説明

振動検知センサ

【課題】本発明は、電子機器の振動状態を精度良く検知することができる振動検知センサを提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明の振動検知センサは、基板11と、この基板11の上面に設けられ、かつ内壁12を有する容器13と、前記基板11の上面と容器13の内壁12との間に形成される内部空間14と、前記内部空間14に収容され、かつ前記容器13の内壁に接しながら前記基板11上を移動する磁性体15と、前記基板11の上面に位置して設けられ、かつ前記磁性体15が静止可能な静止領域21とを備え、前記基板11に、前記静止領域21を除いた前記磁性体15が移動可能な領域に対応して磁気検出器18を設け、さらに前記磁気検出器18に磁気を印加する磁気発生器を前記静止領域21以外の部分に設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の姿勢を検知して電子機器の振動状態を検出するための振動検知センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の振動検知センサは、図12に示すように、主空間1および副空間2を有する容器3と、前記主空間1に収容された球状の磁性体4と、前記副空間2に収容された永久磁石5と、前記容器3に形成された磁気検出器6とを備えた構成で、前記磁性体4が永久磁石5と対向する特定位置にあるときにはこの磁性体4を前記永久磁石5が拘束し、そして振動または傾斜により前記磁性体4が特定位置から離れたとき、前記永久磁石5は副空間2の内部を移動して前記磁気検出器6に磁束の変化を与えるように構成されていた。
【0003】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平11−23267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の振動検知センサにおいては、磁性体4が永久磁石5と対向する特定位置にあるときにこの磁性体4を永久磁石5が拘束する構造であるため、長期間使用して永久磁石5の磁力が劣化したりした場合、あるいは、振動が速い場合には、永久磁石5が磁性体4を拘束しきれなくなり、その結果、電子機器の振動状態を精度良く検知することができないという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、電子機器の振動状態を精度良く検知することができる振動検知センサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、基板と、この基板の上面に設けられ、かつ内壁を有する容器と、前記基板の上面と容器の内壁との間に形成される内部空間と、前記内部空間に収容され、かつ前記容器の内壁に接しながら前記基板上を移動する磁性体と、前記基板の上面に位置して設けられ、かつ前記磁性体が静止可能な静止領域とを備え、前記基板または容器に、前記静止領域を除いた前記磁性体が移動可能な領域に対応して磁気検出器を設け、さらに前記磁気検出器に磁気を印加する磁気発生器を前記静止領域以外の部分に設けたもので、この構成によれば、前記基板または容器に、前記静止領域を除いた前記磁性体が移動可能な領域に対応して磁気検出器を設け、さらに前記磁気検出器に磁気を印加する磁気発生器を前記静止領域以外の部分に設けているため、前記磁性体が静止可能な静止領域に位置しているときに、磁性体が磁気発生器に拘束されるということはなくなり、これにより、長期間の使用による磁気発生器の磁力の劣化や磁気発生器による磁性体の拘束が電子機器の振動状態の検知に与える影響は少なくなるため、電子機器の振動状態を精度良く検知することができるという作用効果が得られるものである。
【0008】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、上面から見た容器の内壁の形状を円形状または円形状の一部を構成する形状としたもので、この構成によれば、上面から見た容器の内壁の形状を円形状または円形状の一部を構成する形状としているため、振動により移動する磁性体に遠心力を与えることができ、これにより、磁性体は確実に容器の内壁に接することになるため、磁性体の移動を確実に磁気検出器で検出することができるという作用効果が得られるものである。
【0009】
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、上面から見た容器の内壁の形状を楕円形状または楕円形状の一部を構成する形状としたもので、この構成によれば、上面から見た容器の内壁の形状を楕円形状または楕円形状の一部を構成する形状としているため、曲率によって検知できる振動の強さを変えることができるという作用効果が得られるものである。
【0010】
本発明の請求項4に記載の発明は、特に、上面から見た磁性体の形状を円形状としたもので、この構成によれば、上面から見た磁性体の形状を円形状としているため、磁性体を容器の内壁に沿って滑らかに移動させることができるという作用効果が得られるものである。
【0011】
本発明の請求項5に記載の発明は、特に、内部空間の中心部と静止領域とを結ぶ直線に対して線対称となるように複数の磁気検出器を設けたもので、この構成によれば、内部空間の中心部と静止領域とを結ぶ直線に対して線対称となるように複数の磁気検出器を設けているため、振動で静止領域に対して一方向に移動した磁性体が、反動で静止領域に対して逆方向に移動したときの検知も行うことができ、これにより、より精度良く振動を検知することができるという作用効果が得られるものである。
【0012】
本発明の請求項6に記載の発明は、特に、内部空間の中心部と静止領域とを結ぶ直線の両側に形成された磁気検出器の個数を同数となるようにしたもので、この構成によれば、内部空間の中心部と静止領域とを結ぶ直線の両側に形成された磁気検出器の個数を同数となるようにしているため、安定した振動の検知が行えるという作用効果が得られるものである。
【0013】
本発明の請求項7に記載の発明は、特に、内部空間の中心部と静止領域とを結ぶ直線の少なくとも片側に磁気検出器を設けたもので、この構成によれば、内部空間の中心部と静止領域とを結ぶ直線の少なくとも片側に磁気検出器を設けているため、磁性体を検知した磁気検出器の数によって振動の大きさも検知することができるという作用効果が得られるものである。
【0014】
本発明の請求項8に記載の発明は、特に、磁気検出器の両側に対向するように磁気発生器を設け、かつこの磁気発生器は互いに異なる極が対向するように構成したもので、この構成によれば、磁気検出器の両側に対向するように磁気発生器を設け、かつこの磁気発生器は互いに異なる極が対向するように構成しているため、磁気検出器により多くの磁束を印加できるという作用効果が得られるものである。
【0015】
本発明の請求項9に記載の発明は、特に、1つの磁気発生器が複数の磁気検出器に磁気を印加することができるように構成したもので、この構成によれば、1つの磁気発生器が複数の磁気検出器に磁気を印加することができるように構成しているため、磁気発生器を一度に形成することができ、これにより、生産性を向上させることができるという作用効果が得られるものである。
【0016】
本発明の請求項10に記載の発明は、特に、基板の上面に位置して設けられた磁性体が静止可能な静止領域のみに凹部を設けたもので、この構成によれば、基板の上面に位置して設けられた磁性体が静止可能な静止領域のみに凹部を設けているため、この凹部により、磁性体が振動しないにもかかわらず動いてしまうということはなくなり、これにより、誤検知を防ぐことができるという作用効果が得られるものである。
【0017】
本発明の請求項11に記載の発明は、特に、基板の上面に位置して設けられた磁性体が移動可能な領域に凹部を設けたもので、この構成によれば、基板の上面に位置して設けられた磁性体が移動可能な領域に凹部を設けているため、磁性体は凹部の内壁に沿って確実に移動することになり、これにより、振動を確実に検知することができるという作用効果が得られるものである。
【0018】
本発明の請求項12に記載の発明は、特に、側面方向から見た容器の内壁の形状を円形状または楕円形状の一部を構成する形状としたもので、この構成によれば、側面方向から見た容器の内壁の形状を円形状または楕円形状の一部を構成する形状としているため、磁性体が基板と垂直方向に振動した場合、磁気発生器との距離が変わることになり、これにより、基板と垂直方向の振動も検知することができるという作用効果が得られるものである。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明の振動検知センサは、基板と、この基板の上面に設けられ、かつ内壁を有する容器と、前記基板の上面と容器の内壁との間に形成される内部空間と、前記内部空間に収容され、かつ前記容器の内壁に接しながら前記基板上を移動する磁性体と、前記基板の上面に位置して設けられた前記磁性体が静止可能な静止領域とを備え、前記基板または容器に、前記静止領域を除いた前記磁性体が移動可能な領域に対応して磁気検出器を設け、さらに前記磁気検出器に磁気を印加する磁気発生器を前記静止領域以外の部分に設けているため、前記磁性体が静止可能な静止領域に位置しているときに、磁性体が磁気発生器に拘束されるということはなくなり、これにより、長期間の使用による磁気発生器の磁力の劣化や磁気発生器による磁性体の拘束が電子機器の振動状態の検知に与える影響は少なくなるため、電子機器の振動状態を精度良く検知することができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜9に記載の発明について説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態1における振動検知センサの主要部の上面図、図2は図1のA−A線断面図である。
【0022】
本発明の実施の形態1における振動検知センサは、図1、図2に示すように、基板11と、この基板11の上面に設けられ、かつ内壁12を有する容器13と、前記基板11の上面と容器13の内壁12との間に形成される内部空間14と、前記容器13の内部空間14に収容され、かつ前記容器13の内壁12に接しながら前記基板11上を移動する磁性体15とを備えているものである。
【0023】
上記構成において、前記基板11は、図3に示すように、アルミナ等の絶縁性を有する材料からなる矩形状の絶縁基板16と、この絶縁基板16の上面に設けられたガラスグレーズ層17と、このガラスグレーズ層17の上面に設けられた磁気検出器18および2つの磁気発生器19と、この磁気検出器18および2つの磁気発生器19の上面に設けられた保護膜20とにより構成されており、そして、前記保護膜20の表面は基板11の表面を構成しているものである。
【0024】
また、前記容器13は、絶縁性を有し、かつ非磁性の樹脂材料で構成され、そして前記基板11の上面に接着剤等により接合されているものである。ここで、「上」方向とは、図2の矢印で示すように基板11の上面に対して垂直な方向を表している。従って、基板11が鉛直方向と平行になったときは、「上」方向は水平面と平行になる。
【0025】
そしてまた、前記容器13の内壁12は平滑となっており、かつその形状は、上面から見て円形状になっているもので、このように内壁12の形状を上面から見て円形状とした場合は、内壁12が直線状となっている場合と比べて、振動により移動する磁性体15に遠心力を与えることができるため、磁性体15を確実に内壁12に当接させることができ、これにより、磁性体15の移動を確実に磁気検出器18で検出することができる。
【0026】
なお、図1においては、上面から見た容器13の内壁12の形状を円形状としているが、図4に示すように楕円形状としてもよいものである。楕円形状とした場合は、磁性体15が振動により接する容器13の内壁12の曲率を変えることによって検知できる振動の強さを変えることができるものである。また、上面から見た容器13の内壁12の形状は、円形状の一部または楕円形状の一部を構成する形状、すなわち、全体の内壁12のうち、振動によって磁性体15が接する部分のみが円形状または楕円形状である構成にしてもよい。
【0027】
また、前記内部空間14は、基板11の上面と容器13との間に形成される空間であり、そしてこの内部空間14内に移動自在となるように磁性体15が収容されている。
【0028】
前記磁性体15は、図1における紙面と平行な振動が起こったときに容器13の内壁12に沿って基板11の上面を移動するものである。また、この磁性体15は、Fe系合金で構成されているもので、特に透磁率が高く、かつ保磁力が低いパーマロイにより構成されている。そして、この磁性体15の形状は球であり、図1に示すように上面から見た形状が円形状となっているため、この磁性体15を容器13の内壁12に沿って滑らかに移動させることができる。
【0029】
なお、この磁性体15に、ポリテトラフルオロエチレン等を含有した潤滑めっきを施しておけば、摩擦係数が低くなるため、磁性体15の移動はスムーズになり、また、この磁性体15は耐摩耗性が高く、かつ耐食性が優れているため、錆びることは無く、信頼性を向上させることができるものである。そしてこの磁性体15は、振動していない場合は、基板11の上面における静止領域21で静止し、そして振動が起こると、静止領域21を中心に容器13の内壁12に接触しながら単振動するものである。
【0030】
前記磁気検出器18は、NiCo,NiFe等からなる強磁性薄膜を複数折り返してなるパターンに形成した薄膜の磁気抵抗素子で構成されているもので、この磁気抵抗素子は電流方向に対して磁界が垂直に印加された時に抵抗値変化率が最大となって抵抗値が低下する。なお、この磁気検出器18は、磁気抵抗素子に限定されるものではなく、GMRやホール素子を用いてもよい。また、この磁気検出器18は、静止領域21から一定の間隔を隔てた箇所において2つの磁気発生器19の間に位置しているものである。
【0031】
そして、この磁気検出器18は、図1に示すように、基板11の上面における磁性体15が移動可能な領域に対応する位置に設けられている。また、この磁気検出器18は内部空間14の中心部と静止領域21とを結ぶ直線(図1のB−B線。以下「中心線」とする)に対して線対称となるように設けられているもので、この中心線の両側に設けられた磁気検出器18の個数はそれぞれ2個で同数となっている。
【0032】
なお、前記磁気検出器18は容器13の内壁12の内側に設けてもよく、また中心線の片側のみに設けてもよい。さらに、中心線の片側に設けられた磁気検出器18は1個でもよく、あるいは3個以上としてもよいものである。
【0033】
そしてまた、前記磁気検出器18の両側に対向するように設けられた2つの磁気発生器19は、1つの磁気検出器18に磁気を印加する2つの薄膜磁石により構成され、そしてこれらは、互いに異なる極が対向するように、すなわち、N極とS極が対向するように構成されているものである。このような構成とすることにより、磁気は直近の基板11の上面と平行な方向に印加しているものとなる。そしてこの薄膜磁石は磁界の向きが着磁によって設定されるCoPt合金、CoCrPt合金、フェライト等の材料により構成されているものであり、また、これらの磁気発生器19は、静止領域21において磁性体15を拘束しないように、磁気検出器18の近傍に設けられているものである。なお、1つの磁気発生器19が複数の磁気検出器18に磁気を印加することができるように構成した場合は、磁気発生器19を一度に形成することができるため、生産性を向上させることができるものである。また、磁気発生器19の位置は、磁気検出器18に磁気を印加できれば、図3に示す位置に限定されるものではない。
【0034】
次に、本発明の実施の形態1における振動検知センサの動作について説明する。
【0035】
図5に示すように磁気検出器18の上方に磁性体15が無い場合は、磁気発生器19で発生した磁力線は磁気検出器18に印加されるため、磁気検出器18は低い抵抗値を示す。そして、図6に示すように磁気検出器18の上方に磁性体15が存在している場合は、磁気発生器19で発生した磁力線は磁性体15に吸収されて磁気検出器18には印加されないため、磁気検出器18は高い抵抗値を示す。
【0036】
上記したように各磁気検出器18の抵抗値の変化によって、振動によって移動した磁性体15の位置を検知することができるため、これにより、磁性体15の振動(振動検知センサを搭載している機器の振動)を検知することができる。
【0037】
例えば、図1に示すように磁性体15が静止領域21に位置しているときは、4つの磁気検出器18の抵抗値はいずれも変化しないが、図7に示すように振動により磁性体15が1つの磁気検出器18の上面に移動したときは、この磁気検出器18の抵抗値が変化するため、この振動を検知することができる。
【0038】
このとき、4つの磁気検出器18は、図8に示すように入力電極22、ランド電極23、出力電極24a,24bを有するフルブリッジ回路を構成している。そして、出力電極24a,24bの電圧を測定することにより4つの磁気検出器18の抵抗値変化を検知し、磁性体15の位置や時間、ピッチを検出して、振動の大きさ、速さ、その有無を測定する。
【0039】
上記した本発明の実施の形態1においては、容器13の内壁12に接しながら基板11上を移動する磁性体15と、前記基板11の上面に位置して設けられ、かつ前記磁性体15が静止可能な静止領域21と、前記静止領域21を除いた前記磁性体15が移動可能な領域に対応して前記基板11または容器13に設けられた磁気検出器18と、前記静止領域21以外の部分に設けられ、かつ前記磁気検出器18に磁気を印加する磁気発生器19とを備えているため、前記磁性体15が静止可能な静止領域21に位置しているときに、磁性体15が磁気発生器19に拘束されるということはなくなり、これにより、長期間の使用による磁気発生器19の磁力の劣化や磁気発生器19による磁性体15の拘束が電子機器の振動状態の検知に与える影響は少なくなるため、電子機器の振動状態を精度良く検知することができるという効果を有するものである。
【0040】
すなわち、磁気発生器19は磁性体15を物理的に拘束するものではなく、単に磁性体15や磁気検出器18に磁気を印加させるだけであるため、磁気発生器19の磁力が減少しても電子機器の振動の検知精度に影響を与えることはない。
【0041】
また、磁性体15の動きを制限するものがないため、振動の向きが鉛直方向に対してどの方向でも、例えば水平方向と平行であっても振動を検知することができる。
【0042】
そしてまた、磁性体15が移動可能な範囲では容器13の内壁12が円形状となっているため、磁性体15を容器13の内壁12に沿って滑らかに移動させることができる。
【0043】
さらに、前記容器13の内部空間14の中心部と静止領域21とを結ぶ直線に対して線対称となるように複数の磁気検出器18を備えているため、振動で静止領域21に対して一方向、例えば左側に移動した磁性体15が、反動で逆の右方向に移動したときの検知も行うことができ、これにより、より精度良く振動を検知することができるものである。
【0044】
さらにまた、前記容器13の内部空間14の中心部と静止領域21とを結ぶ直線の両側に形成された磁気検出器18の個数を同数となるようにしているため、安定した振動の検知が行える。
【0045】
また、前記容器13の内部空間14の中心部と静止領域21とを結ぶ直線の左右両方に、磁気検出器18を複数個(2個)設けているため、磁性体15を検知した磁気検出器18の数によって振動の大きさを検知することができる。
【0046】
なお、図1の矢印の向きが鉛直下方向になるように、静止領域21が鉛直方向で最も下方となるように容器13を配置すれば、水平方向の振動を容易に検知することができるものである。
【0047】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項10,11に記載の発明について説明する。
【0048】
図9は本発明の実施の形態2における振動検知センサの主要部の上面図、図10は図9のD−D線断面図である。
【0049】
なお、本発明の実施の形態2においては、上記した本発明の実施の形態1の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。
【0050】
図9、図10において、本発明の実施の形態2が上記した本発明の実施の形態1と異なる点は、基板11の上面に位置して設けられた磁性体15が移動可能な領域に、基板11の上面の中央部に円形状部11aを残した状態でドーナツ状の凹部25を設けた点である。
【0051】
上記した構成においては、磁性体15がドーナツ状の凹部25に沿って確実に移動することになるため、振動を確実に検知することができるという効果が得られるものである。
【0052】
特に、凹部25を基板11の上面において磁性体15が静止可能な静止領域21のみに設けるようにすれば、この凹部25により、磁性体15が振動しないにもかかわらず動いてしまうのを防止できるため、誤検知を確実に防ぐことができる。
【0053】
なお、静止領域21の凹部25は、磁性体15が移動可能な領域の凹部25よりその深さを深くすれば、誤検知を確実に防ぐことができ、かつ振動も確実に検知することができるものである。
【0054】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項12に記載の発明について説明する。
【0055】
図11は本発明の実施の形態3における振動検知センサの断面図である。
【0056】
なお、本発明の実施の形態3においては、上記した本発明の実施の形態1の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。
【0057】
図11において、本発明の実施の形態3が上記した本発明の実施の形態1と異なる点は、側面方向から見た容器13の内壁12の形状を、円形状の一部を構成する形状とした点である。
【0058】
上記した構成においては、容器13の内壁12がドーム状になっているため、この内壁12に沿って磁性体15が移動するものである。
【0059】
また、上記した本発明の実施の形態1,2においては、図1における紙面と平行の振動を検知することができるようにしていたが、本発明の実施の形態3では、図1における紙面と垂直となる方向(図11の紙面上下方向、すなわち基板11と垂直な方向)の振動を検知することができる。
【0060】
上記した本発明の実施の形態3においては、基板11と垂直方向に振動したとき、磁性体15は基板11から離れて円形状の内壁12に沿って移動するため、磁性体15と磁気検出器18との距離が変わり、これにより、磁気検出器18で検出する磁気の強さも変化するため、基板11と垂直方向の振動を検知することができるものである。
【0061】
なお、側面方向から見た容器13の内壁12の形状は、円形状の一部を構成する形状に限定されるものではなく、楕円形状の一部を構成する形状としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る振動検知センサは、電子機器の振動状態を精度良く検知することができるという効果を有するものであり、特に各種電子機器の姿勢を検知して電子機器の振動状態を検出するための振動検知センサ等において有用となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1における振動検知センサの主要部の上面図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】図1のC−C線断面図
【図4】同振動検知センサの他の例を示す主要部の上面図
【図5】同振動検知センサの動作原理を示す主要部の断面図
【図6】同振動検知センサの動作原理を示す主要部の断面図
【図7】同振動検知センサの主要部の上面図
【図8】同振動検知センサの信号検知回路図
【図9】本発明の実施の形態2における振動検知センサの主要部の上面図
【図10】図9のD−D線断面図
【図11】本発明の実施の形態3における振動検知センサの断面図
【図12】従来の振動検知センサの断面図
【符号の説明】
【0064】
11 基板
12 内壁
13 容器
14 内部空間
15 磁性体
18 磁気検出器
19 磁気発生器
21 静止領域
25 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、この基板の上面に設けられ、かつ内壁を有する容器と、前記基板の上面と容器の内壁との間に形成される内部空間と、前記内部空間に収容され、かつ前記容器の内壁に接しながら前記基板上を移動する磁性体と、前記基板の上面に位置して設けられ、かつ前記磁性体が静止可能な静止領域とを備え、前記基板または容器に、前記静止領域を除いた前記磁性体が移動可能な領域に対応して磁気検出器を設け、さらに前記磁気検出器に磁気を印加する磁気発生器を前記静止領域以外の部分に設けた振動検知センサ。
【請求項2】
上面から見た容器の内壁の形状を円形状または円形状の一部を構成する形状とした請求項1記載の振動検知センサ。
【請求項3】
上面から見た容器の内壁の形状を楕円形状または楕円形状の一部を構成する形状とした請求項1記載の振動検知センサ。
【請求項4】
上面から見た磁性体の形状を円形状とした請求項1記載の振動検知センサ。
【請求項5】
内部空間の中心部と静止領域とを結ぶ直線に対して線対称となるように複数の磁気検出器を設けた請求項1記載の振動検知センサ。
【請求項6】
内部空間の中心部と静止領域とを結ぶ直線の両側に形成された磁気検出器の個数を同数となるようにした請求項1記載の振動検知センサ。
【請求項7】
内部空間の中心部と静止領域とを結ぶ直線の少なくとも片側に磁気検出器を設けた請求項1記載の振動検知センサ。
【請求項8】
磁気検出器の両側に対向するように磁気発生器を設け、かつこの磁気発生器は互いに異なる極が対向するように構成した請求項1記載の振動検知センサ。
【請求項9】
1つの磁気発生器が複数の磁気検出器に磁気を印加することができるように構成した請求項1記載の振動検知センサ。
【請求項10】
基板の上面に位置して設けられた磁性体が静止可能な静止領域のみに凹部を設けた請求項1記載の振動検知センサ。
【請求項11】
基板の上面に位置して設けられた磁性体が移動可能な領域に凹部を設けた請求項1記載の振動検知センサ。
【請求項12】
側面方向から見た容器の内壁の形状を円形状または楕円形状の一部を構成する形状とした請求項1記載の振動検知センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−42079(P2009−42079A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207586(P2007−207586)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】