、第2固定手段7は、実質的に前記第1ネットワークと同様の幾何学的配置をなし、第1の空間的広がりと同数(本例においては4つ)の分枝を包含するアンカー分枝110からなる第2の空間的広がりを構成し、前記第1の空間的広がりと前記第2の空間的広がりの間には、実質的に45°に等しい角度のずれδ、つまり「位相シフト(“phase shift”)」が存在する。
【0117】
実際、(図8において点線で示される)隣接する2つの指骨の横断面2T、3Tは、一般的に一又は複数の好ましい拡張方向を有するものであり、全アジマス角に対して一定の半径を有するものではない。つまり、前記断面2T、3Tは、円形ではなく、卵形状(ovoid)又は分葉形状(poly−lobed)を有する。本発明のインプラントは、便宜的に、前記の各断面に特有の好ましい拡張方向どうしのアライメントの本来のずれを再現することができ、それにより、各指骨内の骨物質が最も多く存在する領域を占めることができ、固定の範囲、それ故の安定性、及び強度の双方を改善することができる。
【0118】
無論、位相シフトの数値は、手術対象である骨2、3に応じて、より正確には、それぞれの骨の出血断面のレイアウトに応じて便宜的に選択される。
【0119】
好ましくは、本発明のインプラント1は、一体鋳造型(monobloc)である。そのため、第1部分4と第2部分6は、より好ましくは、同一の材質でできており、アンカー分枝10,110が両側から伸びる共通の中央部分17を形成できるように一方にもう一方を取り付けたものである。
【0120】
必然的に、本発明のインプラント1は、一又は複数種類の生体適合材料、より好ましくはチタニウムで作られる。また、本発明の構成から逸脱することなく、一旦骨癒合が行われた後に前記インプラントが体内に同化するように、ポリアクタイド等の生物分解可能物質でインプラントを製作することが予測される。
【0121】
必然的に、アンカー分枝が予め裾広がりに成形されているにもかかわらず、それらが固定化の機能を達成でき、且つ骨内への導入を支援できるようにするために、十分な剛性を有する材質が選択される。
【0122】
特に好ましい一実施形態によれば、インプラント1は、チューブ状の構成要素であって、その端部がアンカー分枝10,100を形成する複数の突端へと分割されるように壁面に裂け目が入れられたものによって形成される。このようなチューブ状の構成要素は、外側に開いた任意の横断面形状(U字、T字、L字、四角、円等)を有するように形成されうると予測される。
【0123】
より好ましくは、前記端部は、長手方向に沿って分割されており、フレア形状をなしている。つまり、突端部は、チューブ状の構成要素の当初のままの部分に対して半径方向外側に向かう裾広がり形状をなしており、より具体的には、図1〜4、6、及び7に示されるように、互いに頂点で向かい合った一対の円錐を実質的に形成している。そのため、より好ましくは、主要部17は長い直線状をなし、その幅はそれ自体が離隔させるアンカー分枝10,100の空間的広がりの全径D1,D2よりも小さくされる。
【0124】
特に、簡単なチューブ形状の構成要素を用いることで、以下においてさらに詳細に説明されるように、シンプルであり且つ低コストでの前記インプラントの製造が可能となる。また、これは、屈曲時の優れた剛性、及びねじれに対する優れた機械抵抗を保持しつつ、インプラント1の軽量化をもたらすものである。
【0125】
さらに、図6及び7に描かれるように、本発明のインプラント1は、より好ましくは、前記インプラント1の取付け及び取扱い時にその向きをユーザに知らせるために設けられたフールプルーフ(foolproof)手段を備えた被把持手段18を有する。
【0126】
実際、屈曲部分、及び/又は第1固定手段5と第2固定手段7の幾何学的形状の相違の存在により、インプラント1の第1及び第2骨に対する所定の方向に沿った正確な位置決めが要求される。
【0127】
本発明の被把持手段18は、2つの部分4,6の間に位置する主要部17の中央部に空けられた穿孔として設けられているため、外科医は、独特且つ再現可能な手法で前記穿孔と連携するよう意図されたほぞ(tenon)を有する共役型ツールにより、インプラント取付け時のインプラントの方向(導入方向)及び角度(体内位置)の位置確認を確実に行うことができる。
【0128】
本発明は、骨の前処理自体のための手術器具20に関するものでもある。具体的に、前記器具20は、前記骨の内部に導入されるように設計された少なくとも1つの第1部分4を有し、前記インプラントを前記骨の内部に保持するための第1固定手段5を備えたインプラント1を内部に収容できるように、前記骨に前処理を施すためのものである。
【0129】
先の説明を参照すると、本発明の器具は、第1及び/又は第2骨の前処理のために区別なく使用されうる。
【0130】
本発明によれば、第1固定手段5は、第1部分4と一体をなし、前記インプラント1と前記骨2,3との間で埋め込み式の連結状態を形成するために非同一平面上のレイアウトに従って配置される複数のアンカー分枝10を含んでおり、器具20は、前記アンカー分枝10を収容するよう意図された複数の空洞23からなる圧痕を打撃により骨2,3内に同時に残すために設けられた複数の凸状要素22を備えたパンチ21を有しており、前記空洞23の配置は、前記アンカー分枝10の配置と実質的に対をなしている。
【0131】
無論、前記器具20は、特定の製品形状にも製品寸法にも限定されることはなく、先に説明したインプラント1の各種実施形態に応じて容易に適用されることができる。
【0132】
しかし、インプラント1の第1固定手段5は、より好ましくは、実質的に等間隔の4つのアンカー分枝10を有し、パンチ21は、図5Aに示されるように、実質的に独立した4つの空洞23に従って、骨2に裂け目を入れることができるよう意図された十字の幾何学的形状をなす。
【0133】
図5Bに描かれるように、前記空洞23は、単一のハウジング15が有するローブ(lobe)のような形状をなし、各々のローブは、アンカー分枝10を収容するよう意図されている。必然的に、空洞23の数、配置、及び寸法は、アンカー分枝10の配置に応じて変更可能であり、特に、星のような形状をなすものである。
【0134】
仕切り要素24によって互いに離隔された複数の空洞23を含むハウジング15を用いれば、便宜的に、第1部分4の第1骨2に対する第1の延伸方向軸(XX´)回りの回転の抑止を強化することができる点が注目されうる。
【0135】
言うまでもなく、本発明は、以下を有する手術キット自体に関するものでもある。
【0136】
−第1に、本発明のインプラント1であって、より具体的には、第1骨2及び第2骨3の骨癒合を達成するため、実質的に相互に結合された第1骨2及び第2骨3を支持するために第1骨2と第2骨3の間に介在させられるよう意図されており、前記インプラント1は、第1骨の内部に導入されるように設計され、第1骨2の内部に前記インプラントを保持するために設けられた第1固定手段5を備えた少なくとも1つの第1部分4、及び第2骨の内部に導入されるように設計され、第2骨3の内部に前記インプラントを保持するために設けられた第2固定手段6を備えた第2部分6を有しており、前記第1固定手段5は、第1部分4と一体をなし、前記インプラント1と前記第1骨2の間の埋め込み式の連結状態を形成するために非同一平面上のレイアウトに従って配置される複数のアンカー分枝10を含んでいる。
【0137】
−そして、第2に、骨の前処理のための手術器具20であって、前記手術器具は、前記アンカー分枝10を収容するよう意図された複数の空洞23を含む圧痕を打撃により骨2,3内に同時に残すために設けられた複数の凸状要素22を備えたパンチ21を有しており、前記空洞23の配置は、前記アンカー分枝10の配置と実質的に対をなしている。
【0138】
指骨間固定を実現するための本発明のインプラントの使用方法が、本発明の手術キットを適宜参照しつつ、ここで詳細に説明される。施術者は、第1及び第2骨の端部を切除することで、通常の幾何学的形状をなしており、より好ましくは実質的に平坦な出血する接触面を形成することにより、第1及び第2骨2,3の前処理を行うことから始める。
【0139】
より正確には、施術者は、末節骨(図2における第1骨2)の骨基部、及び基節骨(図2における第2骨)の骨頭部を切除する。その後、施術者は、露出した個々の端部に、インプラント1を収容するよう意図されたハウジングを設ける。
【0140】
これを実行するため、施術者は、例えば、一方の端部に十字形のパンチ21を有し、他方の端部に砧(incus)を有するロッドにより形成される器具20を出血する表面に合わせた後に、適切なハンマーで砧を1回あるいは複数回叩くことで突状要素22を第1骨2の内部に力強く導入することができる。
【0141】
ハウジング15の形成は、骨が実質的に骨髄の軸に沿って穿たれる掘削(drilling)ステップを含んでいてもよい。
【0142】
無論、接触する骨組織の種類、及び治療される関節の立体的形状に応じて、骨に直接パンチすること、若しくはドリルを用いて単純な円形のハウジングを掘削すること、又は、先ずドリルで実質的に円筒形の穴を開け、それから初めて前記穴の底部及び/又は壁面に十字形のパンチ21で空洞23を形成することが予測される。
【0143】
そして、施術者は、トング型の適切な把持器具を用いてインプラントをしっかり握ると同時に、被把持手段18により前記トングに対する前記インプラント1の位置を注意深く調節する。より正確には、前記トングは内部にほぞが突出形成されたチャンネルを有しうるので、インプラントの位置調節は、その中央部に位置するチューブ状の主要部を当該チャンネル内に通し、ほぞを前記主要部に設けられたフールプルーフ穴に係合させることによって行われる。
【0144】
インプラント1は、一旦トングに保持されたら、ハウジング15内に力強く導入される。そのため、施術者は、アンカー分枝10の自由端14を内壁15Iに押し当ててハウジング内のチャンネルの頸部(cervix)に移動させ、次に、圧迫及び/又は打撃により第1部分4を前記ハウジング15の内部に貫通させる。
【0145】
より具体的には、図1、3、4、6、及び7に描かれるような4つの等間隔のアンカー分枝10を備えたインプラント1の場合、施術者は、個々のアンカー分枝10の位置を、十字形の圧痕をなす空洞23のうちの1つに対して調節する。
【0146】
便宜的に、インプラント1は、第1の延伸方向軸(XX´)が第1骨2の骨髄の軸と実質的に平行をなすか又は一致するときに、その製造時に予め作られた裾広がりの形状、つまりアンカー分枝10どうしが互いに引き離された形状のまま導入されることができる。
【0147】
より好ましくは、ハウジング15の直径は、静止状態におけるアンカー分枝10の裾広がり形状の全径D1よりも実質的に小さくされるので、第1部分4のハウジング内15への導入時に、前記アンカー分枝の収束部10Bは、内壁15Iと傾斜をなして接触し、前記アンカー分枝を下方に曲げながら徐々に弾性変形させる(つまり、少なくとも前記第1部分が埋め込まれて屈曲部12の高さに達するまでの間、開き角度αを小さくする)。
【0148】
屈曲部12がハウジング15の頸部を通過した後に当該ハウジングの内壁15Iに沿って摩擦を伴ってスライド運動することで、第1部分4がハウジング内に埋め込まれる。
【0149】
つまり、屈曲部の直径がその初期状態の直径よりも実質的に小さくなるようにアンカー分枝を収縮させることで、第1固定手段5とハウジング15の間に弾性ひずみによる応力が発生し、それが第1部分4の求心的なロッキングをもたらし、その結果、前記ハウジング15内でのインプラント1の求心的なロッキングをもたらす。
【0150】
さらに、前記ハウジング15内部への第1部分の移動に伴い、戻り防止機構16が、ハウジング15周辺の骨組織に貫通することで内壁15Iと連携し、クリック止め(cliking)によるインプラントの安定的な固定をいかなる時点においても保証する。
【0151】
施術者は、アンカー分枝10の自由端14がハウジング15の底部に到達し、且つ/又は第1部分4と第2部分5の接合面が前記骨の出血表面と実質的に重なったときに第1部分4の埋め込みを停止する。
【0152】
ハウジング15の形成は任意ということになり、アンカー分枝10及び/又は第1部分4全体が、出血表面から打ち込まれる釘に若干似たような按配で、第1骨2の材質内に直接埋め込まれる場合もある点が注目されうる。このために、自由端14は容易に骨組織内に貫通できるように斜角をなしている。
【0153】
施術者は、第1部分4が第1骨2の内部に堅固にアンカー固定された後に、同様の手法で、第2骨3の内部へ第2部分6を導入することができる。
【0154】
特に、第2骨3の前処理は、第1骨2の前処理と実質的に同様である。
【0155】
無論、本発明のインプラントの埋め込み方法、特に、第1部分及び第2部分が第1骨及び第2骨にそれぞれ導入される順序は、様々な方法で行われることができる。一変形例によれば、第1部分及び第2部分の各々に対応するアンカー分枝10,110を、骨2,3のそれぞれに設けられたハウジング15,115の端部に接触させた後に、前記の両部分が同時に前記のハウジング内に貫通するように第1骨2を第2骨3と結合させることで、第1部分及び第2部分を同時に第1骨及び第2骨の内部に導入することが予測される。
【0156】
また、第1部分及び第2部分がそれぞれ対応する骨の内部に導入されたら、第1及び第2骨は、インプラント1により迅速且つ自動的に相互接合され、インプラントの立体的形状を変更する必要はない点が注目されうる。前記インプラント1は、便宜的に、両者の間に安定且つ強固な結合状態を形成するため、前記骨どうしの自発的分離、及びそれぞれの骨髄軸回りの回転方向や、元々の関節の接合部分における屈曲方向の相対運動の可能性を排除することができる。
【0157】
さらに、本発明のインプラント1は、骨の容積内に完全に閉じ込められるため、より正確には、第1部分及び第2部分の各々が対応する骨の骨幹及び/又は骨突起内に完全に挿入されるため、便宜的に、図2に示されるように厳密に髄質内に据え付けられた状態を形成することができる。そのため、第1及び第2骨が結合された後は、前記インプラント1のどの部分も外からは見えず、それ故、前記骨の皮質組織からの飛び出し(flush)も突出(protruding)も生じないという利点がある。その結果、周辺組織を傷つけることなく、前記インプラントの便利且つ確実な利用を実現できる。
【0158】
さらに、本発明のインプラント1及び関連する取付け方法は、特に、一方及び/又は他方の骨に対する作業を不要にし、且つ/又は前記骨の脆弱な部分を複雑に加工することにより、処置される骨に対する準備作業を軽減する。
【0159】
最後に、本発明は、医療用インプラントであって、当該インプラント1を骨2,3内に保持するために設けられた固定手段5,7を備えたものを製造するための方法に関するものでもある。
【0160】
本発明において、当該製造方法は、前記固定手段5,7を製作するためのステップ(a)を含んでおり、同ステップにおいては、一断片を矩形部分と一体をなす複数の非同一平面上のアンカー分枝10,110へと分割するために、当該矩形部分に刻み目が入れられる。
【0161】
それはインゴット又は他の塊状の材料によって形成されることができ、その場合、ステップ(a)は塊状物へのマーキングを含むことになるが、上記の矩形部分は、より好ましくは、輪郭(profile)のような中空の構成要素により形成され、特に好ましい様式においては、円形断面を有するチューブにより形成される。
【0162】
そのため、固定手段を製作するためのステップ(a)は、切込み(cutting)サブステップ(a1)を含んでおり、同サブステップにおいては、前記中空の構成要素の端部を複数の突端に分割するために前記中空の構成部材の一端部からその壁面に交差する一又は複数の切込みが入れられる。
【0163】
特に好ましい様式において、このような切込みは、上記矩形部分をその主軸に沿って長手方向に分割するために形成される。
【0164】
このような切込みは便宜的にレーザにより形成されることができ、本方法は小さな寸法のインプラント1に関して高い正確性を保証する。
【0165】
さらに、本発明の1つの重要な特徴によれば、固定手段を製作するための前記ステップ(a)は、裾広げ成形(splaying)のサブステップ(a2)を含んでおり、同サブステップにおいては、実質的にテーパ状の配置に従って発散するアンカー分枝10,110を形成するために、前記突端が外向きに折り曲げられる。
【0166】
換言すると、発散部10Aの裾広げ成形サブステップ(a2)においては、アンカー分枝を実質的にテーパ状の配置に従って発散させるために、アンカー分枝が外側に折り曲げられる。
【0167】
仮想的な様式において、本発明の製造方法は、より好ましくは、前記中空の構成要素の壁面の「ピーリング(“peeling”)」、すなわち、前記中空の構成要素の一端部及び/又は他端部を勢いよく花弁状にするための塑性変形を伴う。
【0168】
また、ステップ(a)は、折り曲げ成形(folding)サブステップ(a3)を含むことができ、同サブステップにおいては、上記突端の自由端を上記矩形部分の軸に向かって下方に曲げることで、屈曲部12,112が形成される。
【0169】
このサブステップ(a3)は、収束部10Bを形成するためのサブステップであり、同サブステップにおいては、上記矩形部分の軸に向かって折り曲げることにより、前記アンカー分枝の自由端が下方に曲げられる。
【0170】
便宜的に、この折り曲げ成形サブステップ(a3)に先立ち、前記屈曲部を作るための折り曲げ加工と同時に、前記屈曲部の頂点、すなわち折り曲げ部分に、戻り防止機構16,116を形成するために、屈曲部12,112が形成されなければならない高さにV字の切断線を設けることも可能である。
【0171】
そのため、個々の戻り防止機構は、それに対応する屈曲部と同一の工程において形成される。
【0172】
中空の構成要素を用いれば、使用される材料の分量を便宜的に抑制することができ、械加工に必要なエネルギーを減らすことができるので、その結果、機械的応力に対する抵抗性を損なうことなく構成要素を軽量化することができ、最終的に前記インプラントの原価を低く抑えることができる点が注目されうる。
【0173】
必然的に、ステップ(a)、そして、より正確に上記のサブステップ(a1)及び(a2)は、図1、3、4、6、及び7に示される実施形態のようなインプラント1を作るために、上記の矩形部分の各端部に対して順次又は同時に実行されることができる。
【0174】
しかし、本発明の製造方法はこのタイプのインプラントのみに限定されることはなく、特に、いずれかの組織(骨、筋肉、腱等)をピン留め又は圧迫により骨に対して支持するためのステープル又は他のピンを備えたような単一の(つまり片側の)固定部を有し、当該固定部の反対側が組織を損傷しにくい外形となっているインプラントの製作に用いられてもよい。
【0175】
また、本方法は、屈曲成形(bending)ステップ(b)を有することができ、同ステップにおいては、前記インプラントを据え付ける領域の本来の解剖学的構造を実質的に再現できる人間工学的形状をインプラント1に持たせるために、矩形部分が塑性変形させられる。前記屈曲成形ステップ(b)は、固定手段を製作するためのステップ(a)の前、又は後に実行できる。
【0176】
非制限的な例として、足の手術のための指骨間インプラントの製作について言えば、製造方法、より正確には、切込みサブステップ(a1)、裾広げ成形サブステップ(a2)、及び折り曲げ成形サブステップ(a3)は、内径が2.2mmであり肉厚が0.5mmであるチタニウム製チューブに適用されることができる、それにより、全長が15mm〜30mm、より好ましくは17mm〜24mmのオーダーであり、全径が2.7mm以上4.5mm以下のオーダーであるインプラントを製作することができる。
【0177】
このように、多数存在するアンカー固定箇所に加えて固定手段の幾何学的形状が、それにより形成される埋め込み式の連結部分に当該連結部分に加わる機械的応力の方法によらず堅強な抵抗力を持たせるので、骨本発明のインプラント1は内で好適な着座状態を形成することができる。
【0178】
さらに、このようなインプラントは、特に、骨の前処理における外科的介入の規模及び時間を最小化しつつ、第1骨の第2骨への固定状態を形成することができる。
【0179】
特に、インプラント1の幾何学的形状は、骨内への導入、及び骨内での運動を容易にすることができると同時に、事後的な処置を必要とすることなく、導入済みインプラントの前記骨内での迅速且つ「自動的な(“automatic”)」機械的結合を確保することができる。
【0180】
さらに、このようなインプラントの製造方法は単純であるため、便宜的に、極めて競争力の高いコストでの製造が可能となる。
【0181】
最後に、このようなインプラントは、固定領域、特に関節の様々な立体的配置における種々の利用方法のための幾何学的形状、及び寸法に適合することができるので、その多用途性、及び人間工学的特性により、患者に優れた快適性を保証するものである。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本発明のインプラントの一実施形態を示す等角図である。
【図2】指骨間関節の固定に用いられる本発明のインプラントの一実施形態を示す等角図である。
【図3】図1のインプラントを示す側面図である。
【図4】本発明のインプラントの他の実施形態を示す側面図であって、インプラントの骨内への導入方法を図式化して示している。
【図5A】本発明の手術キット用の手術器具の一部を示す等角図である。
【図5B】図5Aに示された器具を用いて骨内に付されることができる圧痕を示す断面図である。
【図6】本発明のインプラントの一実施形態を示す平面図である。
【図7】図6のインプラントを示す等角図である。
【図8】図6に表されたインプラントのA−A及びB−Bに沿った断面を単一の図面で示す側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2骨(2,3)の骨癒合を達成するため、実質的に相互結合された前記第1及び第2骨(2,3)を支持するために前記第1骨(2)と前記第2骨(3)の間に介在させられるよう意図された医療用インプラント(1)であって、
前記インプラント(1)は、第1骨(2)内に導入されるように設計され、前記インプラント(1)を第1骨(2)内に保持するために設けられた第1固定手段(5)を備えた少なくとも1つの第1部分(4)、及び第2骨(3)内に導入されるように設計され、前記インプラント(1)を第2骨(3)内に保持するために設けられた第2固定手段(7)を備えた第2部分(6)を有し、
第1固定手段(5)は、第1部分(4)と一体をなし、インプラント(1)と第1骨(2)の間で埋め込み式の連結状態を形成するよう意図された複数の非同一平面上のアンカー分枝(10)を含み、
前記アンカー分枝(10)は、第1部分(4)に対して外側に開いた発散部(10A)、及び前記インプラント(1)の前記第1骨(2)内への導入を実質的に容易にするために先端部を下方に曲げる収束部(10B)を、インプラントの骨内への取付け前に有することができるように、製造時に裾広がりに成形されることを特徴とするインプラント(1)。
【請求項2】
アンカー分枝(10)は、発散部(10A)と収束部(10B)の間の遷移部分を示す少なくとも1つの屈曲部(12)を有することを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
屈曲部(12)の突起の頂上部には、アンカー分枝(10)の第1骨(2)からの引抜けに対抗するために設けられた鉤等の戻り防止機構(16)が備えられていることを特徴とする請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
発散部(10B)は、屈曲部(12)から当のアンカー分枝(10)の自由端(14)まで延伸することを特徴とする請求項2または3に記載のインプラント。
【請求項5】
発散部(10A)の長さは、当のアンカー分枝(10)の全長の約50%〜90%を占めることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項6】
第1部分(4)は、第1延伸方向軸(XX´)に沿って延伸し、
発散部(10A)の前記第1延伸方向軸(XX´)に対する開きの角度(α)は、実質的に5°以上20°以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項7】
第1部分(4)は、第1延伸方向軸(XX´)に沿って延伸し、
収束部(10B)が前記第1延伸方向軸(XX´)に対して傾けられる閉じ角度(β)は、実質的に0°以上30°以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項8】
アンカー分枝(10)は、第1部分(4)の周りに花弁状に分布させられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項9】
第1部分(4)は、インプラント(1)の一端部に配置され、
アンカー分枝(10)は、前記第1部分(4)から実質的に前記端部を越えて延伸することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項10】
アンカー分枝(10)は、第1部分(4)と同一の材料で作られることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項11】
第1固定手段(5)は、少なくとも3つ、そして、より好ましくは4つのアンカー分枝(10)を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項12】
第2固定手段(7)は、第2部分(6)と一体をなし、インプラント(1)と第2骨(3)の間で埋め込み式の連結状態を形成するために非同一平面上のレイアウトに従って配置された複数のアンカー分枝(110)を含み、
前記アンカー分枝(110)は、第1部分に対して外側に開いた発散部、及び前記インプラント(1)の前記第2骨(3)内への導入を実質的に容易にするために先端部を下方に曲げる収束部を有するように、製造時に裾広がりに成形されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項13】
第2固定手段(7)の立体構造は、第1固定手段(5)の立体構造とは寸法において相違することを特徴とする請求項12に記載のインプラント。
【請求項14】
第1及び第2部分(4,6)は、それぞれ実質的に第1延伸方向軸(XX´)及び第2延伸方向軸(YY´)に沿って延伸し、
第1部分(4)に対応するアンカー分枝(10)の第1延伸方向軸(XX´)に垂直な断面上の分布は、第2部分(6)に対応するアンカー分枝(110)の第2延伸方向軸(YY´)に垂直な断面上の分布に対して角度をずらしたものであることを特徴とする請求項12または13に記載のインプラント。
【請求項15】
第1のアンカー分枝(10)の空間的広がりと、第2のアンカー分枝(110)の空間的広がりの間の角度のずれ(δ)は、実質的に45°に等しいことを特徴とする請求項14に記載のインプラント。
【請求項16】
第2固定手段(7)の立体的配置は、第1固定手段(5)の立体的配置と一致することを特徴とする請求項12に記載のインプラント。
【請求項17】
一体鋳造型であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項18】
チューブ状の部材であって、前記チューブの端部がアンカー分枝(10)を形成する複数の突端へと分割されるように前記端部における壁面に裂け目が入れられたチューブ状の部材によって形成されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項19】
第1及び第2部分(4,6)は、それぞれ実質的に第1延伸方向軸(XX´)及び第2延伸方向軸(YY´)に沿って延伸し、
前記インプラント(1)は、第2延伸方向軸(YY´)の第1延伸方向軸(XX´)に対する発散の角度(η)が、実質的に10°〜20°になり、そして、より好ましくは実質的に15°に等しくなるように曲げられることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項20】
把持及び取扱いの際にユーザに前記インプラントの向きを知らせるために設けられたフールプルーフ手段を備えた被把持手段(18)を含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項21】
指骨間インプラントであることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1つに記載のインプラント。
【請求項22】
第1に、請求項1〜21のいずれか1つに記載のインプラント(1)と、
第2に、骨の前処理のための手術器具(20)と、を含む手術キットであって、
前記器具は、インプラントのアンカー分枝(10)を収容するよう意図された複数の空洞(23)を含む圧痕を打撃により同時に残すために設けられた複数の凸状要素(22)を有するポンチ(21)を含み、
前記空洞(23)の配置は、前記アンカー分枝(10)の配置と実質的に対をなすことを特徴とする手術キット。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか1つに記載の医療用インプラント(1)の製造方法であって、
矩形部分の断片を前記矩形部分と一体をなす複数の前記非同一平面上のアンカー分枝(10)へと分割するために、前記矩形部分に切込みが入れられる第1固定手段(5)製作ステップ(a)を含み、
第1固定手段製作ステップ(a)は、前記アンカー分枝(10)を実質的にテーパ状の分布に従って発散させるために、前記アンカー分枝(10)が外側に折り曲げられる発散部(10A)配備サブステップ(a2)、及び矩形部分の延伸方向軸に向かって折り曲げることにより前記アンカー分枝の自由端が下方に曲げられる収束部(10B)形成サブステップ(a3)を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項24】
収束部形成サブステップ(a3)は、発散部(10A)と収束部(10B)の間を折り曲げることにより屈曲部(12)を形成することが可能であり、
前記収束部形成サブステップ(a3)に先立ち、前記屈曲部(12)に付いた跡が、折り曲げにより、前記屈曲部(12)の頂点に鉤等の戻り防止機構(16)を突出させるような切断線の生成が行われることを特徴とする請求項23に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−188411(P2008−188411A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−298489(P2007−298489)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(502347858)ニューディール ソシエテ パー アクシオン シンプリファイド (2)
【Fターム(参考)】