説明

排気ガス処理装置、その製造方法、マット材およびその製造方法

【課題】長期間使用しても、マット材に排気ガス処理体およびケーシングに対する位置ずれが生じ難い排気ガス処理装置を提供する。
【解決手段】排気ガス処理体と、該排気ガス処理体の外周面の少なくとも一部に巻回された無機繊維を含むマット材と、該マット材が巻き回された排気ガス処理体を収容するケーシングとを備える排気ガス処理装置であって、前記排気ガス処理体と前記マット材の間、および/または前記マット材と前記ケーシングの間に、熱を放出することが可能な発熱体を有することを特徴とする排気ガス処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス処理装置および排気ガス処理装置に使用されるマット材に関する。本発明は、特に自動車の排気ガスを処理するために使用される排気ガス処理装置およびそのような排気ガス処理装置に使用されるマット材に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、多くの種類の排気ガス処理装置が提案され、実用化されている。一般的な排気ガス処理装置は、エンジンの排気ガスマニホールドに連結された排気管の途上に、例えば金属等で構成されたケーシングを設け、その中にセル壁により区画された多数のセルを有する排気ガス処理体を配置した構造となっている。これらのセルは、ハニカム構造で構成されることが多く、特にこの場合、排気ガス処理体は、ハニカム構造体とも呼ばれている。排気ガス処理体の一例としては、触媒担持体、およびディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)等の排気ガスフィルタがある。例えばDPFの場合、上述の構造により、排気ガスが各セルを通って排気ガス処理体を通過する際に、セル壁に微粒子(パティキュレート)がトラップされ、排気ガス中から微粒子を除去することができる。
【0003】
一般に、排気ガス処理装置を構成する場合、排気ガス処理体とケーシングの間には、無機繊維からなるマット材が設置される。このマット材は、車両走行中等における排気ガス処理体とケーシング内面の当接による破損を防ぎ、さらにケーシングと排気ガス処理体との隙間から排気ガスが漏洩することを防止するために用いられる。また、マット材は、排気ガスの排圧により排気ガス処理体が脱落することを防止する役割を有する。さらにマット材は、排気ガス処理体の温度を、反応性を維持するために必要な高温に保持する機能を有する。
【0004】
このマット材は、排気ガス処理体の開口面を除く外周面の少なくとも一部に巻き付けられ、テーピング等によって排気ガス処理体と一体固定化される。その後、この一体品は、例えば、圧入方式により、ケーシング内に圧入、装着されて、排気ガス処理装置が構成される。
【0005】
ここで、例えば、前述の圧入方式により一体品をケーシング内に装着する場合、マット材の外表面とケーシングの内面との間に、摩擦力が生じる。この摩擦力は、一体品をケーシングに挿入する際の抵抗を増加させる。このため、摩擦力が大きくなると、一体品の装着工程中に、マット材が内側の排気ガス処理体および外側のケーシングに対して、位置ずれしてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、このような問題を軽減するため、ケーシングの内面と接するマット材の表面、および排気ガス処理体の外周面と接するマット材の表面の両方に、ラテックスを設置することが提案されている(特許文献1)。この場合、金属ケーシングへの一体品の圧入の際に、マット材とケーシングおよび排気ガス処理体との間に生じる摩擦力を制御することができるため、一体品の圧入作業が容易になることが示されている。
【特許文献1】特開2005−74243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
なお前述のような、ケーシングおよび/または排気ガス処理体に対するマット材の位置ずれは、排気ガス処理装置の製作時に限られるものではない。
【0008】
例えば、排気ガス処理装置をエンジンの排気管の途上に配置した場合、エンジンの稼働時には、高温(例えば、最大1000℃程度)の排気ガスが排気ガス処理装置内に流通され、エンジン停止時には、排気ガスの流通が停止される。この温度変化に伴い、排気ガス処理装置のケーシングおよび排気ガス処理体は、膨脹/収縮するため、マット材は、両表面側から、排気ガス処理体の半径方向に沿って、圧縮/復元の繰り返し負荷を受ける。通常の場合、このような繰り返し負荷により、マット材に含まれる無機繊維の損壊量が増えて行くため、マット材は、時間とともに保持力が低下する。そして、マット材の保持力が排気ガス処理体に対する最小保持力を下回ると、金属ケーシングおよび/または排気ガス処理体に対して、マット材が位置ずれしまう。
【0009】
ここで、前述の特許文献1のマット材の場合、マット材の両表面に設置されたラテックスは、排気ガスの熱により、排気ガス処理装置の使用を開始した後、比較的短時間で全て焼失してしまう。従って、特許文献1のようなマット材においても、排気ガス処理装置の使用後のマット材の経時的な保持力の低下挙動は、通常のマット材となんら変わることはない。
【0010】
さらにこのようなマット材の位置ずれが生じると、前述のようなマット材に要求される機能が発揮できなくなってしまう。
【0011】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、長期間使用しても、マット材に排気ガス処理体およびケーシングに対する位置ずれが生じ難い排気ガス処理装置、およびそのような排気ガス処理装置の製造方法を提供することを目的とする。また、排気ガス処理装置に使用した場合、排気ガス処理体およびケーシングに対する位置ずれが生じ難いマット材、およびそのようなマット材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、排気ガス処理体と、該排気ガス処理体の外周面の少なくとも一部に巻回された無機繊維を含むマット材と、該マット材が巻き回された排気ガス処理体を収容するケーシングとを備える排気ガス処理装置であって、
前記排気ガス処理体と前記マット材の間、および/または前記マット材と前記ケーシングの間に、熱を放出することが可能な発熱体を有することを特徴とする排気ガス処理装置が提供される。
【0013】
当該排気ガス処理装置において、前記発熱体は、該発熱体の近傍で、前記排気ガス処理体および/またはケーシングを溶融するように発熱しても良い。
【0014】
ここで前記発熱体は、前記排気ガス処理体、前記マット材、および/または前記ケーシングの少なくとも一部に、粉末状態で、あるいは層として設置されても良い。
【0015】
また前記発熱体は、有機結合材により結合された状態で設置されても良い。
【0016】
前記発熱体は、発熱の化学反応により、熱を放出しても良い。
【0017】
特に前記化学反応には、出発物質として、金属または合金と、無機化合物とが使用されても良い。
【0018】
また前記無機化合物は、酸化鉄であっても良い。
【0019】
あるいは前記化学反応には、出発物質として、第1の金属または合金と、第2の金属または合金とが使用されても良い。
【0020】
また前記出発物質に含まれる少なくとも一つの物質は、融点が450℃〜1000℃の範囲にあっても良い。
【0021】
特に前記出発物質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでも良い。
【0022】
また前記化学反応による生成物は、1000℃を超える融点を有しても良い。
【0023】
また前記排気ガス処理体は、触媒担持体または排気ガスフィルタであっても良い。
【0024】
また本発明では、排気ガス処理体と、該排気ガス処理体の外周面の少なくとも一部に巻回された無機繊維を含むマット材と、該マット材が巻き回された排気ガス処理体を収容するケーシングとを備える排気ガス処理装置の製造方法であって、
前記排気ガス処理体と前記マット材の間、および/または前記マット材と前記ケーシングの間に、熱を放出することが可能な発熱体を設置するステップを有することを特徴とする排気ガス処理装置の製造方法が提供される。
【0025】
ここで前記発熱体を設置するステップは、前記排気ガス処理体、前記マット材、および/または前記ケーシングの表面に、前記発熱体を、粉末状態であるいは層として設置するステップを有しても良い。
【0026】
また前記発熱体は、有機結合材により結合された状態で設置されても良い。
【0027】
前記発熱体は、発熱の化学反応により、熱を放出するものであっても良い。
【0028】
また当該方法において、前記発熱体を設置するステップは、
前記排気ガス処理体、前記マット材、および/または前記ケーシングの表面に、第1の出発物質を設置するステップと、
前記排気ガス処理装置が完成された際に、前記第1の出発物質が設置された表面と接触する表面に、第2の出発物質を設置するステップと、
前記第1の出発物質と第2の出発物質とを接触または近接させるステップと、
により構成されても良い。
【0029】
さらに当該方法は、前記排気ガス処理装置を450℃から1000℃の範囲の温度に昇温するステップを有しても良い。
【0030】
また、前記排気ガス処理装置を450℃から1000℃の範囲の温度に昇温するステップは、前記排気ガス処理装置に排気ガスを流通させるステップを有しても良い。
【0031】
また前記排気ガス処理体は、触媒担持体または排気ガスフィルタであっても良い。
【0032】
さらに本発明では、第1および第2の主表面を有し、無機繊維を含むマット材であって、
前記第1の主表面および/または第2の主表面に、熱を放出する発熱体が設置されていることを特徴とするマット材が提供される。
【0033】
ここで前記発熱体は、粉末状態で、あるいは層として設置されても良い。
【0034】
また前記発熱体は、有機結合材により結合された状態で設置されても良い。
【0035】
前記発熱体は、発熱の化学反応により、熱を放出するものであっても良い。
【0036】
また前記発熱体は、単位面積当たりの発熱密度が0.1kJ/cmから0.4kJ/cmの範囲となるように設置されても良い。
【0037】
また前記化学反応には、出発物質として、金属または合金と、無機化合物とが使用されても良い。
【0038】
特に、前記無機化合物は、酸化鉄であっても良い。
【0039】
あるいは前記化学反応は、出発物質として、第1の金属または合金と、第2の金属または合金とを有しても良い。
【0040】
また、前記出発物質に含まれる少なくとも一つの物質は、融点が450℃〜1000℃の範囲にあっても良い。
【0041】
特に、前記金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であっても良い。
【0042】
前記化学反応による生成物は、1000℃を超える融点を有しても良い。
【0043】
さらに本発明では、第1および第2の表面を有し、無機繊維を含むマット材の製造方法であって、
前記第1の表面および/または第2の表面に、熱を放出することが可能な発熱体を設置するステップを有することを特徴とする製造方法が提供される。
【0044】
ここで、前記発熱体を設置するステップは、前記第1および/または第2の表面に、前記発熱体を、粉末状態であるいは層として設置するステップを有しても良い。
【0045】
また前記発熱体は、有機結合材により結合された状態で設置されても良い。
【0046】
また前記発熱体は、加熱された際に生じる発熱の化学反応により、熱を放出するものであっても良い。
【発明の効果】
【0047】
本発明では、長期間使用しても、マット材に排気ガス処理体およびケーシングに対する位置ずれが生じ難い排気ガス処理装置、およびそのような排気ガス処理装置の製造方法を提供することが可能となる。また、排気ガス処理装置に使用した場合、排気ガス処理体およびケーシングに対する位置ずれが生じ難いマット材、およびそのようなマット材の製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
(第1の態様)
図1には、本発明による排気ガス処理装置の模式的な分解斜視図を示す。また、図2には、図1の排気ガス処理装置の軸(長手)方向と垂直な面での断面図を模式的に示す。なお、図1の例では、圧入方式により製作される排気ガス処理装置が示されている。しかしながら、排気ガス処理装置は、他の方式、例えば、クラムシェル方式、巻き締め方式、サイジング方式等を用いて製作されても良いことは、当業者には明らかである。
【0049】
図1に示すように、本発明による排気ガス処理装置10は、排気ガス処理体20と、この排気ガス処理体20の外周面に巻き回されたマット材24と、マット材24が巻き回された排気ガス処理体20(以降、「一体化排気ガス処理体」25と称する)を収容するケーシング12とを有する。
【0050】
排気ガス処理体20は、例えば、長手方向と平行な方向に延伸する複数の貫通孔を有する触媒担持体である。このような触媒担持体は、例えばハニカム構造を構成するセラミック製の各セル壁に触媒を担持させることにより構成される。あるいは、排気ガス処理体20は、長手方向と平行な方向に延伸する複数の貫通孔を有し、排気ガス処理体20の2つの開口面のそれぞれにおいて、貫通孔の端部が市松模様状に目封じされたDPFとすることも可能である。
【0051】
図3には、マット材24の形態の一例を示す。マット材24は、第1の主表面250および第2の主表面260を有する。また、マット材24は、巻回方向(図3のX方向)と垂直な両端面70、71に、それぞれ、嵌合凸部50と嵌合凹部60とを有する。従って、このマット材24を排気ガス処理体20の外周面に巻き付ける際には、図1に示すように、マット材24の嵌合凸部50と嵌合凹部60とが嵌合され、マット材24が、排気ガス処理体20上で固定される。さらに、通常の場合、「一体化排気ガス処理体」25の取扱中に、嵌合部が外れないようにするため、マット材24の両端面70、71が接着テープ等で固定される。
【0052】
マット材24は、無機繊維を含むマット状部材で構成される。無機繊維の種類は、特に限られないが、典型的には、アルミナとシリカを含むものが使用される。マット材24は、無機繊維のみで構成した場合、嵩高さが大きくなり、取扱性が悪くなるため、通常、マット材24には、有機結合材が含浸される。
【0053】
ケーシング12は、例えばステンレス鋼、ニッケル合金のような金属で構成される。
【0054】
ここで、図1では、明確化のため説明および図示を省略したが、本発明による排気ガス処理装置10は、図2に示すように、マット材24とケーシング12の界面79、および排気ガス処理体20とマット材24の界面89に、それぞれ、第1の発熱体80および第2の発熱体90を有するという特徴を有する。なお、この例では、界面79、89の双方に、発熱体80、90が設置されているが、いずれか一方が省略されても良い。また、第1および第2の発熱体80、90は、界面79、89の全面にわたって設置されていても、界面79、89の一部に設置されていても良い。第1および第2の発熱体80、90は、所定の温度を超えた際に、熱を放出する特性を有する。例えば、発熱体80、90は、所定の温度を超える温度域で、顕著な発熱反応が生じるような物質で構成される。
【0055】
次に、本発明による排気ガス処理装置10の有する効果について説明する。
【0056】
一般に、排気ガス処理装置を、例えばエンジンの排気管の途上に配置した場合、エンジンの稼働時には、高温(通常400℃〜1000℃程度)の排気ガスが排気ガス処理装置内に流通され、エンジン停止時には、排気ガスの流通が停止される。この温度変化に伴い、排気ガス処理装置を構成するケーシングおよび排気ガス処理体は、膨脹/収縮するため、マット材は、両主表面側から、排気ガス処理体の半径方向に沿って、圧縮/復元の繰り返し負荷を受ける。通常の場合、このような繰り返し負荷により、マット材に含まれる無機繊維の損壊量が増えて行くため、マット材は、時間とともに保持力が低下する。その後、マット材の保持力が排気ガス処理体の保持に必要な最小値を下回ると、マット材は、排気ガス処理体をもはや保持することができなくなる。このため、排気ガス処理体またはマット材は、所定の位置からずれてしまい、排気ガス処理装置が有効な排気ガス処理効果を示さなくなってしまう可能性がある。
【0057】
これに対して、本発明による排気ガス処理装置10は、前述のように、界面79および界面89に、それぞれ、第1の発熱体80および第2の発熱体90を有する。
【0058】
これらの発熱体80、90は、排気ガス処理装置10の使用中に、排気ガス処理体20に導入される排気ガスの熱により加熱される。そして、発熱体80、90の温度が所定の温度を超えると、発熱体80、90から熱が放出される。従って、これらの発熱体80、90が設置された位置およびその近傍では、発熱体から放出された熱により、温度が急激に上昇する。例えば、マット材24とケーシング12の界面79に、第1の発熱体80が設置されている場合、ケーシング12の第1の発熱体80と接触または近接する位置(以下、「高温接触位置」と称する)では、温度が局部的に急激に上昇する。そして、この「高温接触位置」の温度が、ケーシング12の内表面を構成する材料の融点を超えると、ケーシング12の内表面が溶融し、溶融物が形成される。さらに、ケーシング12から生じたこの溶融物は、溶融状態のまま、ケーシング12の内表面と対向するマット材24の外表面(例えば第1の主表面250)の方に移動する。さらに溶融物は、マット材24の外表面からマット材の内部にも侵入する。しかしながら、溶融物の移動により溶融物と第1の発熱体80との距離が遠くなるため、この距離の増加とともに溶融物の温度は低下する。従って、溶融物がある程度移動し、例えば、マット材24の第1の主表面250上のある位置および/またはマット材24の内部のある深さまで到達すると、溶融物の温度がその融点を下回るようになる。従ってこれに伴い、溶融物が凝固し始める。また、例えば、発熱に寄与する物質が消失するなどして、第1の発熱体80による発熱が完了すると、ケーシング12の局部的な温度上昇が止まり、溶融成分の形成が停止される。
【0059】
上述のようなケーシング12の内表面の溶融、溶融物の移動および溶融物の凝固の一連過程により、マット材24とケーシング12の界面79は、最終的に、図4に示すような形態となる。すなわち、界面79には、マット材の第1の主表面250から、マット材の深さ方向に沿って延在する溶融凝固層275が形成される。
【0060】
このような溶融凝固層275は、ケーシング12とマット材24の接合強度の向上に寄与する。溶融凝固層275は、マット材24を構成する多数の無機繊維270を取り込んだ状態で凝固しており、マット材24と、ケーシング12との間で、両者を強固に接合する役割を果たすためである。なお溶融凝固層275は、マット材24の内方にまで延在しているため、マット材24は、横方向(排気ガス処理装置の長手方向)の力に対しても、良好な抵抗力を発揮する。従って、一旦溶融凝固層275が形成されると、それ以降は、マット材24のケーシング12に対する位置ずれは、ほとんど生じなくなる。特に、この効果は、前述のような一般的なマット材の特性の時間的変化が生じる場合、すなわちマット材に含まれる無機繊維の損壊量が時間とともに増加して行く場合であっても、維持されることに着目する必要がある。
【0061】
従って、本発明による排気ガス処理装置では、従来の排気ガス処理装置に比べて、長期間、各部材の位置ずれが生じ難く、このため、長期にわたって安定した排気ガス処理特性を発揮することができる。
【0062】
さらに、ケーシング12に前述のような局部的な溶融が生じることにより、ケーシング12の内表面は、比較的大きな表面粗さを有することになる。この表面粗さの増大は、排気ガス処理装置の長手方向に沿った、マット材24の移動に対する摩擦係数の増加に寄与する。従って、仮に、マット材24が外部からこの方向に大きな応力等を受け、溶融凝固層275の一部が破損されたとしても、ケーシング12の凹凸状の表面により、マット材の位置ずれが生じにくい状態が維持されるという有意な効果が得られる。
【0063】
なお、マット材24と排気ガス処理体20の間の界面89においても、第2の発熱体90により、同様の効果が得られることは明らかであろう。ただし、通常の場合、ケーシング12の内表面は、金属で構成されるのに対して、排気ガス処理体20の外周面は、より融点の高い、コージェライト等のセラミックで構成される。従って、界面89において、前述のような溶融凝固層275を形成するためには、第2の発熱体90の発熱量を第1の発熱体80の発熱量よりも大きくすることが好ましいことに留意する必要がある。
【0064】
このような発熱体は、例えば、化学反応による発熱を利用して熱を放出するものであっても良い。
【0065】
そのような化学反応としては、排気ガスの温度領域(例えば450℃〜1000℃)で、反応が顕著になるものを選定することが好ましい。これにより、排気ガスの流通により、速やかに発熱反応が開始され、前述の効果を得ることができる。
【0066】
化学反応に使用される出発物質は、前述の排気ガスの温度領域で、液体を形成するもの、すなわち、この範囲に融点を有するものが好ましい。このような出発物質を使用することにより、より迅速に化学反応を発生させることができる。通常の化学反応では、固体/固体の反応に比べて、液体/固体または液体/液体の反応の方が、反応速度は大きいからである。
【0067】
これに対して、化学反応によって生じる生成物の融点は、前述の排気ガスの温度領域よりも高いことが好ましい。生成物が液相状態で存在すると、ケーシングまたは排気ガス処理体側の溶融物がこの生成物と混合され、マット材側への移動が阻害される可能性がある。ただし、化学反応によって生じる生成物は、前述の排気ガスの温度領域で昇華または揮発するものであっても良い。この場合、反応生成物によって、溶融物のマット材側への移動が妨げられるという問題の生じる可能性が低減される。
【0068】
発熱体の発熱密度(界面79または89における単位面積当たりの発熱量)は、溶融させる対象にもよるが、0.1〜0.4kJ/cmの範囲であっても良い。ただし、この値は、溶融対象物の融点、溶融量、溶融面積等に依存する。
【0069】
化学反応を利用した発熱体の場合、反応に必要な出発物質として、以下に示すような様々な材料系を使用することができる。
(A)金属(または合金)と無機化合物の組み合わせ
金属と無機化合物の組み合わせには、例えば、アルミニウムと、酸化物、窒化物または炭化物との組み合わせが含まれる。酸化物には、例えば酸化鉄、酸化チタン等が含まれる。また、窒化物には、酸化チタン、窒化珪素、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、窒化バナジウム、窒化ニオブ、窒化タンタル等が含まれる。炭化物には、炭化硼素、炭化アルミニウム等が含まれる。
【0070】
図5には、そのような金属と無機化合物の組み合わせの一例を、生成物の融点と合わせて示す。いずれの反応式においても、反応熱は負の値であり(例えば、NO.1の反応の反応熱ΔHは、−851.5kJ/mol)、すなわちこれらの反応は、発熱反応である。従って、各組み合わせは、いずれも前述の発熱体の出発物質として使用することができる。図5において、各反応の出発物質として使用されるアルミニウムの融点は、約660℃であり、これは、前述の排気ガスの温度と同等またはそれよりも低い。また、各反応の生成物の融点は、最低でも1350℃(例えばNO.3、5のケース)であり、これは、前述の排気ガスの温度よりも高くなっている。
(B)金属(または合金)と金属(または合金)の組み合わせ
化学反応に必要な出発物質として、第1の金属(または合金)と、第2の金属(または合金)の混合物を使用しても良い。第1の金属としては、アルミニウムを使用しても良い。また第2の金属には、鉄、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルおよびニッケル等が含まれる。
【0071】
図6には、そのような第1の金属と第2の金属の組み合わせの一例を、生成物の融点と合わせて示す。いずれの反応式においても、反応熱は負の値であり、すなわちこれらの反応は、発熱反応である。従って、各組み合わせは、いずれも前述の発熱体の出発物質として使用できる。図6において、各反応の出発物質として使用されるアルミニウムの融点は、約660℃であり、これは、前述の排気ガスの温度と同等またはそれよりも低い。また、各反応の生成物の融点は、最低でも1145℃(例えばNO.1のケース)であり、これは、前述の排気ガスの温度よりも高くなっている。
(C)3種類の材料の組み合わせ
上記組み合わせ例では、2種類の物質を出発原料とする場合を中心に説明したが、本発明による発熱体の組み合わせは、これに限られるものではない。例えば、3種類の物質を出発物質としても良い。図7には、そのような組み合わせの一例を、生成物の融点と合わせて示す。いずれの反応においても、反応熱は負の値であり、すなわちこれらの反応は、発熱反応である。従って、各組み合わせは、いずれも前述の発熱体の出発物質として使用できる。図7において、各反応の出発物質として使用されるアルミニウムの融点は、約660℃であり、これは、前述の排気ガスの温度よりも低い。また、各反応の生成物の融点は、最低でも1390℃(AlTi)であり、これは、前述の排気ガスの温度よりも高くなっている。
【0072】
なお、出発物質としてアルミニウム(またはアルミニウム合金)を使用する場合、アルミニウムの酸化を抑制し、および/またはアルミニウムの表面の酸化膜を還元する作用をする物質を添加することが好ましい。これにより、発熱反応をより迅速に(またはより低温で)発生させることができる。そのような効果を有する物質としては、例えば、Mg、Ca、Li等がある。
【0073】
上記説明では、出発物質として使用される金属として、金属元素を例に示したが、出発物質の金属は、合金でも良い。例えば、Al−Cu系合金、Al−Mn系合金、Al−Si系合金およびAl−Mg系合金は、それぞれ、550℃、660℃、580℃、450℃程度の融点を有する。従って、これらの合金を使用することにより、液相の生成温度をより低下させることができる。
【0074】
なお、以上の組み合わせは、一例であって、本発明の範囲を限定するものではないことは明らかであろう。
【0075】
このような発熱体80、90は、刷毛塗り、スプレー塗布等、いかなる方法で、界面79、89に設置されても良い。また発熱体は、界面79、89に、いかなる態様で設置されても良く、例えば粉末状態、またはシートもしくは層の状態で設置されても良い。特に、化学反応による発熱を利用した発熱体を設置する場合、そのような発熱体は、化学反応に必要な出発物質を粉末状にして、界面全域または界面の一部に設置しても良い。あるいは、そのような粉末を有機溶媒と混合して、液体またはペーストを調製して、これらを界面79、89に塗布しても良い。
【0076】
また、発熱体80、90は、ケーシング12の内表面、マット材24の第1および/または第2の主表面250、260、ならびに排気ガス処理体20の外周面など、排気ガス処理装置の完成後に界面を形成する、いかなる表面に設置しても良い。
【0077】
また、例えば、化学反応に必要な第1の出発物質を、ケーシング12の内表面に設置し、一方第2の出発物質をマット材24の一方の主表面に設置しておき、あるいはそれぞれの出発物質を逆に設置し、排気ガス処理装置の製作過程で、両者が接触または近接した際に、界面79に第1の発熱体80が構成されるようにしても良い。排気ガス処理体20の外周面と、マット材24の他方の主表面とにおいても同様のことが言える。図8には、そのような方法で、発熱体が界面79および/または89に設置された排気ガス処理装置を製造する際のフロー図の一例を示す。なお、図8において、「第1(第2)の出発物質」は、単一の物質の他、複数の物質を含んでも良いことに留意する必要がある。
【0078】
上記記載では、排気ガス処理装置が実際に車両等の排気管に接続され、この排気管に流通される排気ガスの熱により発熱体が活性化され、界面79、89に熱が放出される場合(いわば「in−situ熱処理方式))を例に、本発明の特徴を説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限られるものではない。例えば、実際の使用の前に、前述の構成の排気ガス処理装置を電気炉等の中に設置し、高温に維持することにより、発熱体を活性化させ、界面79および/または89に、前述のような溶融凝固物275を形成しても良い(いわば「予備熱処理方式」)。
【0079】
本発明による排気ガス処理装置の一適用例を図9に示す。この図の例では、排気ガス処理装置10は、車両等のエンジンで発生した排気ガスを系外に排出するために設けられた排気管200の途上に設置される。
【0080】
排気管200は、排気ガスの入口管210と、出口管220とを有する。両管の間には、本発明による排気ガス処理装置10が配置される。図9の例では、入口管210および出口管220は、排気ガス処理装置10のケーシング12と接続される位置で径が拡張されるように、テーパ形状となっている。ただし、このようなテーパ形状は、必ずしも必要ではない。
【0081】
本発明による排気ガス処理装置は、前述のように、排気ガス処理体、マット材、ケーシングの各部材に、相互に対する位置ずれが生じにくい構成となっているため、長期間安定な排気ガス処理特性を発揮することができる。
【0082】
なお前述の例では、ケーシング12/マット材24の界面79および/またはマット材24/排気ガス処理体20の界面89に設置された発熱体80、90からの発熱により、部材(ケーシングまたは排気ガス処理体)の一部が溶融し、これにより溶融凝固層が形成される場合を例に、本発明の効果を説明した。しかしながらこの現象は、本発明を分かり易く説明するため、一例として記載されたものに過ぎない。すなわち、発熱体80、90が設置された界面79、89において、前記現象とは異なる挙動が生じても良い。
【0083】
例えば、前述の図5のNO.1に示したアルミニウムと酸化鉄を出発物質とする発熱体を、ケーシング12/マット材24の界面79に設置した場合を考える。例えば、排気ガス処理装置に排気ガスが流通され、界面79の温度がアルミニウムの融点を超えるようになると、発熱体に含まれるアルミニウムの溶融が始まる。溶融したアルミニウムは、マット材24の表面から、その内方に向かって移動し得る。これにより、溶融アルミニウムの一部は、マット材24を構成する無機繊維の一部を被覆するようになる。ここで、発熱体の反応生成物であるアルミナは、溶融状態にあるアルミニウムが反応して生じる。換言すれば、アルミナは、アルミニウムが存在する場所、すなわち、マット材24の内部でも生成されることになる。従って、マット材を構成する無機繊維の一部を被覆する溶融アルミニウムが反応によって反応生成物の層(すなわちアルミナ層)に変化した際、当該無機繊維は、アルミナ層に取り込まれることになる。
【0084】
図10には、そのような現象によって最終的に得られる界面79を示す。界面79では、マット材の主表面250側において、無機繊維270の一部が反応生成物の層276に取り込まれている。このような場合も、最終生成物である反応生成物の層276を介して、マット材24とケーシング12が強固に接合されるため、前述の効果が生じることになる。なおこの場合、前述の図4の場合とは異なり、ケーシング12は、溶融過程を経ていないことに留意する必要がある。
【0085】
このように、発熱体80、90が設置された界面79、89では、いくつかの現象が生じることが考えられる。特に、実際の排気ガス処理装置では、通常、上記両方の現象、さらには他の現象が同時に生じ得る。従って、本発明の思想は、界面79、89に発熱体80、90が設置されたいかなる排気ガス処理装置をも包含し、界面79、89で生じる現象は、特に問題ではないことに留意する必要がある。
(第2の態様)
次に、図11を参照して、本発明の第2の態様について説明する。この態様では、前述のような本発明の効果を奏するマット材が提供される。
【0086】
本発明によるマット材30は、基本的には、前述のマット材24と同様に構成される。ただし、図11に示すように、マット材30では、第1の主表面251および第2の主表面261に、それぞれ発熱体81および91が設置されている。これらの発熱体81、91は、前述の機能を有する発熱体であり、例えば、所定の温度を超えると活性化され、熱を発生する機能を有する。発熱体は、主表面251、261の一部分にのみ設置されていても、図のように全面に設置されていても良い。また図11の例では、発熱体81、91は、両主表面251、261に、層状に設置されている。しかしながら、発熱体は、層以外の形態で、例えば主表面251、261に粉末を分散させること等により、設置されても良い。また発熱体は、主表面251、261のいずれか一方にのみ設置されても良い。
【0087】
なお、このようなマット材30には、以降のマット材の取扱性を改善するため、発熱体が設置された主表面側に、さらに有機化合物からなるシート部材を設置しても良い。設置される発熱体が層以外の形態の場合、これは、極めて有効である。
【0088】
このような発熱体を備えるマット材30は、排気ガス処理体に巻回され、「一体化排気ガス処理体」として、ケーシング内に装着され、排気ガス処理装置が構成される。このような排気ガス処理装置では、前述のように、例えば排気ガスの熱により、発熱体が活性化され、この発熱体から、排気ガス処理体の外周面および/またはケーシングの内表面に向かって熱が放出される。従って、この場合も、溶融凝固物275または反応生成物276の働きにより、排気ガス処理体とマット材の界面および/またはマット材とケーシングの界面の接合力が向上するという、前述の効果を得ることができる。
【0089】
このようなマット材では、排気ガス処理体とマット材の界面、およびマット材とケーシングの界面に、発熱体を容易に配置することが可能となるという利点が得られる。
(本発明によるマット材30の製造方法)
次に、本発明によるマット材30の製造方法の一例について説明する。
【0090】
図12には、本発明によるマット材を製造する方法のフロー図を示す。本発明によるマット材を作製する方法は、無機繊維を含むマット材を提供するステップ(ステップS110)と、該マット材の第1および/または第2の主表面251、261の少なくとも一部に、発熱体81および/または91を設置するステップ(ステップS120)とを含む。以下、両ステップについて詳しく説明する。
(ステップ110)
まず、無機繊維からなる積層状シートを製作する。なお以下の説明では、無機繊維としてアルミナとシリカの混合物を用いるが、無機繊維材料は、これに限られるものではなく、例えばアルミナまたはシリカのみで構成されても良い。アルミニウム含有量70g/l、Al/Cl=1.8(原子比)の塩基性塩化アルミニウム水溶液に、例えばアルミナ−シリカ組成比が60〜80:40〜20となるようにシリカゾルを添加し、無機繊維の前駆体を調製する。特にアルミナ−シリカ組成比は、70〜74:30〜26程度であることがより好ましい。アルミナ組成比が60%以下では、アルミナとシリカから生成されるムライトの組成比率が低くなるため、完成後のマット材の熱伝導度が高くなる傾向にある。
【0091】
次にこのアルミナ系繊維の前駆体にポリビニルアルコール等の有機重合体を加える。その後この液体を濃縮し、紡糸液を調製する。さらにこの紡糸液を使用して、ブローイング法により紡糸する。
【0092】
ブローイング法とは、エアーノズルから吹き出される空気流と紡糸液供給ノズルから押し出される紡糸液流とによって、紡糸を行う方法である。エアーノズルからのスリットあたりのガス流速は、通常40〜200m/sである。また紡糸ノズルの直径は通常0.1〜0.5mmであり、紡糸液供給ノズル1本あたりの液量は、通常1〜120ml/h程度であるが、3〜50ml/h程度であることが好ましい。このような条件では、紡糸液供給ノズルから押し出される紡糸液は、スプレー状(霧状)となることなく十分に延伸され、繊維相互で溶着されにくいので、紡糸条件を最適化することにより、繊維径分布の狭い均一なアルミナ繊維前駆体を得ることができる。
【0093】
ここで、製作されるアルミナ系繊維の平均繊維長は、250μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましい。平均繊維長が250μm未満では、繊維同士が十分に絡み合わず、十分な強度が得られないからである。また無機繊維の平均直径は、特に限られないが、約3μmから約8μmの範囲にあることが好ましく、約5μmから約7μmの範囲にあることがより好ましい。
【0094】
紡糸が完了した前駆体を積層して、積層状シートを製作する。さらに積層状シートに対してニードリング処理を行う。ニードリング処理とは、ニードルを積層状シートに抜き差しして、シートの肉薄化を行う処理である。ニードリング処理には、通常ニードリング装置が用いられる。
【0095】
通常、ニードリング装置は、突き刺し方向(通常は上下方向)に往復移動可能なニードルボードと、積層状シートの表面および裏面の両面側に設置された一対の支持板とで構成される。ニードルボードには、積層状シートに突き刺すための多数のニードルが、例えば約25〜5000個/100cmの密度で取り付けられている。また各支持板には、ニードル用の多数の貫通孔が設けられている。従って、一対の支持板によって積層状シートを両面から押さえつけた状態で、ニードルボードを積層状シートの方に近づけたり遠ざけたりすることにより、ニードルが積層状シートに抜き差しされ、繊維の交絡された多数の交絡点が形成される。
【0096】
また、別の構成として、ニードリング装置は、2組のニードルボードを備えても良い。各ニードルボードは、それぞれの支持板を有する。2組のニードルボードを、それぞれ、積層状シートの表面および裏面に配設して、各支持板で積層状シートを両面から固定する。ここで、一方のニードルボードには、ニードリング処理時に他方のニードルボードのニードル群と位置が重ならないように、ニードルが配置されている。また、それぞれの支持板には、両方のニードルボードのニードル配置を考慮して、積層状シートの両面側からのニードリング処理時に、ニードルが支持板に当接しないように、多数の貫通孔が設けられている。このような装置を用いて、2組の支持板で積層状シートを両面側から挟み、2組のニードリングボードで積層状シートの両側からニードリング処理が行われても良い。このような方法でニードリング処理を行うことにより、処理時間が短縮される。
【0097】
次に、このようにニードリング処理の施された積層状シートを常温から加熱し、最高温度1250℃程度で連続焼成することで、所定の坪量(単位面積当たりの重量)のマット材が得られる。
【0098】
通常の場合、マット材のハンドリング性を向上させるため、得られたマット材には、一方または両方の主表面の側から樹脂のような有機バインダが含浸される。ただし、マット材に含浸される有機バインダは、そのようなマット材を備える排気ガス処理装置を使用した際に、装置から排出される有機成分量を増加させる一因となる。従って、有機バインダの含有量(マット材の総重量に対する有機バインダの重量)は、できるだけ少ないことが好ましく、例えば、1.0〜4.0重量%の範囲とすることが好ましい。
【0099】
なおこのような有機バインダとしては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ゴム系樹脂、スチレン系樹脂などが使用できる。例えばアクリル系(ACM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)樹脂等を用いることが好ましい。
【0100】
このようにして製造されたマット材は、所定の形状に裁断される(例えば図11に示す形状)。
(ステップ120)
次に、裁断されたマット材の第1の主表面の全面または一部に、発熱体が設置される。以下、化学反応により発熱する機能を有する発熱体を例に、マット材に発熱体を設置する方法の一例を説明する。
【0101】
まず最初に、発熱体原料が調製される。発熱体原料は、例えば、前述の図5乃至図7に示すような化学反応に必要な出発物質の粒子を所定の混合比で混合することにより得ることができる。通常の場合、この混合比は、反応の化学量論に従って選定される。例えば、図5のNO.1に示す反応系の場合、アルミニウム粉末と酸化鉄(Fe)粉末は、2:1のモル比となるように混合される。
【0102】
次に、発熱体原料を有機溶媒と混合して、スラリーまたは混濁媒体等の液体を調製する。発熱体原料と有機溶媒との混合には、既存の各種方法を利用することができる。次に得られた液体を、マット材の第1の主表面にスプレー塗布したり、刷毛塗りしたりすることにより、第1の主表面に発熱体を設置することができる。また必要な場合、その後、有機溶媒を揮発させるため、マット材に対して熱処理がなされても良い。
【0103】
あるいは、前記発熱体原料を、粉末状態のままマット材の第1の表面に分散しても良い。ただし、この場合、その後のハンドリングの際に、原料粉末が飛散または落下する恐れがある。従って、この場合は、マット材の第1の主表面に発熱体原料を設置した後に、当該主表面に、例えば高分子系のフィルムまたはシート等を設置して、発熱体原料を被覆することが好ましい。
【0104】
次に、必要な場合、同様の工程により、マット材の第2の主表面の全面または一部に、第1の主表面の発熱体と同じまたは異なる種類の発熱体が設置される。
【0105】
このような工程を経て、少なくとも一方の主表面に発熱体が設置されたマット材が得られる。
【0106】
以下、本発明の効果を実施例により説明する。
【実施例1】
【0107】
(発熱体用混合粉末の製作)
粒径45μm以下のアルミニウム粉末(キシダ化学、純度90%)と、粒径45μm以下の酸化鉄(Fe)粉末(キシダ化学、純度98%)とを、モル比がAl:Fe=2:1となるように秤量し、混合した。混合は、それぞれの粉末を入れた乳鉢にアセトンを添加し、この混合物を60分間混合することにより実施した。その後、これらの混合物を乾燥機に入れ、110℃で1時間乾燥させ、発熱体用の混合粉末を得た。
【0108】
(無機繊維マット材の製作)
アルミニウム含有量70g/l、Al/Cl=1.8(原子比)の塩基性塩化アルミニウム水溶液に、アルミナ系繊維の組成がAl:SiO=72:28となるように、シリカゾルを配合し、アルミナ系繊維の前駆体を形成した。次に、アルミナ系繊維の前駆体に、ポリビニルアルコールを添加した。さらに、この液を濃縮して紡糸液とし、この紡糸液を用いてブローイング紡糸処理で紡糸した。搬送キャリアガス(空気)流量は、52m/sであり、紡糸液の供給速度は、5.3ml/hである。
【0109】
その後、アルミナ系繊維の前駆体を折りたたんだものを積層して、アルミナ系繊維の原料シートを製作した。
【0110】
次に、この原料シートに対して、ニードル処理を行った。ニードル処理は、80個/100cmの密度でニードルが設置されたニードルボードを、原料シートの一方の側にのみ配設し、原料シートの片面側から行った。
【0111】
その後、得られた原料シートを常温から最高温度1250℃で、1時間、連続焼成し、マット材を得た。
【0112】
このようにして得た厚さ7.4mm、坪量1240g/mのマット材を長さ50mm×幅40mmの寸法に切断し、試験用のマット材を製作した。なおこのマット材には、有機バインダは含浸されていない。
【0113】
(試験用サンプルの製作)
前述の方法で作製したマット材を用いて、以下の方法により、図13に示す形状の評価試験用サンプル310を製作した。
【0114】
まず前述の混合粉末を、前述の方法で製作したマット材の一つの主表面(面積50mm×40mm)の全面に、塗布量が75mg/cmとなるように塗布した。この塗布量は、発熱密度に換算すると、0.3kJ/cmに相当する。
【0115】
次に図13に示すように、この混合粉末320が一面に設置されたマット材325を、長さ150mm×幅40mm×厚さ1mmのステンレス鋼板(SUS304)330の中央に、混合粉末320の面が上側となるように置載した。さらにマット材325の両端側には、マット材325の厚さとほぼ同等の厚さを有する金属スペーサ340を配置した。その後、これらの部材の上部に、長さ150mm×幅40mm×厚さ1mmの別のステンレス鋼板(SUS304)350を、ステンレス鋼板330と積層方向の位置が重なるように配置した。最後に、ステンレス鋼板330、350の両端側に金属ワイヤ360を巻き付けて、各部材を固定し、組立体300を得た。
【0116】
この組立体300を大気雰囲気の電気炉に入れ、1000℃で10分間保持した。その後、組立体300を電気炉から取り出し、これを自然冷却させた。得られた組立体300から固定用の金属ワイヤ360を取り外すことにより、各部材が分離され、最終的にステンレス鋼板350とマット材325が一体化された試験用サンプル310が得られた。
【0117】
なお、目視観察の結果、両部材の接合状態は良好であった。またステンレス鋼板350に異常は認められなかった。
【実施例2】
【0118】
実施例1と同様の方法により、試験用サンプルを製作した。ただし実施例2では、マット材表面への混合粉末の塗布量を25mg/cmとした。この塗布量は、発熱密度に換算すると、0.1kJ/cmに相当する。その他の条件は、実施例1と同様である。
【0119】
得られた試験用サンプルの目視試験の結果、両部材の接合状態は良好であった。またステンレス鋼板350に異常は認められなかった。
【実施例3】
【0120】
実施例1と同様の方法により、試験用サンプルを製作した。ただし実施例3では、マット材表面への混合粉末の塗布量を50mg/cmとした。この塗布量は、発熱密度に換算すると、0.2kJ/cmに相当する。その他の条件は、実施例1と同様である。
【0121】
得られた試験用サンプルの目視試験の結果、両部材の接合状態は良好であった。またステンレス鋼板350に異常は認められなかった。
【実施例4】
【0122】
実施例1と同様の方法により、試験用サンプルを製作した。ただし実施例4では、マット材表面への混合粉末の塗布量を100mg/cmとした。この塗布量は、発熱密度に換算すると、0.4kJ/cmに相当する。その他の条件は、実施例1と同様である。
【0123】
得られた試験用サンプルの目視試験の結果、両部材の接合状態は良好であった。またステンレス鋼板350に異常は認められなかった。
【実施例5】
【0124】
実施例1と同様の方法により、試験用サンプルを製作した。ただし実施例5では、マット材表面への混合粉末の塗布量を150mg/cmとした。この塗布量は、発熱密度に換算すると、0.6kJ/cmに相当する。その他の条件は、実施例1と同様である。
【0125】
得られた試験用サンプルの目視試験の結果、両部材の接合状態は良好であった。ただし、ステンレス鋼板350には、変形が生じた。
【比較例1】
【0126】
実施例1と同様の方法により、試験用サンプルを製作した。ただし、この比較例1では、マット材表面に混合粉末は、塗布されていない。その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
【0127】
大気電気炉での1000℃、10分間の保持後、得られた組立体から固定用の金属ワイヤを取り外した。ステンレス鋼板350とマット材は、全く接合されていなかった。
【比較例2】
【0128】
実施例1に示した方法で、無機繊維マット材(縦50mm×幅40mm×厚さ7.4mm)を製作した。このマット材の一方の主表面(面積50mm×40mm)に、0.8mg/cmの塗布量で、高分子材料を設置した。高分子材料には、スチレンブタジエン系の接着材(コニシ(株)製スプレーのりZ−2)を使用した。
【0129】
その後、実施例1に示した方法で、試験用サンプルを製作した。しかしながら、大気電気炉での1000℃、10分間の保持後、ステンレス鋼板350とマット材は、全く接合されていなかった。
【0130】
各実施例および比較例に係る試験用サンプルの製作条件、および熱処理後の状態を、表1にまとめて示す。
【0131】
【表1】

(接合強度の評価)
前述の方法で製作した各試験用サンプル(実施例1〜5、および比較例1〜2)を用いて、マット材とステンレス鋼板の間の接合強度を評価した。接合強度の評価は、図14に示す試験装置400を用いて実施した。
【0132】
試験装置400は、上下に移動可能な中心板410と、その下側に中心板410と同軸で設置され、位置が固定された固定板450と、2つの押さえ付け冶具480とを有する。中心板410および固定板450、押さえつけ冶具480は、いずれもステンレス鋼で構成されている。
【0133】
中心板410の表裏面には、相互に対応する位置に、取り付け部材420が設置されている。各取り付け部材420は、中心板410と接する側とは反対側の表面に、中心板410の平面と略垂直な方向に延伸する多数の針状の突出部を有する。針状の突出部の全長は、約2mmである。取り付け部材420の縦横の寸法は、前述のマット材325の寸法とほぼ同等である(正確には、マット材325よりも幾分大きく、縦50mm×横40mmである)。
【0134】
各押さえつけ冶具480は、矩形状の厚板で構成され、両押さえ付け冶具480において、4隅の対応する位置にはボルト穴が開口されている。また、固定板450の所定の上部位置2箇所にも、ボルト穴が開口されている。
【0135】
接合強度の評価の際には、前述の試験用サンプル310が2つ使用される。試験用サンプル310を試験装置400に設置する際には、まずそれぞれの押さえ付け冶具480の一面に、試験用サンプル310が固定される。試験用サンプル310は、両面接着テープ等を用いて、押さえ付け冶具480と試験用サンプル310のステンレス鋼板350の面とが接するようにして固定される。
【0136】
次に、試験用サンプル310が内側となるように、両押さえ付け冶具480を中心板410の両側に配置する。より具体的には、各試験用サンプル310のマット材325の表面が、それぞれの取り付け部材420の表面と接するようにして、両押さえ付け冶具480が配置される。前述のように、取り付け部材420の表面には、針状の突出部が設けられているため、この突出部を利用することにより、試験用サンプル310を中心板410に対して固定することができる。次に、一方の押さえ付け冶具480の4つの穴から他方の押さえ付け冶具480まで締結ボルト485を通し、締結ボルト485で両押さえつけ冶具480を締め付けることにより、両押さえつけ冶具480の間に設置された試験用サンプル310を固定することができる(図14の左図)。実際の試験では、この締め付け力は、設置後の両マット材325の厚さが5.5mmとなるように調整した。なお、図14の中央の図に示すように、4本の締結ボルト485のうちの下側の2本は、両押さえつけ冶具480の他、固定板450に設けられた開口を貫通している。これにより、2つの押さえつけ冶具480の位置が固定される。
【0137】
試験の際には、図14の右側に示すように、試験装置400の中心板410が上方向に引き上げられる。この際、固定板450および固定板450に固定されている押さえつけ冶具480は、位置が変化しない。従って、この試験では、中心板410の移動により、マット材325とステンレス鋼板350の界面が剪断力を受けることになり、この界面の接合強度を評価することができる。
【0138】
なお引き上げ速度は、10mm/分とし、得られた最大荷重から、以下の式により接合強度を算出した:
接合強度(N/cm)=最大荷重(N)/(マット材の面積(cm)×2)
各試験サンプルにおいて得られた接合強度の値を前述の表1に示す。(なお前述のように、比較例1および比較例2に係る試験用サンプルでは、ステンレス鋼板350とマット材は、全く接合されていなかったため、表1に示した比較例1および比較例2の接合強度の値は、本試験装置のバックグラウンド値(ゼロ点)と見なし得る。)この結果から、実施例1〜5に係る試験用サンプルでは、従来の比較例1に係るサンプルに比べて、接合強度が有意に上昇していることが確認された。
【0139】
図15には、混合粉末の発熱密度と接合強度の関係を示す。この図から、混合粉末の発熱密度の増大とともに、接合強度が向上することがわかる。しかしながら、表1の実施例5に示すように、発熱密度があまり大きくなりすぎると、マット材と接合される被接合対象は、熱による劣化や変形を受けるようになる。従って、発熱密度は、0.6kJ/cm未満であることがより好ましいと言える。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明の排気ガス処理装置は、車両用等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明による排気ガス処理装置の模式的な分解構成図の一例である。
【図2】本発明による排気ガス処理装置の長手方向に垂直な断面を模式的に示した図である。
【図3】本発明による排気ガス処理装置に使用されるマット材の概略図の一例である。
【図4】本発明による排気ガス処理装置における、発熱体の発熱後のマット材とケーシングの界面の模式的な断面図である。
【図5】金属と無機化合物を出発物質とする発熱化学反応の一例を示す図である。
【図6】第1の金属と第2の金属とを出発物質とする発熱化学反応の一例を示す図である。
【図7】3種類の出発物質を利用した発熱化学反応の一例を示す図である。
【図8】本発明による排気ガス処理装置を製造するためのフロー図の一例である。
【図9】本発明による排気ガス処理装置の一適用例を示す図である。
【図10】本発明による排気ガス処理装置における、発熱体の発熱後のマット材とケーシングの界面の別の模式的な断面図である。
【図11】本発明によるマット材の概略図の一例である。
【図12】本発明によるマット材を製造するためのフロー図の一例である。
【図13】試験用サンプルの概略的な断面図を示す図である。
【図14】接合強度測定試験装置の概略図である。
【図15】混合粉末の発熱密度と接合強度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0142】
10 排気ガス処理装置
12 ケーシング
20 排気ガス処理体
24、30 マット材
50 嵌合凸部
60 嵌合凹部
79、89 界面
80、90 発熱体
210 入口管
220 出口管
250、251 第1の主表面
260、261 第2の主表面
270 無機繊維
275 溶融凝固物
276 反応生成物層
300 組立体
310 試験用サンプル
320 混合粉末
325 マット材
340 金属スペーサ
330、350 ステンレス鋼板
360 金属ワイヤ
400 試験装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス処理体と、該排気ガス処理体の外周面の少なくとも一部に巻回された無機繊維を含むマット材と、該マット材が巻き回された排気ガス処理体を収容するケーシングとを備える排気ガス処理装置であって、
前記排気ガス処理体と前記マット材の間、および/または前記マット材と前記ケーシングの間に、熱を放出することが可能な発熱体を有することを特徴とする排気ガス処理装置。
【請求項2】
前記発熱体の発熱により、該発熱体の近傍で、前記排気ガス処理体および/またはケーシングが溶融することを特徴とする請求項1に記載の排気ガス処理装置。
【請求項3】
前記発熱体は、前記排気ガス処理体、前記マット材、および/または前記ケーシングの少なくとも一部に、粉末状態で、あるいは層として設置されることを特徴とする請求項1または2に記載の排気ガス処理装置。
【請求項4】
前記発熱体は、有機結合材により結合された状態で設置されることを特徴とする請求項3に記載の排気ガス処理装置。
【請求項5】
前記発熱体は、発熱の化学反応により、熱を放出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の排気ガス処理装置。
【請求項6】
前記化学反応には、出発物質として、金属または合金と、無機化合物とが使用されることを特徴とする請求項5に記載の排気ガス処理装置。
【請求項7】
前記無機化合物は、酸化鉄であることを特徴とする請求項6に記載の排気ガス処理装置。
【請求項8】
前記化学反応には、出発物質として、第1の金属または合金と、第2の金属または合金とが使用されることを特徴とする請求項5に記載の排気ガス処理装置。
【請求項9】
前記出発物質に含まれる少なくとも一つの物質は、融点が450℃〜1000℃の範囲にあることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一つに記載の排気ガス処理装置。
【請求項10】
前記出発物質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一つに記載の排気ガス処理装置。
【請求項11】
前記化学反応による生成物は、1000℃を超える融点を有することを特徴とする請求項5乃至10のいずれか一つに記載の排気ガス処理装置。
【請求項12】
前記排気ガス処理体は、触媒担持体または排気ガスフィルタであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載の排気ガス処理装置。
【請求項13】
排気ガス処理体と、該排気ガス処理体の外周面の少なくとも一部に巻回された無機繊維を含むマット材と、該マット材が巻き回された排気ガス処理体を収容するケーシングとを備える排気ガス処理装置の製造方法であって、
前記排気ガス処理体と前記マット材の間、および/または前記マット材と前記ケーシングの間に、熱を放出することが可能な発熱体を設置するステップを有することを特徴とする排気ガス処理装置の製造方法。
【請求項14】
前記発熱体を設置するステップは、前記排気ガス処理体、前記マット材、および/または前記ケーシングの表面に、前記発熱体を、粉末状態であるいは層として設置するステップを有することを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記発熱体は、有機結合材により結合された状態で設置されることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記発熱体は、発熱の化学反応により、熱を放出することを特徴とする請求項13乃至15のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項17】
前記発熱体を設置するステップは、
前記排気ガス処理体、前記マット材、および/または前記ケーシングの表面に、第1の出発物質を設置するステップと、
前記排気ガス処理装置が完成された際に、前記第1の出発物質が設置された表面と接触する表面に、第2の出発物質を設置するステップと、
前記第1の出発物質と第2の出発物質とを接触または近接させるステップと、
により構成されることを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
さらに、前記排気ガス処理装置を450℃から1000℃の範囲の温度に昇温するステップを有することを特徴とする請求項請求項13乃至17のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項19】
前記排気ガス処理装置を450℃から1000℃の範囲の温度に昇温するステップは、前記排気ガス処理装置に排気ガスを流通させるステップを有することを特徴とする請求項請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記排気ガス処理体は、触媒担持体または排気ガスフィルタであることを特徴とする請求項請求項13乃至19のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項21】
第1および第2の主表面を有し、無機繊維を含むマット材であって、
前記第1の主表面および/または第2の主表面に、熱を放出する発熱体が設置されていることを特徴とするマット材。
【請求項22】
前記発熱体は、粉末状態で、あるいは層として設置されることを特徴とする請求項21に記載のマット材。
【請求項23】
前記発熱体は、有機結合材により結合された状態で設置されることを特徴とする請求項22に記載のマット材。
【請求項24】
前記発熱体は、発熱の化学反応により、熱を放出することを特徴とする請求項21乃至23のいずれか一つに記載のマット材。
【請求項25】
前記発熱体は、単位面積当たりの発熱密度が0.1kJ/cmから0.4kJ/cmの範囲となるように設置されることを特徴とする請求項24に記載のマット材。
【請求項26】
前記化学反応には、出発物質として、金属または合金と、無機化合物とが使用されることを特徴とする請求項24または25に記載のマット材。
【請求項27】
前記無機化合物は、酸化鉄であることを特徴とする請求項26に記載のマット材。
【請求項28】
前記化学反応は、出発物質として、第1の金属または合金と、第2の金属または合金とを有することを特徴とする請求項24または25に記載のマット材。
【請求項29】
前記出発物質に含まれる少なくとも一つの物質は、融点が450℃〜1000℃の範囲にあることを特徴とする請求項24乃至28のいずれか一つに記載のマット材。
【請求項30】
前記金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることを特徴とする請求項24乃至28のいずれか一つに記載のマット材。
【請求項31】
前記化学反応による生成物は、1000℃を超える融点を有することを特徴とする請求項24乃至30のいずれか一つに記載の排気ガス処理装置。
【請求項32】
第1および第2の表面を有し、無機繊維を含むマット材の製造方法であって、
前記第1の表面および/または第2の表面に、熱を放出することが可能な発熱体を設置するステップを有することを特徴とする製造方法。
【請求項33】
前記発熱体を設置するステップは、前記第1および/または第2の表面に、前記発熱体を、粉末状態であるいは層として設置するステップを有することを特徴とする請求項32に記載の製造方法。
【請求項34】
前記発熱体は、有機結合材により結合された状態で設置されることを特徴とする請求項33に記載の製造方法。
【請求項35】
前記発熱体は、発熱の化学反応により、熱を放出することを特徴とする請求項32乃至34のいずれか一つに記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−236047(P2009−236047A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84611(P2008−84611)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】