説明

排紙トレイ

【課題】製造原価や梱包等のコストを抑えるとともに、使用者でも簡単に組み立て、装置に装着することができる排紙トレイを提供する。
【解決手段】装置本体から排出されたシートを積載する積載部材100と、このシートを受ける受部材200とを備え、積載部材100と受部材200は薄板状部材からなり、積載部材100には、受部材200が取り付けられる取付受部110と排紙されたシートの先端側を受ける突出部とが設けられ、受部材200には、シートの先端を受ける底を形成する折曲部と、シートが最初に到達する側に設けられた差込片220と、受部材200の所定位置に配置され該差込片220を差し込む差込口230が設けられ、折曲部部位には、受部材200を積載部材100に受部材200を支持する支持片250が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、プロッタ、サーマルプリンタ等の画像形成装置により、画像等を印刷したシートを積載する排紙トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置により、画像等を印刷したシートを積載する排紙トレイとして特許文献1、2のようなものがある。
【0003】
特許文献1において、排紙トレイは、排出された用紙を収容する空間を針金細工で構成されている。また、引用文献2は、底面板部18aと、底面板部18aに一体に形成されたリブ体18bと、終端板部18cとからなる。
【0004】
さらに、終端板部18cの一部(可動板部)は底面板部18aの他端に沿って配置された回転軸体の回りに回動自在に取り付けられ、可動板部には円弧状の連結部材18dの一端が連結されている。そして、連結部材18dの他端は、底面板部18aの下側面に連結されて、この連結部分に対応して、底面板部18aの一部(以下可動片部)が可動板部の回動に連動して、移動する構成となっている。
【特許文献1】特開平6−127789号公報
【特許文献2】特開2004−299881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらのような構成はコストのかかるものであった。具体的には、引用文献1の針金や引用文献2の各部材の材料費、さらに、排紙トレイの梱包のための費用等がある。特に排紙トレイは立体構造であるため、装置本体と一緒に排紙トレイを梱包する場合は梱包が大きくなったり、装置本体と排紙トレイとを個別に梱包したりする必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、請求項1の発明においては、装置本体から排出されたシートを積載する積載部材と、このシートを受ける受部材とを備え、積載部材と受部材は薄板状部材からなり、積載部材には、受部材が取り付けられる取付受部と排紙されたシートの先端側を受ける突出部とが設けられ、受部材には、シートの先端を受ける底を形成する折曲部と、シートが最初に到達する側に設けられた差込片と、受部材の所定位置に配置され該差込片を差し込む差込口が設けられ、折曲部部位には、受部材を積載部材に受部を支持する支持片が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明においては、前記取付受部は、排出される前記シートの長さに対応して二つ以上配置されていることを特徴とする。また、請求項3の発明においては、突出部を、積載部材に切込みをいれた部分を起こして形成することを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項4の発明においては、積載部材と受部材とは異なる材料で形成されていることを特徴とする。請求項5の発明においては、積載部材は中空合成樹脂板からなり、受部材はプラスチックシートからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
排紙トレイの構成を2枚の薄板状部材で構成することにより、排紙トレイのコストを抑えることができる。また薄板状部材であるため、装置本体の一側面に載置するのみで行うことが可能となり、梱包に係る費用を抑えることとができる。
【0010】
具体的に、排紙トレイは、二枚の部材を折り曲げ、差し込むのみで構成されるので、使用者でも簡単に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の排紙トレイを適用した装置の概略図。
【図2】本発明の排紙トレイの斜視図。
【図3】本発明の排紙トレイの積載部材の平面図。
【図4】図3の矢視Aの拡大図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図。
【図5】本発明の排紙トレイの受部材の斜視図。
【図6】図5の矢視Bの拡大図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、本発明の排紙トレイを適用した装置の概略図を示す。この装置1は、給紙部Aと画像形成部Bと読取部Cと操作部Dとからなり、載置台10に載置されている。
【0013】
給紙部Aは、画像形成部Bで形成された像を出力するものである。画像形成部Bは、外部からのデータを入力して像を形成するものである。具体的には画像形成部Bは、感光体の周囲に除電、帯電、露光、現像、転写、清掃、定着のプロセスを行う電子写真装置である。
【0014】
読取部Cは、画像形成部Bに先に述べたデータを入力するものである。操作部Dは、装置1の設定等を入力するものである。以上の構成のもと、給紙部Aから供給されたロール紙に、画像形成部Bで形成された像を出力(転写)した後、定着を行い、ロール紙を所定の長さにカットし、シートとして本発明の排紙トレイに排出される。なお、以下の説明から、装置1から排出されるロール紙をシートとよぶ。
【0015】
載置台10は、装置1を配置する天板11と、天板11の両側に設けられた側板12と、幕板13とからなる。側板12には脚が設けられている。両側板12には本発明の排紙トレイを支持する支持部14が設けられている。支持部14は棒状部材からなり、側板12に設けられた取付溝15に取り付けられている。
【0016】
次に、本発明の排紙トレイについて説明する。図2に示すように、排紙トレイは、薄板状部材の積載部材100と受部材200とからなり、積載部材100の一端面側が支持部14に取り付けられるようになっている。
【0017】
積載部材100は、図3、4に示すように、装置1から排出されたシートを積載するものであり、一枚の結晶性樹脂製中空シートからなる。具体的には、図4に示すように、対向する2枚のライナー板130と、これらライナー板130を連結する多数のリブ140からなるポリプロピレン製のものである。また、図示されていないが、ライナー板130の表面はシートが排出される方向に微細な凹凸(シボ目)が形成されている。
【0018】
再び、図3に戻り、積載部材100は、受部材200が取り付けられる取付受部110と、排紙されたシートの先端側を受ける突出部120とが設けられている。取付受部110は、積載部材100に平行に切り欠いたものであり、シートの長さに対応して複数、配置されている。
【0019】
なお、取付受部110は切り欠いたものであり、さらに、積載部材100は一枚の結晶性樹脂製中空シートであるため、シートの長さに応じて、取付受部110を簡単に追加することができる。
【0020】
突出部120は、排出されたシートのすわりをよくするためのものであり、シートが排出する方向に対向するように、積載部材100に切込みをいれた部分を起こして形成されている。また、先に述べたように、積載部材100は一枚の結晶性樹脂製中空シートであるため、積載するシートに対応して、切り起しの角度(突出部120の突出量)を予め任意に、または、ユーザーが適宜に設定することができる。
【0021】
受部材200は、排出されたシートの先端側を受けるものであり、積載部材100と同じように、一枚のシート、具体的にはプラスチックシートに切り込みを入れたり、切欠を設けたり、折り曲げて形成されたものである。
【0022】
図5、6に示すように、受部材200は、排出されたシートの先端側を受けるものであり、折曲部210と、差込片220と、差込口230と、取付片240と、支持片250とを備える。
【0023】
折曲部210は前記シートの先端を受ける底を形成するものであり、所定位置に容易に折り曲げることができるように切込みが入っている。差込片220は、シートが最初に到達する側に設けられている。差込片220は、差込口230に導入しやすいように両端が円弧状に形成された導入部221と、差込口230に差込片220を差し込んだ時に容易に外れないように切り欠いたカエシ部222とからなる。このカエシ部222は、釣針のカエシのような作用を持つものである。
【0024】
差込口230は、差込片220を差し込むものであり、第一溝部231と第二溝部232と切込部233とからなる。第一溝部231は、差込片220の先端が差込しやすいように、導入部221の幅L1と略同じ幅を持っている。
【0025】
第二溝部232は、導入部221が差込口230から外れないようにするとともに、差込片が切込み部にガイドするものであり、カエシ部222が形成された導入部221部位の幅L2よりも狭くなっている。切込部233は、差込口230に差し込まれた差込片220を固定するものであり、導入部221の幅L1よりも狭く且つ差込口230に差込片220を差し込んだ時にカエシ部222が形成された導入部221部位が遊びのある状態で嵌る程度の幅L3を持っている。
【0026】
取付片240は、積載部材100に設けられた取付受部110に差し込んで本発明の排紙トレイとなるものであり、受部材200の中心に対して左右対称に配置されている。取付片240は、受部材200が外れにくいように基端の幅が太く、さらに、受部材200に取り付け安いように先端が基端の幅より狭くなっている。
【0027】
支持片250は、積載部材100に取り付けた受部材200を支持するものであり、折曲部210部位に設けられている。支持片250は、取付片240と同じように、受部材200の中心に対して左右対称に配置されている。
【0028】
以上の構成のもと、本発明の排紙トレイは、受部材200の折曲部210を折り曲げて、差込片220を差込口230に差し込んで排出されるシートの先端側を受ける底を形成し、底を形成した受部材200の取付片240を積載部材100の取付部材に差し込むとともに、受部材200の支持片250を積載部材100の所定位置に当接させることによりなる。
【0029】
また、突出部120の突出量を適宜に応じて調整して、排出されたシートのすわりをよくするとともに、下段の取付部材に受部材200を取り付けた場合に排出されたシートの先端が上端の取付部材に引っ掛からないようにする。
【0030】
この後、積載部材100に受部材200を取り付けて構成された排紙トレイを、載置台10の支持部14に載置して、装置1への取り付けが完了する。以上のように、本発明の排紙トレイは、二枚のシートを各々折り曲げ、差し込むのみ構成であるため、使用者でも簡単に組み立てることができるとともに排紙トレイのコストを抑えることができる。
【0031】
特に、本発明の排紙トレイの梱包は、二枚のシートからなるため、装置1の梱包内に含める(単に、装置1の一側面に載置する)のみで完了することができ、排紙トレイのための独自の梱包を行う必要がなくなり、排紙トレイのコストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0032】
100 積載部材
110 取付部材
120 突出部
200 受部材
210 折曲部
220 差込片
230 差込口
240 取付片
250 支持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体から排出されたシートを積載する積載部材と、このシートを受ける受部材とを有する排出トレイにおいて、
前記積載部材と前記受部材は薄板状部材からなり、
前記積載部材には、前記受部材が取り付けられる取付受部と排紙された前記シートの先端側を受ける突出部とが設けられ、
前記受部材には、前記シートの先端を受ける底を形成する折曲部と、前記シートが最初に到達する側に設けられた差込片と、前記受部材の所定位置に配置され該差込片を差し込む差込口が設けられ、
前記折曲部部位には、前記受部材を前記積載部材に前記受部を支持する支持片が設けられていることを特徴とする排紙トレイ。
【請求項2】
前記取付受部は、排出される前記シートの長さに対応して二つ以上配置されていることを特徴とする請求項1記載の排紙トレイ。
【請求項3】
前記突出部は、前記積載部材に切込みをいれた部分を起こして形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の排紙トレイ。
【請求項4】
前記積載部材と前記受部材とは異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の排紙トレイ。
【請求項5】
前記積載部材は中空合成樹脂板からなり、前記受部材はプラスチックシートからなることを特徴とする請求項1または4記載の排紙トレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−106832(P2012−106832A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256624(P2010−256624)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】