説明

採点システム、マークシート読取装置及び採点装置

【課題】マークをより正確に読み取り、読み取りから採点までに要する時間を低減させる。
【解決手段】採点システム1は、複数のマーク記入欄が設けられたマークシートを読み取って画像データに変換するマークシート読取部11と、変換された画像データに基づき、複数のマーク記入欄の濃度とマーク記入欄の濃度に対する複数の閾値とを比較し、比較結果に基づき所定のマーク記入欄に記入されたマークを認識し、複数の閾値を用いた際の認識結果を示す複数のマーク読取結果データを生成するマーク認識部12とを有するマークシート読取装置10と、記入されたマークの正解を示す正解データ及び複数のマーク読取結果データに基づき、複数のマーク読取結果データを採点し、採点結果に基づき最終的な採点結果を示す採点結果データを生成する採点部22とを有する採点装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採点システム、マークシート読取装置及び採点装置に関し、特に、試験等に用いられるマークシートの読み取り及び採点を行うシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、教育機関や試験機関等で実施されている各種筆記試験においては、解答毎に定められた解答用紙の所定位置を黒鉛筆等の筆記具で黒く塗りつぶして解答するマークシート方式を用いた選択式試験が広く採用されている。
【0003】
このようなマークシート方式による選択式試験を採点する場合には、例えば、特許文献1に記載されているように、マークシート読取装置で解答用紙に記入されたマーク(解答)を読み取り、解答データと正答データとを比較することにより、解答の正解/不正解を判定する。このとき、マークシート読取装置では、一般に、塗りつぶされたマークの濃度を測定し、このマークの濃度とマークの濃度に対して予め設定された閾値とを比較することによりマークの有無を検出する。
【0004】
ところで、1つの閾値を用いてマークの有無を検出する場合、マークシート読取装置がマークを誤検出する虞がある。例えば、マークの濃度は、解答者によって個人差があるため、閾値より低い濃度で塗りつぶされた場合には、マークを検出することができない。また、例えば、一度記入したマークを消した後に別のマークを記入した場合、マークを消した際の消し残り等をマークとして検出する虞がある。このように、従来のマークシート読取装置では、マークの不検出や誤検出により、正確にマークを読み取ることが困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、最近では、マークの濃度に対して複数の閾値を設定し、設定された閾値の数に応じて解答用紙を複数回読み取り、マークの不検出や誤検出を防止してマークを正確に読み取る方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2787823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来のマークシート読取装置では、設定された閾値の数に応じて解答用紙を複数回読み取るため、読み取り結果に差異が生じる場合が考えられる。読み取り結果の差異は、採点結果に大きく影響を与える可能性があるため、このような場合には、差異が生じた箇所に関して、採点者がマークの有無を最終的に判断する必要があるという問題があった。
【0008】
また、入学試験等においては、緊急性が高く、短時間且つ正確に採点結果を得る必要があるが、正確性を期するために解答用紙を複数回読み取り、マークの有無の最終判断を採点者が行う場合には、採点結果を得るのに時間を要するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、記入されたマークをより正確に読み取ることができると共に、マークシートの読み取りから採点までに要する時間を低減させることが可能な採点システム、マークシート読取装置及び採点装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、マークシートに設けられた複数のマーク記入欄の中から所定のマーク記入欄に記入されたマークを読み取り、読み取り結果に基づき採点を行う採点システムであって、複数のマーク記入欄が設けられたマークシートを光学的に読み取って画像データに変換するマークシート読取部と、変換された前記画像データ、及び前記マーク記入欄の濃度に対する複数の閾値を少なくとも含むマークシートに関する情報を示す帳票定義情報を記憶する第1の記憶部と、前記第1の記憶部に記憶された前記画像データに基づき、前記複数のマーク記入欄の濃度と前記複数の閾値とを比較し、該比較の結果に基づき、前記複数のマーク記入欄の中から所定のマーク記入欄に記入されたマークを認識し、前記複数の閾値の各々を用いた際の前記認識されたマークに関する情報を示す複数のマーク読取結果データを生成するマーク認識部とを有するマークシート読取装置と、前記記入されたマークの正解を示す正解データ及び前記複数のマーク読取結果データを記憶する第2の記憶部と、前記第2の記憶部に記憶された前記正解データ及び前記複数のマーク読取結果データに基づき、該複数のマーク読取結果データの各々を採点し、該複数のマーク読取結果データの採点結果に基づき、最終的な採点結果を示す採点結果データを生成する採点部とを有する採点装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明によれば、読み取ったマークシートに対応する画像データに含まれるマーク記入欄の濃度と、濃度に対して予め設定された複数の閾値とを比較することにより、記入されたマークの認識処理を行い、各々の閾値を用いた際のマーク認識処理結果を示す複数のマーク読取結果データを生成し、生成された複数のマーク読取結果データを各々採点し、これら複数のマーク読取結果データの採点結果に基づき、最終的な採点結果を取得するため、マーク記入欄に記入されたマークをより正確に読み取ることができる。
【0012】
上記採点システムにおいて、前記採点部は、前記複数のマーク読取結果データの採点結果に差異が生じた場合に、得点が高いデータを前記最終的な採点結果とすることができる。
【0013】
上記採点システムにおいて、前記採点部は、前記複数のマーク読取結果データの採点結果に差異が生じた場合に、該採点結果の差異を示す差分情報を生成することができる。これにより、採点結果に対する確証を得ることができる。
【0014】
上記採点システムにおいて、前記帳票定義情報は、前記マークシートにおける前記マーク記入欄の数及び位置情報を含み、前記マーク認識部は、前記帳票定義情報に含まれる前記マーク記入欄の数及び位置情報に基づき、変換された前記画像データから前記複数のマーク記入欄の位置及び濃度を検出することができる。これにより、マークの認識処理を確実に行うことができる。
【0015】
上記採点システムにおいて、前記帳票定義情報を、前記採点装置から供給して前記第1の記憶部に記憶することができる。これにより、マークシートに応じた帳票定義情報をマークシート読取装置に設定することができる。
【0016】
また、本発明は、マークシートに設けられた複数のマーク記入欄の中から所定のマーク記入欄に記入されたマークを読み取るマークシート読取装置であって、複数のマーク記入欄が設けられたマークシートを光学的に読み取って画像データに変換するマークシート読取部と、変換された前記画像データ、及び前記マーク記入欄の濃度に対する複数の閾値を少なくとも含むマークシートに関する情報を示す帳票定義情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記画像データに基づき、前記複数のマーク記入欄の濃度と前記複数の閾値とを比較し、該比較の結果に基づき、前記複数のマーク記入欄の中から所定のマーク記入欄に記入されたマークを認識し、前記複数の閾値の各々を用いた際の前記認識されたマークに関する情報を示す複数のマーク読取結果データを生成するマーク認識部とを備えることを特徴とする。本発明によれば、前記発明と同様に、マーク記入欄に記入されたマークをより正確に読み取ることができる。
【0017】
また、本発明は、複数のマーク記入欄が設けられたマークシートが変換された画像データに基づき、前記複数のマーク記入欄の濃度と、前記マーク記入欄の濃度に対する複数の閾値とを比較して得られる、前記複数のマーク記入欄の中から所定のマーク記入欄に記入されたマークの認識結果を示す複数のマーク読取結果データに基づき採点を行う採点装置であって、前記記入されたマークの正解を示す正解データ及び前記複数のマーク読取結果データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記正解データ及び前記複数のマーク読取結果データに基づき、該複数のマーク読取結果データの各々を採点し、該複数のマーク読取結果データの採点結果に基づき、最終的な採点結果を示す採点結果データを生成する採点部とを備えることを特徴とする。本発明によれば、複数のマーク読取結果データを各々採点し、これら複数のマーク読取結果データの採点結果に基づき、最終的な採点結果を取得するため、より正確な採点結果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、マークをより正確に読み取ることができると共に、マークシートの読み取りから採点までに要する時間を低減させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる採点システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】マークシートの一例を示す略線図である。
【図3】マーク読取結果データについて説明するための略線図であり、(a)はデータ形式、(b)は閾値Xを用いた場合のマーク読取結果データa、(c)は、閾値Yを用いた場合のマーク読取結果データbの一例を示す図である。
【図4】正解データの一例を示す略線図である。
【図5】採点結果データの一例を示す略線図である。
【図6】データ差分リストの一例を示す略線図である。
【図7】マークシート読取装置によるマークシートの読み取り処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
【図8】採点装置による採点処理の流れについて説明するためのフローチャートである。
【図9】本実施の形態によるマークシート読取装置を用いたマーク認識処理に要する時間について説明するためのタイムチャートである。
【図10】従来のマークシート読取装置を用いたマーク認識処理に要する時間について説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明にかかる採点システムの一実施の形態を示し、採点システム1は、マークシート読取装置10及び採点装置20で構成され、複数のマークシート30、30、・・・に記入されたマークをマークシート読取装置10で認識し、認識結果に基づいて採点装置20で採点を行う。
【0022】
マークシート30、30、・・・は、図2に示すように、例えば試験用の解答用紙であり、複数の解答欄と、各解答欄に対して選択肢としての複数のマーク記入欄とが設けられる。この例では、5つの解答欄A〜Eが設けられ、各解答欄に対してマーク記入欄「1」〜「4」が設けられる。解答者は、この解答欄に設けられたマーク記入欄「1」〜「4」のうちいずれかを選択し、黒鉛筆等の筆記具で黒く塗りつぶすことにより解答を行う(以下、塗りつぶされたマーク記入欄を「選択肢マーク」とする)。
【0023】
説明は図1に戻り、マークシート読取装置10は、大別して、マークシート読取部11、マーク認識部12、記憶部13及びデータ送受信部14を備える。マークシート読取部11は、例えばスキャナであり、マークシート30全体を光学的に読み取り、読み取ったマークシート30を光電変換により所定の階調のグレースケール画像データに変換する。この例では、読み取ったマークシートを16階調のグレースケール画像データに変換する。変換されたグレースケール画像データは、後述する記憶部13に格納される。
【0024】
マーク認識部12は、マークシート読取部11で変換されたグレースケール画像データに基づき、マークシート30の各解答欄について、解答欄毎に設けられた複数のマーク記入欄の濃度を各々検出する。
そして、検出されたマーク記入欄の濃度と、マーク記入欄の濃度に対して予め設定された閾値とを比較し、例えば、マーク記入欄の濃度が閾値を超えた場合には、このマーク記入欄が選択肢マークであると判断し、マーク記入欄の濃度が閾値以下である場合には、このマーク記入欄が選択肢マークではないと判断する。
【0025】
マーク認識部12は、このようにして得られた判断結果に基づき、各解答欄における選択肢マークの有無を認識し、認識された選択肢マークに関する情報を示すマーク読取結果データを生成する。生成されたマーク読取結果データは、記憶部13に格納される。マーク読取結果データの詳細については、後述する。
【0026】
ここで、本実施の形態においては、マーク記入欄の濃度に対して設定される閾値として、複数の閾値を設定する。これにより、例えば、マーク記入欄を塗りつぶした際に、選択肢マークの濃度に個人差が生じることにより選択肢マークを認識できないことや、選択肢マークを変更した際の消し跡が選択肢マークとして誤って認識されてしまうことを防止することができ、選択肢マークをより正確に認識することができる。この例では、閾値として2つの閾値X及びYを設定する。
【0027】
マーク記入欄の濃度は、グレースケール画像データにおけるマーク記入欄の位置に対応する画素の濃度に基づき検出することができる。画素の濃度は、グレースケール画像データの階調数に応じて段階的に表すことができ、この例では、グレースケール画像の階調数が16階調であるため、画素の濃度は、値が「0」から「15」までの16段階で表すことができる。本実施の形態において、画素の濃度は、値「0」の場合に濃度が最も低く、値「15」の場合に濃度が最も濃いものと規定する。すなわち、このように濃度が規定された画素においては、値が小さいほど「白色」に近く、値が大きいほど「黒色」に近くなるものとする。
【0028】
マーク記入欄の位置に対応する画素数は、マークシート読取部11の解像度に応じて異なり、解像度によっては複数の画素がマーク記入欄に対応することが考えられる。そのため、マーク認識部12は、例えば、マーク記入欄の位置に対応する複数の画素を検出し、検出された複数の画素の濃度の平均値を演算することによって得られる値をマーク記入欄の濃度とする。
【0029】
尚、選択肢マークの有無の認識結果を示すマーク読取結果データは、選択肢マークの有無を認識する際に用いられる閾値毎に生成される。この例では、2つの閾値X及びYを用いて選択肢マークの有無を認識するので、1つのマークシート30について、各閾値X及びYとの比較結果に応じた2つのマーク読取結果データa及びbが生成される。
【0030】
記憶部13は、例えばメモリであり、後述する採点装置20から受信した帳票定義情報と、マークシート読取部11から出力されるグレースケール画像データと、マーク認識部12から出力されるマーク読取結果データとを格納する。
【0031】
帳票定義情報は、読み取りを行うマークシート30に関する情報であり、例えば、マークシート30に設けられた解答欄の数及びその位置を示す情報と、解答欄毎に設けられたマーク記入欄の数及びその位置を示す情報と、上述したマーク記入欄の濃度に対して設定される複数の閾値とを含む情報である。
【0032】
マーク読取結果データは、上述したように認識された選択肢マークに関する情報を示し、マーク認識部12で選択肢マークの有無を認識する際に用いられた閾値毎に生成された、選択肢マークの有無の認識結果を示すデータである。マーク読取結果データには、例えば、図3(a)に示すように、項目「一連番号」、「閾値」及び「マークデータ」が記述される。
【0033】
項目「一連番号」は、マークシート読取部11により読み取られた各マークシート30を識別するための識別番号を示す。項目「一連番号」には、マークシート30を読み取った際に割り当てられた、読み取りの順序に従って連続する一連の番号が記述される。尚、項目「一連番号」は、これに限られず、例えば、各マークシート30に対して予め識別番号を印字しておき、マークシート読取部11を用いてマークシート30を読み取る際に印字された文字(識別番号)を認識し、認識した番号を記述してもよい。
【0034】
項目「閾値」は、選択肢マークの有無を認識する際に用いられた閾値を示し、具体的には、例えば、閾値として予め設定された値が記述される。
【0035】
項目「マークデータ」は、マークシート30に設けられた解答欄において認識された選択肢マークの有無を示す情報が解答欄毎に記述される。例えば、選択肢マークが存在すると認識された解答欄の項目には、選択肢マークとして認識されたマーク記入欄の番号が記述され、選択肢マークが存在しないと認識された解答欄の項目には、選択肢マークが存在しないことを示す情報が記述される。また、所定の解答欄について、複数の選択肢マークが存在すると認識された場合には、例えば、選択肢マークが重複して記入されたことを示す情報が記述される。
【0036】
説明は図1に戻り、データ送受信部14は、接続された採点装置20の後述するデータ送受信部21との通信を、所定のプロトコルに従い制御する。データ送受信部14は、記憶部13から読み出したマーク読取結果データを採点装置20に送信する。また、データ送受信部14は、採点装置20からデータ送受信部21を介して帳票定義情報を受信し、記憶部13に供給する。
【0037】
採点装置20は、大別して、データ送受信部21、採点部22及び記憶部23を備える。データ送受信部21は、接続されたマークシート読取装置10のデータ送受信部14との通信を、所定のプロトコルに従い制御する。データ送受信部21は、後述する記憶部23から読み出した帳票定義情報をマークシート読取装置10に送信する。また、データ送受信部21は、マークシート読取装置10からデータ送受信部14を介してマーク読取結果データを受信し、記憶部23に供給する。
【0038】
採点部22は、後述する記憶部23に格納された正解データを参照し、マークシート読取装置10から受信したマーク読取結果データの採点を行う。採点は、例えば、マーク読取結果データにおける所定の解答欄に記述されたマーク記入欄(選択肢マーク)の番号と、正解データにおける対応する解答欄に記述されたマーク記入欄(選択肢マーク)の番号とを比較することにより行う。比較の結果、2つの番号が同一である場合には、正解であると判断し、2つの番号が異なる場合には、不正解であると判断する。
【0039】
また、採点部22は、マーク読取結果データに記述された一連番号に基づき、同一の一連番号が記述された複数のマーク読取結果データについて、マーク読取結果データ毎に採点を行う。そして、同一の一連番号が記述されたすべてのマーク読取結果データについての採点結果に基づき、最終的な採点結果を示す採点結果データを生成し、記憶部23に格納する。
【0040】
ここで、採点部22は、同一の一連番号が記述されたすべてのマーク読取結果データについて採点を行った結果、互いに対応する解答欄について、採点結果に差異が生じた場合には、所定の要領に従っていずれか一方の採点結果を最終的な採点結果として採用する。例えば、一方の採点結果が正解であり、他方の採点結果が不正解である場合には、正解となった採点結果を採用すると好ましい。
【0041】
このように採点結果に差異が生じた場合、採点部22は、差異に関する情報を示すデータ差分リストを生成し、記憶部23に格納する。尚、正解データ、採点結果データ及びデータ差分リストの詳細については、後述する。
【0042】
記憶部23は、例えばメモリであり、マークシート読取装置10に対して送信するための帳票定義情報と、採点部22で採点処理を行う際に参照される正解データと、採点部22の採点処理によって出力される採点結果データ及びデータ差分リストとを格納する。
【0043】
帳票定義情報は、採点を行うマークシート30に関する情報であり、上述したように、例えば、マークシート30に設けられた解答欄の数及びその位置を示す情報と、解答欄毎に設けられたマーク記入欄の数及びその位置を示す情報と、マーク記入欄の濃度に対する複数の閾値とを含む情報である。この帳票定義情報は、採点システム1においてマークシート30の読み取り処理及び採点処理を行う前に予め設定され、問題の内容等に応じて各種設定を変更することができる。
【0044】
正解データは、図4に示すように、解答欄毎に、正解である選択肢マークの番号が記述される。この例では、解答欄として解答欄A〜Eが設けられるため、解答欄A〜Eに対して正解となる選択肢マークの番号が記述される。この正解データは、採点システム1においてマークシート30の読み取り処理及び採点処理を行う前に予め設定され、帳票定義情報と同様に、問題の内容等に応じて変更することができる。
【0045】
採点結果データは、同一の一連番号を有する複数のマーク読取結果データ毎の採点結果を示すデータである。採点結果データには、例えば、図5に示すように、項目「一連番号」、「正誤」及び「得点」が記述される。項目「一連番号」は、採点を行うマーク読取結果データの項目「一連番号」に記述された番号と同一の番号が記述される。
【0046】
項目「正誤」は、採点を行うマーク読取結果データの項目「マークデータ」の各解答欄に記述されたマーク記入欄(選択肢マーク)の番号と、正解データの対応する各解答欄に記述されたマーク記入欄(選択肢マーク)の番号との比較結果が記述される。例えば、上述した2つの番号が一致する場合には、「○」が記述され、一致しない場合には、「×」が記述される。
【0047】
項目「得点」は、各解答欄に対する採点結果に基づく得点と、すべての解答欄に対する得点の合計とが記述される。図5には、各解答欄の結果に対する配点が各々20点である場合が例示され、項目「正誤」において「○」が記述された解答欄の得点が20点となり、「×」が記述された解答欄の得点が0点となる。
【0048】
また、採点結果データには、同一の一連番号を有する複数のマーク読取結果データの採点結果に基づき得られる最終的な採点結果が記述される。例えば、複数のマーク読取結果データにおける同一の解答欄に記述された得点が同一の場合、最終的な採点結果における対応する解答欄には、その得点がそのまま記述される。また、得点に差異が生じた場合、最終的な採点結果における対応する解答欄には、得点の高い方を採用する等の所定の要領により、いずれかの得点が選択されて記述される。
【0049】
図5には、マーク認識部12において閾値Xを用いた場合のマーク読取結果データaに対する採点結果を示す採点結果αと、閾値Yを用いた場合のマーク読取結果データbに対する採点結果を示す採点結果βと、採点結果α及びβに基づき得られる最終的な採点結果が例示されている。
【0050】
データ差分リストは、採点結果データの解答欄毎に生じた差異に関する情報を示し、採点結果に対する確証として用いられる。データ差分リストは、例えば、図6に示すように、項目「一連番号」、「解答欄」及び「正誤」が記述される。項目「一連番号」は、解答欄毎に差異が生じた採点結果データの項目「一連番号」に記述された番号が記述される。項目「解答欄」は、採点結果データにおいて差異が生じた解答欄が記述される。
【0051】
項目「正誤」は、項目「解答欄」に示された差異が生じた解答欄の採点結果が、マーク認識部12でマーク読取結果データを生成する際に用いた閾値毎に記述される。この例では、2つの閾値X及びYを用いて生成されたマーク読取結果データa及びbにおいて差異が生じた解答欄の採点結果が記述される。
【0052】
次に、上記構成を有する採点システム1の動作について説明する。まず、マークシート読取装置10によるマークシート30の読み取り処理の流れについて、図7を参照して説明する。この読み取り処理では、まず、採点装置20から送信された、マーク記入欄の濃度に対する複数の閾値X及びYを含む帳票定義情報がデータ送受信部14によって受信され、記憶部13に格納される(ステップS1)。
【0053】
マークシート読取装置10に対してマークシート30がセットされ、マークシート30の読み取り処理の準備が完了すると、マークシート読取部11においてマークシート30の読み取りが開始され、光電変換によりマークシート30全体がグレースケール画像データに変換される(ステップS2)。変換されたグレースケール画像データは、記憶部13に供給されて保存される(ステップS3)。
【0054】
次に、マーク認識部12によるマーク認識処理が行われ、閾値の設定数だけマーク認識処理が行われたか否かが判断される(ステップS4)。この例では、記憶部13に格納された帳票定義情報に含まれる閾値として2つの閾値X及びYが設定されるので、閾値の設定数は、「2」となる。ステップS4において、閾値の設定数だけマーク認識処理が行われていないと判断された場合には、マーク認識部12において所定の閾値を用いたマーク認識処理が行われる(ステップS5)。
【0055】
マーク認識処理において、マーク認識部12は、記憶部13に格納された帳票定義情報を読み出し、マークシート30の解答欄の数及び位置情報、並びに解答欄毎に設けられたマーク記入欄の数及び位置情報を参照すると共に、記憶部13からグレースケール画像データを読み出す。次に、マーク認識部12は、マーク記入欄の数及び位置情報に基づき、グレースケール画像データにおける各マーク記入欄の濃度を検出し、検出されたマーク記入欄の濃度と帳票定義情報に含まれる閾値とを比較する。そして、比較結果に基づき各解答欄における選択肢マークの有無を認識し、マーク読取結果データを生成する。このようにして生成されたマーク読取結果データは、記憶部13に格納される(ステップS6)。
【0056】
次に、処理がステップS4に戻り、設定されたすべての閾値を用いたマーク認識処理が終了するまで、ステップS4〜S6までの処理が繰り返される。
【0057】
一方、ステップS4において、閾値の設定数だけマーク認識処理が行われたと判断された場合には、データ送受信部14において記憶部13からマーク読取結果データが読み出され、採点装置20に対して送信される(ステップS7)。
【0058】
次に、読み取り対象となる次のマークシート30が存在するか否かが判断される(ステップS8)。次のマークシート30が存在すると判断された場合には、処理がステップS2に戻り、上述の処理が繰り返される。また、次のマークシート30が存在しないと判断された場合には、一連の読み取り処理が終了する。
【0059】
この例では、帳票定義情報に含まれる閾値として2つの閾値X及びYが設定されているため、まず、ステップS5において閾値Xを用いたマーク認識処理が行われ、ステップS6においてマーク読取結果データaが生成される。次いで、同様に、ステップS5において閾値Yを用いたマーク認識処理が行われ、ステップS6においてマーク読取結果データbが生成される。そして、生成されたマーク読取結果データa及びbが採点装置20に送信される。
【0060】
次に、採点装置20による採点処理の流れについて、図8を参照して説明する。この採点処理では、まず、マークシート読取装置10から送信されたマーク読取結果データがデータ送受信部21によって受信され、記憶部23に格納される(ステップS11)。
【0061】
マークシート読取装置10から送信されたすべてのマーク読取結果データが受信されたか否かが判断される(ステップS12)。すべてのマーク読取結果データが受信されていない場合には、すべてのマーク読取結果データが受信されるまで、ステップS11の処理を繰り返す。一方、すべてのマーク読取結果データが受信された場合には、採点部22により記憶部23に格納された正解データが読み出される(ステップS13)。
【0062】
次に、受信されたマーク読取結果データのうち、採点処理が行われていない未採点のデータが存在するか否かが判断される(ステップS14)。未採点データが存在すると判断された場合には、未採点のマーク読取結果データが記憶部23から読み出され、採点処理が行われる(ステップS15、S16)。
【0063】
採点処理において、採点部22は、記憶部23から読み出した正解データ及びマーク読取結果データの各解答欄に記述されたマーク記入欄(選択肢マーク)の番号を比較し、比較の結果、2つの番号が同一である場合には、正解であると判断し、2つの番号が異なる場合には、不正解であると判断する。
【0064】
次に、マーク読取結果データに記述された一連番号に基づき、同一の一連番号を有する他のマーク読取結果データに対する採点処理が既に行われたか否かが判断される(ステップS17)。同一の一連番号を有するマーク読取結果データがまだ採点されていないと判断された場合には、処理がステップS14に戻り、未採点のマーク読取結果データの有無が判断される。
【0065】
一方、同一の一連番号を有するマーク読取結果データが既に採点されたと判断された場合には、同一の一連番号を有する複数のマーク読取結果データの互いに対応する解答欄について、採点結果に差異が存在するか否かが判断される(ステップS18)。採点結果に差異が存在しないと判断された場合には、処理がステップS14に戻り、未採点のマーク読取結果データの有無が判断される。
【0066】
採点結果に差異が存在すると判断された場合には、差異が存在した解答欄の採点結果として、いずれかが選択される。この例では、得点の高い方を採点結果として採用し、最終的な採点結果として採点結果データが生成される(ステップS19)。そして、差異が存在した解答欄に関する情報がデータ差分リストに追加し、処理がステップS14に戻る(ステップS20)。
【0067】
以下、ステップS14からステップS20までの処理がすべてのマーク読取結果データについて行われ、ステップS14において、未採点のデータが存在しないと判断された場合には、採点結果データ及びデータ差分リストが出力されて記憶部23に格納され、一連の採点処理が終了する(ステップS21)。
【0068】
この例では、同一の一連番号を有するマーク読取結果データとして、2つの閾値X及びYを用いたマーク読取結果データa及びbが存在するため、まず、ステップS16において、マーク読取結果データaの採点が行われる。次いで、ステップS17において、同一の一連番号を有するマーク読取結果データbが採点されていないと判断され、処理がステップS14に戻り、再度ステップS16において、マーク読取結果データbの採点が行われる。そして、ステップS17において、同一の一連番号を有するマーク読取結果データが採点されたと判断され、ステップS19において、最終的な採点結果を示す採点結果データが生成される。さらに、ステップS20において、採点結果に差異が生じた解答欄に関する情報がデータ差分リストに追加される。
【0069】
次に、図7及び図8に示す読み取り処理及び採点処理について、図2に示すマークシート30を読み取る場合を例にとって、具体的に説明する。図2に示すマークシート30では、解答欄A〜Eに設けられた各々のマーク記入欄のうち、解答欄Aのマーク記入欄「1」、解答欄Bのマーク記入欄「2」及び「3」、解答欄Cのマーク記入欄「4」、解答欄Dのマーク記入欄「4」、解答欄Eのマーク記入欄「1」が選択肢マークとして記入されている。
【0070】
ここで、マークシート30が変換されたグレースケール画像データの階調数を16階調として、マーク記入欄の濃度が「0」〜「15」の16段階で表されるものとし、各解答欄A〜Eにおける選択肢マークの濃度は、解答欄Aのマーク記入欄「1」が濃度「10」、解答欄Bのマーク記入欄「2」及び「3」が濃度「10」及び濃度「7」、解答欄Cのマーク記入欄「4」が濃度「10」、解答欄Dのマーク記入欄「4」が濃度「6」、解答欄Eのマーク記入欄「1」が濃度「5」であるものとする。
【0071】
このようなマークシート30に対して閾値X及びYを用いてマーク認識処理を行った場合、閾値X及びYの値を各々「8」及び「4」とすると、図3(b)及び(c)に示すマーク読取結果データが生成される。
【0072】
図3(b)は、閾値Xを用いた際に生成されたマーク読取結果データaを示す。閾値Xを用いた場合、値が「8」であるため、濃度が「8」を超えるマーク記入欄が選択肢マークとして認識される。そのため、各解答欄A〜Eに記入された選択肢マークのうち、濃度が「8」以下である解答欄Bのマーク記入欄「3」、解答欄Dのマーク記入欄「4」及び解答欄Eのマーク記入欄「1」は、選択肢マークとして認識されない。
【0073】
従って、マーク読取結果データaにおいて、解答欄A〜Eで認識された選択肢マークは、「1」、「2」、「4」、「なし」、「なし」となり、これらの認識結果に対応する情報が項目「マークデータ」の対応する解答欄項目に記述される。尚、図3(b)の解答欄D及びEに記述される「△」は、選択肢マークが認識されなかったことを示す。
【0074】
図3(c)は、閾値Yを用いた際に生成されたマーク読取結果データbを示す。閾値Yを用いた場合、値が「4」であるため、濃度が「4」を超えるマーク記入欄が選択肢マークとして認識される。この例では、各解答欄A〜Eに記入されたすべての選択肢マークの濃度が「4」を超えるため、すべての選択肢マークが認識される。
【0075】
従って、マーク読取結果データbにおいて、解答欄A〜Eで認識された選択肢マークは、「1」、「2及び3」、「4」、「4」、「1」となり、これらの認識結果に対応する情報が項目「マークデータ」の対応する解答欄の項目に記述される。尚、図3(c)の解答欄Bに記述される「*」は、選択肢マークが重複して認識されたことを示す。
【0076】
次に、このようにして生成されたマーク読取結果データa及びbについて、図4に示す正解データを参照して採点を行い、得られたマーク読取結果データa及びbに基づき、図5に示すように、最終的な採点結果を示す採点結果データを生成する。尚、図5において、「採点α」及び「採点β」の行は、マーク読取結果データa及びbの採点結果を示し、「採点結果」の行は、最終的な採点結果を示す。
【0077】
図3(b)に示すマーク読取結果データaでは、解答欄A〜Cに記述された選択肢マークが正解データの選択肢マークと同一であるため、正解と判断される。一方、解答欄D及びEは、選択肢マークが認識されなかったため、不正解と判断される。
【0078】
従って、図5の「採点α」の行における項目「正誤」の各解答欄のうち、正解と判断された解答欄A〜Cに「○」が記述され、不正解と判断された解答欄D及びEに「×」が記述される。また、項目「得点」の各解答欄には、予め設定された配点に応じた得点が記述される。この例では、配点が各20点であるので、正解である解答欄A〜Cに得点「20」が記述され、不正解である解答欄D及びEに得点「0」が記述される。これにより、項目「得点」の合計欄には、得点「60」が記述される。
【0079】
同様に、図3(c)に示すマーク読取結果データbでは、解答欄A、C〜Eに記述された選択肢マークが正解データの選択肢マークと同一であるため、正解と判断される。一方、解答欄Bは、選択肢マークが重複して認識されたため、不正解と判断される。
【0080】
従って、図5の「採点β」の行における項目「正誤」の各解答欄のうち、正解と判断された解答欄A、C〜Eに「○」が記述され、不正解と判断された解答欄Bに「×」が記述される。また、項目「得点」の各解答欄のうち、正解である解答欄A、C〜Eに得点「20」が記述され、不正解である解答欄Bに得点「0」が記述される。これにより、項目「得点」の合計欄には、得点「80」が記述される。
【0081】
次に、このようにして得られた「採点α」及び「採点β」の各解答欄A〜Eにおいて、採点結果に差異が生じたか否かを判断し、差異の有無に応じた最終的な採点結果を得る。
【0082】
図5では、「採点α」及び「採点β」における解答欄A及びCの採点結果に差異が生じないため、「採点α」及び「採点β」に記述された採点結果が最終的な採点結果となる。一方、「採点α」及び「採点β」における解答欄B、D及びEの採点結果には、差異が生じるため、2つの採点結果のうちいずれか一方の採点結果を採用する。この例では、得点の高い方を最終的な採点結果として採用するため、解答欄Bの採点結果として「採点α」に記述された採点結果を採用し、解答欄D及びEの採点結果として「採点β」に記述された採点結果を採用する。
【0083】
従って、最終的な採点結果を示す「採点結果」の行においては、項目「正誤」の各解答欄A〜Eに「○」が記述される。また、項目「得点」の各解答欄A〜Eに得点「20」が記述され、合計欄に得点「100」が記述される。
【0084】
採点結果に差異が生じた場合には、図6に示すデータ差分リストを生成する。この例では、解答欄B、D及びEの採点結果に差異が生じるため、これらの解答欄B、D及びEに関する採点結果を示す情報を、データ差分リストに追加する。
【0085】
次に、マークシート読取装置10を用いてマークシート30のマークを認識する処理を行う際に要する時間について、図9及び図10に示すタイムチャートを参照して説明する。本実施の形態では、複数枚からなるマークシート30の束が作業者によってマークシート読取装置10に積み込まれ、積み込まれたマークシート30の束に対して選択肢マークを認識するマーク認識処理が行われる。そして、マーク認識処理が終了した時点で作業者によりマークシート30の束が回収される。
【0086】
ここでは、2束のマークシート30についてマーク認識処理を行う場合を例にとり、1つ目の束の積み込みから2つ目の束の回収までに要する時間について説明する。尚、この例では、2つの閾値X及びYを用いてマーク認識処理を行うものとする。
【0087】
まず、図9に示すように、作業者により1つ目のマークシート30の束がマークシート読取装置10に積み込まれると、積み込まれたマークシート30の束に対してマーク認識処理が行われる。この例では、2つの閾値X及びYを用いるため、1つのマークシート30に対してマーク認識処理が2回行われる。1つ目の束のすべてのマークシート30についてマーク認識処理が終了すると、作業者によって1つ目のマークシート30の束が回収される。
【0088】
次に、2つ目のマークシート30の束がマークシート読取装置10に積み込まれ、同様にして積み込まれたマークシート30の束に対してマーク認識処理が行われる。そして、2つ目の束のすべてのマークシート30についてマーク認識処理が終了すると、作業者によって2つ目のマークシート30の束が回収される。
【0089】
ここで、作業者によるマークシート30の束の積み込み作業及び/又は回収作業に要する時間を30秒とし、1つの閾値を用いてマークシート30の束に対するマーク認識処理に要する時間を120秒とした場合、この例では、2つの閾値X及びYを用いてマーク認識処理を行うため、マークシート30の束に対するマーク認識処理に要する時間は、「120秒×2=240秒」となる。
【0090】
また、2束のマークシート30に対するマーク認識処理を行うためには、2回のマークシート30の束の積み込み作業及び回収作業と、2回のマーク認識処理が行われる。従って、1つ目のマークシート30の束の積み込みから2つ目のマークシート30の束の回収までに要する時間は、600秒となる。
【0091】
一方、マーク認識処理を行う際に1つの閾値を用いる従来のマークシート読取装置を用いて、本実施の形態と同様に2つの閾値X及びYを用いてマーク認識処理を行う場合には、1つ目の閾値Xを用いてマークシート30の束に対してマーク認識処理を行った後、閾値を2つ目の設定である閾値Yに変更して再度マーク認識処理を行う必要がある。
【0092】
すなわち、従来のマークシート読取装置では、図10に示すように、まず、マークシート30の束を積み込み、1つ目の閾値Xを用いてマーク認識処理を行った後、マークシート30の束を回収する。そして、回収したマークシート30の束をマークシート読取装置に再度積み込み、閾値を2つ目の閾値Yに変更してマーク認識処理を行い、処理終了後にマークシート30の束を回収する。
【0093】
従って、従来のマークシート読取装置を用いた場合には、1束のマークシート30に対して2つの閾値を用いてマーク認識処理を行うのに、2回のマークシート30の束の積み込み作業及び回収作業が必要となる。そのため、1つ目のマークシート30の束の積み込みから2つ目のマークシート30の束の回収までに要する時間は、720秒となる。
【0094】
このように、本実施の形態によるマークシート読取装置10を用いて2束のマークシート30に対するマーク認識処理を行った場合には、従来のマークシート読取装置を用いた場合と比較して、120秒だけ時間を短縮することができる。
【0095】
従来のマークシート読取装置では、1束のマークシート30に対してマーク認識処理を行う際のマークシート30の束の積み込み作業及び回収作業が2回必要となるのに対して、本実施の形態によるマークシート読取装置10では、1束のマークシート30に対するマーク認識処理を行う際のマークシート30の束の積み込み作業及び回収作業が1回である。そのため、本実施の形態では、マーク認識処理を行うマークシート30の束が増加するに従って、従来と比較して1回分の積み込み及び回収作業に要する時間を短縮することができる。
【0096】
以上のように、本実施の形態によれば、読み取ったマークシートに対応する画像データに含まれるマーク記入欄の濃度と、濃度に対して予め設定された複数の閾値とを比較することにより、塗りつぶされた選択肢マークの認識処理を行い、各々の閾値を用いた際のマーク認識処理結果を示す複数のマーク読取結果データを生成し、生成された複数のマーク読取結果データを各々採点し、これら複数のマーク読取結果データの採点結果に基づき、最終的な採点結果を取得するため、マーク記入欄に記入されたマークをより正確に読み取ることができる。
【0097】
また、複数の閾値を用いてマーク認識処理を行う際に、マークシート読取装置に対するマークシートの積み込み作業及び回収作業が1回で済むため、マークシートの読み取りから採点までの一連の処理に要する時間を低減させることができる。
【0098】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は、上述した本発明の一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。上述の例では、マーク記入欄の濃度に対する閾値として2つの閾値を用いた場合について説明したが、これに限られず、例えば3つ以上の閾値を用いてもよい。
【0099】
また、上述の例では、マークシート読取装置及び採点装置が別体で構成されるように説明したが、これに限られず、マークシート読取装置及び採点装置が一体的に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 採点システム
10 マークシート読取装置
11 マークシート読取部
12 マーク認識部
13 記憶部
14 データ送受信部
20 採点装置
21 データ送受信部
22 採点部
23 記憶部
30 マークシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マークシートに設けられた複数のマーク記入欄の中から所定のマーク記入欄に記入されたマークを読み取り、読み取り結果に基づき採点を行う採点システムであって、
複数のマーク記入欄が設けられたマークシートを光学的に読み取って画像データに変換するマークシート読取部と、
変換された前記画像データ、及び前記マーク記入欄の濃度に対する複数の閾値を少なくとも含むマークシートに関する情報を示す帳票定義情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記画像データに基づき、前記複数のマーク記入欄の濃度と前記複数の閾値とを比較し、該比較の結果に基づき、前記複数のマーク記入欄の中から所定のマーク記入欄に記入されたマークを認識し、前記複数の閾値の各々を用いた際の前記認識されたマークに関する情報を示す複数のマーク読取結果データを生成するマーク認識部とを有するマークシート読取装置と、
前記記入されたマークの正解を示す正解データ及び前記複数のマーク読取結果データを記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された前記正解データ及び前記複数のマーク読取結果データに基づき、該複数のマーク読取結果データの各々を採点し、該複数のマーク読取結果データの採点結果に基づき、最終的な採点結果を示す採点結果データを生成する採点部とを有する採点装置とを備えることを特徴とする採点システム。
【請求項2】
前記採点部は、前記複数のマーク読取結果データの採点結果に差異が生じた場合に、得点が高いデータを前記最終的な採点結果とすることを特徴とする請求項1に記載の採点システム。
【請求項3】
前記採点部は、前記複数のマーク読取結果データの採点結果に差異が生じた場合に、該採点結果の差異を示す差分情報を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の採点システム。
【請求項4】
前記帳票定義情報は、前記マークシートにおける前記マーク記入欄の数及び位置情報を含み、
前記マーク認識部は、前記帳票定義情報に含まれる前記マーク記入欄の数及び位置情報に基づき、変換された前記画像データから前記複数のマーク記入欄の位置及び濃度を検出することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の採点システム。
【請求項5】
前記帳票定義情報は、前記採点装置から供給されて前記第1の記憶部に記憶されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の採点システム。
【請求項6】
マークシートに設けられた複数のマーク記入欄の中から所定のマーク記入欄に記入されたマークを読み取るマークシート読取装置であって、
複数のマーク記入欄が設けられたマークシートを光学的に読み取って画像データに変換するマークシート読取部と、
変換された前記画像データ、及び前記マーク記入欄の濃度に対する複数の閾値を少なくとも含むマークシートに関する情報を示す帳票定義情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記画像データに基づき、前記複数のマーク記入欄の濃度と前記複数の閾値とを比較し、該比較の結果に基づき、前記複数のマーク記入欄の中から所定のマーク記入欄に記入されたマークを認識し、前記複数の閾値の各々を用いた際の前記認識されたマークに関する情報を示す複数のマーク読取結果データを生成するマーク認識部とを備えることを特徴とするマークシート読取装置。
【請求項7】
複数のマーク記入欄が設けられたマークシートが変換された画像データに基づき、前記複数のマーク記入欄の濃度と、前記マーク記入欄の濃度に対する複数の閾値とを比較して得られる、前記複数のマーク記入欄の中から所定のマーク記入欄に記入されたマークの認識結果を示す複数のマーク読取結果データに基づき採点を行う採点装置であって、
前記記入されたマークの正解を示す正解データ及び前記複数のマーク読取結果データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記正解データ及び前記複数のマーク読取結果データに基づき、該複数のマーク読取結果データの各々を採点し、該複数のマーク読取結果データの採点結果に基づき、最終的な採点結果を示す採点結果データを生成する採点部とを備えることを特徴とする採点装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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