説明

振分装置

【課題】上流工程からの供給物品を上下に振り分けするアップベルト式やダウンベルト式の振分装置において、物品の噛み込みによる破損を防止しながら、高速処理への対応を図る。
【解決手段】ベルトコンベア2,3と、該ベルトコンベア2,3の上流側又は下流側の先端ローラ22,31を上下方向に揺動させる駆動手段と、を備えてなり、前記上流工程からの供給物品を上下に振り分けする振分装置において、前記駆動手段によって揺動させられる揺動側先端ローラ22,31が、弾性部材235,236,335,336で支持されており、かつ、前記ベルトコンベア2,3の他端に設けられる固定側先端ローラよりも小径であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流工程からの供給物品を上下に振り分けする振分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上流工程から供給される物品を上下に振り分けする振分装置として、ベルトコンベアの上流端を上方へ揺動させて、物品の落下口を形成するアップベルト式や、ベルトコンベアの下流端を下方へ揺動させて、物品の落下口を形成するダウンベルト式の振分装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実公昭62−25466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような振分装置では、振分動作タイミングのごく僅かなズレによって、上流あるいは下流工程に設けられる装置類との間に物品が噛み込み、上下流工程の装置類や振分装置の破損を引き起こす恐れがある。振分装置の破損防止としては、ローラ径の拡大やコンベアフレームの板厚アップによる剛性確保が一般的であるが、それに伴う重量増大で振分動作の応答性が損ねられ、却って振分動作タイミングがずれ易くなる事態を招いていた。
【0004】
本発明は、斯かる実情に鑑み、上流工程からの供給物品を上下に振り分けするアップベルト式やダウンベルト式の振分装置において、物品の噛み込みによる破損を防止しながら、高速処理への対応を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の振分装置は、ベルトコンベアと、該ベルトコンベアの上流側又は下流側の先端ローラを上下方向に揺動させる駆動手段と、を備えてなり、上流工程からの供給物品を上下に振り分けする振分装置において、前記駆動手段によって揺動させられる揺動側先端ローラが、弾性部材の弾性力によって支持されており、かつ、前記ベルトコンベアの他端に設けられる固定側先端ローラよりも小径であることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の振分装置は、請求項1に記載の振分装置において、前記揺動側先端ローラは、前記固定側先端ローラに接近する方向に移動可能であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の振分装置は、請求項1又は2に記載の振分装置において、前記弾性部材は、前記ベルトコンベアのベルト内側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の振分装置によれば、以下の優れた効果を奏し得る。上流側又は下流側の先端ローラのうち駆動手段で揺動させられる揺動側先端ローラが弾性部材の弾性力で支持されており、上流工程又は下流工程に設けられる装置類との間に物品が噛み込んだ場合でも、ローラが弾性力に抗して逃げるため、ベルトコンベアや装置類に対する負荷が抑えられ、それらの破損が確実に防止されるほか、誤って手等を挟み込まれても重大な事故にならずに済む。また、揺動側先端ローラを小径にしたため、揺動に伴う慣性力が小さくなり、振分動作に対する応答性やベルトコンベアの耐久性を向上させることができる一方、物品の噛み込みが発生してもローラが逃げて容易に破損することはない。
【0009】
請求項2に記載の振分装置によれば、請求項1に記載の振分装置が奏し得る効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。揺動側先端ローラは、前記固定端側に接近する方向、すなわちベルトコンベアの全長を縮める方向に移動するので、上流工程又は下流工程に設けられる装置類との隙間が拡大して、破損が一層確実に防止される。
【0010】
請求項3に記載の振分装置によれば、請求項1に記載の振分装置が奏し得る効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。弾性部材をベルト内側に設けるので、コンベア幅を大きくする必要がなく、ベルトコンベア全体を軽量化して、振分動作に対する応答性やベルトコンベアの耐久性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る振分装置が備えられる検査システム全体の外観を示す正面図、図2は平面図である。図3は、振分装置の内部構造を示す正面図、図4は平面図である。図5は、振分装置に備えられる上流ベルトコンベアの下流端と下流ベルトコンベアの上流端に設けられるローラの構造を示す(a)正面断面図と(b)平面断面図である。図6は、搬送物品Gが上流及び下流ベルトコンベアの間に挟み込まれた際の作用を説明する図である。
【0012】
本実施形態に係る振分装置1は、図1及び図2に示されるように、検査装置Xの下流に配設されて検査システムを構成する。検査装置Xは、ロードセルで支持される計量コンベアX1を備えており、これを通過する物品Gの重量が所定重量範囲内に収まるか否かを判定する。検査装置Xは、搬送物品Gの重量が所定重量範囲外であると判定したときには、振分装置1に異常信号を送信する。
【0013】
(振分装置1)
振分装置1は、物品の搬送方向に連続配置される上流ベルトコンベア2と下流ベルトコンベア3を備えてなり、通常時は、検査装置Xからの搬送物品Gを通過させて次工程(図1中の右側)へ搬出する。しかし、検査装置Xからの異常信号を受信したときは、該当物品の搬送中に、図1に一点鎖線で示されるように、上流ベルトコンベア2の下流端2b側の先端ローラを下方に揺動するとともに、下流ベルトコンベア3の上流端3a側の先端ローラを上方に揺動して、その開いた空間(落下口)Sに物品を振り分ける。振り分けられた物品Gは、空間Sの下方に設けられる不図示のシューターによって回収される。
【0014】
(上流ベルトコンベア2)
上流ベルトコンベア2は、図3及び図4に示されるように、上流端2a側の先端ローラとなる駆動ローラ21と、駆動ローラ21よりも小径に形成され、下流端2b側の先端ローラとなる従動ローラ22を備える。これらのローラ21,22は、コンベアのフレーム23に対して回転支持され、コンベアベルト24が巻き掛けられる。フレーム23は、ローラ間において、コンベアベルト24を下面から支持するとともに、コンベアベルト24の幅方向の両側に延出して振分装置1の本体4との隙間を詰める天板部231を備える。
【0015】
フレーム23には、図4に示されるように、駆動ローラ21に固定される軸部211,212を支持する軸受部25,26が連結固定される。軸受部25は、中空筒状体で、その外周面がフレーム23にネジで連結固定されており、内側に軸部211を回転支持するベアリング251を備えるとともに、外側の先端部に六角柱形の揺動軸252が一体形成されている。軸受部26は、中空筒状体で、その外周面がフレーム23にネジで連結固定されており、内側に軸部212を回転支持するベアリング261を備える。ベアリング261で支持される軸部212の先端には、後述する駆動部421と連結するための連結具262が設けられる。
【0016】
下流端2b側の先端ローラとして設けられる従動ローラ22は、図5(b)に示されるように、その両端の内部に嵌合するベアリング221,222を備えており、これらのベアリングにフレーム23の下流端側に掛け渡される支持軸232が挿嵌されることにより、フレーム23に対して回転可能に支持されることになる。支持軸232の両端は、フレーム23に固定される支持ブロック233,234に形成される溝233a,234aに係合されることによりフレーム23に掛け渡されている。溝233a,234aは、図5(a)及び(b)に示されるように、物品搬送方向に延びる長穴形状であり、支持軸232は、溝233a,234aの搬送方向の範囲内で上流側の駆動ローラ21に接近する方向、すなわち、上流ベルトコンベア2の全長を縮める方向に移動可能とされている。
【0017】
さらに、溝233a,234aの内部には、支持軸232をコンベアベルト24の張力より大きい力で、物品搬送方向の下流側に押圧するように支持して、従動ローラ22に巻き掛けられるコンベアベルト24が緩まないようにする一方、下流ベルトコンベア3との間に搬送物品が噛み込む等の大きな負荷がかかった場合には、弾性変形して従動ローラ22を上流側の駆動ローラ21に接近する方向に逃がす弾性部材としてのコイルスプリング235,236が備えられている。なお、支持軸232の両端には、コイルスプリング235,236による支持が確実に行われるように、スプリング着座面232a,232bが形成されている。また、コイルスプリングが圧縮変形する際に径方向寸法が拡大することを考慮して、溝233a,234aは、コイルスプリング235,236が圧縮変形される際の動きを阻害しないよう、コイルスプリング235,236の収容部分において溝の上下幅が広めに設定されている。
【0018】
フレーム23の下面側で幅方向の両端内側には、上流ベルトコンベア2を後述する揺動部材461に着脱可能に連結するための連結部27が備えられている。連結部27は、コンベアの搬送方向に延びるプレート状のガイド部材271と、ガイド部材271を搬送方向に摺動自在に支持する二本(複数本)のガイド軸272,273とを備えてなる。ガイド部材271は、図3に示されるように、揺動部材461の端部に設けられるコロ部461aを摺動可能に保持する長穴状の溝部271aが形成されており、溝部271aにはコロ部461aを着脱可能とするための切欠271bが設けられている。
【0019】
また、ガイド部材271には、図3に示されるように、ガイド軸272,273を挿通させるとともに、自らをフレーム23に対して搬送方向に摺動可能とするガイド穴271c,271dが形成されている。ガイド部材271は、その上部から延びて天板部231の上面側に貫通する着脱レバー271eを水平方向に摺動操作することにより、揺動部材461と連結した状態と、揺動部材461に対して着脱可能な状態とを切り替えることができる。
【0020】
(下流ベルトコンベア3)
下流ベルトコンベア3は、図3及び図4に示されるように、上流ベルトコンベア2と基本的な構造は同じであるが、上流端3a側に、駆動ローラ32よりも小径に形成され、上流側の先端ローラとして設けられる従動ローラ31を備え、下流端3b側に、下流側の先端ローラとして設けられる駆動ローラ32を備える点が異なる。これらのローラ31,32は、下流ベルトコンベア3のフレーム33に対して回転支持され、コンベアベルト34が巻き掛けられる。フレーム33は、ローラ間において、コンベアベルト34を下面から支持するとともに、コンベアベルトの幅方向の両側に延出して振分装置1の本体4との隙間を詰める天板部331を備える。
【0021】
上流側の先端ローラとして設けられる従動ローラ31は、図5(b)に示されるように、その両端の内部に嵌合するベアリング311,312を備えており、これらのベアリングにフレーム33の下流端側に掛け渡される支持軸332が挿嵌されることにより、フレーム33に対して回転可能に支持される。支持軸332の両端は、フレーム33に固定される支持ブロック333,334に形成される溝333a,334aに係合されることによりフレーム33に掛け渡されている。溝333a,334aは、図5(a)及び(b)に示されるように、物品搬送方向に延びる長穴形状であり、支持軸332は、溝の搬送方向における長さの範囲内で下流側の駆動ローラ32に接近する方向、すなわち、下流ベルトコンベア3の全長を縮める方向に移動可能とされている。
【0022】
さらに、溝333a,334aの内部には、支持軸332をコンベアベルト34の張力より大きい力で上流側に押圧するように支持して、従動ローラ31に巻き掛けられるコンベアベルト34が緩まないようにする一方、上流ベルトコンベア2の従動ローラ22との間に搬送物品が噛み込む等の大きな負荷がかかった場合には、弾性変形して従動ローラ31を下流側の駆動ローラ32に接近する方向に逃がす弾性部材としてのコイルスプリング335,336が備えられている。なお、支持軸332には、コイルスプリング335,336による支持が確実に行われるように、スプリング着座面332a,332bが形成されている。また、溝333a,334aは、コイルスプリング335,336が圧縮変形される際の動きを阻害しないよう、コイルスプリング335,336の収容部分において溝幅が広めに設定されている。
【0023】
フレーム33の下流端側には、駆動ローラ32の軸部321,322を支持する軸受部35,36が連結固定される。軸受部35は、中空筒状体で、その外周面がフレーム33にネジで連結固定されており、内側に軸部321を回転支持するベアリング351を備えるとともに、外側の先端部に六角柱形の揺動軸352が一体的に形成されている。軸受部36は、中空筒状体で、その外周面がフレーム33にネジで連結固定されており、内側に軸部322を回転支持するベアリング361を備えている。ベアリング361で支持される軸部321の先端には、駆動軸423と連結するための連結具362が設けられる。
【0024】
フレーム33の下面側で幅方向の両端内側には、下流ベルトコンベア3を後述する揺動部材461に着脱可能に連結するための連結部37が、幅方向に二個(複数個)備えられている。連結部37は、コンベアの搬送方向に延びるプレート状のガイド部材371と、ガイド部材371を搬送方向に摺動自在に支持する二本(複数本)のガイド軸372,373とを備えてなる。ガイド部材371は、図4に示されるように、揺動部材461の端部に設けられるコロ部461bを摺動可能に保持する長穴状の溝部371aが形成されており、溝部371aにはコロ部461bを着脱可能とするための切欠371bが設けられている。
【0025】
また、ガイド部材371には、図3に示されるように、ガイド軸372,373を挿通させるとともに、自らをフレーム33に対して搬送方向に摺動可能とするガイド穴371c,371dが形成されている。ガイド部材371は、その上部から延びて天板部331の上面側に貫通する着脱レバー371eを水平方向に摺動操作することにより、揺動部材と連結した状態と、着脱可能な状態とを切り替えることができる。
【0026】
(本体4)
本体4は、上流ベルトコンベア2及び下流ベルトコンベア3を両側方から挟みこむように配置される箱状の側壁部41,42と、上流ベルトコンベア2の下方で側壁部41,42を連結する箱状の基台部43(図3)からなる。基台部43には、上流ベルトコンベア2及び下流ベルトコンベア3を搬送駆動するための駆動源となるモーター44(図4)、及び上流ベルトコンベア2及び下流ベルトコンベア3を揺動駆動するための駆動源となるモーター45が搭載される。すなわち、モーター44及びモーター45は、カバーとなる箱状の本体4で覆われている。
【0027】
側壁部41の搬送方向の両端部には、図4に示されるように、軸受部25,35の先端部に設けられる六角柱形の揺動軸252,352を揺動可能に受止支持する支持軸受411,412が固定されている。側壁部42の搬送方向の両端部には、駆動ローラ21,32に設けられる連結具262,362と連結する駆動軸421,422がベアリング421a,422aで回転自在に支持される。駆動軸421,422は、ベルトプーリー421b,422bを備えており、駆動ベルト441を介してモーター44(図4)のベルトプーリー44aと連結される。なお、駆動軸421,422は、その先端に設けられる桿状軸421c,422cが、連結具262,362に形成される切欠262a,362aに係合することにより、モーター44の駆動力を駆動ローラ21,32に伝達できる一方、軸方向への挿抜のみで容易に切り離しできるようになっている。
【0028】
側壁部41,42には、回動軸46が、両端部を側壁部41,42の内側に設けられる回動軸受417、418で回動支持されている。回動軸46は、コンベアの下方で、コンベアの幅方向に延びるように、側壁部41,42に架渡されており、幅方向の中間部が本体4の外側に露出している。回動軸46の中間部(露出部分)には、上方側が抉られるように湾曲するブーメラン状の揺動部材461が、上述した連結部271,371に対応するように、コンベアの幅方向の内側で、かつ、コンベアの下方に設けられている。揺動部材461の両端部には、コロ部461a,461bが設けられている。
【0029】
コロ部461a,461bは、それぞれガイド部材271,371の溝部271a,371aにはめ込まれており、これによって、複数個の揺動部材461がそれらの両端部を上流ベルトコンベア2及び下流ベルトコンベア3と摺動可能に連結されることになる。側壁部41の内部に貫通した回動軸46の先端には、側壁部41内を搬送方向に延びるアーム47の一端47aが固定されている。アーム47の他端47bは、モーター45の駆動軸に取り付けられる回転板45aの周縁部と長さ調節可能なコネクティングロッド48で連結されている。コネクティングロッド48は、その両端部が回動可能に連結されている。
【0030】
したがって、モーター45を回転させると、その駆動力が、図3に矢印で示されるように、コネクティングロッド48、アーム47、回動軸46、揺動部材461、連結部27,37を介して、上流ベルトコンベア2及び下流ベルトコンベア3に伝達される。すなわち、二台のベルトコンベア2,3は、図1に示されるように往復揺動することになる。モーター45はサーボ制御されており、180度ずつ回転させられて停止するよう設定されている。但し、各部材の慣性重量によってオーバーランする恐れがあるため、モーター45の駆動軸に、正面視で繭玉に形成される弾性樹脂製のカム体49を取り付け、その凹曲部49aにブレーキローラー49bを嵌り込ませることにより、図1に示されるいずれかの状態で上流ベルトコンベア2及び下流ベルトコンベア3を確実に停止できるように配慮されている。
【0031】
(上記実施形態の作動)
上記実施形態の作動について説明する。検査システムの運転時において、振分装置1の上流ベルトコンベア2及び下流ベルトコンベア3は、モーター44により常時駆動されて、検査装置Xから搬入されてくる物品を連続的に搬送している。そして、検査装置Xで物品重量が所定重量範囲外となる不良品と判定された物品が振分装置1を通過するときには、検査装置Xからの異常信号に基づいて、モーター45の駆動軸を180度回転させて、上流ベルトコンベア2の下流端2bを下方に揺動するとともに、下流ベルトコンベア3の上流端3aを上方に揺動する。これにより、空間Sから振分装置1の下方へ不良品を振り分けることができる。なお、モーター45をさらに180度回転させることにより、上流ベルトコンベア2及び下流ベルトコンベア3を元の状態に戻すことができる。
【0032】
ベルトコンベアが上下揺動するタイミングと、物品Gが落下口Sに搬送されてくるタイミングがずれた場合には、図6に示されるように、上流ベルトコンベア2と下流ベルトコンベア3の間に物品Gが挟み込まれて、各揺動側の先端ローラである従動ローラ22,31に大きな負荷が掛かることとなるが、かかる場合には、上流ベルトコンベア2に設けられる従動ローラ22は上流側へ逃げるように、また、下流ベルトコンベア3に設けられる従動ローラ31は下流側に逃げるようにして、両ローラ間における隙間が確保されるため、物品Gは下方に滑り落ちて、ローラが損傷する事態は回避される。
【0033】
(上記実施形態の特徴)
上記実施形態にかかる振分装置は、上記のように構成される結果として、下記の特徴を有する。
【0034】
第一に、モーター45等の駆動手段によって揺動させられて揺動側先端ローラとなる従動ローラ22,31が、弾性部材で支持されているという特徴を有する。したがって、両従動ローラ22,31の間に物品が噛み込んだ場合でも、各ローラが逃げてベルトコンベアに対する負荷が抑えられるため、ベルトコンベアの破損は確実に防止される。また、誤って両従動ローラ22,31の間に手等を挟み込まれた場合でも重大事故にならずに済む。
【0035】
第二に、モーター45等の駆動手段によって揺動させられる従動ローラ22,31が、各ベルトコンベアの他端に設けられて固定側先端ローラとなる駆動ローラ21,32よりも小径であるという特徴を有する。したがって、ベルトコンベアの揺動に伴う慣性力が小さくなり、振分動作に対する応答性やベルトコンベアの耐久性を向上させることができる。なお、ローラを小径に形成した場合は十分な強度を確保することが難しいが、上述したように弾性部材で支持されているため、物品の噛み込みが発生してもローラが逃げて容易に破損することはない。
【0036】
第三に、揺動側先端ローラである従動ローラ22,31は、固定側先端ローラである駆動ローラ21,32に接近する方向に移動可能であるという特徴を有する。すなわち、ベルトコンベアをその全長を縮める方向に変形させるので、ローラが逃げる際には、ベルトコンベア間の隙間が拡大して、ベルトコンベアの破損が一層確実に防止されるものである。
【0037】
(上記実施形態の第一変形例)
上記実施形態では、揺動側先端ローラとなる従動ローラ22,31を支持する弾性部材をコンベアベルト24,34の外側に設けることとしたが、これに代えて、図7(a)及び(b)に示されるように、コンベアベルト24,34の内側に弾性部材(コイルスプリング239,339)を設けるようにしても良い。弾性部材をコンベアベルトの内側に設けることで、コンベア幅を小さく抑えることができ、その結果として、ベルトコンベア全体を軽量化して、振分動作に対する応答性やベルトコンベアの耐久性を確保することができる。ここで、図7の振分装置について説明するが、従動ローラ22,31の弾性部材による支持構造を除いて、上記実施形態と同一構造が採用されており、同一構造には上記実施形態と同一符号を使用する。
【0038】
支持軸232の両端には、揺動ブラケット237が上流側に向けて延びるように固定されており、支持軸332の両端には、揺動ブラケット337が下流側に延びるように固定されている。揺動ブラケット237の内側には、物品Gの搬送方向に間隔をおいて二本のスライド軸237a,237b突設され、揺動ブラケット337の内側には、物品Gの搬送方向に間隔をおいて二本のスライド軸337a,337b突設される。スライド軸237a,237bは、フレーム23(図7では不図示)に固定される固定ブラケット238の溝238aで物品搬送方向にスライド可能に支持されており、上流側寄りのスライド軸237aは、弾性部材としてのコイルスプリング239によって下流側に向けて引っ張られている。また、スライド軸337a,337bは、フレーム33(図7では不図示)に固定される固定ブラケット338の溝338aで物品搬送方向にスライド可能に支持されており、下流側寄りのスライド軸337aは、弾性部材としてのコイルスプリングにより上流側に向けて引っ張られている。
【0039】
すなわち、従動ローラ22は下流側に寄せられた状態で、また、従動ローラ31は上流側に寄せられた状態で弾性支持されており、両ローラ間に物品Gが挟み込まれたときには、上記実施形態と同様に、それぞれ駆動ローラ21,32に接近して、ベルトコンベアの全長を縮める方向に移動可能とされている。なお、溝238a,338aは、物品搬送方向の途中部における上下方向幅が広く設定されているため、図7(c)に示されるように、揺動ブラケット237,337がスライド軸237a,337aを中心に揺動して、従動ローラ22,31は、ベルトコンベアの全長方向と交差する方向にも移動することができる。これにより、物品の挟み込みに対して、従動ローラ22,31を一層スムーズに逃がすことができるものである。
【0040】
(上記実施形態の第二変形例)
上記実施形態では、揺動側先端ローラ(従動ローラ22,31)の支持軸232,332を、フレーム23,33に設けられた弾性部材(スプリング235,236,335,336)で弾性支持して、揺動側先端ローラが物品の噛み込み等で負荷を受けた場合に、これを固定側先端ローラへ接近する方向に逃がすこととしたが、変形例として、フレームを2分割形成し、一方の分割フレームに固定側先端ローラを軸受支持させる一方、他方の分割フレームに揺動側先端ローラを軸受支持させ、両分割フレーム間に弾性部材を介在させて、その弾性力で揺動側先端ローラを固定側先端ローラに対して弾性支持する構造を採用しても良い。
【0041】
例えば、上記実施形態に記載される下流ベルトコンベア3のフレーム33を、図8(a)に示されるように、物品搬送方向で二つの分割フレーム33a,33bに分割して形成し、各分割フレーム33a、33bに、小径の揺動側先端ローラ(従動ローラ31)及び大径の固定側先端ローラ(駆動ローラ32)を、それぞれ弾性部材を介することなく軸受支持させる。そして、一方の分割フレーム33aに設けられる長穴状のスライド部Lに、他方の分割フレーム33b側に設けられるピン状のスライダーP1を係合させることにより、両分割フレームを物品搬送方向で相対摺動可能となるように連結する。なお、図8では、コンベアの幅方向に延出する天板部の一部及びそれに固定される軸受部が図示省略されている。
【0042】
さらに、両分割フレーム間に弾性部材である圧縮コイルスプリングS1を設けることにより、その弾性力で、図8(b)に示されるように、分割フレーム33aを分割フレーム33bに対して弾性支持させる。なお、当該弾性力は、コンベアベルト34を回転駆動させるために必要な張力より若干大きい程度に設定されている。その結果、上記実施形態と同様に、コンベアベルト34を回転駆動可能とする張力が付与され、分割フレーム33aに支持される従動ローラ31に物品噛み込み等による負荷が生じる場合には、従動ローラ31が、コイルスプリングS1の弾性力に抗して、図8(c)に示されるように、駆動ローラ32へ接近する方向に逃げる。なお、ここでは、上流ベルトコンベア2のフレーム23に関する説明を省略したが、やはりフレーム33と同様に、分割形成した分割フレームを相対摺動自在に連結し、それらの間に弾性部材を介在させて、その弾性力で従動ローラ22を支持させ、物品噛み込み等が生じた場合には、従動ローラ22を弾性力に抗して駆動ローラ21へ接近する方向に逃がすようにする。
【0043】
本変形例によれば、上記実施形態と同様に、振分動作タイミングのずれで上流及び下流ベルトコンベア間に物品が噛み込んだ場合でも、それぞれの揺動側先端ローラが弾性部材の弾性力に抗して逃げ、ベルトコンベア間の隙間を広げるため、ベルトコンベアに対する負荷が小さく抑えられて破損が防止される。また、揺動側先端ローラが固定側先端ローラより小径であるため、上記実施形態と同様に、揺動に伴う慣性力が小さく、物品噛み込み時もローラを逃がし易い。本変形例では、揺動側先端ローラの支持軸を弾性部材で支持する場合に比べて、弾性部材の配置スペースを大きくでき、ベルトコンベアが小さくても本発明の適用が容易で、さらに弾性力の大きさを調整する調整機構を追加することも容易になる。
【0044】
(上記実施形態の第三変形例)
上記第二変形例では、両分割フレーム33a,33bを物品搬送方向で相対摺動可能となるように連結し、揺動側先端ローラをベルトコンベアの物品搬送方向に沿って移動可能としたが、これに代えて、両分割フレームを、物品搬送方向と直交する水平軸回りを上下方向に相対揺動できるように連結し、揺動側先端ローラをベルトコンベアの物品搬送経路に対して上下方向に移動可能としても良い。
【0045】
例えば、上記実施形態に記載される上流ベルトコンベア2のフレーム23を、図9(a)に示されるように、物品搬送方向で二つの分割フレーム23a,23bに分割して形成し、各分割フレーム23a、23bに、小径の揺動側先端ローラ(従動ローラ22)及び大径の固定側先端ローラ(駆動ローラ21)を、それぞれ弾性部材を介することなく軸受支持させる。そして、一方の分割フレーム23aに設けられる揺動支持部(貫通穴H1)と、他方の分割フレーム23bに設けられる揺動支持部(貫通穴H2)に、ピン状の連結軸P2を係合させて、図9(b)に示されるように、両分割フレーム23a,23bを、水平方向に延びる連結軸P2を中心として上下方向に相対揺動できるように連結する。なお、図9では、コンベアの幅方向に延出する天板部の一部及びそれに固定される軸受部が図示省略されている。
【0046】
さらに、弾性部材となるトーションスプリングS2の筒状の巻き部分に連結軸P2を挿通させて、スプリングの腕を各分割フレームに押し当てるとともに連結軸P2から外れないようにEリングで保持することにより、トーションスプリングS2の弾性力で、図9(b)に実線で示されるように、分割フレーム23aが分割フレーム23bに対して弾性支持する。なお、弾性力は、コンベアベルト24に回転駆動のために必要な張力を付与し、通常の物品搬送中あるいは通常の物品振分時に分割フレーム23aが下方に逃げないように保持するが、通常より大きな負荷が生じたときには下方に逃げる程度に設定されている。したがって、上記実施形態と同様に、分割フレーム23aに支持される従動ローラ22に、物品噛み込み等による負荷が生じる場合には、従動ローラ22がトーションスプリングS2の弾性力に抗して、図9(b)に一点鎖線で示されるように、下方へ逃げる。なお、ここでは、下流ベルトコンベア3のフレーム33に関する説明を省略したが、フレーム23と同様に、分割形成したものを上下方向に相対摺動可能に連結し、それらの間にトーションスプリングを介在させる。但し、図9(b)に示されるように従動ローラを下方揺動可能に連結するのではなく、上方揺動可能に連結して、弾性部材の弾性力を従動ローラが不意に上方揺動しない程度に設定する。
【0047】
本変形例によれば、振分動作タイミングのずれで上下流のベルトコンベア間に物品が噛み込んだ場合、下方遥動する上流ベルトコンベアの揺動側先端ローラが弾性力に抗して下方へ逃げ、上方遥動する下流ベルトコンベアの揺動側先端ローラが弾性力に抗して上方に逃げて、ベルトコンベア間の隙間を広げるため、ベルトコンベアに対する負荷が小さく抑えられて、破損が防止される。また、揺動側先端ローラが固定側先端ローラより小径であるため、上記実施形態と同様の効果を奏する。本変形例では、上記実施形態のように揺動側先端ローラの支持軸を弾性部材で支持する場合に比べて、弾性部材や弾性力調整機構の設置スペースの確保が容易であり、さらに揺動側先端ローラが、物を挟み込む方向と略逆方向に逃げるので、ベルトコンベアの破損防止が一層確実に行われる。
【0048】
(その他の変形例)
上記実施形態及びその第一乃至第三変形例では、物品搬送方向に二台のベルトコンベアを連続配置して、上流ベルトコンベア2の下流側の先端ローラを下方に揺動させる一方、下流ベルトコンベア3の上流側の先端ローラを上方に揺動させて、物品を上下方向に振り分けることとしたが、駆動手段で上下に揺動させられるベルトコンベアは一台のみとしてもよい。また、上流ベルトコンベアと下流ベルトコンベアの双方を上下揺動させる場合において、いずれか一方の揺動側先端ローラのみを弾性力によって支持することとしても良く、上流ベルトコンベアと下流ベルトコンベアの揺動側先端ローラの弾性支持構造を変えても良い。第三変形例では、上流ベルトコンベアの揺動側先端ローラが下方へ、下流ベルトコンベアの揺動側先端ローラが上方へ逃げるようにしたが、逃げる方向の組合せはこれに限らず、例えば共に上方又は共に下方へ逃げるようにしても良いし、上下逆でも良い。さらに、ベルトコンベアをコンベア以外の装置と隣接配置して、当該装置に接するローラを上下に揺動させることとしても良い。その他、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態に係る振分装置が備えられる検査システム全体の外観を示す正面図。
【図2】本実施形態に係る振分装置が備えられる検査システム全体の外観を示す平面図。
【図3】本実施形態に係る振分装置の内部構造を示す正面図。
【図4】本実施形態に係る振分装置の内部構造を示す平面図。
【図5】本実施形態に係る振分装置に備えられる上流ベルトコンベアの下流端と下流ベルトコンベアの上流端に設けられるローラの構造を示す(a)正面断面図及び(b)平面断面図。
【図6】本実施形態に係る振分装置において、搬送物品が上流及び下流ベルトコンベアの間に挟み込まれた際の作用を説明する図。
【図7】本実施形態の第一変形例を示す図であって、上流ベルトコンベアの下流端と下流ベルトコンベアの上流端に設けられるローラの構造を示す(a)正面図及び(b)平面断面図、並びに(c)搬送物品が上流及び下流ベルトコンベアの間に挟み込まれた際の作用を説明する図。
【図8】本実施形態の第二変形例に係る下流ベルトコンベアのフレームの斜視図で、(a)分解状態、(b)組立状態、及び(c)揺動側先端ローラが弾性力に抗して移動した状態を示す。
【図9】本実施形態の第三変形例に係る下流ベルトコンベアのフレームの斜視図で、(a)分解状態、及び(b)組立状態を示す。
【符号の説明】
【0050】
1 振分装置
2 上流ベルトコンベア
3 下流ベルトコンベア
4 本体
235,236 コイルスプリング(弾性部材)
335,336 コイルスプリング(弾性部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアと、該ベルトコンベアの上流側又は下流側の先端ローラを上下方向に揺動させる駆動手段と、を備えてなり、上流工程からの供給物品を上下に振り分けする振分装置において、
前記駆動手段によって揺動させられる揺動側先端ローラが、弾性部材の弾性力によって支持されており、かつ、前記ベルトコンベアの他端に設けられる固定側先端ローラよりも小径であることを特徴とする振分装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振分装置において、
前記揺動側先端ローラは、前記固定側先端ローラに接近する方向に移動可能であることを特徴とする振分装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の振分装置において、
前記弾性部材は、前記ベルトコンベアのベルトの内側に設けられていることを特徴とする振分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−266021(P2008−266021A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67736(P2008−67736)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】