説明

排水立管用管継手および排水立管路

【課題】フランジ付き管継手を用いた配管方法に比べ、他の配管材との接続が容易で、しかも、排水流下によって生じる接続部での振動を低減することができる排水立管用管継手およびこの排水立管用管継手を用いた排水立管路を提供することを目的としている。
【解決手段】排水立管路を形成する他の配管材の下端部が上方から差し込まれる受口を有する継手本体と、筒状をした本体部と、本体部の内壁面から延出し、本体部の下端方向に向かって徐々に縮径する略ラッパ状をして前記受口に挿入される配管材の外壁面に水密に密着するリップ部とを備えるゴム輪が前記受口内に装着された排水立管用管継手において、前記リップ部を介してゴム輪内に入り込んだ配管材を管継手に対して正しい姿勢を保持するように配管材の外壁面を支持する姿勢支持手段が前記受口内のリップ部より上方に設けられている管継手を用いて排水立管路を形成することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水立管用管継手およびこの排水立管用管継手を用いた排水立管路に関する。
【背景技術】
【0002】
アパートやマンション等の集合住宅においては、トイレ・浴槽等の排水機器からの排水を横引き管にて排水立管路に導いている。排水立管路は、例えば建築物に設けられたパイプシャフト内に配置されており、そのパイプシャフト内において排水立管用パイプ同士または排水立管用パイプが管継手を介して接続されている。
【0003】
従来、排水立管用パイプ等の配管材の接続においては、下階に設置された管継手の上部に上階より配管材を降ろして、その下端部を管継手に接続するという配管方法がとられる場合がある。
このような配管方法に用いる管継手としては、施工性を考慮して、図7に示すように、上階から下ろされる排水立管用パイプや他の管継手(図示せず)の下端部が上方から差し込まれる受口210を有する継手本体200と、受口210内に装着され、受口210に差し込まれた排水立管の下端部に水密に外嵌されるゴム輪300とを有する受口構造を備える管継手100が用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
すなわち、この管継手100の場合、上方から下ろされる配管材の下端部を受口210に差し込むだけでゴム輪300によってワンタッチで配管材と管継手100とが水密に接続されるため、フランジ付き管継手を用いた配管方法に比べて固定ボルトの挿通孔を合わせるなどの手間がなく、接続が極めて容易であるという利点がある。
【0005】
一方、図8および図9に示すように、排水立管路400においては、2,3階置きあるいは各階毎に上下階の排水機器からの横枝管500が接続される集合継手とも称される管継手100と管継手100との間に図10に示すような点検口付き管継手101を配置して、排水立管路に詰りが生じた場合など、この点検口101aを開放して排水立管路内を容易に点検清掃できるようにするとともに、施工時には、図10に示すように、点検口101aから満水試験用治具600を点検口付き管継手101内に挿入し、満水試験用治具600によって、点検口101aより上方を水密に封止したのち、満水試験用治具600より上の排水立管路400内に水を満たし、配管材の接続部分の止水状態を確認するようにしている(たとえば、特許文献2参照)。図10中、610は配管内に満たした水を抜く際にホース等を差し込んで使用するノズルである。
【0006】
ところで、従来の点検口付き管継手101は、上記管継手100と同様の受口構造とした場合、次のような問題があるため、図10に示すように、下端側だけでなく、上端側もフランジ固定により配管材700が接続されるようになっている。
すなわち、点検口付き管継手101のように、各階の床スラブSと床スラブSとの間に配置される管継手は、管継手100のように床スラブS等に固定されていないため、管継手100のような受口構造とした場合、排水の流下によって、排水立管路が各配管材の管継手101との接続部で振動し、振動により生じる騒音が大きくなる、あるいは、経時的に各配管材の管継手101とのシール性が損なわれたり、接続が外れたりするといった問題が生じる虞がある。
【0007】
しかしながら、上下をフランジ接続構造とした場合、上階にいる作業者が上階から上側の配管材を点検口付き管継手101のところまで降ろし、下階にいる作業者が、下階でこの降ろされた配管材の下端部をフランジ接続する作業方法、あるいは、上階から上側の配管材を点検口付き管継手101のところまで降ろした作業者が階段等を使用して下階に下りて降ろされた配管材の下端部をフランジ接続する作業方法のいずれかを取らなければ成らず、人件費が嵩む、あるいは作業時間がかかる等の問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開2002-303387号公報
【特許文献2】特開平10-317448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて、フランジ付き管継手を用いた配管方法に比べ、他の配管材との接続が容易で、しかも、排水流下によって生じる接続部での振動を低減することができる排水立管用管継手およびこの排水立管用管継手を用いた排水立管路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の排水立管用管継手(以下、「請求項1の管継手」と記す)は、排水立管路を形成する他の配管材の下端部が上方から差し込まれる受口を有する継手本体と、前記受口内に装着され、受口に差し込まれた前記他の配管材の下端部に水密に外嵌されるゴム輪とを有する排水立管用管継手において、前記継手本体が、ゴム輪の上端より上方に、継手本体の内外に貫通する複数のねじ孔を継手本体の周方向に放射状に備えていることを特徴としている。
【0011】
本発明の請求項2に記載の排水立管用管継手(以下、「請求項2の管継手」と記す)は、排水立管路を形成する他の配管材の下端部が上方から差し込まれる受口を有する継手本体と、筒状をした本体部と、本体部の内壁面から延出し、本体部の下端方向に向かって徐々に縮径する略ラッパ状をして前記受口に挿入される配管材の外壁面に水密に密着するリップ部とを備えるゴム輪が前記受口内に装着された排水立管用管継手において、前記リップ部を介してゴム輪内に入り込んだ配管材を管継手に対して正しい姿勢を保持するように配管材の外壁面を支持する姿勢支持手段が前記受口内のリップ部より上方に設けられていることを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項3に記載の排水立管用管継手(以下、「請求項3の管継手」と記す)は、請求項2の管継手において、姿勢支持手段がゴム輪に一体に設けられていることを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項4に記載の排水立管用管継手(以下、「請求項4の管継手」と記す)は、請求項2または請求項3の管継手において、姿勢支持手段が、ゴム輪より上方の受口内に装着された弾性体であることを特徴としている。
【0014】
本発明の請求項5に記載の排水立管路(以下、「請求項5の排水立管路」と記す)は、複数の配管材が複数の管継手を介して接続することによって形成される多層建築物用の排水立管路であって、少なくとも排水立管路中の上下の配管材のみで支持されている管継手が、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の排水立管用管継手であることを特徴としている。
【0015】
請求項1の管継手において、ねじ孔の数は、特に限定されないが、3つ以上が好ましい。
また、ねじ孔には、予め蝶ねじ、六角ねじ(ボルト)、プラスねじ、マイナスねじ、ホーローセット等のねじが、継手本体の外側から内側に向かって螺合された状態でセットされていても構わない。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の管継手は、以上のように、継手本体が、ゴム輪の上端より上方に、継手本体の内外に貫通する複数のねじ孔を継手本体の周方向に放射状に備えているので、従来のワンタッチ接続可能な管継手と同様に上方から上方の配管材の下端部を受口内に挿入すれば、配管材の下端部が受口内のゴム輪内に嵌り込み排水立管と管継手とがワンタッチで水密に接続できる。そして、配管材の下端部を受口の所定位置まで挿入後、ねじ孔にねじ先端が排水立管の壁面に当たるまでねじをねじ込むようにすれば、配管材の下端部が受口内でねじの先端によってしっかりと把持され、排水による振動を抑止することができる。したがって、排水流下時の騒音を低減することができるとともに、振動によって各配管材の管継手との接続部でシール不良を起こしたり、接続が外れたりする事故をなくすことができる。
【0017】
請求項2〜請求項4の管継手は、リップ部を介してゴム輪内に入り込んだ配管材を管継手に対して正しい姿勢を保持するように配管材の外壁面を支持する姿勢支持手段が前記受口内のリップ部より上方に設けられているので、従来のワンタッチ接続可能な管継手と同様に上方から上方の配管材の下端部を受口内に挿入すれば、配管材の下端部の外壁面がリップ部だけでなく、その上方の姿勢支持手段によっても支持されるため、排水による振動を抑止することができる。したがって、排水流下時の騒音を低減することができるとともに、振動によって各配管材の管継手との接続部でシール不良を起こしたり、接続が外れたりする事故をなくすことができる。しかも、常に、配管材を管継手に正しい姿勢でワンタッチに接続することができる。
【0018】
また、請求項5の排水立管路は、複数の配管材が複数の管継手を介して接続することによって形成される多層建築物用の排水立管路であって、少なくとも排水立管路中の上下の配管材のみで支持されている管継手が、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の排水立管用管継手であるので、排水が安定して流下し、排水流下時の騒音が小さく、事故の少ないものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかる排水立管用管継手の第1の実施の形態をあらわしている。
【0020】
図1に示すように、この管継手1aは、継手本体2aと、ゴム輪3とを備えている。
継手本体2aは、鋳鉄や合成樹脂で形成されていて、上端部に受口21、中間部にフランジ22aを有する点検口22、下端部にフランジ23aを有する管接続部23を備えている。
【0021】
受口21は、後述するゴム輪3の装着部21aを有するとともに、この装着部21aより上方に3つのねじ孔21bが継手本体2aの中心軸に向かって放射状に穿設されていて、図示していないが、各ねじ孔21bに継手本体2aの外側から蝶ねじが螺合している。
ゴム輪3は、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)やクロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)等の合成ゴムによって形成されていて、図2に示すように、本体部31と、リップ部32と、管端受け部33とを備えている。
【0022】
本体部31は、その内径が一端(リップ部32側)の大内径部31aから第1縮径部31b、第2縮径部31cを経て他端(管端受け部33)の小内径部31dまで段階的に縮径する筒状をしている。
小内径部31dは、その内径が受口21に挿入される他の配管材の下端部の外径より少し大径になっている。
【0023】
また、第2縮径部31cの下端部から小内径部31dの下端にかけて配管材の挿入時のガイドとなる本体部31の中心軸に平行な36本のリブ34が等間隔で放射状に設けられている。
各リブ34は、その高さが、各リブ34の最高点を通る仮想円の径が受口21に挿入される他の配管材の下端部の外径の105%〜95%となり、その幅が0.1mm〜20mmとなっている。
【0024】
また、本体部31は、一端部31eの外径が他端部31fの外径より大径になっているとともに、一端部31eの外周面に受口21に装着された状態で受口21との水密性を高めるため3条のリブ31gが突設されている。
【0025】
リップ部32は、本体部31の一端から他端に向かって徐々に小径化するロート状になっていて、その最小径部の内径が受口21に挿入される他の配管材の下端部の外径より小径になっている。
【0026】
管端受け部33は、本体部31の他端で本体部31の内側に向かって全周にわたって内側に均等に張り出していて、その内径が受口21に挿入される他の配管材の下端部の外径より小さく、他の配管材の下端部の内径より少し大きいかほぼ同径になっている。
点検口22は、通常蓋が取り付けられ、立管路に詰り等が生じた場合、蓋を取り外して立管路内を点検清掃できるようになっているが、横枝管の接続用として用いても構わない。
【0027】
この管継手1aは、上記のようになっており、以下のようにして、上方から排水立管路を形成する他の配管材が接続されるようになっている。
【0028】
すなわち、各蝶ねじをその先端が受口21の内壁面に突出しない程度にねじ孔21bに螺合した状態で管継手1aをパイプシャフト(図示せず)内の所定階にセットしたのち、上階から排水立管を降ろして、他の配管材の下端部をゴム輪3のリップ部32を押し広げつつ、管端受け部33にほぼ当たるまで管継手1aの受口21に挿入する。
その後、ねじ先端が他の配管材の下端部の外壁面に当接するまで各蝶ねじを締め込み、接続を完了する。
【0029】
以上のように、この管継手1aによれば、従来のワンタッチ式管継手と同様に、上方から他の配管材の下端部を受口21内に挿入すれば、他の配管材の下端部が受口21内のゴム輪3内に嵌り込み他の配管材と管継手1aとがワンタッチで水密に接続できる。
しかも、継手本体2aが、ゴム輪3の上端より上方に、継手本体2aの内外に貫通する3つのねじ孔21bを継手本体2aの周方向に放射状に備えているので、配管材の下端部を受口21の所定位置まで挿入したのち、継手本体の外側から蝶ねじを締め込み、その先端を配管材の下端部外壁面に圧接するようにすれば、配管材の下端部と継手本体とがしっかりと固定され、排水による接続部での振動を防止できる。
また、ゴム輪3が、本体部31の中心軸に平行な36本のリブ34を小内径部31dの内壁面に放射状に備えているので、配管材の下端部がリブに引っかかることなく、リブ34にガイドされながら本体部31内に嵌合される。したがって、常に、配管材を管継手1aに正しい姿勢でワンタッチに接続することができる。
【0030】
図3は、本発明にかかる排水立管用管継手の第2の実施の形態をあらわしている。
図3に示すように、この管継手1bは、点検口22に代えて、継手本体2bに掃除口および耐水試験兼用の点検口24が設けられている以外は、上記管継手1aと同様になっている。
すなわち、この管継手1bは、点検口24の蓋を取り外せば、立管路内を点検清掃できるだけでなく、図10に示すような満水試験用治具600を内部にセットできるようになっている以外は、上記管継手1aと同様になっている。
【0031】
図4は、本発明にかかる排水立管用管継手の第3の実施の形態をあらわしている。
図4に示すように、この管継手1cは、継手本体2cの上端に受口25、下端にフランジ23a、中間に上記管継手1bと同様の点検口24が設けられ、受口25内には、上記管継手1a,1bと同様のゴム輪3が装着されるとともに、ゴム輪3の上方に姿勢支持手段としての振れ止めパッキン5が装着されている。
【0032】
振れ止めパッキン5は、ゴム輪3と同様のゴム弾性体で形成されていて、リング状の嵌合部51と、この嵌合部51からリングの内側下方に向かってに徐々に縮径する略ラッパ状をした振れ止め部52とを備えている。
振れ止め部52は、受口25に配管材が挿入されると、受口25の内壁面に沿うように変形して、ゴム輪3内に入り込んだ配管材を管継手1cに対して正しい姿勢を保持するようになっていて、受口25の内壁面に振れ止め部52の壁面が完全に密着した状態で、振れ止め部52の内径が配管材の挿入部外径と略一致する径となる肉厚になっている。
【0033】
この管継手1cは、上記のように、姿勢支持手段としての振れ止めパッキン5を受口25内のゴム輪3上方に備えているので、受口25内に挿入された配管材の下端部が、ワンタッチでゴム輪3と振れ止めパッキン5とによって支持される。
したがって、配管材の下端部と管継手1cとがしっかりと固定され、排水による接続部での振動を防止できるとともに、配管材が正しい姿勢に保持される。
また、振れ止めパッキン5が、受口25の内壁面に振れ止め部52の壁面が完全に密着した状態で、振れ止め部52の内径が挿入される配管材の挿入部外径と略一致する径となる肉厚になっているので、配管材を挿入する際にはそれほど大きな抵抗がなく、スムーズに配管材を受口25の所定位置まで挿入することができる。
【0034】
図5は、本発明にかかる排水立管用管継手の第4の実施の形態をあらわしている。
図5に示すように、この管継手1dは、継手本体2dの上端に受口26、下端にフランジ23a、中間に上記管継手1b,1cと同様の点検口24が設けられ、ゴム輪本体部30と、姿勢支持手段としての筒状部35とが一体成形されているゴム輪3aが受口26内に装着されている。
【0035】
ゴム輪本体部30は、上記管継手1a,1b,1cのゴム輪3と略同形状をしている。
筒状部35は、その内径が挿入される配管材の挿入部外径と略一致する径となっている。
【0036】
この管継手1dは、上記のように、ゴム輪3aが、姿勢支持手段としての筒状部35をゴム輪本体30の上方に備えているので、受口26内に挿入された配管材の下端部が、ワンタッチでゴム輪3aのリップ部32と筒状部35とによって支持される。
したがって、配管材の下端部と管継手1dとがしっかりと固定され、排水による接続部での振動を防止できるとともに、配管材が正しい姿勢に保持される。
また、筒状部35の内径が挿入される配管材の挿入部外径と略一致する径となっているので、配管材を挿入する際にはそれほど大きな抵抗がなく、スムーズに配管材を受口26の所定位置まで挿入することができる。
【0037】
以下に、本発明の具体的な実施例を詳しく説明する。
【0038】
(実施例1)
各部の寸法が図6に示すとおりであるとともに、リブ34の本数が12本、リブ34の長さが15mm、リブ34の幅が30mm、リブ34の高さが各リブ34の最高点を通る仮想円の径が88.5mmとなるようにリブ34が形成されたゴム輪3を備えた従来の集合管継手1と、図3に示すような管継手1bと、80Aの一端フランジ付直管(外径89.1mm)5とを用いて試験用排水立管路Aを作製した。図6中、Sは床スラブである。
また、各蝶ねじは、その先端が直管5の外壁面に圧接されるまで締め込んでおいた。
【0039】
(実施例2)
管継手1bに代えて、図4に示す管継手1cを用いた以外は、上記実施例1と同様にして図6に示す試験用排水立管路Aを作製した。
【0040】
(実施例3)
管継手1bに代えて、図5に示す管継手1dを用いた以外は、上記実施例1と同様にして図6に示す試験用排水立管路Aを作製した。
【0041】
(比較例1)
蝶ねじを締め込まなかった以外は、上記実施例1と同様に試験排水立管路Aを作製した。
(比較例2)
振れ止めパッキンを取り除いた管継手1cを用いた以外は、上記実施例2と同様に試験排水立管路Aを作製した。
【0042】
上記実施例1,2,3および比較例1,2で作製した試験排水立管路Aの管継手1b(1c,1d)部分に水平方向に手で加重をかけたときの試験排水立管路の水平方向への振れ幅と、上記実施例1,2,3および比較例1,2で作製した試験排水立管路に7.5L/sの流下速度で排水を流した場合の振動値を測定し、その結果を表1に示した。なお、振動値は、管継手1bの上端から20cm上方において、直管5の外壁面に振動ピックアップ(リオン社製圧電式加速ピックアップPV−85)を取り付け、振動計(リオン社製1/3オクターブ実時間分析器SA−20)を用いて測定した。
【0043】
【表1】

【0044】
本発明にかかる排水立管用管継手は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、ゴム輪の小内径部にリブが設けられていたが、受口に挿入される他の配管材と、管継手との軸が一致するように他の配管材の下端部を支持できれば、無くても構わないし、周方向に環状にリブを設けるようにしても構わない。
また、上記管継手1dでは、姿勢支持手段として筒状部を設けていたが、筒状部に代えて、頂点を結ぶ仮想線が筒状部内径と略同じ径となる円形を形成するように多数の突起を受口内に設けるようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明にかかる管継手の第1の実施の形態をあらわし、同図(a)はその正面図、同図(b)は同図(a)のI−I線断面図、同図(c)は同図(a)のII−II線断面図、同図(d)は同図(b)のIII−III線断面図である。
【図2】図1の管継手のゴム輪をあらわし、同図(a)はその縦断面図、同図(b)は同図(a)のIV−IV線断面図である。
【図3】本発明にかかる管継手の第2の実施の形態をあらわし、同図(a)はその正面図、同図(b)は同図(a)のV−V線断面図、同図(c)は同図(a)のVI−VI線断面図、同図(d)は同図(b)のVII−VII線断面図である。
【図4】本発明にかかる管継手の第3の実施の形態をあらわす一部切欠断面図である。
【図5】本発明にかかる管継手の第4の実施の形態をあらわす一部切欠断面図である。
【図6】実施例で作製した試験排水立管路の各部の寸法図である。
【図7】従来の管継手の受口部断面図である。
【図8】排水立管路の1例を説明する説明図である。
【図9】点検口付き管継手を組み込んだ排水立管路の1例を示す概略図である。
【図10】満水試験の方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0046】
A 排水立管路
1,1a,1b,1c,1d 管継手
2a,2b 継手本体
21,25,26 受口
21b ねじ孔
35 筒状部(姿勢支持手段)
5 振れ止めパッキン(姿勢支持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水立管路を形成する他の配管材の下端部が上方から差し込まれる受口を有する継手本体と、前記受口内に装着され、受口に差し込まれた前記他の配管材の下端部に水密に外嵌されるゴム輪とを有する排水立管用管継手において、
前記継手本体が、ゴム輪の上端より上方に、継手本体の内外に貫通する複数のねじ孔を継手本体の周方向に放射状に備えていることを特徴とする排水立管用管継手。
【請求項2】
排水立管路を形成する他の配管材の下端部が上方から差し込まれる受口を有する継手本体と、筒状をした本体部と、本体部の内壁面から延出し、本体部の下端方向に向かって徐々に縮径する略ラッパ状をして前記受口に挿入される配管材の外壁面に水密に密着するリップ部とを備えるゴム輪が前記受口内に装着された排水立管用管継手において、前記リップ部を介してゴム輪内に入り込んだ配管材を管継手に対して正しい姿勢を保持するように配管材の外壁面を支持する姿勢支持手段が前記受口内のリップ部より上方に設けられていることを特徴とする排水立管用管継手。
【請求項3】
姿勢支持手段がゴム輪に一体に設けられている請求項2に記載の排水立管用管継手。
【請求項4】
姿勢支持手段が、ゴム輪より上方の受口内に装着された弾性体である請求項2または請求項3に記載の排水立管用管継手。
【請求項5】
複数の配管材が複数の管継手を介して接続することによって形成される多層建築物用の排水立管路であって、
少なくとも排水立管路中の上下の配管材のみで支持されている管継手が、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の排水立管用管継手であることを特徴とする排水立管路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−232209(P2007−232209A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309068(P2006−309068)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】