説明

排水用桝ユニット及びそれに使用するグレーチング蓋

【課題】透水性のアスファルトが敷設された道路等に浸透した雨水等をグレーチング蓋を介して排水用桝内に流入させることで排水能力を向上すること。
【解決手段】透水性のアスファルト50が敷設された道路等に浸透した雨水等が、グレーチング蓋120の外枠体121,122の4面全部に形成された通水路としての丸孔123及び逆U字孔124を通って排水用桝本体110内に流入されることで、効率良く排水される。また、グレーチング蓋120は、その位置決め穴が排水用桝本体110の側壁部111の最上端面である載置面に配設されたボルトに挿入され、ナットにて締め付け固定されているため、排水用桝本体110に対して位置ずれを生じたり、浮き上がったりすることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路等に対して単独で設置、または、U字型側溝等のコンクリート側溝に接続して設置される排水用桝ユニット及びそれに使用するグレーチング蓋に関するもので、特に、透水性のアスファルトが敷設された道路に設置されることで雨水等の排水能力を向上可能な排水用桝ユニット及びそれに使用するグレーチング蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路等に設置される排水用桝ユニット及びそれに使用するグレーチング蓋としては、図12乃至図16に示すような構成からなるものが知られている。ここで、図12は排水用桝ユニットの全体構成を示す斜視図であり、道路等に対して単独使用される場合を示している。また、図13は図12の排水用桝ユニットにおける排水用桝本体の構成を示す斜視図、図14は図12の排水用桝ユニットを構成する排水用桝本体とグレーチング蓋との組み付けを示す分解斜視図である。そして、図15は図12の排水用桝ユニットを単独に道路に設置した場合の雨水等の流れ込み状態を示す部分断面斜視図である。更に、図16は図12の排水用桝ユニットの排水用桝本体に開口部を形成し、コンクリート側溝に接続して道路に設置した場合の雨水等の流れ込み状態を示す部分断面斜視図である。
【0003】
図に示すように、排水用桝ユニット1は、排水用桝本体10に対してグレーチング蓋20が載置されて構成されている。ここで、排水用桝本体10は型枠にコンクリートを流し込み形成されており、この排水用桝本体10の側壁部11の最上端面には、その補強を目的とし、表面に滑り止め加工を施した鉄板部材18が、型枠内に予めセットされ一体的に固定されている。
この排水用桝ユニット1を道路に対して単独に設置する場合には、まず、道路に排水用桝本体10の外形形状よりやや大きめで、排水用桝本体10に固定された鉄板部材18の上面が道路面に一致する深さの角穴が掘られたのち、排水用桝本体10が据え置かれる。この排水用桝本体10の側壁部11の最上端面から内側に一段立ち下がって形成された段差部12に、外形寸法が略一致するグレーチング蓋20が載置されることで、グレーチング蓋20の上面及びその周囲の鉄板部材18の上面が道路面の高さと略一致する排水用桝ユニット1が構成される。この際、段差部12の4隅に配設されたボルト15に対して、グレーチング蓋20に形成された位置決め穴(図示略)が挿入され、上面側からナット19にて締め付けられることでグレーチング蓋20が排水用桝本体10に固定される。
【0004】
一方、排水用桝ユニットを道路に敷設されるコンクリート側溝30に接続して設置する場合には、排水用桝本体10の側壁部11の略中央部分に四角形状からなる浅い溝が形成されているのみで閉塞状態にある閉塞壁部13のうち、コンクリート側溝30に接続される側となる、例えば、対向する2箇所がコンクリートカッターにてカット除去され、開口部14が形成される。そして、上述の単独使用状態と同様に、排水用桝本体10の側壁部11の開口部14側がコンクリート側溝30側となるように道路に設置された後、排水用桝本体10にグレーチング蓋20が載置されることで、排水用桝ユニット2が構成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述の排水用桝ユニット1,2は、排水用桝本体10の側壁部11の最上端面から内側に一段立ち下がって形成された段差部12にグレーチング蓋20が載置され固定されている構成である。このため、排水用桝本体10の側壁部11の最上端面に鉄板部材18が固定されていると言えども、側壁部11の最上端面に対して上方から大きな衝撃がかかることから、長年の使用によって、側壁部11の最上端面の一部が欠けて隙間ができたり、割れたりしてがたつきが生じたりすることも考えられる。
更に、排水用桝ユニット2をコンクリート側溝30に接続して使用する場合においては、コンクリート側溝30に面する側となる排水用桝本体10の側壁部11の略中央部に四角形状の開口部14が開口されていることで、排水用桝本体10の側壁部11の四隅に対して、鉄板部材18やグレーチング蓋20を介して上方からの大きな力が集中的にかかることとなり、排水用桝本体10が損傷することも考えられる。
【0006】
また、近年、道路の基礎コンクリート上に透水性のアスファルトが敷設されることが多くなってきている。これは、雨が降った際に道路の水はけがよく、透水性のアスファルト表面に雨水が溜まらないこと、夜間における車両の運転者の前方視認性が向上すること等の利点を有している。
しかしながら、前述のような排水用桝ユニット1,2が道路に設置されている場合には、図15及び図16に道路からの雨水の流れ込み状態を示すように、喩え、道路に透水性のアスファルト50が敷設されていたとしても、一旦、透水性のアスファルト50内に浸透した雨水は、透水性のアスファルト50内に溜まったままとなり、この状態では排水用桝ユニット1,2内に流れ込むことはできない。つまり、透水性のアスファルト50内に浸透した雨水は、結局、透水性のアスファルト50表面まで達した後に排水用桝ユニット1,2の排水用桝本体10の最上端面に固定された鉄板部材18を乗り越え、排水用桝ユニット1,2を構成するグレーチング蓋20の上面から排水用桝本体10内に流れ込むしかなかった。このため、道路に透水性のアスファルト50が敷設されていたとしても降雨量が多く所定量を越えたときには透水性のアスファルト50表面に水が浮いた状態となって、その効果が半減していた。
【0007】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、透水性のアスファルトが敷設された道路等に浸透した雨水等を排水用桝内に効率良く導くことができ、また、車両等の乗り越えによる排水用桝の損傷を防止することができる排水用桝ユニット及びそれに使用するグレーチング蓋の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の排水用桝ユニットは、側壁部4面からなる角筒形状で、前記側壁部の最上端面を外形寸法が略一致するグレーチング蓋の載置面とし、前記載置面に前記グレーチング蓋の移動を拘束する移動止めを配設し、かつ、前記各側壁部の略中央部分に逆U字形状の内側を周囲より薄い壁厚で封止する薄壁部を形成すると共に、前記薄壁部を設置状況に応じて開口状態として流入・流出自在とする開口部を形成してなる排水用桝本体を具備する排水用桝ユニットにおいて、前記グレーチング蓋は、前記移動止めで移動を拘束され、前記排水用桝本体の側壁部に対して直角方向に前記グレーチング蓋の外部からの水が前記グレーチング蓋の側面及び上面を通過して前記排水用桝本体内に流入する構造としたものである。
【0009】
上記発明を実施する場合の排水用桝ユニットとは、排水用桝本体とそれに載置されるグレーチング蓋とによって構成されるものである。ここで、グレーチング蓋の高さ寸法に合わせて、道路等の表面よりも低く形成された排水用桝本体の側壁部の最上端面で外形寸法が略一致するグレーチング蓋の載置面は、グレーチング蓋が載置されたときに、そのグレーチング蓋の上面が道路等の表面に一致されるものである。
また、排水用桝本体の載置面に配設されたグレーチング蓋の移動を拘束する移動止めは、排水用桝本体とグレーチング蓋との位置及び径寸法に応じて設定されるもので、排水用桝本体とグレーチング蓋との相対移動を堅固に抑制するものであればよい。
【0010】
そして、排水用桝本体の各側壁部の略中央部分に逆U字形状で周囲の壁厚より薄く形成された部位を、排水用桝本体が設置される状況に応じて、即ち、排水用桝ユニットが単独使用される場合には、除去することなく閉塞状態のままとされた薄壁部とすることで、排水用桝本体の外部からの水の排水用桝本体内への流入が阻止され、一方、排水用桝ユニットがコンクリート側溝に接続されて使用される場合には、その接続側を除去し開口状態とした開口部とすることで、排水用桝本体の外部であるコンクリート側溝からの水が排水用桝本体内に流入自在となる。
更に、排水用桝本体の側壁部に対して直角方向にグレーチング蓋の外部からの水が、グレーチング蓋を通過して排水用桝本体内に流入する構造は、透水性のアスファルトが敷設される場合に、そのアスファルト粒塊が詰まることなく、そのグレーチング蓋を介して排水用桝本体内に向かって水を通過させることができる構造であればよい。なお、グレーチング蓋に透水性のアスファルト粒塊が入り込むのを完全に禁止する必要はなく、この場合にあっても水を通過させることができる構造であればよく、必要によっては、専用の複数の通水路を形成してもよい。つまり、このグレーチング蓋は、道路に降った雨水等が、その道路に敷設されている透水性のアスファルト内に浸透し、アスファルト内から排水用桝ユニット側に流れてきたときに、アスファルト表面まで達することなくそのままグレーチング蓋を通過させて排水用桝本体内に流し込む機能を有するものである。
【0011】
請求項2の排水用桝ユニットは、前記グレーチング蓋の移動を拘束する移動止めが、前記排水用桝本体側に配設されたボルトに前記グレーチング蓋をナット締めするものである。つまり、排水用桝本体の側壁部の最上端面である載置面にグレーチング蓋が載置され、この載置面に配設されたボルトに対してナットが螺合されることで、グレーチング蓋が排水用桝本体に固定されるものである。
ここで、排水用桝本体の載置面に配設されたボルトがアンカーボルト等のような雄ねじであれば、グレーチング蓋が載置されるまでに塵や埃等の異物が付着しても掃除し易く、ナット等の螺合による締め付けが容易となる。また、排水用桝本体の載置面に配設されたグレーチング蓋の移動を拘束する移動止めは、単に、円柱状の突起部材であってもよいが、その先端が略円錐状に形成されていれば、グレーチング蓋の位置決め穴をその移動止めに挿入することが容易となる。このグレーチング蓋の移動止めに移動を拘束される構成は、排水用桝本体に設けられた移動止めの位置及び径寸法に応じて設定される。
【0012】
請求項3の排水用桝ユニットは、前記排水用桝本体の側壁部に対して直角方向に前記グレーチング蓋の外部からの水が前記グレーチング蓋を通過して前記排水用桝本体内に流入する構造が、前記グレーチング蓋の外枠体のうち対向する2面または4面全部に通水路を形成してなるものである。
ここで、排水用桝本体の側壁部に対して直角方向にグレーチング蓋の外部からの水がグレーチング蓋を通過して排水用桝本体内に流入させるには、グレーチング蓋の外枠体に所定の形状や寸法からなる通水路が形成されることで達成される。このグレーチング蓋の外枠体に形成される通水路は、排水用桝ユニットが単独使用される場合であるか、または道路側に面して使用される場合であるか、またはコンクリート側溝に接続されて使用される場合であるかによって、対向する2面または4面全部に形成されることとなる。
例えば、透水性のアスファルトが敷設されている道路に排水用桝ユニットが単独使用される場合であるときには、グレーチング蓋の外枠体の4面全部に通水路が形成されていれば、雨水等の排水能力が高まることとなる。また、例えば、道路にコンクリート側溝が設置され、透水性のアスファルトが敷設されており、その道路側に面して排水用桝ユニットが使用される場合には、グレーチング蓋の外枠体のうち道路に面する側の対向する2面に通水路が形成されていれば、雨水等の排水能力が高まることとなり、グレーチング蓋の外枠体のコンクリート側溝に接続される側の他の2面に通水路が形成されている必要はない。
【0013】
請求項4の排水用桝ユニットは、前記グレーチング蓋の通水路を、道路に敷設されるアスファルト粒塊が殆ど入り込むことのない形状及び寸法としたものである。つまり、このグレーチング蓋の通水路に対して設定される形状及び寸法は、グレーチング蓋の通水路に透水性のアスファルト粒塊が入り込むのを完全に禁止するものでなくてもよく、喩え、アスファルト粒塊が入り込んでも、水を通すことができる隙間を確保できる形状及び寸法であればよい。
そこで、グレーチング蓋の通水路としては、道路に敷設される透水性のアスファルト粒塊と比べたときの形状や寸法を適切に設定することが必要となる。この通水路の形状や寸法としては、透水性のアスファルト粒塊が入り込まない程度の大きさからなる丸孔、逆U字孔、長円孔、四角孔を含む形状が好ましい。また、通水路の他の形状としては、喩え、透水性のアスファルト粒塊が多少入り込んだり、詰まったりしたとしても、グレーチング蓋を持ち上げる際に、透水性のアスファルト側に無理な力が加わることのない、例えば、下方に向かって開状態となる逆U字スリット形状、逆V字形状、台形形状等が挙げられる。これら通水路の形状としての径や幅の具体的な寸法としては、あまり小さいと塵や埃等の異物によって詰まり易く、また、透水性のアスファルト粒塊の大きさやその流動性等を考慮して、最大値としては略20〔mm〕以下程度を適用すると良いことが発明者によって確認された。
【0014】
請求項5のグレーチング蓋は、側壁部4面からなる角筒形状で、前記側壁部の最上端面を、外形寸法が略一致する載置面とし、その載置面に移動を拘束する移動止めを配設してなる排水用桝本体に取り付けるグレーチング蓋において、前記グレーチング蓋は、前記移動止めに移動を拘束され、前記排水用桝本体の側壁部に対して直角方向に前記グレーチング蓋の外部からの水が前記グレーチング蓋を通過して前記排水用桝本体内に流入する構造としたものである。
ここで、側壁部4面からなる角筒形状で、側壁部の最上端面にグレーチング蓋の移動を拘束する移動止めを配設してなる排水用桝本体は、側壁部の最上端面がグレーチング蓋の高さ寸法に合わせて低く形成され、その外形寸法が略一致するグレーチング蓋の載置面とされているため、グレーチング蓋を載置したときに、その上面を道路面等に一致させるように設置すればよい。
また、排水用桝本体の側壁部に対して直角方向にグレーチング蓋の外部からの水がグレーチング蓋を通過して排水用桝本体内に流入され排水される構造は、透水性のアスファルトが敷設されるときに、そのアスファルト粒塊が詰まることなく、そのグレーチング蓋を介して排水用桝本体内に向かって安定して水を通過させ排水させることができる構成であればよい。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の排水用桝ユニットによれば、グレーチング蓋が載置された排水用桝本体が、透水性のアスファルトが敷設された道路に設置されることで、透水性のアスファルト内に浸透した雨水等が、アスファルト表面まで達することなくそのままグレーチング蓋の側面または上面を通過して、即ち、グレーチング蓋を介して排水用桝本体内に流入し排水される。また、排水用桝本体の側壁部の最上端面がグレーチング蓋の載置面とされており、この排水用桝本体の載置面に載置されるグレーチング蓋の上面と道路等の表面とが同一面となるように設置されることで、歩行者や車両等が通過しても、通行の安全性が確保される。また、排水用桝本体の載置面にグレーチング蓋の移動を拘束する移動止めが配設されているため、排水用桝本体に対してグレーチング蓋が位置ずれを生じることがない。そして、喩え、グレーチング蓋の上面から大きな力が加わったとしても、グレーチング蓋の移動を拘束する移動止めによって、グレーチング蓋に位置ずれの抑制力が働くことに加え、グレーチング蓋を介して排水用桝本体の側壁部全体の壁厚で受け止める構造であり、損傷することがない。
更に、排水用桝本体の側壁部は、略中央部分に形成された逆U字形状で周囲の壁厚より薄く形成された薄壁部の上側部分がアーチ形状に形成されているため、この薄壁部が設置状況に応じて閉塞状態のままとされ外部からの水の排水用桝本体内への流入を阻止する場合には勿論、開口状態とされ外部からの水の排水用桝本体内への流入を自在とする開口部として使用される場合にも、グレーチング蓋の上方からグレーチング蓋を介して排水用桝本体の側壁部にかかる力が分散されることとなり、損傷することがない。
【0016】
請求項2の排水用桝ユニットでは、グレーチング蓋の移動を拘束する移動止めが、排水用桝本体側に配設されたボルトにグレーチング蓋をナット締めするものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、グレーチング蓋の移動を拘束する移動止めとしてのボルト、ナットは、堅固にグレーチング蓋の移動を拘束するから、排水用桝本体とグレーチング蓋とが堅固に一体化され、グレーチング蓋と排水用桝本体との相対移動が拘束されることで、喩え、グレーチング蓋の上面から大きな力が加わったとしても、排水用桝本体は側壁部全体の壁厚で受け止めることができるから、排水用桝本体に亀裂が入ったり損傷したりすることがない。
また、排水用桝本体側に配設されたボルトは、グレーチング蓋が載置されるまでに塵や埃等の異物が付着したとしても、落とし易く、ナットの取付けが簡単である。そして、排水用桝本体側に配設されたボルトにグレーチング蓋をナット締めすることによって、堅固にグレーチング蓋の移動を拘束することができ、浮き上がりもなくなることで、がたつき音の発生も防止される。
【0017】
請求項3の排水用桝ユニットでは、排水用桝本体の側壁部に対して直角方向にグレーチング蓋の外部からの水がグレーチング蓋を通過して排水用桝本体内に流入する構造が、グレーチング蓋の外枠体のうち対向する2面または4面全部に通水路を形成したものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、グレーチング蓋の外枠体のうち対向する2面または4面全部に通水路が形成されていることで、グレーチング蓋の外部からの水は、その上面の仕切り間隙を通過して排水用桝本体内に流入されることは勿論、特に、透水性のアスファルトが敷設された道路等に排水用桝ユニットが敷設されている場合にあっては、透水性のアスファルト内からアスファルト表面まで達することなくそのまま、グレーチング蓋の外枠体に形成された通水路を通過して排水用桝本体内に流入されることで排水能力を高めることができる。
【0018】
請求項4の排水用桝ユニットでは、グレーチング蓋の通水路を、その通水路に対して道路に敷設されるアスファルト粒塊が入り込んで取り外しが困難になったり、目詰まりすることのない形状及び寸法に設定したものであるから、請求項3に記載の効果に加えて、透水性のアスファルト粒塊が邪魔をして通水路から雨水等を排水用桝本体内へ通過させる効果が薄れたり、また、施工後にグレーチング蓋を排水用桝本体から取り外して排水用桝本体内を清掃等する場合にも、透水性のアスファルトを損傷させることがないため、グレーチング蓋を元に戻すことが容易であり、通水路から雨水等を排水用桝本体内へ通過させる効果を維持することができる。
【0019】
請求項5のグレーチング蓋は、側壁部4面からなる角筒形状で、側壁部の最上端面を、外形寸法が略一致する載置面とし、その載置面に移動を拘束する移動止めを配設してなる排水用桝本体に取り付けるものであって、移動止めに移動を拘束され、排水用桝本体の側壁部に対して直角方向にグレーチング蓋の外部からの水がグレーチング蓋を通過して排水用桝本体内に流入する構造としたものである。
このように、排水用桝本体の側壁部に対して直角方向にグレーチング蓋の外部からの水がグレーチング蓋を通過して排水用桝本体内に流入する構造によって、透水性のアスファルトが敷設されるときに、透水性のアスファルト粒塊が詰まることなく、そのグレーチング蓋を介して排水用桝本体内に向かって安定して水を通過させ排水させることができる。また、排水用桝本体の側壁部の最上端面である載置面にグレーチング蓋の移動を拘束する移動止めが配設されており、このグレーチング蓋の移動を拘束する移動止めによって、排水用桝本体に対してグレーチング蓋の位置ずれが生じることがない。そして、排水用桝本体の側壁部の最上端面が、外形寸法が略一致するグレーチング蓋の載置面とされており、喩え、グレーチング蓋の上面から大きな力が加わったとしても、移動止めによるグレーチング蓋の位置ずれの抑制力が働くことに加え、グレーチング蓋を介して排水用桝本体の側壁部全体の壁厚で受け止める構造であるため、損傷することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、以下の図中、実施の形態において、左右対称な部位には同一符号を付して示すと共に、前述の従来と同様の構成または相当部分からなるものについては同一符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0021】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1にかかる排水用桝ユニットの全体構成を示す斜視図であり、排水用桝ユニットを道路に対して単独使用する場合に対応している。また、図2は図1の排水用桝ユニットにおける排水用桝本体の構成を示す斜視図、図3は図1の排水用桝ユニットにおけるグレーチング蓋の詳細を示す構成図であり、図3(a)はグレーチング蓋を上方から見た平面図、図3(b)及び図3(c)は図3(a)の両側面図である。そして、図4は図1の排水用桝ユニットを構成する排水用桝本体とグレーチング蓋との組み付けを示す分解斜視図である。更に、図5は図1の排水用桝ユニットを単独に道路に設置した場合の雨水等の流れ込み状態を示す部分断面斜視図である。
【0022】
図に示すように、本実施の形態の排水用桝ユニット100は、排水用桝本体110とグレーチング蓋120とから構成されている。上記排水用桝本体110の側壁部111の最上端面をグレーチング蓋120の載置面112とし、この載置面112に外形寸法が略一致するグレーチング蓋120が載置されている。この排水用桝本体110にあっては、角筒形状とする4面の側壁部111に、逆U字形状で周囲の壁厚より薄い薄壁部113が、型枠にコンクリートを流し込み成形された閉塞状態のまま使用される。また、排水用桝本体110の側壁部111の載置面112の4隅にはボルト115がそれぞれ配設されている。
なお、本実施の形態においては、排水用桝本体110の側壁部111の内側における4隅に、壁厚を増した補強部116が形成され、また、側壁部111の載置面112から側壁部111内面に続く稜線部分に、雨水等の流れ込みを助けるための略V字形の切欠部117が部分的に複数形成されている。
【0023】
排水用桝本体110の側壁部111の載置面112の4隅に配設されたボルト115(図2及び図4参照)に対応して、図3(a)に示すように、グレーチング蓋120の下面には、位置決め穴129が形成されたプレート128が4箇所に固設されている。つまり、排水用桝本体110に配設されたボルト115は、グレーチング蓋120の位置決め穴129を介して、グレーチング蓋120の移動を拘束する移動止めとして作用するものである。
そして、図3(b)及び図3(c)に示すように、グレーチング蓋120を構成する枠体のうち外枠体121,122からなる側面の4面全部には、排水用桝本体110の側壁部111に対して直角方向に、その外側から内側に向かって雨水等が通過自在となるように、側面の上側に所定の配列からなる丸孔123及び下側に所定の配列からなる逆U字形スリット形状の逆U字孔124が、通水路として形成されている。即ち、本実施の形態における排水用桝ユニット100を構成するグレーチング蓋120の外枠体121,122からなる側面の4面は、上記通水路が形成された4枚の板材によって構成されている。この側面の通水路として形成された丸孔123の直径、逆U字孔124のスリット幅は、雨水等が通過自在であり、道路に敷設される前述の透水性のアスファルト50のアスファルト粒塊が入り込んだり、塵や埃等が詰まったりすることのない寸法として、例えば、略5〜15〔mm〕程度に形成されている。
【0024】
本実施の形態の排水用桝ユニット100の道路への設置については、従来の施工法と同様、まず、道路に対して排水用桝本体110の外形形状よりやや大きめの角穴が掘られる。この角穴の深さは、本実施の形態では、排水用桝本体110の上下寸法にグレーチング蓋120の高さ寸法を加算した寸法である。これにより、グレーチング蓋120の上面が道路面に一致されることとなる。次に、道路に掘られた角穴内に排水用桝本体110が据え置かれる。そして、排水用桝本体110の側壁部111の最上端面である載置面112に配設されたボルト115に一致させてグレーチング蓋120の位置決め穴129が挿入され、ボルト115に対してナット119が螺合される。これにより、グレーチング蓋120が排水用桝本体110に固定される。この後、道路面に設けられた多少の傾斜を除けば、排水用桝本体110に固定されたグレーチング蓋120の上面と同一面となるように、道路に対して、前述の透水性のアスファルト50が敷設される。
【0025】
次に、透水性のアスファルト50が敷設された道路に対して、本実施の形態の排水用桝ユニット100が単独に設置された場合における道路からの雨水の流れ込み状態について、図5を参照し、従来の排水用桝ユニット1が単独に設置された場合における道路からの雨水の流れ込み状態を示す図15と比較して説明する。
従来の排水用桝ユニット1が設置された場合には、図15において、前述したように、道路面上に降った雨は、一旦、透水性のアスファルト50内に浸透する。しかしながら、透水性のアスファルト50内に浸透した雨水は、打設コンクリート層(基礎コンクリート)55に浸透を阻まれ、透水性のアスファルト50内を排水用桝ユニット1側に移動したとしても、そのまま排水用桝本体11内に流れ込むことができなくて、透水性のアスファルト50上面まで達して溢れた後、排水用桝本体11の最上端面に固定された鉄板部材18の上面を乗り越えて排水用桝本体11内に流れ込むことになる。
【0026】
これに対して、本実施の形態の排水用桝ユニット100が設置された場合にあっては、図5に示すように、道路面上に降った雨は、透水性のアスファルト50内に浸透し、下部の打設コンクリート層55に浸透を阻まれ、透水性のアスファルト50内を排水用桝ユニット100側に移動する。すると、排水用桝ユニット100の排水用桝本体110の載置面112上に固定されているグレーチング蓋120の側面の外枠体121,122に形成されている丸孔123及び逆U字孔124の外側から内側に向かって雨水が通過し、排水用桝本体110内に流れ込む。これにより、道路に排水用桝ユニット100を設置し、透水性のアスファルト50を敷設した場合には、大量の雨が降った際にはグレーチング蓋120の上面からも排水されるから、水はけがよく、透水性のアスファルト50表面に水が浮いた状態とはならず、特に、夜間における車両の運転者の前方視認性が向上することとなる。
【0027】
このように、本実施の形態の排水用桝ユニット100は、側壁部111が4側面からなる角筒形状で、側壁部111の最上端面を、外形寸法が略一致するグレーチング蓋120の載置面112とし、載置面112にグレーチング蓋120の移動を拘束する移動止めを配設し、かつ、各側壁部111の略中央部分に、逆U字形状で周囲より薄い壁厚で外部からの水を内部に流入阻止する薄壁部113を形成してなる排水用桝本体110を具備するものであって、グレーチング蓋120は、移動止めに移動を拘束され、排水用桝本体110の側壁部111に対して直角方向にグレーチング蓋120の外部からの水がグレーチング蓋120を通過して排水用桝本体110内に流入する構造としたものである。
【0028】
このため、グレーチング蓋120が載置された排水用桝本体110が、透水性のアスファルト50が敷設された道路に設置されることで、透水性のアスファルト50内に浸透した雨水等が、アスファルト表面まで達することなくそのまま、グレーチング蓋120の上面と道路等の表面とが同一面となるように設置されたグレーチング蓋120の外枠体121,122に形成された丸孔123及び逆U字孔124を通過して、グレーチング蓋120の側面から内側に良好に流入、即ち、グレーチング蓋120の外枠体121,122を介して排水用桝本体110内に効率良く排水することができる。
【0029】
また、排水用桝本体110の最上端面が、外形寸法が略一致するグレーチング蓋120の載置面112とされ、グレーチング蓋120の上面と道路等の表面とが同一面となるように設置されることで、歩行者や車両等が通過しても、通行の安全性が確保される。また、排水用桝本体110の載置面112にグレーチング蓋120の移動を拘束する移動止めが配設されているため、排水用桝本体110に対してグレーチング蓋120が位置ずれを生じることがない。そして、喩え、グレーチング蓋120の上面から大きな力が加わったとしても、グレーチング蓋120の移動を拘束する移動止めによって、グレーチング蓋120に位置ずれの抑制力が働くことに加え、グレーチング蓋120を介して排水用桝本体110の側壁部111全体の壁厚で受け止める構造であり、損傷することがない。更に、排水用桝本体110の側壁部111は、略中央部分に形成された逆U字形状の薄壁部113が除去されることなく閉塞状態のままであり、この薄壁部113の上側部分がアーチ形状であることから、グレーチング蓋120の上方からグレーチング蓋120を介して排水用桝本体110の側壁部111にかかる力が分散されることとなり、損傷することがない。
【0030】
そして、グレーチング蓋120の移動を拘束する移動止めは、排水用桝本体110側に配設されたボルト115にグレーチング蓋120の位置決め穴129が挿入され、ナット119にて締め付けるものである。このグレーチング蓋120の移動を拘束する移動止めとしてのボルト115、ナット119は、堅固にグレーチング蓋120の移動を拘束するから、排水用桝本体110とグレーチング蓋120とが堅固に一体化され、グレーチング蓋120と排水用桝本体110との相対移動が拘束されることで、喩え、グレーチング蓋120の上面から大きな力が加わったとしても、排水用桝本体110は側壁部111全体の壁厚で受け止めることができるから、排水用桝本体110に亀裂が入ったり損傷したりすることがない。
また、排水用桝本体110側に配設されたボルト115は、グレーチング蓋120が載置されるまでに塵や埃等の異物が付着しても落とし易い。そして、排水用桝本体110側に配設されたボルト115にグレーチング蓋120の位置決め穴129を挿入し、ナット119にて締め付けることによって、堅固にグレーチング蓋120の移動を拘束することができ、浮き上がりもなくなることで、がたつき音の発生も防止される。
【0031】
更に、本実施の形態の排水用桝本体110の側壁部111に対して直角方向にグレーチング蓋120の外部からの水がグレーチング蓋120を通過して排水用桝本体110内に流入する構造は、グレーチング蓋120の外枠体121,122からなる4面全部に通水路としての丸孔123及び逆U字孔124を形成してなるものである。このように、グレーチング蓋120の外枠体121,122からなる4面全部に通水路としての丸孔123及び逆U字孔124が形成されていることで、特に、透水性のアスファルト50が敷設された道路等に排水用桝ユニット100が敷設されている場合にあっては、透水性のアスファルト50内からアスファルト表面まで達することなくそのまま、グレーチング蓋120の外枠体121,122に形成された丸孔123及び逆U字孔124を通過して排水用桝本体110内に流入されることで排水能力を高めることができる。
【0032】
更にまた、本実施の形態のグレーチング蓋120の外枠体121,122に形成された通水路としての丸孔123及び逆U字孔124は、道路に敷設される透水性のアスファルト50におけるアスファルト粒塊が殆ど入り込むことのない形状及び寸法としたものである。このため、透水性のアスファルト粒塊が邪魔をして通水路としての丸孔123及び逆U字孔124から雨水等を排水用桝本体110内へ通過させる効果が薄れたり、また、施工後にグレーチング蓋120を排水用桝本体110から取り外して排水用桝本体110内を清掃等する場合にも、透水性のアスファルト50を損傷させることがないため、グレーチング蓋120を元に戻すことが容易であり、通水路としての丸孔123及び逆U字孔124から雨水等を排水用桝本体内へ通過させる効果を維持することができる。
【0033】
加えて、本実施の形態のグレーチング蓋120は、側壁部111が4面からなる角筒形状で、側壁部111の最上端面を、外形寸法が略一致する載置面112とし、載置面112に移動を拘束する移動止めを配設してなる排水用桝本体110に取り付けるものであって、グレーチング蓋120は、移動止めとしてのボルト115に移動を拘束され、排水用桝本体110の側壁部111に対して直角方向にグレーチング蓋120の外部からの水がグレーチング蓋120を通過して排水用桝本体110内に流入する構造としたものである。
この排水用桝本体110の側壁部111に対して直角方向にグレーチング蓋120の外部からの水がグレーチング蓋120の外枠体121,122の側面から内面へと通過して排水用桝本体110内に流入する構造によって、透水性のアスファルト50が敷設されるときに、透水性のアスファルト粒塊が詰まることなく、そのグレーチング蓋120を介して排水用桝本体110内に向かって安定して水を通過させ排水させることができる。また、排水用桝本体110の側壁部111の最上端面である載置面112にグレーチング蓋120の移動を拘束する移動止めとしてのボルト115にナット119が締め付けられており、このグレーチング蓋120の移動を拘束するボルト115、ナット119によって、排水用桝本体110に対してグレーチング蓋120の位置ずれが生じることがない。そして、排水用桝本体110の側壁部111の最上端面が、外形寸法が略一致するグレーチング蓋120の載置面112とされており、喩え、グレーチング蓋120の上面から大きな力が加わったとしても、ボルト115、ナット119によるグレーチング蓋120の位置ずれの抑制力が働くことに加え、グレーチング蓋120を介して排水用桝本体110の側壁部111全体の壁厚で受け止める構造であるため、損傷することがない。
【0034】
[実施の形態2]
図6は本発明の実施の形態2にかかる排水用桝ユニットの全体構成を示す斜視図であり、排水用桝ユニットを道路に直線的に設置されたコンクリート側溝の途中に接続して使用する場合に対応している。また、図7は図6の排水用桝ユニットにおける排水用桝本体の全体構成を示す斜視図、図8は図6の排水用桝ユニットにおけるグレーチング蓋の詳細を示す構成図であり、図8(a)はグレーチング蓋を上方から見た平面図、図8(b)及び図8(c)は図8(a)の両側面図である。そして、図9は図6の排水用桝ユニットを構成する排水用桝本体とグレーチング蓋との組み付けを示す分解斜視図である。更に、図10は図6の排水用桝ユニットをコンクリート側溝に接続して道路に設置した場合の雨水等の流れ込み状態を示す部分断面斜視図である。
【0035】
図に示すように、本実施の形態における排水用桝ユニット200は、排水用桝本体210とグレーチング蓋220とから構成されている。ここで、排水用桝本体210は、上記実施の形態1と同様の型枠にコンクリートを流し込み成形される。この後、この排水用桝本体210が設置される状況に応じて、例えば、排水用桝本体210の側壁部211の薄壁部213の4箇所のうち、コンクリート側溝30に接続される側となる対向する2箇所をコンクリートカッターにてカット除去し開口状態とした開口部214を形成してなるものである。
【0036】
また、排水用桝本体210の側壁部211の載置面212の4隅にはボルト215がそれぞれ配設されており、これらボルト215(図7及び図9参照)に対応して、図8(a)に示すように、グレーチング蓋220の下面には、位置決め穴229が形成されたプレート228が4箇所に固設されている。そこで、グレーチング蓋220の位置決め穴229が排水用桝本体210のボルト215に挿入された後、このボルト215に対してナット219が螺合されることにより、排水用桝本体210にグレーチング蓋220が完全に固定され、がたつきが防止される。この場合、グレーチング蓋220は、排水用桝本体210の側壁部211の鉛直上に位置する載置面212で支持され、横ずれ等も抑制されているため、グレーチング蓋220の上面方向からの荷重に対して十分な強度を有することとなる。
【0037】
そして、図8(b)及び図8(c)に示すように、グレーチング蓋220を構成する外枠体221,222のうち対向する2面を構成する外枠体221に、上記実施の形態1と同様、排水用桝本体210の側壁部211に対して直角方向に、その外側から内側に向かって雨水等が通過自在となるように、通水路としての丸孔223及び逆U字孔224が形成され、それらの形成された面が道路側となるように設定される。なお、グレーチング蓋220の他の対向する2面を構成する外枠体222は、コンクリート側溝30に接続される側となって、透水性のアスファルト50に面しない側となるため、通水路が形成されていない安価な板部材にて形成することができる。また、本実施の形態における補強部216及び切欠部217は、実施の形態1における補強部116及び切欠部117と同様の作用・効果を有する。
更に、側壁部211のうち逆U字形状の薄壁部213を除去して開口状態とし開口部214が形成されている側壁部211の載置面212側は、アーチ形状であるため、グレーチング蓋220の上方からグレーチング蓋220を介して排水用桝本体210の側壁部211にかかる力が分散されることとなり、損傷することがない。
【0038】
本実施の形態の排水用桝ユニット200の道路への設置については、上述の実施の形態1、即ち、従来の施工法と同様、まず、道路に対して排水用桝本体210の外形形状よりやや大きめの角穴が掘られる。この角穴の深さは、本実施の形態では、排水用桝本体210の上下寸法にグレーチング蓋220の高さ寸法を加算した寸法である。これにより、グレーチング蓋220の上面が道路面に一致されることとなる。次に、道路に掘られた角穴内に排水用桝本体210が据え置かれる。そして、排水用桝本体210の側壁部211の最上端面である載置面212に配設されたボルト215に一致させてグレーチング蓋220の位置決め穴229が挿入され、ボルト215に対してナット219が螺合される。これにより、グレーチング蓋220が排水用桝本体210に固定される。この後、道路面に設けられた多少の傾斜を除けば、排水用桝本体210に固定されたグレーチング蓋220の上面と同一面となるように、道路に対して、前述の透水性のアスファルト50が敷設される。
【0039】
次に、透水性のアスファルト50が敷設された道路に対して、本実施の形態の排水用桝ユニット200がコンクリート側溝30に接続され設置された場合における道路からの雨水の流れ込み状態について、図10を参照し、従来の排水用桝ユニットがコンクリート側溝に接続され設置された場合における道路からの雨水の流れ込み状態を示す図16と比較して説明する。
従来の排水用桝ユニット2が設置された場合には、図16において、前述したように、道路面上に降った雨は、一旦、透水性のアスファルト50内に浸透する。しかしながら、透水性のアスファルト50内に浸透した雨水は、打設コンクリート層55に浸透を阻まれ、透水性のアスファルト50内を排水用桝ユニット2側に移動したとしても、そのまま排水用桝本体10内に流れ込むことができなくて、透水性のアスファルト50表面まで達して溢れた後、排水用桝本体10の最上端面に固定された鉄板部材18の上面を乗り越えて排水用桝本体10内に流れ込むことになる。
【0040】
これに対して、本実施の形態の排水用桝ユニット200が設置された場合にあっては、図10に示すように、道路面上に降った雨は、透水性のアスファルト50内に浸透し、下部の打設コンクリート層55に浸透を阻まれ、透水性のアスファルト50内を排水用桝ユニット200及びコンクリート側溝30側に移動する。すると、排水用桝ユニット200の排水用桝本体210の載置面212上に固定されているグレーチング蓋220の道路側に面した外枠体221に形成されている丸孔223及び逆U字孔224の外側から内側に向かって雨水が通過し、排水用桝本体210内に流れ込む。これにより、道路に直線的に設置されたコンクリート側溝30の途中に接続するように、排水用桝ユニット200を設置し、透水性のアスファルト50を敷設した場合には、大量の雨が降った際にも水はけがよく、透水性のアスファルト50表面に水が浮いた状態とはならず、特に、夜間における車両の運転者の前方視認性が向上することとなる。
【0041】
このように、本実施の形態の排水用桝ユニット200は、側壁部211が4面からなる角筒形状で、側壁部211の最上端面を、外形寸法が略一致するグレーチング蓋220の載置面212とし、載置面212にグレーチング蓋220の移動を拘束する移動止めを配設し、かつ、各側壁部211の略中央部分に、逆U字形状で周囲より薄い壁厚で外部からの水を内部に流入阻止する薄壁部213を形成すると共に、薄壁部213を設置状況に応じて開口状態として外部からの水を内部に流入自在とする開口部214を形成してなる排水用桝本体210を具備するものであって、グレーチング蓋220は、移動止めに移動を拘束され、排水用桝本体210の側壁部211に対して直角方向にグレーチング蓋220の外部からの水がグレーチング蓋220を通過して排水用桝本体210内に流入する構造としたものである。
【0042】
このため、グレーチング蓋220が載置された排水用桝本体210が、透水性のアスファルト50が敷設された道路に設置されることで、透水性のアスファルト50内に浸透した雨水等が、アスファルト表面まで達することなくそのまま、グレーチング蓋220の上面と道路等の表面とが同一面となるように設置されたグレーチング蓋220の外枠体221に形成された丸孔223及び逆U字孔224を通過して、グレーチング蓋220の側面から内側に良好に流入、即ち、グレーチング蓋220の外枠体221を介して排水用桝本体210内に効率良く排水することができる。
【0043】
また、排水用桝本体210の最上端面が、外形寸法が略一致するグレーチング蓋220の載置面212とされ、グレーチング蓋220の上面と道路等の表面とが同一面となるように設置されることで、歩行者や車両等が通過しても、通行の安全性が確保される。また、排水用桝本体210の載置面212にグレーチング蓋220の移動を拘束する移動止めが配設されているため、排水用桝本体210に対してグレーチング蓋220が位置ずれを生じることがない。そして、喩え、グレーチング蓋220の上面から大きな力が加わったとしても、グレーチング蓋220の移動を拘束する移動止めによって、グレーチング蓋220に位置ずれの抑制力が働くことに加え、グレーチング蓋220を介して排水用桝本体210の側壁部211全体の壁厚で受け止める構造であり、損傷することがない。更に、排水用桝本体210の側壁部211は、略中央部分に形成された逆U字形状で周囲の壁厚より薄く形成された部位の上側部分がアーチ形状に形成されているため、この部位が設置状況に応じて、即ち、道路側に面することで閉塞状態のままとされ外部からの水の排水用桝本体210内への流入を阻止する薄壁部213として使用されている場合には勿論、コンクリート側溝30側に面することで開口状態とされコンクリート側溝30側からの水の排水用桝本体210内への流入を自在とする開口部214として使用されている場合にも、グレーチング蓋220の上方からグレーチング蓋220を介して排水用桝本体210の側壁部211にかかる力が分散されることとなり、損傷することがない。
【0044】
そして、グレーチング蓋220の移動を拘束する移動止めは、排水用桝本体210側に配設されたボルト215にグレーチング蓋220の位置決め穴が挿入され、ナット219にて締め付けるものであり、このグレーチング蓋220の移動を拘束する移動止めとしてのボルト215、ナット219は、堅固にグレーチング蓋220の移動を拘束するから、排水用桝本体210とグレーチング蓋220とが堅固に一体化され、グレーチング蓋220と排水用桝本体210との相対移動が拘束されることで、喩え、グレーチング蓋220の上面から大きな力が加わったとしても、排水用桝本体210は側壁部211全体の壁厚で受け止めることができるから、排水用桝本体210に亀裂が入ったり損傷したりすることがない。
また、排水用桝本体210側に配設されたボルト215は、グレーチング蓋220が載置されるまでに塵や埃等の異物が付着しても落とし易い。そして、排水用桝本体210側に配設されたボルト215にグレーチング蓋220の位置決め穴229を挿入し、ナット219にて締め付けることによって、堅固にグレーチング蓋220の移動を拘束することができ、浮き上がりもなくなることで、がたつき音の発生も防止される。
【0045】
更に、本実施の形態の排水用桝本体210の側壁部211に対して直角方向にグレーチング蓋220の外部からの水がグレーチング蓋220を通過して排水用桝本体210内に流入する構造は、グレーチング蓋220の外枠体221,222のうち対向する外枠体221の2面に通水路としての丸孔223及び逆U字孔224を形成してなるものである。このように、グレーチング蓋220の外枠体221の2面に通水路としての丸孔223及び逆U字孔224が形成されていることで、特に、透水性のアスファルト50が敷設された道路等に排水用桝ユニット200が敷設されている場合にあっては、透水性のアスファルト50内からアスファルト表面まで達することなくそのまま、グレーチング蓋220の外枠体221に形成された丸孔223及び逆U字孔224を通過して排水用桝本体210内に流入されることで排水能力を高めることができる。
【0046】
更にまた、本実施の形態のグレーチング蓋220の外枠体221に形成された通水路としての丸孔223及び逆U字孔224は、道路に敷設される透水性のアスファルト50におけるアスファルト粒塊が殆ど入り込むことのない形状及び寸法としたものである。このため、透水性のアスファルト粒塊が邪魔をして通水路としての丸孔223及び逆U字孔224から雨水等を排水用桝本体210内へ通過させる効果が薄れたり、また、施工後にグレーチング蓋220を排水用桝本体210から取り外して排水用桝本体210内を清掃等する場合にも、透水性のアスファルト50を損傷させることがないため、グレーチング蓋220を元に戻すことが容易であり、通水路としての丸孔223及び逆U字孔224から雨水等を排水用桝本体内へ通過させる効果を維持することができる。
【0047】
加えて、本実施の形態のグレーチング蓋220は、側壁部211が4面からなる角筒形状で、側壁部211の最上端面を、外形寸法が略一致する載置面212とし、載置面212に移動を拘束する移動止めを配設してなる排水用桝本体210に取り付けるものであって、グレーチング蓋220は、移動止めとしてのボルト215に移動を拘束され、排水用桝本体210の側壁部211に対して直角方向にグレーチング蓋220の外部からの水がグレーチング蓋220を通過して排水用桝本体210内に流入する構造としたものである。
この排水用桝本体210の側壁部211に対して直角方向にグレーチング蓋220の外部からの水がグレーチング蓋220の外枠体221の側面から内面へと通過して排水用桝本体210内に流入する構造によって、透水性のアスファルト50が敷設されるときに、透水性のアスファルト粒塊が詰まることなく、そのグレーチング蓋220を介して排水用桝本体210内に向かって安定して水を通過させ排水させることができる。また、排水用桝本体210の側壁部211の最上端面である載置面212にグレーチング蓋220の移動を拘束する移動止めとしてのボルト215にナット219が締め付けられており、このグレーチング蓋220の移動を拘束するボルト215、ナット219によって、排水用桝本体210に対してグレーチング蓋220の位置ずれが生じることがない。そして、排水用桝本体210の側壁部211の最上端面が、外形寸法が略一致するグレーチング蓋220の載置面212とされており、喩え、グレーチング蓋220の上面から大きな力が加わったとしても、ボルト215、ナット219によるグレーチング蓋220の位置ずれの抑制力が働くことに加え、グレーチング蓋220を介して排水用桝本体210の側壁部211全体の壁厚で受け止める構造であるため、喩え、排水用桝本体210の側壁部211の一部分が開口状態とされた開口部214が形成されていたとしても、損傷することがない。
【0048】
ところで、上記実施の形態におけるグレーチング蓋120の外枠体121,122やグレーチング蓋220の外枠体221に形成された丸孔、逆U字孔からなる通水路の他の形状としては、図11(a)に部分側面図を示すような、透水性のアスファルト50の透水性のアスファルト粒塊が入り込まない程度の大きさからなる長円孔131、逆V字孔132を含む形状が好ましい。特に、下部位置にある逆V字形状132は、喩え、透水性のアスファルト50が入り込んでも、排水用桝ユニット100,200内を清掃等するために、グレーチング蓋120,220を垂直方向に持ち上げ取り外す際に、透水性のアスファルト50側に無理な力のかかることがない。また、同様の作用・効果を有する通水路の他の形状としては、グレーチング蓋120の外枠体121,122やグレーチング蓋220の外枠体221に対して、図11(b)及び図11(c)に部分側面図を示すような、下方に向かって開状態となる逆V字形状に続く平行スリット形状134や下方に向かって開状態となる台形形状135等を採用することができる。更に、グレーチング蓋120,220の桟部材に対して、図11(d)に部分側面図を示すような、それらの端辺を部分的に折曲することで、外枠体に代替えして形成された切欠部137を有する折曲部136を採用することもできる。即ち、この折曲部136によって形成された通水路としての切欠部137においても、同様の作用・効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明の実施の形態1にかかる排水用桝ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は図1の排水用桝本体の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は図1のグレーチング蓋の詳細を示す構成図である。
【図4】図4は図1の排水用桝ユニットを構成する排水用桝本体とグレーチング蓋との組み付けを示す分解斜視図である。
【図5】図5は図1の排水用桝ユニットを単独に道路に設置した場合の雨水等の流れ込み状態を示す部分断面斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態2にかかる排水用桝ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【図7】図7は図6の排水用桝本体の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は図6のグレーチング蓋の詳細を示す構成図である。
【図9】図9は図6の排水用桝ユニットを構成する排水用桝本体とグレーチング蓋との組み付けを示す分解斜視図である。
【図10】図10は図6の排水用桝ユニットをコンクリート側溝に接続して道路に設置した場合の雨水等の流れ込み状態を示す部分断面斜視図である。
【図11】図11は本発明の各実施の形態で使用するグレーチング蓋に形成する通水路の他の形状を示す説明図である。
【図12】図12は従来の排水用桝ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【図13】図13は従来の排水用桝ユニットにおける排水用桝本体の構成を示す斜視図である。
【図14】図14は従来の排水用桝ユニットを構成する排水用桝本体とグレーチング蓋との組み付けを示す分解斜視図である。
【図15】図15は従来の排水用桝ユニットを単独に道路に設置した場合の雨水等の流れ込み状態を示す部分断面斜視図である。
【図16】図16は従来の排水用桝ユニットをコンクリート側溝に接続して道路に設置した場合の雨水等の流れ込み状態を示す部分断面斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
100,200 排水用桝ユニット
110,210 排水用桝本体
111,211 側壁部
112,212 載置面
113,213 薄壁部
115,215 ボルト(移動止め)
120,220 グレーチング蓋
121,122,221,222 外枠体
123,223 丸孔(通水路)
124,224 逆U字孔(通水路)
214 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁部4面からなる角筒形状で、前記側壁部の最上端面を外形寸法が略一致するグレーチング蓋の載置面とし、前記載置面に前記グレーチング蓋の移動を拘束する移動止めを配設し、かつ、前記各側壁部の略中央部分に逆U字形状の内側を周囲より薄い壁厚で封止する薄壁部を形成すると共に、前記薄壁部を設置状況に応じて開口状態として流入・流出自在とする開口部を形成してなる排水用桝本体を具備する排水用桝ユニットにおいて、
前記グレーチング蓋は、前記移動止めで移動を拘束され、前記排水用桝本体の側壁部に対して直角方向に前記グレーチング蓋の外部からの水が前記グレーチング蓋の側面及び上面を通過して前記排水用桝本体内に流入する構造としたことを特徴とする排水用桝ユニット。
【請求項2】
前記グレーチング蓋の移動を拘束する移動止めは、前記排水用桝本体側に配設されたボルトに前記グレーチング蓋をナット締めする構造としたことを特徴とする請求項1に記載の排水用桝ユニット。
【請求項3】
前記排水用桝本体の側壁部に対して直角方向に前記グレーチング蓋の外部からの水が前記グレーチング蓋の側面を通過して前記排水用桝本体内に流入する構造は、前記グレーチング蓋の外枠体のうち対向する2面または4面に通水路を形成してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水用桝ユニット。
【請求項4】
前記グレーチング蓋の側面の通水路は、道路に敷設されるアスファルト粒塊が殆ど入り込むことのない形状及び寸法としたことを特徴とする請求項3に記載の排水用桝ユニット。
【請求項5】
側壁部4面からなる角筒形状で、前記側壁部の最上端面を、外形寸法が略一致する載置面とし、前記載置面に移動を拘束する移動止めを配設してなる排水用桝本体に取り付けるグレーチング蓋であって、
前記グレーチング蓋は、前記移動止めに移動を拘束され、前記排水用桝本体の側壁部に対して直角方向に前記グレーチング蓋の外部からの水が前記グレーチング蓋の側面を通過して前記排水用桝本体内に流入する構造としたことを特徴とするグレーチング蓋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2007−308954(P2007−308954A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138594(P2006−138594)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(505312338)株式会社カムイネット (6)
【Fターム(参考)】