説明

採取チューブ

【課題】腔壁への負担を軽減しながら体腔内の体液を効率良く吸引することができる。
【解決手段】体腔内に挿入可能な筒状の細長いチューブ本体2と、該チューブ本体2の先端側に配置され、先端面に吸引口3aが開口した筒状の先端部3と、チューブ本体2と先端部3との間に接続され、先端面が腔壁から受けた力にならって湾曲可能かつ長手方向に伸縮可能な筒状の柔軟部3とを備える採取チューブ1を提供する。本発明によれば、先端面の一部が腔壁に接触したときに湾曲部が柔軟に湾曲することにより先端面全体を腔壁表面に沿って配置し、また、先端面が腔壁に与える力を柔軟部3の収縮によって緩衝することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採取チューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腔壁に接触したときの腔壁への影響を軽減するカテーテルおよびカテーテル補助具が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−38209号公報
【特許文献2】特開2006−150052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
腔壁表面に貯留または滲出した体液をカテーテルで吸引しようとしたとき、その体液を効率よく吸引するためには、カテーテルの吸引口が腔壁表面に沿って配置されるようにカテーテルの先端部を腔壁に対して垂直に当てることが好ましい。しかしながら、特許文献1および2の場合、操作者が体内に挿入したカテーテルの先端部を基端側で操作したときに、特に挿入方向に対して交差する方向に先端部を意図したとおりに操作することが非常に困難である。したがって、比較的広い体腔内の限られた部位から所望の体液を採取した場合など、先端部の操作性が要求される場面では、先端部を腔壁に対して理想の角度で配置することが難しく、所望の体液を採取することが困難であるという問題がある。
【0005】
また、カテーテルの先端を腔壁に押し当てることにより腔壁に刺激を与えてしまう可能性がある。特に、十二指腸内に膵液を分泌する出口である乳頭部の粘膜は外部からの刺激に弱いことが知られており、乳頭部において腔壁への負担を軽減しながら膵液を吸引することは困難である。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、腔壁への負担を軽減しながら体腔内の体液を効率良く吸引することができる採取チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、体腔内に挿入可能な筒状の細長いチューブ本体と、該チューブ本体の先端側に配置され、先端面に吸引口が開口した筒状の先端部と、前記チューブ本体と前記先端部との間に接続され、前記先端面が腔壁から受けた力にならって湾曲可能かつ長手方向に伸縮可能な筒状の柔軟部とを備える採取チューブを提供する。
【0008】
本発明によれば、チューブ本体の基端側を操作することにより先端部から体腔内に挿入し、チューブ本体内を基端側から吸引することにより、体腔内の体液を吸引口から柔軟部およびチューブ本体の内部を介して体外まで吸引して採取することができる。
この場合に、先端面の一部が腔壁に接触したときに湾曲部が柔軟に湾曲することにより先端面全体が腔壁表面に沿って配置される。これにより、腔壁表面に貯留または滲出した体液を吸引口内に効率良く吸引することができる。また、先端面が腔壁に与える力が柔軟部の収縮によって緩衝されるので、先端面を穏やかに腔壁に接触させて腔壁への刺激を軽減し、腔壁に与える負担を軽減することができる。
【0009】
上記発明においては、前記柔軟部は、側壁が長手方向に交互に山部と谷部とを有する蛇腹状に形成されていてもよい。
このようにすることで、柔軟部を簡易に構成することができる。
また、上記発明においては、前記柔軟部が、ポリウレタンまたはシリコーンからなっていてもよい。
このようにすることで、柔軟部を構成する側壁に弾性を持たせ、柔軟部の側壁が腔壁に接触したときの該腔壁への影響を軽減することができる。
【0010】
また、上記発明においては、前記先端部の先端に、弾性材料からなる環状のパッド部材が設けられていてもよい。
このようにすることで、パッド部材が腔壁の表面形状に沿って変形し、吸引口をより腔壁に密着させることができる。
また、上記発明においては、前記チューブ本体、前記先端部および前記柔軟部が、内視鏡の挿入部に長手方向に貫通して形成されたチャネルの内径寸法よりも小さい外径寸法を有していてもよい。
このようにすることで、体腔内に挿入した内視鏡のチャネル内を介して先端部を体腔内まで挿入し、内視鏡で体液の採取部位などを観察しながら先端部を容易に操作することができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記柔軟部は、互いに隣り合う前記山部の長手方向の間隔が、前記チューブ本体の外径寸法以下であってもよい。
このようにすることで、幅が狭い体腔内であっても柔軟部を十分に小さな曲率半径で湾曲させることができる。
また、上記発明においては、前記柔軟部は、前記体腔の内径寸法より小さい長さ寸法を有することが好ましい。
このようにすることで、体腔内における柔軟部の操作性を向上することができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記柔軟部を、その先端から出没可能に収納する外筒部材を備えていてもよい。
このようにすることで、体腔内に挿入するときおよび体腔内から抜き出すときは柔軟部を外筒部材内に収納することにより、操作性を向上することができるとともに、柔軟部を体内への挿入過程に生じる摩擦や腔壁などから保護することができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記先端部が、前記柔軟部の剛性に抗して該柔軟部を重力により下向きにする重量を有する重りを備えていてもよい。
このようにすることで、吸引口を鉛直下方に向けて柔軟部が湾曲するので、自重によって体腔内の下面に貯留した体液に吸引口を容易に接触させて吸引することができる。
【0014】
また、上記発明においては、前記チューブ本体が、前記柔軟部の基端側に近接する部分において一方向に湾曲した形状に癖付けられていてもよい。
このようにすることで、柔軟部全体を所望の方向に向けることができる。
また、上記発明においては、前記チューブ本体の、前記柔軟部の基端側に近接する位置に接続され、前記チューブ本体の基端側まで延びるワイヤ部材を備えていてもよい。
このようにすることで、操作者がワイヤ部材に張力を加えることにより柔軟部全体を所望の方向に向けることができる。
【0015】
また、上記発明においては、前記先端部が、側壁に壁厚方向に貫通しその内部と外部とを連通させる細孔を有していてもよい。
このようにするとで、チューブ本体内を吸引したときに細孔から先端部内に空気が流入するので、柔軟部およびチューブ本体の内部が過剰に減圧されることを防ぐことができる。さらに、先端部の外部に存在する体液も細孔から効率良く採取することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、腔壁への負担を軽減しながら体腔内の体液を効率良く吸引することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る採取チューブの全体構成図であり、(a)蛇腹部を外筒内に収納した状態と(b)蛇腹部を外筒内から出没させた状態とを示している。
【図2】蛇腹部に重りとして芯部材を設けた構成を示す図である。
【図3】蛇腹部に液体を供給する通路と液溜め部とを設けた構成を示す図である。
【図4】蛇腹部の先端にパッドを設けた構成を示す図である。
【図5】蛇腹部の側面孔を設けた構成を示す図である。
【図6】チューブ本体の変形例であり、先端部分に曲がり癖が付けられたチューブ本体を示す図である。
【図7】チューブ本体のもう1つの変形例であり、操作ワイヤを設けた構成を示す図である。
【図8】図1の採取チューブの変形例の構成図であり、(a)蛇腹部を中表の状態で外筒内に収納した状態と、(b)蛇腹部を外筒内から押し出した状態とを示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態に係る採取チューブ1について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る採取チューブ1は、図1に示されるように、体腔内に挿入可能な筒状の細長いチューブ本体2と、該チューブ本体2の先端に接続されその先端面に吸引口3aが開口した筒状の蛇腹部3(先端部、柔軟部)と、蛇腹部3およびチューブ本体2の途中位置までを収納する外筒(外筒部材)4とを備えている。
【0019】
チューブ本体2は、体腔内において腔壁の形状に沿って湾曲可能な可撓性を有するとともに、挿入される体腔に応じた外径寸法と長さ寸法とを有している。チューブ本体2の基端には、吸引ポンプに接続されたチューブやシリンジなどの図示しない吸引手段が接続され、吸引手段の作動によって吸引口3aから体液を吸引して体外に採取できる。また、チューブ本体2の基端から洗浄液等を体腔内に注入して腔壁を洗い流し、腔壁から剥離した組織や細胞などを洗浄液とともに吸引して採取することもできる。
【0020】
本実施形態で採取の対象となる体液としては、唾液、痰、気管支内滲出物、鼻汁、胃液、膵液、胆汁、十二指腸液、腸液、涙、子宮腔内液、卵管腔内液、膣内容液、頸管粘液等が挙げられる。
【0021】
チューブ本体2を構成する材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、塩化ビニル系樹脂などが好ましい。具体的には、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマ、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンとポリエチレンもしくはポリブテンの混合物、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体を好適に用いることができる。
【0022】
チューブ本体2の外径寸法は、咽頭用ならば約5mm、鼻腔用ならば約3mm、婦人科系用ならば約1〜4mm、上部消化器系用(胃、十二指腸、小腸等)ならば2〜3.7mm、下部消化器系用(大腸、小腸)ならば2.8〜3.7mm、呼吸器系用ならば1.2〜3.2mmが好ましい。なお、上部消化器系、下部消化器系および呼吸器系において、内視鏡の長手方向に貫通して形成されたチャネル内を介して採取チューブ1を体腔内に挿入する場合には、チャネルの内径より小さい外径寸法であればよい。
【0023】
チューブ本体2および蛇腹部3を合わせた全長は、咽頭用・鼻腔用ならば約15cmが好ましく、婦人科系のうち子宮腔用ならば20〜45cm程度、さらには25〜40cmが好まし、卵管用ならば30〜55cm程度、さらには35〜50cmが好ましく、子宮頸部用ならば10〜20cm程度が好ましく、上部消化器挿入用ならば1.2〜1.65mが好ましく、下部消化器用ならば1.8〜2.7mが好ましい。
【0024】
蛇腹部3は、側壁が山部3bと谷部3cとを長手方向に交互に有する蛇腹状に形成され、その長手方向に伸縮可能であるとともに、その長手方向に対して任意の方向に湾曲可能になっている。ここで、蛇腹部3は、先端面が腔壁に接触したときに該腔壁から受ける力によって収縮および湾曲可能な柔軟性を有している。山部3bの外面は、腔壁に接触したときの該腔壁への影響を抑えるために、面取りされて丸みを帯びた形状に形成されていることが好ましい。
【0025】
蛇腹部3の外径寸法は、体腔内に容易に挿入できるように、チューブ本体2の外径寸法と略同一またはそれ以下の外径寸法を有していればよいが、1〜4mm程度が好ましく、1.5〜3mmがより好ましい。
【0026】
蛇腹部3の長手方向の寸法は、体腔の直径より短いことが好ましく、体腔の直径の1/4〜3/4であることがより好ましい。また、蛇腹部3の山部3b同士の長手方向の間隔は、チューブ本体2の外径寸法以下であることが好ましく、チューブ本体2の外径寸法の1/5〜1/2であることがより好ましい。このようにすることで、体腔の大きさに対して十分に小さい曲率半径で蛇腹部3が湾曲するので、湾曲した蛇腹部3が体腔内でつかえるなどして操作性が損なわれることを防ぐことができる。
【0027】
蛇腹部3を構成する材料は、上述したチューブ本体2と同様の材料を用いてもよく、ポリウレタンやゴム状のシリコーンなどの弾性材料を用いてもよい。また、蛇腹部3は、内部が吸引されたときに中空の形状を保持可能な強度を有するように、内面を比較的硬質な材料から構成され、外面を比較的柔軟な材料から構成されていてもよい。
【0028】
外筒4は、チューブ本体2の基端の一部を除き、蛇腹部3およびチューブ本体2を収納可能な長さ寸法を有し、蛇腹部3およびチューブ本体2を長手方向に移動可能に収納している。操作者が、チューブ本体2の基端部を押し引きすることにより、蛇腹部3が外筒4の先端面の開口から出没または収納されるようになっている。蛇腹部3が外筒4内に収納された位置と蛇腹部3が外筒4から出没した位置とでそれぞれ、チューブ本体2と外筒4との長手方向の相対位置を固定する図示しない固定手段が設けられていてもよい。
【0029】
このように構成された本実施形態に係る採取チューブ1の作用について、十二指腸内から十二指腸液を採取する内視鏡検査を例に挙げて以下に説明する。
本実施形態に係る採取チューブ1により十二指腸液を採取するには、予め十二指腸内に内視鏡を挿入し、該内視鏡のチャネル内に、蛇腹部3を外筒4内に収納した状態で採取チューブ1を挿入する。
【0030】
操作者は、外筒4の先端部が内視鏡の先端面のチャネルの開口から出没して内視鏡映像に現れるまで、採取チューブ1をチャネル内に挿入する。次に操作者は、チューブ本体2を押して外筒4内から蛇腹部3を出没させ、該蛇腹部3の先端面を十二指腸液が貯留している腔壁の方向に操作して該腔壁に接触させる。このときに、蛇腹部3は、腔壁から押圧されることにより収縮しながら、その先端面を腔壁に沿わせるように湾曲する。次に操作者は、吸引手段を作動させることにより、十二指腸液を蛇腹部3およびチューブ本体2の内部を介して体外に吸引して採取することができる。
【0031】
このように、本実施形態によれば、蛇腹部3の先端面を腔壁に向かって接触させたときに、該先端面から腔壁に与えられる力が蛇腹部3の収縮によって緩衝されて先端面が穏やかに腔壁に押し当てられるので、腔壁への負担を軽減することができるという利点がある。
【0032】
また、操作者がチューブ本体2の基端側で複雑に蛇腹部3の先端面の位置を操作しなくても、蛇腹部3が柔軟に湾曲することにより、挿入方向に対して側方に配置された十二指腸の腔壁表面に吸引口3aがぴったりと沿って配置される。これにより、十二指腸液を容易にかつ効率的に吸引することができるとう利点がある。これは、十二指腸液の他に、膵液、胆汁、腸液など、体腔の入口からの距離が比較的遠いために、チューブ本体2の基端側における微妙な操作が蛇腹部3の先端まで伝達されにくい部位の体液を採取する場合に、特に有効である。また、腔壁表面に滲出した微量の体液を吸引する際にも特に有効である。
【0033】
また、蛇腹部3を外筒4内に収納した状態でチャネル内を移動させることにより、蛇腹部3が不要に湾曲してチャネル内での操作性が損なわれたり、蛇腹部3がチャネルの内壁と接触することにより蛇腹部3の側壁が損傷したりすることを防ぐことができるという利点がある。
【0034】
なお、上記実施形態においては、内視鏡検査を例に挙げて採取チューブ1の使用方法について説明したが、これに代えて、蛇腹部3にX線不透過材料からなる図示しないチップを搭載し、X線透視下でチップの位置を確認しながら体液の採取を行ってもよい。
【0035】
また、上記実施形態においては、蛇腹部3の先端に重りを設け、該重りに作用する重力によって、先端面を鉛直下方を向けて蛇腹部3を湾曲させることとしてもよい。例えば、図2に示されるように、蛇腹部3の先端の山部3bの内部に、金属などの比重の大きな材料からなる芯部材5aを重りとして設けてもよい。または、図3に示されるように、チューブ本体2と蛇腹部3の側壁の内部に液体の通路6を形成し、該通路6を介して蛇腹部3の先端に形成された液溜め部7内に液体Aを重りとして貯留させてもよい。
【0036】
体腔内において体液はその自重によって鉛直下方側に配置された腔壁表面上に溜まりやすい。したがって、自然状態において蛇腹部3の先端面が鉛直下方を向くようにすることで、体腔内において吸引口3aが体液の貯留した腔壁に向けられるので、操作をさらに容易にすることができる。
【0037】
また、上記実施形態においては、図4に示されるように、蛇腹部3の先端に、弾性部材からなる環状のパッド8が設けられていてもよい。
パッド8は、例えば、ポリウレタンゴムやシリコーンゴムからなる。このようにすることで、蛇腹部3の先端面が腔壁の表面に沿って配置されたときに、腔壁の湾曲形状や比較的小さな凹凸形状に沿ってパッド8が変形するので、吸引口3aを腔壁により密着させることができる。
【0038】
また、上記実施形態においては、図5に示されるように、蛇腹部3の側壁に厚さ方向に貫通した側面孔(細孔)9が形成されていてもよい。側面孔9の数は、1つでもよく、複数でもよい。
このようにすることで、吸引手段を作動させたときに、吸引口3aが腔壁によって密閉されても、側面孔9を介して空気が蛇腹部3内に流入するので、蛇腹部3およびチューブ本体2の内部が過剰な減圧状態となることを防ぐことができる。さらに、蛇腹部3の外部に存在する体液も側面孔9から効率良く採取することができる。
【0039】
また、上記実施形態においては、図6に示されるように、チューブ本体2の先端部分に一方向に湾曲した曲がり癖が付けられていてもよく、図7に示されるように、チューブ本体2の先端に、基端側まで延びる操作ワイヤ(ワイヤ部材)10が接続されていてもよい。操作ワイヤ10が接続されている場合は、操作者が操作ワイヤ10を引っ張ることによりチューブ本体2の先端部分を一方向に湾曲させることができる。
このようにすることで、腔壁に吸引口3aを接触させるときに、吸引口3aを容易に腔壁の方向に向けて接近させることができ、操作をさらに容易にすることができる。
【0040】
また、上記実施形態においては、蛇腹部3およびチューブ本体2が外筒4内に長手方向に移動可能に挿入されていることとしたが、これに代えて、図8(a)に示されるように、蛇腹部3の一端が外筒4の先端に接続され、蛇腹部3の他端がチューブ本体2の先端に接続されて、蛇腹部3が中表の状態で外筒4内に収納されていてもよい。この場合、チューブ本体2を基端側で押すことにより、図8(b)に示されるように、蛇腹部3を、外筒4内では内側に向けられていた側の面を外側に露出させながら、外筒4の先端面の開口から出没させることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 採取チューブ
2 チューブ本体
3 蛇腹部(先端部、柔軟部)
3a 吸引口
3b 山部
3c 谷部
4 外筒(外筒部材)
5a 芯部材(重り)
6 通路
7 液溜め部
8 パッド
9 側面孔(細孔)
10 操作ワイヤ(ワイヤ部材)
A 液体(重り)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入可能な筒状の細長いチューブ本体と、
該チューブ本体の先端側に配置され、先端面に吸引口が開口した筒状の先端部と、
前記チューブ本体と前記先端部との間に接続され、前記先端面が腔壁から受けた力にならって湾曲可能かつ長手方向に伸縮可能な筒状の柔軟部とを備える採取チューブ。
【請求項2】
前記柔軟部は、側壁が長手方向に交互に山部と谷部とを有する蛇腹状に形成されている請求項1に記載の採取チューブ。
【請求項3】
前記柔軟部が、ポリウレタンまたはシリコーンからなる請求項1または請求項2に記載の採取チューブ。
【請求項4】
前記先端部の先端に、弾性材料からなる環状のパッド部材が設けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載の採取チューブ。
【請求項5】
前記チューブ本体、前記先端部および前記柔軟部が、内視鏡の挿入部に長手方向に貫通して形成されたチャネルの内径寸法よりも小さい外径寸法を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載の採取チューブ。
【請求項6】
前記柔軟部の互いに隣り合う前記山部の長手方向の間隔が、前記チューブ本体の外径寸法以下である請求項2に記載の採取チューブ。
【請求項7】
前記柔軟部の長手方向の寸法が、前記体腔の内径寸法より小さい請求項1から請求項6のいずれかに記載の採取チューブ。
【請求項8】
前記柔軟部を、その先端から出没可能に収納する外筒部材を備える請求項1から請求項7のいずれかに記載の採取チューブ。
【請求項9】
前記先端部が、前記柔軟部の剛性に抗して該柔軟部を重力により下向きにする重量を有する重りを備える請求項1から請求項8のいずれかに記載の採取チューブ。
【請求項10】
前記チューブ本体が、前記柔軟部の基端側に近接する部分において一方向に湾曲した形状に癖付けられている請求項1から請求項9のいずれかに記載の採取チューブ。
【請求項11】
前記チューブ本体の、前記柔軟部の基端側に近接する位置に接続され、前記チューブ本体の基端側まで延びるワイヤ部材を備える請求項1から請求項10のいずれかに記載の採取チューブ。
【請求項12】
前記先端部が、側壁に壁厚方向に貫通しその内部と外部とを連通させる細孔を有する請求項1から請求項11のいずれかに記載の採取チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−135350(P2012−135350A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288073(P2010−288073)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】