説明

排気ベントボックス

【課題】排気中に形成される固体によって閉塞されにくい、効率的かつ効果的な排気放出装置を提供する。
【解決手段】排気放出用装置が、排気源から排気ガス133を取り入れる排気入口パイプ103と、主ベントパイプとを備える。主ベントパイプは、冷却ガス138を主ベントパイプ内に取り入れるための少なくとも1つの上方冷却ガス吸入孔111をその壁129に有し、かつ、ベントダクトと流体連通している上方端部131を有する、上方部分105と、入口パイプ103と流体連通して取り付けられた中間部分107と、下方端部115を有している下方部分109とを備える。冷却ガス流147は、被覆部材143を通って主ベントパイプの中間部分の壁124に設けられた少なくとも1つの孔149から排気ガス流133に導入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉の排気放出用装置および方法に関する。特に、本発明は、排気中で形成されるまたは排気に伴出される固体によって閉塞されにくい、炉の高温排気放出用装置および方法に関する。本発明は、例えばLCD基板として有用なガラスシートなどの種々のガラス製品を製造するためにガラスを溶解する、ガラス溶解タンクに有用である。
【背景技術】
【0002】
多くの高温プロセスでは、いくらかの固体粒子を含む、あるいは粒子を生成するガスを含む、かなりの量の排気が発生する。この排気は、冷却して適切に排出されるよう導く必要がある。例えば、炉内、特にガス燃焼タンクにおいてガラス材料を溶解するプロセスでは、大量の高温排気が発生し、この排気にはかなりの量のバッチ材料の粒子、形成されたガラス材料の粒子、そして例えばガラス材料の種々の成分の、冷却時に凝縮するガスが含まれている可能性がある。この高温排気は炉から出るときに1500℃を超える温度を有している可能性があるため、通常のベントパイプに導入される前に冷却されなければならない。
【0003】
種々の排気放出用装置およびシステムが、さまざまな種類のガラス溶解タンクに関連してこれまでに設計され使用されていた。しかしながら、排気に大量の粒子や凝縮物が含まれているときに、これらの放出用装置の多くは固体の形成、集積、および蓄積をしてしまいがちであるという欠点を有し、このことが、頻繁な清掃さらには放出用システムの故障やプロセス停止にさえ繋がるような、排気経路の圧縮、放出効率および効果の低減を、最終的にもたらす可能性があった。このような望ましくない固体の集積および蓄積を閉塞と呼ぶことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、効率的かつ効果的で閉塞しにくい高温排気放出用システムに対する要求を満足させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のいくつかの態様がここで開示される。これらの態様は互いに重複している可能性もあるし重複していない可能性もあることを理解されたい。すなわち、ある態様の一部は別の態様の範囲内であるかもしれないし、逆もまた同様である。
【0006】
各態様はいくつかの実施形態によって示され、この実施形態は、1以上の具体的実施形態を含み得る。その実施形態は、互いに重複している可能性もあるし重複していない可能性もあることを理解されたい。すなわち、ある実施形態の一部、すなわちその実施形態の具体的実施形態は、別の実施形態の範囲、すなわちその別の実施形態の具体的実施形態の範囲内であるかもしれないし範囲内ではないかもしれないし、逆もまた同様である。
【0007】
本開示の第1の態様は、
(I)排気源から排気ガス(133)を取り入れる排気入口パイプ(103)、および、
(II)主ベントパイプ(105、107、109;205、207、209)であって、
冷却ガス(138)をこの主ベントパイプ内に取り入れるための少なくとも1つの上方冷却ガス吸入孔(111)をその壁(129)に有し、かつ、ベントダクトと流体連通している上方端部(131)を有する、上方部分(105、205)と、
入口パイプ(103)と流体連通してこの入口パイプに取り付けられた中間部分(107、207)と、
下方端部(115)を有している下方部分(109、209)と、を含む主ベントパイプ、
を備えている排気放出用装置(101、201)である。
【0008】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、装置(201)は、
(III)主ベントパイプの下方部分(209)および/または中間部分(207)の少なくとも一部を包囲する下方部分冷却ガス被覆部材(219)をさらに備えている。
【0009】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、下方部分冷却ガス被覆部材(219)は、中間部分(207)の壁(124)の端部孔(235)を介して主ベントパイプの中間部分(207)と流体連通している。
【0010】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、主ベントパイプの下方部分(109)は、主ベントパイプの下方部分(109)内に冷却ガス(134)を取り入れるための少なくとも1つの下方冷却ガス吸入孔(117)をその壁(120)に有している。
【0011】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、放出用装置(101)は、
(IV)少なくとも1つの下方冷却ガス吸入孔(117)を包囲する下方冷却ガス吸入プレナム(119)であって、冷却ガスがこの下方冷却ガス吸入プレナム(119)に流入する際に通過する少なくとも1つの冷却ガス入口(121)を備えている、下方冷却ガス吸入プレナム(119)をさらに含む。
【0012】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、排気放出用装置(101、201)は、
(V)少なくとも1つの上方冷却ガス吸入孔(111)を包囲する上方冷却ガス吸入プレナム(113)であって、冷却ガス(138)がこの上方冷却ガス吸入プレナム(113)に流入する際に通過する少なくとも1つの冷却ガス入口(115)を備えている、上方冷却ガス吸入プレナム(113)をさらに含む。
【0013】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、放出用装置(101、201)は、
(VII)入口パイプ(103)の少なくとも一部を包囲する入口冷却ガス被覆部材(143)をさらに含む。
【0014】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、入口冷却ガス被覆部材は、主ベントパイプの壁(124)の端部孔(235)を介してこの主ベントパイプと流体連通している。
【0015】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、入口冷却ガス被覆部材は、この入口冷却ガス被覆部材の内部空間を遠回りの経路に分割する少なくとも1つの羽根部材または分割壁を備えている。
【0016】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、放出用装置(101、201)は、
主ベントパイプの下方部分(109、209)内に設置された、固体を回収するための取外し可能なトレイをさらに備えている。
【0017】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、主ベントパイプの下方部分(109、209)の下方端部(115)は、主ベントパイプを補修するための開閉可能なポートを備えている。
【0018】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、主ベントパイプの中間部分(107、207)は、主ベントパイプおよび/または入口パイプ(103)を補修するための開閉可能な側面ポート(127)を備えている。
【0019】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、側面ポート(127)は、入口パイプと向かい合った、主ベントパイプの側面に位置している。
【0020】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、上方部分(105、205)の上部は、操作中の主ベントパイプ内部のガス流の方向にテーパした形状を有している。
【0021】
本開示の第2の態様は、排気ガス流を放出するためにこれまでに記述した任意の排気放出用装置(101、201)を接続して備えているガラス溶解炉を用いてガラス材料を製造するプロセスである。
【0022】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、主ベントパイプの上方端部(131)でのガスの圧力は、溶解炉内部でのガスの圧力よりも低い。
【0023】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、主ベントパイプの上方端部(131)でのガスの圧力は、冷却ガスを取り入れるための吸入孔(111、117)または冷却空気入口(144、221)のいずれにおけるガスの圧力よりも低い。
【0024】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、上方部分(105、205)の端部でのガス流(139)の平均温度は約600℃未満である。
【0025】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、ガラス材料は、炉の内部においてガラス溶解温度未満で揮発する成分を少なくとも1種類含む組成を有している。
【0026】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、ガラス材料は、B23、またはSnO2、またはこの両方、を含む組成を有している。
【0027】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、ガラス溶解炉から出てすぐの排気ガス流(133)は、少なくとも1400℃の平均温度を有している。
【0028】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、冷却ガスは排気入口パイプ(103)内に直接導入されることはない。
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、主ベントパイプに取り付けられた入口パイプの端部でのガスの平均温度は少なくとも1000℃である。
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、入口パイプ内での固体物質の蓄積は実質的に避けられる。
【0029】
本開示の第1の態様の特定の実施形態において、排気放出用装置の主ベントパイプ(105、107、109;205、207、209)は、実質的に鉛直に設置される。
【0030】
本開示の第1の態様による排気放出用装置の特定の実施形態において、上方部分は、上方部分の壁の周りに実質的に均等に分布された少なくとも2つの上方冷却ガス吸入孔を有している。
【0031】
本開示の第1の態様による排気放出用装置の特定の実施形態において、下方部分は、下方部分の壁の周りの略同じ高さに実質的に均等に分布された少なくとも2つの下方冷却ガス吸入孔を有している。
【発明の効果】
【0032】
本開示の種々の態様の1以上の実施形態は、以下の利点のうち1つ以上を有している。水平な入口パイプ内において高温の排気ガス流が冷却ガスと混合することが避けられるため、入口パイプでの凝縮性成分の凝縮や塵埃粒子の沈殿が減少し、その結果この場所に固体材料が堆積する速さや量が減少してベントボックスの閉塞を全体的に減少させることに繋がる。さらに、側面ポートは、入口パイプや主ベントパイプの内部に蓄積された固体物質を定期的に除去する、排気入口パイプおよび主ベントパイプの補修に便利である。さらに、下方ポートは、通常の操作や補修中に沈殿した塵埃粒子や凝縮物を回収するものとして機能し得るものであり、ベントパイプの補修や任意の沈殿した固体材料の除去を容易にする。さらに、被覆部材を通過する冷却ガス流を用いて入口パイプおよび主ベントパイプを冷却すると、ベントボックスの寿命を延ばすことができ、また比較的低コストの材料を用いてベントボックスを構成することができる。
【0033】
本発明のさらなる特徴および利点は以下の詳細な説明の中で明らかにされ、ある程度は、その説明から当業者には容易に明らかになるであろうし、あるいは添付の図面や書かれた説明およびその請求項で説明されたように本発明を実施することにより認識されるであろう。
【0034】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単に本発明を例示したものであり、主張される本発明の本質および特性を理解するための概要または構想を提供することを意図したものであることを理解されたい。
【0035】
添付の図面は、本発明をさらに理解することができるように含まれているものであり、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本開示の一実施の形態による、排気ベントボックスを示す概略図
【図2】本開示の別の実施の形態による、排気ベントボックスを示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0037】
本書で用いられる「冷却ガス」とは、このガスが導入されるガス流あるいはこのガスを用いて冷却するガス流よりも、低い温度を有しているガスを意味するために用いられる。すなわち「冷却ガス」は、冷却対象の排気ガス流よりも低い温度を有する空気流、すなわち低温のN2、CO2、H2O、O2、または他のガス、あるいはこれらの混合物の流れとすることができる。
【0038】
燃料燃焼型ガラス溶解炉からの排気流は、特に(i)O2、N2、CO2、H2Oなど空気の通常の成分、(ii)窒素酸化物(NO2、NOなど、集合的にはNOx)、(iii)B23、SnO2、P25などガラス材料の気相の揮発性成分、(iv)溶融ガラスの固体粒子、および(v)シリカ、アルミナなど炉に充填される種々のバッチ材料の固体粒子、を含む可能性がある。すなわち、排気流は典型的には汚染軽減ステップを必要とし、その後この排気流を安全に大気中に放出することができる。この汚染軽減には、これらに限られるものではないが、NOxの削減や塵埃粒子の回収などが含まれる。放出用パイプまたはダクトは、典型的には排気ガスを遠隔の汚染軽減装置に導くために採用される。このような排気放出用パイプにおいて見られる典型的な問題は、塵埃粒子の凝集と揮発性成分の内壁への凝縮であり、これは時間が過剰になると閉塞や放出効率および効果の低下に繋がる可能性があり、さらに炉の通常操作中にこの閉塞を取り除くことができなければ、最終的に処理が停止してしまう可能性もある。
【0039】
燃料燃焼型ガラス溶解炉から出てきたばかりの排気ガスは通常極めて高温であり、典型的には1000℃を超え、例えば最高で約1500℃にも達する。排気がその排気パイプの実質的に長い区間に入る前にこの排気を冷却することは、パイプの材料費やメンテナンス費を削減するために非常に望ましい。この冷却は、典型的には排気流内に低温の冷却ガスを導入することによって達成される。
【0040】
図1を参照すると、本発明の一実施の形態による排気ベントボックス101が示されている。ベントボックス101は排気入口パイプ103を含み、この入口パイプ103は、排気流133を取り込むために排気源と接続するのに適したフランジ102をその端部に備えている。排気流133は入口パイプの内壁104の内側に閉じ込められる。特定の特に有利な実施形態において、排気入口パイプ103は本質的に水平であるため、排気流133は実質的に重力と直角の方向に移動する。この配置により、入口パイプでの粒子集積の量、およびこの部分での閉塞の可能性を減少させることができる。特定の炉設計および形状の要望に合わせて、入口パイプの一部または全体を他の向きとすることもまた可能である。
【0041】
上述したように、燃料燃焼型ガラス溶解炉から入口パイプ103に入ってきたばかりの排気流133は典型的には非常に高温である。すなわち、入口パイプ103の加工に用いられる材料は、このような高温に耐えられるものであることが望ましい。特に、高温で耐酸化性のステンレス鋼は、入口パイプ103に最適な材料である。さらに、図1に示すように、排気入口パイプ103を包囲する外側被覆壁145により画成される被覆部材143内に冷却ガス入口パイプ144から導入される冷却ガス流147によって、入口パイプを冷却してもよい。図1に示すように、冷却ガス流147は、(後に詳述する)主ベントパイプの中間部分の壁124に設けられた少なくとも1つの孔149から排気ガス流133に導入される。入口パイプ103内において冷却ガス流147を高温排気133に直接混合して冷却すると、入口パイプ103内の凝縮や閉塞を招く可能性があることから、これを避けるために、図1に示すように、孔149の位置は冷却ガス流147が直接その入口に導入されないよう選定される。他の実施形態において、冷却ガス流147を排気ガス流133に導入せずに、被覆部材143から周囲の大気へと放出させることも可能である。冷却ガス流147の1つの主機能は、入口パイプ103の温度を下げて入口パイプの寿命を延長させることである。1つの有利な実施形態においては、入口パイプ103のより効果的な冷却を可能にするため、冷却ガス被覆部材143は、冷却ガス流を通過させるための遠回りの経路に被覆部材の内部空間を分割する1以上の羽根部材または分割壁を含んでもよい。
【0042】
排気ベントボックス101は、3つの部分、すなわち上方部分105と、中間部分107と、下方部分109とを備えている主ベントパイプをさらに含む。図1に示すように、これら3つの部分は本質的に鉛直、同軸(すなわち、3つの部分の軸が互いに平行)、および入口パイプ103と直角である。しかしながら、この3つの部分を異なる方向に向けることも可能であり、すなわちこれらの軸は互いに対して0ではない角度を形成するものでもよいし、さらにこれらの軸は入口パイプ103の軸に対して鋭角または鈍角を呈するものでもよい。例えば、下方部分109と中間部分107との接続に、0°から90°、例えば15°、30°、45°、60°などの角度を有するエルボを用いてもよい。しかしながら、中間部分に対する下方部分の向きに関係なく、固体粒子の蓄積が重力に助けられて主に下方部分、特に下方部分の下部に生じ得るように下方部分を設置することが非常に望ましい。このため、下方部分の軸は実質的に鉛直に設置してもよい。
【0043】
中間部分107は、排気入口パイプ103と流体連通して取り付けられる。すなわち、排気ガス流133は冷却ガス流147とともにベントボックスの中間部分107内に流入する。中間部分107の側壁124には、入口パイプ103と向かい合って、あるいはこれに隣接して、側面ポート127が設置される。一実施の形態において、側面ポートは中間部分107と入口パイプ103とを観察できる窓を備えている。別の実施形態において、側面ポート127はドアを備え、このドアからベントボックスや入口パイプに接近して、凝集された塵埃粒子の除去などの補修をすることができる。
【0044】
中間部分の下方には、中間部分に流体連通して下方部分109が取り付けられ、この下方部分109の壁120には、下方冷却ガス吸入プレナム119の内部に収容された複数の下方冷却ガス吸入孔117が備えられている。図1に示した冷却ガス吸入孔117は、本質的に円形であり、また本質的に壁120の同じ高さに位置している。しかしながら、他の実施形態においては、冷却ガス吸入孔117を細長い孔状のような他の形状とすることも可能であり、さらに冷却ガス流134を十分な流速および所望の方向で下方部分109に導入できるものであれば、冷却ガス吸入孔117は異なる高さに位置していてもよい。例えば、冷却ガス吸入孔117を、プレナム119の内部に収容された互い違いの細長い孔(staggered slots)とすることもできる。下方冷却ガス流134は、下方冷却ガス入口121からプレナム119に流入させることができる。下方冷却ガス流は、下方部分109に流入すると、上方に移動するガス流135を形成する。上流位置では、下方の冷却ガス流135が排気ガス流133および排気入口パイプの冷却ガス流147と結合し、ベントボックスの上方部分105へと上方に移動するより大きな流れ137を形成する。図1に示すように、下方部分109は、下方ポート115に端部を有するテーパ部123を冷却ガス吸入孔117および下方ガス吸入プレナム119の下にさらに含む。一実施の形態において、下方ポート115は塵埃粒子を回収するための滑動可能なトレイ(図示なし)を備える。すなわち、このトレイは、炉およびベントボックスの通常の操作中に主ベントパイプから沈殿する塵埃粒子、あるいは補修中に取り除かれた入口パイプ103や主ベントパイプの内壁に堆積した粒子、を回収するように機能し得る。別の実施形態において、下方ポート115は鉛直パイプを時々補修するためのドアを備える。
【0045】
図示のように、上方部分105の壁129には、上方冷却ガス吸入プレナム113の内部に収容された複数の上方冷却ガス吸入孔111が備えられている。上方冷却ガス流138は側面入口115からプレナム113に流入し、流れ137と結合してさらに大きなガス流139を形成し、このガス流139は、下流のポンプまたはファンなどによって生じる低圧141によってさらに上方に移動させられる。図示のように、上方部分はテーパする直径を有している上流部と、下流ガスパイプラインに接続するのに適したフランジ131とを備えている。他の実施形態において、上流部は実質的に円筒形状を有するものでもよい。
【0046】
図2は、本開示の第2の実施形態による排気ベントボックス201を概略的に示したものであり、図1の実施形態と本質的に同様に冷却ガス被覆部材143により包囲された排気入口パイプ103を備えている。ベントボックスは、図1の実施形態の上方部分105と本質的に同様の上方部分205と、中間部分205および下方部分209をさらに備えている。ベントボックス201とベントボックス101の大きな違いは、下方部分と中間部分にある。図2に示すように、下方部分209の壁120には下方冷却ガス吸入孔や下方冷却ガス吸入プレナムが設けられていない。その代わりに、入口パイプ103や側面ポート127が占めていない、下方部分209の壁120と中間部分207の壁124の大部分は、冷却ガス被覆部材219によって包囲されている。冷却ガス流234は入口221から被覆部材219内に導入され、上方に移動して壁124の孔235から主ベントパイプに流入する。排気入口パイプ103の冷却ガス被覆部材143と同様に、冷却ガス被覆部材219は、高い冷却効率を達成するように冷却ガスを通過させるため、被覆部材の内部空間を遠回りの経路に分割する1以上の羽根部材または分割壁(図示なし)を含んでもよい。冷却ガス234の主機能は、主ベントパイプの下方および中間部分を低温に維持して酸化を低減させることであり、すなわちこの主機能によって整備の必要性が減少する。
【0047】
図1および2の両実施形態において示すように、高温排気ガス流133を冷却ガス流135および138などと直接混合するのは、入口103の内部では実質的に避けられる。この配置によれば、入口パイプの内部は比較的高温に維持されるため、B23、SnO2、およびP25などの凝縮性成分の凝縮や、凝縮物および他の固体の蓄積は低減される。冷却ガスとの混合および排気流の温度の降下が生じるのは主に主ベントパイプ内であり、この主ベントパイプ内で凝縮物や降下する塵埃粒子を回収し、側面ポート127や下方部分の滑動可能なトレイからこれらを取り除くことができる。
【0048】
本開示の第2の態様は、本書で説明した排気放出用装置を備えているガラス溶解炉を用いてガラス材料を溶解するプロセスを対象としている。この設計によりガス流パターンが向上し、それに関連して閉塞傾向を減少させることができるため、本開示の排気ベントボックスは、凝縮し易く閉塞を生じ易いB23、SnO2、および/またはP25のような高レベルの揮発性成分を含むガラス材料を溶解するガス燃焼式ガラス溶解タンクとともに用いると特に有利である。放出用装置の説明に関連して上述したように、このプロセスは、少なくとも1000℃の温度を有し最高で約1500℃以上にも達する排気ガスを放出することになるガラス溶解プロセスに有利に用いることができる。このプロセスは、600℃を超える温度で損傷し得る部品を含んでいる可能性のある通常のダクトに排気ガス流が流入する前に、この排気ガス流の温度を、放出用装置の端部で800℃未満、例えば700℃未満あるいは600℃未満にまで減少させる能力を有する。
【0049】
本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明の種々の改変および代替が作製可能であることは当業者には明らかであろう。すなわち、本発明は、添付の請求項およびその同等物の範囲内で提供される本発明の改変および変形を含むと意図されている。
【符号の説明】
【0050】
101 排気放出用装置
103 排気入口パイプ
105 上方部分
107 中間部分
109 下方部分
111、117 冷却ガス吸入孔
115 下方ポート
127 側面ポート
133 排気ガス
134、138 冷却ガス
143 被覆部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気放出用装置(101、201)であって、
(I)排気源から排気ガス(133)を取り入れる排気入口パイプ(103)、および、
(II)主ベントパイプ(105、107、109;205、207、209)であって、
冷却ガス(138)を該主ベントパイプ内に取り入れるための少なくとも1つの上方冷却ガス吸入孔(111)をその壁(129)に有し、かつ、ベントダクトと流体連通している上方端部(131)を有する、上方部分(105、205)と、
前記入口パイプ(103)と流体連通して該入口パイプに取り付けられた中間部分(107、207)と、
下方端部(115)を有している下方部分(109、209)と、を含む主ベントパイプ、
を備えていることを特徴とする排気放出用装置。
【請求項2】
(III)前記主ベントパイプの前記下方部分(209)および/または前記中間部分(207)の少なくとも一部を包囲する下方部分冷却ガス被覆部材(219)をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の排気放出用装置(201)。
【請求項3】
(V)少なくとも1つの上方冷却ガス吸入孔(111)を包囲する上方冷却ガス吸入プレナム(113)であって、冷却ガス(138)が該上方冷却ガス吸入プレナム(113)に流入する際に通過する少なくとも1つの冷却ガス入口(115)を備えている、上方冷却ガス吸入プレナム(113)をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の排気放出用装置(101、201)。
【請求項4】
(VII)入口パイプ(103)の少なくとも一部を包囲する入口冷却ガス被覆部材(143)をさらに含むことを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の排気放出用装置。
【請求項5】
前記入口冷却ガス被覆部材が、前記主ベントパイプの壁(124)の端部孔(235)を介して該主ベントパイプと流体連通していることを特徴とする請求項4記載の排気放出用装置。
【請求項6】
前記入口冷却ガス被覆部材が、該入口冷却ガス被覆部材の内部空間を遠回りの経路に分割する少なくとも1つの羽根部材または分割壁を備えていることを特徴とする請求項5記載の排気放出用装置。
【請求項7】
排気ガス流を放出するために請求項1から6いずれか1項記載の排気放出用装置(101、201)を接続して備えているガラス溶解炉を用いてガラス材料を製造するプロセス。
【請求項8】
前記上方部分(105、205)の前記端部でのガス流(139)の平均温度が約600℃未満であることを特徴とする請求項7記載のガラス材料製造プロセス。
【請求項9】
前記ガラス材料が、前記炉の内部においてガラス溶解温度未満で揮発する成分を少なくとも1種類含む組成を有していることを特徴とする請求項7または8記載のガラス材料製造プロセス。
【請求項10】
前記ガラス材料が、B23および/またはSnO2を含む組成を有していることを特徴とする請求項9記載のガラス材料製造プロセス。
【請求項11】
前記ガラス溶解炉から出てすぐの排気ガス流(133)が少なくとも1400℃の平均温度を有していることを特徴とする請求項7から10いずれか1項記載のガラス材料製造プロセス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−79731(P2011−79731A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−188080(P2010−188080)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】