説明

排気浄化装置

【課題】小型化を図った排気浄化装置を得る。
【解決手段】排気が通る筒状シェル16の径方向に流路管14を配置し、流路管14を内燃機関の排気流路に接続して、通過する排気を浄化する。その際、筒状シェル16の一方の端を塞ぐ蓋部材18を設け、筒状シェル16の一方の端に流路管14を嵌着可能なシェル側嵌着溝20,22を形成する。また、蓋部材18に流路管14を嵌着可能な蓋側嵌着溝40,42を形成し、両嵌着溝20,22,40,42に流路管14を嵌着して流路管14を挟む。各嵌着溝20,22,40,42に沿って折返し部24,26,44,46を形成し、流路管14の外周に複数の貫通孔30を形成すると共に、流路管14の一端を閉塞した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関からの排気を浄化する排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に示すように、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関の排気流路に介装される触媒により浄化、あるいは、排気流路中に尿素を噴射して浄化する排気浄化装置は、筒状シェル内にフィルタや触媒等を収納し、筒状シェルの径方向から筒状シェル内に流路管を挿入し、流路管を排気流路に接続して、排気が通る流路を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−267225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした従来のものでは、筒状シェルの軸方向長さが長くなり、装置が大型化するという問題があった。例えば、図5に示すように、筒状シェル50の径方向に一対の貫通孔52,54を同芯上に形成し、両貫通孔52,54に流路管56を挿入している。筒状シェル50の一方の端には、蓋部材58を取り付けて閉塞している。
【0005】
蓋部材58を筒状シェル50の一方の端に取り付ける際には、蓋部材58の外周を筒状シェル50側に筒状に折り返して、筒状シェル50に嵌着するようにしているので、流路管56から蓋部材58までの軸方向の長さaが長くなり、装置が大型化するという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、小型化を図った排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、
排気が通る筒状シェルの径方向に流路管を配置し、前記流路管を内燃機関の排気流路に接続して、通過する前記排気を浄化する排気浄化装置において、
前記筒状シェルの一方の端を塞ぐ蓋部材を設け、前記筒状シェルの前記一方の端に前記流路管を嵌着可能なシェル側嵌着溝を形成すると共に、前記蓋部材に前記流路管を嵌着可能な蓋側嵌着溝を形成し、前記両嵌着溝に前記流路管を嵌着して前記流路管を挟んだことを特徴とする排気浄化装置がそれである。
【0008】
前記各嵌着溝に沿って折返し部を形成した構成としてもよい。また、前記筒状シェルと前記蓋部材とに一対の前記シェル側嵌着溝と一対の前記蓋側嵌着溝とを同芯上に形成した構成としてもよい。その際、前記流路管の外周に複数の貫通孔を形成すると共に、前記流路管の一端を閉塞した構成とするとよい。また、前記流路管の端は前記筒状シェル内で開口した構成としてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の排気浄化装置は、流路管を筒状シェルと蓋部材とにより挟んだ構成としたので、流路管から蓋部材までの軸方向の長さが短くなり、小型化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態としての排気浄化装置の要部断面図である。
【図2】本実施形態の排気浄化装置の要部分解斜視図である。
【図3】本実施形態の折返し部の拡大斜視図である。
【図4】第2実施形態の排気浄化装置の要部分解斜視図である。
【図5】従来の排気浄化装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、1は排気浄化装置で、排気浄化装置1は図示しない排気流路に介装されており、例えば、排気浄化装置1は酸化触媒6とディーゼル・パティキュレート・フィルタ(以下、DPFという。)8とを備えると共に、酸化触媒6とDPF8とを収納する容器10を備えている。
【0012】
酸化触媒6は、排気中の炭化水素を二酸化炭素と水に変化させ、一酸化炭素を酸化して二酸化炭素に変化させる。また、排気中の窒素酸化物の内、一酸化窒素を二酸化窒素に変化させる周知のものである。DPF8は排気中のすすを捕捉して燃焼させる周知のものである。
【0013】
本実施形態では、容器10は、酸化触媒6やDPF8を収納する筒状シェル12と、筒状シェル12にフランジ接続され流路管14が設けられた筒状シェル16とを備えている。また、筒状シェル16の一方の端には蓋部材18が取り付けられて閉塞されている。流入した排気は、酸化触媒6を通ってから、DPF8を通り、流路管14を介して、下流側の排気流路に流出するように接続されている。尚、酸化触媒6とDPF8との両方を容器10に収納した場合を例としたが、これに限らず、一方のみを収納したものでもよい。また、本実施形態では、筒状シェル12の排気流出側端に、流路管14、筒状シェル16、蓋部材18を設けた場合を例としたが、これに限らず、筒状シェル12の排気流入側端に、同様に、流路管14、筒状シェル16、蓋部材18を設けてもよい。
【0014】
流路管14が設けられる筒状シェル16には、図2に示すように、その一方の端に、一対のシェル側嵌着溝20,22が形成されている。一対のシェル側嵌着溝20,22は、筒状シェル16の壁を窪ませると共に、シェル側嵌着溝20,22に沿って折り返した折返し部24,26を形成して構成されている。
【0015】
一対の折返し部24,26はそれぞれ筒状シェル16から外側に向かって筒状シェル16の径方向に突出されて形成されて、一対のシェル側嵌着溝20,22が筒状シェル16の径方向に形成されている。また、一対のシェル側嵌着溝20,22は同芯上に形成されている。
【0016】
一対のシェル側嵌着溝20,22は、流路管14を嵌着可能な大きさに、本実施形態では円筒状の流路管14の外周の約半分を一対のシェル側嵌着溝20,22に嵌着可能に、半円状に形成されている。折返し部24,26も断面形状が半円状に形成されている。
【0017】
筒状シェル16の他方の端には、フランジ部材28が取り付けられており、隣の筒状シェル12とフランジ結合できるように構成されている。尚、本実施形態では、容器10を、複数の筒状シェル12,16により形成したが、1つの一体の筒状シェルとして構成しても実施可能である。
【0018】
流路管14は、本実施形態では、その長さが筒状シェル16の直径よりも長く形成されており、流路管14を一対のシェル側嵌着溝20,22に嵌着した際に、筒状シェル16の内部にある流路管14には多数の貫通孔30が穿設されている。
【0019】
また、筒状シェル16から外側に突き出した流路管14の一方の先端側には、フランジ部材32が取り付けられて、下流側の排気流路を形成する排気管にフランジ結合できるように構成されている。流路管14の他方の端には、キャップ部材34が嵌着されて、流路管14の他方の端を閉塞している。
【0020】
蓋部材18は、円盤状に形成されており、筒状シェル16の一方の端の外周に嵌着できるように、蓋部材18の外周に沿って筒状シェル16側に折り曲げられた嵌合部36が形成されている。嵌合部36は筒状シェル16の外周に嵌着可能に形成されている。
【0021】
蓋部材18にも、一対の蓋側嵌着溝40,42が形成されており、一対の蓋側嵌着溝40,42は一対のシェル側嵌着溝20,22に対向して形成されている。一対の蓋側嵌着溝40,42は、嵌合部36の壁を窪ませると共に、蓋部材18を筒状シェル16の軸方向に窪ませてて形成されている。また、一対の蓋側嵌着溝40,42は、蓋側嵌着溝40,42に沿って折り返した折返し部44,46を形成して構成されている。
【0022】
一対の折返し部44,46はそれぞれ蓋部材18から外側に向かって筒状シェル16の径方向に突出されて形成されて、一対の蓋側嵌着溝40,42が筒状シェル16の径方向に形成されている。折返し部44,46も断面形状が半円状に形成されている。
【0023】
一対の蓋側嵌着溝40,42は、流路管14を嵌着可能な大きさに、本実施形態では円筒状の流路管14の外周の略半分を一対の蓋側嵌着溝40,42に嵌着可能に、半円状に形成されている。
【0024】
蓋部材18は、中央が軸方向外側に膨らまされると共に、図3に示すように、筒状シェル16の一方の端の外周に蓋部材18の嵌合部36を嵌着した際には、嵌合部36が筒状シェル16の外周に重なり合うと共に、筒状シェル16の折返し部24,26と蓋部材18の折返し部44,46とが重なり合うように、蓋部材18の折返し部44,46の一部が外側に膨らまされている。
【0025】
組立の際には、例えば、流路管14の一方の端にフランジ部材32を溶接により固定すると共に、流路管14の他方の端にキャップ部材34を嵌着して、溶接により固定する。そして、流路管14を筒状シェル16の一対のシェル側嵌着溝20,22に嵌着して、蓋部材18を筒状シェル16の一方の端に被せる。蓋部材18の蓋側嵌着溝40,42に流路管14を嵌着すると共に、嵌合部36を筒状シェル16の外周に嵌着する。
【0026】
そして、嵌合部36に沿って、蓋部材18と筒状シェル16とを溶接すると共に、筒状シェル16の折返し部24,26と蓋部材18の折返し部44,46とに沿って、各折返し部24,26,44,46と流路管14とを溶接して固定する。
【0027】
次に、前述した本実施形態の排気浄化装置の作動について説明する。
図示しない内燃機関からの排気が排気流路を介して、容器10内に流入すると、排気は酸化触媒6とDPF8とを通り、酸化触媒6により、排気中の炭化水素を二酸化炭素と水に変化させ、一酸化炭素を酸化して二酸化炭素に変化させる。また、排気中の窒素酸化物の内、一酸化窒素を二酸化窒素に変化させる。また、DPF8により、排気中のすすが燃焼され、排気が浄化される。
【0028】
酸化触媒6とDPF8とを通って浄化された排気は、筒状シェル16内に流入し、筒状シェル16内から貫通孔30を介して、流路管14内に流入する。そして、流路管14から下流側の排気流路に流出する。
【0029】
このように、流路管14を筒状シェル16と蓋部材18とにより挟んだ構成としたので、図1に示すように、流路管14から蓋部材18までの軸方向の長さaが短くなり、排気浄化装置を小型化できる。
【0030】
次に、前述した実施形態と異なる第2実施形態について、図4によって説明する。尚、前述した実施形態と同じ部材については同一番号を付して詳細な説明を省略する。
本第2実施形態では、筒状シェル16の一方の端に、シェル側嵌着溝20が1箇所形成されており、シェル側嵌着溝20に沿って折返し部24が形成されている。また、第2実施形態の流路管14aは、前述した実施形態の流路管14よりも長さが短く、シェル側嵌着溝20に流路管14aを嵌着した際に、流路管14aの先端が筒状シェル16内で開口するように形成されている。
【0031】
また、蓋部材18aにも蓋側嵌着溝40が1箇所形成されると共に、蓋側嵌着溝40に沿って折返し部44が形成されている。蓋側嵌着溝40は流路管14aの長さよりも長く形成されて、蓋部材18aのほぼ中央付近に達するまで形成されている。
【0032】
この第2実施形態の場合でも、流路管14aを筒状シェル16と蓋部材18aとにより挟んだ構成としたので、流路管14aから蓋部材18aまでの軸方向の長さが短くなり、排気浄化装置を小型化できる。
【0033】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0034】
1…排気浄化装置 6…酸化触媒
8…DPF 10…容器
12,16,50…筒状シェル 14,14a,56…流路管
18,18a,58…蓋部材 20,22…シェル側嵌着溝
24,26,44,46…折返し部 28…フランジ部材
30…貫通孔 34…キャップ部材
36…嵌合部 40,42…蓋側嵌着溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気が通る筒状シェルの径方向に流路管を配置し、前記流路管を内燃機関の排気流路に接続して、通過する前記排気を浄化する排気浄化装置において、
前記筒状シェルの一方の端を塞ぐ蓋部材を設け、前記筒状シェルの前記一方の端に前記流路管を嵌着可能なシェル側嵌着溝を形成すると共に、前記蓋部材に前記流路管を嵌着可能な蓋側嵌着溝を形成し、前記両嵌着溝に前記流路管を嵌着して前記流路管を挟んだことを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
前記各嵌着溝に沿って折返し部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記筒状シェルと前記蓋部材とに一対の前記シェル側嵌着溝と一対の前記蓋側嵌着溝とを同芯上に形成したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記流路管の外周に複数の貫通孔を形成すると共に、前記流路管の一端を閉塞したことを特徴とする請求項3に記載の排気浄化装置。
【請求項5】
前記流路管の端は前記筒状シェル内で開口したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−180806(P2012−180806A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45322(P2011−45322)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(391002498)フタバ産業株式会社 (110)
【Fターム(参考)】