説明

排気ガスセンサの信号処理装置

【課題】ローパスフィルタ通過後の排気ガスセンサ出力信号を利用して空燃比制御を行う場合において、空燃比制御の精度が悪化することを抑制することができる排気ガスセンサの信号処理装置を提供する。
【解決手段】排気ガスセンサの信号処理装置は、ローパスフィルタ(LPF)30、40およびハイパスフィルタ(HPF)32、42を備えている。ローパスフィルタ30、40を通過した信号が、ECU50に入力されて内燃機関10の空燃比制御(より具体的には燃料噴射量制御)に利用される。ハイパスフィルタ32、42の通過後の信号は、ECU50に入力されて空燃比センサ22の故障判定に利用される。ローパスフィルタ30のカットオフ周波数を100Hzに設定する。ローパスフィルタ40のカットオフ周波数を10Hzに設定する。ハイパスフィルタ32、42を通過した信号の量の増加に伴って、ローパスフィルタ30、40の遮断周波数を、低周波数側へとシフトさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排気ガスセンサの信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特開2002−303601号公報に開示されているように、排気ガスセンサの出力信号をローパスフィルタ(LPF)により濾波(フィルタリング)する構成において、そのローパスフィルタの遮断周波数(カットオフ周波数)を適宜に変更(調節)する構成が知られている。ローパスフィルタは、所定の遮断周波数以下の周波数の信号を選択的に通過させる低域通過型の周波数フィルタである。上記公報にかかる技術は、ローパスフィルタのカットオフ周波数をA/Fセンサの昇温状態、内燃機関の運転状態に応じて変更しており、具体的には、ローパスフィルタのカットオフ周波数をA/Fセンサの昇温中では高く設定し、A/Fセンサの昇温終了後では低く設定している。このようにすることで、A/Fセンサに要求されている早期活性化を実現させながら制御の安定化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−303601号公報
【特許文献2】特開2000−292411号公報
【特許文献3】特開平11−6813号公報
【特許文献4】特開2006−112232号公報
【特許文献5】特開2006−97521号公報
【特許文献6】特開2004−143967号公報
【特許文献7】特開平5−187297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周波数フィルタ(実際上は、ローパスフィルタ)を通した排気ガスセンサ出力信号を空燃比制御に利用する場合、この周波数フィルタ通過後の信号から空燃比制御のために必要な情報が十分な精度で読み取れることが望まれる。一方、このフィルタの遮断周波数が適切な値になっていないと、フィルタ通過後の信号から排気ガス雰囲気を正確に検出することが難しくなり、ひいては空燃比制御の精度が低下してしまう。従来の技術は、このようなフィルタ遮断周波数による空燃比制御の精度悪化の影響についての考慮がなされていない。このような検討不足に起因して、カットオフ周波数を必要に応じて変更することに伴い、空燃比制御を行うための空燃比検出の感度が適正な状態から大きく乖離してしまうおそれがある。その結果、空燃比制御の精度に悪影響がおよぶおそれがある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、フィルタ通過後の排気ガスセンサ出力信号を利用して空燃比制御を行う場合において、空燃比制御の精度が悪化することを抑制することができる排気ガスセンサの信号処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、排気ガスセンサの信号処理装置であって、
内燃機関の排気通路に備えられ、排気ガス中の酸素濃度に応じて出力を変化させる排気ガスセンサと、
遮断周波数が可変であって前記排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以下の周波数の信号を通過させるように濾波を行う低域通過型のフィルタと、
前記低域通過型のフィルタを通過した信号を、前記内燃機関の空燃比の制御に利用する情報として、前記内燃機関の制御装置に対して伝達する手段と、
前記排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以上の周波数の信号を通過させるように濾波を行う高域通過型のフィルタと、
前記高域通過型のフィルタを通過した信号に基づいて、前記低域通過型のフィルタの遮断周波数を調節する周波数調整手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記周波数調整手段は、前記高域通過型のフィルタを通過した信号中に含まれる前記高域通過型のフィルタの遮断周波数以上の周波数の信号の多さ又は大きさに応じて、前記低域通過型のフィルタの遮断周波数を相対的に低周波数側にシフトさせる周波数シフト手段を含むことを特徴とする。
【0008】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記排気ガスセンサは、前記内燃機関に配置された触媒よりも下流に設けられた下流側空燃比センサを含み、
前記内燃機関がフューエルカット、始動運転、触媒暖機完了前の少なくとも1つの運転条件で運転されるときに、前記低域通過型のフィルタの遮断周波数を、高周波数側にシフトさせる特定運転条件周波数シフト手段を含むことを特徴とする。
【0009】
また、第4の発明は、第1乃至3の発明のいずれか1つにおいて、
前記内燃機関の前記排気通路には、触媒が設けられ、
前記排気ガスセンサは、
前記触媒の上流に設けられた、限界電流式の上流側排気ガスセンサと、
前記触媒の下流に設けられた、限界電流式の下流側排気ガスセンサと、
を含み、
前記低域通過型のフィルタは、前記上流側排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以下の周波数の信号を通過させるように濾波を行う第1の低域通過型のフィルタと、前記下流側排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以下の周波数の信号を通過させるように濾波を行う第2の低域通過型のフィルタと、を含み、
前記高域通過型のフィルタは、前記上流側排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以上の周波数の信号を通過させるように濾波を行う第1の高域通過型のフィルタと、前記下流側排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以上の周波数の信号を通過させるように濾波を行う第2の高域通過型のフィルタと、を含み、
前記周波数調整手段は、
前記第1の高域通過型のフィルタを通過した信号に基づいて、前記第1の低域通過型のフィルタの遮断周波数を調節する第1周波数調整手段と、
前記第2の高域通過型のフィルタを通過した信号に基づいて、前記第2の低域通過型のフィルタの遮断周波数を調節する第2周波数調整手段と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、排気ガスセンサ出力信号に含まれる所定周波数以上の信号に基づいて、低域通過型のフィルタの遮断周波数を調節することができる。これにより、低域通過型のフィルタ通過後の排気ガスセンサ出力信号を利用して空燃比制御が行われる場合における空燃比検出感度が適切となるように、低域通過型のフィルタの遮断周波数を調節することが可能となる。その結果、空燃比検出感度の調節を図り、空燃比制御の精度悪化を抑制することができる。
【0011】
第2の発明によれば、排気ガスセンサ出力信号に含まれる、所定周波数以上の信号の多さ又は大きさに基づいて、遮断周波数の調節を行うことができる。これにより、排気ガスセンサによる検出の感度が過度に良好になることで空燃比制御の精度が悪化してしまうことを抑制することができる。
【0012】
第3の発明によれば、制御上要求しているレベル以上に過渡における出力応答がなまされる(時間軸方向に平滑化される)可能性がある特定の運転条件では、これに対処するように低域通過型のフィルタの遮断周波数を調節することができる。
【0013】
第4の発明によれば、将来のエミッション規制の強化、OBD規制の強化、触媒貴金属の低減などに対処する観点から将来的に有望な、触媒の上流及び下流に限界電流式の排気ガスセンサを配置した空燃比制御システムにおいて、空燃比の検出の感度が適切となるように低域通過型のフィルタの遮断周波数を調節することができる。この遮断周波数調節により、空燃比検出感度の調節をし、空燃比制御の精度悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置の構成を、これが適用される内燃機関の構成の一部とともに示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置の構成及び動作を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置の構成の変形例を、これが適用される内燃機関の構成の一部とともに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置の構成を、これが適用される内燃機関の構成の一部とともに示す図である。本実施の形態の制御装置が適用される内燃機関は自動車用の内燃機関であり、より具体的には、予混合燃焼式の4ストローク1サイクルレシプロエンジンである。本実施の形態の信号処理装置は、そのような内燃機関の運転を総合制御するECU(Electronic Control Unit)の一つの機能として実現される。
【0016】
(内燃機関およびシステムの構成)
以下、内燃機関10の具体的構成について説明する。ただし各構成の図示は省略する。内燃機関10は、内部にピストンを有し、このピストンはクランク機構を介してクランクシャフトと接続されている。クランクシャフトの近傍には、クランク角センサが設けられている。クランク角センサは、クランクシャフトの回転角度(以下「クランク角」という。)CAを検出するように構成されている。シリンダブロック上部にはシリンダヘッドが組み付けられており、ピストン上面からシリンダヘッドまでの空間は燃焼室を形成している。シリンダヘッドには、燃焼室内の混合気に点火する点火プラグが設けられている。
【0017】
内燃機関10のシリンダヘッドは、燃焼室と連通する吸気ポートを備え、この吸気ポートと燃焼室の接続部には吸気バルブが設けられている。吸気ポートには吸気通路が接続されており、吸気通路には吸気ポートの近傍に燃料を噴射するインジェクタが設けられている。なお、燃焼室内に直接燃料を噴射する直噴インジェクタを備えるものであっても良い。
インジェクタの上流にはスロットルバルブが設けられている。スロットルバルブは、スロットルモータにより駆動される電子制御式のバルブである。スロットルバルブは、アクセル開度センサにより検出されるアクセル開度AAに基づいて駆動されるものである。スロットルバルブの近傍にはスロットル開度を検出するスロットル開度センサが設けられている。スロットルバルブの上流には、熱線式のエアフロメータが設けられている。エアフロメータは吸入空気量Gaを検出するように構成されている。エアフロメータの上流にはエアクリーナが設けられている。
【0018】
内燃機関10のシリンダヘッドは、燃焼室と連通する排気ポートを備えている。排気ポートと燃焼室との接続部には排気バルブが設けられている。排気ポートには排気通路20が接続されている。排気通路20には、排気ガスを浄化するS/C触媒24(以下「触媒」という。)が設けられている。触媒24は、貴金属の含有量が低減された低貴金属触媒であるものとする。排気通路20における触媒24の上流位置には、限界電流式の空燃比センサ22が設けられている。また、排気通路20における触媒24の下流位置にも、限界電流式の空燃比センサ26が設けられている。これらの空燃比センサ22、26は、ともに、ECU50に接続している。
将来のエミッション規制の強化、OBD規制の強化、触媒貴金属の低減に伴い、制御性、ロバスト性の高い空燃比制御システムが求められている。この要求に対しては、三元触媒(S/C)の前後に空燃比センサ(例えば限界電流式空燃比センサ)を配置したシステムが将来的に有望である。本実施形態は、このような触媒前後にそれぞれ空燃比センサを配置した空燃比制御システムにおいて、本発明に係る空燃比センサの出力処理技術を適用するものである。
【0019】
(空燃比センサの構成)
空燃比センサ22、26は、センサ素子部(図示せず)を有している。空燃比センサ22、26のセンサ素子部は、検出素子としての固体電解質層を有している。この固体電解質層は、部分安定化ジルコニアよりなり、酸素イオン導電性を有する。固体電解質層の一面には、計測電極が設けられている。また、この固体電解質層の他面には、大気側電極(「基準ガス側電極」ともいう。)が設けられている。これらの計測電極及び大気側電極は、ともに白金等よりなり、リードを介して後述のECU50にそれぞれ接続されている。また、固体電解質層の一面には、多孔質拡散抵抗層が形成されている。多孔質拡散抵抗層は、計測電極を覆い、かつ、該計測電極に排気ガスを導入するためのガス透過層と、排気ガスの透過を抑制するガス遮断層とを有している。これらのガス透過層及びガス遮断層は、アルミナやジルコニア等のセラミックスよりなり、平均孔径や気孔率が互いに相違している。
固体電解質層の他面には、大気導入ダクトが形成されている。大気導入ダクトは、上部に大気室(「基準ガス室」ともいう。)を有している。この大気室内に上記大気側電極が配置されている。大気導入ダクトは、アルミナ等の高熱伝導性セラミックスよりなる。大気導入ダクトの下面には、ヒータが設けられている。ヒータは、通電により発熱する複数の発熱体と、該発熱体を覆う絶縁層bとを有している。発熱体は、リードを介してECUに接続されている。
上記のセンサ素子部は、酸素濃度を直線的特性にて検出することができ、検出した酸素濃度に応じた限界電流をECU50に出力し得る。この空燃比センサ出力(限界電流)は、排気ガスの空燃比と相関を有している。具体的には、排気ガスの空燃比がリーン側になるほど限界電流は増大し、排気ガスの空燃比がリッチ側になるほど限界電流は減少する。
【0020】
(制御装置および信号処理装置の構成)
図1に示すように、本実施形態は、制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50の出力側には、点火プラグ、インジェクタ、スロットルモータ等が接続されている。ECU50の入力側には、冷却水温センサ、クランク角センサ、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、エアフロメータ、空燃比センサ等が接続されている。ECU50は、クランク角センサの出力に基づいて、機関回転数NEを算出する。また、ECUは、アクセル開度センサにより検出されるアクセル開度AA等に基づいて、機関負荷KLを算出する。ECUは、機関回転数NEや機関負荷KL等に基づいて、燃料噴射量を決定する。
【0021】
ECU50は、排気ガスの空燃比が目標空燃比になるように燃料噴射量を調整する空燃比制御を実施している。空燃比制御としては、より詳しくは、触媒上流センサの出力信号に基づくメインフィードバック制御と、触媒下流センサの出力信号に基づくサブフィードバック制御とからなるものが知られている。メインフィードバック制御は、触媒上流センサの出力信号を目標空燃比に一致させるための処理であり、サブフィードバック制御は、触媒上流センサの出力信号に含まれる定常的な誤差を補償する処理である。実施の形態における内燃機関の構成では、空燃比センサ22が当該触媒上流センサに相当し、空燃比センサ26が当該触媒下流センサに相当している。
前述したように、本実施形態においては、三元触媒(S/C)の前後に限界電流式の空燃比センサ22、26をそれぞれ配置したシステムを用いている。このようなシステムによれば、触媒下流の排気ガスの濃度(つまり酸素濃度、空燃比)をリニアに検出することができ、触媒24の内部の状態についての適切なモニタリングを行うことができる。
【0022】
図2は、本発明の実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置の構成及び動作を説明するためのブロック図である。図2中では、空燃比センサを「A/Fセンサ」と記している。本実施形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置は、ローパスフィルタ(LPF)30、40およびハイパスフィルタ(HPF)32、42を備えている。ローパスフィルタ30、40は、その遮断周波数(カットオフ周波数)を変更することができるフィルタ回路を用いるものとする。遮断周波数を可変とするフィルタ回路は既に各種技術が公知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。実施の形態にかかるこれらのフィルタ30、32、40、42の具体的構成としては、デジタルフィルタ、アナログフィルタ、パッシブフィルタ、アクティブフィルタ等の各種の方式の周波数フィルタ回路から適宜に選択、採用しうる。実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置では、これらのフィルタの機能はECU50に備えられているものとし、ECU50内で遮断周波数の変更のための処理も実行されるものとする。ただし、ECU50に内蔵される構成に限らず、外部の他の演算処理装置がフィルタ回路を備える構成であっても良い。また、内燃機関の制御にかかる主要な演算処理装置およびその周辺装置にではなく、排気ガスセンサに付随する出力信号処理回路の一部に、これらの周波数フィルタが組み込まれていても良い。これらの各フィルタ(ローパスフィルタ30、40およびハイパスフィルタ32、42)と、ECU50や他の演算処理装置との間には、それら構成の間で信号の伝達を行うためのインターフェースが存在している。
【0023】
図2に示すように、触媒上流の空燃比センサ(空燃比センサ22)の出力信号取込処理S100に対してローパスフィルタ30での濾波が行われ、ローパスフィルタ30の通過後の信号が空燃比制御に利用される(処理S104)。つまり、ローパスフィルタ30を通過した信号が、ECU50に入力されて内燃機関10の空燃比制御(より具体的には燃料噴射量制御)に利用される。また、触媒上流の空燃比センサ(空燃比センサ22)の出力信号取込処理S100には、ハイパスフィルタ32での濾波も行われ、ハイパスフィルタ32の通過後の信号は、ECU50に入力されて空燃比センサ22の故障判定に利用される。一方、図2に示すように、触媒下流の空燃比センサ(空燃比センサ26)の出力信号S120に対してローパスフィルタ40での濾波が行われ、ローパスフィルタ40の通過後の信号がECU50に入力されて空燃比制御に利用される(処理S124)。また、触媒下流の空燃比センサ(空燃比センサ26)の出力信号S120にはハイパスフィルタ42での濾波も行われ、ハイパスフィルタ42の通過後の信号は、ECU50に入力されて空燃比センサ26の故障判定に利用される。
【0024】
本実施の形態において、ローパスフィルタ30は、遮断周波数(カットオフ周波数)が100Hzに設定され、100Hz以下の周波数の信号を選択的に通過させるフィルタである。ハイパスフィルタ32は、遮断周波数(カットオフ周波数)が1kHzに設定され、1kHz以上の周波数の信号を選択的に通過させるフィルタである。一方、ローパスフィルタ40は、遮断周波数(カットオフ周波数)が10Hzに設定され、10Hz以下の周波数の信号を選択的に通過させるフィルタである。ハイパスフィルタ42は、遮断周波数(カットオフ周波数)が1kHzに設定され、1kHz以上の周波数の信号を選択的に通過させるフィルタである。
【0025】
(上流、下流の空燃比センサに共通の出力信号処理)
触媒24の上流および下流にそれぞれ空燃比センサ22、26を配置してその出力信号を用いる場合、以下の点を考慮した出力信号処理を行うことが好ましい。すなわち、触媒の上流および下流に配置した空燃比センサに共通する事項として、電流検知式の空燃比センサの特有の電気信号ノイズへの対処を行うことが好ましい。この電気信号ノイズは、単なる外的な要因による電気ノイズだけではなく、空燃比センサの反応時定数を加味し、空燃比センサが感知している排気ガスの変化の状態をモニタすることができる最適なフィルタ処理を行うことが好ましい。具体的には、例えば一般的なジルコニアを用いた空燃比センサの応答性は、最も早いものであっても100ms程度であり、この反応速度を加味したフィルタ処理を行うことが好ましい。この点を考慮して、実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置では、ローパスフィルタ30のカットオフ周波数が100Hzに設定されている。これにより、触媒24の上流に配置した空燃比センサ22の出力信号に対して、100Hz以下の信号を通過させるフィルタ処理を行うことができる。
【0026】
さらに、触媒下流に空燃比センサを用いたときには、上記の空燃比センサ内部でのガス反応時間に加え、触媒内での反応速度をも加味したうえでフィルタ特性を設定することが好ましい。すなわち、触媒内での反応速度を加味することなく高い応答性のままで空燃比センサ出力を用いると、空燃比制御において、実際の触媒内の空燃比変化の反映のみならず、それ以上に、空燃比のわずかな変化や敏感な空燃比センサ出力変動が反映されてしまう。このような事態を招くと、空燃比制御の基礎として用いようとする値(検出空燃比)の変動が必要以上に敏感になってしまい、エミッション特性上好ましくなく、特に、低貴金属触媒システムの場合にはエミッション悪化を瞬時に招いてしまう。このような観点から、触媒内ガス反応速度と空燃比センサ反応時間の両方を加味することが好ましく、その両方を加味した場合の空燃比センサの応答性は数百msオーダーになる。この点を考慮して、実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置では、ローパスフィルタ40のカットオフ周波数が10Hzに設定されている。これにより、触媒24の下流に配置した空燃比センサ26の出力信号に対して、10Hz以下の信号を通過させるフィルタ処理を行うことができる。
【0027】
(ローパスフィルタの遮断周波数の調節)
さらに、実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置では、下記に述べるように、ハイパスフィルタ32、42を通過した信号(すなわち、ハイパスフィルタ32、42を通過した信号中に含まれる、ハイパスフィルタ32、42の遮断周波数以上の周波数の信号)の量に基づいて、ローパスフィルタ30、40の可変な遮断周波数を調節する。
【0028】
低貴金属触媒を用いた空燃比制御システムは、空燃比センサの応答性がエミッションに対して顕著に影響を与える。このようなシステムでは、空燃比センサ出力が過度に高い応答性での出力特性(挙動)を示すと、正確な排気ガス雰囲気や触媒内雰囲気の検出が妨げられてしまう。すなわち、限界電流式空燃比センサの拡散層にクラックが生じた場合におけるこのクラックによる瞬時のガス感度変化によって、出力の変動が増加してしまう場合や、接触不良によって電気的ノイズが増加してしまうといった場合がある。そのような出力変動増加、ノイズ増加の影響で、正確な排気ガス雰囲気や触媒内雰囲気の検出が妨げられてしまう。この点、ローパスフィルタ30、40によれば、空燃比センサ22、26の出力信号のうち遮断周波数を超える信号を遮断(フィルタリング)することができ、すなわち遮断周波数より高い周波数域にある不要な信号を取り除くことができる。しかしながらその一方で、ローパスフィルタを通した排気ガスセンサ出力信号を空燃比制御に利用する場合に、このローパスフィルタの遮断周波数が適度な値になっていないと、排気ガス雰囲気を正確に検出することが困難になる。特に、何らかの目的でローパスフィルタのカットオフ周波数を必要に応じて変更する等の場合には、空燃比制御を行うための空燃比検出の感度が適正な状態から大きく乖離してしまうおそれもある。その結果、空燃比制御の精度に悪影響がおよぶおそれがある。
【0029】
そこで、実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置では、空燃比制御上問題となる高周波ノイズ成分を検出するためのハイパスフィルタ32、42を、センサ出力信号を処理する出力処理部に設けることにした。前述したように、ハイパスフィルタ32、42は、遮断周波数(カットオフ周波数)が1kHzであり、1kHz以上の周波数の信号を選択的に通過させるフィルタである。実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置では、図2に示す処理S108、S128のように、ハイパスフィルタ32、42を通過した信号の量の増加に伴って、ローパスフィルタ30、40の遮断周波数を、低周波数側へとシフトさせることにした。ここでいう「ハイパスフィルタ32、42を通過した信号の量」とは、「空燃比センサ故障判定処理(処理S110、S130)が空燃比センサに故障が発生したという判定を下すべき根拠となるような信号が、ハイパスフィルタ32、42の通過後の信号にどの程度多く、大きく、又は強く現れているか(例えば、信号の出力レベル、頻度その他)」を意味している。以下、ここで述べた「ハイパスフィルタ32、42を通過した信号の量」を、説明の便宜上、「通過信号量」とも称す。通過信号量が多いという状態は、ハイパスフィルタ32、42の遮断周波数より高い周波数の信号が感知される度合が増加している状態であり、ハイパスフィルタ32、42の出力感度が増加している状態と言える。いわば、実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置は、ハイパスフィルタ32、42の出力感度の増加に伴って、ローパスフィルタ30、40の遮断周波数を低周波数側へとシフトさせるものである。なお、ハイパスフィルタ32、42の出力感度増加に応じた低周波数側へのシフトは、ハイパスフィルタ32、42を通過した信号中に含まれるその遮断周波数以上の周波数の信号の多さ又は大きさに応じて実施することとし、具体的には、例えば、通過信号量が相対的に多いほど、ローパスフィルタの遮断周波数を低周波数側にシフトさせたり、或いは、通過信号量が所定値以上である場合に、ローパスフィルタの遮断周波数を低周波数側に所定の幅だけシフトさせたりしてもよい。
【0030】
これにより、空燃比センサ22、26を用いた空燃比検出が必要以上に良好な感度で実施されてしまうことを抑制し、空燃比制御の精度悪化およびエミッション増加を抑制することができる。
【0031】
(空燃比センサの劣化判定)
実施の形態にかかる内燃機関においては、その制御装置であるECU50が、上記のハイパスフィルタ32、42の通過後に認められる信号の量が所定値を超えた場合に(或いは、ハイパスフィルタ32、42の出力感度が所定値を超えた場合に)空燃比センサに劣化(故障)が生じているものと判定する処理を実行する(図2の処理S110、S130)。このような判定処理は、ECU50に予め記憶されたプログラムの実行により実現される。
空燃比センサ22、26が正常な状態にあるならば、各空燃比センサの出力信号にハイパスフィルタ32、42を通過してくるほどに高い周波数の信号が含まれることは想定しにくい。一方、これに反してハイパスフィルタ通過信号の増大が認められた場合には(つまり遮断周波数より高い周波数域における感度が増大した場合には)、拡散層クラック等により、排気ガス或いは触媒内雰囲気を正確に検出できないレベルの劣化や故障が、空燃比センサに生じているものと判断できる。上記の判定処理の実行によれば、このような異常の検出を行うことができる。これにより、空燃比センサ22、24のそれぞれについて、故障を速やかに判定することができ、空燃比制御システム、特に低貴金属触媒システム等におけるエミッション悪化を検知、抑制することが可能となる。
【0032】
(ローパスフィルタの遮断周波数の調節)
なお、特定の運転条件では、過渡における出力応答が、制御上で要求されているレベル以上になまされる(時間軸方向に平滑化される)可能性がある。この特定の運転条件とは、具体的には、フューエルカットやエンジン始動時、触媒暖機完了前状態を指しており、これらの運転条件下においては、触媒下流の空燃比センサ(空燃比センサ26)の出力信号を濾波するローパスフィルタ40の通過周波数域を100Hz以下にすることが好ましい。そこで、実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置では、ローパスフィルタ40もその遮断周波数が可変なフィルタ回路として、内燃機関10の運転条件が上記の各運転条件に該当するときにはローパスフィルタ40の遮断周波数を100Hzに設定する。
【0033】
以上説明したように、実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置によれば、ハイパスフィルタ32、42をそれぞれ通過した信号中に含まれる遮断周波数(1kHz)以上の周波数の信号に基づいて(特に、実施の形態では前述した通過信号量に基づいて)、ローパスフィルタ30、40それぞれの遮断周波数を調節することができる(処理S108、S128)。これにより、空燃比センサ22、26の出力信号に含まれる所定周波数以上の信号の量(ハイパスフィルタ32、42の遮断周波数以上、具体的には1kHz以上)に基づいて、ローパスフィルタ30、40それぞれの遮断周波数を調節することができる。このような遮断周波数の調節によれば、ローパスフィルタ30、40の通過後の空燃比センサ出力信号をそれぞれ利用して空燃比制御が行われる場合における空燃比検出感度が適切となるように、ローパスフィルタ30、40の遮断周波数(カットオフ周波数)を調節することが可能となる。その結果、空燃比検出感度の調節を図り、空燃比制御の精度悪化を抑制することができる。
特に、実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置によれば、遮断周波数以上の周波数の信号の多さ又は大きさに応じて、ローパスフィルタ30、40それぞれの遮断周波数を相対的に低周波数側にシフトさせることができる。その結果、空燃比センサ22、26による検出の感度が過度に良好になることで空燃比制御の精度が悪化してしまうことを抑制することができる。
【0034】
(変形例)
図3は、本発明の実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置の構成の変形例を、これが適用される内燃機関の構成の一部とともに示す図である。図3の構成では、排気通路20に、図1における触媒24に代えて、タンデム触媒34が設けられている。そして、触媒24の下流位置に配置した空燃比センサ26に代えて、図3では、タンデム触媒34の中央に、空燃比センサ36が配置されている。このようなシステムにおいて、上記の実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置で行ったフィルタ処理(図2)を同様に適用しても良い。
【0035】
なお、上記の実施の形態における「ローパスフィルタの遮断周波数の調節」の欄で説明したように、実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置では、ハイパスフィルタ32、42の出力感度増大に伴って、ローパスフィルタ30、40の遮断周波数を低周波数側にシフトした。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。ハイパスフィルタ32、42の出力感度の増大そのものではなく、ローパスフィルタ30、40を通過した出力信号に対するハイパスフィルタ32、42を通過した出力信号の比(感度比)の増加に伴って、遮断周波数を低周波数側にシフトしてもよい。
また、上記の実施の形態における「空燃比センサの劣化判定」の欄で説明したように、実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置では、ECU50が、上記のハイパスフィルタ32、42の通過後に認められる信号の量が所定値を超えた場合に(或いは、ハイパスフィルタ32、42の出力感度が所定値を超えた場合に)空燃比センサに劣化(故障)が生じているものと判定した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。ローパスフィルタ出力に対して所定値以上の「感度比」に達した場合に、空燃比センサに劣化が生じているものと判定する処理を実行してもよい(図2の処理S110、S130)。
ここでいう「感度比」とは、具体的には、ローパスフィルタ通過信号に対するハイパスフィルタ通過信号の比を指している。空燃比センサ22、26が正常な状態にあるならば、各空燃比センサの出力信号にハイパスフィルタ32、42を通過してくるほどに高い周波数の信号が含まれることは通常は考え難いため、感度比の値もこれに応じた特定、一定の値となるはずである。従って、この感度比が通常時に比して大きい場合(具体的には所定値以上など)には、拡散層クラック等により、排気ガス或いは触媒内雰囲気を正確に検出できないレベルの劣化が、空燃比センサに生じているものと判断できる。このような感度比に基づく判断により、空燃比センサ22、24のそれぞれについて、その故障を速やかに判定することができ、空燃比制御システム、特に低貴金属触媒システム等におけるエミッション悪化を検知、抑制してもよい。
【0036】
なお、上記の実施の形態では、ローパスフィルタ30は、遮断周波数(カットオフ周波数)が100Hzに設定され、ローパスフィルタ40は遮断周波数が10Hzに設定され、ハイパスフィルタ32、42は、遮断周波数(カットオフ周波数)が1kHzに設定されている。しかしながら、本発明における各フィルタの遮断周波数は、上記実施の形態の具体的数値に限定されるものではない。前述したように一般的なジルコニアを用いた空燃比センサの応答性(時定数)は最も早いものであっても100ms程度であるという点を考慮して、この点を加味したうえで、触媒の上流側の空燃比センサ出力に適用するローパスフィルタとしては100Hz近傍(例えば、99Hz、98Hz、・・・90Hz又はそれ以下の周波数、或いは、例えば、101Hz、102Hz・・・、110Hz又はそれ以上の周波数)の所定の遮断周波数を有するフィルタ回路を用いればよい。また、前述したように触媒内ガス反応速度と空燃比センサ反応時間の両方を加味した場合の空燃比センサの応答性(時定数)は数百msオーダーになることを考慮して、触媒下流側の排気ガスセンサ出力に適用するローパスフィルタには10Hz近傍(例えば、9Hz、8Hz、又はそれ以下の周波数、或いは、例えば、11Hz、12Hz、又はそれ以上の周波数)の所定の遮断周波数を有するフィルタ回路を用いればよい。なお、各製品のばらつきや環境変化などを想定して各遮断周波数の調整が可能であるように遮断周波数可変なフィルタ回路を用いてもよく、また、ハイパスフィルタ32とハイパスフィルタ42とでは必ずしも同じ遮断周波数としなくてもよく、各フィルタの遮断周波数を最適化等の観点から異ならしめてもよい。
【0037】
なお、上述した実施の形態では、周波数フィルタとして、ローパスフィルタ30、40、ハイパスフィルタ32、42をそれぞれ用いているが、例えば所定の低域周波数帯を通過させるバンドパスフィルタ(BPF)をローパスフィルタ30、40の代替として用いても良い。例えば所定の高域周波数帯を通過させるバンドパスフィルタをハイパスフィルタ32、42の代替として用いても良い。このように、ローパスフィルタやハイパスフィルタをバンドパスフィルタで代替した構成も、「遮断周波数以下の周波数の信号を通過させるように濾波を行う低域通過型のフィルタ」や「遮断周波数以上の周波数の信号を通過させるように濾波を行う高域通過型のフィルタ」として本発明の技術的範囲に含まれる。このため、このようなバンドパスフィルタを用いた構成も本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、上記の実施の形態では、触媒前後にそれぞれ空燃比センサを配置した空燃比制御システムにおいて、本発明に係る実施の形態にかかる排気ガスセンサの出力信号処理技術を適用した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。空燃比センサが1つである空燃比制御システムに対しても、その空燃比センサと触媒との位置関係(上流か下流か)に応じて、実施の形態にかかる排気ガスセンサの信号処理装置のうち空燃比センサ22または空燃比センサ26について適用した信号処理内容を同様に適用してもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 内燃機関
20 排気通路
22 空燃比センサ
24 触媒
26 空燃比センサ
30 ローパスフィルタ
32 ハイパスフィルタ
34 タンデム触媒
36 空燃比センサ
40 ローパスフィルタ
42 ハイパスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に備えられ、排気ガス中の酸素濃度に応じて出力を変化させる排気ガスセンサと、
遮断周波数が可変であって前記排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以下の周波数の信号を通過させるように濾波を行う低域通過型のフィルタと、
前記低域通過型のフィルタを通過した信号を、前記内燃機関の空燃比の制御に利用する情報として、前記内燃機関の制御装置に対して伝達する手段と、
前記排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以上の周波数の信号を通過させるように濾波を行う高域通過型のフィルタと、
前記高域通過型のフィルタを通過した信号に基づいて、前記低域通過型のフィルタの遮断周波数を調節する周波数調整手段と、
を備えることを特徴とする排気ガスセンサの信号処理装置。
【請求項2】
前記周波数調整手段は、前記高域通過型のフィルタを通過した信号中に含まれる前記高域通過型のフィルタの遮断周波数以上の周波数の信号の多さ又は大きさに応じて、前記低域通過型のフィルタの遮断周波数を相対的に低周波数側にシフトさせる周波数シフト手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の排気ガスセンサの信号処理装置。
【請求項3】
前記排気ガスセンサは、前記内燃機関に配置された触媒よりも下流に設けられた下流側空燃比センサを含み、
前記内燃機関がフューエルカット、始動運転、触媒暖機完了前の少なくとも1つの運転条件で運転されるときに、前記低域通過型のフィルタの遮断周波数を、高周波数側にシフトさせる特定運転条件周波数シフト手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の排気ガスセンサの信号処理装置。
【請求項4】
前記内燃機関の前記排気通路には、触媒が設けられ、
前記排気ガスセンサは、
前記触媒の上流に設けられた、限界電流式の上流側排気ガスセンサと、
前記触媒の下流に設けられた、限界電流式の下流側排気ガスセンサと、
を含み、
前記低域通過型のフィルタは、前記上流側排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以下の周波数の信号を通過させるように濾波を行う第1の低域通過型のフィルタと、前記下流側排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以下の周波数の信号を通過させるように濾波を行う第2の低域通過型のフィルタと、を含み、
前記高域通過型のフィルタは、前記上流側排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以上の周波数の信号を通過させるように濾波を行う第1の高域通過型のフィルタと、前記下流側排気ガスセンサの出力信号に対して遮断周波数以上の周波数の信号を通過させるように濾波を行う第2の高域通過型のフィルタと、を含み、
前記周波数調整手段は、
前記第1の高域通過型のフィルタを通過した信号に基づいて、前記第1の低域通過型のフィルタの遮断周波数を調節する第1周波数調整手段と、
前記第2の高域通過型のフィルタを通過した信号に基づいて、前記第2の低域通過型のフィルタの遮断周波数を調節する第2周波数調整手段と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排気ガスセンサの信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−233444(P2012−233444A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103015(P2011−103015)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】