説明

排気ガスからのCO2の捕獲方法

【課題】熱効率の増大、並びに1kW設置容量当たりの投入経費及び作動経費の低減を必ず伴うような、主ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスからの排気ガス中のCO2の捕獲及び回収のための改良型方法に到達すること。
【解決手段】本発明は、ガスタービンベースの主電力及び熱発生プロセスからの排気ガスからCO2を捕獲する方法に関する。主電力及び熱発生プロセスは、二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスに直列に接続されており、二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセス並びにCO2分離プロセスは、主電力プロセス排気ガスダクトを介して主電力及び熱発生プロセスと接続されるだけである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その場所で便利であるような、CO2の貯留のための化学的吸収及び脱着によるガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスからの排気ガスからのCO2の除去及び回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果を伴うガスとしてのCO2の環境的局面のため、及びいくつかの国家政府機関によるCO2の放出に掛かる税金のために、低減されたエネルギー消費及び投入経費を含めた方法で、電力及び熱発生プロセスから大気へのCO2の放出を低減する可能性が広範に考察されている。
【0003】
炭素含有燃料を用い、また酸素供給源が空気である慣用的ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスは、ガスタービンの燃料及び作動条件によって、燃焼生成物(本明細書中では以後、排気ガスと呼ばれる)中に3〜5%の範囲の二酸化炭素濃度を有する。従って、大気への二酸化炭素の放出の低減は、排気ガスから二酸化炭素を分離することを必要とする。全排気ガスを圧縮及び貯留するのは、非常に費用がかかるであろう。例えば地層中に貯留させるための回収CO2の圧縮は、任意の回収方法に当然含まれるものの一部である。
【0004】
排気ガス中の二酸化炭素の濃度又は分圧は、例えば石炭ガス化複合発電(IGCC)プラント中でChiesa等(International Gas Turbine & Aeroengine Congress & Exhibition Stockholm, Sweden - June 2-5, 1998に提示された論文)により示唆されているか、或いはRonning等(ノルウェー特許第180520号)により記載されているように、排気ガスを再循環することにより高レベルに引き上げられ得る。
【0005】
いくつかの分離プロセスにより、例えば化学的活性吸収プロセス、物理吸収プロセス、分子篩による吸着、膜分離及び極低温技術により、CO2は排気ガスから除去され得る。
【0006】
現在、アルカノールアミンによる化学的吸収は、ほぼ大気圧で排気ガスからCO2を分離するための最も実用的且つ経済的方法であると考えられている。実際、低CO2分圧でさえ、CO2に対するその高親和性のため、MEA(モノエタノールアミン)は他をしのぐ吸収媒体である。しかしながら、新規で更に効率的な吸収媒体が主張されている(”Development and Application of Flue Gas Carbon Dioxide Recovery Technology” T. Mimura et al. 2000, GHGT-5 Cairn, Australia, 13-16 August, 2000に提示された論文)。
【0007】
排気ガスからCO2を吸収するためのMEAの適用は、Pauley等による文献(Proceedings of the Gas Conditioning Conference, Norman, Ok, March 5-7, 1984, paper H;an abbreviated version in Oil & Gas J., May 14, 1984, pp 87-92)中に記載されている。添加剤を伴うMEAを基礎にしたCO2除去系を彼等は記載している。しかしながら、腐食問題、MEAの分解及び化学物質の大量消費についての記載もある。記載された方法では、排気ガス圧は本質的には大気圧であり、一般的には吸収装置への供給流中に8.5%のCO2を含有する。これは、慣用的ガスタービンプロセスからの排気ガス中で見出されるよりも高いCO2分圧を表わすであろう。
【0008】
MEA以外の他のアミン、特に第三級アミン、例えばMDEA(メチルジエタノールアミン)の使用は、分解し難い傾向があり、またその蒸気圧はMEAより低く、ガス流残留を伴うアミン蒸気の損失をより低下させることが更に知られている(例えばFang-Yuan Jou他、Can. J. Chem. Eng, 1993, vol 71, April, 264-268参照)。腐食問題も、MEAが用いられるより低い。しかしながら、ガスタービン排気ガスを処理するための第三級アミンの使用は、MEAと比較してCO2に対するこれらのアミンの低親和性のため、今日では非経済的である。それゆえ、排気ガスからのCO2除去は、MEAのようなより反応性のあるアミン中での吸収により実行される。CO2の分圧の増大はMDEA溶液中のCO2の可能な付加(CO21mol/アミン1mol)を増大させるため、MDEAの適用は、CO2の分圧を増大するために排気ガスが高圧に圧縮されることを必要とする。
【0009】
排気ガスの圧縮のための改良型プロセスは、欧州特許第1159056号から既知である。当該特許は、化学的吸収及び脱着のそれぞれによる電力及び/又は熱発生プロセス(主電源プロセス)からの排気ガスからのCO2の除去及び回収方法を記載している。一次ガスタービンからの排気ガスは冷却され、二次電源プラント中の圧縮機で高圧に再圧縮された後、高圧で化学的吸収プロセスに入る。吸収装置から放出されるCO2除去排気ガスは、再加熱され、そして上記二次電源プラント中の膨張機で更に膨張される。
【0010】
更に、国際公開出願第04/026445号は、一次ガスタービンサイクルからの排気ガスがCO2の吸収前に圧縮される方法を記載している。圧縮が、好ましくは中間冷却を伴ういくつかのステップで実施された後、酸素含有排気ガスが冷却されて、CO2吸収プロセスに供給される。
【0011】
上記の刊行物に記載される異なるプロセスは、CO2吸収/脱着プラント、そして結局は二次電源プラントも主電源プラントに接続される場合、蒸気サイクルにおける有意の変化を包含する。CO2吸収及び脱着プロセスは、蒸気サイクルから抽出される有意量の蒸気を消費する。これは、二次電源プロセスが既存の主電源プロセスに接続される場合、蒸気タービンの利用低減及び発電低減を意味する。付加的蒸気が補助蒸気発生器で発生されて、低圧蒸気タービンへの蒸気の損失を埋め合わせ得るが、しかしこれは効率的で且つ費用効果的な選択肢とは言い難い。
【0012】
国際公開第04/026445号で示唆された二段階電源プラント概念は、冷却したCO2除去排気ガスの一部が一次電源プラント中の排気ガスと熱交換されるため、一次電源プラントにおける蒸気生成ひいては発電を低下させる。一次電源サイクルからの排気ガスの限定温度(普通は600℃より低い)のため、二次電源プラント中のガスタービン膨張機に入るガスは、上記二次電源サイクルにおける燃焼室中の温度より有意に低い温度を有する。CO2除去排気ガスへの水の示唆される付加は、二次電源サイクル中のタービンへの流入温度をも低減し得る。これは、全プロセスの効率を低減し、そして全電力生産を低減する。
【0013】
上記のように、排気ガス中の二酸化炭素の濃度は、例えば石炭ガス化複合発電(IGCC)プラント中でChiesa等(International Gas Turbine & Aeroengine Congress & Exhibition Stockholm, Sweden - June 2-5, 1998に提示された論文)により示唆されているか、或いはRonning等(ノルウェー特許第180520号)により記載されているように、排気ガスを再循環することにより高レベルに引き上げられ得る。これも、排気ガスの50%までの再生利用のため、発電プロセスにおける有意の変化を意味する。欧州特許第1159056号及び国際公開第04/026445号に記載されているような代替の解決法も、直列に接続された2つの発電プロセス間の有意の統合のため、発電プロセスの有意の変化を意味する。排気ガスがタービン膨張機中で減圧される前の高圧でのCO2の示唆される吸収(例えば国際公開第04/026445号に記載されているような)は、圧縮機とタービン膨張機との間の圧力低下を有意に増大し、従って二次電力及び熱発生プロセスの熱効率を低減する。
【0014】
欧州特許第1159056号に開示されているように、二次電源プロセスプラント中で発生される高圧CO2除去排気ガスは、主電源プロセスプラント又は一次電源プロセスプラント中に置かれた高温燃焼加熱機中で再加熱され、二次電源プロセスプラントに更に戻されて、ここで、加熱ガスはタービンに進入する。電源プロセスプラントの熱効率を増大するため、高タービン流入温度は有益である。これは、ブレイトン・サイクルの原理に従って、すべてのガスタービンサイクルに当てはまる。一次電源プロセスプラント又は主電源プロセスプラント中のCO2除去排気ガスの再加熱は、ガスタービンを通る空気流を増大することなく燃料消費を増大し、従って一次電源プロセスプラント又は主電源プロセスプラントからの排気ガス中のCO2の濃度を増大する。CO2の濃度は、二次電源プロセスプラント中で更に増大されない。
【0015】
欧州特許第1159056号に記載される上記の方法の適用は、主電力及び熱発生プロセス又は一次電力及び熱発生プロセスが変更されて、それが二次電源プロセスと無関係に作動することができないということを必要とする。したがって一次電源プロセス又は主電源プロセスの機械的変更を回避するために、代わりに二次電源プロセス中のCO2の濃度を増大することが有益である。
【0016】
更に、特許1159056に記載されているように、排気ガスが高圧に圧縮される場合、MEA以外の他のアミン、即ち第三級アミン、例えばMDEA(メチルジエタノールアミン)が用いられ得る。MDEAは、脱着プロセスにおいて必要なエネルギーがMEAより少ない。しかしながら、慣用的MEA溶液、例えば米国特許第5603908号に開示されるようなヒンダードアミン水溶液より効率的な吸収媒質が用いられる場合、ほぼ大気圧で捕獲されるCO2のエネルギー消費と高圧で捕獲されるCO2のエネルギー消費との間の差は低減される。従って、より効率的な二次電源プロセスプラントが開発され得る場合、ほぼ周囲圧でのCO2の吸収はより魅力的になる。CO2が高圧で吸着される場合、CO2分離プロセスは、例えば燃焼室と膨張タービンとの間に設置されなければならない。これは、圧力降下増大のため、損失を引き起こす。CO2除去排気ガスをガス/ガス熱交換機中の燃焼室を出るCO2リッチ排気ガスとともに再加熱すると、CO2除去排気ガスの温度を、燃焼室を出るCO2リッチ排気ガスの温度近くに増大し得る。しかしながら、熱伝達のために必要とされる推進力のため、且つ大き過ぎる熱伝達面積を回避するために、再加熱ガスの温度は常に、燃焼室から出るガスの温度より低い。この温度降下は、ブレイトン・サイクルの原理に従って、付加的損失を引き起こす。
【0017】
排気ガスの膨張後にCO2が分離される場合、より最適なガスタービンサイクルプロセスが用いられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の主な目的は、熱効率の増大、並びに1kW設置容量当たりの投入経費及び作動経費の低減を必ず伴うような、主ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスからの排気ガス中のCO2の捕獲及び回収のための改良型方法に到達することであった。
【0019】
本発明の別の目的は、設置蒸気タービンの利用を低減しないような、主ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスからの排気ガスからのCO2の捕獲及び回収のための改良型方法に到達することであった。
【0020】
本発明の更なる目的は、化学的吸収及び脱着プロセス又は排気ガスからCO2を分離し得る任意の他のプロセスが構築され、そして上記の主電源プロセスに接続される場合、主電力及び熱発生プロセスの作動停止期間を低減するような、主ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスからの排気ガスからのCO2の捕獲及び回収のための改良型方法に到達することであった。
【0021】
本発明の更に別の目的は、主電力及び熱発生プロセス中の設置装備の機械的変更を必要としないような、主ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスからの排気ガスからのCO2の捕獲及び回収のための改良型方法に到達することであった。
【0022】
本発明の更に別の目的は、任意の二次電力及び熱発生プロセスにおける熱及び電力損失を低減するような、主ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスからの排気ガスからのCO2の捕獲及び回収のための改良型方法に到達することであった。
【0023】
更に、本発明の更なる目的は、排気ガスを再生利用することなく排気ガス中のCO2濃度増大を必ず伴うような、主ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスからの排気ガス中からCO2の捕獲及び回収のための改良型方法に到達することであった。
【課題を解決するための手段】
【0024】
CO2の捕獲のための化学的吸収及び脱着プロセス、又は排気ガスからCO2を分離し得る任意の他のプロセスを包含するための慣用的電力及び熱発生プロセスの再構築に関連する上記の課題を考慮して、探究がなされた。
【0025】
二次電力及び熱発生プロセスが一次主電力及び熱発生プロセスに接続され、この場合、CO2吸収及び脱着プロセス又は排気ガスからCO2を分離し得る任意の他のプロセス(即ちCO2分離プロセス)が二次電力及び熱発生プロセスに接続され、この場合、主電力及び熱発生プロセスからの排気ガスの5〜100%が二次熱及び電力発生プロセスに供給されるならば、上記の問題は解決され得るということを本発明者等は見出した。二次プロセスは、CO2分離プロセスを作動するために必要とされる十分量の熱及び電力を供給するよう意図される。電力及び熱の任意の付加的生成は、グリッドに輸出され得る。従って、CO2分離プロセスを含めた二次電力及び熱発生プロセスは次に、主プロセスの容量(capacity)を妨害又は低減することなく、主プロセスに接続され得る。CO2分離プロセスを含めた二次電源プロセスは、上記主プロセスからの排気ガスダクトを除いて主プロセスとの接続を有さないため、2つの電力及び熱発生プロセスを接続するために必要とされる時間は低減される。これは、必要とされる作動停止期間を低減する。主電源プロセスからの電力生産の損失は作動停止時間低減によって最小限に減らされるため、これは有意の経費節約効果を有する。それは、CO2分離プロセスを含めた二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスプラントが構築され、一次電力及び熱発生プロセスに接続される前に、数年間作動され得る慣用的ガスタービンベースの電力及び熱発生プラントの建造も可能にする。これは、二次電力及び熱発生プロセスプラントの構築期間中に有意の経済的利益を有する。
【0026】
欧州特許第1159056号及び国際公開第04/026445号の両方と異なり、主ガスタービン電源プラントからの排気ガスは、排気ガスがCO2分離プロセスに進入する前に二次電源プロセス中に設置される二次ガスタービン燃焼室中で酸化剤として用いられる。従って、排気ガス中のCO2の濃度は、一次電源プラント中の3〜5%から二次電源プラント中の7〜9%に上げられる。
【0027】
国際公開第04/026445号で主張されたプロセス及び欧州特許第1159056号で主張された方法の両方と異なり、CO2除去ガスは、主電力及び熱発生プロセスにおける排気ガス流で熱交換されない。これは、2つの電力及び熱発生プロセスの組込みに関連する問題を排除する。欧州特許第1159056号及び国際公開第04/026445号の両方と異なり、主電源プロセスからの圧縮排気ガスは、炭素含有燃料が燃焼される燃焼室に直接供給され、そしてその結果生じる熱排気ガスは次に、圧力が周囲圧近くに低減されるタービンに進入し、その後CO2が分離する。また、従来技術と異なるのは、複合二次電力及び熱発生プロセス並びにCO2分離プロセスが、熱及び電力の両方に関して自己充足的であるか、或いは主電力及び熱発生プロセスの容量を妨害又は低減しないという点である。
【0028】
従って、吸収及び脱着のそれぞれにより、或いは排気ガスからCO2を分離し得る任意の他のプロセスにより、ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセス(主電源プロセス)からの排気ガス中のCO2を捕獲及び回収するための方法であって、ここで、主電源プロセスからの排気ガスが50℃より低く冷却された後に、二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセス(二次電源プロセス)に供給され、ここで排気ガスが断熱的に高圧(好ましくは0.5MPa(5bar)より高圧)に圧縮されて、ここで、850℃より高い、好ましくは1,200℃より高い温度に増大される二次ガスタービン燃焼室中で酸化剤として用いられる方法を本発明者等は見出した。得られた熱排気ガスは、発電機に接続されたタービンに更に供給され、ここで、排気ガスはほぼ周囲圧に減圧される。減圧排気ガスは熱回収セクションに更に進入し、ここで排気ガスは好ましくは100℃より低く冷却される。回収熱の一部は、CO2分離プロセスに用いられる。回収熱の一部を更に用いて、蒸気タービン中で発電させるのに用いられ得る蒸気を生成することができる。更に回収熱の一部は、加熱媒質、例えば水含有グリコールを加熱するために用いられ得る。
【0029】
本発明の方法により、全体的プロセス効率は増大され、そして構築時間中の又は任意の作動停止中の経費に対する影響は既知の技法と比較して有意に低減される。両プラントは、互いに無関係に実行され得る。二次電源プロセス、例えばCO2分離プロセスが、例えばメンテナンス作業のために作動停止される場合、一次プラントは設計容量で依然として作動し得る。主電源プロセスが一定期間作動停止される場合、CO2分離プロセスを含めた二次プラントはほぼ設計容量で作動され得る。主電源プラントは構築され、CO2捕獲を伴わずに数年間作動され得る。すべての必要なユーティリティーは二次電源プロセスから供給されるため、CO2分離プロセスを含めた二次電源プラントは構築され、そして主電源プロセスの変更を伴わずに主電源プラントに接続され得る。これは、主電源プロセス中の設置蒸気タービンの容量が100%利用され得るということも保証する。高圧CO2分離プロセスにおける処理のための燃焼室の前又は後の圧縮排気ガスの抽出が回避されるため、高圧での捕獲の代わりに更に効率的な吸収媒体を用いたほぼ大気圧でのCO2捕獲は、二次電源プラントの複雑さを低減する。ブレイトン・サイクルによれば、圧力降下及び温度降下の両方が低減されるため、これはサイクル熱効率も改良する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】1つのCO2浄化プラントのみを有する直列の2つのガスタービン複合サイクル(CCGT)プラントを含めた本発明による後燃焼プロセスを示す。CO2浄化は、本質的にはほぼ大気圧で実施される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の図面及び実施例で、本発明を更に説明し、予見する。
【0032】
(図1)
空気1は圧縮機30に進入し、そして1MPa(10bar)〜4MPa(40bar)に圧縮された後、燃料3が燃焼される燃焼機31に供給される。次に熱燃焼ガス4はタービン32に進入する。このユニットは、圧縮機又は発電機を駆動し得る。低圧の排気ガス5は廃ガス熱回収ユニット33に進入し、ここでボイラー供給水24を蒸発させることにより蒸気25が発生される。約100℃の一部冷却排気ガス6は、循環冷却水28により冷却塔34中で更に冷却される。使用済水29は捨てられるか、又は一部再生利用される。冷却塔の適用は一例として示されているだけであって、本発明はこのユニットの使用に限定されない。排気ガス6は、水冷熱交換器中で又は任意の他の手段により冷却もされ得る。
【0033】
凝縮水8はユニット41で分離され、そして新鮮な空気10が任意にミキサー42中に付加される。酸素含有ガス流11は圧縮機35に進入し、0.5MPa(5bar)〜4MPa(40bar)に圧縮された後、燃焼室36に供給され、ここで燃料13が燃焼される。熱燃焼ガス14は次にタービン37に進入する。このユニットは、圧縮機又は発電機を駆動し得る。排気ガス15はほぼ周囲圧で廃ガス熱回収ユニット38に進入し、ここでボイラー供給水26を蒸発させることにより蒸気27が発生される。一部冷却排気ガス16は任意に、循環冷却水17により冷却塔39中で更に冷却される。使用済水18は捨てられるか、又は一部再生利用される。冷却塔の適用は一例として示されているだけであって、本発明はこのユニットの使用に限定されない。排気ガス16は、水冷熱交換器中で又は任意の他の手段により冷却もされ得る。
【0034】
任意の凝縮水は、ユニット43で分離される。CO2含有排気ガス流21はCO2分離プロセス(即ちCO2吸収及び脱着プロセス)40に進入し、ここで好ましくはCO2含量の80%より多くが除去される。捕獲CO2 22は圧縮され、地層中に貯留されるのに備えて乾燥されてもよい。CO2除去排気ガスはガス抜き23される。排気ガスから回収される熱は、ユニット40で一部使用され得る。
【0035】
図1に示したような概念の主要原理は、一次CCGTプラントからの排気ガスが100℃より低い温度に冷却された後、二次CCGTプラントに供給される、ということである。この二次CCGTプラントからの排気ガスは好ましくは100℃より低い温度に冷却され、CO2吸収及び脱着プラントに供給される。当該概念は、一般的な後燃焼概念と比較して、いくつかの利点を有する:
・このユニットは基本的には排気ガスの総容積流量に対して設計されるため、1つのCO2浄化プラント(脱着セクションで拡大される)は、吸収カラムの数又はサイズの増大を伴わずに1つの全規模CCGTプラントの代わりに2つの全規模CCGTプラント(各々390MW)の働きをし得る。以下の表1に示すように、二次電源プロセスからの排気ガスの総量は、主電源プロセスからの排気ガスの量と比較して、増大されない。これは、発生する1kW当たりの投入経費を低減する。
・排気ガス中のCO2の濃度は、約4%から8%を超えるまで増大され、そして吸収効率を改良し得る。
・CO2吸収及び脱着プラントを含めた二次CCGTプラントは、現存プラントの小変更のみを伴う既存のCCGTプラントに接続され得る。
【実施例】
【0036】
表1は、排気ガス流9及び排気ガス流21の組成を示す。
【0037】
従来の後燃焼プロセスでは、4.3%CO2を含有する排気ガス流9(77,987kmol/時間)は、CO2吸収及び脱着プロセスで処理される。燃料対電力効率が48.5%である(低加熱値として測定される)場合、そして従来の吸収媒体が適用される場合、CO2捕獲を含むこの電力プラントからの出力は約330MWである。出力は、CO2分離なしで約395MWである。
【0038】
代わりに排気ガス流9が一次プラントとほぼ同一サイズの二次ガスタービン複合サイクル電源プラントに供給される場合、二次プロセスからの排気ガス流21(水の凝縮及び除去後)は8.8%のCO2を含有する。ガスの量は75,172kmol/時間に低減される。従って、主電源プロセスと直列に二次電源プロセスを導入する場合、CO2分離プラントに進入するガス流中のCO2の濃度は4.3%から8.8%に増大され、一方、処理されるべきガスの量はわずかに低減される。この新規の2段階電源プロセスからの電力出力は、CO2分離を勘定に入れないで、約790MWである。Mimura等(”Development and application of flue gas carbon dioxide recovery technology”. the Green House Gas Technology conference in Cairns, Australia, 13-16 August 2000に提示された論文)によれば、約4.3%CO2から8.8%CO2への排気ガス中のCO2濃度の増大は、エネルギー必要量を約10%低減する。従って、総電力出力は約675MWであり、一方、吸収及び脱着プロセスを含めた2つの別個の電源プラントからの電力出力は約360MWである。この場合、総電力プラント効率は48.5%から約49.5%に増大される。別の利点は、吸収プロセスのサイズは並列に2つの電源プラントを有する代替物と比較して低減されるという点である。これは、処理されるべきガスの量が50%より多く低減されるためである。
【0039】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンベースの主電力及び熱発生プロセスからの排気ガスからCO2を捕獲する方法であって、
該主電力及び熱発生プロセスからの排気ガスを二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスに供給する前に、該排気ガスを冷却する工程であって、該主電力及び熱発生プロセスは、該二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスに直列に接続されている工程、
該排気ガスを高圧に圧縮し、該二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスにおける二次ガスタービン燃焼室中で酸化剤として用いる工程、
該二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスから得られる熱排気ガスを、発電機に接続されたタービンに供給し、排気ガスは周囲圧近くに減圧された後、熱回収プロセスに入り、ここで該排気ガスが冷却される工程であって、該二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスからの排ガス中のCO2濃度は、該主電力及び熱発生プロセスからの排気ガス中のCO2濃度よりも高い工程、並びに
該二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスからの排ガスを、CO2の捕獲のためのCO2分離プロセスに供給する工程
を含み、
ここで、該二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセス並びに該CO2分離プロセスは、主電力プロセス排気ガスダクトを介して該主電力及び熱発生プロセスと接続されるだけであることを特徴とするCO2の捕獲方法。
【請求項2】
前記排気ガス中のCO2濃度は、前記主電力及び熱発生プロセスにおける3〜5%から前記二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスにおける7〜9%に上げられることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項3】
前記主電力及び熱発生プロセスからの前記排気ガスが、100℃より低い温度に冷却されることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項4】
前記主電力及び熱発生プロセスからの前記排気ガスが、30℃より低い温度に冷却されることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項5】
前記主電力及び熱発生プロセスからの前記排気ガスが、断熱的に、0.5MPa(5bar)より高圧に圧縮されることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項6】
前記CO2含有排気ガスが、前記二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセス中で中間冷却なしに0.5MPa(5bar)〜4MPa(40bar)に圧縮されることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項7】
前記二次ガスタービン燃焼室中の温度が、850℃より高いことを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項8】
前記二次ガスタービン燃焼室中の温度が、1200℃より高いことを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項9】
減圧された前記排気ガスが、100℃より低い温度に冷却されることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項10】
前記二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスからの前記排気ガスが、80℃より低い温度に冷却されることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項11】
蒸気タービンで発電するため及び/又は熱媒体を加熱するために用いられる蒸気を発生させるのに回収熱が用いられることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項12】
前記CO2分離プロセスが、吸収及び脱着プロセスであることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項13】
前記CO2分離プロセスに必要な熱が、前記二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスから取り出されることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項14】
前記主電力及び熱発生プロセスで発生される排気ガスの5〜100%が、前記二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスに供給されることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項15】
前記二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスに入る前に、周囲空気が前記主電力及び熱発生プロセスからの排気ガスと混合されることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。
【請求項16】
前記二次ガスタービンベースの電力及び熱発生プロセスが、周囲空気を用いて開始されることを特徴とする請求項1に記載のCO2の捕獲方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−62897(P2012−62897A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253848(P2011−253848)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【分割の表示】特願2007−537829(P2007−537829)の分割
【原出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(591237869)ノルスク・ヒドロ・アーエスアー (24)
【氏名又は名称原語表記】NORSK HYDRO ASA
【住所又は居所原語表記】0240 OSLO,NORWAY
【Fターム(参考)】