説明

排水溝ユニット

【課題】底壁部と、該底壁部の両端より立上がる側壁部よりなる水路部と、該水路部に着脱可能に取付けられて水路部に被さるカバー部よりなり、道路の路肩や中央分離帯等に設置される鋼製の排水溝ユニットにおいて、側壁部に受け金具や差込ピンを取付けないで、カバー部を支持できるようにする。
【解決手段】カバー部13には、一端に側壁12bと同じ高さの脚13dを板金加工によって形成し、カバー部13を水路部12に取付けたとき、脚13dが水路部12の底壁部12aに支持される。脚13dにはまた、屈曲部に補強プレート26を取付け、脚13dの座屈変形を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路橋を含む道路の路肩や中央分離帯等に設置され、自動車が道路から外れないようにガードする機能を備えた鋼製の排水溝ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の排水溝ユニットは、自動車が道路から外れないようにしたり、路面の雨水を排水するために用いられ、種々の構造のものが知られる。
【0003】
図1は、その一例を示すもので、水路部1と、該水路部1上に着脱可能に取付けられて水路部に被さるカバー部2とよりなり、水路部1には一側の側壁部内面に倒L形断面の受金具3が溶接にて取付けられると共に、他側の側壁部内面に筒状の支持金具4が縦向きに溶接されている。一方、カバー部2は一側が受け金具3に支持されると共に、他側には差込みピン5が下向きに突設され、差込ピン5を支持金具4に抜き差しすることによってカバー部2が水路部1に取外し或いは取付けることができるようにしている。図中、6は排水溝ユニットの長手方向に適当間隔で多数形成される排水穴である。
【0004】
図2は、別の例を示すもので、水路部1には受金具3に代えてボルト状のピン7が側方に突設される一方、カバー部2には下向きに屈曲形成される端部8にピン7に差込まれる差込溝9を備えている。
【0005】
この種の排水溝ユニットのなかには、自動車のタイヤがカバー部上に乗り上げるようなことがあった場合でも、カバー部が跳ね上がらないようにするため、種々のタイプのロック機構を備えたものも知られる(特許文献1、2)。
【特許文献1】特開2005−61020号
【特許文献2】特開2005−344389号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の排水溝ユニットでは、カバー部を支持するため図1及び図2に示すように水路部1の側壁部に受金具3やピン7を取付ける作業が必要である。また自動車のタイヤがカバー部上に乗り上げたときの荷重は主として、カバー部を道路の路面側で支持する前記受金具やピンで受けられるが、自動車のタイヤがカバー部上に乗り上げたときに過大な衝撃を受けると、受け金具の溶接部が破損したり、ピンが破損するおそれがある。
【0007】
受け金具に関しては、溶接部での破損を防止するため溶接部の強度を増すべく溶接量を増やすと、水路部に歪等が発生して製作性が悪くなる。またピンは受け金具に比べ応力集中を生じ易く、破損し易い。
【0008】
本発明は、受け金具やピンを用いないでカバー部を支持することができる排水溝ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係わる発明は、底壁部と、該底壁部の両端より立上がる側壁部よりなる水路部と、該水路部に着脱可能に取付けられて水路部に被さるカバー部よりなり、道路の路肩や中央分離帯等に設置される鋼製の排水溝ユニットにおいて、カバー部は長手方向と直交する幅方向の両端のうち、少なくとも道路の路面側の端部に水路部の底壁部に係合して支持される脚を一体に屈曲形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、脚の補強手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係わる発明によると、カバー部は、その一端が脚によって水路部の底壁に支持され、従来の排水溝ユニットのようなカバー部を支持するための受け金具やピンを要しないこと、脚はカバー部の製作時に例えばプレス加工等の板金加工によって屈曲形成することができること、自動車のタイヤ等の乗り入れによって脚に跳ね上がり力を生じた場合、脚が水路部の側壁部に当たって支えることによりカバー部の回転が阻止され、跳ね上がりを防止できること等の効果を有する。
【0012】
請求項2に係わる発明によると、水路部の深さが深く、脚が長くなった場合、自動車のタイヤ等の乗り上げにより過大な衝撃を受けると、座屈変形するおそれがあるが、請求項2記載のような脚の補強手段を設けることにより脚の座屈変形を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の排水溝ユニットについて図面により説明する。
図3に示す排水溝ユニット11は、水路部12と、該水路部12に着脱可能に取付けられて水路部12に被さるカバー部13よりなり、以下これらについて順に詳述する。
【0014】
水路部12は、底壁部12aと、道路の路面14側の底壁部端より立上がる側壁部12bと、壁高欄15側の底壁部端より立上がり、側壁部12bよりも高い側壁部12cと、該側壁部12c端より内側方に突出形成される受け部12dを有し、側壁部12cの上側内面には側壁部12c及び受け部12dを補強する補強プレート16が排水溝ユニット11の長手方向に適当間隔で固着され、補強プレート16には、後述するフック17の係止穴18が形成されている。
【0015】
カバー部13は、前記水路部12の受け部12d上に載置される載置面13aと、集水面13bと、該集水面13bと載置面13aを連結する傾斜面13cと、排水溝ユニット11の長手方向と直交する幅方向の両端のうち、集水面13b端より下向きに屈曲形成される脚13dを有し、載置面13aにはカバー部13を図3に示すように水路部12上に取付けたとき、受け部12d下に当てがわれ、カバー部13の浮上がりを規制する断面L形の規制部材21が固着されている。集水面13bには傾斜面13cに跨って排水穴22が排水溝ユニット11の長手方向に適当間隔で多数形成されている。傾斜面13cには、裏面に補強プレート24が前記補強プレート16に対応して排水溝ユニット11の長手方向に適当間隔で固着されている。そして該補強プレート24には、前記補強プレート16に形成される係止穴18と同様、フック17の係止穴25が形成されている。
【0016】
脚13dは、前記水路部12の側壁部12bと同じ高さに形成され、脚13dを水路部12の底壁12aに係合し支持させてカバー部13を水路部12上に取付けたとき、集水面13bが路面14と面一となるようにしてある。
【0017】
脚13dにはまた、集水面13bとの間の内面に倒L形断面の補強プレート26が固着されている。この補強プレート26は脚13dの補強手段を構成するもので、脚13dの座屈変形を防止するためのものである。補強手段としての補強プレート26は図示するように、集水面13bに跨って形成しないで、脚13dのみに取付けてもよい。補強手段としてはまた、補強プレート26に代えて他の補強手段、例えばリブを脚13dより突出して取付けたり、脚13dを波状に屈曲形成して剛性を上げるようにしてもよい。
【0018】
脚13dは更にまた、排水溝ユニット11の長手方向に連続して形成されているのが望ましいが、排水溝ユニット11の長手方向に適当間隔で断続的に形成されていてもよい。
【0019】
フック17は、チェーン19の両端に取付けられ、カバー部13を図示するように水路部12に取付けた状態で、各フック17を補強プレート16及び24の係止穴18及び25に引掛けることによりカバー部13が水路部12に連結されるようにしてある。
【0020】
図中、28はアングル材、29はアンカーである。
本実施形態の排水溝ユニットによると、カバー部13は道路の路面側においては、水路部12の底壁上に脚13dにより支持され、側壁部に図1及び図2に示す従来例のような受け金具3やピン5を取付ける必要がないこと、脚13dはカバー部13を板金加工する際に形成することができること、自動車のタイヤ等がカバー部13上に乗り上がる様なことがあった場合、そのときの荷重や衝撃は脚13dで受けられるが、図2に示す差込みピン5に比べ、応力分散が行われ、脚13dを排水溝ユニット11の長手方向に連続し或いは長く形成して脚13d全体で衝撃荷重を受けることができること、自動車のタイヤ等の乗り入れによってカバー部13が跳ね上がろうとすると、脚13dが側壁部12bに当たって支え、跳ね上がりを阻止できること、補強プレート26によって脚13dが補強され、座屈変形を防止できること、カバー部13は水路部12にチェーン19によって連結され、跳ね上がり防止と盗難防止に役立つこと、等の効果を有する。
【0021】
前記実施形態では、脚13dはカバー部13の路面14側に形成されているが、カバー部13の壁高欄15側にも形成してもよい。この場合、カバー部13は両側において脚13dにより水路部12に支持され、各脚13dによっていずれの方向にも回動が阻止され、跳ね上がりが防止される。なお、補強手段としての補強プレートは壁高欄15側に形成される脚13dにも設けられる。
【0022】
前記実施形態ではまた、カバー部13は壁高欄側において水路部12とチェーン19により連結されているが、跳ね上がり防止のため、既知のロック機構を設けてもよい。いずれにしてもカバー部13の壁高欄側の構造は本発明の特徴部分ではなく、カバー部13を水路部12の側壁部12cにヒンジにより連結して上下に回動することにより開閉するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の排水溝ユニットの断面図。
【図2】従来の排水溝ユニットの別の例の断面図。
【図3】本発明に係わる排水溝ユニットの断面図。
【符号の説明】
【0024】
11・・排水溝ユニット
12・・水路部
12a・・底壁部
12b、12c・・側壁部
12d・・受け部
13・・カバー部
13a・・載置面
13b・・集水面
13c・・傾斜面
13d・・脚
14・・道路の路面
15・・壁高欄
16、24、26・・補強プレート
17・・フック
18、25・・係止穴
19・・チェーン
21・・規制部材
22・・排水穴
28・・アングル材
29・・アンカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部と、該底壁部の両端より立上がる側壁部よりなる水路部と、該水路部に着脱可能に取付けられて水路部に被さるカバー部よりなり、道路の路肩や中央分離帯等に設置される鋼製の排水溝ユニットにおいて、カバー部は長手方向と直交する幅方向の両端のうち、少なくとも道路の路面側の端部に水路部の底壁部に係合して支持される脚を一体に屈曲形成したことを特徴とする排水溝ユニット。
【請求項2】
脚の補強手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の排水溝ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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