説明

振動搬送装置及びそれを用いた組合せ秤

【課題】 重量センサを用いずに、物品の重量を求めることができる振動搬送装置を提供する。
【解決手段】 物品が供給されるトラフ1と、トラフ1を支持し、電磁石6に間欠的な通電が行われることによりトラフ1を振動させる振動動作を行うように構成されるとともに、振動動作を行っていないときにトラフ1上の物品の重量の大小に応じて電磁石6の自己インダクタンスが変化するように構成された振動発生手段と、電磁石6の自己インダクタンスを測定するインダクタンス測定手段15と、トラフ1に物品が供給された後で電磁石6の自己インダクタンスを測定するようにインダクタンス測定手段15を制御するとともに、電磁石6の自己インダクタンスを測定した後で振動動作を行うように振動発生手段を制御し、かつインダクタンス測定手段15によって測定された電磁石6の自己インダクタンスに基づいてトラフ1上の物品の重量を算出する制御部16とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁石の吸引力とばねの復元力とを利用してトラフ(物品搬送部材)を振動させてトラフ上の物品を搬送する振動搬送装置及びそれを用いた組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組合せ秤には、トラフを振動させて物品を搬送する振動搬送装置である直進フィーダが複数用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
組合せ秤では、例えば、中央の上部に分散フィーダが配設され、分散フィーダの周辺に複数の直進フィーダが放射状に設置され、各々の直進フィーダの下方には供給ホッパ、さらにその下方に計量ホッパが配設され、計量ホッパの下方に集合シュートが配設されている。例えば、外部の供給装置から分散フィーダの中央部に物品が供給され、分散フィーダでは振動によって物品をその周縁部方向へ送り出すことによって直進フィーダへ物品を搬送する。各々の直進フィーダはトラフを振動させることにより物品を搬送して供給ホッパに供給する。各供給ホッパでは一時的に物品を保持し、その下方に配設された計量ホッパに物品を供給する。各計量ホッパでは供給された物品の重量が計量される。この計量値に基づいて組合せ演算を行うことにより、計量値の合計が組合せ目標重量値と一致するか最も近い計量ホッパの組合せを求め、この組合せに選択されている計量ホッパから物品を排出する。この排出された物品は、集合シュート上を滑落して例えば包装機へ投入される。
【特許文献1】特開2004−352446号公報
【特許文献2】特開2004−115223号公報
【特許文献3】特開2000−131129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような組合せ秤において、組合せ計量精度を向上させるためには、周知のように、組合せ演算に参加する計量ホッパへ供給される物品の重量が、組合せの数が多くなる重量(供給目標重量)となるように、直進フィーダから排出される物品の搬送重量を制御する必要がある。そのためには、全ての直進フィーダに、ロードセル等の重量センサを取り付けて直進フィーダによる物品の搬送重量を求め、その搬送重量が上記供給目標重量となるように直進フィーダを制御することが考えられるが、この場合には、重量センサの設置スペース及び費用が必要となるため、重量センサを含めた振動搬送装置が大型化及び高コスト化し、その結果、組合せ秤も大型化及び高コスト化するという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ロードセル等の重量センサを用いることなく、物品の重量を求めることができる振動搬送装置を提供すること、さらには排出した物品の重量を求めることができる振動搬送装置及びそれを用いた組合せ秤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による第1発明の振動搬送装置は、物品が供給され、振動させられることにより物品を一方向へ搬送させるための物品搬送部材と、前記物品搬送部材を支持し、電磁石に間欠的な通電が行われることにより前記物品搬送部材を振動させる振動動作を行うように構成されるとともに、前記振動動作を行っていないときに前記物品搬送部材上の物品の重量の大小に応じて前記電磁石の自己インダクタンスが変化するように構成された振動発生手段と、前記電磁石の自己インダクタンスを測定するインダクタンス測定手段と、前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスに基づいて前記物品搬送部材上の物品の重量を算出する演算手段と、前記物品搬送部材に物品が供給された後で前記電磁石の自己インダクタンスを測定するように前記インダクタンス測定手段を制御するとともに、前記インダクタンス測定手段により前記電磁石の自己インダクタンスを測定した後で前記振動動作を行うように前記振動発生手段を制御する制御手段とを備えている。
【0007】
この構成によれば、重量センサを用いることなく、物品搬送部材上の物品の重量を算出することができる。この構成において、振動発生手段による1度の振動動作によって物品搬送部材上の物品の全てが排出されるようにした場合には、物品搬送部材から排出される物品の重量を測定したことになる。また、重量センサを用いないため、振動搬送装置の大型化及び高コスト化を招くこともない。
【0008】
また、第2発明の振動搬送装置は、第1発明の振動搬送装置において、前記演算手段は、
予め記憶されている、前記電磁石の自己インダクタンスと前記物品搬送部材上の物品の重量との関係を示す情報に基づいて、前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスから前記物品搬送部材上の物品の重量を算出するように構成されている。
【0009】
また、第3発明の振動搬送装置は、第1発明の振動搬送装置において、前記制御手段は、物品の供給が繰り返し行われる前記物品搬送部材に対し物品が供給されるたびに、前記電磁石の自己インダクタンスを測定するように前記インダクタンス測定手段を制御するとともに前記インダクタンス測定手段により前記電磁石の自己インダクタンスを測定した後で前記振動動作を行うように前記振動発生手段を制御し、さらに、前記制御手段は、前記振動発生手段によるN回目(Nは1以上の整数)の前記振動動作の後で、かつ次に前記物品搬送部材に物品が供給される前に、前記電磁石の自己インダクタンスを測定するように前記インダクタンス測定手段を制御し、前記振動発生手段によるN回目の前記振動動作の直前に前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスに基づいて前記演算手段が算出した前記物品の重量から、前記振動発生手段によるN回目の前記振動動作の直後に前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスに基づいて前記演算手段が算出した前記物品の重量を減算し、この減算結果を前記N回目の前記振動動作によって前記物品搬送部材から排出された物品の重量である搬送重量として求めるように構成されている。
【0010】
この構成によれば、重量センサを用いることなく、物品搬送部材から排出される物品の重量(搬送重量)を算出することができる。
【0011】
また、第4発明の振動搬送装置は、第3発明の振動搬送装置において、前記制御手段は、前記搬送重量を所定重量と比較し、前記搬送重量が前記所定重量より大きい場合には前記振動発生手段が振動動作を行う期間である振動動作期間を所定時間短くし、前記搬送重量が前記所定重量より小さい場合には前記振動動作期間を所定時間長くするように構成されている。
【0012】
この構成によれば、物品搬送部材から繰り返し排出される物品の搬送重量がほぼ一定の所定重量となるようにすることができる。
【0013】
また、第5発明の振動搬送装置は、第3発明の振動搬送装置において、前記制御手段は、前記搬送重量が所定重量範囲の最大値より大きい場合には前記振動発生手段が振動動作を行う期間である振動動作期間を所定時間短くし、前記搬送重量が前記所定重量範囲の最小値より小さい場合には前記振動動作期間を所定時間長くするように構成されている。
【0014】
この構成によれば、物品搬送部材から繰り返し排出される物品の搬送重量がほぼ所定重量範囲内の重量となるようにすることができる。
【0015】
また、第6発明の振動搬送装置は、第1発明または第3発明の振動搬送装置において、前記制御手段は、前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスが予め定められた許容範囲内か否かを判定し、許容範囲内でない場合には、前記振動発生手段に前記振動動作を行わせないように構成され、前記制御手段により前記電磁石の自己インダクタンスが予め定められた許容範囲内でないと判定されたときに、前記電磁石の自己インダクタンスが異常であることを報知する報知手段が設けられている。
【0016】
この構成によれば、電磁石の自己インダクタンスの測定値が許容範囲内でなければ振動発生手段による振動動作を行わず、報知手段により異常であることを報知することにより、調整不良や経時変化による電磁石とアーマチュアとの間隔の異常の検出が可能となり、異常発熱、焼損、及び電磁石とアーマチュアとの接触による振動音の発生を未然に防ぐことが可能になる。
【0017】
また、第7発明の組合せ秤は、第3発明の振動搬送装置を複数備えるとともに、各々の前記振動搬送装置に対応して設けられ、前記振動搬送装置の物品搬送部材から排出された物品が供給され、供給された物品の重量を計量する重量センサが取り付けられた複数の計量ホッパと、前記重量センサにより計量された物品の重量に基づいて組合せ演算を行い、物品の重量の合計値が組合せ目標重量値に対する許容範囲内の値になる組合せを求める組合せ演算手段とを備え、各々の前記振動搬送装置の制御手段は、求めた搬送重量を、前記計量ホッパに供給されるべき予定重量である供給目標重量と比較し、前記搬送重量が前記供給目標重量より大きい場合には前記振動搬送装置における振動発生手段が振動動作を行う期間である振動動作期間を所定時間短くし、前記搬送重量が前記供給目標重量より小さい場合には前記振動動作期間を所定時間長くする振動時間調整処理を行うように構成されている。
【0018】
この構成によれば、重量センサを用いることなく、振動搬送装置の物品搬送部材から排出される物品の重量(搬送重量)を算出することができる。重量センサを用いないため、振動搬送装置の大型化及び高コスト化を招くこともなく、組合せ秤の大型化及び高コスト化を招くこともない。また、振動搬送装置による搬送重量を搬送後すぐに求めることができ、搬送重量が、供給目標重量となるようにあるいは供給目標重量に近づくように、振動発生手段の振動動作の動作時間(振動動作期間の長さ)を調整することにより、計量ホッパへの物品の供給量の精度を向上でき、組合せ計量精度の向上を図ることができる。
【0019】
また、第8発明の組合せ秤は、第3発明の振動搬送装置を複数備えるとともに、各々の前記振動搬送装置に対応して設けられ、前記振動搬送装置の物品搬送部材から排出された物品が供給され、供給された物品の重量を計量する重量センサが取り付けられた複数の計量ホッパと、前記重量センサにより計量された物品の重量に基づいて組合せ演算を行い、物品の重量の合計値が組合せ目標重量値に対する許容範囲内の値になる組合せを求める組合せ演算手段とを備え、各々の前記振動搬送装置の制御手段は、求めた搬送重量を、前記計量ホッパに供給されるべき予定重量である供給目標重量に対して予め定められた目標範囲の最大値及び最小値と比較し、前記搬送重量が前記目標範囲の最大値より大きい場合には前記振動搬送装置における振動発生手段が振動動作を行う期間である振動動作期間を所定時間短くし、前記搬送重量が前記目標範囲の最小値より小さい場合には前記振動動作期間を所定時間長くする振動時間調整処理を行うように構成されている。
【0020】
この構成によれば、重量センサを用いることなく、振動搬送装置の物品搬送部材から排出される物品の重量(搬送重量)を算出することができる。重量センサを用いないため、振動搬送装置の大型化及び高コスト化を招くこともなく、組合せ秤の大型化及び高コスト化を招くこともない。また、振動搬送装置による搬送重量を搬送後すぐに求めることができ、搬送重量が、供給目標重量に対して定められた目標範囲内となるように、振動発生手段の振動動作の動作時間(振動動作期間の長さ)を調整することにより、計量ホッパへの物品の供給量の精度を向上でき、組合せ計量精度の向上を図ることができる。
【0021】
また、第9発明の組合せ秤は、第7発明または第8発明の組合せ秤において、前記振動搬送装置の前記制御手段により求められた搬送重量に対する、前記振動搬送装置に対応する前記計量ホッパに取り付けられた重量センサにより計量された物品の重量の比率を求める比率算出手段が設けられ、前記振動搬送装置の前記制御手段は、前記比率算出手段により前記比率が求められた後に求める搬送重量を前記比率を用いて補正し、補正した搬送重量を用いて前記振動時間調整処理を行うように構成されている。
【0022】
この構成によれば、振動搬送装置において算出される搬送重量を、上記比率を用いて補正することで、振動搬送装置の電磁石の温度変化等による誤差が生じた場合においても正確な搬送重量を求めることができ、振動発生手段の振動動作の動作時間のより正確な調整が可能になる。
【0023】
また、第10発明の組合せ秤は、第7発明または第8発明の組合せ秤において、前記振動搬送装置の前記制御手段は、求めた搬送重量に対する、前記振動搬送装置に対応する前記計量ホッパに取り付けられた重量センサにより計量された物品の重量の比率を求め、この比率を求めた後に求める搬送重量を前記比率を用いて補正し、補正した搬送重量を用いて前記振動時間調整処理を行うように構成されている。
【0024】
この構成によれば、振動搬送装置において算出される搬送重量を、上記比率を用いて補正することで、振動搬送装置の電磁石の温度変化等による誤差が生じた場合においても正確な搬送重量を求めることができ、振動発生手段の振動動作の動作時間のより正確な調整が可能になる。
【0025】
また、第11発明の組合せ秤は、第7発明または第8発明の組合せ秤において、前記振動搬送装置の前記制御手段は、前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスが予め定められた許容範囲内か否かを判定し、許容範囲内でない場合には、前記振動発生手段に前記振動動作を行わせないように構成され、前記制御手段により前記電磁石の自己インダクタンスが予め定められた許容範囲内でないと判定されたときに、前記電磁石の自己インダクタンスが異常であることを報知する報知手段が設けられている。
【0026】
この構成によれば、電磁石の自己インダクタンスの測定値が許容範囲内でなければ振動発生手段による振動動作を行わず、報知手段により異常であることを報知することにより、調整不良や経時変化による電磁石とアーマチュアとの間隔の異常の検出が可能となり、異常発熱、焼損、及び電磁石とアーマチュアとの接触による振動音の発生を未然に防ぐことが可能になる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上に説明した構成を有し、ロードセル等の重量センサを用いることなく、物品の重量を求めることができる振動搬送装置を提供することができ、さらには排出した物品の重量を求めることができる振動搬送装置及びそれを用いた組合せ秤を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の振動搬送装置の概略構成を示すブロック図であり、図2は、同振動搬送装置の外観を示す側面図である。図2において、鎖線で示す供給ホッパ22及びセンター基体25は、振動搬送装置を後述の図6に示す組合せ秤に用いた場合の組合せ秤の構成要素である。
【0030】
まず、図2に示すように、この振動搬送装置は、物品搬送部材として、直線状の搬送路を有する長尺のトラフ1を有している。トラフ1は、ほぼ水平に配置された底板部1aと、その両長手縁にそれぞれ沿った側板部1bとが一体に形成されている。このトラフ1の基端部(図2における右端部)に物品が供給される。トラフ1に供給された物品は図2において左方向へ搬送され、トラフ1の先端部(図2における左端部)から排出される。
【0031】
このトラフ1の下方にベース部3が配置されている。このベース部3の先端側の下部から水平に下部支持板4aが突出している。下部支持板4aの右方向斜め上方に、下部支持板4aと間隔をあけて上部可動板4bが下部支持板4aと平行に配置されている。
【0032】
この下部支持板4a及び上部可動板4bの先端部間には、板ばね5aが取り付けられている。この板ばね5aは、それの上端部側が基端側に傾斜した状態に取り付けられている。同様に、下部支持板4a及び上部可動板4bの基端部間にも、板ばね5bが取り付けられている。板ばね5bも、それの上端部側が基端側に傾斜するように配置され、板ばね5a、5bは、ほぼ平行に配置されている。
【0033】
上部可動板4bの上面にトラフ1の底板部1aが結合具2を介して結合され、上部可動板4bの下面に磁性体からなるアーマチュア7が取り付けられている。下部支持板4a上には、電磁石6が固定して設けられている。この電磁石6は、励磁、消磁が繰り返し行われるもので、励磁されるごとに、上部可動板4bの下面に設けられたアーマチュア7を板ばね5a、5bの弾性に抗して吸着し、消磁されるごとに、板ばね5a、5bの弾性によってアーマチュア7を元の位置に復帰させる。これを繰り返すことによって、上部可動板4bが揺動を繰り返し、トラフ1が振動する。この振動には、トラフ1の底板部1a上にある物品を先端側に移動させる水平成分と、これに垂直な垂直成分とがある。
【0034】
ベース部3は、例えば4つの金属製ばね8によって架台(例えばセンター基体25)に弾性支持される。これら金属製ばね8は、例えばコイルばねである。
【0035】
さらに図3も参照しながら振動搬送装置について説明する。図3は、図1に示すスイッチSW1〜SW4の動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、図1では、振動搬送装置のメカ的な部分の構成として、一部省略及び簡略化して示されている。
【0036】
図1に示すように、電磁石6のコイルは、駆動電源11及びスイッチ部12からなる駆動回路部10に接続されている。駆動電源11は直流電源であり、この振動搬送装置が物品の搬送動作を行う搬送期間(振動動作期間)中は、図3に示すように、スイッチ部12のスイッチSW1,SW2が同時にオン(導通)、オフ(非導通)を繰り返すことにより、電磁石6の励磁、消磁が繰り返される。駆動回路部10、下部支持板4a、上部可動板4b、板ばね5a、5b、電磁石6及びアーマチュア7によって前述の振動発生手段が構成されている。なお、下部支持板4a、上部可動板4b、板ばね5a、5b、電磁石6及びアーマチュア7の形状及び配置は、図2に示すものに限らず、周知の種々の構成を用いることができる。
【0037】
また、電磁石6のコイルは、切替え回路部13を介してインダクタンス計測部14に接続されている。搬送期間中は、制御部16によって、切替え回路部13のスイッチSW3,SW4はオフの状態を維持される。切替え回路部13及びインダクタンス計測部14によってインダクタンス測定手段15が構成されている。
【0038】
また、振動搬送装置が物品の搬送動作を行わないときは、制御部16によって、スイッチ部12のスイッチSW1,SW2はオフの状態を維持される。この振動搬送装置が物品の搬送動作を行わないときであって、電磁石6の自己インダクタンス(電磁石6のコイルの自己インダクタンス)を計測するときには、制御部16によって、切替え回路部13のスイッチSW3,SW4がオンになる(図3のインダクタンス計測期間)。スイッチSW3,SW4がオンになると、電磁石6のコイルがインダクタンス計測部14に接続され、インダクタンス計測部14によって電磁石6の自己インダクタンスが計測され、この計測値は制御部16へ出力される。制御部16では、計測された自己インダクタンスからトラフ1上に存在する物品の重量を算出する。
【0039】
インダクタンス計測部14は、例えば、電磁石6のコイルとともにLC発振回路を構成する内部LC発振回路と、内部LC発振回路の発振周波数(上記LC発振回路の発振周波数)を計測する周波数カウンタと、周波数カウンタで計測された発振周波数から演算によって電磁石6の自己インダクタンスを求めるインダクタンス演算部とで構成すればよい。上記の内部LC発振回路は、スイッチSW3,SW4がオンになり電磁石6のコイルと接続されることによりLC発振回路が構成される。このようなインダクタンス計測部14は、周知であり、詳細は省略する。また、インダクタンス計測部14は、電磁石6の自己インダクタンスを求めることができればよく、特定の構成に限定されるものではない。例えば、市販されているLCメータあるいはLCRメータ等の構成を流用してもよい。
【0040】
制御部16は、例えばCPU及びメモリ等によって構成され、前述のようにスイッチSW1〜SW4のオンオフ制御を行うとともに、インダクタンス計測部14によって計測された電磁石6の自己インダクタンスからトラフ1上に載っている物品の重量を算出する。この物品の重量を算出する方法について以下に説明する。
【0041】
この振動搬送装置では、駆動されていないとき、トラフ1上に載っている物品の重量に応じて電磁石6の鉄心とアーマチュア7との間の間隔xが変化する。この間隔xは、物品の重量が重いほど狭くなる。
【0042】
また、間隔x[m]は、電磁石6の自己インダクタンス(電磁石6のコイルの自己インダクタンス)L[H]と次式で示される関係があり、間隔xが狭くなるほど自己インダクタンスLが大きくなる。
L≒μoAN/2x
ここで、μoは4π×10−7[H/m]、Aは磁極面積[m]、Nはコイル巻回数である。
【0043】
したがって、例えば、電磁石6の自己インダクタンスの値と、トラフ1上に載っている物品の重量との関係を予め求めておけば、電磁石6の自己インダクタンスの計測値からトラフ1上に載っている物品の重量を算出することが可能である。
【0044】
例えば、電磁石6の複数の自己インダクタンスの値とそれぞれに対応する物品の重量とを予め実験により求め、この求めた複数の自己インダクタンスの値とそれぞれに対応する物品の重量とを用いて、例えば最小二乗法によって、自己インダクタンスから物品の重量を算出するための直線近似式(以下、「重量算出式」という)を求めておき、この重量算出式を用いて自己インダクタンスの計測値から物品の重量を算出するようにすればよい。
【0045】
あるいは、予め実験により求めた複数の自己インダクタンスの値とそれぞれに対応する物品の重量とをテーブル(以下、「重量算出テーブル」という)として記憶しておき、この重量算出テーブルを参照して、計測された自己インダクタンスの値からそれに対応する物品の重量を求めるようにしてもよい。この場合において、自己インダクタンスの計測値と一致する値が重量算出テーブルに記憶されていないときには、例えば、計測値を挟んで記憶されている2つの自己インダクタンスの値に対応する物品の重量を用いて、補間法によって自己インダクタンスの計測値に対応する物品の重量を求めるようにすればよい。
【0046】
すなわち、制御部16は、上記の重量算出式あるいは重量算出テーブルのように、予め作成され記憶されている電磁石6の自己インダクタンスとトラフ1上の物品の重量との関係を示す情報に基づいて、インダクタンス計測部14で計測された電磁石6の自己インダクタンスから、上述のようにしてトラフ1上に載っている物品の重量を算出するように構成されている。
【0047】
なお、上記の重量算出式あるいは重量算出テーブルのように、電磁石6の自己インダクタンスとトラフ1上の物品の重量との関係を示す情報は、1つの情報に限らず電磁石6の温度に応じて複数作成されてあってもよい。例えば、電磁石6の複数の温度の値に応じて、それぞれ重量算出式あるいは重量算出テーブルを予め作成し記憶しておくとともに、電磁石6の温度を測定するための温度センサを電磁石6の近傍に配設し、温度センサにより検出される電磁石6の温度(電磁石6の検出温度)が制御部16に入力されるように構成し、制御部16において、電磁石6の検出温度に対応する重量算出式あるいは重量算出テーブルに基づいて、トラフ1上の物品の重量を算出するように構成すればよい。この場合において、電磁石6の検出温度に対応する重量算出式あるいは重量算出テーブルが記憶されていないときには、電磁石6の検出温度を挟む2つの温度に対応して記憶されている2つの重量算出式あるいは重量算出テーブルを用いて物品の重量値を2つ求め、補間法によって物品の重量値を1つに決めるようにすればよい。
【0048】
あるいは、トラフ1上の物品の重量を算出するための重量導出用計算式として、物品の重量を従属変数、電磁石6の自己インダクタンスと電磁石6の温度とを独立変数とする式を予め作成し記憶しておくとともに、電磁石6の温度を測定するための温度センサを電磁石6の近傍に配設し、温度センサにより検出される電磁石6の温度(電磁石6の検出温度)が制御部16に入力されるように構成し、制御部16において、上記重量導出用計算式を用いて電磁石6の自己インダクタンスの計測値と電磁石6の検出温度とから物品の重量を算出するように構成してもよい。
【0049】
なお、図1、図2に示す例では、トラフ1上に載っている物品の重量が重いほど、電磁石6の鉄心とアーマチュア7との間隔xが狭くなるように構成されているが、トラフ1上に載っている物品の重量が重いほど、電磁石6の鉄心とアーマチュア7との間隔xが広くなるように、下部支持板4a、上部可動板4b、板ばね5a、5b、電磁石6及びアーマチュア7の形状及び配置が変更された構成であってもよい。要するに、トラフ1上の物品の重量の大小に応じて電磁石6の自己インダクタンスが変化(増加または減少)するように構成されてあればよい。いずれにしても、電磁石6の自己インダクタンスの値と、トラフ1上に載っている物品の重量との関係を示す情報を予め作成して記憶しておき、その関係を示す情報に基づいて、電磁石6の自己インダクタンスの計測値からトラフ1上に載っている物品の重量を算出するようにすればよい。
【0050】
次に、この振動搬送装置の動作の一例について説明する。図4、図5は、この振動搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。この振動搬送装置の動作は制御部16の制御によって実現される。
【0051】
まず、初期設定のステップS1では、スイッチSW1〜SW4をオフにする。搬送時間Tとして初期値を設定する。
【0052】
次にステップS2では、上流装置が振動搬送装置のトラフ1へその基端側から物品の供給を行う供給動作が終了した後で、スイッチSW3、SW4を所定時間オンにして、電磁石6の自己インダクタンスを計測する。計測後、スイッチSW3、SW4をオフにする(ステップS3)。上流装置とは、振動搬送装置へ物品の供給を行う装置である。
【0053】
次にステップS4では、ステップS2における電磁石6の自己インダクタンスの計測値が予め定められている許容範囲内か否かを判定し、許容範囲内でなければ警報信号を出力する(ステップS5)。この警報信号によって、例えば、警報用のランプを設けておいてそのランプを点灯させるようにしてもよいし、警報用のブザーを設けておいてそのブザーを鳴動させるようにしてもよい。
【0054】
インダクタンスの計測値が許容範囲内であればステップS6へ進み、前述のようにインダクタンスの計測値からトラフ1上に載っている物品の重量を算出する。
【0055】
次に、算出した重量を物品重量Pとして記憶する(ステップS7)。
【0056】
次に、物品の搬送を開始し、搬送時間Tが経過すれば、搬送を停止する(ステップS8〜S10)。この搬送期間中は、前述のようにスイッチSW1、SW2のオン、オフを繰り返し行い、搬送停止後は、スイッチSW1、SW2をオフ状態に維持する。
【0057】
上記のステップS8〜S10によって行われる物品の搬送によって、ステップS2の前にトラフ1上に載っていた物品がトラフ1上を先端方向へ搬送され、一部の物品がトラフ1の先端部から排出される。この排出された物品の重量が後述のステップS15で求める搬送重量Wである。
【0058】
次のステップS11では、スイッチSW3、SW4を所定時間オンにして、電磁石6の自己インダクタンスを計測する。計測後、スイッチSW3、SW4をオフにする(ステップS12)。
【0059】
次にステップS13では、ステップS11で計測したインダクタンスの計測値からトラフ1上に載っている物品の重量を算出する。
【0060】
次にステップS14では、ステップS13で算出した重量を物品重量Qとして記憶する。
【0061】
そして、ステップS15では、ステップS7で記憶した物品重量PからステップS14で記憶した物品重量Qを減算し、その減算結果を搬送重量Wとして算出する。
【0062】
次にステップS16では、ステップS15で算出した搬送重量Wが予め定められている所定重量Rより少ないか否かを判定し、少なければ搬送時間Tを所定時間(α)長くする(ステップS17)。所定重量Rは、目標搬送重量として予め定められている。
【0063】
搬送重量Wが所定重量Rより少なくなければ、ステップS18へ進み、搬送重量Wが所定重量Rより多いか否かを判定し、多ければ搬送時間Tを所定時間(α)短くする(ステップS19)。
【0064】
その後、ステップS2へ戻る。
【0065】
制御部16内のメモリには、上記動作を行うために必要な個々の情報を記憶する個々の領域があり、その領域に必要な情報が記憶されている。例えば、所定重量R,搬送時間T等はそれぞれメモリに予め記憶されており、搬送時間Tの書き換えも行われる(ステップS17、S19)。また、求められる物品重量P,Qや搬送重量Wはメモリ内の所定領域に記憶される。
【0066】
また、制御部16によって制御されるLCD等の表示手段を設けておいて、その表示手段に、ステップS5による制御部16からの警報信号を入力することにより異常である旨の表示を行わせたり、ステップS15で算出する搬送重量Wを表示させるようにしてもよい。
【0067】
本実施の形態の振動搬送装置では、重量センサを用いることなく、トラフ1から排出される物品の重量すなわち搬送重量Wを算出することができる。高価な重量センサを用いないため、装置の大型化及び高コスト化を招くこともない。
【0068】
また、本実施の形態では、電磁石6の自己インダクタンスの計測を行い(ステップS2)、その計測値が許容範囲内か否かを判定し(ステップS4)、許容範囲内でなければ警報信号を出力するようにしている(ステップS5)。電磁石6は、電磁石6の鉄心とアーマチュア7との間の間隔xが大きいほど、自己インダクタンスが小さい。そのため、電磁石6の鉄心とアーマチュア7との間の間隔xが大きすぎると、自己インダクタンスが小さくなりすぎて大電流が流れ、異常発熱や焼損することがある。一方、間隔xが小さすぎると、電磁石6とアーマチュア7とが接触して振動音が発生する。したがって、上記のように、自己インダクタンスの計測値が許容範囲内でなければ警報信号を出力することにより、調整不良や経時変化による間隔xの異常検出が可能となり、異常発熱、焼損、及び電磁石6とアーマチュア7との接触による振動音の発生を未然に防ぐことが可能になる。例えば、トラフ1上の物品の重量が0〜1500gの場合に電磁石6の自己インダクタンスの変化範囲が1.420〜1.423Hを良好な範囲として、その上限値、下限値に対して±1%を含む範囲の1.406H〜1.437Hを許容範囲とし、1.406H未満、若しくは1.437Hを超えた場合に異常として警報信号を出力するようにすればよい。
【0069】
なお、ステップS12とステップS13との間に、ステップS4等と同様の処理を行うようにしてもよい。すなわち、ステップS12の後、ステップS11で求めた電磁石6の自己インダクタンスの計測値が許容範囲内か否かを判定し、許容範囲内でなければ警報信号を出力するようにしてもよい。
【0070】
また、本実施の形態では、搬送時間Tを調整する(ステップS16〜S19)ことにより、搬送重量Wを、ほぼ目標搬送重量(所定重量R)となるようにすることができる。
【0071】
なお、本実施の形態において、ステップS16〜ステップS19では、搬送重量Wを目標とする搬送重量である所定重量Rと比較するようにしたが、この場合、搬送重量Wが所定重量Rと一致していなければ、常に搬送時間Tが変更されることになる。このステップS16〜ステップS19に代えて、搬送重量Wが予め定められている好ましい搬送重量範囲(R1〜R2)の範囲内にあるか否かを判定し、同範囲の最小値R1より小さければ、搬送時間Tを所定時間(β)長くし、同範囲の最大値R2より大きければ、搬送時間Tを所定時間(β)短くするようにしてもよい。この場合、搬送重量Wを、ほぼ好ましい搬送重量範囲R1〜R2内となるようにすることができる。この場合、搬送重量Wが好ましい搬送重量範囲R1〜R2の範囲内であれば、搬送時間Tは変更されない。この場合の所定時間(β)と前述の所定時間(α)とは同じであってもよいし、異なってもよい。
【0072】
なお、本実施の形態では、1回の搬送動作によりトラフ1上の物品を一部ずつ排出するように構成したが、1回の搬送動作によりトラフ1上の物品の全てを排出するように構成することもできる。すなわち、上流装置からトラフ1へ1回に供給される物品の全てを1回の搬送動作により排出する。この場合、例えば、ステップS1の後、上流装置から物品が供給されるたびに、ステップS7を除くステップS2〜ステップS10を繰り返すようにするとともに、ステップS6において算出した重量を搬送重量Wとすればよい。また、この場合、搬送時間Tは、1回の搬送動作によりトラフ1上の物品の全てが排出される時間に設定される。このように構成することにより、上流装置から物品が供給されるたびに、その物品の重量を計測し、供給された物品の全部を排出することができる。
【0073】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態における組合せ秤の構成を示す概略模式図である。
【0074】
本実施の形態の組合せ秤では、各直進フィーダ21に第1の実施の形態の振動搬送装置を用いている。この組合せ秤は、装置中央に配設されたセンター基体(ボディ)25の上部に、外部の供給装置から供給される物品を振動によって放射状に分散させる円錐形の分散フィーダ20が設けられている。分散フィーダ20では、供給装置10からその中央部に供給される物品を振動によってその周縁部方向へ送り出す。分散フィーダ20の周囲には、分散フィーダ20から送られてきた物品を振動によって各供給ホッパ22に送りこむための直進フィーダ21が放射状に複数設けられている。各直進フィーダ21の下方には、供給ホッパ22及び計量ホッパ23がそれぞれ対応して設けられている。これらの複数の供給ホッパ22及び計量ホッパ23はそれぞれ円状に配設されている。供給ホッパ22は直進フィーダ21から送りこまれた物品を受け取り、その下方に配置された計量ホッパ23が空になるとゲートを開いて計量ホッパ23へ物品を供給する。また、各計量ホッパ23には、計量ホッパ23内の物品の重量を計測するロードセル等の重量センサ24が取り付けられ、各重量センサ24による計測値は秤制御部30へ出力される。
【0075】
円状に列設された計量ホッパ23の下方には集合シュート26が設けられ、集合シュート26の下方に例えば包装機(図示せず)が配置されている。
【0076】
操作設定表示器31は、例えばタッチパネル等を用いて構成され、組合せ秤の操作およびその動作パラメータの設定・更新等を行うための入力手段と、運転速度、組合せ計量値等を画面に表示する表示手段とを備えている。
【0077】
秤制御部30では、組合せ秤の全体の動作制御を行うとともに、物品を排出すべき計量ホッパ23の組合せを求める組合せ処理を行う。この組合せ処理では、各計量ホッパ23の計量値(重量センサ24により計測された計量ホッパ23内の物品の重量値)に基づいて組合せ演算を行い、複数の計量ホッパ23の中から、計量値の合計が組合せ目標重量値に対する許容範囲内の値であり、かつ、組合せ目標重量値との差の絶対値が最小となる計量ホッパ23の組合せを1つ選択し、物品を排出すべき組合せ(以下、「排出組合せ」という)とする。このようにして求められた排出組合せに選択されている計量ホッパ23から物品が排出され、この排出された物品は、集合シュート26を滑り落ちて集合シュート26の下部の排出口から排出されて、図示されていない包装機に送出される。包装機では、例えば、袋を製造しながら、この袋に組合せ秤から排出されてきた物品を充填して包装する。
【0078】
ここで、秤制御部30は、各直進フィーダ21の制御部16(図1)を制御する。例えば、直進フィーダ21の駆動開始時刻(搬送期間の開始タイミング)を指示するように構成されている。
【0079】
図7は本実施の形態の組合せ秤が連続して動作しているときの動作の一例を示すタイミングチャートである。図7において、分散フィーダが「駆動」の時には分散フィーダ20から直進フィーダ21へ物品が供給され、直進フィーダが「駆動」の時は、図3の搬送期間に相当し、直進フィーダ21から供給ホッパ22へ物品が供給される。また、供給ホッパのゲートが「開」の時には供給ホッパ22から計量ホッパ23へ物品が排出され、計量ホッパのゲートが「開」の時には計量ホッパ23から物品が排出される。
【0080】
秤制御部30は、例えば、時刻t1〜t2の間、分散フィーダ20を駆動し、分散フィーダ20から直進フィーダ21へ物品を供給する。次に、時刻t3〜t4の間、直進フィーダ21を駆動し、直進フィーダ21から供給ホッパ22へ物品を供給する。次に、時刻t5〜t6の間、供給ホッパ22のゲートを開いて、供給ホッパ22から計量ホッパ23へ物品を供給する。次に、時刻t7〜t8の間、排出組合せに選択されている計量ホッパ23のゲートを開いて、計量ホッパ23から物品を排出させる。
【0081】
時刻t11〜t12、t13〜t14、t15〜t16、t17〜t18では、前述の時刻t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8と同様の動作が行われるが、時刻t15〜t16では、時刻t7〜t8においてゲートが開かれて物品が排出され空になった計量ホッパ23に対応する供給ホッパ22のみゲートが開かれ、空になった計量ホッパ23へ物品を供給する。また、更に後の時刻t23〜t24では、時刻t15〜t16においてゲートが開かれて物品が排出され空になった供給ホッパ22に対応する直進フィーダ21のみ駆動され、空になった供給ホッパ22へ物品を供給する。
【0082】
ここで、直進フィーダ21による重量の計測を含む動作について詳述する。
【0083】
例えば時刻t1〜t2の分散フィーダ20の駆動によって直進フィーダ21に物品が供給された後、時刻t3になるまでに、直進フィーダ21の電磁石6の自己インダクタンスを計測し、インダクタンスの計測値から直進フィーダ21上の物品重量Pを算出し記憶する(図4のステップS2〜S7)。次に、時刻t3〜t4の間、直進フィーダ21を駆動し、直進フィーダ21上の物品の一部を供給ホッパ22へ供給する(図4のステップS8〜S10)。
【0084】
そして、時刻t4の後、すなわち直進フィーダ21の駆動を停止した後すぐに、直進フィーダ21の電磁石6の自己インダクタンスを計測し、インダクタンスの計測値から直進フィーダ21上の物品重量Qを算出し、搬送重量W(=P−Q)を算出する(図5のステップS11〜S15)。この搬送重量Wが所定重量Rより少ない場合には搬送時間Tを延長し、多い場合には搬送時間Tを短縮する(図5のステップS16〜S19)。
【0085】
ここで、所定重量Rは、各計量ホッパ23へ供給するのに好ましい重量、すなわち組合せ演算において組合せの数が多くなる重量として予め設定されている。また、搬送時間Tの一例としては、例えば初期値を200msとし、延長あるいは短縮する際の1回あたりの延長時間、短縮時間をそれぞれ10msとしてもよい。ここで変更された搬送時間Tは、その後にその直進フィーダ21を駆動する時から適用される。
【0086】
次に時刻t5に供給ホッパ22から計量ホッパ23への物品の供給が開始される。そして、時刻t7になるまでに、計量ホッパ23内の物品の重量が重量センサ24によって計測され、かつ、その計測値を用いて組合せ演算を行い、排出組合せを求める。そして時刻t7に排出組合せに選択されている計量ホッパ23から物品の排出が開始される。
【0087】
なお、ステップS4において、インダクタンスの計測値が許容範囲でない場合には、警報信号を出力する(ステップS5)。この直進フィーダ21の制御部16から出力される警報信号は、秤制御部30へ入力される。そして秤制御部30では、例えば操作設定表示器31に、警報信号出力のあった直進フィーダが異常である旨の画面表示を行わせ、組合せ秤の動作を停止する。
【0088】
本実施の形態では、第1の実施の形態の振動搬送装置を直進フィーダ21として用いることにより、重量センサを用いることなく、直進フィーダ21の搬送重量Wを算出することができる。高価な重量センサを用いないため、直進フィーダ21の大型化及び高コスト化を招くこともなく、組合せ秤の大型化及び高コスト化を招くこともない。
【0089】
また、直進フィーダ21による搬送重量Wを搬送後すぐに求めることができ、直進フィーダ21の搬送時間Tの調整(変更)を即座に行うことが可能である。例えば、本実施の形態のように、時刻t3〜t4における直進フィーダ21による搬送重量Wに基づいて直進フィーダ21の搬送時間Tが変更される場合には、時刻t3から1周期後の時刻t13〜t14における搬送時間に反映させることができるが、例えば時刻t6〜t7の間に計量ホッパ23において計量された重量を時刻t3〜t4における直進フィーダ21による搬送重量として用いた場合には、最短でも時刻t3から2周期後の時刻t23〜t24における搬送時間に反映されることになり、変更された搬送時間の反映が遅くなり、本実施の形態のように時刻t13〜t14における搬送時間に反映させることができない。
【0090】
すなわち、本実施の形態では、直進フィーダ21による搬送重量Wを搬送後すぐに求めることができ、直進フィーダ21による搬送重量が、組合せ演算において組合せが多くなるように設定された計量ホッパの供給目標重量である所定重量Rとなるようにあるいは同所定重量Rに近づくように、直進フィーダ21の搬送時間Tを調整する(ステップS16〜S19)ことにより、分散フィーダ20から直進フィーダ21への物品の供給量にばらつきが生じても、計量ホッパ23への物品の供給量の精度を向上でき、組合せ計量精度の向上を図ることができる。
【0091】
また、本実施の形態では、第1の実施の形態で述べたように、電磁石6の自己インダクタンスの計測を行い(ステップS2)、その計測値が許容範囲内か否かを判定し、許容範囲内でなければ警報信号を出力するようにしている(ステップS5)ため、調整不良や経時変化による電磁石6とアーマチュア7との間の間隔xの異常検出が可能となり、異常発熱、焼損、及び電磁石6とアーマチュア7との接触による振動音の発生を未然に防ぐことが可能になる。例えば、トラフ1上の物品の重量が0〜1500gの場合に電磁石6の自己インダクタンスの変化範囲が1.420〜1.423Hを良好な範囲として、その上限値、下限値に対して±1%を含む範囲の1.406H〜1.437Hを許容範囲とし、1.406H未満、若しくは1.437Hを超えた場合に異常として警報信号を出力するようにすればよい。
【0092】
また、本実施の形態において、対応して設けられている直進フィーダ21、供給ホッパ22、計量ホッパ23及び重量センサ24を1つの計量ユニットとした場合、同一の計量ユニットにおいて、重量センサ24によって計測された計量ホッパ23内の物品の重量の計測値に基づいて、ステップS15により求めた直進フィーダ21による物品の搬送重量Wの補正を行うようにしてもよい。この補正は、まず、同一の計量ユニットにおいて、ステップS15により求めた直進フィーダ21による物品の搬送重量(P−Q)と、同物品の重量が計量ホッパ23にて重量センサ24によって計測された計測値Zとから、下記の式で表される補正係数kを求める。
【0093】
k=Z/(P−Q)
そして、ステップS15において、搬送重量Wを算出する際、W=k(P−Q)として算出するようにすればよい。この場合、組合せ秤の運転開始時における補正係数kの初期値は1にしておけばよい。このように直進フィーダ21において算出される搬送重量(P−Q)の値に、上記補正係数kを乗じることで、直進フィーダ21の電磁石の温度変化等による誤差が生じた場合においても正確な搬送重量を求めることができ、直進フィーダ21のより正確な搬送時間Tの調整が可能になる。この場合、例えば、各直進フィーダ21の制御部16から各搬送重量(P−Q)が秤制御部30へ入力されており、秤制御部30が、各直進フィーダ21について上記補正係数kを求めて各直進フィーダ21の制御部16へ出力するように構成すればよい。あるいは、秤制御部30が重量センサ24によって計測された計測値Zを、対応する直進フィーダ21の制御部16へ出力し、制御部16が上記補正係数kを求めるように構成してもよい。
【0094】
なお、上記補正係数kの算出は、各計量ユニットにおいて、計量ホッパ23に物品が新たに供給され、かつその重量が重量センサ24により計測されるたびに毎回行うようにしてもよいし、直前の補正係数kの算出が行われてから例えば一定時間経過後に計量ホッパ23に物品が新たに供給され、かつその重量が重量センサ24により計測されたときに行うようにしてもよい。
【0095】
なお、本実施の形態において、ステップS16〜ステップS19では、搬送重量Wを計量ホッパの供給目標重量である所定重量Rと比較するようにしたが、この場合、搬送重量Wが所定重量Rと一致していなければ、常に搬送時間Tが変更されることになる。このステップS16〜ステップS19に代えて、搬送重量Wが計量ホッパの供給目標重量(R)に対して好ましい範囲として設定された所定重量範囲(R1〜R2)の範囲内にあるか否かを判定し、同範囲の最小値R1より小さければ、搬送時間Tを所定時間(β)長くし、同範囲の最大値R2より大きければ、搬送時間Tを所定時間(β)短くするようにしてもよい。この場合も分散フィーダ20から直進フィーダ21への物品の供給量にばらつきが生じても、計量ホッパ23への物品の供給量の精度を向上でき、組合せ計量精度の向上を図ることができる。この場合、搬送重量Wが所定重量範囲R1〜R2の範囲内であれば、搬送時間Tは変更されない。この場合の所定時間(β)と前述の所定時間(α)とは同じであってもよいし、異なってもよい。
【0096】
また、本実施の形態では、供給されている物品の重量が組合せ演算に用いられるホッパとして、計量ホッパ23のみが用いられる組合せ秤の一例を示したが、このような例に限られるものではない。例えば、各計量ホッパの斜め下方に計量ホッパから供給される物品を一時保持して集合シュートへ排出可能なメモリホッパを配設し、各計量ホッパをその保持している物品をメモリホッパと集合シュートとへ選択的に排出可能な構成とし、計量ホッパとメモリホッパとに保持している物品の重量を組合せ演算に用いるようにしてもよい。これ以外にも、ホッパ構成等を種々変更してもよい。
【0097】
また、本実施の形態では、計量ホッパ23が円状に列設された組合せ秤を例に説明したが、この構成に限られるものではない。例えば、計量ホッパ23が直線状に列設された組合せ秤であってもよく、直進フィーダ及び計量ホッパを有する組合せ秤であれば、本実施の形態のように第1の実施の形態の振動搬送装置を直進フィーダとして用いて、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
また、秤制御部30は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成されるが、必ずしも単独の制御装置で構成される必要はなく、複数の制御装置が分散配置されていて、それらが協働して組合せ秤の動作を制御するよう構成されていてもよい。また、秤制御部30が各直進フィーダ21の制御部16(図1)を含んで構成されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、搬送する物品の重量を計測することができる振動搬送装置及びそれを用いた組合せ秤等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態の振動搬送装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の振動搬送装置の外観を示す側面図である。
【図3】図1に示す4個のスイッチの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態の振動搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態の振動搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態の組合せ秤を側方から視た一部断面の概略模式図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の組合せ秤の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0101】
1 トラフ
4a 下部支持板
4b 上部可動板
5a、5b 板ばね
6 電磁石
7 アーマチュア
10 駆動回路部
11 駆動電源
12 スイッチ部
13 切替え回路部
14 インダクタンス計測部
15 インダクタンス測定手段
16 制御部
20 分散フィーダ
21 直進フィーダ
22 供給ホッパ
23 計量ホッパ
24 重量センサ
25 センター基体
26 集合シュート
30 秤制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が供給され、振動させられることにより物品を一方向へ搬送させるための物品搬送部材と、
前記物品搬送部材を支持し、電磁石に間欠的な通電が行われることにより前記物品搬送部材を振動させる振動動作を行うように構成されるとともに、前記振動動作を行っていないときに前記物品搬送部材上の物品の重量の大小に応じて前記電磁石の自己インダクタンスが変化するように構成された振動発生手段と、
前記電磁石の自己インダクタンスを測定するインダクタンス測定手段と、
前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスに基づいて前記物品搬送部材上の物品の重量を算出する演算手段と、
前記物品搬送部材に物品が供給された後で前記電磁石の自己インダクタンスを測定するように前記インダクタンス測定手段を制御するとともに、前記インダクタンス測定手段により前記電磁石の自己インダクタンスを測定した後で前記振動動作を行うように前記振動発生手段を制御する制御手段とを備えた、振動搬送装置。
【請求項2】
前記演算手段は、
予め記憶されている、前記電磁石の自己インダクタンスと前記物品搬送部材上の物品の重量との関係を示す情報に基づいて、前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスから前記物品搬送部材上の物品の重量を算出するように構成された、請求項1に記載の振動搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
物品の供給が繰り返し行われる前記物品搬送部材に対し物品が供給されるたびに、前記電磁石の自己インダクタンスを測定するように前記インダクタンス測定手段を制御するとともに前記インダクタンス測定手段により前記電磁石の自己インダクタンスを測定した後で前記振動動作を行うように前記振動発生手段を制御し、
さらに、前記制御手段は、
前記振動発生手段によるN回目(Nは1以上の整数)の前記振動動作の後で、かつ次に前記物品搬送部材に物品が供給される前に、前記電磁石の自己インダクタンスを測定するように前記インダクタンス測定手段を制御し、
前記振動発生手段によるN回目の前記振動動作の直前に前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスに基づいて前記演算手段が算出した前記物品の重量から、前記振動発生手段によるN回目の前記振動動作の直後に前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスに基づいて前記演算手段が算出した前記物品の重量を減算し、この減算結果を前記N回目の前記振動動作によって前記物品搬送部材から排出された物品の重量である搬送重量として求めるように構成された、請求項1に記載の振動搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記搬送重量を所定重量と比較し、前記搬送重量が前記所定重量より大きい場合には前記振動発生手段が振動動作を行う期間である振動動作期間を所定時間短くし、前記搬送重量が前記所定重量より小さい場合には前記振動動作期間を所定時間長くするように構成された、請求項3に記載の振動搬送装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記搬送重量が所定重量範囲の最大値より大きい場合には前記振動発生手段が振動動作を行う期間である振動動作期間を所定時間短くし、前記搬送重量が前記所定重量範囲の最小値より小さい場合には前記振動動作期間を所定時間長くするように構成された、請求項3に記載の振動搬送装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスが予め定められた許容範囲内か否かを判定し、許容範囲内でない場合には、前記振動発生手段に前記振動動作を行わせないように構成され、
前記制御手段により前記電磁石の自己インダクタンスが予め定められた許容範囲内でないと判定されたときに、前記電磁石の自己インダクタンスが異常であることを報知する報知手段が設けられた、請求項1または3に記載の振動搬送装置。
【請求項7】
請求項3に記載の振動搬送装置を複数備えるとともに、
各々の前記振動搬送装置に対応して設けられ、前記振動搬送装置の物品搬送部材から排出された物品が供給され、供給された物品の重量を計量する重量センサが取り付けられた複数の計量ホッパと、
前記重量センサにより計量された物品の重量に基づいて組合せ演算を行い、物品の重量の合計値が組合せ目標重量値に対する許容範囲内の値になる組合せを求める組合せ演算手段とを備え、
各々の前記振動搬送装置の制御手段は、求めた搬送重量を、前記計量ホッパに供給されるべき予定重量である供給目標重量と比較し、前記搬送重量が前記供給目標重量より大きい場合には前記振動搬送装置における振動発生手段が振動動作を行う期間である振動動作期間を所定時間短くし、前記搬送重量が前記供給目標重量より小さい場合には前記振動動作期間を所定時間長くする振動時間調整処理を行うように構成された、組合せ秤。
【請求項8】
請求項3に記載の振動搬送装置を複数備えるとともに、
各々の前記振動搬送装置に対応して設けられ、前記振動搬送装置の物品搬送部材から排出された物品が供給され、供給された物品の重量を計量する重量センサが取り付けられた複数の計量ホッパと、
前記重量センサにより計量された物品の重量に基づいて組合せ演算を行い、物品の重量の合計値が組合せ目標重量値に対する許容範囲内の値になる組合せを求める組合せ演算手段とを備え、
各々の前記振動搬送装置の制御手段は、求めた搬送重量を、前記計量ホッパに供給されるべき予定重量である供給目標重量に対して予め定められた目標範囲の最大値及び最小値と比較し、前記搬送重量が前記目標範囲の最大値より大きい場合には前記振動搬送装置における振動発生手段が振動動作を行う期間である振動動作期間を所定時間短くし、前記搬送重量が前記目標範囲の最小値より小さい場合には前記振動動作期間を所定時間長くする振動時間調整処理を行うように構成された、組合せ秤。
【請求項9】
前記振動搬送装置の前記制御手段により求められた搬送重量に対する、前記振動搬送装置に対応する前記計量ホッパに取り付けられた重量センサにより計量された物品の重量の比率を求める比率算出手段が設けられ、
前記振動搬送装置の前記制御手段は、前記比率算出手段により前記比率が求められた後に求める搬送重量を前記比率を用いて補正し、補正した搬送重量を用いて前記振動時間調整処理を行うように構成された、請求項7または8に記載の組合せ秤。
【請求項10】
前記振動搬送装置の前記制御手段は、求めた搬送重量に対する、前記振動搬送装置に対応する前記計量ホッパに取り付けられた重量センサにより計量された物品の重量の比率を求め、この比率を求めた後に求める搬送重量を前記比率を用いて補正し、補正した搬送重量を用いて前記振動時間調整処理を行うように構成された、請求項7または8に記載の組合せ秤。
【請求項11】
前記振動搬送装置の前記制御手段は、前記インダクタンス測定手段によって測定された前記電磁石の自己インダクタンスが予め定められた許容範囲内か否かを判定し、許容範囲内でない場合には、前記振動発生手段に前記振動動作を行わせないように構成され、
前記制御手段により前記電磁石の自己インダクタンスが予め定められた許容範囲内でないと判定されたときに、前記電磁石の自己インダクタンスが異常であることを報知する報知手段が設けられた、請求項7または8に記載の組合せ秤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−83615(P2010−83615A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254144(P2008−254144)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】