説明

振動式部品送出装置

【課題】部品送出装置を効果的に振動させることができる振動式部品送出装置を提供する。
【解決手段】導入通路部材7から外箱6内に導入された部品1を送出通路部材から空気噴射によって所定個数ずつ送出する形式のものにおいて、導入通路部材7から外箱6内に部品1が進入するときに動作する加振ユニット44が外箱6に取り付けられている。こうすることにより、部品1が導入通路部材7を移動するときに、鉄くず等の不純物が噛み込んで部品1の滑動を阻害することが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導入通路部材から外箱内に導入された部品を、送出通路部材から空気噴射によって所定個数ずつ送出する形式の部品送出装置に関している。
【背景技術】
【0002】
部品の搬送レールに振動を与えて、部品の移送を円滑に行うことが特許第3595921号公報に記載されている。
【特許文献1】特許第3595921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような振動式搬送レールは、搬送レールそのものの搬送性を向上させている。しかしながら、導入通路部材から外箱内に導入された部品を送出通路部材から空気噴射によって所定個数ずつ送出する形式の部品送出装置の搬送性を向上させるためには、部品送出装置を好ましい状態で加振する必要がある。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、部品送出装置が導入通路部材から外箱内に導入された部品を送出通路部材から空気噴射によって所定個数ずつ送出する形式のものとされ、この部品送出装置を効果的に振動させることのできる振動式部品送出装置の提供を目的とする。
【問題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、導入通路部材から外箱内に導入された部品を送出通路部材から空気噴射によって所定個数ずつ送出する形式のものにおいて、前記導入通路部材から外箱内に部品が進入するときに動作する加振ユニットが外箱に取り付けられていることを特徴とする振動式部品送出装置である。
【発明の効果】
【0006】
前記加振ユニットが外箱に取り付けられているので、外箱と一体化されている導入通路部材や送出通路部材を効果的に振動させることができて、各通路部材における部品の円滑な移送が確保される。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記加振ユニットは、部品が導入通路部材を通過するときには動作し、部品が送出通路部材を通過するときには動作を停止するように構成した請求項1記載の振動式部品送出装置である。
【0008】
このように、部品が導入通路部材を通過するときには導入通路部材が振動するので、鉄くず等の異物が部品と通路面との間に噛み込んだり、部品同士が噛み合ったりして部品の導入移送が損なわれるようなことが確実に防止でき、信頼性の高い部品送出装置がえられる。実際には、パーツフィーダ等から送出されてきた部品には鉄くず等の不純物が付着していることがあり、そのために導入通路部材における不純物等の悪影響が発生しやすいのである。そのような状態に対して効果的な振動付与がなされるのである。
【0009】
一方、部品が送出通路部材を通過しているときには送出通路部材に対する加振が停止されるので、振動によって部品が送出通路部材の内面に強く接触することが回避されて、円滑な送出がなされる。とくに、空気噴射によって部品が移送されるものであるから、上記のような内面への強い接触がなされると、部品の搬送速度の上昇が緩慢となって円滑な移送に支障をきたすことになるのであるが、前記振動停止によってこのような問題が解消される。また、送出通路部材においては上記のようなパーツフィーダによる不純物の侵入がないので、振動を停止することが空気噴射の送出効果を高めるのに有効である。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記導入通路部材と送出通路部材がほぼ平行な状態で外箱の片側に結合されている請求項1または請求項2記載の振動式部品送出装置である。
【0011】
このように導入通路部材と送出通路部材がほぼ平行な状態で外箱の片側に結合されているので、両通路部材がまとまりよく配置され、構造的にコンパクト化される。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記導入通路部材は下り傾斜の姿勢とされ、前記送出通路部材は上り傾斜の姿勢とされるように取り付けられている請求項3記載の振動式部品送出装置である。
【0013】
前述のように導入通路部材と送出通路部材がほぼ平行な状態で外箱の片側に結合されているので、導入通路部材を下り傾斜の姿勢とし、送出通路部材を上り傾斜の姿勢とすることが簡単に実現する。
【0014】
請求項5記載の発明は、静止部材に固定される基板に外箱と導入通路部材と送出通路部材が固定され、この基板に加振ユニットが取り付けられている請求項1〜請求項4のいずれかに記載の振動式部品送出装置である。
【0015】
静止部材に固定される基板に外箱と導入通路部材と送出通路部材が固定されているから、各構造部分が基板を介して一体化され、装置としてのまとまりが向上する。そして、加振ユニットからの振動が基板に伝えられるので、部品送出装置が効果的に確実に加振される。また、この基板の取り付け姿勢を選定することにより、導入通路部材と送出通路部材との傾斜姿勢を簡単に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
つぎに、本発明の振動式部品送出装置を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1〜図5は実施例1を示す。
【0018】
振動式部品送出装置全体は、符号100で示されている。この装置100において扱われる部品としてはプロジェクションナット、プロジェクションボルト等種々なものがあるが、ここでは図1(B)に示すように、ハット型で鉄製とされたドームナット1である。このドームナット1は、円形のフランジ部2と、その外周部に形成されたテーパ部3と、このテーパ部3に連なりフランジ部2よりも小径の本体部4から構成されている。この本体部4は、図1(F)に示すように、断面形状が正六角形とされている。そして、本体部4に連続した状態で半球形のドーム部5が設けられている。また、テーパ部3とは反対側のフランジ部2の表面に、電気抵抗溶接における溶着用突起11が3個形成されている。そして、本体部4の長さが長くしてあるので、ドームナット1の重心は下の方におかれている。
【0019】
振動式部品送出装置100は、ほぼ直方体の形状とされた細長い外箱6の横側部に、長尺な導入通路部材7が結合されている。図1(A)のB−B断面が図1(B)図であり、この図に示すように、導入通路部材7は2本の細長い厚板8,9を平行に配置したもので、両厚板8,9は結合部材10でボルト結合等により一体化されている。その間の通路空間にドームナット1が首吊り状に支持されている。この支持状態は、厚板8,9の上面内側の角部12に前記テーパ部3が係止されている。
【0020】
前記導入通路部材7は、外箱6に対してほぼ直交した向きで結合されている。すなわち、導入通路部材7の長手方向と外箱6の長手方向がほぼ直交した状態になっている。図1(A)においては、直交している。そして、外箱6の横側部に設けた入口孔13に導入通路部材7の通路空間が連通していて、ドームナット1が外箱6内に進入できるようになっている。符号14はパーツフィーダであり、その送出部15が導入通路部材7に接続してある。
【0021】
ここでのパーツフィーダ14は、多数のドームナット1を貯留する円形のボウル16に振動を付与し、ドームナット1がボウル16の内周部に沿って形成された螺旋状の部品搬送路を移動して、送出部15に到達する形式の一般的なものである。前記パーツフィーダはボウル16を振動させる形式のものであるが、これに換えて、起立した回転式円板に磁石を組み付け、この円板の回転によって吸着された部品を送出通路に導く形式のものとすることができる。このように本発明におけるパーツフィーダの形式としては、種々なものが採用できる。
【0022】
外箱6内のドームナット1を送出するために、送出通路部材17が外箱6の横側部に結合されている。この送出通路部材17も外箱6に対してほぼ直交した状態で結合されている。すなわち、送出通路部材17の長手方向と外箱6の長手方向がほぼ直交した状態になっている。図1(A)においては、直交している。したがって、送出通路部材17と導入通路部材7は平行になっている。なお、図1(A)においては、理解しやすくするために、外箱6と送出通路部材17の蓋部材を除いた状態で図示してある。
【0023】
前記送出通路部材17は、加速通路部材18と供給通路部材19によって構成され、この両者は図1(D)に示すように、加速通路部材18に溶接等で固定されたジョイント管20によって接合されている。
【0024】
前記加速通路部材18は、硬質の材料で作られドームナット1が滑動しやすい内面とされている。ここではステンレス鋼製とされ、その内面にクロム鍍金(図示していない)が施されている。図1(A)のC−C断面が同図(C)図であり、加速通路部材18の断面形状が示されている。加速通路部材18の通路は、フランジ部2が通過する拡幅部22と、本体部4やドーム部5が通過する主通路部23から構成されている。前記ステンレス鋼に換えて、ポリプロピレンやテフロン(商品名)のような硬質の合成樹脂で加速通路部材18を構成してもよい。図1(C)に示すように、加速通路部材18には、蓋部材24がボルト付け等で固定してあり、こうすることによって加速通路部材18の通路は閉断面形状となっている。
【0025】
上述のような拡幅部22と主通路部23を設けることによって、この加速通路部材18の通路断面形状は、ドームナット1の外形形状とほぼ同じ形状とされ、通路内面とドームナット1の外面との間の間隙が可及的に狭く設定されている。また、拡幅部22と主通路部23の境界部に角部21が形成されている。
【0026】
前記供給通路部材19は、図1(E)に示すように、加速通路部材18の断面形状と同じものとされており、こうすることによってドームナット1が加速通路部材18から供給通路部材19に円滑に移行できるようにしている。そして、供給通路部材19は、柔軟性のあるウレタン樹脂やポリプロピレン樹脂によって製作されている。
【0027】
外箱6の横側部に設けた出口孔25に、送出通路部材17の通路空間である拡幅部22や主通路部23が連通していて、ドームナット1が外箱6から送出されるようになっている。
【0028】
前記導入通路部材7に対してほぼ直交した方向に外箱6内で進退する移送部材26が設けられている。この移送部材26はほぼ直方体とされたブロック状部材で構成され、ドームナット1を受け入れる収容凹部27が形成され、外箱6内を摺動するようになっている。移送部材26を進退させるために、エアシリンダ28が外箱6の端部に外箱6の長手方向に沿って固定され、そのピストンロッド29が移送部材26に結合してある。前記収容凹部27が入口孔13に合致しているときに、1個のドームナット1が外箱6内に進入する。この進入を助成するために、外箱6の横側部に永久磁石31が固定されている。ドームナット1は最先のものが収容凹部27内に入り、移送部材26が左方へ前進するときに、2番目のものは収容凹部27の開口部に設けた斜面32によって押し戻されるようになっている。
【0029】
前記エアシリンダ28の出力で移送部材26が左方へ進出して収容凹部27が出口孔25に合致すると、空気噴射によってドームナット1が送出通路部材17内へ送り出される。空気噴射は、外箱6の横側部に設けた通孔33と移送部材26の収容凹部27の部分に設けた噴射口34が合致したときに空気制御弁(図示していない)が動作して、ドームナット1に噴射される。図1の(2)−(2)断面図が図2であり、図2には移送部材26の状態も含めて図示してある。図2に示すように、外箱6に蓋部材35がボルト付け等で固定されている。前記通孔33に連通する空気ホース30が設けてあり、前記空気制御弁に接続されている。
【0030】
上述のような動作により、収容凹部27に導入されたドームナット1が出口孔25の方へ移行され空気噴射によって、1個ずつ加速通路部材18へ送り出されて行く。送り出されて行く個数は2個あるいは3個とすることができる。このようにするために、所定個数に応じた受入れ深さの収容凹部27が設定される。
【0031】
前記加速通路部材18の長さは、単なるジョイント管のような長さではない。加速通路部材18の通路内において内面の摺動抵抗が小さい状態でしかも前記のように隙間を小さくして噴射空気の動圧を十分に受けるようにしたものであり、このような状態の下でドームナット1が高速化されるようになっている。ここでは、ドームナット1のフランジ部2の直径が20mmであり、それの12倍である240mmが加速区間とされている。換言すると、ドームナット1が加速通路部材18内において最高速状態になりそれで一定化したものとなる長さを予め設定しておくのである。噴射空気の圧力、部品の質量、通路の摺動抵抗等の条件によって左右されるが、加速通路部材18の長さは、部品の直径の8倍から15倍の範囲に設定されるのが好適である。
【0032】
本実施例のような小物部品の場合であれば、加速通路部材18の長さは、噴射空気の圧力、部品の質量、搬送速度、供給通路部材19の長さ、供給通路部材19の内面抵抗等によって若干の変動はあるが、加速区間を部品直径あるいは部品長さの5倍以上に設定するのが好ましいことが、送出テストによって確かめられた。したがって、前記した12倍もこの5倍以上の範疇に属している。
【0033】
また、加速通路部材18は真っ直ぐに図示してあるが、これを湾曲させておくことにより摺動抵抗の大きな供給通路部材19の湾曲姿勢をできるだけ真っ直ぐなものに近付けることができる。つまり、供給通路部材19に湾曲部分があると、湾曲の外周側の通路内面にドームナット1が強く接触して搬送速度が著しく低下するのであるが、このような問題が回避できるということになる。他方、加速通路部材18において湾曲がなされていても、摺動抵抗が少ないので、加速作用が低下しても許容範囲におさめることができる。
【0034】
図1(F)に示すように、正六角形の本体部4は、六角形の平行な両面が厚板8,9の内面に接近していて回転できないようになっている。送出通路部材17においても同様である。こうすることによって、導入通路部材7においてはドームナット1の回転方向の向きが一定になり、各ドームナット1の間隔が一定となる。また、送出通路部材17においても回転方向の向きが一定化され、同時に、ドームナット1と加速通路部材18の内面との隙間が小さくなり、空気漏れが少なくなって高速化が向上するという効果がある。
【0035】
本実施例における前記パーツフィーダ14および振動式部品送出装置100は、電気抵抗溶接機の溶接箇所にドームナット1を送給するものであり、そのために図5に示すように、床37に固定された静止状態の溶接機本体36に取り付けられている。すなわち、溶接機本体36に支持板38が固定され、この支持板38にパーツフィーダ14や振動式部品送出装置100が固定されている。振動式部品送出装置100を静止部材である支持板38に固定するために、鉄製の支持柱39が支持板38に起立した状態で結合してある。この支持柱39は細長い形態とすることにより、弾性的な撓み振動ができるようになっている。
【0036】
図4および図5に示すように、厚板で構成された平たい長方形の基板41が静止部材である支持柱39に固定されている。この基板41に外箱6,導入通路部材7、送出通路部材17の加速通路部材18の部分がボルト付けや溶接等によって固定されている。そして、基板41は、図5に示すように、ドームナット1の送出側が高くなるように傾斜した姿勢とされ、それによって導入通路部材7は下り傾斜の姿勢とされ、送出通路部材17は上り傾斜の姿勢とされている。
【0037】
つぎに、加振ユニットについて説明する。
【0038】
前記基板41の下面の端部近くに基板41に直交する向きにブラケット板42が溶接等で固定されており、このブラケット板42は外箱6の長手方向に延ばしてある。この延ばされた部分が取付け部43であり、ここに加振ユニット44が固定されている。このように延ばされた部分である取付け部43を設けることにより、基板41の中心線O1からオフセットした箇所に加振ユニット44の中心線O2が配置され、そのオフセット量は符号Lで示されている。
【0039】
上述のように、基板41の端部近傍の下面にブラケット板42が固定されているので、基板41の端部近傍に外箱6を固定し、加振ユニット44を外箱6の近くに配置することができるという効果がある。さらに、基板41の端部近傍に外箱6が固定されているので、その箇所以外の基板部分で長尺な導入通路部材7や加速通路部材18を固定することができ、各部の一体化にとって好都合である。
【0040】
加振ユニット44の具体的な構造としては種々なものが採用できるが、ここでは電磁石と板ばねを組み合わせた形式のものが採用されている。図3に示すように、導入通路部材7の上流側に延ばした状態で、鉄製の取付けブロック45が取付け部43の横側面にボルト付け等で固定されている。取付けブロック45の端部に板ばね46がボルト付け等で結合してあり、この板ばね46の下部に支持ブロック47がボルト付け等で結合してある。この支持ブロック47に電磁コイル48と電磁鉄心49から構成された電磁石50が取り付けてある。電磁鉄心49と前記取付けブロック45の間隔は狭く設定してある。
【0041】
このような構造により、電磁石50に断続電流を流すと、電磁石50と支持ブロック47の一体物が、板ばね46を撓ませながら取付けブロック45に接近したり離れたりして、振動が発生する。振動は取付けブロック45から取付け部43およびブラケット板42、基板41、外箱6、導入通路部材7、送出通路部材17に伝えられて、振動式部品送出装置100全体が振動する。
【0042】
加振ユニット44は、移送部材26の収容凹部27が入口孔13に合致して、ドームナット1が導入通路部材7の下り傾斜の滑動によって収容凹部27に導入されるときに動作し、振動式部品送出装置100を振動させる。また、移送部材26の収容凹部27が出口孔25に合致して、ドームナット1が空気噴射で収容凹部27から送出されるときには動作を停止して、振動式部品送出装置100を静止状態とする。
【0043】
上述のように、中心線O1とO2とのオフセットLを設置することにより、振動がブラケット板42の延長部分である取付け部43に入力されるので、ブラケット板43が撓み振動をするようになり、振動が確実に振動式部品送出装置100に伝達されるという効果がある。そして、前記支持柱39も撓み変形が許容されているので、振動式部品送出装置100の振動が可能となっている。
【0044】
なお、上記エアシリンダ28に換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。また、上記永久磁石31を電磁石に置き換えることも可能である。
【0045】
上述の動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行わせることが可能であり、制御装置またはシーケンス回路からの動作信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって確保することができる。
【0046】
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
【0047】
前記加振ユニット44が外箱6に取り付けられているので、外箱6と一体化されている導入通路部材7や送出通路部材17を効果的に振動させることができて、各通路部材におけるドームナット1の円滑な移送が確保される。
【0048】
前記加振ユニット44は、ドームナット1が導入通路部材7を通過するときには動作し、ドームナット1が送出通路部材17を通過するときには動作を停止するように構成した。
【0049】
このように、ドームナット1が導入通路部材7を通過するときには導入通路部材7が振動するので、鉄くず等の異物がドームナット1と通路面との間に噛み込んだり、ドームナット1同士が噛み合ったりしてドームナット1の導入移送が損なわれるようなことが確実に防止でき、信頼性の高い振動式部品送出装置100がえられる。実際には、パーツフィーダ14から送出されてきたドームナット1には鉄くず等の不純物が付着していることがあり、そのために導入通路部材7における不純物等の悪影響が発生しやすいのである。そのような状態に対して効果的な振動付与がなされるのである。
【0050】
一方、ドームナット1が送出通路部材17を通過しているときには送出通路部材17に対する加振が停止されるので、振動によってドームナット1が送出通路部材17の内面に強く接触することが回避されて、円滑な送出がなされる。とくに、空気噴射によってドームナット1が移送されるものであるから、上記のような内面への強い接触がなされると、ドームナット1の搬送速度の上昇が緩慢となって円滑な移送に支障をきたすことになるのであるが、前記振動停止によってこのような問題が解消される。また、送出通路部材17においては上記のようなパーツフィーダ14による不純物の侵入がないので、振動を停止することが空気噴射の送出効果を高めるのに有効である。
【0051】
前記導入通路部材7と送出通路部材17がほぼ平行な状態で外箱6の片側に結合されている。
【0052】
このように導入通路部材7と送出通路部材17がほぼ平行な状態で外箱6の片側に結合されているので、両通路部材がまとまりよく配置され、構造的にコンパクト化される。
【0053】
前記導入通路部材7は下り傾斜の姿勢とされ、前記送出通路部材17は上り傾斜の姿勢とされるように取り付けられている。
【0054】
前述のように導入通路部材7と送出通路部材17がほぼ平行な状態で外箱6の片側に結合されているので、導入通路部材7を下り傾斜の姿勢とし、送出通路部材17を上り傾斜の姿勢とすることが簡単に実現する。
【0055】
静止部材である支持柱39に固定された基板41に、外箱6と導入通路部材7と送出通路部材17が固定され、この基板41に加振ユニット44が取り付けられている。
【0056】
静止部材である支持柱39に固定された基板41に、外箱6と導入通路部材7と送出通路部材17が固定されているから、各構造部分が基板41を介して一体化され、振動式部品送出装置100としてのまとまりが向上する。そして、加振ユニット44からの振動が基板41に伝えられるので、振動式部品送出装置100が効果的に確実に加振される。また、この基板41の取り付け姿勢を選定することにより、導入通路部材7と送出通路部材17との傾斜姿勢を簡単に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
上述のように、本発明によれば、部品送出装置が導入通路部材から外箱内に導入された部品を送出通路部材から空気噴射によって所定個数ずつ送出する形式のものとされ、この部品送出装置を効果的に振動させることができるので、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】装置全体の平面図と各部の断面図である。
【図2】図1(A)の(2)−(2)断面図である。
【図3】図1(A)の(3)−(3)断面図である。
【図4】基板とブラケット板の形状を示す平面図と側面図である。
【図5】装置全体とパーツフィーダの取付け状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ドームナット
2 フランジ部
3 テーパ部
4 本体部
5 ドーム部
6 外箱
7 導入通路部材
14 パーツフィーダ
17 送出通路部材
18 加速通路部材
19 供給通路部材
21 角部
22 拡幅部
23 主通路部
26 移送部材
27 収容凹部
34 噴射口
36 溶接機本体
38 支持板
41 基板
42 ブラケット板
43 取付け部
44 加振ユニット
L オフセット量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入通路部材から外箱内に導入された部品を送出通路部材から空気噴射によって所定個数ずつ送出する形式のものにおいて、前記導入通路部材から外箱内に部品が進入するときに動作する加振ユニットが外箱に取り付けられていることを特徴とする振動式部品送出装置。
【請求項2】
前記加振ユニットは、部品が導入通路部材を通過するときには動作し、部品が送出通路部材を通過するときには動作を停止するように構成した請求項1記載の振動式部品送出装置。
【請求項3】
前記導入通路部材と送出通路部材がほぼ平行な状態で外箱の片側に結合されている請求項1または請求項2記載の振動式部品送出装置。
【請求項4】
前記導入通路部材は下り傾斜の姿勢とされ、前記送出通路部材は上り傾斜の姿勢とされるように取り付けられている請求項3記載の振動式部品送出装置。
【請求項5】
静止部材に固定される基板に外箱と導入通路部材と送出通路部材が固定され、この基板に加振ユニットが取り付けられている請求項1〜請求項4のいずれかに記載の振動式部品送出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−280394(P2009−280394A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157191(P2008−157191)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000196886)
【Fターム(参考)】