説明

振動ボウルおよび振動ボウルフィーダ並びに真空蒸着装置

【課題】被搬送物の個数を正確に計数可能な振動ボウル等を提供する。
【解決手段】振動ボウル10は、被搬送物15の集合体を溜めることを可能にした凹部10aと、前記凹部10aの内側において前記被搬送物15を加振することにより前記被搬送物15を搬送可能な搬送路20と、前記搬送路20の終端近傍に存在する前記被搬送物15の搬送方向に対して、前記被搬送物15を略直角方向かつ斜め下方向に沿って前記凹部10aの外側に排出させて構成されるステップ部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動ボウルおよび振動ボウルフィーダ並びに真空蒸着装置(以下、振動ボウル等という。)に係り、更に詳しくは、被搬送物を加振することによってこの被搬送物を外部に排出する被搬送物の供給技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
被搬送物に対する加振動作を利用して、電子部品や精密機械部品といった多種多様な被搬送物を自動的に一定の方向に並べたうえで、この被搬送物を定数または定量、次の製造工程に送り出すための振動フィーディングシステムは、従来から良く知られている。
【0003】
例えば、振動部によって振動されたボウルから排出したパーツの供給個数を、シュートの途中で検知可能な部品検知装置(発光素子と光電変換素子)が開示されている(従来例としての特許文献1参照)。
【0004】
また、バイブレーターにより加振されるボウルフィーダ(ボウル)の側面に、螺旋状の溝を形成して、バイブレーターの振動によってボウルフィーダの内部の蒸着材料が螺旋状の溝に沿って蒸着材料排出口に移送して構成された蒸着材料供給装置が開発されている(従来例としての特許文献2参照)。
【0005】
また他の従来例として、振動装置を振動させる圧電振動素子から得られた信号を検出可能な振動検知手段を備えたパーツフィーダ制御方法が開示され、これによって、制御部が、振動検知手段によって得られるフィードバック信号によって、圧電振動素子を駆動する電力増幅器を制御することを可能ならしめている(従来例としての特許文献3参照)。
【0006】
更に、検知杆が、その直下を通過するワークの残量に応じて揺動し、この動きを近接センサが検知してワーク送り出し装置(振動式ホッパ)を自動的に運転または停止可能なワーク供給装置も開発されている(従来例としての特許文献4参照)。
【0007】
また、多数のワークを内周に沿った搬送トラックの上で振動を加えて整列搬送するボウルと、使用電力の電圧、周波数等で決まるワーク搬送用振動を、このボウルに加える加振部と、このボウルの搬送トラック先端出口に装着されてこの出口からのワーク通過量を検知して電気信号を出力するセンサと、このセンサからの信号入力に応じて加振部の供給電力を制御して出口からのワーク通過量を制御する電気制御部と、を具備したパーツフィーダも提案されている(従来例としての特許文献5参照)。
【0008】
また、ホッパー内のパーツの総量が概ね一定に保たれるように、ホッパーにパーツを補充する補充タンクの開閉動作および/またはトラフへのパーツ供給動作を制御するための水銀遅動スイッチも知られている(従来例としての特許文献6参照)。
【0009】
更に、複数段または複数列に集まった部品集合体を加振してトラックを搬送させる際に、こうした部品集合体を整列させるための層崩し溝をトラックに設けた振動パーツフィーダも開示されている(従来例としての特許文献7参照)。
【特許文献1】特開平6−72532号公報
【特許文献2】特開2003−321768号公報
【特許文献3】特開2003−48614号公報
【特許文献4】実開平6−6325号公報
【特許文献5】実開昭60−173517号公報
【特許文献6】実開昭59−88019号公報
【特許文献7】特開平10−181850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで真空蒸着装置の真空槽内部において蒸着させるための顆粒状の金属球(直径:約1.5mm)を所定数(例えば10個)、正確に蒸着場所に供給する状況を想定すると、上記各従来例に示された被搬送物の供給技術には、次のような問題に対して十分に配慮されているとは言い難いと、本願発明者等は考えている。
【0011】
以下、上記の各従来例と適宜対比しながら、これらに開示された被搬送物の供給技術の問題点を述べる。
【0012】
第1に、上記の各従来例に記載の被搬送物の供給技術では何れも、振動ボウルから外部に排出された被搬送物(例えば、蒸着場所に送る金属球)の個数を、正確に把握するための個数検知手段を得るという技術課題への認識に乏しい。
【0013】
確かに特許文献1または特許文献5に記載のパーツフィーダは一見、こうした個数検知手段に類するセンサを備えている。
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載の部品検知装置は、パーツフィーダの出口から遠くに離間したシュートの途中に置かれており、パーツフィーダの出口から排出された所定の時間内のパーツの個数の総和と、部品検知装置によって得られる個数データに基づく同時間内のパーツの個数の総和との間には、パーツが出口から排出された時点からパーツが部品検知装置に到達する迄の時間差に起因した個数ずれ発生の可能性が高く、このことから、特許文献1に記載の検知技術は、蒸着場所に供給する金属球の総個数を正確に把握することを意図した個数検知手法には不向きである。
【0015】
これに対して、特許文献5に記載の光センサは、搬送トラックの出口の近傍に装着されているものの、光センサを装着した箇所の搬送トラックは、水平に設置されている。このため、ワークが同時に集まって塊状に搬送トラックを流れることに起因して、光センサによるワーク個数検知エラーの可能性があり、このことから、特許文献5に記載の検知技術も、蒸着場所に供給する金属球の総個数を正確に把握することを意図した個数検知手法には不向きである。
【0016】
第2に、上記の各従来例に記載の被搬送物の供給技術では、被搬送物を外部に排出する排出出口が、被搬送物の搬送方向に沿っているという接線方向排出技術が採用されている。このため、単位時間当たりに、被搬送物(例えば、顆粒状の金属球)を一個ずつ、正確に外部(例えば、金属球を案内するシュート部やシュート部に接続した蒸着場所)に導くことを困難せしめている。
【0017】
例えば、特許文献6に記載の振動型ボウルフィーダを例に接線方向排出技術に関する問題を言及すると、接線方向に沿って連続的にパーツが振動型ボウルフィーダから外部に排出された場合、トラフの設置状況如何によっては(例えば、トラフを水平に設置させた場合)、パーツが複数個連なった状態のまま、トラフやトラフの下流の搬送経路を搬送される懸念が残り、延いては振動型ボウルフィーダから外部に排出されたパーツの個数を個数検知手段により確実に検知できない要因になり得る。
【0018】
また、特許文献5に記載のパーツフィーダを例に別の観点からの接線方向排出技術に関する問題点を言及すると、搬送トラックの出口からボウルに対して接線方向に延びるシュートに載ったワークの搬送速度は、振動ボウルによるワークに対する搬送能力の変動に依存して変化する。そうすると、ワークに対する搬送能力が、設定規定値からずれた場合にシュートのワーク搬送速度が変化して、単位時間当たりにシュートを通過するワーク個数制御が困難になる。
【0019】
第3に、上記の各従来例に記載の被搬送物の供給技術を参酌しても、搬送路の途中において被搬送物の集合体を一列または一段に並べ得る、簡易な配列手段を実現することが難しい。
【0020】
従来例のうちの特許文献7は、矩形状の部品を一列かつ一段に並べる構成(例えば、トラックに加工された層崩し溝)を備えた振動パーツフィーダを示した文献であるが、本願発明者等は、金属球のような対称形状のシンプルな被搬送物を対象とした際には、特許文献7に記載の層崩し溝のようにトラックに複雑な加工を施さなくても、同様の効果を発揮するより簡易な配列手段を実現可能であると、考えている。
【0021】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、被搬送物の個数を正確に計数可能な振動ボウル等を提供することを第1の目的とする。
【0022】
また、本発明は、単位時間当たりに、被搬送物を一個ずつ、正確に外部に導くことを可能にした振動ボウル等を提供することを第2の目的とする。
【0023】
更に、本発明は、搬送路の途中において被搬送物の集合体を簡易な配列手段により一列または一段に並べることを可能にした振動ボウル等を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決するため、本発明に係る振動ボウルは、被搬送物の集合体を溜めることを可能にした凹部と、前記凹部の内側において前記被搬送物を加振することにより前記被搬送物を搬送可能な搬送路と、前記搬送路の終端近傍に存在する前記被搬送物の搬送方向に対して、前記被搬送物を略直角方向かつ斜め下方向に沿って前記凹部の外側に排出させて構成されるステップ部と、を備えて構成される。
【0025】
なおここで、前記ステップ部は、例えば前記搬送路をその幅方向かつ下方に欠いた切欠斜面を有して構成されている。
【0026】
こうしたステップ部によれば、被搬送物を凹部から外部に排出する際に、搬送路の終端近傍にある被搬送物の搬送方向に直交した直交方向排出技術が実現される。こうした直交方向排出技術を採用することによって、仮に被搬送物が連続的に搬送される状況であっても、被搬送物の搬送方向が一旦、ステップ部により略直角に変えられ、こうした搬送方向の変化に起因してステップ部を流れる被搬送物同士の間に適正な離間が確保される。このため、被搬送物が複数個連なった状態のままステップ部およびその下流の搬送経路を搬送される事態が解消され、延いては振動ボウルから外部に排出された被搬送物の個数を個数検知手段により確実に検知可能になる。
【0027】
また、振動ボウルによる被搬送物に対する振動搬送能力が、設定規定値からずれたとしても、ステップ部における被搬送物の搬送速度は、下方に傾斜する切欠斜面の傾斜角および被搬送物の自重によって決定され、単位時間当たりにステップ部を通過する被搬送物の個数制御が容易化する。
【0028】
また、本発明に係る振動ボウルは、被搬送物の集合体を溜めることを可能にした凹部と、前記凹部の内側において前記被搬送物を加振することにより前記被搬送物を搬送可能な搬送路と、前記搬送路の終端近傍に存在する前記被搬送物を、斜め下方向に沿って前記凹部の外側に排出させて構成されるステップ部と、を備え、前記ステップ部は、その搬送途中にある前記被搬送物の個数を計数する個数検知手段と対向して構成される。
【0029】
なおここで、前記ステップ部は、例えば前記搬送路をその幅方向かつ下方に沿って欠いた切欠斜面を有して構成され、前記個数検知手段の検知窓は、前記切欠斜面に対向していても良い。
【0030】
また、前記被搬送物は略球形であれば、記切欠斜面の幅は、前記被搬送物の直径の1倍を超え、かつ前記直径の2倍を下回るように構成されても良い。これにより、複数個互いに接合して連なった被搬送物の不良品や長細い不純物を、被搬送物の排出経路に進入させることを回避でき好適である。
【0031】
こうした個数検知手段によれば、振動ボウルの凹部から外部に排出された被搬送物の個数を正確に計数することが可能になる。
【0032】
また、本発明に係る振動ボウルは、被搬送物の集合体を溜めることを可能にした凹部と、前記凹部の内側において前記被搬送物を加振することにより前記被搬送物を搬送可能な搬送路と、前記搬送路の途中に存在する複数列の被搬送物の集合体を、前記搬送路の幅方向において一列に並ぶように、前記搬送路をその幅方向に、所定幅分を残して欠いて構成される切欠溝と、を備えて構成される。
【0033】
なおここで、前記被搬送物は略球形であれば、前記所定幅は、前記被搬送物の略直径の幅であっても良い。また、前記切欠溝が、望ましくは前記搬送路の終端に隣接して設けられている。
【0034】
また、本発明に係る振動ボウルは、被搬送物の集合体を溜めることを可能にした凹部と、前記凹部の内側において前記被搬送物を加振することにより前記被搬送物を搬送可能な搬送路と、前記搬送路の途中に存在する複数段の被搬送物の集合体を一段に並ぶように、前記搬送路の搬送面を基準にして上方向に、所定距離分に離れた位置から延びて構成される片部材と、を備えて構成される。
【0035】
なおここで、前記被搬送物は略球形であれば、前記所定距離は、前記被搬送物の直径の1倍を超え、かつ前記直径の2倍を下回る距離であっても良い。
【0036】
このような切欠溝および片部材における被搬送物配列効果によれば、搬送路の途中の被搬送物の集合体は、簡易に一列かつ一段に並べられる。このため、被搬送物を一個ずつ確実に、個数検知手段の検知窓の領域に排出させ得る。こうして、切欠溝および片部材の配列効果と相俟って、個数検知手段は、凹部から外部に排出された被搬送物に対して個数検知エラーを発生させずに、被搬送物の個数を確実に検出できるようになる。
【0037】
なお、前記振動ボウルの前記凹部の内壁に所定の目印をマーキングして、前記凹部に溜まった前記被搬送物の集合体の総量を簡易に確認可能なように構成しても良い。
【0038】
また、本発明に係る振動ボウルフィーダは、以上に述べた振動ボウルを支持して、これに振動を加える振動体を備えて構成され、前記振動体による前記振動ボウルの振動に基づいて、前記搬送路に載った前記被搬送物を搬送可能な装置である。
【0039】
また、前記凹部の開口部を覆うように網目状部材が配置されても良い。
【0040】
こうした網目状部材によれば、サイズ不良の金属球や2個以上固着した金属球塊等が、凹部1の内部に投入されないように適正にふるい分けられる。
【0041】
また、振動ボウルフィーダは、前記振動ボウルにおける前記凹部の開口部の上方に配置され、前記被搬送物の集合体を貯留するホッパーと、前記凹部に溜まった前記被搬送物の集合体の最上高さ位置を検知するレベル検知手段と、制御装置と、を備えて構成され、前記制御手段は、前記レベル検知手段から得られた位置データに基づいて、前記ホッパーにおける前記被搬送物の供給動作を制御して、前記ホッパーから前記凹部への前記被搬送物の供給を調整する装置であっても良い。
【0042】
こうした振動ボウルフィーダによれば、制御装置は、レベル検知手段によって得られた凹部における被搬送物の集合体の最上高さ位置データに基づいて、ホッパーにおける適宜の供給動作を調整できる。例えば、この被搬送物の集合体の量を監視して、ホッパー駆動装置を介してホッパーにおける被搬送物の供給扉の開閉のタイミングを制御し、ホッパーから凹部への被搬送物の供給を適宜調整できる。
【0043】
更に、振動ボウルフィーダは、以上に述べた振動ボウルを支持してこれに振動を加える振動体と、前記ステップ部の搬送途中にある前記被搬送物の個数を計数する個数検知手段と、前記個数検知手段によって得られた個数データに基づき、前記振動体に給電される振動用の信号の周波数または振幅を制御することにより前記振動ボウルにおける前記被搬送物に対する振動搬送能力を調整可能な制御装置と、を備えた装置であっても良い。こうすると、前記制御装置は、前記個数検知手段によって得られた、単位時間当たりの前記被搬送物の個数を一定に保つように、前記信号の周波数または振幅を制御して好適である。
【0044】
また、本発明に係る真空蒸着装置は、内部を減圧可能な真空槽と、前記真空槽内部に配置され、以上に述べた振動ボウルフィーダと、前記振動ボウルフィーダから外部に排出された前記被搬送物を成膜材料として充填可能な容器と、前記被搬送物からなる成膜材料を加熱可能な加熱手段と、を備えて構成され、前記加熱手段により加熱した前記成膜材料を、減圧状態にある前記真空槽内部の基板に蒸着させる装置である。
【0045】
このような真空蒸着装置によれば、真空槽の内部において蒸着させるための成膜材料に相当する被搬送物を、振動ボウルフィーダにより所定数、正確に容器に供給できる。このため、被搬送物の一個当たりの容量を適正に管理することによって、真空蒸着装置において真空蒸着した基板表面の蒸着被膜厚みを簡易かつ正確にコントロールすることができる。また、この真空蒸着装置によれば、容器に供給される被搬送物のトータル個数が、容易に可変され得て、これにより、真空蒸着装置の蒸着対象製品に要求される蒸着被膜の厚み変更に迅速に対応可能である。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、被搬送物の個数を正確に計数可能な振動ボウル等が得られる。
【0047】
また、本発明によれば、被搬送物を一個ずつ、正確に外部に導くことを可能にした振動ボウル等が得られる。
【0048】
更に、本発明によれば、搬送路の途中において被搬送物の集合体を簡易な配列手段により一列または一段に並べることを可能にした振動ボウル等が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0050】
最初に、振動ボウルフィーダの構成を、図1を参照しながら述べる。
【0051】
図1は、本発明の実施の形態に係る振動ボウルフィーダの概略構成を図示した模式図である。
【0052】
振動ボウルフィーダ50(材料供給装置)は標準的には、図1に示すように、振動ボウル10と、振動体11と、ホッパー14と、制御装置19と、を備えて構成されている。
【0053】
振動体11は例えば、電磁石(不図示)と複数個(3個)の板バネ(不図示)により構成され、これによって、電磁石のオン/オフによる駆動力を、板バネを利用して増幅して振動ボウル10が加振される。なお、電磁石に替えて圧電素子を使っても良い。
【0054】
振動体11によって得られる振動ボウル10の振動は、板バネの配置を適宜調整することによって方向性を持つようになり、このことから振動ボウル10の凹部10aの内側の搬送路20(後記)に載った被搬送物15を一定方向に搬送可能ならしめている。
【0055】
なお、本実施の形態において使用する振動体11は、公知技術に基づくものであり、ここでは振動体11の構成のより詳細な説明は省く。
【0056】
振動ボウル10は、振動体11から与えられた振動により、振動ボウル10の内部の被搬送物15を小刻みに動かして、被搬送物15を搬送路20に沿って搬送する役割を担っている。
【0057】
この振動ボウル10の形状としては、略半円状(すり鉢状)、円筒状や円錐状等、各種形状が想定されるが、ここでは、下部から上部になるに連れて径を増していくすり鉢状の振動ボウル10が使用されている。
【0058】
また、振動ボウル10の内側には、振動ボウル10の内壁に段差10b(段差10bの下面が、搬送路20として機能する。)を設けた、略半円形の段付き凹部10aが形成されている。後程、図2を参照して凹部10aの構成を詳しく説明する。
【0059】
また、振動ボウル10から排出された被搬送物15を、シュート部32(図6参照)に案内するためのガイド部材12が、振動ボウル10の側壁の外周面適所(正確には搬送路20の終端に位置する側壁)に配設されている。
【0060】
ホッパー14は、凹部10aの開口部を臨めるように、振動ボウル10(凹部10a)の上方に配置され、所定量以上の被搬送物15の集合体を一時的に貯留する補助タンクとしての役割を果たす。
【0061】
なおここで、被搬送物15の集合体が直径約1.5mmの顆粒状の金属球15の集合体であれば、金属球15の直径の1倍より大きくかつその直径の2倍より小さい、多数の開口を形成した網目状部材13を、ホッパー14と振動ボウル10との間のギャップに挿入して配置させても良い。
【0062】
こうすると、サイズ不良の金属球や2個以上固着した金属球塊が、凹部10aの内部に投入されないように適正にふるい分けられる。
【0063】
なお、この網目状部材13を振動ボウル10の開口部の全域を覆うように振動ボウル10の側壁に直接取り付ければ、振動ボウル10によってもたらされる網目状部材13の振動が、金属球15に対するふるい分け効果を更に促進させ好適である。
【0064】
制御装置19は、振動ボウルフィーダ50によって加振された振動ボウル10の、被搬送物15への振動搬送動作を制御するマイクロプロセッサである。
【0065】
制御装置19の入力センサとして、振動ボウル10から排出された被搬送物15の個数を計数可能なファイバー状の発光部(不図示)とファイバー状の受光部(不図示)とを備えた第1の光センサ16a(個数検知手段)、および凹部10aに溜まった被搬送物15の集合体の最上高さ位置を検知可能なファイバー状の発光部(不図示)とファイバー状の受光部(不図示)とを備えた第2の光センサ16b(レベル検知手段)がある。
【0066】
第1の光センサ16aとしては、発光部と受光部とを一体化した反射型の光センサであっても良く、発光部と受光部とを別体にした透過型の光センサであっても良いが、反射型の光センサの方が部品点数を減らせて好適である。また、第2の光センサ16bとしては、反射型の光センサが使用される。
【0067】
第2の光センサ16bの検知窓(不図示)は、凹部10aの中央部付近を臨め、これによって振動ボウル10の凹部10aに溜まった被搬送物15の集合体の総量が、第2の光センサ16bによって得られた被搬送物15の集合体の最上高さ位置データに基づいて予測可能になる。
【0068】
勿論、このような第2の光センサ16bに替えて(または第2の光センサ16bと共に)、凹部10aの内側(例えば、凹部10aの内壁)に、この凹部10aに溜まった被搬送物15の集合体の総量を、簡易的に確認可能な目盛り等の目印(不図示)をマーキングしても良く、この様な目印をマーキングした適宜の柱部材(不図示)を凹部10aの内側に配置しても良い。
【0069】
制御装置19の制御対象部としては、ホッパー14の供給扉の開閉を駆動するホッパー駆動装置17、および振動体11に内蔵される電磁石コイルに加える振動用の信号の周波数や振幅を可変する周波数/振幅可変回路18(例えば、インバータ回路)がある。
【0070】
このような制御装置19における入力センサおよび制御対象部によれば、制御装置19は、第1の光センサ16aによって得られた被搬送物15の個数データに基づき、例えば振動ボウル10が内包する被搬送物15の集合体の総量を変化させるような負荷変動が発生した場合に、振動体11(電磁石コイル)に給電する振動用信号の周波数または振幅を、周波数/振幅可変回路18を介して適宜可変することにより振動ボウル10における被搬送物15に対する振動搬送能力を調整可能になる。
【0071】
即ち、制御装置19は、振動ボウル10が内包する被搬送物15の集合体の総量が変化するという負荷変動をきたしても、振動ボウル10の凹部10aから外部に排出される、単位時間当たりの被搬送物15の個数を一定に保つように、振動体11(電磁石コイル)に給電する振動用信号の周波数または振幅を、周波数/振幅可変回路18を介して適宜可変できる。
【0072】
また、制御装置19は、第1の光センサ16aによって得られた被搬送物15の個数データの積算数量や第2の光センサ16bによって得られた凹部10aにおける被搬送物15の集合体の最上高さ位置データに基づいて、この被搬送物15の集合体の量を監視して、ホッパー駆動装置17を介してホッパー14における被搬送物15を供給するための扉の開閉のタイミングを制御し、ホッパー14から凹部10aへの被搬送物15の供給を適宜調整できる。
【0073】
例えば、ある実施の形態では、制御装置19によって、第2の光センサ16bの位置データに基づき凹部10aに内在された被搬送物15の集合体を使い切る直前に、ホッパー14における被搬送物15を供給するための扉が開閉されれば足るものであり、これにより、ホッパー14の扉開閉制御は簡素化される。また、他の実施の形態では、制御装置19によって、凹部10aに事前に投入された被搬送物15の投入トータル数量と第1の光センサ16aに基づく被搬送物15の排出積算数量とを比較して、被搬送物15の排出積算数量が、被搬送物15の投入トータル数量に等しくなる前に、ホッパー14における被搬送物15を供給するための扉が開閉されれば良く、これにより、ホッパー14の扉開閉制御は簡素化される。
【0074】
また本明細書においては、制御装置とは、単独の制御装置だけではなく、複数の制御装置が協働して振動ボウルフィーダ50の動作を制御する制御装置群をも意味する。よって、制御装置19は、単独の制御装置で構成される必要性は無く、複数の制御装置が分散配置されていて、それらが協働して振動ボウルフィーダ50の動作を制御するように構成されていても良い。また、後程述べるように、この振動ボウルフィーダ50が、真空蒸着装置100(図6参照)の真空槽内部に装着される場合には、ここで述べた制御装置19の機能を、真空蒸着装置の作動を制御する制御装置(不図示)が兼ねることも可能である。
【0075】
次に、振動ボウル10の詳細な構成を、図面を参照して述べる。
【0076】
なお、被搬送物15として直径約1.5mmの金属球15を例にして、以下、振動ボウル10の詳細な構成の一例を説明する。
【0077】
図2〜図5は各々、振動ボウルの内部構成を説明するための図である。
【0078】
図2(a)は、振動ボウルを、その凹部の上面側から見た平面図であり、図2(b)は、図2(a)に示したIIB−II線に沿った部分の断面図である。
【0079】
また、図3(a)は、図2(a)におけるA部の拡大平面図であり、図3(b)は、図3(a)に示したIIIB−IIIB線に沿った部分の断面図である。
【0080】
更に、図4(a)は、図2(a)におけるB部の拡大平面図であり、図4(b)は、図4(a)に示したIVB−IVB線に沿った部分の断面図である。
【0081】
また、図5(a)は、図2(a)におけるC部の拡大平面図であり、図5(b)は、図5(a)に示したVB−VB線に沿った部分の断面図である。
【0082】
図2によれば、振動ボウル10の略中央部に、振動ボウル10を振動体11(図1参照)に固定する固定具(例えばボルト;不図示)を通すための通し孔21が設けられている。
【0083】
そして、この固定具を通し孔21に差し込みまたは通し孔21から外すことにより、振動ボウル10は、振動ボウルフィーダ50から着脱容易に構成され、これによって、振動ボウル10に溜まったゴミ等を清掃するためのメンテナンス作業を容易化ならしめている。
【0084】
また、図2(b)に示すように、凹部10aの中央部から周辺部に向かって螺旋状(振動ボウル10の周方向)かつ上り勾配を持った段差10bが、振動ボウル10の凹部10aの内壁に沿って形成されている。
【0085】
そして、この段差10bのうちの下面10cに載った金属球15が、振動ボウル10によって加振されると、金属球15は、この勾配の滑り方向と逆の方向(上り方向)に這い上がることになる。
【0086】
即ち、下面10cは、図2(a)の矢印で示すように、金属球15を搬送可能な搬送路20として機能する。また、段差10bのうちの側面10dは、搬送路20に沿って金属球15を搬送する際のガイド部の役割を果たす。
【0087】
なお、搬送路20としての下面10cは、その幅方向の内側から外側に向かう方向において斜め下方に傾いて構成されている。そうすると、搬送路20(下面10c)に載った金属球15がその自重により側面10dの方向に移動して、これにより、側面10dが、金属球15の搬送時におけるガイド機能を確実に発揮できる。
【0088】
また、図2および図3の参照から理解されるとおり、搬送路20の途中の適所において、搬送路20をその幅方向に、所定幅、例えば側面10dから金属球50の略直径分の幅を残して、下方かつ斜め方向に欠いた切欠溝22が設けられている。
【0089】
このような切欠溝22によれば、複数列の集合体を構成する各金属球15は、図3(b)に示すように一列のみを残して、切欠溝22の斜面に沿って自重により下方に落下する。
【0090】
そうすると、図3(a)に示すように、複数列の金属球15の集合体は、切欠溝22によって一列に並べられた上で、段差10bのうちの側面10dに接する金属球15の列のみが、切欠溝22を越えて切欠溝22の下流側の搬送路20に進入できる。
【0091】
こうして切欠溝22は、複数列の金属球15の集合体を簡易に一列に並べる役割を果たし、このことから振動ボウル10から外部に同時に排出される金属球15の個数が適正に制約され(実際には、後記の片部材23による配列効果と相俟ってこの個数は一個ずつに制約される。)、後程述べるように、所定時間内に振動ボウル10の凹部10aから外部に排出された金属球15のトータル個数が、第1の光センサ16aにより正確に見積もれる。
【0092】
なお、切欠溝22を、搬送路20の途中に複数個、設けることにより、金属球15の集合体の配列効果を確実に発揮させても良い。
【0093】
特に切欠溝22を、搬送路20の終端に隣接して設けることにより、金属球15を凹部10aの外部に排出する際に、この金属球15を一列に並べた状態が確実に保証され好適である。
【0094】
また、図2および図4の参照から理解されるとおり、搬送路20の途中の適所において、搬送路20の搬送面(段座10bの下面10c)を基準にして上方向に、所定距離分、例えば、金属球15の直径の1倍を超え、この直径の2倍を下回る距離分離れた位置から延びた後、略90°に折り曲げられ、下面10cと平行に延びる板状かつL字型の片部材23が、段差10bの側面10dに接触して配置されている。
【0095】
そして、下面10cと平行に延びた部分が、ボルト25によって凹部10aの領域外側の額縁24(図2参照)に固定されている。
【0096】
このような片部材23によれば、複数段の集合体を構成する各金属球15は、図4(b)に示すように一段のみを残して、片部材23の下方向の先端部分で押されて自重により落下する。
【0097】
そうすると、複数段の金属球15の集合体は、片部材23によって一段に並べられた上で、段差10bの下面10cに直接接する金属球15の段のみが、片部材23を越えて片部材23の下流側の搬送路20に進入できる。
【0098】
こうして片部材23は、複数列の金属球15の集合体を簡易に一段に並べる役割を果たし、このことから振動ボウル10から外部に同時に排出される金属球15の個数が適正に制約され(実際には、上記の切欠溝22による配列効果と相俟ってこの個数は一個ずつに制約される。)、後程述べるように、所定時間内に振動ボウル10の凹部10aから外部に排出された金属球15のトータル個数が、第1の光センサ16aにより正確に見積もれる。
【0099】
なお、片部材23を、搬送路20の途中に複数個、配置することにより、金属球15の集合体の配列効果を確実に発揮させても良い。
【0100】
特に片部材23を、搬送路20の終端に隣接して設けることにより、金属球15が凹部10aの外部に排出される際に、金属球15を一段に並べた状態が確実に保証され好適である。
【0101】
更に、図2および図5の参照から理解されるとおり、搬送路20の終端近傍に存在する金属球15を、搬送路20における金属球15の搬送方向に対して略直角方向かつ斜め下方向に沿って凹部10aの外側に排出することを可能にしたステップ部26が、搬送路20の終端に設けられている。
【0102】
より詳しくは、ステップ部26は、図5に示しように、搬送路20の終端部分をその幅方向かつ斜め下方に沿って欠いた切欠斜面26aと、ガイド部材12と、を有して構成されている。ここで、ガイド部材12は、図5(b)に示すように、適宜の固定手段(不図示)により振動ボウル10に一体化するように連結され振動ボウル10の振動と共に振動するものである。
【0103】
また、ガイド部材12は、切欠斜面26aを通過した後の金属球15をシュート部32(図6参照)に案内する役割を果たし、切欠斜面26aの下端に続いて、切欠斜面26aの傾斜角と同一角の斜面を有している。これによって、切欠斜面26aを通過しようとする金属球15を、切欠斜面26aからシュート部32に向けてスムーズに移動可能である。
【0104】
また、切欠斜面26aの幅dは、金属球15の直径の1倍を超え、かつその直径の2倍を下回るように調整される。こうすると、切欠斜面26aの幅dよりも長い、複数個互いに接合して連なった金属球15の不良品や長細い不純物を、金属球15の排出経路に進入させることを回避でき好適である。
【0105】
更に、既述の反射型の第1の光センサ16aが、図5(b)に示すように、搬送路20から搬出されて、ステップ部26における搬送途中の金属球15の個数を計数できるように配置されている。即ち、第1の光センサ16aの検知窓は、切欠斜面26aに対向している。
【0106】
より正確には、第1の光センサ16aの上方向の配置限界は、搬送路20の終端近傍に存在する金属球15の搬送方向延長線上の切欠斜面26aの位置に対応する真上であり、より望ましくは、この搬送方向延長線上から金属球15を一個分、切欠斜面26aに沿って下方にずれた位置に対応する真上である。こうすると、第1の光センサ16aは、切欠斜面26aの傾斜に沿った最小の速度成分を持った金属球15を検出でき、第1の光センサ16aは、切欠斜面26aに上手く排出されなかった金属球15を誤って検出することが解消され好適である。
【0107】
また、第1の光センサ16aの下方向の配置限界は、先発の金属球15が切欠斜面26aに排出された時点から後続の金属球15が切欠斜面26aに排出される時点の時間差の間に、先発の金属球15が切欠斜面26a(またはガイド部材12)を移動した位置に対応する真上である。こうすると、第1の光センサ16aによって、先発の金属球15が検知される迄の間に、後続の金属球15が切欠斜面26aに続けて排出されない。このため、凹部10aから外部に排出された金属球15の個数の総和と、第1の光センサ16aによって得られる個数データに基づく金属球15の個数の総和とを等しくでき、両者の間には個数ずれは発生しなくなる。
【0108】
なお、他の部材との干渉を適正に回避可能なように、第1の光センサ16aの検知窓が、切欠斜面26aに対向して配置されることにより、第1の光センサ16aに対する着脱等メンテナンス性も向上する。
【0109】
このようなステップ部26によれば、金属球15を凹部10aから外部に排出する際に、搬送路20の終端近傍にある金属球15の搬送方向に直交した直交方向排出技術が実現される。こうした直交方向排出技術を採用することによって、仮に金属球15が連続的に搬送される状況であっても、金属球15の搬送方向が一旦、ステップ部26により略直角に変えられ、こうした搬送方向の変化に起因してステップ部26を流れる金属球16同士の間に適正な離間が確保される。このため、金属球15が複数個連なった状態のままステップ部26およびその下流の搬送経路を搬送される事態が解消され、延いては振動ボウル10から外部に排出された金属球15の個数を第1の光センサ16aにより確実に検知可能になる。
【0110】
また、振動ボウル10による金属球15に対する振動搬送能力が、設定規定値からずれたとしても、ステップ部26における金属球15の搬送速度は、下方に傾斜する切欠斜面26aの傾斜角および金属球15の自重によって決定され、単位時間当たりにステップ部26を通過する金属球15の個数制御が容易化する。
また、第1の光センサ16aによれば、振動ボウル10の凹部10aから外部に排出された金属球15の個数を正確に計数することが可能になる。
【0111】
即ち、第1の光センサ16aの配置位置は、既述のように、搬送路20の終端近傍に存在する金属球15の搬送方向延長線上における切欠斜面26の位置の真上、より望ましくは、搬送方向延長線上から金属球15の一個分、下方にずれた切欠斜面26aの位置の真上であり、凹部10aから外部に排出された金属球15の個数の総和と、第1の光センサ16aによって得られる個数データに基づく金属球15の個数の総和との間には個数ずれは発生せず好適である。
【0112】
更に、搬送路20の終端近傍の金属球15の集合体は、既述の切欠溝22および片部材23の配列効果によって簡易に一列かつ一段に並べられており、これによって、金属球15は一個ずつ、第1の光センサ16aの検知窓の領域に排出する。このため、切欠溝22および片部材23の配列効果に基づいて、第1の光センサ16aは、凹部10aから外部に排出された金属球15に対して個数検知エラーを発生させずに、この金属球15の個数を確実に検出できる。
【0113】
次に、図6を参照して、以上に述べた振動ボウルフィーダ50の一適用例として、この振動ボウルフィーダ50から排出される金属球15を、蒸着成膜材料に用いて基板表面に被膜を蒸着する真空蒸着装置の構成およびその真空蒸着動作を述べる。
【0114】
まず、真空蒸着装置100の内部構成を説明する。
【0115】
図6は、本発明の実施の形態に係る真空蒸着装置の内部の概略構成を示した模式図である。
【0116】
真空蒸着装置100は、底部と蓋部とを有して内部を減圧可能な筒状の真空槽30と、真空槽30の底部に設置され、この底部に対し回転可能な環状かつ円盤状のターレット33と、ターレット33の周方向に略90°毎隔ててターレット33の上に配置され、金属球15の最終の供給先に相当する4個の抵抗加熱用ボート等の容器31と、これらの容器31に対応して真空槽30の内部の適所に配置された1個の振動ボウルフィーダ50と、振動ボウルフィーダ50の振動ボウル10(振動ボウル10の凹部10a)からガイド部材12を介して外部に排出された金属球15を容器31に導くシュート部32と、容器31に充填された金属球15を、蒸着場所34において加熱および蒸発させる加熱手段(例えば容器31としてのボートを介した抵抗加熱式の加熱手段;不図示)と、を備えて構成されている。勿論、ここで述べた加熱手段は、抵抗加熱に限らず、例えば電子ビーム加熱であっても良い。
【0117】
なお図6においては、振動ボウルフィーダ50として、振動ボウル50およびガイド部材12が代表的に図示されている。
【0118】
次に、こうした真空蒸着装置100による基板(不図示)への真空蒸着動作を、図6を参照して説明する。
【0119】
真空槽30の内部を適宜の真空排気手段(真空ポンプ等;不図示)により所定の真空度まで減圧させた状態において、振動ボウルフィーダ50を作動することにより、振動ボウル10の内部で金属球15に対し振動搬送動作が実行される。
【0120】
そうすると、振動ボウル10の振動によって凹部10aの内壁の搬送路20(図2)に沿って螺旋状に這い上がって、かつ切欠溝22(図3)および片部材23(図4)によって一列・一段に並べられた金属球15は、搬送路20の終端におけるステップ部20の切欠斜面26a(図5)を移動する間に、第1の光センサ16aによって個数検知されつつ凹部10aの外部に排出される。
【0121】
凹部10aの外部に排出された金属球15は一個ずつ、ガイド部材12およびシュート部32を移動して1個の容器31に充填される。
【0122】
ここで、容器31への金属球15の充填個数が予め設定された所定数(例えば10個)に到達すると、振動ボウルフィーダ50の作動を止めて(振動体11への振動用信号の給電停止)、容器31への金属球15の充填動作が停止される。
【0123】
続いて、ターレット33を反時計回りに90°回転すると、先程、所定数の金属球15を充填した容器31は、真空槽30の内部における振動ボウルフィーダ50による金属球15の供給位置から金属球15の蒸着場所34に到着する。
【0124】
この状態において適宜の加熱手段によって金属球15を加熱させることにより金属球15が蒸発する。金属球15から蒸発生成された蒸着材料は、真空槽30の内部の基板に向けて飛散して、この基板表面に蒸着材料からなる被膜が形成される。
【0125】
そして、容器31に充填された金属球15を容器31から完全に蒸発させた時点で、加熱手段による金属球15の加熱を停止して、真空蒸着装置100における基板への飛ばし切りの真空蒸着の一サイクルが終了する。なお必要に応じて、ターレット33を更に回転させて同様の真空蒸着動作が繰り返される。
【0126】
このような真空蒸着装置100によれば、真空槽30の内部において蒸着させるための成膜材料(金属球15)を、振動ボウルフィーダ50により所定数(例えば10個)、正確に容器31に供給できる。このため、金属球15の一個当たりの容量を適正に管理することによって、真空蒸着装置100において真空蒸着を施した基板表面の蒸着被膜厚みを簡易かつ正確にコントロールすることができる。
【0127】
また、真空蒸着装置100によれば、容器31に供給される金属球15のトータル個数が容易に可変され得て、これにより、真空蒸着装置100の蒸着対象製品に要求される蒸着被膜の厚み変更に迅速に対応可能である。
【0128】
更に、ターレット33に容器31を複数個載せてこれを回転させることにより、人手を介さず、金属球15の供給位置から金属球15の蒸着場所34に容器31を連続的に移動でき、これにより、真空蒸着装置100の連続蒸着機構が構築され得る。
【0129】
(変形例)
図7は、本実施の形態の一変形例を説明するための図であって、図2におけるC部の構成を変形した拡大平面図である。
【0130】
図7によれば、ステップ部26の両側部に相当する振動ボウル10の額縁24(図2参照)のうちの金属球15から離れた遠い側の額縁24の一部が、金属球15に近い側の額縁24の外周面に沿うような形態で切欠斜面26aの側端から所定の傾斜面26bを形成するように斜め方向に切り取られている(なお、切り取られた部分は、網掛け図示されている。)。
【0131】
このような傾斜面26bによれば、切欠斜面26aの幅dよりも長い、複数個互いに接合して連なった金属球15の不良品や長細い不純物が、ステップ部16を跨いで通過する際に、遠い側の額縁24に当たって切欠斜面26aの方向に戻されることを防ぎ、こうした金属球15の不良品等のステップ部26における通過を容易ならしめる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の振動ボウルフィーダによれば、振動ボウルによって被搬送物を加振して、この被搬送物を外部に排出する際に、被搬送物の個数を正確に制御可能であり、例えば、基板表面に被膜を蒸着する真空蒸着装置の、材料定数供給装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の実施の形態に係る振動ボウルフィーダの概略構成を図示した模式図である。
【図2】振動ボウルの内部構成を説明するための図である。
【図3】振動ボウルの内部構成を説明するための図である。
【図4】振動ボウルの内部構成を説明するための図である。
【図5】振動ボウルの内部構成を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る真空蒸着装置の内部の概略構成を示した模式図である。
【図7】本実施の形態の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0134】
10 振動ボウル
10a 凹部
10b 段差
10c 下面
10d 側面
11 振動体
12 ガイド部材
13 網目状部材
14 ホッパー
15 被搬送物(金属球)
16a 第1の光センサ
16b 第2の光センサ
17 ホッパー駆動装置
18 周波数/振幅可変回路
19 制御装置
20 搬送路
21 通し孔
22 切欠溝
23 片部材
24 額縁
25 ボルト
26 ステップ部
26a 切欠斜面
26b 傾斜面
30 真空槽
31 容器
32 シュート部
33 ターレット
34 蒸着場所
50 振動ボウルフィーダ
100 真空蒸着装置




【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物の集合体を溜めることを可能にした凹部と、
前記凹部の内側において前記被搬送物を加振することにより前記被搬送物を搬送可能な搬送路と、
前記搬送路の終端近傍に存在する前記被搬送物の搬送方向に対して前記被搬送物を略直角方向、かつ斜め下方向に沿って前記凹部の外側に排出させて構成されるステップ部と、
を備えた振動ボウル。
【請求項2】
前記ステップ部は、前記搬送路をその幅方向かつ下方に欠いた切欠斜面を有する請求項1記載の振動ボウル。
【請求項3】
被搬送物の集合体を溜めることを可能にした凹部と、
前記凹部の内側において前記被搬送物を加振することにより前記被搬送物を搬送可能な搬送路と、
前記搬送路の終端近傍に存在する前記被搬送物を、斜め下方向に沿って前記凹部の外側に排出させて構成されるステップ部と、を備え、
前記ステップ部は、その搬送途中にある前記被搬送物の個数を計数する個数検知手段と対向して構成される振動ボウル。
【請求項4】
前記ステップ部は、前記搬送路をその幅方向かつ下方に沿って欠いた切欠斜面を有し、前記個数検知手段の検知窓は、前記切欠斜面に対向している請求項3記載の振動ボウル。
【請求項5】
前記被搬送物は略球形であり、記切欠斜面の幅は、前記被搬送物の直径の1倍を超え、かつ前記直径の2倍を下回るように構成される請求項2または4記載の振動ボウル。
【請求項6】
被搬送物の集合体を溜めることを可能にした凹部と、
前記凹部の内側において前記被搬送物を加振することにより前記被搬送物を搬送可能な搬送路と、
前記搬送路の途中に存在する複数列の被搬送物の集合体を、前記搬送路の幅方向において一列に並ぶように、前記搬送路をその幅方向に、所定幅分を残して欠いて構成される切欠溝と、
を備えた振動ボウル。
【請求項7】
前記被搬送物は略球形であり、前記所定幅は、前記被搬送物の略直径の幅である請求項6記載の振動ボウル。
【請求項8】
前記切欠溝が、前記搬送路の終端に隣接して設けられている請求項6記載の振動ボウル。
【請求項9】
被搬送物の集合体を溜めることを可能にした凹部と、
前記凹部の内側において前記被搬送物を加振することにより前記被搬送物を搬送可能な搬送路と、
前記搬送路の途中に存在する複数段の被搬送物の集合体を一段に並ぶように、前記搬送路の搬送面を基準にして上方向に、所定距離分に離れた位置から延びて構成される片部材と、
を備えた振動ボウル。
【請求項10】
前記被搬送物は略球形であり、前記所定距離は、前記被搬送物の直径の1倍を超え、かつ前記直径の2倍を下回る距離である請求項9記載の振動ボウル。
【請求項11】
前記凹部の内壁に、所定の目印がマーキングされている請求項1乃至10の何れかに記載の振動ボウル。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載の振動ボウルを支持してこれに振動を加える振動体を備え、
前記振動体による前記振動ボウルの振動に基づいて、前記搬送路に載った前記被搬送物を搬送可能な振動ボウルフィーダ。
【請求項13】
前記振動ボウルの前記凹部の開口部を覆うように網目状部材が配置されている請求項12記載の振動ボウルフィーダ。
【請求項14】
前記振動ボウルにおける前記凹部の開口部の上方に配置され、前記被搬送物の集合体を貯留するホッパーと、前記凹部に溜まった前記被搬送物の集合体の最上高さ位置を検知するレベル検知手段と、制御装置と、を備え、
前記制御手段は、前記レベル検知手段から得られた位置データに基づいて、前記ホッパーにおける前記被搬送物の供給動作を制御して、前記ホッパーから前記凹部への前記被搬送物の供給を調整する請求項12記載の振動ボウルフィーダ。
【請求項15】
請求項3または4記載の振動ボウルを支持してこれに振動を加える振動体と、前記ステップ部の搬送途中にある前記被搬送物の個数を計数する個数検知手段と、前記個数検知手段によって得られた個数データに基づき、前記振動体に給電される振動用の信号の周波数または振幅を制御することにより前記振動ボウルにおける前記被搬送物に対する振動搬送能力を調整可能な制御装置と、を備えた振動ボウルフィーダ。
【請求項16】
前記制御装置は、前記個数検知手段によって得られた、単位時間当たりの前記被搬送物の個数を一定に保つように、前記信号の周波数または振幅を制御する請求項15記載の振動ボウルフィーダ。
【請求項17】
内部を減圧可能な真空槽と、前記真空槽内部に配置され、請求項12乃至16の何れかに記載の振動ボウルフィーダと、前記振動ボウルフィーダから外部に排出された前記被搬送物を成膜材料として充填可能な容器と、前記被搬送物からなる成膜材料を加熱可能な加熱手段と、を備え、
前記加熱手段により加熱した前記成膜材料を、減圧状態にある前記真空槽内部の基板に蒸着させる真空蒸着装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−232493(P2006−232493A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51445(P2005−51445)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】