排熱構造および画像形成装置
【課題】ファンの設置スペースの増加による装置の大型化を防止し、かつ、装置内で比較的奥まった位置に配置されることが多い電装部品の冷却を効率よく行うことができる構成を備えた排熱構造を提供する。
【解決手段】シートを排出する排紙部26近傍に該排紙部に用いられる駆動部材などの電装部品を設けた構成の排熱構造であって、外部からの外気を取り入れて前記排紙部26に装備されている排紙ローラ30の軸線方向に沿った気流方向を設定する第1の流路FAと、前記電装部品の設置位置近傍に設けられた冷却手段39により外気を取り入れて該電装部品に直接外気を接触させた上で外部に排出する第2の流路FBとを備え、前記第1,第2の流路FA,FBは、前記電装部品の設置位置を通過した位置で合流されて外部に連続する構成とされていることを特徴とする。
【解決手段】シートを排出する排紙部26近傍に該排紙部に用いられる駆動部材などの電装部品を設けた構成の排熱構造であって、外部からの外気を取り入れて前記排紙部26に装備されている排紙ローラ30の軸線方向に沿った気流方向を設定する第1の流路FAと、前記電装部品の設置位置近傍に設けられた冷却手段39により外気を取り入れて該電装部品に直接外気を接触させた上で外部に排出する第2の流路FBとを備え、前記第1,第2の流路FA,FBは、前記電装部品の設置位置を通過した位置で合流されて外部に連続する構成とされていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱構造および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、画像形成方式の一つに電子写真方式がある。この方式では、潜像担持体に相当する感光体上に形成された静電潜像が現像装置からのトナーの供給を受けて可視像処理されるとトナー像が記録紙などの記録媒体に転写され、転写トナー像が定着装置において熱と圧力とを用いて融解・浸透作用により定着される。
【0003】
ところで、画像形成装置内には上述した定着装置のように発熱源となる装置が内蔵されている。
発熱源となる機器としては、定着装置に限らず、モータやクラッチなどの電磁機器類さらには制御に用いられるマイクロチップなどの電装部品も含まれており、これら発熱源からの熱は画像形成装置内の雰囲気温度の上昇を招き、装備されている機器に熱的な悪影響を及ぼす場合がある。
【0004】
画像形成装置には、その構造として、ユーザ側に対面する装置本体の前面側から記録紙の積載や取り出しあるいは現像装置に用いられるトナーの交換などを行う構造があり、この構造では、装置本体の後側に電装部品を設けることがある。このような構造の場合には、装置本体の後側で熱がこもりやすくなる。
特に、定着装置の近傍に配置されている排紙部は周囲温度が高く、排紙部近傍に設けられている電装部品自身の発熱に加えて定着装置からの熱の影響を受けやすい。このため、電装部品の動作による発熱に加えて電装部品周辺からの熱の影響により電装部品の温度が異常に上昇すると、誤動作や破損を生じる虞がある。
【0005】
一方、画像形成装置には、画像形成装置内に排紙部を設けた胴内排紙方式のものが設置スペースの低減を図るために実用されるようになっている(例えば、特許文献1)。
この構成は、従来の排紙構造である、画像形成装置本体の外方に張り出す排紙トレイを設けるのではなく、画像形成装置内部に排紙トレイを設けた構成を採用している。
さらに、画像形成装置の設置スペースを低減させるために、上記特許文献1にあるように、排出される記録紙を対象としたステープル作業などの後処理作業を行う装置を画像形成装置内部に設けられている排紙空間内に装備させる構成も知られるようになってきている。
【0006】
上述した排紙空間内に後処理装置を装備することができる構成においては、排紙トレイへの記録紙の排出部が後処理装置で塞がれてしまう場合があり、この場合には排紙部近傍に設けられている電装部品の設置箇所からの熱が外部に逃げにくくなってしまう虞がある。
【0007】
そこで、この部分を対象として、排気や吸気による気流を用いた冷却を行い画像形成装置本体内の温度上昇を抑制することが考えられる。
気流を用いる冷却の代表的な構成としては、冷却ファンを用いた強制冷却がある(例えば、特許文献2,3)。
特許文献2においては、画像形成装置内の排紙部前面と装置後部側面にそれぞれファンを設け、排紙部前面から外気を吸入し、吸入した外気を定着装置上方に流し、装置後部側面から排出させるようにした構成が開示されている。
特許文献3においては、画像形成装置における縦方向で排紙トレイの下方に配置されている書き込み装置の近傍に外気を吸入可能なファンを設け、さらにこのファンにより吸入された外気を排紙トレイ上方に位置するファンにより排気する構成が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−244225号
【特許文献2】特開2007−148102号
【特許文献3】特開2004−347770号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に開示されている後処理装置を胴内排紙部に設けることを対象として、特許文献2,3に開示されているように、排紙部周辺を冷却し、排紙部近傍に設けられている電装部品の温度上昇を防止するようにした構成においては、次のような新たな問題がある。
【0010】
特許文献2に開示されている構成においては、ファンにより排紙部上方に導入された外気の方向を変換したうえで外部に排出することが必要であるので、排紙部を流れる際に定着部の熱によって暖められてしまい、排気される位置である装置本体後部、つまり、電装部品の設置位置を通過する際には暖められた空気によって電装部品の温度が上昇する虞がある。これにより、外気による電装部品の冷却がさほど期待できないという問題がある。
【0011】
一方、特許文献3に開示された構成においては、下方位置のファンに加えて、排紙トレイ上部にファンを設け、排紙トレイ上部のファンには気流方向を変化させるダクトを設ける必要があることから、ファンの設置に対する画像形成装置の高さ方向の丈が大きくなることは否めない。しかも、一方のファンから導入した外気を他方のファンにより排気する構成であるので、特許文献2に開示された構成と同様に、排紙トレイ近傍に配置されている定着装置からの熱を受けることによって排紙トレイ上部、つまり装置本体後部には位置されている電装部品が排気される際の空気により暖められやすくなるという問題がある。
【0012】
上述した特許文献における冷却構造において共通する問題点として、外気を装置内部に取り込むファンと取り込まれた外気を外部に排出するためのファンの風量を大きくすることによりファンの大型化による設置スペースの大型化がある。
つまり、ファンは取り込まれた外気が装置内で滞留するのを避けることが装置内温度の上昇を防止するうえで重要となる。このため、装置内での排紙部あるいは装置後部に配置されている電装部品の設置状況によって外気の流れが阻害されても装置内での空気の流れが滞らないようにすることが必要となる。このため、外気の流路に障害物が存在していても取り込まれた外気の流れを滞らせないようにする風量が必要となる。このため、ファンの風量が必然的に多くなり、この条件を満たすには大型のファンが必要となる。
【0013】
本発明の目的は、上記従来の画像形成装置における冷却に関する問題に鑑み、ファンの設置スペースの増加による装置の大型化を防止し、かつ、装置内で比較的奥まった位置に配置されることが多い電装部品の冷却を効率よく行うことができる構成を備えた排熱構造および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、次の構成よりなる。
(1)シートを排出する排紙部近傍に該排紙部に用いられる駆動部材などの電装部品を設けた構成の排熱構造であって、
外部からの外気を取り入れて前記排紙部に装備されている排紙ローラの軸線方向に沿った気流方向を設定する第1の流路と、
前記電装部品の設置位置近傍に設けられた冷却手段により外気を取り入れて該電装部品に直接外気を接触させた上で外部に排出する第2の流路とを備え、
前記第1,第2の流路は、前記電装部品の設置位置を通過した位置で合流されて外部に連続する構成とされていることを特徴とする排熱構造。
【0015】
前記電装部品は、少なくとも前記排紙部から排出されるシートの搬送用駆動部品を含むことを特徴とする(1)に記載の排熱構造。
【0016】
前記電装部品は、少なくとも前記排紙部でのシートの搬送方向を切り換える搬送路切り換え部材の駆動部材を含むことを特徴とする(1)に記載の排熱構造。
【0017】
前記第2の流路は、前記電装部品の設置部に向けて外気を取り込むことができることを特徴とする(1)に記載の排熱構造。
【0018】
(1)乃至(4)のいずれかに記載の排熱構造を用いることを特徴とする画像形成装置。
【0019】
前記排紙部は、装置本体内に設置スペースが設けられた胴内排紙部として構成され、該胴内排紙部には、排紙の後処理を行う後処理装置が着脱可能に設けられることを特徴とする(5)に記載の画像形成装置。
【0020】
前記電装部品として用いられる部材には放熱部材が取り付けられていることを特徴とする(5)または(6)に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、排紙部に装備されている排紙ローラの軸線方向に外気を流動させる第1の流路とは別に、電装部品を外気と直接接触させる第2の流路を設けているので、排紙部を通過した外気と独立して外気による電装部品の冷却が可能となる。しかも、これら各流路は合流させて外部に空気を排出されるので、異なる流路を設けた場合のスペースを共用化できることで装置の大型化を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面により本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明による排熱構造を用いる画像形成装置の外観図である。
図1において画像形成装置は、プリンタが該当しているが、本発明は、これに限らず、ファクシミリ装置や複写機あるいは印刷機さらにはこれらの機能の複合機を対象とすることも可能である。
【0023】
画像形成装置1は、縦方向において、画像形成ユニットをはさんで筐体上部原稿走査装置20がそして、下部に複数の給紙トレイ21A、21Bを備えた給紙装置21がそれぞれ配置されており、原稿走査装置20の下方における筐体上面は胴内排紙部をなす排紙トレイ1Aが設けられて装置外への排紙スペースを不要にしている。原稿走査装置20の前面には、操作パネル20Aが装備されている。
排紙トレイ1Aは、装置本体の正面を除く二方の側面、つまり、図1における右側と奥側が外装面によって囲まれ、さらに原稿走査装置20および画像形成ユニットにより上下を囲まれた空間で構成されている。
【0024】
画像形成装置1においてユーザに対面する装置筐体前面および側面には、給紙カセット21Aの上部およびこの位置と直角な方向の壁面にそれぞれ開閉可能なカバー22,23が設けてあり、画像形成ユニットの交換や保守などの際に開放できるようになっている。
【0025】
図2および図3は、図1に示した画像形成装置1の正面図および内部構成を示す図であり、画像形成装置1は、図3において詳細を図示しないが、画像形成ユニット(便宜上、符号Pで示す)の上部に排紙トレイ1Aが位置する排紙部が設けられており、排紙部には、画像形成ユニット上部に位置してシートの片面への画像形成出力(以下、片面出力ともいう)時に用いられる排紙トレイ1A1と、排紙トレイ1A1の上部に位置して両面への画像形成出力時(以下、両面出力ともいう)に用いられる補助トレイとしての排紙トレイ1A2とが設けられている。
【0026】
図2において符号24で示す前小カバーの内部には、図3に示すように、画像形成ユニットPの上部で排紙部1Aに隣接する位置に定着装置25から搬送されたシートを排出するための排紙ユニット26が設けられている。
【0027】
本実施形体の排紙ユニット26は、排紙部1Aに対して上述したように、二つの排紙トレイ1A1,1A2に向けシートを排出するための排出口を有しており、片面出力時は、画像形成済みのシートは分岐爪27の切り換えにより排出ローラ28へと搬送され、排出トレイ1A1に排出される。
【0028】
一方、両面出力時は、分岐爪27の切り換えにより反転中継ローラ29を経由して反転ローラ30へと搬送され、排紙トレイ1A2上に搬送される。そして、シートの後端が反転分岐部31を抜けると、反転ローラ30が停止した後、所定時間後に逆転を開始し、両面ユニット内の搬送経路32へと搬送されていく。そして、再び画像形成部1に搬送された後、反転ローラ30が回転方向を切り換えられて排紙トレイ1A2に向けて排出口に搬送される。
【0029】
排紙ユニット26の後方には、図示しないが、ステッピングモータとソレノイドが設けられており、ステッピングモータは反転中継ローラ28および反転ローラ30を駆動し、ソレノイドは分岐爪27を駆動する。
【0030】
本実施形態では、図4および図5に示すように、排紙部1Aの空間内に画像形成済みシートに対して後処理を施す後処理装置32を着脱可能に設けることができるようになっている。以下、図6において後処理装置に関して説明する。
図6において、後処理装置32は、前述の反転ローラ30側の搬送経路に着脱可能に連結される。
【0031】
後処理装置32は、画像形成済みのシートにパンチ孔を穿孔し、複数枚のシートを整合してステープル処理し、綴じられたシート束をスタックトレイ32Aに排出するという一連の処理を行う後処理装置である。後処理装置32は、図6に示すように、パンチ孔穿孔部320、ステープル処理部321、大サイズのシートに対応して伸縮可能なスタックトレイ32Aとから構成されている。
後処理装置32は、前記胴内排紙方式を用いる画像形成装置1のオプション装備であり、排紙部1Aの空間に対して着脱可能となっている。
【0032】
後処理装置32の画像形成装置1への装着方法は、まず排紙部1Aの空間に設置されている排紙トレイ1A1および補助トレイとしての排紙トレイ1A2を取り外す。次に後処理装置32を図5に示す矢印方向に沿って排紙部1Aの空間内に向けて挿入する。このとき、機内奥側および右前支柱(便宜上、符号24Aで示す)に設けられた不図示の位置決め用穴に対して、後処理装置32の位置決めピン(図示せず)を合わせ、位置決めを行う。そして、機内奥側および、画像形成装置左側面に設けられたネジ穴に対してネジ締めして装着が完了する。
【0033】
後処理装置32が装着されると、排紙ユニット26における片面出力時に用いられる排出ローラ28を介した搬送経路が塞がれるので、分岐爪27は、常時、両面出力時に用いられる排出ローラ30に向けたシートの搬送経路を設定する向きに揺動態位が維持されるようになっている。
【0034】
以上のような構成の画像形成装置1を対象として、本発明の特徴である排熱構造について説明すると次の通りである。
図7は、装置本体を裏面から見た状態で装置本体内の排熱のために用いられる吸気口および排気口を示した外観図であり、同図において装置本体には、装置筐体前面(符号Fで示す側)の側部には、前カバー22に形成された吸気口22Aが設けられ、装置筐体の背面(符号Rで示す側)には、排気口(便宜上、符号EPで示す)が設けられている。また、装置筐体の側面には、両面搬送ユニットを覆う側面カバー23の後部に吸気口23Aが設けられている。各吸気口および排気口は、鎧戸状あるいはスリットが形成され、外部から指などが進入するのを阻止できるようになっている。
【0035】
一方、装置筐体内部には、図8および図9に示すように、排紙ユニット(図3において符号26で示す部分)を冷却して排熱するための構成が設けられている。
図8は、排紙ユニット26(図3参照)における分岐爪27の周辺部を示す斜視図であり、同図において排紙ユニット26には、装置筐体の前面側に吸気ファン33が装備され、そして装置筐体奥側に排気ファン34(図9参照)が装備されている。
【0036】
吸気ファン33は、図7に示した装置筐体の前カバー22に設けられている吸気口22Aから外気を取り込むことができ、排紙ユニット26内に設けられている反転ローラ30の軸方向に沿って排気ファン34(図9参照)に向けて外気を流動させるようになっている。
【0037】
吸気ファン33から排気ファン34に至る範囲では、上述したように反転ローラ30の軸方向に沿って排紙ユニット26内の排紙ガイド26Aの上方で外気を移動させる第1の流路FAが構成されるようになっている。
第1の流路FAを通過する外気は、排紙ユニット26における排紙ガイド26Aを通過することで、排紙ガイド26Aの周辺での熱を外部に逃がすことができる。これにより、排紙ユニット26の内部に配置されている複数のシート検知スイッチ(図示されず)が定着装置25からの熱により破損するのを防止することができる。
【0038】
図9は、排紙ユニット26の平面視図であり、同図において、排紙ユニット26の長手方向、換言すれば、反転ローラ30の軸方向一方側が上述した第1の流路FAの外気入り口側に相当しており、外気入り口側には、前述した吸気ファン33が配置されている。
排紙ユニット26における排紙ガイド26Aの長手方向、換言すれば、反転ローラ30の軸方向両側には、前側板35および後側板36がそれぞれ設けられており、前側板36には、前述した吸気ファン33が設けられている。
図10(A)は、前側板35を、そして図10(B)は後側板36の正面視であり、同図において、前側板35および後側板36には、それぞれ外気の通過部をなす複数のスリット状の穴35A、36Aが形成されている。
【0039】
図9において後側板36を通過した気流の移動方向前方には、ダクト37に設けられている排気ファン34が配置されている。
一方、ダクト37の近傍、つまり、後側板36の後方には、詳細を図示しないが、反転ローラ30および反転中継ローラ29(図3参照)を駆動するためのステッピングモータや分岐爪27(図3参照)を揺動駆動するためのソレノイドなどの電装部品が配置されている。
【0040】
本実施形態では、上述した電装部品の温度上昇を抑制するために、上述した第1の流路FAとは別に、独立して電装部品の排熱を行うための構成が設けられている。
図9において、後側板36の近傍には、排紙ユニット26における排紙出口側からユーザの手などが触れないようにするための保護カバー38が設けられている。
【0041】
保護カバー38は、第1の流路FAと直角な方向の一方側でシートが排出される排紙口側、図9では、紙面の下方側で排紙ユニット26と一体化あるいは図示しない取り付け部材を介して一体化されて組み込まれている。
保護カバー38には、図11に示すように、第1の流路FAにおける外気入り口側に位置する吸気ファン33とは別の吸気ファン39が一体化されており、吸気ファン39は、外気を電装部品の設置位置に向けて取り込めるようになっている。
【0042】
吸気ファン39による外気の流路は、図9において符号FBで示すように、第1の流路FAとは独立して設定されており、電装部品に向けて取り込まれた外気が取り込み側と反対側に位置する外装パネル41によって方向転換されてダクト37の手前側、つまり、電装部品の設置位置を通過した位置で第1の流路FAと合流するようになっている。
【0043】
第1の流路FAと第2の流路FBとの合流方向はほぼ同じ方向となるが、この合流位置に至る第2の流路FBは、第1の流路FAを横断する状態とされている。このため、本実施形態では、第1の流路FAを流れる気流の流量(Qa)に対して第2の流路FBを流れる気流の流量(Qx)を次の関係に設定している。なお、排気ファン34での気流の流量を(Qb)で示す。
Qb≧Qa+Qx
この関係を設定することにより、第1の流路FAを流れる気流は第2の流路FBから流れてくる気流によって多少、乱されるものの、両方の流路を流れた気流が合流されて排気ファン34により外部に排出されることになる(図9中、矢印FCで示す)。なお、図9では、気流方向を示す矢印の大きさが流量の大きさを表している。
【0044】
以上のような構成においては、垂直方向でほぼ同一平面内に第1,第2の流路FA、FBを設けることができ、装置内での高さ方向での大型化を抑制することができる。
【0045】
しかも、電装部品は、これを対象とした専用の流路を流れる外気によって冷却されることになるので、第1の流路FAから取り込まれた外気による冷却に比べて、第1の流路FAを流れる外気のように、排紙ユニット内で暖められた気流でない分、冷却効果が高められることになる。
【0046】
なお、電装部品には、気流との接触面積を高めるための放熱部材、例えば、放熱フィンなどを付設しておくことで冷却効果をさらに高めることができる。
【0047】
一方、後処理装置32が装備されている場合には、第2の流路FBでの気流の反転位置は、外装カバー40に代えて、後処理装置32を取り付けるために用いられる部材または後処理装置32の側端壁(図5でいう後処理装置32の右辺)が機能するようになっている。
【0048】
本発明者は、上記実施形態において示した構成を用いて、電装部品として挙げたステッピングモータおよびソレノイドを対象として、稼働時間による温度の変化を観察したところ次の結果を得た。
上記実施形態に示した構成における第1の流路FAのみを用いて3時間の連続プリントを行った場合、ステッピングモータとソレノイドとの温度は61.8℃および97.1℃に達した。
これに対して第2の流路FBを第1の流路FAに合流させるようにした場合には、上記電装部品の温度が55.2℃および75.7℃まで低下した。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による排熱構造を用いる画像形成装置の外観図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の正面図である。
【図3】図1に示した画像形成装置の内部構成の要部を示す図である。
【図4】図1に示した画像形成装置に後処理装置を設けた場合の図2相当の図である。
【図5】図4に示した後処理装置の装着過程を示す図である。
【図6】図4に示した後処理装置を設けた場合の画像形成装置の内部構成を示す図である。
【図7】図1に示した画像形成装置における吸排出口の構成を示す外観図である。
【図8】図1に示した画像形成装置に用いられる排紙ユニットの周辺構造を説明するための斜視図である。
【図9】図8に示した排紙ユニットの周辺部を示す平面視図である。
【図10】図8および図9に示した排紙ユニットを対象とした排熱構造に用いられる前側板、後側板の正面図である。
【図11】図8および図9に示した排紙ユニットを対象とする排熱構造に用いられる保護カバーおよび排気ファンを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 画像形成装置。
1A 排紙部
26 排紙ユニット
27 分岐爪
30 反転ローラ
33 吸気ファン
34 排気ファン
35 前側板
36 後側板
38 保護カバー
39 吸気ファン
40 気流方向変換に用いられる外装カバー
P 画像形成ユニット
FA 第1の流路
FB 第2の流路
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱構造および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、画像形成方式の一つに電子写真方式がある。この方式では、潜像担持体に相当する感光体上に形成された静電潜像が現像装置からのトナーの供給を受けて可視像処理されるとトナー像が記録紙などの記録媒体に転写され、転写トナー像が定着装置において熱と圧力とを用いて融解・浸透作用により定着される。
【0003】
ところで、画像形成装置内には上述した定着装置のように発熱源となる装置が内蔵されている。
発熱源となる機器としては、定着装置に限らず、モータやクラッチなどの電磁機器類さらには制御に用いられるマイクロチップなどの電装部品も含まれており、これら発熱源からの熱は画像形成装置内の雰囲気温度の上昇を招き、装備されている機器に熱的な悪影響を及ぼす場合がある。
【0004】
画像形成装置には、その構造として、ユーザ側に対面する装置本体の前面側から記録紙の積載や取り出しあるいは現像装置に用いられるトナーの交換などを行う構造があり、この構造では、装置本体の後側に電装部品を設けることがある。このような構造の場合には、装置本体の後側で熱がこもりやすくなる。
特に、定着装置の近傍に配置されている排紙部は周囲温度が高く、排紙部近傍に設けられている電装部品自身の発熱に加えて定着装置からの熱の影響を受けやすい。このため、電装部品の動作による発熱に加えて電装部品周辺からの熱の影響により電装部品の温度が異常に上昇すると、誤動作や破損を生じる虞がある。
【0005】
一方、画像形成装置には、画像形成装置内に排紙部を設けた胴内排紙方式のものが設置スペースの低減を図るために実用されるようになっている(例えば、特許文献1)。
この構成は、従来の排紙構造である、画像形成装置本体の外方に張り出す排紙トレイを設けるのではなく、画像形成装置内部に排紙トレイを設けた構成を採用している。
さらに、画像形成装置の設置スペースを低減させるために、上記特許文献1にあるように、排出される記録紙を対象としたステープル作業などの後処理作業を行う装置を画像形成装置内部に設けられている排紙空間内に装備させる構成も知られるようになってきている。
【0006】
上述した排紙空間内に後処理装置を装備することができる構成においては、排紙トレイへの記録紙の排出部が後処理装置で塞がれてしまう場合があり、この場合には排紙部近傍に設けられている電装部品の設置箇所からの熱が外部に逃げにくくなってしまう虞がある。
【0007】
そこで、この部分を対象として、排気や吸気による気流を用いた冷却を行い画像形成装置本体内の温度上昇を抑制することが考えられる。
気流を用いる冷却の代表的な構成としては、冷却ファンを用いた強制冷却がある(例えば、特許文献2,3)。
特許文献2においては、画像形成装置内の排紙部前面と装置後部側面にそれぞれファンを設け、排紙部前面から外気を吸入し、吸入した外気を定着装置上方に流し、装置後部側面から排出させるようにした構成が開示されている。
特許文献3においては、画像形成装置における縦方向で排紙トレイの下方に配置されている書き込み装置の近傍に外気を吸入可能なファンを設け、さらにこのファンにより吸入された外気を排紙トレイ上方に位置するファンにより排気する構成が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−244225号
【特許文献2】特開2007−148102号
【特許文献3】特開2004−347770号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に開示されている後処理装置を胴内排紙部に設けることを対象として、特許文献2,3に開示されているように、排紙部周辺を冷却し、排紙部近傍に設けられている電装部品の温度上昇を防止するようにした構成においては、次のような新たな問題がある。
【0010】
特許文献2に開示されている構成においては、ファンにより排紙部上方に導入された外気の方向を変換したうえで外部に排出することが必要であるので、排紙部を流れる際に定着部の熱によって暖められてしまい、排気される位置である装置本体後部、つまり、電装部品の設置位置を通過する際には暖められた空気によって電装部品の温度が上昇する虞がある。これにより、外気による電装部品の冷却がさほど期待できないという問題がある。
【0011】
一方、特許文献3に開示された構成においては、下方位置のファンに加えて、排紙トレイ上部にファンを設け、排紙トレイ上部のファンには気流方向を変化させるダクトを設ける必要があることから、ファンの設置に対する画像形成装置の高さ方向の丈が大きくなることは否めない。しかも、一方のファンから導入した外気を他方のファンにより排気する構成であるので、特許文献2に開示された構成と同様に、排紙トレイ近傍に配置されている定着装置からの熱を受けることによって排紙トレイ上部、つまり装置本体後部には位置されている電装部品が排気される際の空気により暖められやすくなるという問題がある。
【0012】
上述した特許文献における冷却構造において共通する問題点として、外気を装置内部に取り込むファンと取り込まれた外気を外部に排出するためのファンの風量を大きくすることによりファンの大型化による設置スペースの大型化がある。
つまり、ファンは取り込まれた外気が装置内で滞留するのを避けることが装置内温度の上昇を防止するうえで重要となる。このため、装置内での排紙部あるいは装置後部に配置されている電装部品の設置状況によって外気の流れが阻害されても装置内での空気の流れが滞らないようにすることが必要となる。このため、外気の流路に障害物が存在していても取り込まれた外気の流れを滞らせないようにする風量が必要となる。このため、ファンの風量が必然的に多くなり、この条件を満たすには大型のファンが必要となる。
【0013】
本発明の目的は、上記従来の画像形成装置における冷却に関する問題に鑑み、ファンの設置スペースの増加による装置の大型化を防止し、かつ、装置内で比較的奥まった位置に配置されることが多い電装部品の冷却を効率よく行うことができる構成を備えた排熱構造および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、次の構成よりなる。
(1)シートを排出する排紙部近傍に該排紙部に用いられる駆動部材などの電装部品を設けた構成の排熱構造であって、
外部からの外気を取り入れて前記排紙部に装備されている排紙ローラの軸線方向に沿った気流方向を設定する第1の流路と、
前記電装部品の設置位置近傍に設けられた冷却手段により外気を取り入れて該電装部品に直接外気を接触させた上で外部に排出する第2の流路とを備え、
前記第1,第2の流路は、前記電装部品の設置位置を通過した位置で合流されて外部に連続する構成とされていることを特徴とする排熱構造。
【0015】
前記電装部品は、少なくとも前記排紙部から排出されるシートの搬送用駆動部品を含むことを特徴とする(1)に記載の排熱構造。
【0016】
前記電装部品は、少なくとも前記排紙部でのシートの搬送方向を切り換える搬送路切り換え部材の駆動部材を含むことを特徴とする(1)に記載の排熱構造。
【0017】
前記第2の流路は、前記電装部品の設置部に向けて外気を取り込むことができることを特徴とする(1)に記載の排熱構造。
【0018】
(1)乃至(4)のいずれかに記載の排熱構造を用いることを特徴とする画像形成装置。
【0019】
前記排紙部は、装置本体内に設置スペースが設けられた胴内排紙部として構成され、該胴内排紙部には、排紙の後処理を行う後処理装置が着脱可能に設けられることを特徴とする(5)に記載の画像形成装置。
【0020】
前記電装部品として用いられる部材には放熱部材が取り付けられていることを特徴とする(5)または(6)に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、排紙部に装備されている排紙ローラの軸線方向に外気を流動させる第1の流路とは別に、電装部品を外気と直接接触させる第2の流路を設けているので、排紙部を通過した外気と独立して外気による電装部品の冷却が可能となる。しかも、これら各流路は合流させて外部に空気を排出されるので、異なる流路を設けた場合のスペースを共用化できることで装置の大型化を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面により本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明による排熱構造を用いる画像形成装置の外観図である。
図1において画像形成装置は、プリンタが該当しているが、本発明は、これに限らず、ファクシミリ装置や複写機あるいは印刷機さらにはこれらの機能の複合機を対象とすることも可能である。
【0023】
画像形成装置1は、縦方向において、画像形成ユニットをはさんで筐体上部原稿走査装置20がそして、下部に複数の給紙トレイ21A、21Bを備えた給紙装置21がそれぞれ配置されており、原稿走査装置20の下方における筐体上面は胴内排紙部をなす排紙トレイ1Aが設けられて装置外への排紙スペースを不要にしている。原稿走査装置20の前面には、操作パネル20Aが装備されている。
排紙トレイ1Aは、装置本体の正面を除く二方の側面、つまり、図1における右側と奥側が外装面によって囲まれ、さらに原稿走査装置20および画像形成ユニットにより上下を囲まれた空間で構成されている。
【0024】
画像形成装置1においてユーザに対面する装置筐体前面および側面には、給紙カセット21Aの上部およびこの位置と直角な方向の壁面にそれぞれ開閉可能なカバー22,23が設けてあり、画像形成ユニットの交換や保守などの際に開放できるようになっている。
【0025】
図2および図3は、図1に示した画像形成装置1の正面図および内部構成を示す図であり、画像形成装置1は、図3において詳細を図示しないが、画像形成ユニット(便宜上、符号Pで示す)の上部に排紙トレイ1Aが位置する排紙部が設けられており、排紙部には、画像形成ユニット上部に位置してシートの片面への画像形成出力(以下、片面出力ともいう)時に用いられる排紙トレイ1A1と、排紙トレイ1A1の上部に位置して両面への画像形成出力時(以下、両面出力ともいう)に用いられる補助トレイとしての排紙トレイ1A2とが設けられている。
【0026】
図2において符号24で示す前小カバーの内部には、図3に示すように、画像形成ユニットPの上部で排紙部1Aに隣接する位置に定着装置25から搬送されたシートを排出するための排紙ユニット26が設けられている。
【0027】
本実施形体の排紙ユニット26は、排紙部1Aに対して上述したように、二つの排紙トレイ1A1,1A2に向けシートを排出するための排出口を有しており、片面出力時は、画像形成済みのシートは分岐爪27の切り換えにより排出ローラ28へと搬送され、排出トレイ1A1に排出される。
【0028】
一方、両面出力時は、分岐爪27の切り換えにより反転中継ローラ29を経由して反転ローラ30へと搬送され、排紙トレイ1A2上に搬送される。そして、シートの後端が反転分岐部31を抜けると、反転ローラ30が停止した後、所定時間後に逆転を開始し、両面ユニット内の搬送経路32へと搬送されていく。そして、再び画像形成部1に搬送された後、反転ローラ30が回転方向を切り換えられて排紙トレイ1A2に向けて排出口に搬送される。
【0029】
排紙ユニット26の後方には、図示しないが、ステッピングモータとソレノイドが設けられており、ステッピングモータは反転中継ローラ28および反転ローラ30を駆動し、ソレノイドは分岐爪27を駆動する。
【0030】
本実施形態では、図4および図5に示すように、排紙部1Aの空間内に画像形成済みシートに対して後処理を施す後処理装置32を着脱可能に設けることができるようになっている。以下、図6において後処理装置に関して説明する。
図6において、後処理装置32は、前述の反転ローラ30側の搬送経路に着脱可能に連結される。
【0031】
後処理装置32は、画像形成済みのシートにパンチ孔を穿孔し、複数枚のシートを整合してステープル処理し、綴じられたシート束をスタックトレイ32Aに排出するという一連の処理を行う後処理装置である。後処理装置32は、図6に示すように、パンチ孔穿孔部320、ステープル処理部321、大サイズのシートに対応して伸縮可能なスタックトレイ32Aとから構成されている。
後処理装置32は、前記胴内排紙方式を用いる画像形成装置1のオプション装備であり、排紙部1Aの空間に対して着脱可能となっている。
【0032】
後処理装置32の画像形成装置1への装着方法は、まず排紙部1Aの空間に設置されている排紙トレイ1A1および補助トレイとしての排紙トレイ1A2を取り外す。次に後処理装置32を図5に示す矢印方向に沿って排紙部1Aの空間内に向けて挿入する。このとき、機内奥側および右前支柱(便宜上、符号24Aで示す)に設けられた不図示の位置決め用穴に対して、後処理装置32の位置決めピン(図示せず)を合わせ、位置決めを行う。そして、機内奥側および、画像形成装置左側面に設けられたネジ穴に対してネジ締めして装着が完了する。
【0033】
後処理装置32が装着されると、排紙ユニット26における片面出力時に用いられる排出ローラ28を介した搬送経路が塞がれるので、分岐爪27は、常時、両面出力時に用いられる排出ローラ30に向けたシートの搬送経路を設定する向きに揺動態位が維持されるようになっている。
【0034】
以上のような構成の画像形成装置1を対象として、本発明の特徴である排熱構造について説明すると次の通りである。
図7は、装置本体を裏面から見た状態で装置本体内の排熱のために用いられる吸気口および排気口を示した外観図であり、同図において装置本体には、装置筐体前面(符号Fで示す側)の側部には、前カバー22に形成された吸気口22Aが設けられ、装置筐体の背面(符号Rで示す側)には、排気口(便宜上、符号EPで示す)が設けられている。また、装置筐体の側面には、両面搬送ユニットを覆う側面カバー23の後部に吸気口23Aが設けられている。各吸気口および排気口は、鎧戸状あるいはスリットが形成され、外部から指などが進入するのを阻止できるようになっている。
【0035】
一方、装置筐体内部には、図8および図9に示すように、排紙ユニット(図3において符号26で示す部分)を冷却して排熱するための構成が設けられている。
図8は、排紙ユニット26(図3参照)における分岐爪27の周辺部を示す斜視図であり、同図において排紙ユニット26には、装置筐体の前面側に吸気ファン33が装備され、そして装置筐体奥側に排気ファン34(図9参照)が装備されている。
【0036】
吸気ファン33は、図7に示した装置筐体の前カバー22に設けられている吸気口22Aから外気を取り込むことができ、排紙ユニット26内に設けられている反転ローラ30の軸方向に沿って排気ファン34(図9参照)に向けて外気を流動させるようになっている。
【0037】
吸気ファン33から排気ファン34に至る範囲では、上述したように反転ローラ30の軸方向に沿って排紙ユニット26内の排紙ガイド26Aの上方で外気を移動させる第1の流路FAが構成されるようになっている。
第1の流路FAを通過する外気は、排紙ユニット26における排紙ガイド26Aを通過することで、排紙ガイド26Aの周辺での熱を外部に逃がすことができる。これにより、排紙ユニット26の内部に配置されている複数のシート検知スイッチ(図示されず)が定着装置25からの熱により破損するのを防止することができる。
【0038】
図9は、排紙ユニット26の平面視図であり、同図において、排紙ユニット26の長手方向、換言すれば、反転ローラ30の軸方向一方側が上述した第1の流路FAの外気入り口側に相当しており、外気入り口側には、前述した吸気ファン33が配置されている。
排紙ユニット26における排紙ガイド26Aの長手方向、換言すれば、反転ローラ30の軸方向両側には、前側板35および後側板36がそれぞれ設けられており、前側板36には、前述した吸気ファン33が設けられている。
図10(A)は、前側板35を、そして図10(B)は後側板36の正面視であり、同図において、前側板35および後側板36には、それぞれ外気の通過部をなす複数のスリット状の穴35A、36Aが形成されている。
【0039】
図9において後側板36を通過した気流の移動方向前方には、ダクト37に設けられている排気ファン34が配置されている。
一方、ダクト37の近傍、つまり、後側板36の後方には、詳細を図示しないが、反転ローラ30および反転中継ローラ29(図3参照)を駆動するためのステッピングモータや分岐爪27(図3参照)を揺動駆動するためのソレノイドなどの電装部品が配置されている。
【0040】
本実施形態では、上述した電装部品の温度上昇を抑制するために、上述した第1の流路FAとは別に、独立して電装部品の排熱を行うための構成が設けられている。
図9において、後側板36の近傍には、排紙ユニット26における排紙出口側からユーザの手などが触れないようにするための保護カバー38が設けられている。
【0041】
保護カバー38は、第1の流路FAと直角な方向の一方側でシートが排出される排紙口側、図9では、紙面の下方側で排紙ユニット26と一体化あるいは図示しない取り付け部材を介して一体化されて組み込まれている。
保護カバー38には、図11に示すように、第1の流路FAにおける外気入り口側に位置する吸気ファン33とは別の吸気ファン39が一体化されており、吸気ファン39は、外気を電装部品の設置位置に向けて取り込めるようになっている。
【0042】
吸気ファン39による外気の流路は、図9において符号FBで示すように、第1の流路FAとは独立して設定されており、電装部品に向けて取り込まれた外気が取り込み側と反対側に位置する外装パネル41によって方向転換されてダクト37の手前側、つまり、電装部品の設置位置を通過した位置で第1の流路FAと合流するようになっている。
【0043】
第1の流路FAと第2の流路FBとの合流方向はほぼ同じ方向となるが、この合流位置に至る第2の流路FBは、第1の流路FAを横断する状態とされている。このため、本実施形態では、第1の流路FAを流れる気流の流量(Qa)に対して第2の流路FBを流れる気流の流量(Qx)を次の関係に設定している。なお、排気ファン34での気流の流量を(Qb)で示す。
Qb≧Qa+Qx
この関係を設定することにより、第1の流路FAを流れる気流は第2の流路FBから流れてくる気流によって多少、乱されるものの、両方の流路を流れた気流が合流されて排気ファン34により外部に排出されることになる(図9中、矢印FCで示す)。なお、図9では、気流方向を示す矢印の大きさが流量の大きさを表している。
【0044】
以上のような構成においては、垂直方向でほぼ同一平面内に第1,第2の流路FA、FBを設けることができ、装置内での高さ方向での大型化を抑制することができる。
【0045】
しかも、電装部品は、これを対象とした専用の流路を流れる外気によって冷却されることになるので、第1の流路FAから取り込まれた外気による冷却に比べて、第1の流路FAを流れる外気のように、排紙ユニット内で暖められた気流でない分、冷却効果が高められることになる。
【0046】
なお、電装部品には、気流との接触面積を高めるための放熱部材、例えば、放熱フィンなどを付設しておくことで冷却効果をさらに高めることができる。
【0047】
一方、後処理装置32が装備されている場合には、第2の流路FBでの気流の反転位置は、外装カバー40に代えて、後処理装置32を取り付けるために用いられる部材または後処理装置32の側端壁(図5でいう後処理装置32の右辺)が機能するようになっている。
【0048】
本発明者は、上記実施形態において示した構成を用いて、電装部品として挙げたステッピングモータおよびソレノイドを対象として、稼働時間による温度の変化を観察したところ次の結果を得た。
上記実施形態に示した構成における第1の流路FAのみを用いて3時間の連続プリントを行った場合、ステッピングモータとソレノイドとの温度は61.8℃および97.1℃に達した。
これに対して第2の流路FBを第1の流路FAに合流させるようにした場合には、上記電装部品の温度が55.2℃および75.7℃まで低下した。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による排熱構造を用いる画像形成装置の外観図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の正面図である。
【図3】図1に示した画像形成装置の内部構成の要部を示す図である。
【図4】図1に示した画像形成装置に後処理装置を設けた場合の図2相当の図である。
【図5】図4に示した後処理装置の装着過程を示す図である。
【図6】図4に示した後処理装置を設けた場合の画像形成装置の内部構成を示す図である。
【図7】図1に示した画像形成装置における吸排出口の構成を示す外観図である。
【図8】図1に示した画像形成装置に用いられる排紙ユニットの周辺構造を説明するための斜視図である。
【図9】図8に示した排紙ユニットの周辺部を示す平面視図である。
【図10】図8および図9に示した排紙ユニットを対象とした排熱構造に用いられる前側板、後側板の正面図である。
【図11】図8および図9に示した排紙ユニットを対象とする排熱構造に用いられる保護カバーおよび排気ファンを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 画像形成装置。
1A 排紙部
26 排紙ユニット
27 分岐爪
30 反転ローラ
33 吸気ファン
34 排気ファン
35 前側板
36 後側板
38 保護カバー
39 吸気ファン
40 気流方向変換に用いられる外装カバー
P 画像形成ユニット
FA 第1の流路
FB 第2の流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを排出する排紙部近傍に該排紙部に用いられる駆動部材などの電装部品を設けた構成の排熱構造であって、
外部からの外気を取り入れて前記排紙部に装備されている排紙ローラの軸線方向に沿った気流方向を設定する第1の流路と、
前記電装部品の設置位置近傍に設けられた冷却手段により外気を取り入れて該電装部品に直接外気を接触させた上で外部に排出する第2の流路とを備え、
前記第1,第2の流路は、前記電装部品の設置位置を通過した位置で合流されて外部に連続する構成とされていることを特徴とする排熱構造。
【請求項2】
前記電装部品は、少なくとも前記排紙部から排出されるシートの搬送用駆動部品を含むことを特徴とする請求項1に記載の排熱構造。
【請求項3】
前記電装部品は、少なくとも前記排紙部でのシートの搬送方向を切り換える搬送路切り換え部材の駆動部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の排熱構造。
【請求項4】
前記第2の流路は、前記電装部品の設置部に向けて外気を取り込むことができることを特徴とする請求項1に記載の排熱構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の排熱構造を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記排紙部は、装置本体内に設置スペースが設けられた胴内排紙部として構成され、該胴内排紙部には、排紙の後処理を行う後処理装置が着脱可能に設けられることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電装部品として用いられる部材には放熱部材が取り付けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項1】
シートを排出する排紙部近傍に該排紙部に用いられる駆動部材などの電装部品を設けた構成の排熱構造であって、
外部からの外気を取り入れて前記排紙部に装備されている排紙ローラの軸線方向に沿った気流方向を設定する第1の流路と、
前記電装部品の設置位置近傍に設けられた冷却手段により外気を取り入れて該電装部品に直接外気を接触させた上で外部に排出する第2の流路とを備え、
前記第1,第2の流路は、前記電装部品の設置位置を通過した位置で合流されて外部に連続する構成とされていることを特徴とする排熱構造。
【請求項2】
前記電装部品は、少なくとも前記排紙部から排出されるシートの搬送用駆動部品を含むことを特徴とする請求項1に記載の排熱構造。
【請求項3】
前記電装部品は、少なくとも前記排紙部でのシートの搬送方向を切り換える搬送路切り換え部材の駆動部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の排熱構造。
【請求項4】
前記第2の流路は、前記電装部品の設置部に向けて外気を取り込むことができることを特徴とする請求項1に記載の排熱構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の排熱構造を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記排紙部は、装置本体内に設置スペースが設けられた胴内排紙部として構成され、該胴内排紙部には、排紙の後処理を行う後処理装置が着脱可能に設けられることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電装部品として用いられる部材には放熱部材が取り付けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−39175(P2010−39175A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201704(P2008−201704)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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