振動減衰機構を備えたラチェットワンウェイクラッチ
本発明は、一般にステータ(120)とワンウェイクラッチ(100)とを備えたアッセンブリを包含する。当該アッセンブリは、ステータの1つのセグメントと、該セグメントに結合されたワンウェイクラッチと、前記セグメントおよびワンウェイクラッチに結合された少なくとも1つの弾性変形可能なエレメント(106)とを有しており、該弾性変形可能なエレメントが、ステータからワンウェイクラッチへのトルクの伝達を減衰させるように配置されている。幾つかの実施態様によれば、ワンウェイクラッチが第1のディスク(108)を有しており、前記弾性変形可能なエレメントが、前記セグメントと該第1のディスクとに結合されている。前記セグメントは前記弾性変形可能なエレメントを第1のディスクに押圧する。第1のディスクは、押圧に対する反応として回転させられるように配置されている。前記セグメントと第1のディスクとは、回転方向で互いにロックされるように配置されている。第1のディスクと、クラッチハブに結合された第1のディスク(154)とが、押圧に対する反応として回転方向で互いにロックされるようになっており、前記セグメントと第1のディスクとは、第1のディスクと第2のディスクとのロックの後に回転方向で互いにロックされるように配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、回転式の駆動ユニット(たとえばエンジン車両のエンジン)と、回転駆動されるユニット(たとえばエンジン車両におけるオートマチックトランスミッション)との間での力伝達のための装置における改良に関する。特に本発明はステータおよびステータに設けられた振動減衰機構を備えたワンウェイクラッチアッセンブリに関する。このアッセンブリはステータとクラッチとの間に減衰手段を提供し、これにより、自由回転(空転)モードからロックされたモード(クラッチモード)への移行時にステータに生じるジャーク、騒音発生および振動が最小限にまで減じられる。
【0002】
発明の背景
ワンウェイクラッチは、自由回転モードの際にはステータの羽根の回転運動をステータのシャフトの回転運動から分離し、ロックされたモードの際には羽根の回転運動とステータシャフトの回転運動とを互いに係止するためにステータにおいて使用される。自由回転モードからクラッチモードへの移行時にステータは自由な回転(空転)からトルクの伝達へ移行する。クラッチをロックするためには、クラッチの種々のコンポーネントが噛み合わされる。接触に伴う衝撃は望ましくない騒音発生および振動を招く恐れがある。衝撃の強さ、ひいては騒音および振動の規模は移行時の各コンポーネントの運動の遊びに関連している。遊びを減少させるためにクラッチに、衝撃防止作用を有するコンポーネントを組み込むことが知られている。これらのコンポーネントが整然とした状態で機能するようにするためには、これらのコンポーネントが高い精度を要求する。しかし、この精度は、クラッチのその他のコンポーネントのために必要とされる精度よりも高くなるか、あるいはそれどころか、クラッチのその他のコンポーネントのために必要とされる精度とは相容れなくなる場合がある。たとえば、クラッチにおける打抜き加工されたコンポーネントはコストやクラッチの複雑性を著しく低下させることができるが、しかし、上で述べた衝撃防止作用を有するコンポーネントを、打抜き加工されたコンポーネントの使用下に取り入れることは困難であるか、またはそれどころか不可能となる。
【0003】
したがって、久しく以前より、ステータを備えたワンウェイクラッチにおける騒音発生および振動を減少させるための手段を提供すると同時に、廉価な方法、装置およびコンポーネントを使用することが求められている。
【0004】
発明の簡単な要約
本発明は、一般にステータとワンウェイクラッチとから成るアッセンブリを包含する。本発明の構成では、セグメントと、該セグメントとの連結のために配置されたワンウェイクラッチと、前記セグメントと前記ワンウェイクラッチとに結合された少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントとが設けられており、該エレメントが、ステータからクラッチへのトルク伝達を減衰するために配置されている。幾つかの実施態様によれば、ワンウェイクラッチが第1のディスクを有しており、前記少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントが、前記セグメントと該第1のディスクとに結合されている。前記セグメントは、該セグメントが前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを第1のディスクに押圧するために回転可能である。前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを、押圧に対する反応として変形させることができる。第1のディスクは、該第1のディスクが押圧に対する反応として、つまり押圧に応答して、回転させられるように配置されている。前記セグメントと第1のディスクとは、該セグメントと該第1のディスクとが回転方向で互いにロックされるように配置されている。
【0005】
幾つかの実施態様によれば、前記セグメントは、該セグメントが押圧時に第1の回転数で回転するように配置されており、第1のディスクは、該第1のディスクが押圧時に第2の回転数で回転するように配置されており、ただし第1の回転数は第2の回転数よりも大きい。幾つかの実施態様によれば、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは、前記セグメントと第1のディスクとが互いにロックされている間、ほぼ一定の変形状態となるように配置されている。ワンウェイクラッチはハブを有しており、該ハブには第2のディスクが結合されており、第1のディスクと第2のディスクとは機能的に、押圧に対する反応として第1のディスクと第2のディスクとが回転方向で互いにロックされるように配置されており、前記セグメントと第1のディスクとは、第1のディスクと第2のディスクとのロックの後に回転方向で前記セグメントと第1のディスクとが互いにロックされるように配置されている。幾つかの実施態様によれば、第1のディスクを軸方向に移動させることができる。
【0006】
幾つかの実施態様によれば、第1のディスクが、少なくとも1つの第1の突出部を有しており、第2のディスクが、少なくとも1つの第1の収容構造体を有しており、該第1の突出部と該第1の収容構造体とが、互いにロックされるように配置されている。幾つかの実施態様によれば、第2のディスクが、少なくとも1つの第2の突出部を有しており、第1のディスクが、少なくとも1つの第2の収容構造体を有しており、該第2の突出部と該第2の収容構造体とが、互いにロックされるように配置されている。
【0007】
幾つかの実施態様によれば、前記セグメントが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントへトルクを伝達するように配置されており、該弾性変形なエレメントが、該トルクの少なくとも一部を第1のディスクへ伝達するように配置されている。幾つかの実施態様によれば、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、ほぼ全トルクを第1のディスクへ伝達するように配置されている。幾つかの実施態様によれば、前記セグメントが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを保持しているか、または第1のディスクが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを保持している。幾つかの実施態様によれば、前記セグメントと第1のディスクと第2のディスクとが、打抜き加工により形成されている。幾つかの実施態様によれば、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、ばねとゴム円筒体とから成るグループに所属するコンポーネントを有している。
【0008】
さらに本発明は一般に、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリにおいて、当該アッセンブリがステータの1つのセグメントと、ワンウェイクラッチの一部分と、少なくとも1つの弾性変形なエレメントとを有している形式のものを包含する。ワンウェイクラッチの一部分は前記セグメントに結合されている。前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは前記セグメントに結合されており、ワンウェイクラッチの一部分は、ステータとワンウェイクラッチとの回転運動のロック時に振動を減衰するように配置されている。
【0009】
さらに本発明は、一般に、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリにおいて、当該アッセンブリが、ステータのための1つのセグメントと、ワンウェイクラッチの第1の部分と、ワンウェイクラッチの第2の部分と、少なくとも1つの弾性変形なエレメントとを有しており、該弾性変形なエレメントが、前記セグメントとワンウェイクラッチの第1の部分とに結合されている形式のものを包含する。ワンウェイクラッチの第2の部分はステータのハブに結合されている。前記セグメントは、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントをワンウェイクラッチの第1の部分に押圧するために回転可能であり、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは、該弾性変形なエレメントが押圧に対する反応として変形させられるように配置されている。ワンウェイクラッチの第1の部分は、該第1の部分が押圧に対する反応として回転させられるように配置されており、ワンウェイクラッチの第1の部分と第2の部分とは機能的に、押圧に対する反応として回転方向で互いにロックされるように配置されており、前記セグメントと第1のディスクとは、第1のディスクと第2のディスクとのロックの後に回転方向で互いにロックされるように配置されている。前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは、第1のディスクと第2のディスクとのロックに伴って併発されるエネルギの一部を吸収するように配置されている。
【0010】
本発明の一般的な課題は、ロックされたモードへの切換時にできるだけ僅かな振動および騒音しか発生させないような、スタータ内のワンウェイクラッチを提供することにある。
【0011】
本発明の別の課題は、ロックされたモードの間、トルク伝達のために使用される複数のコンポーネントの間の減衰手段を備えた、ステータ内のワンウェイクラッチを提供することにある。
【0012】
本発明のさらに別の課題は、ロックされたモードへのステータの切換時にできるだけ僅かな振動および騒音しか発生させないようなアッセンブリを提供するために、ステータとワンウェイクラッチとに打抜き加工された部分を使用することにある。
【0013】
前記課題ならびにさらに別の課題および本発明の利点は以下に図面につき説明する本発明の有利な実施例の説明ならびに特許請求の範囲から明らかとなる。
【0014】
図面の簡単な説明
以下に、本発明の思想および機能形式を図面につき詳しく説明する。
【0015】
図1は、ステータとワンウェイクラッチとを備えた本発明によるアッセンブリを斜め前方から見た分解斜視図であり;
図2は、ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示したアッセンブリを斜め後方から見た分解斜視図であり;
図3は、ステータとワンウェイクラッチとから成る本発明によるアッセンブリにおけるステータを斜め前方から見た斜視図であり;
図4は、ステータとワンウェイクラッチとから成る本発明によるアッセンブリにおける、図3に示したステータを斜め後方から見た斜視図であり;
図5は、ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示した本発明によるアッセンブリのハウジングを斜め前方から見た斜視図であり;
図6は、図5に示したハウジングの正面図であり;
図7は、図3に示したステータの背面図であり;
図8は、図3に示したステータを図7の8−8線に沿って断面した横断面図であり;
図9は、ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示した本発明によるアッセンブリにおけるディスクを斜め後方から見た斜視図であり;
図10は、図9に示したディスクを斜め前方から見た斜視図であり;
図11は、ステータとワンウェイクラッチとを備えた本発明によるアッセンブリを、ワンウェイクラッチの自由回転モードで示す横断面図であり;
図12は、図11に示したアッセンブリを、ワンウェイクラッチのロックされたモードで示す部分横断面図である。
【0016】
発明の詳細な説明
あらかじめ申し述べておくと、同じ符号は種々の図面において本発明の同一または同一機能の構造要素を示している。本発明を、現時点で有利であるとみなされる実施例に関して説明するが、当然ながら本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0017】
さらに、本発明は、説明する特定の方法、材料および改良形に限定されるものではなく、これらの点ではもちろん多数の変化形が考えられる。さらに、以下に使用される用語は特定の実施例を説明するために用いられるだけであり、本発明の構成範囲を減縮するものではない。本発明の構成範囲は請求項2以下に記載の構成によってのみ減縮される。
【0018】
特に別記しない限り、使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明の対象に関係した当業者にとって汎用の意味を有している。本発明の実施またはテストのためには、本実施例において説明されるものと同様または等価である任意の方法、装置または材料を使用することができるが、しかし以下においては有利な方法、装置または材料について説明する。
【0019】
図1には、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ100を斜め前方から見た分解斜視図が示されている。
【0020】
図2には、スタータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ100を斜め後方から見た分解斜視図が示されている。以下の説明は図1および図2につき行われる。「前側」とは、スタータを収容しているトルクコンバータが車両に組み込まれている場合に、エンジンに面した側に関する。「後側」とは、車両におけるトランスミッションに面した側に関する。もちろん、これらの用語は相対的なものであって、上記意味を逆転させて使用することもできる。一般にステータとワンウェイクラッチとを備えた本発明によるアッセンブリはステータの一部または1セグメントと、ワンウェイクラッチの一部とを有している。ステータとワンウェイクラッチとは少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントによって互いに結合されている。たとえば、アッセンブリ100はワンウェイクラッチ102とハウジングまたはディスク104(クラッチが収納されている、図示されていないステータの一部)と少なくとも1つの弾性変形可能なエレメント106とを有している。ワンウェイクラッチ102は、該ワンウェイクラッチ102が以下に説明するようにステータに結合されるように配置されている。弾性変形可能なエレメント106はステータ、特にハウジング104と、ワンウェイクラッチ102、特にディスク108に結合されていて、該弾性変形可能なエレメント106がステータからクラッチへのトルクまたはエネルギの伝達を減衰させるように配置されている。特に弾性変形可能なエレメント106は、該弾性変形可能なエレメント106が自由回転モードからロックされたモードへのステータの移行時における振動を減衰させるように配置されている。言い換えれば、弾性変形可能なエレメント106は、ロックされたモードへの切換およびステータとクラッチとの間の接触と共に必然的に併発されるトルクまたはエネルギの一部を吸収する。さらに、弾性変形可能なエレメント106はロックされたモードの間、ステータとクラッチ部分との運動時における相対速度を減少させる。
【0021】
弾性変形可能なエレメント106のためには、工業的に公知の任意の手段、たとえばばねや、圧縮可能な材料、たとえばゴムから製造された円筒体が挙げられるが、しかしこれらに限定されるものではない。図1および図2に示した弾性変形可能なエレメント106はばねである。当然ながら、本発明は図示の弾性変形可能なエレメント106の数、大きさ、形状または配置形式に限定されるものではなく、弾性変形可能なエレメント106の別の数、大きさまたは形状または配置形式も、特許請求の範囲に記載の本発明の思想および適用範囲に含まれている。
【0022】
図3は、アッセンブリ100を備えたステータ120を前方から見た斜視図である。
【0023】
図4は、アッセンブリ100を備えたステータ120を後方から見た斜視図である。
【0024】
図5は、ステータ120に設けられたディスク104を前方から見た斜視図である。
【0025】
図6は、ディスク104の正面図である。
【0026】
以下の説明は図1〜図6に関連している。弾性変形可能なエレメント106はハウジング104とディスク108とに結合されている。ディスク108はワンウェイクラッチ102の一部である。弾性変形可能なエレメント106はディスク104に設けられた開口110内に保持される。弾性変形可能なエレメント106の一方の端部122は開口110の端部124に接触しており、弾性変形可能なエレメント106の他方の端部126はディスク108に設けられた舌片または延長部128に接触している。もちろん、弾性変形可能なエレメント106とステータおよびワンウェイクラッチ102との結合は図示の配置形式に限定されているものではない。幾つかの実施態様(図示しない)によれば、弾性変形可能なエレメント106は、たとえばディスク108に保持される。
【0027】
図7はステータ120を後方から見た図である。
【0028】
図8は図7に示した切断線8−8に沿って断面したステータ120の横断面図である。以下の説明は図1〜図8に関連している。ステータ120のためのシャフト(図示しない)には、ハブ144が相対回転不能に結合されている。ディスク108に設けられた延長部156は軸方向で、ハウジング104に設けられた開口158に差し通されている。延長部156の幅160は開口158の幅162の幅よりも小さく形成されているので、開口158に延長部156が差し込まれると、ディスク108はハウジング104に対して回転方向に運動することができる。延長部128は軸方向で、ディスク104に設けられた開口164を貫通する。
【0029】
ステータ120が所定の方向に運動し得るようにするためには、ワンウェイクラッチがロックされたモードで作動するようにワンウェイクラッチが配置されている。この場合、ステータが、ロックされたモードで作動すると、たとえば方向142における回転が行われる。ステータがロックされたモードへ移行するやいなや、ステータは、トルクを吸収することを開始し、ハウジング104は方向142に回転し始める。ステータとワンウェイクラッチとは、回転方向で舌片128と、弾性変形可能なエレメント106とを介して互いに結合されている。たとえば、方向142におけるディスク104の回転は、該ディスクが、弾性変形可能なエレメント106をディスク108に、特に舌片128に押圧することを生ぜしめる。幾つかの実施態様によれば、弾性変形可能なエレメント106がディスク108に押圧されると、ディスク108の慣性が自由回転モードにおいて弾性変形可能なエレメント106の少なくとも部分的な変形を生ぜしめるようにディスク108が配置されてかつ構成されている。たとえば開口の端部124がばねを押圧しかつディスク108の慣性が弾性変形可能なエレメント106の端部126の運動に抵抗を付与すると、弾性変形可能なエレメント106の押し縮めが開始する。幾つかの実施態様によれば、弾性変形可能なエレメント106の抵抗が約5N/mである。
【0030】
弾性変形可能なエレメント106が引き続きさらに弾性変形させられるか、または押し縮められると(ハウジング104により方向142に押圧される)、トルクまたはエネルギはハウジング104から弾性変形可能なエレメント106によって部分的にディスク108へ伝達され、ディスク108は、押圧に応答して方向142に回転を開始する。言い換えれば、弾性変形可能なエレメント106が押し縮められる間、ハウジング104は第1の回転数で回転し、ディスク108は第2の回転数で回転する。この場合、第1の回転数は第2の回転数よりも大きい。
【0031】
ワンウェイクラッチ102に設けられたロック機構、たとえばディスク108とハブ144とから成る装置は、工業的に公知の任意の手段によって形成され得る。幾つかの実施態様によれば、本願と同一出願人による米国特許出願第11/480815号明細書(発明の名称「Stator Having an Axially Engaging and Disengaging One-Way Clutch Mechanism for a Torque Converter」、Brees他著、出願日2006年7月3日)に記載されているようなトルクコンバータのための軸方向で連結・遮断を行うワンウェイクラッチ機構の少なくとも一部が使用される。図1〜図8に示したロック機構はディスク108に設けられた突出部166と、ハブ144に設けられた収容構造体とを有している。幾つかの実施態様によれば、これらの突出部が楔形の突起を成しており、収容構造体が複数の開口152を成している。幾つかの実施態様(図示しない)によれば、収容構造体が複数の凹部から成っている。ディスク108を軸方向でハブ144に押圧するためには、ディスク104がばね170によって押圧される。したがって、ディスク108を軸方向に移動させることができる。ディスク108の軸方向可動性は開口158内での延長部156の協働により可能となる。
【0032】
ステータ120が方向174(自由回転)に回転すると、楔形の突起は、たとえば該突起の楔形の上昇に基づき、開口内にスナップイン式に係止することなくハブ144の乗り上げるようにスライドする。ステータ120が方向142に回転すると(ロックされたモード)、前記突起は開口内に係合して、ディスク108とハブ144とを回転方向にロックする。
【0033】
図9は、ワンウェイクラッチ102におけるディスク108を後方から見た斜視図である。
【0034】
図10は、ワンウェイクラッチ102におけるディスク108を前方から見た斜視図である。以下の説明は図1〜図10に関連している。上で既に説明したように、ディスク104は自由回転モードからロックされたモードへの移行の開始段階において、弾性変形可能なエレメント106を舌片128に押圧する。ディスク108の慣性が、弾性変形可能なエレメント106を介してハウジング104から伝達されたトルクによって克服されるやいなや、ディスク108は、突出部166が開口152内へスライド式に突入しかつこれらの開口152と回転方向でロックされるまで方向142に回転する。自由回転モードにおけるディスクの比較的小さな慣性に基づいて、ディスク108をハブ144と連結するためには、弾性変形可能なエレメント106からディスク108へ比較的小さなエネルギ量が伝達されるだけで済むので有利である。したがって、ディスクのロック時に衝撃、振動および騒音発生が小さな規模でしか生じない。
【0035】
ディスク104と弾性変形可能なエレメント106とは引き続き方向142へ回転を続けるが、しかしディスク108はこの場合、回転方向でハブ144とロックされており、このハブ144はステータシャフトに相対回動不能に結合されている。すなわち、ディスク108はもはや方向142に回転することができなくなる。したがって、弾性変形可能なエレメント106は、舌片156の縁部180がハウジング104に設けられた開口158の縁部182に接触するまで押し縮められる。この時点で、ハウジング104とステータ120とは、回転方向におけるディスク108とハブ144との結合によってステータシャフトとロックされている。両縁部180,182の相互衝突が、弾性変形可能なエレメント106の押し縮めによって減衰されるので、当該衝突時の振動や騒音が著しく減じられるので有利である。
【0036】
ロックされたモードの間、弾性変形可能なエレメント106はほぼ一定の変形状態にある。すなわち、弾性変形可能なエレメント106はそれ以上押し縮められない。図1〜図10では、両縁部180,182の間での直接的な接触により、一定の変形状態が生ぜしめられる。幾つかの実施態様(図示しない)および以下の説明によれば、一定の変形は、弾性変形可能なエレメント106が完全に押し縮められているか、または平衡状態にある、つまりばねの抵抗が、ステータの、ワンウェイクラッチ102に結合された部分により、ロックされたモードの方向に伝達されたトルクよりも大きくなるような状態にあることに帰因し得る。
【0037】
ディスク104,108ならびにハブ144は、工業的に公知の任意の手段により形成され得る。幾つかの実施態様によれば、ディスク104,108ならびにハブ144が打抜き加工されている。幾つかの実施態様では、フランジ154として別個のエレメントが働く。このエレメントは工業的に公知の任意の手段によりセグメント184に結合されている。幾つかの実施態様によれば、フランジ154が打抜き加工されている。
【0038】
ハウジング104は、ステータ120のその他の部分との結合のための工業的に公知の任意の手段により設計されていてよい。たとえば、突出部186は、該突出部がステータのリング188との結合を成立させるように設計されている。幾つかの実施態様(図示しない)によれば、ハウジング104が、たとえば同一出願人による米国特許出願第60/785790号明細書(発明の名称「Stator and One-Way Clutch Assembly for a Torque Converter」、Hemphill他著、本願と同一の出願日)に記載されているようにステータの一体の構成要素である。
【0039】
もちろん、本発明は図示の配置形式に限定されるものではない。幾つかの実施態様(図示しない)によれば、弾性変形可能なエレメントがステータの1つのコンポーネントと、ワンウェイクラッチに設けられた回転するディスクとに結合されている。このコンポーネントとディスクはハウジング104もしくはディスク108に類似していてよい。上で縁部180,182に関連して説明したように、ロックされたモードにおいて前記コンポーネントと前記ディスクとの間の直接的な接触を許す代わりに、前記コンポーネントと前記ディスクは弾性変形可能なエレメントによって互いに分離されたままとなる。上でディスク108およびハブ144につき説明したように、前記コンポーネントは、たとえば自由回転モードからロックされたモードへの移行の開始段階の間、弾性変形可能なエレメントを前記ディスクに押圧し、該ディスクは回転し、そしてロックする。前記ディスクがステ―タシャフトの抵抗に合うやいなや、弾性変形可能なエレメントは、該弾性変形可能なエレメントが平衡点に到達するか、または前記コンポーネントと前記ディスクとの間で完全に押し縮められるまで押し縮められる。この時点で、弾性変形可能なエレメントはほぼ剛性的またはその機能の点で剛性的となり、前記コンポーネントと前記ディスクとは回転方向で互いにロックされている。平衡点において、弾性変形可能なエレメントの力は、前記コンポーネントにより伝達されたトルクよりも大きくなり、弾性変形可能なエレメントは部分的にしか押し縮められなくなる。この配置形式では、前記コンポーネントと前記ディスクとの間の衝突ならびにこのような衝突に伴う振動および騒音が生じないことが有利となる。弾性変形可能なエレメントの力が、前記コンポーネントにより伝達されたトルクよりも小さくなると、弾性変形可能なエレメントは完全に押し縮められる。衝突は弾性変形可能なエレメントの押し縮めによって減衰され、こうして衝突時の振動および騒音が著しく減じられるので有利である。すなわち、弾性変形可能なエレメントは前記コンポーネントと前記ディスクとの間の速度差を減少させる。
【0040】
図11は、ワンウェイクラッチを自由回転モードで示す、本発明によるワンウェイクラッチアッセンブリの横断面図である。
【0041】
図12は、図11に示したワンウェイクラッチアッセンブリを、ワンウェイクラッチがロックされたモードで示す部分横断面図である。以下の説明は図11および図12に関連している。図11および図12は本発明の別の実施例を示している。ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ200はディスク204を有している。このディスク204はステータに結合されている。ステータについてはその一部が図示されている。ワンウェイクラッチ208はディスク210,212を有している。ディスク212はハブ214に結合されている。幾つかの実施態様によれば、ディスク212はハブ214の一体の構成要素である。幾つかの実施態様によればばねとして形成されている弾性変形可能なエレメント216は、ディスク204内に保持されていて、ディスク204,210に接触しており、特にディスク210に設けられた延長部218に接触している。ワンウェイクラッチアッセンブリ200は、弾性変形可能なエレメント216の特定の数、配置形式または種類に限定されるものではない。幾つかの実施態様によれば、弾性変形可能なエレメント216として、圧縮可能な材料、たとえばゴムから成る円筒体が使用される。
【0042】
ワンウェイクラッチアッセンブリ200の機能形式は、上で図1〜図10に示したアッセンブリ100につき説明した機能形式に類似している。たとえば、ロックされたモードの方向におけるディスク204の回転により、ディスク204は弾性変形可能なエレメント216をディスク210に押圧する。図11および図12には、この方向が図平面外に位置している。特に弾性変形可能なエレメント216はディスク210の延長部218に衝突して、両ディスク210,212が回転方向で互いにロックされることを生ぜしめる。幾つかの実施態様によれば、ディスク210に設けられた楔形の突起220が、ディスク212に設けられた開口222内に係合し、これによりロックが生ぜしめられる。既に上で説明したように、ディスク210の比較的小さな慣性および弾性変形可能なエレメント216の減衰作用は、ロック時の衝撃および振動を減少させる。ディスク210が引き続き回転すると、弾性変形可能なエレメント216は、ディスク210のセグメント224が、上で図1〜図10に示した縁部108,182につき説明したようにしてディスク204と接触するまで引き続き押し縮められる。弾性変形可能なエレメント、たとえば弾性変形可能なエレメント216の減衰作用により、上記説明によれば、このような接触により併発される衝撃および振動が十分に減じられる。
【0043】
したがって、本発明の課題が有効に解決され得ることが判る。ただし当業者であれば、特許請求の範囲に記載の本発明の思想および適用範囲に含まれている、本発明の改良および変更を想起することができる。さらに、もちろん、上記説明は本発明を説明するために用いられたに過ぎず、本発明を上記実施例に限定するものではない。それゆえに、本発明の思想および適用範囲から逸脱することなしに、本発明の別の実施態様が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】ステータとワンウェイクラッチとを備えた本発明によるアッセンブリを斜め前方から見た分解斜視図である。
【図2】ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示したアッセンブリを斜め後方から見た分解斜視図である。
【図3】ステータとワンウェイクラッチとから成る本発明によるアッセンブリにおけるステータを斜め前方から見た斜視図である。
【図4】ステータとワンウェイクラッチとから成る本発明によるアッセンブリにおける、図3に示したステータを斜め後方から見た斜視図である。
【図5】ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示した本発明によるアッセンブリのハウジングを斜め前方から見た斜視図である。
【図6】図5に示したハウジングの正面図である。
【図7】図3に示したステータの背面図である。
【図8】図3に示したステータを図7の8−8線に沿って断面した横断面図である。
【図9】ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示した本発明によるアッセンブリにおけるディスクを斜め後方から見た斜視図である。
【図10】図9に示したディスクを斜め前方から見た斜視図である。
【図11】ステータとワンウェイクラッチとを備えた本発明によるアッセンブリを、ワンウェイクラッチの自由回転モードで示す横断面図である。
【図12】図11に示したアッセンブリを、ワンウェイクラッチのロックされたモードで示す部分横断面図である。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、回転式の駆動ユニット(たとえばエンジン車両のエンジン)と、回転駆動されるユニット(たとえばエンジン車両におけるオートマチックトランスミッション)との間での力伝達のための装置における改良に関する。特に本発明はステータおよびステータに設けられた振動減衰機構を備えたワンウェイクラッチアッセンブリに関する。このアッセンブリはステータとクラッチとの間に減衰手段を提供し、これにより、自由回転(空転)モードからロックされたモード(クラッチモード)への移行時にステータに生じるジャーク、騒音発生および振動が最小限にまで減じられる。
【0002】
発明の背景
ワンウェイクラッチは、自由回転モードの際にはステータの羽根の回転運動をステータのシャフトの回転運動から分離し、ロックされたモードの際には羽根の回転運動とステータシャフトの回転運動とを互いに係止するためにステータにおいて使用される。自由回転モードからクラッチモードへの移行時にステータは自由な回転(空転)からトルクの伝達へ移行する。クラッチをロックするためには、クラッチの種々のコンポーネントが噛み合わされる。接触に伴う衝撃は望ましくない騒音発生および振動を招く恐れがある。衝撃の強さ、ひいては騒音および振動の規模は移行時の各コンポーネントの運動の遊びに関連している。遊びを減少させるためにクラッチに、衝撃防止作用を有するコンポーネントを組み込むことが知られている。これらのコンポーネントが整然とした状態で機能するようにするためには、これらのコンポーネントが高い精度を要求する。しかし、この精度は、クラッチのその他のコンポーネントのために必要とされる精度よりも高くなるか、あるいはそれどころか、クラッチのその他のコンポーネントのために必要とされる精度とは相容れなくなる場合がある。たとえば、クラッチにおける打抜き加工されたコンポーネントはコストやクラッチの複雑性を著しく低下させることができるが、しかし、上で述べた衝撃防止作用を有するコンポーネントを、打抜き加工されたコンポーネントの使用下に取り入れることは困難であるか、またはそれどころか不可能となる。
【0003】
したがって、久しく以前より、ステータを備えたワンウェイクラッチにおける騒音発生および振動を減少させるための手段を提供すると同時に、廉価な方法、装置およびコンポーネントを使用することが求められている。
【0004】
発明の簡単な要約
本発明は、一般にステータとワンウェイクラッチとから成るアッセンブリを包含する。本発明の構成では、セグメントと、該セグメントとの連結のために配置されたワンウェイクラッチと、前記セグメントと前記ワンウェイクラッチとに結合された少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントとが設けられており、該エレメントが、ステータからクラッチへのトルク伝達を減衰するために配置されている。幾つかの実施態様によれば、ワンウェイクラッチが第1のディスクを有しており、前記少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントが、前記セグメントと該第1のディスクとに結合されている。前記セグメントは、該セグメントが前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを第1のディスクに押圧するために回転可能である。前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを、押圧に対する反応として変形させることができる。第1のディスクは、該第1のディスクが押圧に対する反応として、つまり押圧に応答して、回転させられるように配置されている。前記セグメントと第1のディスクとは、該セグメントと該第1のディスクとが回転方向で互いにロックされるように配置されている。
【0005】
幾つかの実施態様によれば、前記セグメントは、該セグメントが押圧時に第1の回転数で回転するように配置されており、第1のディスクは、該第1のディスクが押圧時に第2の回転数で回転するように配置されており、ただし第1の回転数は第2の回転数よりも大きい。幾つかの実施態様によれば、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは、前記セグメントと第1のディスクとが互いにロックされている間、ほぼ一定の変形状態となるように配置されている。ワンウェイクラッチはハブを有しており、該ハブには第2のディスクが結合されており、第1のディスクと第2のディスクとは機能的に、押圧に対する反応として第1のディスクと第2のディスクとが回転方向で互いにロックされるように配置されており、前記セグメントと第1のディスクとは、第1のディスクと第2のディスクとのロックの後に回転方向で前記セグメントと第1のディスクとが互いにロックされるように配置されている。幾つかの実施態様によれば、第1のディスクを軸方向に移動させることができる。
【0006】
幾つかの実施態様によれば、第1のディスクが、少なくとも1つの第1の突出部を有しており、第2のディスクが、少なくとも1つの第1の収容構造体を有しており、該第1の突出部と該第1の収容構造体とが、互いにロックされるように配置されている。幾つかの実施態様によれば、第2のディスクが、少なくとも1つの第2の突出部を有しており、第1のディスクが、少なくとも1つの第2の収容構造体を有しており、該第2の突出部と該第2の収容構造体とが、互いにロックされるように配置されている。
【0007】
幾つかの実施態様によれば、前記セグメントが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントへトルクを伝達するように配置されており、該弾性変形なエレメントが、該トルクの少なくとも一部を第1のディスクへ伝達するように配置されている。幾つかの実施態様によれば、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、ほぼ全トルクを第1のディスクへ伝達するように配置されている。幾つかの実施態様によれば、前記セグメントが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを保持しているか、または第1のディスクが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを保持している。幾つかの実施態様によれば、前記セグメントと第1のディスクと第2のディスクとが、打抜き加工により形成されている。幾つかの実施態様によれば、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、ばねとゴム円筒体とから成るグループに所属するコンポーネントを有している。
【0008】
さらに本発明は一般に、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリにおいて、当該アッセンブリがステータの1つのセグメントと、ワンウェイクラッチの一部分と、少なくとも1つの弾性変形なエレメントとを有している形式のものを包含する。ワンウェイクラッチの一部分は前記セグメントに結合されている。前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは前記セグメントに結合されており、ワンウェイクラッチの一部分は、ステータとワンウェイクラッチとの回転運動のロック時に振動を減衰するように配置されている。
【0009】
さらに本発明は、一般に、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリにおいて、当該アッセンブリが、ステータのための1つのセグメントと、ワンウェイクラッチの第1の部分と、ワンウェイクラッチの第2の部分と、少なくとも1つの弾性変形なエレメントとを有しており、該弾性変形なエレメントが、前記セグメントとワンウェイクラッチの第1の部分とに結合されている形式のものを包含する。ワンウェイクラッチの第2の部分はステータのハブに結合されている。前記セグメントは、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントをワンウェイクラッチの第1の部分に押圧するために回転可能であり、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは、該弾性変形なエレメントが押圧に対する反応として変形させられるように配置されている。ワンウェイクラッチの第1の部分は、該第1の部分が押圧に対する反応として回転させられるように配置されており、ワンウェイクラッチの第1の部分と第2の部分とは機能的に、押圧に対する反応として回転方向で互いにロックされるように配置されており、前記セグメントと第1のディスクとは、第1のディスクと第2のディスクとのロックの後に回転方向で互いにロックされるように配置されている。前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは、第1のディスクと第2のディスクとのロックに伴って併発されるエネルギの一部を吸収するように配置されている。
【0010】
本発明の一般的な課題は、ロックされたモードへの切換時にできるだけ僅かな振動および騒音しか発生させないような、スタータ内のワンウェイクラッチを提供することにある。
【0011】
本発明の別の課題は、ロックされたモードの間、トルク伝達のために使用される複数のコンポーネントの間の減衰手段を備えた、ステータ内のワンウェイクラッチを提供することにある。
【0012】
本発明のさらに別の課題は、ロックされたモードへのステータの切換時にできるだけ僅かな振動および騒音しか発生させないようなアッセンブリを提供するために、ステータとワンウェイクラッチとに打抜き加工された部分を使用することにある。
【0013】
前記課題ならびにさらに別の課題および本発明の利点は以下に図面につき説明する本発明の有利な実施例の説明ならびに特許請求の範囲から明らかとなる。
【0014】
図面の簡単な説明
以下に、本発明の思想および機能形式を図面につき詳しく説明する。
【0015】
図1は、ステータとワンウェイクラッチとを備えた本発明によるアッセンブリを斜め前方から見た分解斜視図であり;
図2は、ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示したアッセンブリを斜め後方から見た分解斜視図であり;
図3は、ステータとワンウェイクラッチとから成る本発明によるアッセンブリにおけるステータを斜め前方から見た斜視図であり;
図4は、ステータとワンウェイクラッチとから成る本発明によるアッセンブリにおける、図3に示したステータを斜め後方から見た斜視図であり;
図5は、ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示した本発明によるアッセンブリのハウジングを斜め前方から見た斜視図であり;
図6は、図5に示したハウジングの正面図であり;
図7は、図3に示したステータの背面図であり;
図8は、図3に示したステータを図7の8−8線に沿って断面した横断面図であり;
図9は、ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示した本発明によるアッセンブリにおけるディスクを斜め後方から見た斜視図であり;
図10は、図9に示したディスクを斜め前方から見た斜視図であり;
図11は、ステータとワンウェイクラッチとを備えた本発明によるアッセンブリを、ワンウェイクラッチの自由回転モードで示す横断面図であり;
図12は、図11に示したアッセンブリを、ワンウェイクラッチのロックされたモードで示す部分横断面図である。
【0016】
発明の詳細な説明
あらかじめ申し述べておくと、同じ符号は種々の図面において本発明の同一または同一機能の構造要素を示している。本発明を、現時点で有利であるとみなされる実施例に関して説明するが、当然ながら本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0017】
さらに、本発明は、説明する特定の方法、材料および改良形に限定されるものではなく、これらの点ではもちろん多数の変化形が考えられる。さらに、以下に使用される用語は特定の実施例を説明するために用いられるだけであり、本発明の構成範囲を減縮するものではない。本発明の構成範囲は請求項2以下に記載の構成によってのみ減縮される。
【0018】
特に別記しない限り、使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明の対象に関係した当業者にとって汎用の意味を有している。本発明の実施またはテストのためには、本実施例において説明されるものと同様または等価である任意の方法、装置または材料を使用することができるが、しかし以下においては有利な方法、装置または材料について説明する。
【0019】
図1には、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ100を斜め前方から見た分解斜視図が示されている。
【0020】
図2には、スタータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ100を斜め後方から見た分解斜視図が示されている。以下の説明は図1および図2につき行われる。「前側」とは、スタータを収容しているトルクコンバータが車両に組み込まれている場合に、エンジンに面した側に関する。「後側」とは、車両におけるトランスミッションに面した側に関する。もちろん、これらの用語は相対的なものであって、上記意味を逆転させて使用することもできる。一般にステータとワンウェイクラッチとを備えた本発明によるアッセンブリはステータの一部または1セグメントと、ワンウェイクラッチの一部とを有している。ステータとワンウェイクラッチとは少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントによって互いに結合されている。たとえば、アッセンブリ100はワンウェイクラッチ102とハウジングまたはディスク104(クラッチが収納されている、図示されていないステータの一部)と少なくとも1つの弾性変形可能なエレメント106とを有している。ワンウェイクラッチ102は、該ワンウェイクラッチ102が以下に説明するようにステータに結合されるように配置されている。弾性変形可能なエレメント106はステータ、特にハウジング104と、ワンウェイクラッチ102、特にディスク108に結合されていて、該弾性変形可能なエレメント106がステータからクラッチへのトルクまたはエネルギの伝達を減衰させるように配置されている。特に弾性変形可能なエレメント106は、該弾性変形可能なエレメント106が自由回転モードからロックされたモードへのステータの移行時における振動を減衰させるように配置されている。言い換えれば、弾性変形可能なエレメント106は、ロックされたモードへの切換およびステータとクラッチとの間の接触と共に必然的に併発されるトルクまたはエネルギの一部を吸収する。さらに、弾性変形可能なエレメント106はロックされたモードの間、ステータとクラッチ部分との運動時における相対速度を減少させる。
【0021】
弾性変形可能なエレメント106のためには、工業的に公知の任意の手段、たとえばばねや、圧縮可能な材料、たとえばゴムから製造された円筒体が挙げられるが、しかしこれらに限定されるものではない。図1および図2に示した弾性変形可能なエレメント106はばねである。当然ながら、本発明は図示の弾性変形可能なエレメント106の数、大きさ、形状または配置形式に限定されるものではなく、弾性変形可能なエレメント106の別の数、大きさまたは形状または配置形式も、特許請求の範囲に記載の本発明の思想および適用範囲に含まれている。
【0022】
図3は、アッセンブリ100を備えたステータ120を前方から見た斜視図である。
【0023】
図4は、アッセンブリ100を備えたステータ120を後方から見た斜視図である。
【0024】
図5は、ステータ120に設けられたディスク104を前方から見た斜視図である。
【0025】
図6は、ディスク104の正面図である。
【0026】
以下の説明は図1〜図6に関連している。弾性変形可能なエレメント106はハウジング104とディスク108とに結合されている。ディスク108はワンウェイクラッチ102の一部である。弾性変形可能なエレメント106はディスク104に設けられた開口110内に保持される。弾性変形可能なエレメント106の一方の端部122は開口110の端部124に接触しており、弾性変形可能なエレメント106の他方の端部126はディスク108に設けられた舌片または延長部128に接触している。もちろん、弾性変形可能なエレメント106とステータおよびワンウェイクラッチ102との結合は図示の配置形式に限定されているものではない。幾つかの実施態様(図示しない)によれば、弾性変形可能なエレメント106は、たとえばディスク108に保持される。
【0027】
図7はステータ120を後方から見た図である。
【0028】
図8は図7に示した切断線8−8に沿って断面したステータ120の横断面図である。以下の説明は図1〜図8に関連している。ステータ120のためのシャフト(図示しない)には、ハブ144が相対回転不能に結合されている。ディスク108に設けられた延長部156は軸方向で、ハウジング104に設けられた開口158に差し通されている。延長部156の幅160は開口158の幅162の幅よりも小さく形成されているので、開口158に延長部156が差し込まれると、ディスク108はハウジング104に対して回転方向に運動することができる。延長部128は軸方向で、ディスク104に設けられた開口164を貫通する。
【0029】
ステータ120が所定の方向に運動し得るようにするためには、ワンウェイクラッチがロックされたモードで作動するようにワンウェイクラッチが配置されている。この場合、ステータが、ロックされたモードで作動すると、たとえば方向142における回転が行われる。ステータがロックされたモードへ移行するやいなや、ステータは、トルクを吸収することを開始し、ハウジング104は方向142に回転し始める。ステータとワンウェイクラッチとは、回転方向で舌片128と、弾性変形可能なエレメント106とを介して互いに結合されている。たとえば、方向142におけるディスク104の回転は、該ディスクが、弾性変形可能なエレメント106をディスク108に、特に舌片128に押圧することを生ぜしめる。幾つかの実施態様によれば、弾性変形可能なエレメント106がディスク108に押圧されると、ディスク108の慣性が自由回転モードにおいて弾性変形可能なエレメント106の少なくとも部分的な変形を生ぜしめるようにディスク108が配置されてかつ構成されている。たとえば開口の端部124がばねを押圧しかつディスク108の慣性が弾性変形可能なエレメント106の端部126の運動に抵抗を付与すると、弾性変形可能なエレメント106の押し縮めが開始する。幾つかの実施態様によれば、弾性変形可能なエレメント106の抵抗が約5N/mである。
【0030】
弾性変形可能なエレメント106が引き続きさらに弾性変形させられるか、または押し縮められると(ハウジング104により方向142に押圧される)、トルクまたはエネルギはハウジング104から弾性変形可能なエレメント106によって部分的にディスク108へ伝達され、ディスク108は、押圧に応答して方向142に回転を開始する。言い換えれば、弾性変形可能なエレメント106が押し縮められる間、ハウジング104は第1の回転数で回転し、ディスク108は第2の回転数で回転する。この場合、第1の回転数は第2の回転数よりも大きい。
【0031】
ワンウェイクラッチ102に設けられたロック機構、たとえばディスク108とハブ144とから成る装置は、工業的に公知の任意の手段によって形成され得る。幾つかの実施態様によれば、本願と同一出願人による米国特許出願第11/480815号明細書(発明の名称「Stator Having an Axially Engaging and Disengaging One-Way Clutch Mechanism for a Torque Converter」、Brees他著、出願日2006年7月3日)に記載されているようなトルクコンバータのための軸方向で連結・遮断を行うワンウェイクラッチ機構の少なくとも一部が使用される。図1〜図8に示したロック機構はディスク108に設けられた突出部166と、ハブ144に設けられた収容構造体とを有している。幾つかの実施態様によれば、これらの突出部が楔形の突起を成しており、収容構造体が複数の開口152を成している。幾つかの実施態様(図示しない)によれば、収容構造体が複数の凹部から成っている。ディスク108を軸方向でハブ144に押圧するためには、ディスク104がばね170によって押圧される。したがって、ディスク108を軸方向に移動させることができる。ディスク108の軸方向可動性は開口158内での延長部156の協働により可能となる。
【0032】
ステータ120が方向174(自由回転)に回転すると、楔形の突起は、たとえば該突起の楔形の上昇に基づき、開口内にスナップイン式に係止することなくハブ144の乗り上げるようにスライドする。ステータ120が方向142に回転すると(ロックされたモード)、前記突起は開口内に係合して、ディスク108とハブ144とを回転方向にロックする。
【0033】
図9は、ワンウェイクラッチ102におけるディスク108を後方から見た斜視図である。
【0034】
図10は、ワンウェイクラッチ102におけるディスク108を前方から見た斜視図である。以下の説明は図1〜図10に関連している。上で既に説明したように、ディスク104は自由回転モードからロックされたモードへの移行の開始段階において、弾性変形可能なエレメント106を舌片128に押圧する。ディスク108の慣性が、弾性変形可能なエレメント106を介してハウジング104から伝達されたトルクによって克服されるやいなや、ディスク108は、突出部166が開口152内へスライド式に突入しかつこれらの開口152と回転方向でロックされるまで方向142に回転する。自由回転モードにおけるディスクの比較的小さな慣性に基づいて、ディスク108をハブ144と連結するためには、弾性変形可能なエレメント106からディスク108へ比較的小さなエネルギ量が伝達されるだけで済むので有利である。したがって、ディスクのロック時に衝撃、振動および騒音発生が小さな規模でしか生じない。
【0035】
ディスク104と弾性変形可能なエレメント106とは引き続き方向142へ回転を続けるが、しかしディスク108はこの場合、回転方向でハブ144とロックされており、このハブ144はステータシャフトに相対回動不能に結合されている。すなわち、ディスク108はもはや方向142に回転することができなくなる。したがって、弾性変形可能なエレメント106は、舌片156の縁部180がハウジング104に設けられた開口158の縁部182に接触するまで押し縮められる。この時点で、ハウジング104とステータ120とは、回転方向におけるディスク108とハブ144との結合によってステータシャフトとロックされている。両縁部180,182の相互衝突が、弾性変形可能なエレメント106の押し縮めによって減衰されるので、当該衝突時の振動や騒音が著しく減じられるので有利である。
【0036】
ロックされたモードの間、弾性変形可能なエレメント106はほぼ一定の変形状態にある。すなわち、弾性変形可能なエレメント106はそれ以上押し縮められない。図1〜図10では、両縁部180,182の間での直接的な接触により、一定の変形状態が生ぜしめられる。幾つかの実施態様(図示しない)および以下の説明によれば、一定の変形は、弾性変形可能なエレメント106が完全に押し縮められているか、または平衡状態にある、つまりばねの抵抗が、ステータの、ワンウェイクラッチ102に結合された部分により、ロックされたモードの方向に伝達されたトルクよりも大きくなるような状態にあることに帰因し得る。
【0037】
ディスク104,108ならびにハブ144は、工業的に公知の任意の手段により形成され得る。幾つかの実施態様によれば、ディスク104,108ならびにハブ144が打抜き加工されている。幾つかの実施態様では、フランジ154として別個のエレメントが働く。このエレメントは工業的に公知の任意の手段によりセグメント184に結合されている。幾つかの実施態様によれば、フランジ154が打抜き加工されている。
【0038】
ハウジング104は、ステータ120のその他の部分との結合のための工業的に公知の任意の手段により設計されていてよい。たとえば、突出部186は、該突出部がステータのリング188との結合を成立させるように設計されている。幾つかの実施態様(図示しない)によれば、ハウジング104が、たとえば同一出願人による米国特許出願第60/785790号明細書(発明の名称「Stator and One-Way Clutch Assembly for a Torque Converter」、Hemphill他著、本願と同一の出願日)に記載されているようにステータの一体の構成要素である。
【0039】
もちろん、本発明は図示の配置形式に限定されるものではない。幾つかの実施態様(図示しない)によれば、弾性変形可能なエレメントがステータの1つのコンポーネントと、ワンウェイクラッチに設けられた回転するディスクとに結合されている。このコンポーネントとディスクはハウジング104もしくはディスク108に類似していてよい。上で縁部180,182に関連して説明したように、ロックされたモードにおいて前記コンポーネントと前記ディスクとの間の直接的な接触を許す代わりに、前記コンポーネントと前記ディスクは弾性変形可能なエレメントによって互いに分離されたままとなる。上でディスク108およびハブ144につき説明したように、前記コンポーネントは、たとえば自由回転モードからロックされたモードへの移行の開始段階の間、弾性変形可能なエレメントを前記ディスクに押圧し、該ディスクは回転し、そしてロックする。前記ディスクがステ―タシャフトの抵抗に合うやいなや、弾性変形可能なエレメントは、該弾性変形可能なエレメントが平衡点に到達するか、または前記コンポーネントと前記ディスクとの間で完全に押し縮められるまで押し縮められる。この時点で、弾性変形可能なエレメントはほぼ剛性的またはその機能の点で剛性的となり、前記コンポーネントと前記ディスクとは回転方向で互いにロックされている。平衡点において、弾性変形可能なエレメントの力は、前記コンポーネントにより伝達されたトルクよりも大きくなり、弾性変形可能なエレメントは部分的にしか押し縮められなくなる。この配置形式では、前記コンポーネントと前記ディスクとの間の衝突ならびにこのような衝突に伴う振動および騒音が生じないことが有利となる。弾性変形可能なエレメントの力が、前記コンポーネントにより伝達されたトルクよりも小さくなると、弾性変形可能なエレメントは完全に押し縮められる。衝突は弾性変形可能なエレメントの押し縮めによって減衰され、こうして衝突時の振動および騒音が著しく減じられるので有利である。すなわち、弾性変形可能なエレメントは前記コンポーネントと前記ディスクとの間の速度差を減少させる。
【0040】
図11は、ワンウェイクラッチを自由回転モードで示す、本発明によるワンウェイクラッチアッセンブリの横断面図である。
【0041】
図12は、図11に示したワンウェイクラッチアッセンブリを、ワンウェイクラッチがロックされたモードで示す部分横断面図である。以下の説明は図11および図12に関連している。図11および図12は本発明の別の実施例を示している。ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ200はディスク204を有している。このディスク204はステータに結合されている。ステータについてはその一部が図示されている。ワンウェイクラッチ208はディスク210,212を有している。ディスク212はハブ214に結合されている。幾つかの実施態様によれば、ディスク212はハブ214の一体の構成要素である。幾つかの実施態様によればばねとして形成されている弾性変形可能なエレメント216は、ディスク204内に保持されていて、ディスク204,210に接触しており、特にディスク210に設けられた延長部218に接触している。ワンウェイクラッチアッセンブリ200は、弾性変形可能なエレメント216の特定の数、配置形式または種類に限定されるものではない。幾つかの実施態様によれば、弾性変形可能なエレメント216として、圧縮可能な材料、たとえばゴムから成る円筒体が使用される。
【0042】
ワンウェイクラッチアッセンブリ200の機能形式は、上で図1〜図10に示したアッセンブリ100につき説明した機能形式に類似している。たとえば、ロックされたモードの方向におけるディスク204の回転により、ディスク204は弾性変形可能なエレメント216をディスク210に押圧する。図11および図12には、この方向が図平面外に位置している。特に弾性変形可能なエレメント216はディスク210の延長部218に衝突して、両ディスク210,212が回転方向で互いにロックされることを生ぜしめる。幾つかの実施態様によれば、ディスク210に設けられた楔形の突起220が、ディスク212に設けられた開口222内に係合し、これによりロックが生ぜしめられる。既に上で説明したように、ディスク210の比較的小さな慣性および弾性変形可能なエレメント216の減衰作用は、ロック時の衝撃および振動を減少させる。ディスク210が引き続き回転すると、弾性変形可能なエレメント216は、ディスク210のセグメント224が、上で図1〜図10に示した縁部108,182につき説明したようにしてディスク204と接触するまで引き続き押し縮められる。弾性変形可能なエレメント、たとえば弾性変形可能なエレメント216の減衰作用により、上記説明によれば、このような接触により併発される衝撃および振動が十分に減じられる。
【0043】
したがって、本発明の課題が有効に解決され得ることが判る。ただし当業者であれば、特許請求の範囲に記載の本発明の思想および適用範囲に含まれている、本発明の改良および変更を想起することができる。さらに、もちろん、上記説明は本発明を説明するために用いられたに過ぎず、本発明を上記実施例に限定するものではない。それゆえに、本発明の思想および適用範囲から逸脱することなしに、本発明の別の実施態様が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】ステータとワンウェイクラッチとを備えた本発明によるアッセンブリを斜め前方から見た分解斜視図である。
【図2】ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示したアッセンブリを斜め後方から見た分解斜視図である。
【図3】ステータとワンウェイクラッチとから成る本発明によるアッセンブリにおけるステータを斜め前方から見た斜視図である。
【図4】ステータとワンウェイクラッチとから成る本発明によるアッセンブリにおける、図3に示したステータを斜め後方から見た斜視図である。
【図5】ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示した本発明によるアッセンブリのハウジングを斜め前方から見た斜視図である。
【図6】図5に示したハウジングの正面図である。
【図7】図3に示したステータの背面図である。
【図8】図3に示したステータを図7の8−8線に沿って断面した横断面図である。
【図9】ステータとワンウェイクラッチとを備えた、図1に示した本発明によるアッセンブリにおけるディスクを斜め後方から見た斜視図である。
【図10】図9に示したディスクを斜め前方から見た斜視図である。
【図11】ステータとワンウェイクラッチとを備えた本発明によるアッセンブリを、ワンウェイクラッチの自由回転モードで示す横断面図である。
【図12】図11に示したアッセンブリを、ワンウェイクラッチのロックされたモードで示す部分横断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリにおいて、当該アッセンブリが:
ステータの1つのセグメントを有しており;
該セグメントに結合されたワンウェイクラッチを有しており;
前記セグメントと該ワンウェイクラッチとに結合された少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントを有しており、
しかも該弾性変形可能なエレメントは、ステータからワンウェイクラッチへのトルクの伝達が減衰されるように配置されている
ことを特徴とする、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ。
【請求項2】
ワンウェイクラッチが、さらに第1のディスクを有しており、前記少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントが、前記セグメントと該第1のディスクとに結合されている、請求項1記載のアッセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを第1のディスクに押圧するために、前記セグメントが回転可能である、請求項2記載のアッセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、押圧に対する反応として変形させられるようになっている、請求項3記載のアッセンブリ。
【請求項5】
第1のディスクが押圧に対する反応として回転させられるように第1のディスクが配置されている、請求項3記載のアッセンブリ。
【請求項6】
前記セグメントは、該セグメントが押圧時に第1の回転数で回転するように配置されており、第1のディスクは、該第1のディスクが押圧時に第2の回転数で回転するように配置されており、ただし第1の回転数は第2の回転数よりも大きい、請求項5記載のアッセンブリ。
【請求項7】
前記セグメントと第1のディスクとが回転方向で互いにロックされるように配置されている、請求項3記載のアッセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは、前記セグメントと第1のディスクとが互いにロックされているとほぼ一定の変形状態となるように配置されている、請求項7記載のアッセンブリ。
【請求項9】
ワンウェイクラッチがさらにハブと、該ハブに結合された第2のディスクとを有しており、第1のディスクと第2のディスクとは機能的に、押圧に対する反応として第1のディスクと第2のディスクとが回転方向で互いにロックされるように配置されており、前記セグメントと第1のディスクとは、第1のディスクと第2のディスクとのロックの後に前記セグメントと第1のディスクとが回転方向で互いにロックされるように配置されている、請求項7記載のアッセンブリ。
【請求項10】
第1のディスクが軸方向に移動させられるようになっている、請求項9記載のアッセンブリ。
【請求項11】
第1のディスクが、少なくとも1つの第1の突出部を有しており、第2のディスクが、少なくとも1つの第1の収容構造体を有しており、該第1の突出部と該第1の収容構造体とが、互いにロックされるように配置されている、請求項9記載のアッセンブリ。
【請求項12】
第2のディスクが、少なくとも1つの第2の突出部を有しており、第1のディスクが、少なくとも1つの第2の収容構造体を有しており、該第2の突出部と該第2の収容構造体とが、互いにロックされるように配置されている、請求項9記載のアッセンブリ。
【請求項13】
第2のディスクが打抜き加工により形成されている、請求項9記載のアッセンブリ。
【請求項14】
前記セグメントが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントへトルクを伝達するように配置されており、該弾性変形なエレメントが、該トルクの少なくとも一部を第1のディスクへ伝達するように配置されている、請求項2記載のアッセンブリ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、ほぼ全トルクを第1のディスクへ伝達するように配置されている、請求項14記載のアッセンブリ。
【請求項16】
前記セグメントが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを保持している、請求項2記載のアッセンブリ。
【請求項17】
第1のディスクが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを保持している、請求項2記載のアッセンブリ。
【請求項18】
前記セグメントと第1のディスクとが、打抜き加工により形成されている、請求項2記載のアッセンブリ。
【請求項19】
前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、さらに、ばねとゴム円筒体とから成るグループに所属するコンポーネントを有している、請求項1記載のアッセンブリ。
【請求項20】
ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリにおいて、当該アッセンブリが:
ステータの1つのセグメントを有しており;
ワンウェイクラッチの一部分を有しており、該部分が前記セグメントに結合されており;
前記セグメントとワンウェイクラッチの前記一部分とに結合された少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントを有しており、
しかも該弾性変形可能なエレメントは、回転方向におけるステータとワンウェイクラッチとのロック時に振動を減衰するように配置されている
ことを特徴とする、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ。
【請求項21】
ステータとステータ内のワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリにおいて、当該アッセンブリが:
ステータのための1つのセグメントを有しており;
ワンウェイクラッチの第1の部分を有しており;
ワンウェイクラッチの第2の部分を有しており、該第2の部分が、ステータのためのハブに結合されており;
前記セグメントとワンウェイクラッチの第1の部分とに結合された少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントを有しており、該弾性変形可能なエレメントをワンウェイクラッチの第1の部分に押圧するために前記セグメントが回転可能であり、
しかも前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは、該弾性変形なエレメントが押圧に対する反応として変形させられるように配置されており、ワンウェイクラッチの第1の部分は、該第1の部分が押圧に対する反応として回転させられるように配置されており、ワンウェイクラッチの第1の部分と第2の部分とは機能的に、押圧に対する反応として回転方向で互いにロックされるように配置されており、前記セグメントと第1のディスクとは、第1のディスクと第2のディスクとのロックの後に回転方向で互いにロックされるように配置されており、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、第1のディスクと第2のディスクとが互いにロックされる際にエネルギの一部を吸収するように配置されていることを特徴とする、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ。
【請求項1】
ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリにおいて、当該アッセンブリが:
ステータの1つのセグメントを有しており;
該セグメントに結合されたワンウェイクラッチを有しており;
前記セグメントと該ワンウェイクラッチとに結合された少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントを有しており、
しかも該弾性変形可能なエレメントは、ステータからワンウェイクラッチへのトルクの伝達が減衰されるように配置されている
ことを特徴とする、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ。
【請求項2】
ワンウェイクラッチが、さらに第1のディスクを有しており、前記少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントが、前記セグメントと該第1のディスクとに結合されている、請求項1記載のアッセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを第1のディスクに押圧するために、前記セグメントが回転可能である、請求項2記載のアッセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、押圧に対する反応として変形させられるようになっている、請求項3記載のアッセンブリ。
【請求項5】
第1のディスクが押圧に対する反応として回転させられるように第1のディスクが配置されている、請求項3記載のアッセンブリ。
【請求項6】
前記セグメントは、該セグメントが押圧時に第1の回転数で回転するように配置されており、第1のディスクは、該第1のディスクが押圧時に第2の回転数で回転するように配置されており、ただし第1の回転数は第2の回転数よりも大きい、請求項5記載のアッセンブリ。
【請求項7】
前記セグメントと第1のディスクとが回転方向で互いにロックされるように配置されている、請求項3記載のアッセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは、前記セグメントと第1のディスクとが互いにロックされているとほぼ一定の変形状態となるように配置されている、請求項7記載のアッセンブリ。
【請求項9】
ワンウェイクラッチがさらにハブと、該ハブに結合された第2のディスクとを有しており、第1のディスクと第2のディスクとは機能的に、押圧に対する反応として第1のディスクと第2のディスクとが回転方向で互いにロックされるように配置されており、前記セグメントと第1のディスクとは、第1のディスクと第2のディスクとのロックの後に前記セグメントと第1のディスクとが回転方向で互いにロックされるように配置されている、請求項7記載のアッセンブリ。
【請求項10】
第1のディスクが軸方向に移動させられるようになっている、請求項9記載のアッセンブリ。
【請求項11】
第1のディスクが、少なくとも1つの第1の突出部を有しており、第2のディスクが、少なくとも1つの第1の収容構造体を有しており、該第1の突出部と該第1の収容構造体とが、互いにロックされるように配置されている、請求項9記載のアッセンブリ。
【請求項12】
第2のディスクが、少なくとも1つの第2の突出部を有しており、第1のディスクが、少なくとも1つの第2の収容構造体を有しており、該第2の突出部と該第2の収容構造体とが、互いにロックされるように配置されている、請求項9記載のアッセンブリ。
【請求項13】
第2のディスクが打抜き加工により形成されている、請求項9記載のアッセンブリ。
【請求項14】
前記セグメントが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントへトルクを伝達するように配置されており、該弾性変形なエレメントが、該トルクの少なくとも一部を第1のディスクへ伝達するように配置されている、請求項2記載のアッセンブリ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、ほぼ全トルクを第1のディスクへ伝達するように配置されている、請求項14記載のアッセンブリ。
【請求項16】
前記セグメントが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを保持している、請求項2記載のアッセンブリ。
【請求項17】
第1のディスクが、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントを保持している、請求項2記載のアッセンブリ。
【請求項18】
前記セグメントと第1のディスクとが、打抜き加工により形成されている、請求項2記載のアッセンブリ。
【請求項19】
前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、さらに、ばねとゴム円筒体とから成るグループに所属するコンポーネントを有している、請求項1記載のアッセンブリ。
【請求項20】
ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリにおいて、当該アッセンブリが:
ステータの1つのセグメントを有しており;
ワンウェイクラッチの一部分を有しており、該部分が前記セグメントに結合されており;
前記セグメントとワンウェイクラッチの前記一部分とに結合された少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントを有しており、
しかも該弾性変形可能なエレメントは、回転方向におけるステータとワンウェイクラッチとのロック時に振動を減衰するように配置されている
ことを特徴とする、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ。
【請求項21】
ステータとステータ内のワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリにおいて、当該アッセンブリが:
ステータのための1つのセグメントを有しており;
ワンウェイクラッチの第1の部分を有しており;
ワンウェイクラッチの第2の部分を有しており、該第2の部分が、ステータのためのハブに結合されており;
前記セグメントとワンウェイクラッチの第1の部分とに結合された少なくとも1つの弾性変形可能なエレメントを有しており、該弾性変形可能なエレメントをワンウェイクラッチの第1の部分に押圧するために前記セグメントが回転可能であり、
しかも前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントは、該弾性変形なエレメントが押圧に対する反応として変形させられるように配置されており、ワンウェイクラッチの第1の部分は、該第1の部分が押圧に対する反応として回転させられるように配置されており、ワンウェイクラッチの第1の部分と第2の部分とは機能的に、押圧に対する反応として回転方向で互いにロックされるように配置されており、前記セグメントと第1のディスクとは、第1のディスクと第2のディスクとのロックの後に回転方向で互いにロックされるように配置されており、前記少なくとも1つの弾性変形なエレメントが、第1のディスクと第2のディスクとが互いにロックされる際にエネルギの一部を吸収するように配置されていることを特徴とする、ステータとワンウェイクラッチとを備えたアッセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−531607(P2009−531607A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501833(P2009−501833)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/DE2007/000356
【国際公開番号】WO2007/110021
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Germany
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/DE2007/000356
【国際公開番号】WO2007/110021
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Germany
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