説明

捺染用インクジェットインク、それを用いた記録方法および記録物

【課題】 捺染用インクジェットインクと、それを用いた記録方法を使用することにより、インク滲みの発生を抑えることができ、シャープな印刷を施しならがらも、布帛本来の風合いを保ち、かつ皮膚刺激の少ない、安全性の高い記録物を提供する。
【解決手段】 布帛上に、少なくとも色材及び外部エネルギー線の照射により重合可能な水溶性化合物を含む捺染用インクジェットインクを印字した後、前記重合可能な水溶性化合物に対して前記外部エネルギー線を照射して重合化合物を生成し、次いで発色処理及び水洗浄処理を施して画像記録することを特徴とする捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷のための捺染用インクジェットインク、記録方法及び記録物に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式による画像の印刷方法はインクの微少液滴を飛翔させ、対象となるメディアに付着させて印刷を行う方法である。インクジェット方式はその機構が比較的簡便、安価であり高精細、高品位な画像を形成できる事が利点である。
【0003】
このインクジェット方式の利点を生かして布帛への印字、いわゆるインクジェット捺染の開発も行われている。インクジェット捺染は従来の捺染とは異なり版を作成する必要がなく、手早く階調性にすぐれた画像を形成できる。さらに画像として必要な量のインクしか必要としないため廃液が少ない等環境的にも優れた画像形成方法である。
【0004】
捺染の分野において、納期短縮、少量多品種生産対応としてインクジェット捺染方式が望まれている。インクジェットの記録方式には種々のタイプのものがあるが近年主流であるオンデマンド型の記録方式はピエゾ素子を用いるいわゆるピエゾ方式(圧電素子方式)とサーマルジェット方式(バブルジェット(登録商標)方式)に分類される。
このような方式に使用されるインクとして、紫外線硬化型インク(以下、UV硬化型インクという)があるが、その方法は布帛にインクを付与後直ちに紫外線照射しインクを硬化させ、布帛と色材を接着させるものである。
【0005】
特許文献1には顔料と分散剤および放射線−硬化性結合剤を含むインクを綿生地に適用し、光化学的に硬化させる方法が開示されている。この場合、布帛上でインク中のUV硬化化合物は洗浄後も硬化したまま残るため、ごわつき風合いが悪い。
【0006】
またさらに従来のUV硬化化合物には皮膚刺激性があった。硬化物は布帛に残るため未反応の硬化化合物も残留し、その残留量が多い場合は布帛が皮膚刺激性を持つ。
【0007】
特許文献2にはUV硬化インクを織物に噴射してUV照射で硬化させさらに加熱して未硬化UV硬化インクを減らす方法が開示されている。しかし、未硬化物を無くすことは出来ず、直接肌に触れる機会の多い布帛の特性上好ましくなかった。
【特許文献1】特表2003−518560号公報
【特許文献2】特表2003−508277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、品質、安全性に優れた捺染用インクジェットインクと、それを用いた記録方法及び記録物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を鑑み鋭意検討した結果、以下の方法により達成できることを見出した。
【0010】
(請求項1)
布帛上に、少なくとも色材及び外部エネルギー線の照射により重合可能な水溶性化合物を含む捺染用インクジェットインクを印字した後、前記重合可能な水溶性化合物に対して前記外部エネルギー線を照射して重合化合物を生成し、次いで発色処理及び水洗浄処理を施して画像記録することを特徴とする捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【0011】
(請求項2)
前記水洗浄処理で、未反応の重合可能な水溶性化合物及び前記重合化合物を前記布帛より除去することを特徴とする請求項1記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【0012】
(請求項3)
前記重合可能な水溶性化合物の平均転化率が10〜70%となる条件で、前記外部エネルギー線を前記捺染用インクジェットインクに照射することを特徴とする請求項1または2に記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【0013】
(請求項4)
前記外部エネルギー線が紫外線であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【0014】
(請求項5)
前記重合可能な水溶性化合物が、水溶性オリゴマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【0015】
(請求項6)
前記色材が分散染料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【0016】
(請求項7)
布帛上への画像形成に用いられる捺染用インクジェットインクであって、少なくとも色材及び外部エネルギー線の照射により重合可能な水溶性化合物とを含有し、前記重合可能な水溶性化合物に前記外部エネルギー線を照射して重合化合物を生成し、次いで発色処理及び水洗浄処理により画像を形成するのに用いられることを特徴とする捺染用インクジェットインク。
【0017】
(請求項8)
前記水洗浄処理で、未反応の重合可能な水溶性化合物及び前記重合化合物を前記布帛より除去されることを特徴とする請求項7記載の捺染用インクジェットインク。
【0018】
(請求項9)
前記重合可能な水溶性化合物の平均転化率が10〜70%となる条件で、前記外部エネルギー線を照射することを特徴とする請求項7または8に記載の捺染用インクジェットインク。
【0019】
(請求項10)
前記外部エネルギー線が紫外線であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインク。
【0020】
(請求項11)
前記重合可能な水溶性化合物が、水溶性オリゴマーであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインク。
【0021】
(請求項12)
前記色材が分散染料であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインク。
【0022】
(請求項13)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法により作成されたことを特徴とする記録物。
【0023】
(請求項14)
請求項7〜12のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインクを用いて、インクジェット記録方式で布帛上に画像記録して作成されたことを特徴とする記録物。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、捺染用インクジェットインクと、それを用いた記録方法を使用することにより、インク滲みの発生を抑えることができ、シャープな印刷を施しならがらも、布帛本来の風合いを保った安全性の高い記録物を提供することができる。
【0025】
また、重合可能な水溶性化合物を用いるため、洗浄により成分の洗い流しができ、皮膚刺激の少ない布帛を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
本発明に係る重合可能な水溶性化合物の役割は、色材の固着手段が主ではなく、仮止めとしての役割であり最終的には重合性化合物は取り除かれる。ここでいう仮止めとは、発色までは重合可能な水溶性の化合物によりインクの粘度を高め色材のにじみを抑えておき、発色後は色材だけを布帛に定着させて重合性化合物を取り除くということであり、外部エネルギー線照射により重合した重合性化合物で色材を最終的に固着させることではない。
【0028】
インク中に外部エネルギー線照射により重合する水溶性の化合物が含まれることにより、外部エネルギー線照射により粘度が急激に上昇しフェザリングが抑制される。
【0029】
本発明で用いる外部エネルギー線は、電子線(EB)や紫外線(UV)や赤外線(IR)など特に制限されるものではないが、本発明で用いることのできる活性光線の光源としては、波長180〜500nmの紫外線又は可視光線を発生する光源が有効である。例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光が挙げられる。また、紫外線は汎用性が高く操作性がよい。
【0030】
本発明において、紫外線による照射は、インクの吸収波長におけるピーク照度が1〜500mw/cm2である光源が好ましい。かかる光源は、硬化反応を行うに十分であり、比較的安価で、小型の紫外線照射装置を用いることができ、コスト的にも有利である。
【0031】
重合性化合物は、水溶性が好ましいため、インク中に存在する重合可能な化合物は水溶性のものを選択する。なぜなら、捺染プリントされた布帛は衣料や雑貨などに加工されるので直接肌に接触する機会が多いため、布帛に皮膚刺激性のある重合性化合物が残留していてはならないからである。本発明は重合可能な水溶性化合物を選択するため、第一に、皮膚刺激性が低減し、インク取り扱いが容易になるので作業者へのリスクが軽減される。第二に水溶性なので水洗浄後余分な重合性化合物がしっかり洗い落とされるため、布帛に皮膚刺激性が無くなる。これにより、重合性化合物自体の刺激性が低いことに加え、水による洗浄時に重合性化合物が洗い落とされるので、使用者に危害を与えず、ごわつきも無いため風合いも良い布帛を作成することができる。
【0032】
重合可能な水溶性化合物として好ましいものは、ラジカル重合性のアクリルモノマー類で、たとえば、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、CH2=C(CH3)−COO−CH2CH2N(CH32:N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、CH2=CH−COO−CH2CH2N(CH32:N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、CH2=C(CH3)−COO−CH2CH2CH2N(CH32:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、CH2=CH−COO−CH2CH2CH2N(CH32:N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、CH2=CH−CON(CH32:N,N−ジメチルアミノメタアクリルアミド、CH2=C(CH3)−CON(CH32:N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、CH2=CH−CONHC24N(CH32:N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリルアミド、CH2=C(CH3)−CONHC24N(CH32:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、CH2=CH−CONH−C36N(CH32:N,N−ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、CH2=C(CH3)−CONH−C36N(CH32:及び、これらの4級化された物質、などが色材染着性に優れており特に好ましい。
【0033】
また多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールのグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールのエチレンオキシド付加化合物の(メタ)アクリル酸エステル、多塩基酸無水物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとの反応物など、それ自体公知の紫外線硬化型モノマー、オリゴマーが用いられる。これらの物質の中でインクとの相溶性、親水性の高い物質が選択され、用いられる。その他にモルホリンアクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコール#700ジメタクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレートがある。
【0034】
次に、光重合開始剤について説明する。光重合開始剤の使用法として、光重合開始剤を一種類使用、二種類以上使用、光重合開始剤と増感剤とを使用しても構わない。主な光重合開始剤と増感剤の選定、組合わせ及び配合比は、使用する紫外線硬化モノマーおよび使用装置によって適宜選定すれば良い。
【0035】
光重合開始剤の主なものとしては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、pp′−ジクロロベンゾフェン、pp′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、が挙げられる。その使用量は、通常、紫外線硬化性樹脂の総量に対して0.1〜10質量%である。
【0036】
増感剤の主なものとしては、
1.アミン系:脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン等
2.尿素:アリル系、o−トリルチオ尿素等
3.イオウ化合物:ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩等
4.ニトリル系化合物:N,N,ジ置換pアミノベンゾニトリル等
5.リン化合物:トリnブチルホスフィン、ネトリウムジエチルジチオホスフィード等
6.窒素化合物:ミヒラーケトン、Nニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ1,3オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物等
7.塩素化合物:四塩化炭素、ヘキサクロロエタン等
8.エポキシ樹脂とアミンの反応生成物の高分子化アミン、トリエタノールアミントリアクリレート等
が挙げられる。
【0037】
重合可能な水溶性化合物の中でも、水溶性のオリゴマーを使用することが好ましい。モノマーよりも分子量が大きいため、重合効率が同じであればオリゴマーのほうが外部エネルギー線照射後の増粘が急峻であり、さらに、一層フェザリングを止める効果が大きくなる。また、モノマーより分子量が大きく嵩高いので皮膚に浸透しにくくそのため皮膚刺激性も低くなる。
【0038】
水溶性の重合性オリゴマーとして好ましいものは、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート、(グリセリンポリグリシジルエーテルアクリレート、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルアクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルアクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリレート)、さらに好ましいものは、感光性の水溶性高分子化合物である。
【0039】
たとえば、水溶性のポリビニルアルコール系感光性樹脂として、特開平8−320553号公報に記載の化合物や、(その特許中に記載されている)特公昭56−5761号,同56−5762号,特開昭56−11906号,同59−17550号,特開平2−118575号,特公平2−276806号及び特開平6−43645号の各公報などに開示されている四級化芳香族含窒素複素環を有するスチリル誘導体をペンダントさせたポリビニルアルコール系感光性樹脂が知られている。また、特開昭63−198045号公報には、ポリビニルアルコール(PVA)に、四級化芳香族含窒素複素環を有するスチリル誘導体とアジド化合物とをペンダントさせたポリビニル系感光性樹脂が開示されている。
【0040】
本発明でいうインクの転化率とは、布帛に着弾したインクに外部エネルギー線を照射した際のインク中に含まれる重合可能な水溶性化合物の重合性化合物への変化率を意味し、例えば、サーモ・ニコレー社製NEXUS470のような、リアルタイム測定可能な赤外分光光度計を用いて容易に測定できる。なお、平均転化率は10%〜70%が好ましく、更に好ましくは20%〜70%、より好ましくは30%〜60%である。70%以下であれば水洗浄工程で効率よく除去することができる。
【0041】
本発明に好ましい反応性染料は、
C.I.Reactive Yellow 2,3,7,15,17,18,22,23,24,25,27,37,39,42,57,69,76,81,84,85,86,87,92,95,102,105,111,125,135,136,137,142,143,145,151,160,161,165,167,168,175,176、
C.I.Reactive Orange 1,4,5,7,11,12,13,15,16,20,30,35,56,64,67,69,70,72,74,82,84,86,87,91,92,93,95,107、
C.I.Reactive Red 2,3,3:1,5,8,11,21,22,23,24,28,29,31,33,35,43,45,49,55,56,58,65,66,78,83,84,106,111,112,113,114,116,120,123,124,128,130,136,141,147,158,159,171,174,180,183,184,187,190,193,194,195,198,218,220,222,223,228,235、
C.I.Reactive Violet 1,2,4,5,6,22,23,33,36,38、
C.I.Reactive Blue 2,3,4,7,13,14,15,19,21,25,27,28,29,38,39,41,49,50,52,63,69,71,72,77,79,89,104,109,112,113,114,116,119,120,122,137,140,143,147,160,161,162,163,168,171,176,182,184,191,194,195,198,203,204,207,209,211,214,220,221,222,231,235,236、
C.I.Reactive Green 8,12,15,19,21、
C.I.Reactive Brown 2,7,9,10,11,17,18,19,21,23,31,37,43,46、
C.I.Reactive Black 5,8,13,14,31,34,39、等が挙げられる。
【0042】
本発明に好ましい酸性染料は、
C.I.Acid Yellow 1,3,11,17,18,19,23,25,36,38,40,40:1,42,44,49,59,59:1,61,65,67,72,73,79,99,104,159,169,176,184,193,200,204,207,215,219219:1,220,230,232,235,241,242,246、
C.I.Acid Orange 3,7,8,10,19,24,51,51S,56,67,74,80,86,87,88,89,94,95,107,108,116,122,127,140,142,144,149,152,156,162,166,168、
C.I.Acid Red 1,6,8,9,13,18,27,35,37,52,54,57,73,82,88,97,97:1,106,111,114,118,119,127,131,138,143,145,151,183,195,198,211,215,217,225,226,249,251,254,256,257,260,261,265,266,274,276,277,289,296,299,315,318,336,337,357,359,361,362,364,366,399,407,415、
C.I.Acid Vioret 17,19,21,42,43,47,48,49,54,66,78,90,97,102,109,126、
C.I.Acid Blue 1,7,9,15,23,25,40,61:1,62,72,74,80,83,90,92,103,104,112,113,114,120,127,127:1,128,129,138,140,142,156,158,171,182,185,193,199,201,203,204,205,207,209,220,221,224,225,229,230,239,258,260,264,277:1,278,279,280,284,290,296,298,300,317,324,333,335,338,342,350、
C.I.Acid Green 9,12,16,19,20,25,27,28,40,43,56,73,81,84,104,108,109、
C.I.Acid Brown 2,4,13,14,19,28,44,123,224,226,227,248,282,283,289,294,297,298,301,355,357,413、
C.I.Acid Black 1,2,3,24,24:1,26,31,50,52,52:1,58,60,63,63S,107,109,112,119,132,140,155,172,187,188,194,207,222、等があげられる。
【0043】
本発明の好ましい直接染料は、
C.I.Direct Yellow 8,9,10,11,12,22,27,28,39,44,50,58,86,87,98,105,106,130,137,142,147,153、
C.I.Direct Orange 6,26,27,34,39,40,46,102,105,107,118、
C.I.Direct Red 2,4,9,23,24,31,54,62,69,79,80,81,83,84,89,95,212,224,225,226,227,239,242,243,254、
C.I.Direct Violet 9,35,51,66,94,95、
C.I.Direct Blue 1,15,71,76,77,78,80,86,87,90,98,106,108,160,168,189,192,193,199,200,201,202,203,218,225,229,237,244,248,251,270,273,274,290,291、
C.I.Direct Green 26,28,59,80,85、
C.I.Direct Brown 44,44:1,106,115,195,209,210,212:1,222,223、
C.I.Direct Black 17,19,22,32,51,62,108,112,113,117,118,132,146,154,159,169、等があげられる。
【0044】
本発明に好ましい分散染料は、
C.I.Disperse Yellow 3,4,5,7,9,13,23,24,30,33,34,42,44,49,50,51,54,56,58,60,63,64,66,68,71,74,76,79,82,83,85,86,88,90,91,93,98,99,100,104,108,114,116,118,119,122,124,126,135,140,141,149,160,162,163,164,165,179,180,182,183,184,186,192,198,199,202,204,210,211,215,216,218,224,227,231,232、
C.I.Disperse Orange 1,3,5,7,11,13,17,20,21,25,29,30,31,32,33,37,38,42,43,44,45,47,48,49,50,53,54,55,56,57,58,59,61,66,71,73,76,78,80,89,90,91,93,96,97,119,127,130,139,142、
C.I.Disperse Red 1,4,5,7,11,12,13,15,17,27,43,44,50,52,53,54,55,56,58,59,60,65,72,73,74,75,76,78,81,82,86,88,90,91,92,93,96,103,105,106,107,108,110,111,113,117,118,121,122,126,127,128,131,132,134,135,137,143,145,146,151,152,153,154,157,159,164,167,169,177,179,181,183,184,185,188,189,190,191,192,200,201,202,203,205,206,207,210,221,224,225,227,229,239,240,257,258,277,278,279,281,288,298,302,303,310,311,312,320,324,328、
C.I.Disperse Violet 1,4,8,23,26,27,28,31,33,35,36,38,40,43,46,48,50,51,52,56,57,59,61,63,69,77、
C.I.Disperse Green 9、
C.I.Disperse Brown 1,2,4,9,13,19、
C.I.Disperse Blue 3,7,9,14,16,19,20,26,27,35,43,44,54,55,56,58,60,62,64,710,72,73,75,79,81,82,83,87,91,93,94,95,96,102,106,108,112,113,115,118,120,122,125,128,130,139,141,142,143,146,148,149,153,154,158,165,167,171,173,174,176,181,183,185,186,187,189,197,198,200,201,205,207,211,214,224,225,257,259,267,268,270,284,285,287,288,291,293,295,297,301,315,330,333、
C.I.Disperse Black 1,3,10,24、等が挙げられる。
【0045】
分散染料は市販品のまま使用してもよいが、精製処理を行うことが好ましい。精製方法としては公知の再結晶方法、洗浄等を用いることができる。精製方法及び精製処理に用いる有機溶媒は染料の種類に応じて、適宜選択することが好ましい。またインク中の分散染料含有量としては0.1〜20質量%が好ましい。
【0046】
添加物としては公知の無機塩、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、粘度調整剤、ヒドロトロープ剤、分散剤、均染剤、濃染剤等を必要に応じて添加すればよい。
【0047】
インクの粘度や染料を安定に保ち、且つ発色をよくするために、インク中に無機塩を添加してもかまわない。
【0048】
無機塩としては、たとえば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫化マグネシウム等が挙げられる。
【0049】
界面活性剤として、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることが出来る。陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
【0050】
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0051】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0052】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(たとえばエマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(たとえばニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
【0053】
これらの界面活性剤を使用する場合、単独又は2種類以上を混合して用いることが出来、インク全量に対して、0.001〜1.0質量%の範囲で添加することにより、インクの表面張力を任意に調整することができ好ましい。
【0054】
インクの長期保存安定性を保つため、防腐剤、防黴剤をインク中に添加してもかまわない。防腐剤・防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(たとえばPreventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(たとえばPROXEL GXL)などが挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
本発明で使用するインクは、水不溶性の染料(分散染料)の場合は染料、分散剤、湿潤剤、媒体および任意の添加剤を混合し、分散機を用いることによって分散することができる。
【0056】
本発明の水溶性有機溶媒としては、例えば、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、ブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2‘−チオジエタノール、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、複素環類(2−ピロリドン等)、アセトニトリル等が挙げられる。また、水溶性有機溶媒量としては全インク質量に対して10〜60質量%が好ましい。
【0057】
本発明の分散に好ましい湿潤剤とは、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、2−エチルへキシルスルホ琥珀酸ソーダ、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ、フェノールの酸化エチレン付加物、アセチレンジオールの酸化エチレン付加物等である。
【0058】
本発明に用いられる分散剤としては、例えば、クレオソート油スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物(例えばデモールC)、クレゾールスルホン酸ナトリウムと2−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、フェノールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、β−ナフトールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、β−ナフタリンスルホン酸ナトリウム(例えばデモールN)とβ−ナフトールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸塩(例えばバニレックスRN)、パラフィンスルホン酸ナトリウム(例えばエフコール214)、α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合物(例えばフローレンG−700)等が挙げられ、リグニンスルホン酸塩が好ましい。
【0059】
分散時の分散剤の使用量は、分散染料に対して、20〜200質量%が好ましい。分散剤が少ないと微粒子化や分散安定性が劣り、分散剤が多いと、粘度が高くなり好ましくない。これらの分散剤は単独で使用してもよいが併用しても良い。
【0060】
使用する分散染料の構造により、分散中に、発泡したり、ゲル化したり、流動性が悪くなることがあるので、微粒子化能力や分散安定性の他、分散時の発泡、分散液のゲル化、分散液の流動性等を考慮して選定する必要がある。分散時の発泡を改良するために消泡剤を添加してもよい。また、分散剤は、布帛への染色性、染着率、均染性、移染性、色の冴え、堅牢度等に及ぼす影響や、高温で発色させる際には分散剤や湿潤剤のタール化により染色が不均一になること等も考慮して選定されることが好ましい。
【0061】
上記の要求を全て満たす分散剤は無いので、分散する染料に合わせて、最適な分散剤を選定して、必要に応じて、消泡剤等を添加する必要がある。また、インク化時には分散剤を後添加しても良い。そのときの分散剤は分散時と同種が好ましいが、別種でもまた併用しても良い。
【0062】
インクジェット用分散インクはボールミル、サンドミル、ロールミル、スピードラインミル、ホモミキサー、サンドグラインダー、ラインミル、高圧ホモジナイザー等の従来公知の分散装置によって分散染料を高濃度で水性分散媒体に分散し、得られた分散液を1〜10倍程度に希釈しさらに各種添加剤を加えインク化し脱気処理した後濾過する事により製造する事ができる。
【0063】
分散染料の粒径としては平均粒径として300nm以下、最大粒径として900nm以下が好ましい。平均粒径、最大粒径が大きいと、微細なノズルより出射するインクジェット捺染方法において、目詰まりが発生しやすくなり、安定出射できなくなるためである。
【0064】
平均粒子径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機により求めることができる。具体的粒径測定装置としては、例えばマルバーン社製ゼーターサイザー1000等を挙げることができる。
【0065】
分散染料インクに用いられる布帛を構成する素材としては、分散染料で染色可能な繊維を含有するものであれば、特に制限はないが、中でも、ポリエステル、アセテート、トリアセテート等の繊維を主体とする布帛が好ましい。ポリエステル繊維を主体とする繊維を織物、編物、不織物等いずれの形態にしたものでもよい。布帛としてはポリエステル繊維が100%であることが好ましいが、レーヨン、絹、ポリウレタン、アクリル、ナイロン及び羊毛等との混紡織物又は混紡不織物等も使用することができる。又、前記のような布帛を構成する糸の太さとしては10〜100dの範囲が好ましい。
【0066】
本発明の捺染方法では、上記した分散染料で染色することが可能な繊維が含有されている布帛上に、先に述べた構成のインクを用いてインクジェット記録方法で画像を形成した後(インク付与工程)、インクが付与されている布帛を熱処理し(熱処理工程)、更に熱処理された布帛を洗浄すること(洗浄工程)によって布帛への捺染が完了し、捺染物が得られる。本発明の捺染方法において、分散染料を繊維に定着させるには、インクが付与されている布帛を熱処理する方法等により行う。さらに未定着の染料を布帛上から除去する方法に関しては、従来公知の洗浄方法を用いることができるが、特に還元洗浄を用いることが好ましい。
【0067】
布帛に印字を行うインクジェット捺染方法は、インク出射後印字された布帛を巻き取り、加熱により発色し、布帛を洗浄、乾燥させることが望ましい。インクジェット捺染において、インクを布帛に印字し、ただ放置しておくだけではうまく染着しない。また、長尺の布帛に長時間印字し続ける場合等は、布帛が延々と出てくるため床等に、印字した布帛が重なっていき場所をとり、不安全であり、予期せずよごれてしまう場合がある。そのために印字後、巻き取る操作が必要となる。この操作時に布帛と布帛の間に紙や布、ビニール等の印字に関わらない媒体を挟んでもかまわない。ただし途中で切断する場合や短い布帛に対しては必ずしも巻き取る必要はない。
【0068】
印字された布帛はすぐに加熱処理しても、しばらくおいてから加熱処理してもよく、用途に合わせて乾燥・発色処理すればよい。加熱処理方法としては、オーブン、ヒートロール、スチーム等、用途にあった方法を選択すればよい。
【0069】
加熱処理後は洗浄が必要である。本発明では、不要になった未反応の水溶性の重合可能な化合物や重合化合物を取り除くために水洗が必須である。また、染着に関与しなかった染料が残留することで、色の安定性が悪くなり堅牢度が低下するからである。また、布帛に施した前処理物を除去することも必要である。そのままにしておくと堅牢性の低下ばかりでなく布帛が染色する。そのため除去対象物や目的に応じた洗浄が必要である。
【0070】
洗浄後は乾燥が必要である。洗浄した布帛を絞ったり脱水した後、干したりあるいは乾燥機、ヒートロール、アイロン等を使用して乾燥させる。
【0071】
また、均一な染色物を得るために、布帛繊維に付着した天然不純物(油脂、ロウ、ペクチン質、天然色素等)、布帛製造過程で用いた薬剤の残留分(のり剤等)、よごれ等を洗浄しておくことが望ましい。洗浄に用いられる洗浄剤としては水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムといったアルカリ、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤といった界面活性剤、酵素等が用いられる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0073】
実施例1
《分散インクの作製》
[分散液1]
C.I.Disperse Blue 60 24.0質量%
ジエチレングリコール 30.0質量%
イオン交換水 30.6質量%
上記成分に加えて分散剤バニレックスRN(日本製紙社製)を混合して、高圧ホモジナイザーで分散圧力1000barで分散を10hrs/Lで行った。
【0074】
[インク1]
C.I.Disperse Blue 60 8.5質量%
グリセリン 10.5質量%
エチレングリコール 10.0質量%
トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル 15.5質量%
ジエチレングリコール 10.6質量%
エマルゲン911 0.05質量%
紫外線重合モノマー 5.0質量%
光開始剤 0.2質量%
イオン交換水 残部
紫外線重合モノマーにはNKエステルA−MO(新中村化学工業株式会社製)、光開始剤にはIRGACURE2959;(Cibaスペシャルティ・ケミカルズ社製)を用いた。
【0075】
上記分散液1を用いて上記インク1の組成になるように調製した。これを1ミクロンのメンブランフィルターで濾過してインクを作製した。このインク1を前処理をしていないポリエステル布帛に印字とほぼ同時に、平均転化率が65%になるよう紫外線を照射した。次いで、190℃のヒートロールにて発色し洗浄を行った。なお、転化率は赤外分光光度計(サーモ・ニコレー社製NEXUS470)を用いて測定した。
【0076】
実施例2
実施例1の紫外線照射時間を適宜調整して平均転化率を45%に変更した以外は、実施例1と同様の手順により、試料作成を行った。
【0077】
実施例3
実施例2の試料作製において、インク1の紫外線重合モノマーを紫外線重合オリゴマー NKオリゴEA−5824(新中村化学工業株式会社製)に変えたインク2を用いた以外は、同様の手順により、試料作製を行った。
【0078】
実施例4
[インク3]
C.I.Reactive Red24 10質量%
ジエチレングリコール 29質量%
EDTA 0.3質量%
紫外線重合オリゴマー 5.0質量%
光開始剤 0.2質量%
純水 残部
紫外線重合オリゴマー NKオリゴEA−5824(新中村化学工業株式会社製)、光開始剤にはIRGACURE2959;(Cibaスペシャルティ・ケミカルズ社製)を用いた。
【0079】
上記インク3を用いて、下記の方法に従って試料作製を行った。
【0080】
[布の前処理]
シルケット加工した綿布に、20g/Lのアルギン酸ナトリウム、30g/Lの炭酸ナトリウム及び100g/Lの尿素を含む液体をパッド塗布し(絞り率:70%)、乾燥させた。
【0081】
[プリント]
インク3を用い、インクジェットプリンターNassenger KS−1600(コニカミノルタテクノロジーセンター(株)製)による印字とほぼ同時に、平均転化率が45%となる条件で紫外線を照射した。
【0082】
[固着処理]
上記印字した布を、飽和蒸気中、103℃で12分間固着させ、冷水で5分、65℃で5分すすいだ後、ソーピング剤を用いて85℃で煮沸して洗い、再度65℃で5分すすぎ、さらに冷水で5分すすいだ後、乾燥させて試料作製した。
【0083】
比較例1
実施例1のインク組成から紫外線重合モノマーと光開始剤を除いた以外は実施例1と同様の手順により試料作成を行った。
【0084】
比較例2
実施例3のインク組成から紫外線重合オリゴマーと光開始剤を除いた以外は実施例3と同様の手順により試料作成を行った。
【0085】
比較例3
実施例1の水溶性紫外線重合モノマーをアクリル酸ヒドロキシエチルに変えた以外は実施例1と同様の手順により試料作成を行った。
【0086】
《評価方法》
[フェザリング]
各インクをインクジェットプリンター(ナッセンジャーKS−1600 コニカミノルタテクノロジーセンター(株)社製)に搭載し、上記方法と同様にて記録物を作製した。このとき、単ドットの液適量は70ngで、駆動周波数は6.7kHzである。
【0087】
作製した記録物を目視観察して、下記の基準に従ってフェザリングを評価した。
【0088】
◎:シャープでインクにじみが無い
○:多少ぼやけている
△:滲んでいる
×:文字の識別が出来ない程滲んでいる
[風合い]
印刷後の記録物を手で触って下記の基準に従って風合いを評価した。
【0089】
○:布本来のやわらかさである
△:少し硬い
×:ごわつく
[洗浄度]
べた印字後、発色・洗浄した布帛を1週間水に浸漬して抽出し、1平方メートル当たりの抽出質量を測定して、下記の評価基準に従って洗浄度を評価した。
【0090】
○:抽出質量が1g未満
×:抽出質量が1g以上
[皮膚刺激性]
上記調整した各インクをうさぎの皮膚に付着させた状態で1日放置した後、その部分を目視観察して、下記の基準に従って皮膚刺激性を評価した。
【0091】
○:皮膚に付着してもほとんど変化しない
△:皮膚に付着すると発赤する
×:皮膚に付着すると水泡ができる
評価結果を表1に表す。
【0092】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛上に、少なくとも色材及び外部エネルギー線の照射により重合可能な水溶性化合物を含む捺染用インクジェットインクを印字した後、前記重合可能な水溶性化合物に対して前記外部エネルギー線を照射して重合化合物を生成し、次いで発色処理及び水洗浄処理を施して画像記録することを特徴とする捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【請求項2】
前記水洗浄処理で、未反応の重合可能な水溶性化合物及び前記重合化合物を前記布帛より除去することを特徴とする請求項1記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【請求項3】
前記重合可能な水溶性化合物の平均転化率が10〜70%となる条件で、前記外部エネルギー線を前記捺染用インクジェットインクに照射することを特徴とする請求項1または2に記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【請求項4】
前記外部エネルギー線が紫外線であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【請求項5】
前記重合可能な水溶性化合物が、水溶性オリゴマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【請求項6】
前記色材が分散染料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法。
【請求項7】
布帛上への画像形成に用いられる捺染用インクジェットインクであって、少なくとも色材及び外部エネルギー線の照射により重合可能な水溶性化合物とを含有し、前記重合可能な水溶性化合物に前記外部エネルギー線を照射して重合化合物を生成し、次いで発色処理及び水洗浄処理により画像を形成するのに用いられることを特徴とする捺染用インクジェットインク。
【請求項8】
前記水洗浄処理で、未反応の重合可能な水溶性化合物及び前記重合化合物を前記布帛より除去されることを特徴とする請求項7記載の捺染用インクジェットインク。
【請求項9】
前記重合可能な水溶性化合物の平均転化率が10〜70%となる条件で、前記外部エネルギー線を照射することを特徴とする請求項7または8に記載の捺染用インクジェットインク。
【請求項10】
前記外部エネルギー線が紫外線であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインク。
【請求項11】
前記重合可能な水溶性化合物が、水溶性オリゴマーであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインク。
【請求項12】
前記色材が分散染料であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインク。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインクを用いた記録方法により作成されたことを特徴とする記録物。
【請求項14】
請求項7〜12のいずれか1項に記載の捺染用インクジェットインクを用いて、インクジェット記録方式で布帛上に画像記録して作成されたことを特徴とする記録物。

【公開番号】特開2006−144180(P2006−144180A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337243(P2004−337243)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】