説明

排尿障害を治療するための経口崩壊錠

【課題】排尿障害および/またはこの関連疾患を治療するための活性成分を投与するために使用することを意図する経口崩壊錠。
【解決手段】0.5から40μmの範囲にある平均粒子直径を有する活性成分及び錠剤中に15から60%(重量/重量)の量の崩壊剤を含み、崩壊剤の平均粒子直径が105から220μmの範囲にある経口崩壊錠。
【効果】この錠剤は、口中において容易に崩壊し、口中に固体残渣の感触を与えない。また通常の包装および取り扱い方法を使用することができるように十分に高い硬度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、30Nまたはそれ以上の硬度および50秒またはそれ以下の崩壊時間を有し、ならびに0.5〜40μmの範囲にある平均粒子直径を有する排尿障害および/またはこの関連疾患を治療するための活性成分および錠剤中に15〜60%(重量/重量)の量の崩壊剤を含む経口崩壊錠、錠剤を作製するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
経口的に崩壊する、または溶解する送達システムは、当技術分野において知られている。1つのこのような商業的に市場に出されているシステムは、独占権を有するZydis.技術(Scherer)に基づいている。このシステムは、またマンニトールなどの水溶性糖を含む、錠剤形状の凍結乾燥された固体ゼラチンまたはでんぷんマトリックスネットワークに基づいている。
【0003】
錠剤外観にも拘わらず、このような形態は、実際には錠剤化によって作製されているのではなく、錠剤形状の「ポケット」中で、成分の溶液を凍結乾燥することによって作製されるウエファーである。このような技術は、特別の装置を必要とする複雑で高価なものである。凍結乾燥に基づく同様な技術は、Lyoc.技術(L.Lafon)またはQuickSolv技術(Jansen)である。
【0004】
錠剤化によって生成される経口崩壊錠も知られている。一般に、迅速な崩壊は、錠剤マトリックス中への水の急速な取込みを容易にすることによって実現される。このような錠剤を作製する基本的取組みは、適切な崩壊剤を組み込み、糖または糖アルコールなどの高度に水溶性の賦形剤を使用して、錠剤マトリックスの多孔性構造を最高にすることを含む。多くの商業的な経口的に溶解する錠剤は、とりわけ前処理された賦形剤を使用している。
【0005】
1998年に公告された特許公報JP10298062Aは、ドキサゾシン(doxazosin)メシレートおよび賦形助剤および接合用崩壊剤を含む水不溶性賦形剤13%(重量/重量)を包含する、迅速に崩壊する錠剤を記載している。この錠剤は、口腔において50秒内に崩壊し、錠剤硬度8.2kgfを有する。
【0006】
2004年に公告された特許公報JP2004175796Aは、排尿障害を治療する経口製剤を記載している。この文献は、投与した際に口中に固体残渣の感触がなく、不快な味なしに口中で迅速に崩壊する錠剤を開示しており、さらにこの錠剤は、PTP容器に包装できるように十分に硬い必要がある。この文献は、ナフトピジル(naftopidil)および水不溶性賦形剤を含む錠剤を開示している。賦形剤は、10%(重量/重量)以上の量において含まれる場合、平均粒子直径100μm以下を有する。この発表は、投与した際に口中の固体残渣の感触および不快な味を防ぐためには、水不溶性賦形剤の粒子直径に限界が必要であることを教示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、投与した際に口中に固体残渣の感触がなく、不快な味なしに、崩壊剤を含む排尿障害を治療する別の経口崩壊錠を提供することにある。この目的は、平均粒子直径が105から220μmの範囲にある、15から60%(重量/重量)の量の崩壊剤を錠剤中に組み込むことによって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により、排尿障害および/またはこの関連疾患を治療する0.5〜40μmの範囲にある平均粒子直径を有する活性成分、および崩壊剤の平均粒子直径が105から220μmの範囲にある15から60%(重量/重量)の量の崩壊剤を錠剤中に含む、排尿障害を治療するための経口崩壊錠が、初めて利用可能となる。驚くことには、平均粒子直径が105から220μmの範囲にある平均粒子直径を有する15から60%(重量/重量)の量の崩壊剤を含むこのような錠剤は、JP2004175796Aの教示に反して、投与した際に口中に固体残渣の感触を与えない。
【0009】
「経口的に崩壊する」は、米国薬局方701に記載されている生体外崩壊試験(ディスクなし)によって測定して、錠剤が50秒以内に崩壊または分散することを意味する。このような崩壊試験結果は、口腔に置いた場合に、哺乳動物によって経験される実際の崩壊時間と妥当な関連を有する。
【0010】
薬剤を送達するための経口的に崩壊する剤形は、当技術分野において知られている。このようなシステムの目的は、有益な治療薬の固体剤形、例えば錠剤の患者への投与を、剤形を飲み込む必要なしに可能にすることである。経口崩壊錠は、唾液または場合によっては少量の水を用いて、口腔において直接、崩壊および場合によって溶解するべきである。次いで、得られた液体または分散液は、容易に飲み込まれる。これは、溶解されたまたは分散された有益な治療薬を、胃腸道に、容易に、迅速に導入する。経口崩壊錠は、口腔において1分間位を超えない時間内において崩壊するべきである。
【0011】
本発明の錠剤は、口腔内に入れた場合に、口中に固体残渣の感触および不快な味なしに、急速に崩壊する。薬剤が、口中において崩壊した後に、活性成分は、唾液で飲み込まれる前には完全には溶解されない。
【0012】
本発明の錠剤の崩壊時間を、水を試験液として使用するUS Pharmacopoeia701に記載されている通りに行った崩壊試験を使用して評価した。崩壊には、好ましくは50秒以下、さらに好ましくは30秒以下、特に好ましくは20秒以下かかる。錠剤の硬度は、PharmatestPTB301または同等品で求められる。
【0013】
錠剤の硬度は、従来の包装および取り扱い方法が使用できるように十分に高い。好ましくは錠剤は、硬度30Nおよびさらに好ましくは70N以上を有する。
【0014】
α−1アドレナリン作動性受容体遮断活性を有する活性成分、コリン作動性剤およびムスカリン作動性受容体拮抗性活性を有する活性成分が、排尿障害および/またはこの関連疾患を治療するための活性成分として代表的に知られている。本発明に対する好ましい活性成分は、ナフトピジル(naftopidil)、タムスロシン(tamsulosin)、ブナゾシン(bunazosin)、ウラピジル(urapidil)、モキシシライト(moxisylyte)、ドキサゾシン(doxazosin)、アルフゾシン(alfuzosin)、ユピドシン(upidosin)、プラゾシン(prazosin)、メタゾシン(metazocine)、フィデュキソシン(fiduxosin)、インドラゾシン(indrazosin)、ならびに活性成分の薬剤として許容される塩、エステル、水和物または溶媒和物である。
【0015】
YM−905(ソリフェナシン(solifenacin)スクシネート;(+)−(1S,3’R)−キヌクリジン−3’−イル−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボキシレートモノスクシネート;国際公告WO96/20194)およびKMD−3213(シロドシン(silodosin);(−)−(R)−1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−[2−[2−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノキシ]エチルアミノ]プロピル]インドリン−7−カルボキサミド:米国特許第5387603号の記載)も好ましい。
【0016】
ナフトピジル、プラゾシン塩酸塩およびウラピジルは、本発明に対してさらに好ましい。ナフトピジル[4−(2−メトキシフェニル)ピペラジニル]−3−(1−ナフチルオキシ)プロパン−2−オル]は、最も好ましい。
【0017】
通常のナフトピジル錠剤は、既に日本において市場に出ている。前立腺肥大を伴う排尿障害を有する成人における、1日1回の投与量スケジュールに対するナフトピジルの初期の1日の投薬量は、25mgナフトピジルである。患者が、不十分な反応を示す場合は、1日1回の投与量を1〜2週間間隔で徐々に50〜75mgに増加される。
【0018】
前立腺肥大を伴う排尿障害を有する成人におけるプラゾシン塩酸塩の初期の1日の投薬量は、1〜1.5mg(1日に2〜3回、それぞれ0.5mgの投薬量)である。患者が、不十分な反応を示す場合は、1日2〜3回の投与量スケジュールにおいて、投与量を1〜2週間間隔で徐々に1.5〜6mgに増加される。
【0019】
前立腺肥大を伴う排尿障害を有する成人におけるウラピジルの初期の1日の投薬量は、30mgである。患者が、不十分な反応を示す場合は、1日2回の投与量スケジュールにおいて、投与量を1〜2週間間隔で徐々に60〜90mgに増加する。
【0020】
活性成分の平均粒子直径は、活性成分を界面活性剤により水中に懸濁し、レーザー回折装置を使用して求められる。活性成分は、好ましくは0.5〜40μmの範囲、さらに好ましくは1〜35μmの範囲、および最も好ましくは2〜30μmの範囲の平均粒子直径を有する。
【0021】
本発明の錠剤中の活性成分は、一般に錠剤の50重量%を超えず、好ましくは約0.5から約35重量%である。
【0022】
本発明による錠剤は、崩壊時間を減少させるために崩壊剤をさらに含む。崩壊剤は、1種または2種以上の崩壊剤の組合せであってよい。一般に、崩壊剤は、水不溶性セルロースを含み、好ましくはこのセルロースは、微結晶セルロースである。これらのセルロースは、好ましくは超崩壊剤と組み合わせられる。
【0023】
この崩壊剤は、錠剤中に15%(重量/重量)以上の量において存在し、崩壊剤の平均粒子直径は、105から220μmの範囲である。平均粒子直径は、150から210μmの範囲であるのが、さらに好ましい。最も好ましくは、平均粒子直径は、160から200μmの範囲である。
【0024】
錠剤は、好ましくは15〜60%(重量/重量)およびさらに好ましくは25〜50%(重量/重量)および最も好ましくは35〜45%(重量/重量)の崩壊剤を含む。
【0025】
水不溶性セルロースおよび超崩壊剤の群の崩壊剤の組合せを含む錠剤において、超崩壊剤は、10%(重量/重量)以下、さらに好ましくは8%(重量/重量)以下、特に5%(重量/重量)以下の量において存在するのが好ましい。
【0026】
水不溶性セルロースの群の崩壊剤は、本質的に精製されたセルロースまたは本質的に有機的に改質されたセルロースからなる。これらの崩壊剤の例は、結晶性セルロース、微結晶セルロース(Avicel PH101、Avicel PH102、Avicel PH301、Avicel PH302、Avicel PH200、Vivapur)、精製された木材セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースおよびエチルセルロースである。セルロースの群に属さない、使用し得る水不溶性崩壊剤の例は、でんぷん、部分的にゼラチン化されたでんぷん(Starch1500)および架橋されたポリビニルピロリドン、ナトリウムでんぷんグリコレート、カルボキシメチルでんぷんなどの超崩壊剤である。
【0027】
崩壊剤の「平均粒子直径」は、Retsch篩器を使用して、75gの粉末を測定した場合、篩分けの累積パーセンテージが50%のときの直径を意味する。
【0028】
105から220μmの範囲にある、および好ましくは150から210μmの範囲にある平均粒子直径を有する崩壊剤15%(重量/重量)以上を使用するさらなる利点は、崩壊剤が、排尿障害を治療するための活性成分を含む顆粒の流動特性値を改善することである。
【0029】
105から220μmの範囲にある、および好ましくは150から210μmの範囲にある平均粒子直径を有する崩壊剤15%(重量/重量)以上を使用するさらなる利点は、生成された錠剤が、錠剤のより高い多孔性により迅速に崩壊することである。
【0030】
本発明による錠剤は、当業者によって知られているように、通常使用されている希釈剤(充填材)または増量剤を含むことができ、これらは水不溶性リン酸カルシウム(二塩基性および三塩基性)、硫酸カルシウム二水和物および炭酸カルシウムを含む。糖および糖アルコールを含む水溶性希釈剤が、好ましくは使用される。水溶性希釈剤は、顆粒内、顆粒外で、および顆粒内外の両方で使用することができる。糖および糖アルコールは、活性成分と一緒に粉砕して、造粒前に微細に粉砕された混合物を形成するのに好ましい乾燥賦形剤である。使用することができる糖および糖アルコールの例は、サッカロース、グルコース、フラクトース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、トレハロースおよびマルチトールである。ラクトースは、錠剤中で10から60%(重量/重量)の範囲の量において、顆粒内適用の際に最も好ましい希釈剤である。
【0031】
湿式造粒において、粉末を一緒に結合する物質がバインダーである。造粒のために、バインダーを乾燥添加し、混合物とブレンドすることができる。単独または造粒液体に溶解された他のバインダーと組み合わせて使用されるバインダーが好ましい。
【0032】
バインダーの例は、ゼラチン、寒天、アルギン酸、ナトリウムアルギネート、キサンタンガム、粉末アカシアゴム、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、部分鹸化ポリビニルアルコール、メチルセルロース、プルラン、変性でんぷん、糖および糖アルコールである。好ましいバインダーは、錠剤中、0.01から1%(重量/重量)の範囲の量のヒドロキシプロピルセルロースである。
【0033】
本発明による錠剤は、さらに流動特性値を改善するための材料を含むことができ、滑剤と呼ばれる。例として、二酸化シリコン、ラウリル硫酸マグネシウム、マグネシウムアルミニウムシリケート、酸化マグネシウム、タルクまたはクレーが、製剤に組み込まれて、微粒子間の摩擦を低下させ、錠剤プレス中の大きい開口部から小さい開口部への材料の流れに伴う問題を減少させることができる。
【0034】
錠剤を圧縮する前に、加工の間に、摩擦および磨耗を防止するために潤滑剤が多くの場合添加される。また、潤滑剤のあるものは、打抜き機の合わせ面およびダイ壁への錠剤顆粒が固着する場合に関係することがある抗付着特性を示す。潤滑剤の群の例は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、スクロース脂肪酸エステル、タルク、ポリエチレングリコール、ステアリン酸、水素化植物油、高融点ワックス、ナトリウムステアリルフマレートである。
【0035】
スイートニング剤として、アスパラターム、サッカリンナトリウム、ジカリウムグリシリジネート、ステビア、タウマチンを使用することができる。これらは、単独または2種以上の組合せにおいて使用される。
【0036】
本発明による経口崩壊錠を製造する方法は、0.5〜40μmの範囲の平均粒子直径を有する、排尿障害および/またはこの関連疾患を治療するための活性成分を含む第1の混合物の湿式造粒によって顆粒を製造する第1のステップ、および錠剤中に15%(重量/重量)以上の量の顆粒、崩壊剤(ここで崩壊剤の平均粒子直径は、105から220μmの範囲である。)および15%(重量/重量)において水不溶性セルロースを含む第2の混合物を調製するステップを含み、この後に、第3のステップにおいて第2の混合物を錠剤に圧縮する。
【0037】
活性成分を、本発明の範囲内の範囲の粒子直径に加工する方法は、当技術分野においてよく知られている。例えば、ピンミル粉砕機、ボールミル粉砕機およびハンマーミル粉砕機を含む粉砕の種々の方法および粉砕機が利用可能である。さらに均一な粒子直径に対する加工は、例えば篩うことによって実施することができる。
【0038】
乾燥賦形剤および微細に粉砕された活性成分は、適切なミキサー、好ましくは混合および造粒の両方を実施することができるミキサー、例えばGral高せん断ミキサー中で混合される。一般的な混合方法は、Pharmaceutical Dosage Forms(第2巻).編集.H.A.Lieberman,L.Lachman,J.B.Schwartz(1990),Marcel Dekker Inc.New YorkおよびBasel 頁1〜71に開示されている。
【0039】
顆粒は、乾式造粒および湿式造粒によって調製することができる。乾式造粒において乾燥賦形剤および活性成分の混合物、および場合によって潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸)を、好ましくはスラッギングまたはロラー圧蜜化を使用して圧縮する。圧縮後に、混合物のディスクの板またはディスクが得られ、これは、場合によって乾燥顆粒に粉砕される。
【0040】
顆粒の調製の好ましい方法は、湿式造粒である。造粒液体、バインダーおよび微細に粉砕された活性成分を含む混合物が、調製され、湿潤した物質を乾燥する。顆粒を調製する一般的な方法は、例えばPharmaceutical Dosage Forms:錠剤(第1巻).編集.H.A.Lieberman,L.Lachman,J.B.Schwartz(1989),Marcel Dekker Inc.New YorkおよびBasel 頁131〜190に記載されている。
【0041】
湿式造粒の利点には、粉末の凝集度および圧縮性、微粉化されたまたは微細に粉砕された活性成分の良好な分布および均質な内容、塵および空気からの汚染の大部分の減少、成分の分離の防止が含まれる。
【0042】
崩壊剤の総量は、圧縮の直前に造粒に添加することができ、湿式造粒プロセスが生じる前に粉末化された材料の総量に添加することができ、または単に、湿式造粒前に添加される1部分、および顆粒に乾燥状態で添加される1部分に分割することができる。
【0043】
錠剤作製および他の固体または乾燥薬剤調製の方法は、良く知られている。例えば、標準的英語テキスト、Gennaro等、Remington’s Pharmaceutical Sciences,(第20版,Mack Publishing Company,2000,特に第5部:Pharmaceutical Manufacturing参照のこと)に、錠剤、カプセルおよびピル作製の方法およびこれらの各々の成分が記載されている。
【0044】
造粒によって調製される顆粒および錠剤は、一般に通常の固体経口剤形において見出すことができる幾つかの不活性材料からなる。この成分は、希釈剤、糖および糖アルコール、バインダー、滑剤、スイートニング剤および潤滑剤などの、配合に満足な加工および圧縮特性値を与えることに役立つ賦形剤、および最終錠剤に崩壊剤および色彩などの望ましい物理的特性値を与えるための賦形剤に分類することができる。
【0045】
水の量は、変えることができ、使用される乾燥条件に依存する。しかし、錠剤は、常に少量の水、通常10重量%未満および好ましくは約0.5から10重量%を含む。
【0046】
本発明を、さらに以下の非限定的な実施例によって例示する。
【実施例1】
【0047】
迅速に崩壊する錠剤を、表1(バッチA、B、CおよびD)に記載されている組成物により1kgの規模で調製した。
【0048】
粒子直径
ナフトピジル(Naftopidil)およびラクトースの粉砕された混合物:ナフトピジルをラクトースと混合(1:1)し、ハンマーミルにおいて粉砕した。粉砕された混合物中のナフトピジルの平均粒子直径は、12μmであった。この粉砕された混合物をバッチA、B、CおよびDの製造において使用した。
【0049】
使用した微結晶セルロース(Avicel ph200)の平均粒子直径は、195μmであった。
【0050】
バッチAを調製するプロセスは、以下の通りであった。ナフトピジルおよびラクトースの粉砕された混合物の部分を高せん断ミキサーに移し、約1分間乾燥混合した。混合後に、この混合物を、水に溶かしたHPCの2重量/重量%溶液で、約7分間造粒した。湿潤した顆粒を流動床に移し、所望の含水量が達成されるまで入口温度60℃において約20分間乾燥した。この乾燥したラクトース/ナフトピジル顆粒を次いで、コミル(Comil)中に移し、篩って、塊を除去した。篩った顆粒および他の賦形剤を、次いで、ロンラッド(Rhonrad)中に移し、約15分間混合した。最後に、ステアリン酸マグネシウムをロンラッド中の混合物に添加し、約2分間混合した。回転式プレスを使用して、顆粒混合物から錠剤を生成した。
【0051】
バッチBを調製するプロセスは、以下の通りであった。ナフトピジルおよびラクトースの粉砕された混合物の部分から錠剤を生成し、この後に、錠剤を高せん断ミキサー中で破壊した。ナフトピジルおよびラクトースおよび他の賦形剤の得られた混合物を、次いで、ロンラッド中に移し、約15分間混合した。最後に、ステアリン酸マグネシウムをロンラッド中の混合物に添加し、約2分間混合した。回転式プレスを使用して、顆粒混合物から錠剤を生成した。
【0052】
バッチCを調製するプロセスは、以下の通りであった。ナフトピジルおよびラクトースの粉砕された混合物の部分を高せん断ミキサーに移し、約1分間乾燥混合した。混合後に、この混合物を、水に溶かしたHPCの2重量/重量%溶液で、約7分間造粒した。湿潤した顆粒を流動床に移し、所望の含水量が達成されるまで入口温度60℃において約20分間乾燥した。この乾燥したラクトース/ナフトピジル顆粒を次いで、コミル(Comil)中に移し、篩って、塊を除去した。篩った顆粒および他の賦形剤(ケイ酸カルシウムを含む)を、次いで、ロンラッド中に移し、約15分間混合した。最後に、ステアリン酸マグネシウムをロンラッド中の混合物に添加し、約2分間混合した。回転式プレスを使用して、顆粒混合物から錠剤を生成した。
【0053】
バッチDを調製するプロセスは、以下の通りであった。ナフトピジルおよびラクトースの粉砕された混合物の部分を高せん断ミキサーに移し、ポリエチレングリコールと共に約1分間乾燥混合した。混合後に、この混合物を、ポリエチレングリコールが溶融し、顆粒を形成する高600rpmにおいて造粒した。所望の顆粒サイズ分布が得られたとき、顆粒を冷却させて、ポリエチレングリコールを固化した。顆粒を、次いで、コミル中に移し、篩って、塊を除去した。篩った顆粒および他の賦形剤を、次いで、ロンラッド中に移し、約15分間混合した。最後に、ステアリン酸マグネシウムをロンラッド中の混合物に添加し、約2分間混合した。回転式プレスを使用して、顆粒混合物から錠剤を生成した。
【0054】
【表1】

【0055】
全ての配合に対する崩壊時間は、米国薬局方701に記載されている試験により、20秒以内であった。生成された錠剤の物理的特性を表2に示す。
【0056】
【表2】

【0057】
本発明による迅速崩壊錠剤の製造方法は、乾燥混合方法である。製造の好ましい方法は、溶融造粒および乾燥混合/叩いて破砕する方法およびケイ酸カルシウムの添加を伴う湿式造粒法である。本発明による迅速崩壊錠剤の調製の最も好ましい方法は、湿式造粒方法である。
【実施例2】
【0058】
湿式造粒法による108kgスケールの迅速崩壊錠剤の製造。
【0059】
実施例1と同様に、バッチサイズ108kgで、本発明による迅速崩壊錠剤を表3に記載した組成物により製造した。ナフトピジルをラクトースと混合し、ハンマーミル中で粉砕した。引き続いて、粉砕された混合物を高せん断ミキサー(Gral。300)中に移し、約1分間乾燥混合した。混合後に、混合物を水に溶かしたHPCの2重量/重量%溶液で約6分間造粒した。この湿潤顆粒を流動床乾燥機(FLO120)に移し、所望の含水量に到達するまで、入口温度60℃において乾燥した。ナフトピジル/ラクトース混合物を、次いで、他の賦形剤と一緒に篩装置(Comil円錐篩)に移し、篩って、塊を除去した。次いで、ナフトピジルおよびラクトースの粉砕された混合物をVブレンダー(V−300)に移し、約15分間混合した。最後に、ステアリン酸マグネシウムをVブレンダー中の混合物に添加し、約3分間混合した。回転式プレス(Libra(Kikusui)錠剤化プレス)を使用して、顆粒から錠剤を製造した。ナフトピジル50および75mgを含む錠剤を調製した。
【0060】
【表3】

【0061】
生成した錠剤の物理特性を表4に示す。
【0062】
【表4】

【実施例3】
【0063】
投与による口中の固体残渣の感触および味を、実施例2の配合により製造された迅速に崩壊する錠剤で試験した。バッチE、FおよびGの錠剤は、異なる錠剤化圧力(表5)により圧縮されていた。錠剤をパネリストとして6人の健康な成人男性の舌に載せた。舌の上で崩壊した後に、投与による口中の固体残渣の感触および苦味を評価した。
【0064】
口中の固体残渣の感触なし:なし
口中の固体残渣の僅かの感触:S
口中の固体残渣の著しい感触:あり
苦味:なし
僅かの苦味:S
著しい苦味:あり
平均を得られた結果から計算し表5に示す。
【0065】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
30Nまたはそれ以上の硬度および50秒またはそれ以下の崩壊時間を有し、ならびに
排尿障害および/またはこの関連疾患を治療するための0.5から40μmの範囲にある平均粒子直径を有する活性成分および錠剤中に15から60%(重量/重量)の量の崩壊剤を含み、
前記崩壊剤の平均粒子直径が105から220μmの範囲にある
経口崩壊錠。
【請求項2】
崩壊剤が、150から210μmの範囲にある平均粒子直径を有する、請求項1に記載の経口崩壊錠。
【請求項3】
崩壊剤が、160から200μmの範囲にある平均粒子直径を有する、請求項1に記載の経口崩壊錠。
【請求項4】
錠剤中の崩壊剤の量が、25から50%(重量/重量)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の経口崩壊錠。
【請求項5】
錠剤中の崩壊剤の量が、35から45%(重量/重量)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の経口崩壊錠。
【請求項6】
崩壊剤が、精製されたセルロースから本質的になるまたは有機的に改質されたセルロースから本質的になる水不溶性セルロース、および超崩壊剤を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の経口崩壊錠。
【請求項7】
水不溶性セルロースが微結晶セルロースである、請求項6に記載の経口崩壊錠。
【請求項8】
超崩壊剤がクロスポビドンである、請求項6または7に記載の経口崩壊錠。
【請求項9】
錠剤がラクトースを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の経口崩壊錠。
【請求項10】
活性成分がナフトピジルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の経口崩壊錠。
【請求項11】
活性成分を含む顆粒を製造し、顆粒および崩壊剤を含む混合物を調製し、混合物を錠剤に圧縮することによって得られる、請求項1から10のいずれか一項に記載の経口崩壊錠。
【請求項12】
顆粒が、活性成分および水溶性希釈剤を含む微細に粉砕された混合物を湿式造粒することによって製造される、請求項11に記載の経口崩壊錠。
【請求項13】
第1のステップにおいて、顆粒が、排尿障害および/またはこの関連疾患を治療するための活性成分を含み0.5から40μmの範囲の粒子直径を有する第1の混合物の湿式造粒によって製造され、第2のステップにおいて、錠剤中に前記顆粒および15%(重量/重量)またはそれ以上の量の崩壊剤を含む第2の混合物が調製され、前記崩壊剤の平均粒子直径は105から220μmの範囲にあり、その後、第3のステップにおいて、第2の混合物を錠剤に圧縮される、請求項1から12のいずれか一項に記載の経口崩壊錠の製造方法。

【公開番号】特開2007−308492(P2007−308492A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−126354(P2007−126354)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(398057282)ナームローゼ・フエンノートチヤツプ・オルガノン (93)
【Fターム(参考)】