説明

排気装置及び画像形成装置

【課題】物流時における運搬性の確保とメンテナンス時における転倒防止の信頼性向上を図る。
【解決手段】装置本体11の内部の空気を排気する排気機構202と、排気機構202が収容され装置本体11の外面に着脱可能に取り付けられるとともに着脱方向と交差する方向が長手方向とされた枠体232と、枠体232の底部250に装置本体11側へ延在するように設けられた第1転倒防止部材272と、装置本体11から枠体232が取り外されるメンテナンス時には枠体232の底部250に装置本体11側とは反対側へ延在するように設けられ、装置本体11に枠体232が取り付けられる設置時には枠体232の底部250下面に枠体232から突出しないように長手方向に沿って配置され、物流時には枠体232の底部250下面に枠体232から突出しないように長手方向と交差する方向に沿って配置される第2転倒防止部材274と、を有する排気装置200とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置本体が搭載される専用台の下面に、キャスターの他に転倒防止機構が設けられた画像形成装置は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−218544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、物流時における運搬性の確保とメンテナンス時における転倒防止の信頼性向上を図れる排気装置と、それを備えた画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の排気装置は、画像形成装置の装置本体の外部に配置され、該装置本体の内部と接続されて該内部の空気を排気する排気機構と、前記排気機構が収容され、前記装置本体の外面に着脱可能に取り付けられるとともに、平面視で前記着脱方向と交差する方向が長手方向とされた枠体と、前記枠体の底部に前記長手方向と交差する方向に沿って前記装置本体側へ延在するように設けられた第1転倒防止部材と、前記装置本体から前記枠体が取り外されるメンテナンス時には、前記枠体の底部に前記長手方向と交差する方向に沿って前記装置本体側とは反対側へ延在するように設けられ、前記装置本体に前記枠体が取り付けられる設置時には、前記枠体の底部下面に、平面視で該枠体から突出しないように前記長手方向に沿って配置され、物流時には、前記枠体の底部下面に、平面視で該枠体から突出しないように前記長手方向と交差する方向に沿って配置される第2転倒防止部材と、を有することを特徴としている。
【0006】
また、請求項2に記載の排気装置は、請求項1に記載の排気装置において、前記第2転倒防止部材が、メンテナンス時及び設置時には、共通の拘束部材で拘束されて前記枠体に固定されることを特徴としている。
【0007】
また、請求項3に記載の排気装置は、請求項1又は請求項2に記載の排気装置において、前記第1転倒防止部材が、物流時には、前記枠体の底部上面で、かつ平面視で該枠体から突出しないように前記長手方向に沿って配置されることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る請求項4に記載の画像形成装置は、画像形成部に接続され、浮遊するトナーを含む空気を排気する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の排気装置と、前記画像形成部が収容され、前記排気装置の第1転倒防止部材が収容される空隙部が設置面との間に形成されるように設置される装置本体と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、物流時における運搬性の確保とメンテナンス時における転倒防止の信頼性向上を図ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、第2転倒防止部材が、メンテナンス時及び設置時に、それぞれ別の拘束部材で拘束されて枠体に固定される構成に比べて、拘束部材の数量を低減することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、物流時における運搬性の確保とメンテナンス時における転倒防止の信頼性向上を図ることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、メンテナンス時における転倒防止の信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体を示す概略構成図
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の画像形成部を示す概略側面図
【図3】本実施形態に係る排気装置の構成を示す概略斜視図
【図4】本実施形態に係る排気装置の構成を示す概略正面図
【図5】本実施形態に係る排気装置の底部上面を示す概略斜視図
【図6】本実施形態に係る排気装置の底部下面を示す概略正面図
【図7】本実施形態に係る第1転倒防止部材を示す概略斜視図
【図8】本実施形態に係る第2転倒防止部材を示す概略斜視図
【図9】本実施形態に係る第2転倒防止部材を収容した状態を示す概略斜視図
【図10】本実施形態に係る第1転倒防止部材及び第2転倒防止部材の取付工程を示す概略底面図
【図11】本実施形態に係る第1転倒防止部材及び第2転倒防止部材の取付工程を示す概略底面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、矢印UPを上方向、矢印RIを画像形成装置10の背面(後面)側から見たときの右方向、矢印FRを前方向とし、各図において、上記各矢印が示されている場合には、その矢印で示す方向に従って上下・左右・前後の表現をする。また、以下において、シート状部材である記録媒体の搬送方向上流側及び搬送方向下流側を、単に「上流側」、「下流側」という場合がある。
【0015】
図1で示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、記録媒体の一例としての記録用紙Pにトナー画像を二次転写して搬送する工程までとされる第1処理部12と、第1処理部12から搬送されて来た記録用紙Pにトナー画像を定着する工程以降の処理を行う第2処理部14と、が一体的に(記録用紙Pを受け渡し可能に)左右横方向(水平方向)に連結されて構成されている。
【0016】
第1処理部12は、装置本体の一例としての第1筐体11内に組み込まれ、第2処理部14は、第1筐体11と着脱可能とされた第2筐体13内に組み込まれている。そして、第1筐体11に隣接する第2筐体13上には、制御部16が組み込まれた第3筐体15が配設されており、その第3筐体15の横(下流側)の第2筐体13上には、表示装置18が配設されている。
【0017】
第1処理部12には、記録用紙Pを収容する給紙部20と、記録用紙Pを搬送する搬送部120と、記録用紙Pにトナー画像を転写する転写部100と、転写部100に一次転写させるトナー画像を形成する画像形成部30と、が備えられている。具体的に説明すると、まず、第1筐体11内の下部には、記録用紙Pがそれぞれ収容される2個の給紙カセット22が左右横方向に並んで設けられている。
【0018】
この給紙カセット22は、第1筐体11内から前方側へ引出可能とされており、給紙カセット22を第1筐体11内から引き出すと、給紙カセット22内に設けられたボトムプレート24が下降し、その上に記録用紙Pを載せることで、記録用紙Pの補充ができるようになっている。なお、給紙カセット22を第1筐体11内に取り付けると、ボトムプレート24は上昇する構成になっている。
【0019】
各給紙カセット22の上方には、ユニット化されて第1筐体11内から前方側へ引出可能とされた搬送部120が配設されている。そして、その搬送部120の上方には転写部100が配設され、その転写部100の上方には画像形成部30が配設されている。なお、画像形成部30、転写部100、搬送部120については後で詳述する。また、第1筐体11の第2筐体13と対向する左壁面11Aには、記録用紙Pを上部から搬出し、下部から搬入させる開口部26が形成されている。
【0020】
第2処理部14には、転写部100によって記録用紙Pに二次転写されたトナー画像を、その記録用紙Pに定着するための定着部50と、定着部50によってトナー画像が定着された記録用紙Pを冷却するための冷却部60と、両面印刷時に、記録用紙Pを反転させて、再度第1処理部12へ搬送するための反転部80と、が備えられている。
【0021】
すなわち、第1筐体11の左壁面11Aと対向する第2筐体13の右壁面13Bには、記録用紙Pを上部から搬入し、下部から搬出させる開口部28が、開口部26と対向して形成されており、その上側の開口部28を通って搬送されて来た記録用紙Pに対してトナー画像を定着可能なように定着部50が配設されている。
【0022】
この定着部50は、回転駆動する加熱ロール52と従動回転する張架ロール54とに巻き掛けられた定着ベルト56と、その定着ベルト56に圧接配置された加圧ロール58とで構成されている。そして、この定着部50は、定着ベルト56を外側から押圧して、その周回経路を規定する張架ロール55と、加熱ロール52と張架ロール54との間の定着ベルト56を内側から押圧して、その定着ベルト56の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール53と、を備えている。なお、加熱ロール52及び張架ロール54、55の内部には、加熱手段としてハロゲンヒーター(図示省略)が設けられており、定着ベルト56を、その内面側から加熱するようになっている。
【0023】
また、定着部50の横(下流側)には冷却部60が配設されている。この冷却部60は、記録用紙Pの搬送経路122(後述)を挟んで上側に、記録用紙Pと接触して、その熱を吸収する吸収装置70が設けられ、下側に、搬送される記録用紙Pを吸収装置70に押し付ける押付装置62が設けられて構成されている。
【0024】
吸収装置70は、駆動力を伝達する駆動ロール72と複数個の張架ロール73に巻き掛けられた無端状の吸収ベルト74を有しており、その吸収ベルト74の内側には、吸収ベルト74と面状に接触して、吸収ベルト74が吸収した熱を放熱させるヒートシンク76を有している。そして、ヒートシンク76から熱を奪い、その熱気を外部へ排出させる吸込ファン78が、第2筐体13の後壁部側(図示の奥側)に2個並んで設けられている。
【0025】
また、押付装置62は、搬送される記録用紙Pと接触して、吸収装置70へ押し付ける無端状の押付ベルト64を有しており、その押付ベルト64は複数個の張架ロール65に張架されて回転可能に支持されている。このような構成の冷却部60により、定着部50から搬送されて来た記録用紙Pが冷却されるようになっている。
【0026】
また、冷却部60の横(下流側)には、記録用紙Pのカールを矯正する(記録用紙Pを平坦にする)デカール処理部66が配設されている。そして、そのデカール処理部66の横(下流側)には、記録用紙Pに定着されたトナー画像の濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を光学的に検出するインラインセンサー部68が配設されている。
【0027】
なお、インラインセンサー部68の横(下流側)には、片面に画像が形成された記録用紙Pを第2筐体13の左壁面13Aに取り付けられた排出部(排出トレイ)90に排出する排出ロール92が設けられており、片面印刷時には、その排出ロール92によって記録用紙Pが排出部90上へ排出されるようになっている。
【0028】
また、定着部50、冷却部60、デカール処理部66、インラインセンサー部68の下方には、反転部80が配設されている。すなわち、記録用紙Pの両面に画像を形成する際には、インラインセンサー部68から送出された記録用紙Pを反転部80へ搬送する。詳細には、その記録用紙Pを、図示しない切替部材によって、反転部80に設けられた反転経路82へ導く。
【0029】
反転経路82は、第2処理部14における搬送経路122(後述)から分岐する分岐パス84と、分岐パス84に沿って搬送される記録用紙Pを第1処理部12側へ向けて搬送する用紙搬送パス86と、用紙搬送パス86に沿って搬送される記録用紙Pを逆方向へ向けて折り返し、スイッチバック搬送して表裏を反転させる反転パス88と、を備えている。
【0030】
この構成により、反転パス88によってスイッチバック搬送された記録用紙Pは、下側の開口部28及び開口部26を通って第1処理部12内へ向けて搬送され、更に搬送部120における搬送経路122へ送出されて、後述する二次転写ロール110とバックアップロール112との狭持部である転写ポイントTへ再度送り込まれるようになっている。
【0031】
なお、第1筐体11の右壁面11Bには、その右壁面11Bに隣接して外付けされる大容量の給紙カセット(図示省略)から記録用紙Pを供給できるようにするための供給部94が設けられている。また、制御部16には、図示しないコンピューター等から送られてくる画像データに処理を施す画像信号処理部96と、各部へ電力を供給する電源部98と、が備えられている。
【0032】
次に、画像形成部30について説明する。本実施形態に係る画像形成装置10には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ32V、32W、32Y、32M、32C、32Kが左右横方向(水平方向)に並んで交換可能に設けられており、フルカラー画像又は白黒画像を形成可能に構成されている。
【0033】
なお、第1特別色及び第2特別色には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から適宜選択される。また、以後の説明では、V、W、Y、M、C、Kを区別する場合は、数字の後にV、W、Y、M、C、Kの何れかの英字を付して説明し、V、W、Y、M、C、Kを区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
【0034】
トナーカートリッジ32の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成ユニット34が、各トナーカートリッジ32と対応するように左右横方向(水平方向)に並んで設けられている。そして、各トナーカートリッジ32と画像形成ユニット34との間には、露光ユニット40が設けられている。
【0035】
画像形成ユニット34毎に設けられた露光ユニット40は、上記した画像信号処理部96によって処理を施された画像データを受け取り、色材階調データに応じて各半導体レーザー(図示省略)を変調し、各半導体レーザーから露光光Lを色材階調データに応じて出射するように構成されている。詳細には、後述する感光体36(図2参照)の表面に各色に対応した露光光Lを照射して、その感光体36上に静電潜像を形成するようになっている。
【0036】
図2で示すように、画像形成ユニット34は、矢印A(図示の時計回り)方向に回転駆動される感光体36を備えている。感光体36の周囲には、感光体36を一様に帯電する帯電装置の一例としてのコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器38と、露光ユニット40によって出射された露光光Lにより感光体36上に形成された静電潜像を各色の現像剤(トナー)で現像する現像装置42と、転写後の感光体36の表面をクリーニングするクリーニング装置の一例としてのクリーニングブレード44と、転写後の感光体36の表面に光を照射して除電を行う除電装置の一例としてのイレーズランプ46が設けられている。
【0037】
なお、スコロトロン帯電器38、現像装置42、クリーニングブレード44、イレーズランプ46は、感光体36の表面と対向して、感光体36の回転方向上流側から下流側へ向けて、この順番で配置されている。
【0038】
また、現像装置42は、画像形成ユニット34の横(背面側から見て左側)に配置され、トナーを含んだ現像剤Gが充填された現像剤収容部材48と、現像剤収容部材48に充填されたトナーを感光体36の表面に移動させる現像ロール49と、を含んで構成されている。そして、現像剤収容部材48は、トナーカートリッジ32(図1参照)とトナー供給路(図示省略)を通して接続されており、トナーカートリッジ32からトナーが供給されるようになっている。
【0039】
次に、転写部100について説明する。図1で示すように、各画像形成ユニット34の下側には、転写部100が設けられている。この転写部100は、各感光体36と接触する無端状の中間転写ベルト102と、中間転写ベルト102の内側に配置され、各感光体36上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト102に多重転写させる6つの一次転写部材としての一次転写ロール104と、を含んで構成されている。
【0040】
更に、この中間転写ベルト102は、図示しないモーターで駆動される駆動ロール106と、中間転写ベルト102の張力を調整する張力付与ロール108と、後述する二次転写ロール110と対向配置されたバックアップロール112と、複数個の張架ロール114との間に、一定の張力で巻き掛けられており、駆動ロール106により、図1の矢印B(図示の反時計回り)方向に循環移動されるようになっている。
【0041】
詳細には、各一次転写ロール104は、中間転写ベルト102を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット34の感光体36と対向配置されている。また、一次転写ロール104は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、感光体36上に形成されたトナー画像が中間転写ベルト102に転写されるようになっている。
【0042】
一方、駆動ロール106の中間転写ベルト102を挟んだ反対側には、先端部が中間転写ベルト102と接触するクリーニングブレード116が設けられおり、このクリーニングブレード116は、循環移動する中間転写ベルト102上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
【0043】
次に、第1処理部12における搬送部120について説明する。給紙カセット22の一端側(背面側から見て左側)の上方には、給紙カセット22から記録用紙Pを搬送経路122へ送出する送出ロール118が設けられており、上昇するボトムプレート24に載せられた最上位の記録用紙Pに送出ロール118が接触するようになっている。
【0044】
送出ロール118の下流側には、記録用紙Pの重送を防止する一対の分離ロール124が設けられており、分離ロール124の下流側には、記録用紙Pを下流側に搬送する一対の搬送ロール126が複数設けられている。
【0045】
給紙部20(給紙カセット22)と転写部100(中間転写ベルト102)との間に設けられる搬送部120の搬送経路122は、給紙カセット22から送出された記録用紙Pを第1折返部122Aで(背面側から見て右方向へ)折り返し、更に第2折返部122Bで(背面側から見て左方向へ)折り返して二次転写ロール110とバックアップロール112との挟持部である転写ポイントTへ向けて送出するようになっている。
【0046】
第2折返部122Bと転写ポイントTとの間には、搬送される記録用紙Pの傾き等を矯正するアライナー(図示省略)が設けられており、このアライナーと転写ポイントTとの間には、中間転写ベルト102上のトナー画像の移動タイミングと記録用紙Pの搬送タイミングを合わせるための位置合わせロール128が設けられている。
【0047】
また、位置合わせロール128の下流側に設けられている二次転写部材としての二次転写ロール110は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、中間転写ベルト102上に多重転写された各色のトナー画像が、二次転写ロール110によって、搬送経路122に沿って搬送されて来た記録用紙Pに二次転写される構成となっている。なお、上記した供給部94は、搬送経路122の第2折返部122Bへ合流するようになっている。
【0048】
また、転写ポイントTの下流側には、トナー画像が転写された記録用紙Pを第2処理部14内へ向けて搬送する複数個のバキューム搬送装置130が設けられている。各バキューム搬送装置130は、回転駆動する駆動ロール132と、回転可能に支持された従動ロール134と、駆動ロール132と従動ロール134に巻き掛けられる複数本のベルト部材136と、を備えている。
【0049】
ベルト部材136の表面には、複数個の貫通孔(図示省略)が全面に渡って設けられており、その貫通孔から空気をベルト部材136の内側へ吸い込む吸込ファン138が、第1筐体11の後壁部側(図示の奥側)に配置されている。
【0050】
この構成により、トナー画像が形成されていない記録用紙Pの裏面(非画像面)をベルト部材136に吸い付け、駆動ロール132を回転駆動させてベルト部材136を回転させることで、その記録用紙Pを更に下流側、即ち第2処理部14のバキューム搬送装置130へ搬送するようになっている。
【0051】
なお、第2処理部14のバキューム搬送装置130も、第1処理部12のバキューム搬送装置130と同様の構成であり、第2処理部14における搬送経路122は、第1処理部12の搬送部120における搬送経路122と連続している。
【0052】
次に、画像形成工程(作用)について説明する。画像信号処理部96で画像処理が施された画像データは、各色の色材階調データに変換され、各露光ユニット40に順次出力される。各露光ユニット40では、各色の色材階調データに応じて各露光光Lを出射し、スコロトロン帯電器38によって帯電された各感光体36上に走査露光を行い、静電潜像を形成する。
【0053】
感光体36上に形成された静電潜像は、現像装置42によって、それぞれ第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像(現像剤像)として顕在化される(現像される)。
【0054】
各画像形成ユニット34V、34W、34Y、34M、34C、34Kの各感光体36上に形成された各色のトナー画像は、6つの一次転写ロール104V、104W、104Y、104M、104C、104Kによって中間転写ベルト102上に順次多重転写される。
【0055】
中間転写ベルト102上に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール110によって、給紙部20(給紙カセット22)から搬送されて来た記録用紙P上に二次転写される。トナー画像が転写された記録用紙Pは、バキューム搬送装置130によって定着部50へ搬送される。
【0056】
定着部50に搬送された記録用紙Pは、その定着部50において加熱・加圧されることにより、その記録用紙P上に転写された各色のトナー画像が定着される。そして、各色のトナー画像が定着された記録用紙Pは、冷却部60を通過して冷却された後、デカール処理部66に送り込まれ、記録用紙Pに生じたカールが矯正される。カールが矯正された記録用紙Pは、インラインセンサー部68によって画像欠陥等が検出された後、排出ロール92によって排出部90に排出される。
【0057】
なお、記録用紙Pの画像が形成されていない裏面に画像を形成する場合(両面印刷の場合)には、その記録用紙Pは、インラインセンサー部68を通過後に、反転部80へ送出される。反転部80へ送出された記録用紙Pは、反転経路82を通過して反転され、再度第1処理部12へ送り込まれて、上記した手順で、その裏面にトナー画像が形成される。
【0058】
以上のような構成の画像形成装置10において、次に本実施形態に係る排気装置200について説明する。なお、以下において、排気する空気の流れ方向上流側及び下流側を、単に「上流側」、「下流側」という場合がある。
【0059】
また、本実施形態に係る画像形成装置10では、ユーザーの選択により、第1特別色(V)及び第2特別色(W)を使用しない態様や、第1特別色(V)及び第2特別色(W)のうち、何れか1色のみを使用する態様も取り得るが、本実施形態に係る排気装置200では、第1特別色(V)及び第2特別色(W)を使用する態様であるとして説明をする。
【0060】
画像形成装置10における第1筐体11の後壁部11Dの外側(外部)には、各色の画像形成ユニット34の各感光体36の周辺に発生する浮遊トナー(以下「トナークラウド」という)及びオゾンを含んだ空気を吸い込み、その空気中のトナークラウド及びオゾンを除去して排気する排気装置200が設けられている。
【0061】
すなわち、本実施形態に係る排気装置200は、図3、図4で示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像形成ユニット34Y、34M、34C、34K(図1参照)に対して設置される第1排気機構202と、第1特別色(V)、第2特別色(W)の画像形成ユニット34V、34W(図1参照)に対して設置される第2排気機構204と、を備えている。
【0062】
第1排気機構202は、各画像形成ユニット34Y、34M、34C、34Kに接続される排気管の一例としての円筒状の流通管206Y、206M、206C、206Kをそれぞれ有しており、第2排気機構204は、各画像形成ユニット34V、34Wに接続される排気管の一例としての円筒状の流通管206V、206Wをそれぞれ有している。
【0063】
各流通管206は、鉛直方向に沿って延在しており、左右幅方向(水平方向)に沿って並んで設けられている。各流通管206の上部には、ゴム製で蛇腹状の曲管208が接続されており、各曲管208の前方側に形成された各吸込口209(図4参照)が、各画像形成ユニット34における各感光体36の周辺、例えばトナーが飛散する現像装置42や、オゾンが発生するスコロトロン帯電器38及びイレーズランプ46の後方側の空間と通じている。
【0064】
また、図3で示すように、各流通管206の下部には、トナー用フィルターが収容されたフィルター収容部210がそれぞれ設けられている。トナー用フィルターは、各流通管206内を流れて来た空気中の異物としてのトナー(トナークラウド)を捕獲して除去するようになっており、フィルター収容部210に対して交換可能に取り付けられている。
【0065】
各フィルター収容部210の下流部には、それぞれブロワー(ファン)212が接続されており、各ブロワー212によって、各画像形成ユニット34内の空気が、各曲管208及び各流通管206を通り、各トナー用フィルターを通って下流側へ送られるようになっている。なお、各ブロワー212は、画像形成ユニット34内から吸い込んだ空気を、各排出口214から図示の左斜め後方側(後述する排出口216A、218A側)へ排出するようになっている。
【0066】
また、各ブロワー212Y〜212Kの下流側には、各ブロワー212Y〜212Kから排出された空気を合流させる第1合流部216が設けられており、各ブロワー212V、212Wの下流側には、各ブロワー212V、212Wから排出された空気を合流させる第2合流部218が設けられている。
【0067】
第1合流部216及び第2合流部218は、共に後部側が開放された中空の箱状に板金によって形成されており、第1合流部216には、各ブロワー212Y〜212Kの各排出口214Y〜214Kが臨んでおり、第2合流部218には、各ブロワー212V、212Wの各排出口214V、214Wが臨んでいる。なお、第1合流部216及び第2合流部218の後部側は、図示しない後面カバーによって、それぞれ被覆されるようになっている。
【0068】
第1合流部216の下流側、即ち第1合流部216の下面(底面)で、かつ図示の左側端部寄りには、平面視四角形状の排出口216Aが形成されており、第2合流部218の下流側、即ち第2合流部218の下面(底面)で、かつ図示の左側端部寄りには、平面視四角形状の排出口218Aが形成されている。
【0069】
そして、第1合流部216の排出口216Aには、第1合流部216内で合流した空気を排気装置200(画像形成装置10)の外部へ排出するための第1排出管222の上端部が接続されており、第2合流部218の排出口218Aには、第2合流部218内で合流した空気を排気装置200(画像形成装置10)の外部へ排出するための第2排出管224の上端部が接続されている。
【0070】
第1排出管222及び第2排出管224は、鉛直方向に沿って延在する四角筒状に形成されており、それらの下端部にそれぞれ形成されている排出口222A、224Aよりも上流側には、各排出管222、224内を排出口222A、224Aへ向かって流れる空気中のオゾンを分解するオゾンフィルター220が交換可能に取り付けられている。
【0071】
そして、各排出管222、224の排出口222A、224Aは、後述する底板250、260にそれぞれ形成されたスリット部226(図6参照)に対向して配置されている。したがって、画像形成ユニット34で発生したトナークラウドやオゾンが除去された空気は、排気装置200(画像形成装置10)が設置された床面230(図4参照)へ向かって、各排出口222A、224Aからスリット部226を介して排出(排気)される。
【0072】
ここで、この排気装置200の作用について説明する。本実施形態に係る排気装置200では、まず、ブロワー212の作動によって、各画像形成ユニット34における各感光体36の周辺の空間から、トナークラウド及びオゾンを含んだ空気が、各曲管208の各吸込口209を通じて、各流通管206に吸い込まれる。
【0073】
各流通管206に吸い込まれた空気は、各フィルター収容部210内の各トナー用フィルターを通過することで、トナークラウド(トナー)が除去される。トナー用フィルターによってトナークラウド(トナー)が除去された空気は、各ブロワー212へ、その上方から吸い込まれ、その下方の各排出口214から左斜め後方側へ排出される。
【0074】
各ブロワー212の各排出口214から排出された空気は、第1合流部216及び第2合流部218でそれぞれ合流され、第1排出管222及び第2排出管224へ流入する。第1排出管222及び第2排出管224へ流入した空気は、それぞれのオゾンフィルター220を通過し、それぞれの空気中のオゾンが分解され、それぞれの排出口222A及び排出口224Aから、排気装置200が設置された床面230へ(スリット部226を介して)排出される。
【0075】
以上のような排気装置200において、その第1排気機構202は、第1枠体232の中に収容され、第2排気機構204は第2枠体234の中に収容されている。第1枠体232及び第2枠体234は、それぞれ直方体形状に形成された枠体であり、第1枠体232及び第2枠体234の四隅に配置された柱状部材236の前後方向(奥行き方向)における上端部と、その上端部と下端部との間の適宜位置部分が、連結部材238によって連結されている。
【0076】
また、第1枠体232の前部側における上端部と、その上端部と下端部との間の適宜位置部分が、架設部材242によって連結されており、第1枠体232の後部側における上端部も、架設部材242によって連結されている。そして、第1枠体232の後部側における上端部と下端部との間の適宜位置部分が、矩形平板状の架設プレート244によって連結されており、更に第1合流部216によっても、後部側の各柱状部材236が左右幅方向に連結されている(図3参照)。
【0077】
同様に、第2枠体234の前部側における上端部と、その上端部と下端部との間の適宜位置部分が、架設部材252によって連結されており、第2枠体234の後部側における上端部も、架設部材252によって連結されている。そして、第2枠体234の後部側における上端部と下端部との間の適宜位置部分が、矩形平板状の架設プレート254によって連結されており、更に第2合流部218によっても、後部側の各柱状部材236が左右幅方向に連結されている(図3参照)。
【0078】
なお、図4で示すように、第1枠体232の前部側に架設された架設部材242間には、矩形平板状のパネル240が取り付けられており、第2枠体234の前部側に架設された架設部材252と、後述する底板260の側壁261との間には、矩形平板状のパネル248が取り付けられている。
【0079】
また、第1枠体232の下端部には、周縁部に側壁251が立設された矩形状の底板250が配設されており、その底板250の四隅に各柱状部材236の下端部が接合されている。なお、この底板250の図示の左端部寄りには、複数のスリット部226が形成されており、上記したように、そのスリット部226に第1排出管222の排出口222Aが対向して配置されるようになっている。
【0080】
また、第2枠体234の下端部には、周縁部に側壁261が立設された矩形状の底板260が配設されており、その底板260の四隅に各柱状部材236の下端部が接合されている。なお、この底板260の図示の左端部寄りには、複数のスリット部(図示省略)が形成されており、上記したように、そのスリット部に第2排出管224の排出口224Aが対向して配置されるようになっている。
【0081】
また、第1枠体232における底板250の下面で、かつ、その四隅には、移動手段の一例としてのキャスター246が取り付けられており、第1枠体232(排気装置200)の移動を可能としている。そして、第2枠体234における底板260の下面で、かつ、その左側(第1枠体232と対向しない側)の2つの隅角部にも、キャスター256が取り付けられている。
【0082】
また、第2枠体234における底板260の下面で、かつ、その右側(第1枠体232と対向する側)の2つの隅角部には、高さ調整手段の一例としてのアジャスター258が取り付けられている。このアジャスター258は、従来公知の例えばネジ式とされており、右回りに回転させると、高さを低くでき、左回りに回転させると、高さを高くできるように構成されている。
【0083】
ここで、画像形成装置10の第1筐体11(装置本体)の後壁部11D(外面)には、第1枠体232だけが、架設部材242に設けられた取付ネジ262(図3、図4参照)によって着脱可能に取り付けられるようになっている。つまり、第2枠体234は、第1枠体232の左右幅方向(水平方向)一端部側(図3の左端部側)に取付ブラケット264及び取付ネジ266等によって着脱可能に取り付けられ、第1筐体11の後壁部11Dには取り付けられない構成になっている。
【0084】
したがって、上記したアジャスター258により、第1枠体232に対する第2枠体234の高さが調整可能とされている。なお、第1枠体232が第1筐体11の後壁部11Dに取り付けられたときには、柱状部材236及びパネル240、248に設けられた複数のガスケット268(図4参照)が、第1筐体11の後壁部11Dに圧接される。
【0085】
さて、この排気装置200は、画像形成装置10のメンテナンス時等には、画像形成装置10から取り外されて、その画像形成装置10から離隔させられる(移動させられる)が、本実施形態に係る排気装置200は、その高さが170cm以上あり、左右方向に長い(左右方向が長手方向となっている)。したがって、この排気装置200には、排気装置200が前後方向(長手方向と交差する方向)に転倒しないようにするための転倒防止手段270が設けられている。以下、その転倒防止手段270について説明する。
【0086】
なお、上記したように、第2排気機構204は使用されない態様もあり、使用されるとしても、その第2枠体234は、第1枠体232に取り付けられる構成であるため、第1枠体232と共に移動する。よって、転倒防止手段270は、左右幅方向の長さが第2枠体234よりも長い第1枠体232だけに設けられていれば充分であり、第2枠体234には(設けてもよいが)設ける必要がない。そのため、図5〜図11では、第2枠体234を省略し、第1枠体232のみを示している。
【0087】
図7、図8、図11(B)で示すように、この転倒防止手段270は、メンテナンス時には、第1枠体232における底部の一例としての底板250の前部側壁251Aに取り付けられて第1筐体11(装置本体)側である前方向へ延在する第1転倒防止部材272と、底板250の後部側壁251Bに取り付けられて第1転倒防止部材272とは反対方向である後方向へ延在する第2転倒防止部材274と、第1転倒防止部材272を底板250の前部側壁251Aに取り付けるための第1ブラケット282と、第2転倒防止部材274を底板250の後部側壁251Bに取り付けるための第2ブラケット284と、を含んで構成されている。
【0088】
図5〜図9で示すように、第1転倒防止部材272及び第2転倒防止部材274は、その長さを除いてほぼ同じ形状とされており、四角筒(角パイプ)状の本体部276と、本体部276の一端側で、かつ下面に取り付けられた略円板状の脚部278と、本体部276の他端側に上下方向に形成された孔部276Aと、を有している。
【0089】
なお、図6で示すように、第2転倒防止部材274の本体部276は、底板250の前後方向における長さと略同一長さとされており、図5で示すように、第1転倒防止部材272の本体部276は、第2転倒防止部材274の本体部276よりも長く形成されている。また、第1転倒防止部材272の本体部276の適宜位置には、複数(例えば2個)のネジ孔部276Bが形成されている。
【0090】
また、図8、図9で示すように、第2転倒防止部材274の本体部276の一端側で、脚部278が取り付けられている下面とは表裏反対側の上面には、突起部280が上方に向かって突設されている。この突起部280は円柱状のシャフト280Aと、そのシャフト280Aの上端に設けられたフランジ部280Bと、を有している。
【0091】
図7、図8で示すように、第1ブラケット282及び第2ブラケット284は、同じ形状とされており、断面略「L」字状に形成されている本体部286と、底板250の前部側壁251A又は後部側壁251Bに取付ネジ292によって取り付けるための一対のネジ孔部286Aと、第1転倒防止部材272又は第2転倒防止部材274を取付ネジ294によって取り付けるための一対のネジ孔部286Bと、第2転倒防止部材274の突起部280(フランジ部280B)を係止させるための係止孔部288及び切欠部289と、を有している。
【0092】
第1転倒防止部材272又は第2転倒防止部材274を取り付けるためのネジ孔部286Bは、取付ネジ294の頭部294A(図9参照)を挿通可能とする大孔部と、取付ネジ294の本体部294B(図9参照)を挿通可能とするが、取付ネジ294の頭部294Aを挿通不能とする小孔部とが連続して形成された形状となっている。
【0093】
また、係止孔部288は、突起部280のフランジ部280Bを挿通可能とする大孔部288Aと、突起部280のシャフト280Aを挿通可能とするが、突起部280のフランジ部280Bを挿通不能とする小孔部288Bとが連続して形成された形状となっている。
【0094】
そして、切欠部289は、突起部280のシャフト280Aを挿通可能とするが、突起部280のフランジ部280Bを挿通不能とする形状(幅)に形成されている。なお、第1ブラケット282及び第2ブラケット284における屈曲部分には、その屈曲部分を補強するための凹状(凸状)のビード部287を複数(例えば2個)形成することが望ましい。
【0095】
ここで、第1転倒防止部材272及び第2転倒防止部材274、第1ブラケット282及び第2ブラケット284、取付ネジ292、294等は、排気装置200の設置前(物流時)においては、第1枠体232内に設けられる(収容される)ようになっている。
【0096】
すなわち、図5、図6で示すように、第1転倒防止部材272は、底板250の上面に取り付けられ、第2転倒防止部材274は、底板250の下面に取り付けられている。そして、第1ブラケット282は底板250の前部側壁251Aに取り付けられ、第2ブラケット284は底板250の後部側壁251Bに取り付けられている。
【0097】
詳細に説明すると、物流時(排気装置200の設置前)において、第1転倒防止部材272は、図5で示すように、平面視で第1枠体232から突出しないように、底板250の上面に前後方向と交差する長手方向に沿って配置されている。なお、本実施形態における長手方向は、左右方向に対して少し斜めとされている方向も含む。
【0098】
そして、固定ネジ296が各ネジ孔部276Bに挿通されて底板250に形成された各雌ネジ部(図示省略)にねじ込まれることにより、第1転倒防止部材272が底板250の上面に取り付けられるようになっている。なお、この固定ネジ296は、取付ネジ292、294よりも、その長さが長い。
【0099】
一方、第2転倒防止部材274は、図6で示すように、その他端側が、底板250の後部側壁251B側の下面で、かつ底板250の左右方向(長手方向)略中央部に回転自在に取り付けられている。
【0100】
すなわち、第2転倒防止部材274の他端側に形成された孔部276Aに、その孔部276Aよりも大径とされたフランジ部290Aを下端部に有する回転軸290が、遊びを持った状態で下方から挿通され、例えばその回転軸290の上端部に、底板250の後部側壁251B近傍に形成された貫通孔に上方から挿通された固定ネジ298(図8参照)が、ねじ込まれることによって固定されるようになっている。
【0101】
これにより、第2転倒防止部材274は、他端側(回転軸290)を中心として水平方向に回転可能に底板250に支持され、一端側は、底板250の前部側壁251Aに取り付けられた第1ブラケット282の係止孔部288に突起部280(フランジ部280B)が係止されることによって支持されるようになっている(図6参照)。
【0102】
次に、画像形成装置10(第1筐体11)に排気装置200(第1枠体232)を取り付ける設置時(通常時)における転倒防止手段270の取付工程について、図10、図11(A)を基に説明する。
【0103】
まず、図10(A)で示すように、第1ブラケット282から第2転倒防止部材274を外す。つまり、取付ネジ292を外すことにより、第1ブラケット282を底板250の前部側壁251Aから外し、その後、本体部286の係止孔部288から第2転倒防止部材274の突起部280を外す。
【0104】
すなわち、係止孔部288は、大孔部288Aと小孔部288Bとが連続した形状になっており、突起部280のシャフト280Aは小孔部288Bに入り込んでいる。そのため、第2転倒防止部材274の本体部276と第1ブラケット282の本体部286とを相対的にスライドさせ、突起部280のシャフト280A(フランジ部280B)を大孔部288Aへ移動させる。これにより、第1ブラケット282が第2転倒防止部材274から取り外し可能となる。
【0105】
第2転倒防止部材274から取り外した第1ブラケット282は、図10(B)で示すように、表裏反転して、再度底板250の前部側壁251Aの左右方向(長手方向)略中央部に取付ネジ292によって取り付ける。なお、第2転倒防止部材274は、回転軸290を中心に後方側へ回転させる。
【0106】
その後、図11(A)で示すように、底板250の上面に取り付けられている第1転倒防止部材272を、固定ネジ296を外すことによって取り外す。そして、その第1転倒防止部材272を第1ブラケット282に取付ネジ294によって取り付ける。
【0107】
この取付ネジ294は、第1転倒防止部材272の本体部276の上面に予め取り付けられており、第1ブラケット282のネジ孔部286Bの大孔部に下方から挿通した後、第1転倒防止部材272を前方側へスライドさせることにより、ネジ孔部286Bの小孔部へ移動させる。
【0108】
これにより、第1転倒防止部材272が第1ブラケット282に仮止めされ、その後、取付ネジ294を締め付けることにより、第1転倒防止部材272が第1ブラケット282に固定される。なお、このとき、固定ネジ296によって、第1転倒防止部材272の他端側を底板250に固定する。これにより、図7で示すように、第1枠体232(底板250)に対する第1転倒防止部材272の取付作業が完了する。
【0109】
一方、第2転倒防止部材は、図11(A)で示すように、平面視で底板250から後方側へ突出しないように配置する。すなわち、まず、取付ネジ292を外し、第2ブラケット284を底板250から外す。そして、その本体部286の切欠部289に第2転倒防止部材274の突起部280を係止し、その係止状態のまま、第2ブラケット284を再度底板250の後部側壁251Bに取付ネジ292によって取り付ける。
【0110】
これにより、図9で示すように、第2転倒防止部材274が、平面視で第1枠体232(底板250)から突出することなく、かつ、その底板250の下面において、左右方向(長手方向)に沿って配置される。つまり、これにより、設置時における第1枠体232(底板250)に対する第2転倒防止部材274の取付作業が完了する。
【0111】
なお、排気装置200の設置時には、排気装置200を画像形成装置10における第1筐体11の後壁部11Dに取り付けるが、このとき、第1転倒防止部材272は、画像形成装置10の第1筐体11と、その第1筐体11が設置される設置面の一例である床面230との間に形成されている空隙部S(図1参照)内に収容される。したがって、第1転倒防止部材272は、底板250の前部側壁251Aから取り外されることはない。
【0112】
次に、画像形成装置10のメンテナンス作業に伴って排気装置200を移動させるときに取り付ける転倒防止手段270(第2転倒防止部材274)の取付工程について、図11(B)を基に説明する。
【0113】
図11(B)で示すように、まず、第2ブラケット284を底板250から取り外す。つまり、取付ネジ292を外すことにより、第2ブラケット284を底板250の後部側壁251Bから外し、その後、その本体部286の切欠部289から第2転倒防止部材274の突起部280を外す。
【0114】
そして、第2転倒防止部材274を、回転軸290を中心に略90度回転させるとともに、第2ブラケット284を表裏反転し、第2転倒防止部材274の本体部276の上面に取り付けられている取付ネジ294を、第2ブラケット284の本体部286のネジ孔部286Bに挿通する。
【0115】
つまり、その取付ネジ294をネジ孔部286Bの大孔部に挿通し、その後、第2ブラケット284を底板250(後部側壁251B)側へスライドさせる。これにより、取付ネジ294が相対的にネジ孔部286Bの小孔部へ移動し、第2ブラケット284が第2転倒防止部材274に仮止めされる。
【0116】
その後、第2ブラケット284の本体部286のネジ孔部286Aに、取付ネジ292を挿通してねじ込み、第2ブラケット284を底板250の後部側壁251Bに取り付ける(固定する)。そして、ネジ孔部286Bに挿通されている取付ネジ294を締め付け、第2転倒防止部材274を第2ブラケット284に固定する。
【0117】
これにより、図8で示すように、第2転倒防止部材274が、底板250の後部側壁251Bの左右方向(長手方向)略中央部から後方側へ向かうように延在され、メンテナンス時における第1枠体232(底板250)に対する第2転倒防止部材274の取付作業が完了する。
【0118】
なお、画像形成装置10のメンテナンス作業が終了したときには、排気装置200を画像形成装置10側へ移動させるが、その移動後には、図11(A)で示したように、再度第2転倒防止部材274を、平面視で第1枠体232(底板250)から突出しないように、その底板250の下面において、左右方向(長手方向)に沿って配置させる。
【0119】
すなわち、まず、第2転倒防止部材274の本体部276に設けられている取付ネジ294を緩める。そして、取付ネジ292を取り外し、第2ブラケット284を底板250の後部側壁251Bから離隔させる方向へスライドさせる。これにより、取付ネジ294がネジ孔部286Bにおける小孔部から大孔部へ移動するので、第2ブラケット284が第2転倒防止部材274から取り外し可能となる。
【0120】
第2転倒防止部材274から第2ブラケット284を取り外したら、その第2ブラケット284を表裏反転させるとともに、第2転倒防止部材274を、回転軸290を中心に略90度回転させる。そして、第2ブラケット284の本体部286の切欠部289に、第2転倒防止部材274の突起部280を係止し、上記と同様に、第2ブラケット284を底板250の後部側壁251Bに取り付ければよい。
【0121】
以上のような構成の転倒防止手段270において、次にその作用について説明する。上記したように、画像形成装置10のメンテナンス時には、排気装置200を移動させる。このとき、その排気装置200の第1枠体232には、図7、図8、図11(B)で示したように、底板250の左右方向(長手方向)略中央部において、前方向及び後方向へそれぞれ延在する第1転倒防止部材272及び第2転倒防止部材274が取り付けられている。
【0122】
したがって、高さが170cm以上あり、前後方向と交差する方向である左右方向が長手方向とされている排気装置200であっても、その前後方向に転倒するおそれがない。つまり、この排気装置200が移動時に傾いても、第1転倒防止部材272の脚部278又は第2転倒防止部材274の脚部278が、床面230に当たって、それ以上の傾きを阻止するので、排気装置200が転倒してしまうような不具合は発生しない。
【0123】
また、排気装置200の設置時には、第2ブラケット284により、第2転倒防止部材274が、平面視で第1枠体232から突出しないように収容される。そのため、排気装置200の設置時において、第2転倒防止部材274が邪魔になることがない。このように、第2転倒防止部材274は、メンテナンス時及び設置時において、共通の第2ブラケット284(拘束部材)によって拘束されて第1枠体232に固定されるようになっている。
【0124】
また、物流時において、転倒防止手段270は、排気装置200の第1枠体232内に収容されている。そのため、転倒防止手段270が、排気装置200とは別に梱包されて流通される場合に比べて、コストの低減が図れる。
【0125】
また、第2転倒防止部材274は、底板250の下面の左右方向(長手方向)略中央部に、その左右方向(長手方向)と交差する前後方向に沿って配置されている。したがって、図示しないフォークリフトのフォークによって排気装置200(第1枠体232)を持ち上げる際に、その第2転倒防止部材274が邪魔になることがない。
【0126】
以上、本実施形態に係る排気装置200及び画像形成装置10について説明したが、本実施形態に係る排気装置200及び画像形成装置10は、図示の実施例に限定されるものではない。例えば、常に第2排気機構204を使用する態様であれば、常に第2枠体234が第1枠体232に取り付けられた状態となるので、その場合には、第2枠体234の底板260と第1枠体232の底板250とを合わせた左右方向(長手方向)略中央部に、第1転倒防止部材272及び第2転倒防止部材274を取り付ける構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0127】
10 画像形成装置
11 第1筐体(装置本体の一例)
12 第1処理部
13 第2筐体
14 第2処理部
15 第3筐体
16 制御部
20 給紙部
30 画像形成部
50 定着部
60 冷却部
80 反転部
100 転写部
120 搬送部
200 排気装置
202 第1排気機構
204 第2排気機構
232 第1枠体
234 第2枠体
250 底板(底部の一例)
270 転倒防止手段
272 第1転倒防止部材
274 第2転倒防止部材
282 第1ブラケット
284 第2ブラケット(拘束部材の一例)
P 記録用紙(記録媒体の一例)
S 空隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体の外部に配置され、該装置本体の内部と接続されて該内部の空気を排気する排気機構と、
前記排気機構が収容され、前記装置本体の外面に着脱可能に取り付けられるとともに、平面視で前記着脱方向と交差する方向が長手方向とされた枠体と、
前記枠体の底部に前記長手方向と交差する方向に沿って前記装置本体側へ延在するように設けられた第1転倒防止部材と、
前記装置本体から前記枠体が取り外されるメンテナンス時には、前記枠体の底部に前記長手方向と交差する方向に沿って前記装置本体側とは反対側へ延在するように設けられ、前記装置本体に前記枠体が取り付けられる設置時には、前記枠体の底部下面に、平面視で該枠体から突出しないように前記長手方向に沿って配置され、物流時には、前記枠体の底部下面に、平面視で該枠体から突出しないように前記長手方向と交差する方向に沿って配置される第2転倒防止部材と、
を有することを特徴とする排気装置。
【請求項2】
前記第2転倒防止部材は、メンテナンス時及び設置時には、共通の拘束部材で拘束されて前記枠体に固定されることを特徴とする請求項1に記載の排気装置。
【請求項3】
前記第1転倒防止部材は、物流時には、前記枠体の底部上面に、平面視で該枠体から突出しないように前記長手方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排気装置。
【請求項4】
画像形成部に接続され、浮遊するトナーを含む空気を排気する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の排気装置と、
前記画像形成部が収容され、前記排気装置の第1転倒防止部材が収容される空隙部が設置面との間に形成されるように設置される装置本体と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−107316(P2011−107316A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260868(P2009−260868)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】