説明

排出物制御の後処理系におけるナノアロイ

【課題】 新しいタイプのナノアロイ組成物の出現が要望されている。
【解決手段】 一般式(A(B(C(D(E(...)により表される合金(式中、Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;EはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;nはゼロよりも大きいか、もしくは等しく;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく;そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)を含んでなる組成物が本発明により提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、各組成物が2種以上の異なる金属の合金を含むことができる、新しいタイプのナノアロイ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジン、大気炉、ボイラー、焼却炉および他の類似の装置中の固定バーナーでの化石燃料の燃焼は、環境汚染物質のうちでCO、炭化水素(HC)、NOおよび粒子状物質(PM)を含有する排気ガスを必ず生じる。排ガスからこれらの汚染物質を除去するために、過去には触媒コンバーターが使用されてきた。触媒コンバーターは、固体担体上にウオッシュコートの基本組成物を有する。在来、ウオッシュコートは、CO、HC、およびPMなどの汚染物質をCOおよびHOに酸化し、NOをNに還元する接触反応のために活性金属種を含有するように配合されてきた。
【0003】
ウオッシュコート中で活性金属種の非理想的な分散によって、これらの在来の配合物の性能は限定される。1種以上の金属種が同一の反応において協力するような場合には、関連する金属は、ウオッシュコートの同一の近傍に位置して、反応に即時的もしくは理想的に参加することはない。更には、ウオッシュコート中の分散された活性金属種の高温焼結は、活性金属種の集塊と活性部位数の低下を生じる。
【0004】
三元触媒(TWC)は、主として、化学量論で運転される、ガソリン燃焼型内燃エンジンで使用され、リーンおよびリッチの間を往復する量論で振動する燃料/空気比の制御を有する。リーンの場合には、TWCは酸化的(HC、COおよびPMの酸化)であり、リッチの場合には還元的(NOからNに)である。在来のTWCにおいては、いくつかの構成成分がAlなどのアルミナウオッシュコート中に分散されている。これらの構成成分は、CeOなどの酸素貯蔵化合物;PtまたはPt/Pdなどの酸化触媒;およびRhなどの還元触媒を含む。時には、この分散物は、焼結防により触媒の耐熱性を増加させることができる、Zrおよび/または希土類金属などの焼結防止剤を含む。この時点で分散物中の構成成分は合金を形成しない。しかしながら、このような在来のTWCは、金属が相互に近接していないこと、金属が高温焼結および集塊すること、および活性部位数が低下することなどの前述の問題を呈する可能性がある。
【0005】
更には、リーンNOトラップ(LNT)、リーンNO触媒(LNC)、酸化触媒(OC)および選択触媒的還元触媒(SCRC)などの他の排出ガス規制触媒系は、TWCに類似の形で機能し、したがって類似の問題を呈する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の問題の少なくとも1つに対応する、排出ガス規制触媒系で使用可能な合金が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示にしたがえば、一般式(A(B(C(D(E(...)(式中、各大文字および(...)は金属であり;Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;各nは独立にゼロよりも大きいか、もしくは等しく;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく;そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)により表される合金が開示される。
【0008】
一つの局面においては、(i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と(ii)一般式(A(B(C(D(E(...)(式中、各大文字および(...)は金属であり;Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;nはゼロよりも大きいか、もしくは等しいか;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)により表される少なくとも1つの合金を含んでなるウオッシュコート組成物も開示される。
【0009】
更には、(i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と(ii)一般式(A(B(C(D(E(...)(式中、各大文字および(...)は金属であり;Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;nはゼロよりも大きいか、もしくは等しいか;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)により表される少なくとも1つの合金を含むウオッシュコート組成物を堆積した担体を含んでなる触媒担体が開示される。
【0010】
加えて、(i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と(ii)合金が一般式(A(B(C(D(E(...)(式中、各大文字および(...)は金属であり;Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;nはゼロよりも大きいか、もしくは等しいか;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)により表される少なくとも1つの合金を溶剤媒体中で混合して、ゾルを形成することを含んでなる、ウオッシュコート組成物を製造する方法が開示される。
【0011】
(i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と(ii)合金が一般式(A(B(C(D(E(...)(式中、各大文字および(...)は金属であり;Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;nはゼロよりも大きいか、もしくは等しいか;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)により表される少なくとも1つの合金を溶剤媒体中で混合して、ゾルを形成し;ゾルをエージングしてゲルとし;ゲルを高圧の二酸化炭素により処理し;二酸化炭素を超臨界条件下で放出して、ウオッシュコート組成物を形成し;そして担体にウオッシュコートを塗布して、触媒担体を製造することを含んでなる触媒担体を製造する方法も開示される。
【0012】
この開示の更なる目的および利点は、以下の説明において一部示されるものであり、この開示の実施により学習可能である。この開示の目的および利点は、添付のクレームにおいて特に指摘される要素および組み合わせにより実現され、達成されるであろう。
【0013】
前出の一般的な説明および以下の詳細な説明は、両方とも単に例示的および説明的のものであり、クレームに述べられているこの開示を制約するものでないということが理解されるべきである。
【0014】
この明細書に組み込まれ、この一部を構成する添付の図面は、この開示の一つの(いく
つかの)態様を例示し、この開示の原理を説明する役割をする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
一つの態様においては、本開示は2種以上の金属の合金に関する。この明細書で述べられているように、この合金は、X線回折(XRD)において個別の構成成分金属のそれと異なるスペクトルを示すために、構成成分金属のいずれとも化学的に異なる。言い換えれば、これは異なる金属の混合物でなく、使用されている構成成分金属の合金である。
【0016】
主要な排出ガス規制触媒で開示されているナノアロイなどの合金が使用可能である。このような系の非限定的な例は、三元触媒(TWC)、リーンNOトラップ(LNT)、リーンNO触媒(LNC)、酸化触媒(OC)および選択触媒還元触媒(SCRC)を含む。
【0017】
金属の活性の主な決定要素は、主として、タイプ、形状、サイズ、電子配置と、基質種を化学的および物理的に変質させる条件で意図された基質種の軌道との相互作用に金属が利用可能な最低非占有分子軌道(LUMO)および最高占有分子軌道(HOMO)のエネルギーレベルである。これらのLUMO/HOMO電子配置はすべての金属に一意であり、したがって固有の物理/化学の一意性が例えばMnとPt、またはMnとAlなどの間で観察される。
【0018】
開示されている合金は、異なる構成成分の金属原子を化合物中で合体することの結果である。これは、合金のLUMO/HOMO軌道がそれぞれの異なる金属原子に特性的な軌道の混成であるということを意味する。それゆえ、ウオッシュコートで使用する合金によって、合金粒子中のすべての構成成分の金属は同一の部位で終わり、一つであるが変性されている形、すなわち合金の形で作用するということが確保される。この目的のための合金の利点は、異なるそれぞれの合金の複合した金属のLUMO/HOMO軌道を混合することにより、粒子のLUMO/HOMO電子配置および軌道配置に付与される独特な変成によるものであろう。合金複合物においては活性部位の数および形状は、非合金の混合物の活性部位の数および形状と比較して著しく変わることも予期される。それぞれの金属の粒子を適当な機能的な比で単純に混合することによっては、合金中のLUMO/HOMO軌道レベルでのこの一意的な軌道混合および電子的混合は可能ではない。この開示は、多機能性の用途の組成物中に存在する合金に関する。
【0019】
一般式(A(B(C(D(E(...)(式中、各大文字および(...)は金属であり;Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;各nは独立にゼロよりも大きいか、もしくは等しいか;そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)により表される合金を含む組成物がこの明細書中で開示される。このように、nの和は2よりも大きいか、もしくは等しい。一つの局面においては、(...)は、A、B、CおよびDにより規定されるもの以外の少なくとも1種の金属およびそれぞれの組成的化学量論の存在を含むと理解される。
【0020】
上記で開示されている式中の各大文字は金属であることができる。この金属は、遷移金属、ランタニド、アクチニド、アルカリ土類金属およびアルカリ金属からなる群から選択可能である。一つの局面においては、各大文字は、同一もしくは異なる金属であることができる。
【0021】
この金属の源は、限定ではないが、これらの水溶性塩、カルボニル、酸化物、有機金属およびゼロ価の金属粉末を含むことができる。この水溶性塩は、例えば水酸化物、硝酸塩、酢酸塩、アセトネート、アンモニウム塩、ハロゲン化物、リン酸塩、ホスホン酸塩、亜
リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩および炭酸塩を含むことができる。
【0022】
上記に開示したように、Aは酸素貯蔵剤であることができる。一つの局面においては、AはAu、Al、Si、Zr、Ceおよびこれらの酸化物からなる群から選択される金属であるか、もしくは含んでなる。
【0023】
上記に開示したように、Bは焼結防止剤であることができる。一つの局面においては、Bは、Zr、La、Y、Yb、Pr、Sc、Lu、Lrおよびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される金属であるか、もしくは含んでなる。
【0024】
上記に開示したように、Cは酸化触媒であることができる。一つの局面においては、Cは、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Ir、Mn、Fe、Co、Cu、Mo、W、La、Ce、Ca、Sr、Baおよびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される金属である。
【0025】
上記に開示したように、Dは還元触媒であることができる。一つの局面においては、Dは、Rh、Re、Ruおよびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される金属である。
【0026】
上記に開示したように、EはNO吸収剤であることができる。一つの局面においては、Eは、Ba、Sr、Ca、Mg、Cs、Rb、K、Na、Li、Mn、Cu、Zn、Crおよびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される金属であるか、もしくはこれらを含んでなる。
【0027】
開示されている式の下付き文字は組成の化学量論を表す。例えば、この明細書中で開示されているFe0.68Al0.25Ce0.07などのA合金に対しては、a=0.68、b=0.25およびc=0.07である。
【0028】
この明細書中の多数の個所で、この明細書中で開示されている合金を指すのに、A、A/B、AA’A”、A/Bと、これらの変形物および組み合わせ物を含めて多数の略称が記述の容易さによって使用されてきた。しかしながら、この明細書で述べられる合金は、一般式(A(B(C(D(E(...)(式中、各大文字および(...)は金属であり;Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;nはゼロよりも大きいか、もしくは等しいか;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく;そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)により表されるということが理解される。
【0029】
一つの局面においては、開示されている合金はナノアロイであることができる。このナノアロイは、約1から約100ナノメーターの、例えば、約5から約75ナノメーターの、そして更なる例としては約10から約35ナノメーターの平均粒子サイズを有することができる。
【0030】
この合金は単機能性であって、例えば酸素貯蔵(グループA金属)、焼結防止剤(グループB金属)、酸化触媒(グループC金属)、還元触媒(グループD金属)またはNO吸収剤(グループE金属)の機能のいずれか一つを行うことができる。用語「グループ」は上記に定義した通りであり、周期律表の族と混同されるべきでない。
【0031】
この合金は二機能性であって、上記に示した機能のいずれか2つを行うことができる。一つの局面においては、この合金は三機能性(すなわち、上記に示した機能のいずれか3
つを行うことができる);四機能性(すなわち、上記に示した機能のいずれか4つを行うことができる);あるいは多機能性(すなわち、いずれかの数の上記に示した機能ならびに示していないものを行うことができる)であることができる。
【0032】
一つの局面においては、開示されている合金は、多機能性、すなわち上記に示したものなどの少なくとも2つの機能を行うことができる、金属を含んでなることができる。例えば、下記に開示するように、白金は、酸化触媒(グループC金属)および還元触媒(グループD金属)として機能することができる。更なる例として、Ru−Pt合金は、ルテニウムと白金の両方が還元触媒および酸化触媒として機能することができることによって多機能性である、二金属型合金である。
【0033】
一つの局面においては、この合金はナノアロイであることができ、ならびに二金属型(すなわち、同一もしくは異なる官能基からの2つの異なる金属の任意の組み合わせ、例えばAまたはAA’a’);三金属型(すなわち、同一もしくは異なる官能基からの3つの異なる金属の任意の組み合わせ、例えばAまたはAA’a’A”a”またはAA’a’);四金属型(すなわち、同一もしくは異なる官能基からの4つの異なる金属の任意の組み合わせ、例えばAまたはAA’a’A”a”A”’またはAB’b’);もしくは多金属型(すなわち、同一もしくは異なる官能基からの2つ以上の金属の任意の組み合わせ、例えば(A...などまたはAB’b’D’d’)であることができる。この合金は、少なくとも2種の異なる金属を含まなければならないが、2種以上では各合金中の金属の数は、各特定の燃焼系および/または排ガス後処理系の要求により決定される。
【0034】
一つの局面においては、この組成物は、二金属型、三金属型、四金属型および多金属型からなる群から選択され、単機能性、二機能性、三機能性、四機能性および多機能性からなる群から選択される合金を含んでなることができる。
【0035】
単機能性ナノアロイ組成物は、グループCに対して次の非限定的な例で示すように、任意のグループA−E内の金属の任意の組み合わせ物から作製可能である。
【0036】
二金属型(CC’c’):Pt/Pd、Pt/Ru、Pt/Rh、Pt/Os、Pt/Ce、Pt/Ba、Pd/Ru、Pd/Rh、Pd/Os、Pd/Ce、Pd/Ba、Mn/Fe、Mn/Co、Mn/Cu、Mn/Ca、Mn/Rh、Mn/Pd、Mn/Pt、Mn/Ru、Mn/Ce、Fe/Co、Fe/Cu、Fe/Ca、Fe/Rh、Fe/Pd、Fe/Rh、Fe/Pd、Fe/Pt、Fe/Ru、Fe/Ce、Cu/Co、Cu/Ca、Cu/Rh、Cu/Pd、Cu/Pt、Cu/Ce、Ru/Ptなど;
三金属型(AA’A”):Pt/Pd/Ce、Pt/Pd/Rh、Pt/Pd/Ru、Pt/Rh/Ce、Pt/Rh/Ru、Mn/Fe/Co、Mn/Fe/Cu、Mn/Fe/Caなど;および
多金属型(AA’a’A”a”A”’a”’...など):Pt/Rh/Ba/Ru/...など、Mn/Ca/Rh/Pt/...など。
【0037】
類似の単機能性二金属型および多金属型ナノアロイ組成物は、高温焼結(B)、酸化(A)、還元(D)およびNO吸収(E)に特異的に対応するようにグループA、B、DおよびEに対して集積可能である。
【0038】
多機能性合金組成物は、次の非限定的な例に示すように、官能基A、B、CおよびDの間の2種以上の異なる金属原子の間で形成可能である。
【0039】
二機能性(例えば、A/B、A/C、A/D、B/C、B/D
よびC/D):Al/Pt、Pt/Rh、Ba/Ru、Ru/Pt、など;
三機能性(例えば、A/B/C、A/C/DまたはB/C/D):Au/Zr/Mn、Al/Mn/Rh、Zr/Pt/Ruなど;および
四機能性(A/B/C/D):Ce/Zr/Pt/Ru、Al/La/Pd/Rhなど。
【0040】
などの組み合わせ物からのナノアロイも排出物に直接に影響を及ぼすことができる。触媒ウオッシュコート中の活性金属種の均一な分散および増加した活性部位数は、改善された触媒機能を生じ、このようにして環境の汚染物質の毒性の低減をもたらすことができる。
【0041】
例えばA/C、A/D、A/E、B/C、B/D、C/D、B/E、C/EおよびD/Eに対して、それぞれ類似の組み合わせ物を作製して、酸素吸収/酸化(A/C)、酸素吸収/還元(A/D)、酸素吸収/NO吸収(A)、高温焼結/酸化(B/C)、高温焼結/NO吸収(B/D)、酸化/還元(CdD)、高温焼結/NO吸収(B/E)、酸化/NO吸収(C/E)および還元/NO吸収(D/E)に対応することができる。
【0042】
開示されている合金のバルク作製のための最も実用的な方法は、アルコール、一級もしくは二級アミン、アルカノールアミン、尿素、水素、NaおよびLiボロハイドライドなどの任意の好適な還元剤と、適切な洗浄剤/分散剤またはポリマーコーターを用いて、それぞれの選択された配合物の水溶性塩混合物を還元することである。反応条件は、化学量論、温度、圧力、pHおよび分散剤の間の慎重で、容易に判別可能なバランスを必要とする。超音波、マイクロウエーブ、プラズマおよび光学的に改変された電磁波(すなわち、UV、IR、レーザーなど)など、反応混合物を活性化する他の方法も開示されているナノアロイの作製において使用可能である。この分散剤は、還元剤(すなわち、アミン基が反応性ナノクラスターに配位し、反応媒体中での分散によりサイズを制御する一方で、アルコール官能基が還元を行うアルカノールアミン)であることもできる。この分散剤は、極性の頭部と非極性の尾部を持ついかなるキレート化分子であることもできる。
【0043】
反応条件の操作は反応速度を決定し、反応速度はナノアロイの物理的組成物も決定する。例えば、速い反応速度は、低密度および多孔質のナノアロイを生じ、遅い反応速度は高密度および低多孔質生成物を生じる。多孔質ナノアロイは、大気燃焼系において大きな有用性を見出し、高密度ナノアロイは、加圧燃焼系に更に好適である。このような多孔質ナノアロイは、Optical Materials,Tsui,Y.Y.;Sun,Y.W.,Vol.29,Issue 8,pp.1111−1114(April 2007)で述べられている。
【0044】
このように、エネルギー入力速度を増加することおよび/または反応系上の圧力を減少することにより、還元剤と反応性基材ナノアロイ前駆体の間の反応速度を加速することを含んでなる、低下した密度および/または増加した多孔性のナノアロイを製造する方法がこの明細書中で提供される。同時に、エネルギー入力速度を減少することおよび/または反応系上の圧力を増加することにより、還元剤と反応性基材ナノアロイ前駆体の間の反応速度を減速することを含んでなる、増加した密度および/または減少した多孔性のナノアロイを製造する方法がこの明細書中で提供される。多孔質ナノアロイを形成するための更に専門家向きの方法は、ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)により開発された方法などのゾル・ゲル法である。
【0045】
開示されているナノアロイのバルク作製に好適であることができるもう一つの例示の方法は、液体の金属前駆体が必要でないメカノケミカル法である。それぞれの金属構成成分
の粉末が混合され、合金を形成するのに充分な温度および圧力下で一緒に物理的に磨砕される。この方法により製造されるナノアロイは、高密度、したがって低多孔性のものであることができる。この低下した表面積は、気相燃焼、燃焼排出物除去(すなわち、ユーティリティボイラーおよび焼却炉の煙道ガスのSOおよびNO)および堆積物変成(炉中のスラグ)に悪影響を及ぼす。このような高密度ナノアロイはセラミックにおいて大きな有用性を見出す。
【0046】
この明細書中の合金は、限定ではないが、結晶(粉末)または液体(水溶液、炭化水素溶液、ゾルまたはエマルション)を含む、いかなる形も可能である組成物に配合可能である。この液体は、好適な溶剤と乳化剤/界面活性剤の組み合わせ物を用いて、水/炭化水素エマルションに転換可能な性質を有することができる。この液体は、触媒として活性化されたウオッシュコート粉末の形成のために高多孔質表面積の粉末にも転換可能である。
【0047】
一つの局面においては、(i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と(ii)一般式(A(B(C(D(E(...)(式中、各大文字および(...)は金属であり;Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;nはゼロよりも大きいか、もしくは等しいか;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)により表される;少なくとも1つの合金を含んでなるウオッシュコート組成物が開示される。一つの態様においては、この合金の平均粒子サイズは、約1から100ナノメーター、例えば約5から約75ナノメーターの範囲にある。
【0048】
このウオッシュコート組成物は、少なくとも1つの合金、例えば2種の合金、または3種の合金を含むことができるということが想像される。ウオッシュコート組成物が2種以上の合金を含む一つの態様においては、2種以上の合金は同一もしくは異なることができる。開示されているウオッシュコートで使用するための合金の非限定的な例は、一般式(A(B(C、(B(D、(B(C(E、(A(E、(A(B(Eおよび(A(B(D(ここで、変数は上記で定義した通りである)により表されるものを含む。
【0049】
開示されているウオッシュコート組成物は、当分野の通常の技術者に既知のいかなる好適な方法によっても作製可能である。一つの局面においては、このウオッシュコート組成物は、例えば、(i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と(ii)一般式(A(B(C(D(E(...)(式中、各大文字および(...)は金属であり;Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;nはゼロよりも大きいか、もしくは等しく;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)により表される少なくとも1つの合金を溶剤媒体中で混合して、ゾルを形成することにより製造可能である。一つの局面においては、(i)少なくとも1種の金属と(ii)少なくとも1つの合金は、ゾル中で均質に分散される。
【0050】
ウオッシュコート組成物を作製するための開示されている方法は、ゾルをゲルにエージングすること;ゲルを二酸化炭素などの高圧ガスにより処理すること;および高圧ガスを超臨界条件下で放出することを更に含んでなることができる。当分野の通常の技術者ならば、二酸化炭素についての超臨界条件がどのようなものか、例えば少なくとも約31.1℃以上の温度および少なくとも約73気圧以上の圧力であるということを知っているであ
ろう。
【0051】
次に、触媒コンバーターなどの触媒担体を形成するように、開示されているウオッシュコート組成物を担体に塗布することができる。一つの局面においては、この触媒担体は、i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と(ii)一般式(A(B(C(D(E(...)(式中、各大文字および(...)は金属であり;Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;各nは独立にゼロよりも大きいか、もしくは等しく;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)により表される少なくとも1つの合金を含むウオッシュコート組成物を堆積した担体を含んでなることができる。この担体は、例えばアルミノシリケート、ボロンナイトライド、シリコンカーバイド、ゼオライトまたは他のセラミックモノリスと、ステンレススチールモノリスから選択可能である。一つの態様においては、この担体は、例えばAdvanced Ceramics Support,published June 1,2007で述べられているような多孔質アルミノシリケート、高シリカ含量のゼオライトの形のものであることができる。
【0052】
もう一つの局面においては、ウオッシュコート組成物に開示されている合金を加えることを含んでなる、ウオッシュコート組成物中の活性金属種の分散を改善する方法が開示される。更には、ウオッシュコート組成物に開示されている合金を加えることを含んでなる、ウオッシュコート組成物中の活性金属種の集塊を低減する方法も開示される。更には、ウオッシュコート組成物に開示されている合金を加えることを含んでなる、ウオッシュコート組成物中の活性金属種の活性部位を増加する方法が開示される。
【0053】
触媒コンバーターなどの触媒担体は、限定ではないが、気体、液体および固体燃料、および再生可能な燃料と、これらの混合物を燃焼する、すべての燃焼系を含む、種々の排ガス後処理系において使用可能である。非限定的な例は、化学量論チャージフィード燃焼系、リーンNOトラップ(LNT)用などの三元触媒(TWC)、リーンNO触媒(LNC)、リーンバーン可変圧力エンジン(すなわち、ジーゼルエンジン、リーンバーンスパーク点火エンジン、など)用などの選択的触媒還元触媒(SCR)、酸化触媒(OC)、ジーゼル酸化触媒(DOC)、ボイラー、焼却炉、炉およびリーンバーン大気バーナー(すなわち、ユーティリティ炉、工業用炉、ボイラーおよび焼却炉)の工業用バーナーを含む。この明細書中で使用される場合、用語「後処理系」は、気体、液体および固体の化石燃料、再生可能な燃料およびこれらの混合物の燃焼から生じる排ガスの流れまたは排出物に対して作用する、いかなる系、器具、方法またはこれらの組み合わせも意味するように使用される。
【0054】
開示されている合金は、ユーティリティおよび工業用のバーナー、ボイラー、炉および焼却炉において使用される大気燃焼系などの他の系においても使用可能である。これらの系は、天然ガスから液体燃料(#5燃料油、更に重質油)まで、ならびに固体燃料(石炭、木材チップ、可燃固体廃棄物など)まで燃焼させることができる。
【0055】
一つの局面においては、開示されている合金を燃料または副生成物と接触させることを含んでなる、燃料の燃焼における使用または上記の燃焼から生じる燃焼副生成物の処理が開示される。更には、開示されている合金を含む開示されているウオッシュコートを含んでなる触媒担体を排ガス後処理系に含んでなる、CO、HC、NOおよびPMの少なくとも1つの量を低減する合金の使用が開示される。開示されている合金を含む開示されているウオッシュコートを含んでなる触媒担体を排ガス後処理系に含んでなる、酸素貯蔵、焼結防止、酸化、還元および吸収の少なくとも1つを増加させる合金の使用が更に開示さ
れる。
【0056】
この明細書またはこのクレーム中のどこであれ化学名により呼称される反応物質と構成成分は、単数あるいは複数で呼称されようとも、化学名または化学型(例えば、ベース燃料、溶剤など)により呼称される別の物質との接触前に存在した通りに識別されることが理解されるべきである。このような変化、変換および/または反応は、この特定された反応物および/または構成成分をこの開示にしたがって要求される条件下で合体することの自然の結果であるので、生成する混合物または溶液または反応媒体中でどのような化学変化、変換および/または反応が起こっても問題としない。このように、この反応物および構成成分は、所望の化学反応(有機金属化合物の形成など)を行うことにおいて、もしくは所望の組成物(ウオッシュコート組成物などの)の形成において合体される成分として識別される。したがって、クレームは、この中で以降、物質、構成成分および/または成分を現在形(「含んでなる」、「である」、など)で呼称することもあるが、この物質、構成成分または成分は、1つ以上の他の物質、構成成分および/または成分とこの開示にしたがって最初にブレンドもしくは混合した直前に存在した通りに参照される。この物質、構成成分または成分がこのようなブレンドまたは混合の操作時、あるいはその直後に化学的な反応あるいは変換により元来の同一性を喪失したかもしれないという事実は、この開示およびこのクレームの正確な理解と評価のためには全く重要でない。
【0057】
開示されている合金によって、ウオッシュコート組成物中にも均質に分散可能であるナノ単位などの機能的単位中の位置が緊密であるために、触媒担体中の活性構成成分が協働的に機能することができるということが考えられる。ウオッシュコートの表面および多孔性は、当分野の通常の技術者には既知のナノ技術の作製方法を使用することにより調整可能である。更には、機能的単位の分散は、合金を作製する前に所望の合金への前駆体中に焼結防止剤を含めることにより、維持可能である。
【0058】
更には、リーンバーン条件での活性なNO還元触媒、すなわちルテニウムが揮発性化合物を形成し、触媒ウオッシュコートから離散するLNCに対しては、RuをLNC組成物の他の構成成分に合金化によって、Ruを異なる揮発特性を持つ合金に変換することができる。
【0059】
次の実施例は本開示の局面を更に例示するが、本開示を限定するものでない。
【実施例】
【0060】
実施例1:ナノアロイ
既知の手法を用いていくつかのナノアロイを作製した。すべての薬品をAldrichから購入(塩化白金(IV)、ロジウム(III)アセチルアセトナート、塩化ルテニウム(III)、オレイルアミン70%・テクニカルグレード(OAm)およびオレイン酸90%・テクニカルグレード(OAc))し、いかなる更なる精製も加えずに使用した。慣用のマイクロウエーブ装置(800W)をすべてのナノアロイ合成で使用した。
【0061】
通常の反応においては、しかるべきモル比のOAmとOAcの混合物を油浴中110℃で攪拌しながら加熱した。等モル量のPtC14とRh(acac)3またはRuClを上記の混合物に攪拌しながら急いで添加して、透明な溶液を得た。得られる溶液を800Wの100%にパワーを設定した慣用のマイクロウエーブ装置に入れ、80秒のサイクル(オンを60秒、オフを20秒)で、5から10分まで可変のマイクロウエーブ処理時間で運転した。所望の時間マイクロウエーブ処理した後、得られる溶液をエタノールまたはアセトン中で凝集させ、遠心分離し、そしてエタノールとエタノール・トルエン混合物により数回洗浄した。得られる固体をトルエン、ジクロロメタンおよびクロロホルムなどの疎水性溶剤中で再分散させた。
【0062】
図1に図示するようにRh50Pt50の作製のためには、15m10Am+5m10Ac+(0.2gRh(acac)+0.1683gPtCl)。
【0063】
図2に図示するようにRu50Pt50の作製のためには、15m10Am+5m10Ac+(0.1036gRuCl+0.1683gPtCl)。
【0064】
Pt、RhおよびRuの作製のためには、10m10Am+5m10Ac+(0.1036gRuClまたは0.1683gPtClまたは0.2gRh(acac))。
【0065】
所望の金属を合体し、適当なナノアロイの化学(例えば、この明細書中で述べたもの)を用いて、金属をナノアロイに転換することにより、本開示のナノアロイを作製した。このナノアロイは次の組成を有していた。
【0066】
図3に図示したようなRu50Pd50
Ce66Al26
Ce67AlFe21
Fe0.68Al0.25Ce0.07
FeCe
FeCeNa
MnCe
CeCuNa
CeCuAl
FeCuNa13
【0067】
当分野の熟練者ならば本発明のナノアロイの製造に使用することができる所望の組み合わせの他の例は、酸化触媒(Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Ir、Mn、Fe、Co、Cu、Mo、W、La、Ce、Ca、SrおよびBaなどの)および焼結防止剤(Zr、La、Y、Yb、Pr、Sc、LuおよびLrなどの)と、酸化セリウム(CeO)を含む。所望の組み合わせのもう一つの例は、還元触媒(Rh、ReおよびRuなど)と焼結防止剤であることができる。更なる例は、NO吸収剤(Ba、Sr、Ca、Mg、Cs、Rb、K、Na、Li、Mn、Cu、ZnおよびCrなどの)と焼結防止剤および酸化促進剤の組み合わせ物であることができる。
【0068】
作製されたナノアロイをXRD、TEMおよびSEM−EDSにより確認した。これらのナノアロイの平均粒子サイズは、約5から約25ナノメーターの範囲であり、約100nmの上限を有するナノサイズ範囲に楽に収まった。TEM、SEM−EDSおよびXRDによって、これらが均質なナノアロイまたはすべての金属構成成分がXRD単位格子で表される接触ナノアロイのいずれかであることを確認した。混合物または「ドーピングされた」混合金属組成物ではこのようにはならない。
【0069】
実施例2:ナノアロイ三元触媒(TWC)
当分野の熟練者ならば、水性前駆体をAlまたはSiOまたはThOまたはTiOまたはこれらの混合物に既知の溶液方法により混合することにより、ウオッシュコートゾルを製造することができる。次に、当分野の熟練者ならば、上記に規定した(A(B(C(D(E(...)のナノアロイを所望の化学量論で別々に作製することができるであろう。この場合には、強調されるのは、A、B、CおよびDに対してであり、Eはゼロである。次に、作製されるナノアロイをウオッシュコートゾルの中に分散することができるであろう。得られるナノアロイゾルをエージングして対応するゲルとし、高圧下でCOにより処理することができる。次に、このゲルを超臨界条件とし、超臨界条件を維持しながら、COを徐々に放出させることができる。
次に、最終の活性金属を装填したウオッシュコートを担体に塗布して、TWCなどの排気ガス制御系で使用される触媒コンバーターを形成することができる。
【0070】
実施例3:ナノアロイリーンNOトラップ(LNT)およびリーンNO触媒(LNC)
当分野の熟練者ならば、慣用の手段を用いて、ウオッシュコート、酸素貯蔵剤(A)およびNO吸収剤(E)のスラリーを作製することができるであろう。B/C/EおよびB/Dの別々の合金を前に開示されたスラリーと混和性の溶剤媒体中で作製することができる。次に、3つの配合物をすべて混合して、均質な分散物を形成することができ、これを担体の上に装填することができる。
【0071】
もう一つの態様においては、ゾル形の少なくとも1つのウオッシュコート金属前駆体をNO吸収剤(E)、焼結防止剤(B)および酸化触媒(C)の少なくとも1つと合体し、これをゾルと混和性の媒体に溶解し、その後に合金に作製することができる。A/B/Dなどの第2のナノアロイも作製することができる。この2種のナノアロイ組成物は、単一のゾル溶液を形成する混合ウオッシュコートゾルであることができる。次に、ナノアロイを装填したゾルをエージングして、ゲル形とし、これを最終的に高多孔性の高表面積粉末に変換することができる。次に、この触媒的に活性化されたウオッシュコート粉末を例えばアルミノシリケート、ボロンナイトライド、シリコンカーバイド、ゼオライトまたは他のセラミックモノリスまたは金属ベースの担体系またはビーズの形であり得る担体の上に装填することができる。一つの態様においては、ウオッシュコート担体は、多孔質の高シリカ含量のアルミノシリケートゼオライトの形であることができる。
【0072】
この明細書の多数の個所で多数の米国特許、公開された外国特許出願および刊行された技術論文を参照した。このような引用された文書はすべてこの明細書中で完全に述べられるようにこの開示の中に完全に組み込まれている。
【0073】
この明細書および添付のクレームの目的には、特記しない限り、明細書およびクレームで使用される量、パーセントまたは比率および他の数値を表すすべての数は、すべての場合において用語「約」により改変されると理解されるべきである。したがって、そうでないと明示しない限り、この明細書および添付のクレームで示される数値パラメーターは、本発明により得ようとする所望の性質に依存して変わってもよい近似である。最低限でも、そして均等論の適用を請求の範囲に限定する試みとしてでなく、各数値パラメーターは、示されている有意の桁数を考慮して、そして通常の丸め手法を適用することにより少なくとも解釈されるべきである。
【0074】
この明細書および添付のクレームで使用される場合には、単数形は、一つの指示対象に明確に限定されない限り、複数の指示対象を含むということが特記される。このように、例えば「酸化防止剤」の指示は2種以上の異なる酸化防止剤を含む。この明細書中で使用される場合、用語「含む」およびこの文法的な変形物は、非限定的であるように意図され、リスト中の項目を掲げることが掲げられた項目と置換または付加可能な他の同様な項目を排除することにならない。
【0075】
本発明は実際にはかなりの変形を受ける。それゆえ、前出の説明は、発明を上記に提示した特定の例示に限定することを意図したものでなく、そして限定的であると考えられるべきでない。むしろ、網羅されると意図されていることは、クレームおよび法律の事項として許容されるこれらの均等物中に示される通りである。
【0076】
特許権者はいかなる開示された態様も公に捧げるように意図せず、そしていかなる開示された変型または変更もこのクレームの範囲内に文字通り入らない範囲で、これらは均等
論の下で本発明の一部であると考えられる。
【0077】
本発明の特徴および態様は次の通りである。
1.一般式(A(B(C(D(E(...)
(式中、各大文字および(...)は金属であり;
Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;
各下付き文字は組成の化学量論を表し;
nはゼロよりも大きいか、もしくは等しく;
nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく;そして
合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)
により表される合金。
2.合金が遷移金属、ランタニド、アクチニド、アルカリ土類金属、およびアルカリ金属からなる群から選択される、上記1に記載の合金。
3.AがAu、Al、Si、Zr、Ceおよびこれらの酸化物からなる群から選択される、上記1に記載の合金。
4.BがZr、La、Y、Yb、Pr、Sc、Lu、Lrおよびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される、上記1に記載の合金。
5.CがPt、Pd、Ru、Rh、Os、Ir、Mn、Fe、Co、Cu、Mo、W、La、Ce、Ca、Sr、Baおよびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される、上記1に記載の合金。
6.DがRh、ReおよびRuからなる群から選択される、上記1に記載の合金。
7.EがBa、Sr、Ca、Mg、Cs、Rb、K、Na、Li、Mn、Cu、ZnおよびCrからなる群から選択される、上記1に記載の合金。
8.平均粒子サイズが約1から約100ナノメーターである、上記1に記載の合金。
9.平均粒子サイズが約5から約75ナノメーターである、上記1に記載の合金。
10.合金が二金属型である、上記1に記載の合金。
11.合金が三金属型である、上記1に記載の合金。
12.合金が四金属型である、上記1に記載の合金。
13.合金が多金属型である、上記1に記載の合金。
14.合金が単機能性である、上記1に記載の合金。
15.合金が二機能性である、上記1に記載の合金。
16.合金が三機能性である、上記1に記載の合金。
17.合金が四機能性である、上記1に記載の合金。
18.合金が多機能性である、上記1に記載の合金。
19.合金が二金属型、三金属型、四金属型および多金属型からなる群から選択され;ならびに合金が単機能性、二機能性、三機能性、四機能性および多機能性からなる群から選択される、上記1に記載の合金。
20.(i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と
(ii)一般式(A(B(C(D(E(...)
(式中、各大文字および(...)は金属であり;
Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;
各下付き文字は組成の化学量論を表し;
nはゼロよりも大きいか、もしくは等しく;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして
合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)
により表される;少なくとも1つの合金
を含んでなるウオッシュコート組成物。
21.合金が約1から約100ナノメーターの平均粒子サイズを含んでなるナノアロイである、上記20に記載のウオッシュコート組成物。
22.合金が約5から約75ナノメーターの平均粒子サイズを含んでなるナノアロイである、上記20に記載のウオッシュコート組成物。
23.(ii)少なくとも1つの合金が一般式
(A(B(C
により表される、上記20に記載のウオッシュコート組成物。
24.(ii)少なくとも1つの合金が一般式
(B(D
により表される、上記20に記載のウオッシュコート組成物。
25.(ii)少なくとも1つの合金が一般式
(B(C(E
により表される、上記20に記載のウオッシュコート組成物。
26.(ii)少なくとも1つの合金が一般式
(A(E
により表される、上記20に記載のウオッシュコート組成物。
27.(ii)少なくとも1つの合金が一般式:(A(B(Eにより表される、上記20に記載のウオッシュコート組成物。
28.(ii)少なくとも1つの合金が一般式
(A(B(D
により表される、上記20に記載のウオッシュコート組成物。
29.(i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と
(ii)一般式(A(B(C(D(E(...)
(式中、各大文字および(...)は金属であり;
Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;
各下付き文字は組成の化学量論を表し;
nはゼロよりも大きいか、もしくは等しく;
nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして
合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)
により表される少なくとも1つの合金
を含むウオッシュコート組成物を堆積した担体を含んでなる触媒担体。
30.担体がセラミックモノリスまたはステンレススチールモノリスを含んでなる、上記29に記載の触媒担体。
31.担体がアルミノシリケート、ボロンナイトライド、シリコンカーバイド、ゼオライトおよびこれらの組み合わせ物からなる群から選択されるモノリスを含んでなる、上記29に記載の触媒担体。
32.担体が多孔質の高シリカ含量のアルミノシリケートゼオライトを含んでなる、上記29に記載の触媒担体。
33.(i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と
(ii)一般式(A(B(C(D(E(...)
(式中、各大文字および(...)は金属であり;
Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;
nはゼロよりも大きいか、もしくは等しく;
nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして
合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)
により表される少なくとも1つの合金
を溶剤媒体中で混合して、ゾルを形成することを含んでなる、ウオッシュコート組成物を製造する方法。
34.ゾルをエージングしてゲルとすることを更に含んでなる、上記33に記載の方法。
35.ゲルを高圧の二酸化炭素により処理することを更に含んでなる、上記34に記載の方法。
36.高圧の二酸化炭素を超臨界条件下で放出することを更に含んでなる、上記35に記載の方法。
37.(i)少なくとも1種の金属と(ii)少なくとも1つの合金がゾル中で均質に分散されている、上記33に記載の方法。
38.(i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と
(ii)一般式(A(B(C(D(E(...)
(式中、各大文字および(...)は金属であり;
Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;各下付き文字は組成の化学量論を表し;nはゼロよりも大きいか、もしくは等しいか;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)
により表される少なくとも1つの合金
を溶剤媒体中で混合して、ゾルを形成し;
ゾルをエージングしてゲルとし;
ゲルを高圧の二酸化炭素により処理し;
二酸化炭素を超臨界条件下で放出して、ウオッシュコート組成物を形成し;そして
担体にウオッシュコートを塗布して、触媒担体を製造する
ことを含んでなる触媒担体を製造する方法。
39.ウオッシュコート組成物に上記1に記載の合金を加えることを含んでなる、ウオッシュコート組成物中の活性金属種の分散を改善する方法。
40.ウオッシュコート組成物に請求項1に記載の合金を加えることを含んでなる、ウオッシュコート組成物中の活性金属種の集塊を低減する方法。
41.ウオッシュコート組成物に請求項1に記載の合金を加えることを含んでなる、ウオッシュコート組成物中の活性金属種の活性部位を増加する方法。
42.触媒担体が在来の触媒担体の密度および/または多孔性と比較して、低下した密度および/または増加した多孔性を有する方法であって、還元剤と反応性基材の間の反応速度を増加することにより、生成する触媒担体が還元剤と反応性基材の間の反応速度を低下させて作製される触媒担体の密度および/または多孔性と比較して、低下した密度および/または増加した多孔性を有する、上記38に記載の方法。
43.触媒担体が在来の触媒担体の密度および/または多孔性と比較して、増加した密度および/または減少した多孔性を有する方法であって、還元剤と反応性基材の間の反応速度を減少することにより、生成する触媒担体が還元剤と反応性基材の間の反応速度を増加させて作製される触媒担体の密度および/または多孔性と比較して、増加した密度および/または減少した多孔性を有する、上記38に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本開示の種々のナノアロイの分析結果を図示する。
【図2】本開示の種々のナノアロイの分析結果を図示する。
【図3】本開示の種々のナノアロイの分析結果を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(A(B(C(D(E(...)
(式中、各大文字および(...)は金属であり;
Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;
各下付き文字は組成の化学量論を表し;
各nは独立にゼロよりも大きいか、もしくは等しく;
nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく;そして
合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)
により表される合金。
【請求項2】
AがAu、Al、Si、Zr、Ceおよびこれらの酸化物からなる群から選択される、請求項1に記載の合金。
【請求項3】
BがZr、La、Y、Yb、Pr、Sc、Lu、Lrおよびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される、請求項1に記載の合金。
【請求項4】
CがPt、Pd、Ru、Rh、Os、Ir、Mn、Fe、Co、Cu、Mo、W、La、Ce、Ca、Sr、Baおよびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される、請求項1に記載の合金。
【請求項5】
DがRh、ReおよびRuからなる群から選択される、請求項1に記載の合金。
【請求項6】
EがBa、Sr、Ca、Mg、Cs、Rb、K、Na、Li、Mn、Cu、ZnおよびCrからなる群から選択される、請求項1に記載の合金。
【請求項7】
合金が二金属型、三金属型、四金属型および多金属型からなる群から選択され;ならびに合金が単機能性、二機能性、三機能性、四機能性および多機能性からなる群から選択される、請求項1に記載の合金。
【請求項8】
(i)Al、SiO、ThO、TiOおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属;と
(ii)一般式(A(B(C(D(E(...)
(式中、各大文字および(...)は金属であり;
Aは酸素貯蔵剤であり;Bは焼結防止剤であり;Cは酸化触媒であり;Dは還元触媒であり;そしてEはNO吸収剤であり;
各下付き文字は組成の化学量論を表し;
nはゼロよりも大きいか、もしくは等しく;nの和は2よりも大きいか、もしくは等しく、そして
合金が少なくとも2種の異なる金属を含む)
により表される;少なくとも1つの合金
を含んでなるウオッシュコート組成物。
【請求項9】
(ii)少なくとも1つの合金が一般式
(A(B(C
により表される、請求項8に記載のウオッシュコート組成物。
【請求項10】
(ii)少なくとも1つの合金が一般式
(B(D
により表される、請求項8に記載のウオッシュコート組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−1901(P2009−1901A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144785(P2008−144785)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(391007091)アフトン・ケミカル・コーポレーション (123)
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【Fターム(参考)】