説明

排気浄化装置

【課題】排気浄化装置に関し、素な構成で排気センサの故障の有無を正確に判定する。
【解決手段】車搭載エンジン20の排気通路15に設けられ、アンモニアを吸着するとともにそのアンモニアを還元剤として排気中の窒素酸化物を還元する選択還元触媒5と、選択還元触媒5の触媒温度を検出する触媒温度検出手段8と、を備える。
また、選択還元触媒5に吸着されているアンモニアの吸着量を演算する吸着量演算手段7cと、エンジン20のアイドル運転状態を検出する状態検出手段7dと、選択還元触媒5よりも下流側に設けられ窒素酸化物濃度を検出する排気センサ9と、を備える。
さらに、エンジン20が前記アイドル運転状態であるときの前記触媒温度,前記吸着量及び前記窒素酸化物濃度に基づき、排気センサ9の故障の有無を判定する判定手段7eを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気中に含まれる窒素酸化物を浄化するための排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を除去するための触媒として尿素添加型の選択還元触媒〔尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒〕を用いた排気浄化システムが知られている。すなわち、選択還元触媒に窒素酸化物を選択的に反応させるために、選択還元触媒の上流側の排気通路内に還元剤としての尿素水溶液を噴射し、尿素の加水分解によりアンモニア(NH3)を生成して窒素酸化物をアンモニアで窒素及び水に還元するものである。選択還元触媒を用いたシステムは、ディーゼルエンジンの排気のように酸素濃度が比較的高い雰囲気下や低温時における窒素酸化物の浄化に有効である。
【0003】
上記の排気浄化システムにおいて、実際に排気通路から車外に排出される排気の成分を確認するための排気センサ(例えば、NOxセンサ)を触媒の下流側に設けたものがある。例えば、このセンサで検出される窒素酸化物の濃度が所定値未満であることを以て、選択還元触媒が正常に機能していることが確認される。しかし、排気センサが選択還元触媒の下流側に設けられるため、排気センサが正常である(故障していない)ことが担保されていなければ、選択還元触媒の機能を正確に診断することができない。
【0004】
そこで、選択還元触媒上での還元反応を停止させた状態で、選択還元触媒の上流側及び下流側のそれぞれで窒素酸化物濃度を検出又は推定し、これらを比較することによって排気センサの故障を検知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−121413号公報(段落0061等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、選択還元触媒は尿素の加水分解によって生じたアンモニアを吸着する特性を持つため、尿素水の添加を停止したとしても、予め吸着されたアンモニアによる窒素酸化物の還元反応が生じる。つまり、たとえ排気センサが故障していなかったとしても、選択還元触媒上での還元反応によって選択還元触媒の下流側の窒素酸化物濃度が低下し、上流側の窒素酸化物濃度とは異なる値が検出される場合がある。
【0007】
このように、従来の技術では排気センサの故障を正確に判定することが困難である。したがって、仮に例外的な数値が排気センサで検出された場合、排気浄化システムに障害が発生していることは把握されるものの、その原因が排気センサにあるのか、それとも、排気センサ以外の装置にあるのかを特定することが難しい。
【0008】
本件は上記のような課題に鑑み創案されたもので、簡素な構成で、排気センサの故障の有無を正確に判定することができるようにした排気浄化装置を提供することを目的とする。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)ここで開示する排気浄化装置は、車両に搭載されたエンジンの排気通路に設けられ、アンモニアを吸着するとともに前記アンモニアを還元剤として排気中の窒素酸化物を還元する選択還元触媒と、前記選択還元触媒の触媒温度を検出する触媒温度検出手段と、を備える。
また、前記選択還元触媒に吸着されている前記アンモニアの吸着量を演算する吸着量演算手段と、前記エンジンのアイドル運転状態を検出する状態検出手段と、前記選択還元触媒よりも前記排気通路の下流側に設けられ、排気中に含まれる窒素酸化物濃度を検出する排気センサと、を備える。
さらに、前記エンジンが前記アイドル運転状態であるときの前記触媒温度,前記吸着量及び前記窒素酸化物濃度に基づき、前記排気センサの故障の有無を判定する判定手段を備える。
なお、前記触媒温度検出手段は、前記触媒温度を直接検出してもよいし、演算による推定値を検出してもよい。
【0010】
(2)前記判定手段は、前記エンジンが前記アイドル運転状態であり、かつ、前記触媒温度が前記窒素酸化物を還元しうる活性温度以上であり、かつ、前記吸着量が所定量以上存在し、かつ、前記窒素酸化物濃度が所定濃度未満である場合に、前記排気センサが正常であると判定する。
この場合、排気流量や排気温度が安定しているアイドル運転時に、前記選択還元触媒に吸着されている前記アンモニアを用いて前記窒素酸化物を還元させることで、前記窒素酸化物の浄化率が向上するため、前記排気センサが故障していない限り窒素酸化物濃度が所定濃度未満となる。
【0011】
(3)また、前記状態検出手段が、前記車両の走行速度及びエンジン負荷(例えば、アクセル開度,スロットル開度等)に基づく前記エンジンのアイドル回転が所定時間継続したときに、前記アイドル運転状態を検出する。
(4)また、前記判定手段による判定の結果を乗員に報知する報知手段を備える。
(5)また、前記判定手段で前記排気センサが故障したと判定されたときの前記窒素酸化物濃度と前記所定濃度との差を演算する誤差演算手段を備え、前記判定手段が、前記誤差演算手段で演算された前記差に基づき、前記排気センサの故障の度合いを判定する。
【発明の効果】
【0012】
(1)開示の排気浄化装置によれば、簡素な構成で、排気通路上に設けられた選択還元触媒やエンジンの故障と、排気センサの故障とを正確に区別することが可能となり、排気センサの故障を特定することができる。これにより、排気センサで検出される窒素酸化物濃度の値の信頼性を向上させることができ、より正確な制御が可能となる。
(2)また、安定したエンジンの運転状態下で窒素酸化物の浄化率の向上することを利用して、排気センサの検出値が適切であるか否かを確実に判定することができ、精度よく排気センサの故障を特定することができる。
【0013】
(3)また、アイドル運転状態の条件を設定することにより、窒素酸化物の浄化率が向上する状態を正確に把握することが可能となり、排気センサの故障判定の精度をさらに高めることができる。
(4)また、排気センサが故障したと判定されたときにその旨を乗員に報知することで、排気センサのメンテナンスや交換を促すことができる。
(5)また、判定手段での判定によって排気センサの故障が確定したときに、排気センサの検出値と所定濃度との差を演算することで、故障の度合いや故障の種類を推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係る排気浄化装置の全体構成を模式的に例示する図である。
【図2】図1の選択還元触媒の触媒温度とアンモニア最大吸着量との関係を例示するグラフである。
【図3】図1のエンジンの運転状態と排気中に含まれる窒素酸化物濃度との関係を例示するグラフである。
【図4】図1の選択還元触媒に吸着されているアンモニアの吸着量の経時変化を例示するグラフである。
【図5】図1の排気浄化装置での制御内容を例示するフローチャートである。
【図6】図1の排気浄化装置を搭載した車両の走行試験時における排気性能を説明するためのグラフであり、(a)はエンジン回転数の経時変動、(b)はエンジンアウトNOxの演算値及びNOxセンサで検出されたNOxの濃度の経時変動である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して開示の排気浄化装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
【0016】
[1.構成]
[1−1.吸排気システム]
本実施形態の排気浄化装置10は、図1に例示する車両の吸排気システムに適用されている。図1中のエンジン20は軽油を燃料とするディーゼルエンジンであり、このエンジン20には排気通路16及び吸気通路17が接続される。エンジン20の各気筒の燃焼室には吸気通路17を介して吸気が導入され、燃焼後の排気は排気通路16を介して外部へ排出される。
【0017】
排気通路16には排気の流れの上流側から順に、ターボチャージャー18,DPF(Diesel Particulate Filter)装置1及びSCR(Selective Catalytic Reduction)装置4が介装される。DPF装置1は連続再生式の濾過装置であり、SCR装置4は排気中に含まれるNOx(窒素酸化物)を除去するための浄化装置である。
【0018】
ターボチャージャー18は、排気通路16及び吸気通路17のそれぞれを跨ぐように介装された過給器であり、排気通路16を流通する排気の排気圧でタービンを回転させ、その回転力を利用してコンプレッサを駆動することにより、吸気通路17からの吸気を圧縮してエンジン20への過給を行う。
【0019】
排気通路16上におけるDPF装置1とSCR装置4との間には、インジェクタ11が設けられる。インジェクタ11は、排気中に尿素〔CO(NH2)2〕の水溶液を噴霧供給するノズルである。なお、排気中に添加された尿素は排気熱によって加水分解され、アンモニアを発生させる。
【0020】
SCR装置4の直上流側には、SCR触媒5に流入する排気温度T1を検出する温度センサ8が設けられる。また、SCR装置4よりも下流側には、排気中に含まれるNOxの濃度C1を検出するNOxセンサ9(排気センサ)が設けられる。これらの各センサ8,9で検出された排気温度T1,濃度C1は、後述するコントローラ7へと入力されている。
【0021】
吸気通路17上の任意の位置(例えば、スロットルバルブよりも上流側)には、エアフローセンサ14が設けられる。エアフローセンサ14は、エンジン20のシリンダ内に導入される吸気量Qを検出する流量センサである。また、本吸排気システムの任意の位置には、アクセル開度センサ12及び車速センサ19が設けられる。アクセル開度センサ12は運転者によるアクセルペダルの操作量θAC(アクセル開度)を検出するものであり、車速センサ19は例えば車輪の回転速度に基づいて車速Vを検出するものである。
【0022】
さらに、エンジン20のクランクシャフト21の近傍には、エンジン回転数Nを検出するエンジン回転数センサ13が設けられる。アクセル開度センサ12で検出されたアクセル開度θAC,エンジン回転数センサ13で検出されたエンジン回転数N,エアフローセンサ14で検出された吸気量Q,車速センサ19で検出された車速Vは、後述するコントローラ7へと入力されている。
【0023】
[1−2.DPF装置]
DPF装置1は、上流側に配置されるDOC(Diesel Oxidation Catalyst)触媒2と下流側に配置されるフィルタ3とを内蔵する。このDPF装置1は、排気中に含まれるPM(Particulate Matter,粒子状物質)を捕集する機能と、捕集したPMを連続的に酸化させて除去する機能とを併せ持つ。なお、PMとは、炭素からなる黒煙(すす)の周囲に燃え残った燃料や潤滑油の成分,硫黄化合物等が付着した粒子状の物質である。
【0024】
DOC触媒2は、排気中の成分に対する酸化能を有する酸化触媒であり、金属,セラミックス等からなるハニカム状の担体に触媒物質を担持したものである。DOC触媒2によって酸化される排気中の成分には、一酸化窒素(NO)や未燃燃料中の炭化水素等が挙げられる。例えば、一酸化窒素がDOC触媒2で酸化されると二酸化窒素(NO2)が生成される。なお、DOC触媒2における一酸化窒素の酸化反応の化学反応式を以下に例示する。
2NO + O2 → 2NO2 ・・・(式1)
【0025】
フィルタ3は、PMを捕集する多孔質フィルタ(例えば、セラミックフィルタ)である。フィルタ3の内部は、多孔質の壁体によって排気の流通方向に沿って複数に分割されている。この壁体には、PMの微粒子に見合った大きさの多数の細孔が形成される。排気が壁体の近傍や内部を通過する際に壁体内,壁体表面にPMが捕集され、排気が濾過される。
【0026】
なお、DPF装置1のフィルタ3として、その表面に触媒貴金属が担持されたものを使用してもよい。この場合、排気中の二酸化窒素等を酸化剤として排気微粒子が焼却される。これにより、フィルタ3に捕集されたPMが除去され、フィルタ3が再生浄化される。フィルタ3におけるPMの燃焼反応の化学反応式を以下に例示する。
C + 2NO2 → 2NO + CO2 ・・・(式2)
C + O2 → CO2 ・・・(式3)
【0027】
本実施形態では、車両の通常走行時にはNO2でPMを燃焼させる連続再生方式でフィルタ3が再生浄化されるとともに、必要に応じてO2でPMを燃焼させる強制再生方式でフィルタ3が再生浄化される。式2に示す反応は低温時のPM燃焼反応であり、おもに連続再生方式による再生制御時に進行する。また、式3に示す反応は高温時のPM燃焼反応であり、おもに強制再生方式による再生制御時に進行する。
【0028】
[1−3.SCR装置]
SCR装置4は、上流側に配置されるSCR触媒5(選択還元触媒)とその下流側に配置されるCUC(Clean Up Catalyst)触媒6とを内蔵する。
SCR触媒5は、尿素添加型の窒素酸化物選択還元触媒であり、上流側から供給されるアンモニアを吸着し、そのアンモニアを還元剤として排気中のNOxを窒素へと還元するものである。SCR触媒5へのアンモニアの吸着量の最大値XMAXは、図2に示すように、SCR触媒5の触媒温度が低温であるほど増大し、高温であるほど減少する。また、触媒温度が所定の脱離温度TA以上(例えば、400℃程度以上)になると、アンモニアの吸着量がほぼ0になる。
【0029】
また、SCR触媒5でのNOxの還元反応は、SCR触媒5の触媒温度が所定の活性温度TB以上(例えば、200℃程度以上)であるときに生じ、触媒温度が高温であるほど反応速度が上昇する。なお、尿素の加水分解及びSCR触媒5におけるNOxの還元反応の化学反応式を以下に例示する。
CO(NH2)2 + H2O → 2NH3 + CO2 ・・・(式4)
NO+NO2 + 2NH3 → 2N2 + 3H2O ・・・(式5)
【0030】
CUC触媒6は、SCR触媒5での還元反応における余剰分のアンモニア(スリップNH3)を除去するための酸化触媒である。なお、CUC触媒6におけるアンモニアの酸化反応の化学反応式を以下に例示する。
4NH3 + 3O2 → 2N2 + 6H2O ・・・(式6)
【0031】
[2.コントローラ]
エンジン20の混合気の空燃比やシリンダ内での燃焼反応に係る吸入空気量,燃料噴射量,燃料噴射タイミング,点火時期,排気温度等は、コントローラ7〔ECU,Engine (electronic) Control Unit〕によって制御される。コントローラ7は、エンジン20を含む吸排気システムを統括管理する電子制御装置であり、マイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスである。
【0032】
コントローラ7の入力側には、前述の温度センサ8,NOxセンサ9,アクセル開度センサ12,エンジン回転数センサ13,エアフローセンサ14及び車速センサ19が接続されている。また、コントローラ7の出力側には、例えば車室内のインストルパネルに取り付けられた報知装置15(報知手段)が接続されている。報知装置15には、ディスプレイ,ランプ等の表示装置とスピーカ,ブザー等の音響装置とが内蔵されている。
【0033】
本実施形態では、コントローラ7に実装される機能のうち、主に触媒制御に係るNOxセンサ9の診断制御機能について説明する。NOxセンサ9の診断制御とは、NOxセンサ9に故障が生じていないかどうかをNOxセンサ9の検出値から診断し、故障のおそれがある場合には乗員にその旨の報知を行う制御である。
【0034】
図1に示すように、NOxセンサ9は排気通路16の最下流側に設けられているため、NOxセンサ9の検出値に基づく故障診断では、その上流側に配置されるDPF装置1やSCR装置4の故障と切り分けて判断することが要求される。本実施形態のコントローラ7は、このような故障の原因を特定してNOxセンサ9の故障を他の故障と区別するための機能を備えている。
【0035】
[3.コントローラの機能]
コントローラ7の内部にソフトウェア又はハードウェア回路としてプログラミングされている機能を、図1中に模式的に示す。なお、ソフトウェアとする場合には、そのソフトウェアを図示しないメモリや記憶装置に記録し、図示しないCPU(Central Processing Unit,中央処理装置)に随時読み込むことによって以下に説明する機能を実現する。
【0036】
コントローラ7には、触媒温度検出部7a,エンジン排出NOx量推定部7b,アンモニア吸着量演算部7c,アイドル運転状態検出部7d及び故障判定部7eが設けられる。
触媒温度検出部7a(触媒温度検出手段)は、温度センサ8で検出された排気温度T1に基づき、SCR触媒5の触媒温度TCを推定して検出するものである。触媒温度検出部7aは排気温度T1及びその時間変化勾配や、予め記憶されているSCR触媒5の熱容量,温度特性等を用いて、触媒温度TCを演算する。
【0037】
なお、触媒温度TCの演算手法はこれに限られない。例えば、SCR触媒5の下流側の温度を用いてもよいし、あるいはこれらの両方を用いて演算してもよい。また、SCR触媒5の表面温度を直接的に検出することとしてもよい。触媒温度TCは、SCR触媒5が活性温度TBに達しているか否かを判定する際に用いられるほか、SCR触媒5に吸着されているアンモニア量の推定演算に用いられる。
【0038】
エンジン排出NOx量推定部7bは、エンジン20から排出された直後の排気中に含まれるNOx量(すなわち、エンジンアウトNOx量)を推定演算するものである。図3に示すように、エンジン排出NOx量推定部7bには、エンジン20の運転状態とその時にエンジン20から排出されるNOx量(NOx濃度)との対応関係が記述されたマップが記憶されている。エンジン排出NOx量推定部7bは、このマップとエアフローセンサで検出された吸気量Q,アクセル開度センサ12で検出されたアクセル開度θAC及びエンジン回転数センサ13で検出されたエンジン回転数Nに基づき、エンジンアウトNOx量を演算する。
【0039】
なお、エンジンアウトNOx量は、エンジン20に作用する負荷が大きいほど(エンジン20で発生するトルクが大きいほど)増加する傾向にある。また、図3中に破線で示すように、運転状態をエンジン回転数Nの大きさに応じて便宜的に三つの領域に分割すると、低回転領域及び高回転領域の運転状態では、その中間の中回転領域の運転状態よりも排気中のNOx濃度が増大する傾向が見られる。このような傾向は、エンジン20に作用する負荷が大きいほど顕著となる。
【0040】
アンモニア吸着量演算部7c(吸着量演算手段)は、SCR触媒5に吸着されているアンモニアの吸着量Xを演算するものである。ここでは、インジェクタ11から尿素水が噴射されたときに、アンモニアがSCR触媒5上に十分に吸着されたものとして、アンモニアの吸着量Xを演算する。
【0041】
アンモニアの吸着量Xの最大値XMAXは、図2に示すように触媒温度TCに依存する。したがって、インジェクタ11から尿素水が噴射されたときの触媒温度TCからその時点での吸着量Xが演算される。なお、インジェクタ11から尿素水を噴射する際にSCR触媒5上に吸着しておくべきアンモニアの目標吸着量は、その時点での触媒温度TC毎に求められる最大値XMAXとする。
【0042】
アンモニア吸着量演算部7c、エンジン排出NOx量推定部7bで演算されたエンジンアウトNOx量を全て還元するのに要する量のアンモニアがSCR触媒5上で消費されたものとして消費分のアンモニア量をその時点の吸着量Xから減算し、アンモニアの吸着量Xを更新する。これにより、インジェクタ11から尿素水が噴射されていないときには、SCR触媒5上のアンモニアの吸着量Xが徐々に減少する。
【0043】
また、触媒温度TCの低下により最大値XMAXがその時点の吸着量Xよりも小さくなった場合には、吸着量Xがそのときの最大値XMAXに更新される。この場合、吸着されていたアンモニアの一部が下流側にスリップしたことになる。なお、スリップしたアンモニアは、CUC触媒6で浄化される。
【0044】
なお、吸着量Xが予め設定された最小値XMIN未満になった場合には、アンモニア吸着量演算部7cがコントローラ7中の図示しないユリア噴射制御部等に制御信号を出力し、インジェクタ11に尿素水を噴射させるようになっている。上記の最小値XMINは、固定値として設定された値であってもよいし、あるいはエンジン20の運転状態や触媒温度TCに応じてその都度設定されるものとしてもよい。
【0045】
したがって、図4に示すように、吸着量Xは最小値XMINから最大値XMAXまでの間でおおむね減少方向に変動し、アンモニアが不足しそうになると尿素水の供給により最大値XMAXまで補充される。換言すれば、アンモニアの吸着量Xは、触媒温度TCによって規定される縦軸方向の変動幅の範囲内で、アンモニアの消費速度に応じて周期的に変動する。
【0046】
アイドル運転状態検出部7d(状態検出手段)は、エンジン20のアイドル運転状態を検出するものである。アイドル運転状態とは、エンジン20のアイドル回転が所定時間(例えば、0.1〜数秒程度)以上継続した状態である。また、エンジン20のアイドル回転は車速V及びアクセル開度θACに基づいて判定される。例えば、車速Vがほぼ0[Km/h]であり、かつ、アクセルペダルの踏み込み操作がない場合に、エンジン20がアイドル回転であると判定する。
【0047】
故障判定部7e(判定手段)は、所定の故障判定条件に基づいてNOxセンサ9の故障を判定するものである。ここでは、以下の条件が全て成立したときに、NOxセンサ9が故障したと判定し、報知装置15を制御して故障を乗員に報知する。
〔条件A〕エンジン20がアイドル運転状態である
〔条件B〕SCR触媒5の触媒温度TCが活性温度TB以上、脱離温度TA未満である
〔条件C〕NOxセンサ9で検出されたNOxの濃度C1が所定濃度C0未満である
〔条件D〕吸着量Xが所定吸着量X0以上である
【0048】
上記の条件Cに係る所定濃度C0とは、0又は0に近い微小な値である。具体的な値はNOxセンサ9の性能やエンジン20の種類,排気通路16の構造等によって異なるが、例えば0〜100[ppm]程度の範囲内で設定することが考えられる。
また、上記の条件Dに係る所定吸着量X0とは、0以上最小値XMIN未満の任意の値とする。本実施形態では吸着量Xが少なくなると自動的にインジェクタ11から尿素水が供給されてアンモニアが補充されるため、SCR触媒5上にはアンモニアが常に吸着された状態となる。したがって、吸着量Xは最小値XMIN未満にならず、上記の条件Dが常時成立する。
【0049】
また、図1に示すように、故障判定部7eは誤差演算部7fを有している。誤差演算部7f(誤差演算手段)は、上記の故障判定条件に基づいてNOxセンサ9が故障したと判定された場合に、その故障の度合いを判定するものである。すなわち誤差演算部7fは、故障判定部7eでNOxセンサ9が故障したと判定されると、NOxセンサ9で検出されたNOxの濃度C1と所定濃度C0との差ΔC(=C1−C0)を周期的に演算し、差ΔCに基づいて故障の度合いを判定する。
【0050】
例えば、差ΔCが常に所定値以上である場合には、NOxセンサ9に確実に故障が生じているものと判定する。また、差ΔCが常に所定値未満である場合には、NOxセンサ9に故障の兆候が見られるものと判定する。さらに、差ΔCが0である状態と所定値以上になる状態とが交互に繰り返されるような場合には、NOxセンサ9に何らかの一時的な障害(接触不良等)が生じている可能性もあると判定する。
【0051】
[4.フローチャート]
図5は、排気浄化装置10における制御の一例を説明するためのフローチャートである。このフローは、コントローラ7の内部で繰り返し実施されている。
ステップA10では、温度センサ8で検出された排気温度T1がコントローラ7に入力され、触媒温度検出部7aにおいてSCR触媒5の触媒温度TCが演算される。また、ステップA20では、故障判定部7eにおいて、前ステップで演算された触媒温度TCが活性温度TB以上であり、アンモニアの脱離温度TA未満であるか否かが判定される。つまりここでは、上記の条件Bが判定される。
【0052】
ここで、TB≦TC<TAである場合にはステップA30へ進み、故障の判定が継続される。一方、TC<TB、又は、TA≦TCである場合には、正確な故障判定が望めない状態であるとみなして本フローを終了する。なおこの場合であっても本フローは繰り返し実施されるため、次の周期で再び触媒温度TCが判定されることになり、ステップA20の条件が成立するとステップA30へ進む。
【0053】
ステップA30では、エンジン排出NOx量推定部7bにおいて、図3に示すマップに基づいてエンジンアウトNOx量が推定される。なお、エンジン20がアイドル運転状態は、図3中の左下側(低回転領域の下方)に対応するため、他の運転状態と比較してエンジンアウトNOx量は小さい。
【0054】
ステップA40では、アンモニア吸着量演算部7cにおいて、SCR触媒5に吸着されているアンモニアの吸着量Xが演算される。ここでは、この時点までの吸着量Xから、エンジンアウトNOx量に対応するアンモニア量が減算されて更新される。NOx量に対応するアンモニア量は、例えば上記の式5から求めることができる。また、このステップで得られる吸着量Xは、図4に示すように、エンジン20の運転状態に応じて時間経過とともに変化する。
【0055】
ステップA50では、アンモニア吸着量演算部7cにおいて、触媒温度TCに応じたアンモニアの目標吸着量XMAXが設定される。続くステップA60では、更新後の吸着量Xが最小値XMIN未満であるか否かが判定される。ここで、X<XMINである場合には吸着量Xが不足しつつあるとみなしてステップA70へ進む。
【0056】
ステップA70では、例えばユリア噴射制御部において、アンモニアの吸着量Xが目標吸着量XMAXに一致するようにインジェクタ11が制御され、尿素水がSCR触媒5の上流側の排気通路16に噴霧供給される。これにより、SCR触媒5におけるアンモニアの吸着量Xが補充され、ステップA90へ進む。
また、ステップA60の判定結果がX≧XMINであった場合には、十分な吸着量Xが確保されているとみなされてステップA90へ進む。したがって、ステップA60の判定結果に関わらず、ステップA90の時点で上記の条件Dが成立する。
【0057】
ステップA90では、アイドル運転状態検出部7dにおいて、エンジン20の運転状態が検出される。ここでは、アクセル開度θAC及び車速Vに基づいて運転状態が判断される。続くステップA100では、故障判定部7eにおいて、エンジン20運転状態がアイドル運転状態であるか否かが判定される。つまりここでは、上記の条件Aが判定され、これが成立する場合にはステップA110に進む。一方、成立しない場合には、正確な故障判定が望めない状態であるとみなして本フローを終了する。
【0058】
ステップA110では、NOxセンサ9で検出された濃度C1がコントローラ7に入力される。続くステップA120では、故障判定部7eにおいて、NOxの濃度C1が所定濃度C0未満であるか否かが判定される。ここで、C1<C0である場合にはステップA130に進み、NOxセンサ9は故障していない(正常である)と判定される。
【0059】
なお、ステップA110以降のフローは、排気流量や排気温度が安定しているアイドル運転状態で実行される。また、NOxの還元反応には、SCR触媒5に十分に吸着されているアンモニアが用いられる。これにより、SCR触媒5でのNOxの浄化率が向上し、NOxセンサ9が故障していない限り、検出されるNOxの濃度C1は所定濃度C0未満となる。
一方、C1≧C0である場合にはステップA140に進み、NOxセンサ9は故障している可能性があるものと判定される。このとき、誤差演算部7fでは、NOxの濃度C1と所定濃度C0との差ΔCが演算される。
【0060】
続くステップA150では、コントローラ7により報知装置15が制御され、NOxセンサ9の故障を検知したことがディスプレイ,ランプ等の表示装置に表示される。また、スピーカ,ブザー等の音響装置からは乗員にNOxセンサ9の交換,メンテナンスを促すアナウンスや警告音が発せられる。
なお、誤差演算部7fでは、NOxセンサ9の故障が検知されている間に演算される差ΔCに基づき、故障の度合いが判定される。ここで判定された故障の度合いについても表示装置に表示され、音響装置から報知される。
【0061】
[5.効果]
図6(a)は、本吸排気システムを搭載した車両の走行試験時におけるエンジン回転数の経時変動を示し、図6(b)はエンジンアウトNOxの演算値及びNOxセンサ9で検出されたNOxの濃度C1の経時変動を示すグラフである。
【0062】
図6(a)に示すエンジン回転数Nの最小値Ne1はエンジン20のアイドル回転時の回転数である。つまり、時刻t1〜t2間,時刻t3〜t4間,時刻t5〜t6間といったエンジン回転数Nの変動がない期間は車両が一時停止や信号待ちをした期間であり、ほぼアイドル運転状態に対応する。
【0063】
図6(b)を参照すると、エンジン回転数Nがアイドル回転となった後にもエンジンアウトNOxが継続的に検出されている。一方、NOxセンサ9が検出したNOxの濃度C1は、エンジン回転数Nがアイドル回転となった時点の直後から急激に低下し、ほぼ全てのNOxが浄化されていることが読みとれる。
つまり、アイドル運転状態(エンジン回転数Nがアイドル回転のまま所定時間維持された状態)では排気流量,排気温度,触媒温度が全て低く安定した状態となるため、SCR触媒5内にアンモニアが吸着されていれば、そのアンモニアがNOxの還元反応に効率的に消費され、ほぼ100%に近いNOx浄化率が得られる。
【0064】
したがって、このような条件下でNOxセンサ9の検出値を参照することで、排気通路16上に設けられたSCR装置4やエンジン20の故障と、NOxセンサ9の故障とを正確に区別することが可能となり、NOxセンサ9の故障を特定することができる。またこれにより、NOxセンサ9で検出されるNOx濃度の値の信頼性を向上させることができ、より正確な制御が可能となる。
【0065】
さらに、故障判定を実施するための条件の判定は、簡素な構成で実現でき、従来の吸排気システムへの適用が容易であるというメリットがある。加えて、NOxセンサ9の故障を判断できることから、尿素水の品質の誤認識を防止することも可能となる。また、尿素水の品質管理のためのセンサとしてユリア識別センサを使用していたような従来のSCRシステムと比較すると、上記のシステムではユリア識別センサの代わりに汎用性の高いNOxセンサ9を使用することが可能である。したがって、システム全体のコストを低減させることができる。
【0066】
また、上記の排気浄化装置10では、安定したエンジン20の運転状態下でNOxの浄化率が向上するという特性を利用して、NOxセンサ9の検出値が適切であるか否かを判定している。つまり、NOxセンサ9の検出値が適切であるか否かを確実に判定するための条件(故障判定条件)として、NOxセンサ9以外の要素によってもたらされる外乱要素を極力排除することができ、精度良くNOxセンサ9の故障を特定することができる。
【0067】
また、上記の排気浄化装置10は、アイドル運転状態検出部7dでアイドル運転状態の判定条件を判定している。これにより、NOxの浄化率が向上する状態を正確に把握することが可能となり、NOxセンサ9の故障判定の精度をさらに高めることができる。特に、アイドル運転状態検出部7dでは、エンジン20のアイドル回転が所定時間以上継続しなければアイドル運転状態であるとは判定されないため、図6(b)に示す時刻t1,t3,t5の直後の、まだNOxの濃度C1が下がりきっていない状態で故障判定が行われるようなことがない。したがって、故障判定の精度を向上させることができる。
【0068】
さらに、NOxセンサ9が故障したと判定されたときには、その旨が報知装置15から乗員に報知されるため、NOxセンサ9の交換や整備等のメンテナンスを促すことができ、車両の吸排気システムを健全な状態としやすくすることができる。
また、上記の排気浄化装置10は、単にNOxセンサ9の故障の有無を判定するだけでなく、NOxセンサ9の故障が判定されたときに、誤差演算部7fでNOxセンサ9の検出値と所定値との差ΔCを演算して、故障の度合いを判定している。これにより、NOxセンサ9の故障が確実なものであるのか、それとも故障の兆候を示すものであるのかを推定することが可能となる。
【0069】
[6.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0070】
上述の実施形態では、四種類の故障判定条件のうち、条件Dが常時成立する制御となっているが、具体的な制御態様は車両の種類や吸排気システムの種類に応じて適宜変更することができる。例えば、吸着量Xが少なくなったとしても必ずしも自動的にアンモニアが補充されない制御が実施される吸排気システムにおいては、NOxセンサ9の故障判定を実施する前に条件Dを判定することが考えられる。この場合、図5中のステップA120よりも前の工程で条件Dを判定するステップを設ければよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、吸気通路17に設けられたエアフローセンサ14を用いて吸気量Qを検出し、これをエンジンアウトNOx量の推定に用いているが、これの代わりに排気通路上に排気流量センサを設けてもよいし、その他のパラメータを用いてこれに対応する値を演算する構成としてもよい。同様に、エンジン20に作用する負荷に関しても、トルクセンサ等を用いて検出することとしてもよい。
また、上述の実施形態では、車速V及びアクセル開度θACに基づいてエンジン20のアイドル運転状態を検出するものを例示したが、エンジン20の具体的な運転状態の判定手法に関してもこれに限定されない。
【0072】
なお、上述の実施形態の排気浄化装置10は、DPF装置1及びSCR装置4を排気通路16上に直列配置したものを例示したが、少なくともSCR触媒4及びNOxセンサ9を備えた吸排気システムであれば上記の技術効果を奏する装置を実現することが可能である。
また、上述の実施形態ではディーゼルエンジンの排気系に本発明を適用したものが例示したが、ガソリンエンジンの排気系への適用も可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 DPF装置
2 DOC触媒
3 フィルタ
4 SCR装置
5 SCR触媒
6 CUC触媒
7 コントローラ
7a 触媒温度検出部(触媒温度検出手段)
7b エンジン排出NOx量推定部
7c アンモニア吸着量演算部(吸着量演算手段)
7d アイドル運転状態検出部(状態検出手段)
7e 故障判定部(判定手段)
7f 誤差演算部(誤差演算手段)
8 温度センサ
9 NOxセンサ(排気センサ)
10 排気浄化装置
11 インジェクタ
12 アクセル開度センサ
13 エンジン回転数センサ
14 エアフローセンサ
15 報知装置(報知手段)
16 排気通路
17 吸気通路
18 ターボチャージャー
19 車速センサ
20 エンジン
21 クランクシャフト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたエンジンの排気通路に設けられ、アンモニアを吸着するとともに前記アンモニアを還元剤として排気中の窒素酸化物を還元する選択還元触媒と、
前記選択還元触媒の触媒温度を検出する触媒温度検出手段と、
前記選択還元触媒に吸着されている前記アンモニアの吸着量を演算する吸着量演算手段と、
前記エンジンのアイドル運転状態を検出する状態検出手段と、
前記選択還元触媒よりも前記排気通路の下流側に設けられ、排気中に含まれる窒素酸化物濃度を検出する排気センサと、
前記エンジンが前記アイドル運転状態であるときの前記触媒温度,前記吸着量及び前記窒素酸化物濃度に基づき、前記排気センサの故障の有無を判定する判定手段と、を備えた
ことを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記エンジンが前記アイドル運転状態であり、かつ、
前記触媒温度が前記窒素酸化物を還元しうる活性温度以上であり、かつ、
前記吸着量が所定量以上存在し、かつ、
前記窒素酸化物濃度が所定濃度未満である場合に、前記排気センサが正常であると判定する
ことを特徴とする、請求項1記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記状態検出手段が、前記車両の走行速度及びエンジン負荷に基づく前記エンジンのアイドル回転が所定時間継続したときに、前記アイドル運転状態を検出する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記判定手段による判定の結果を乗員に報知する報知手段を備えた
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の排気制御装置。
【請求項5】
前記判定手段で前記排気センサが故障したと判定されたときの前記窒素酸化物濃度と前記所定濃度との差を演算する誤差演算手段を備え、
前記判定手段が、
前記誤差演算手段で演算された前記差に基づき、前記排気センサの故障の度合いを判定する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の排気制御装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−36835(P2012−36835A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178033(P2010−178033)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】