説明

採血器具支持台

【課題】採血器具を確実に支持して、当該採血器具が採血を確実に行うことができる採血器具支持台を提供すること。
【解決手段】採血器具支持台100は、一端に採血針が接続されたチューブ97と、チューブ97から分岐コネクタ92を介して分岐したチューブ91と、チューブ91に設けられ、血液を収容するバッグ20とを有する採血器具1を支持するものである。この採血器具支持台100は、分岐コネクタ92が装着される固定部140a、140bを有する主台110と、主台110を支持する支持手段130とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血器具支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、血液を採取するには、チューブを介して、採血針から血液バッグ(採血バッグ)に血液を採取する採血器具を用いる。この採血器具としては、例えば特許文献1に記載された採血器具(採血用器具)が知られている。
【0003】
この採血器具は、前記特許文献1の図1等に示されているように、採血バッグ10と、採血針152と、これらに接続されたチューブ15とを有している。チューブ15の途中には、分岐コネクタ92が設けられ、分岐コネクタ92には、チューブ91の一端が接続されている。チューブ91の他端には、血液(採血初流)を一時的に収納する初流バッグ20が接続されている。なお、ここでの符号は、特許文献1における符号である。
【0004】
この採血器具を使用するときには、例えば粘着テープを用いて、採血針152側のチューブ15を被採血者の採血部付近(例えば腕等)に貼付(固定)していた。
【0005】
しかしながら、前述の固定方法のみでは、採血器具に対する固定力(支持力)が弱いため、被採血者に穿刺した採血針152が振れてしまい、この振れにより、採血が困難となる場合があった。また、例えばチューブ15、91に不本意に引張力が加わり、前記粘着テープが剥離して、採血針152が採血部から抜去してしまう可能性がある。
【0006】
【特許文献1】特開2001−17539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、採血器具を確実に支持して、当該採血器具が採血を確実に行うことができる採血器具支持台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(7)の本発明により達成される。
(1) 一端に採血針が接続された第1のチューブと、前記第1のチューブから分岐部を介して分岐した第2のチューブと、前記第2のチューブに設けられ、血液を収容するバッグとを有する採血器具を支持する採血器具支持台であって、
前記分岐部が装着される固定部を有する主台と、
前記主台を支持する支持手段とを備えていることを特徴とする採血器具支持台。
【0009】
(2) 第1のチューブの他端に採血バッグが接続されており、
前記第1のチューブの前記分岐部と前記採血バッグとの間に、破断すると遮断状態の前記第1のチューブが開通する破断可能な封止部材が設けられており、
前記固定部は、前記分岐部の前記封止部材側を固定する上記(1)に記載の採血器具支持台。
【0010】
(3) 前記主台は、開口部を有し、
前記固定部に前記分岐部を固定したときに、前記第2のチューブが前記開口部をまたぐように配置される上記(1)または(2)に記載の採血器具支持台。
【0011】
(4) 前記第2のチューブを閉塞し得る圧閉手段を備えた上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の採血器具支持台。
【0012】
(5) 前記支持手段は、採血されるドナーの採血部位を載置可能な載置部と前記主台とを連結する連結部材を有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の採血器具支持台。
【0013】
(6) 前記連結部材は、板状体で構成され、該板状体を互いに曲げ方向が反対となるように曲げ変形した2つの曲げ部を有する上記(5)に記載の採血器具支持台。
【0014】
(7) 前記バッグは、採血初流を採取するものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の採血器具支持台。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、主台とそれを支持する支持手段とを有することにより、採血器具を確実に支持することができ、よって、例えば採血針の抜去が防止され、採血器具が採血を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の採血器具支持台を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、本発明の採血器具支持台の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す採血器具支持台の正面図、図3は、図1に示す採血器具支持台における固定部の斜視図、図4は、図1に示す採血器具支持台におけるクランプ部の斜視図、図6は、図1に示す採血器具支持台が支持する採血器具の平面図、図7は、図6に示す採血器具における封止部材の構成例を示す縦断面図、図8は、図6に示す採血器具におけるサンプリングポートの構成例を示す縦断面図、図9は、図8に示すサンプリングポートの先端部、減圧採血管およびそのホルダーを示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図4中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
【0018】
図1に示すように、採血器具支持台(以下、単に「支持台」と言う)100は、採血器具1を支持するものである。
【0019】
ここで、採血器具支持台100を説明する前に、採血器具1について説明する。
図6に示すように、採血器具1は、採取された血液を収納する採血バッグ10を有している。
【0020】
採血バッグ10は、例えばポリ塩化ビニルのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部12において、融着(熱融着、高周波融着等)または接着し、袋状としたバッグ本体11を有している。
【0021】
このバッグ本体11のシール部12で囲まれる内側の部分に、採取された血液が収納される血液収納部13が形成されている。なお、採血バッグ10は、赤血球を保存する赤血球バッグとして兼用されることもあり、その場合には、血液収納部13には、最終的に濃厚赤血球が収納、保存される。
【0022】
バッグ本体11の上部には、ピールタブにより開封可能に封止された2つの開口部14、14が形成され、また、一方の開口部14の側部には、排出口18が形成されている。この排出口18には、封止部材(連結部材)17を介してチューブ61の一端が接続されている。封止部材17としては、後述する封止部材93と同様の構成のものを用いることができる。
【0023】
図示されていないが、前記チューブ61の他端側には、例えば、血漿バッグ、バフィーコートバッグ、血小板バッグ、赤血球保存液入りバッグ等の1または2以上のバッグが設けられていてもよい。すなわち、採血器具がバッグ連結体を構成するようになっていてもよい。
【0024】
また、本発明では、前述した封止部材17、排出口18、チューブ61が省略されていてもよい。
【0025】
さらに、バッグ本体11の上部には、血液収納部13に連通するよう可撓性を有するチューブ(第1のチューブ)97の一端が接続されている。なお、以下、採血バッグ10(バッグ本体11)と分岐コネクタ92とを接続するチューブ97をチューブ(第3のチューブ)15と言う。
【0026】
すなわち、バッグ本体11の上部には、血液収納部13に連通するよう可撓性を有するチューブ(第3のチューブ)15の一端が接続されている。
【0027】
また、チューブ15の他端には、二股に分岐する分岐コネクタ(分岐部)92が設けられている。すなわち、チューブ15の他端が分岐コネクタ92の第3のポート923に接続されている。
【0028】
分岐コネクタ92の第1のポート921および第2のポート922には、それぞれ、チューブ(第1のチューブ)97の一端およびチューブ(第2のチューブ)91の一端が接続されている。
【0029】
チューブ97の他端には、ハブ151を介して採血針152が装着(接続)されている。また、ハブ151には採血針152を被包するキャップ153が装着される。
【0030】
このように、採血器具1では、分岐コネクタ92を介して、チューブ15、91、97がそれぞれ、3方向に延出している(図6参照)。
【0031】
ここで、図示の分岐コネクタ92は、ト字管であるのに限定されず、例えば、Y字管、T字管や、ト字管、Y字管の向きを逆にしたもの等であってもよい。
【0032】
また、分岐コネクタ92と採血バッグ10との間のチューブ15には、封止部材93が設けられている。この封止部材93は、好ましくは分岐コネクタ92の近傍に配置される。封止部材93の構成については、後に詳述する。
【0033】
採血器具1は、分岐コネクタ92から流入した血液を一時的に収納(収容)する(採血初流を採取する)バッグ(以下、「初流バッグ」と言う)20を有している。この初流バッグ20により、採血初流を確実に採取することができる。
【0034】
初流バッグ20は、例えばポリ塩化ビニルのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部22において、融着(熱融着、高周波融着等)または接着し、袋状としたバッグ本体21を有している。
【0035】
このバッグ本体21のシール部22で囲まれる内側の部分に、収納部23が形成されている。
【0036】
バッグ本体21の一方の端部(図1中左側の端部)には、収納部23に連通するよう前記チューブ91の他端が接続されている。
【0037】
バッグ本体21の他方の端部(図1中右側の端部)には、収納部23に連通するよう可撓性を有するチューブ96の一端が接続され、このチューブ96の他端(端部)には、サンプリングポート(コネクタ)71が接続されている。また、このサンプリングポート71は、その外側がキャップ76により覆われている。サンプリングポート71の構成については、後に詳述する。
【0038】
また、サンプリングポート71と初流バッグ20との間には、クレンメ(クランプ部材)95が設けられている。これにより、サンプリングポート71と初流バッグ20とを遮断することができ、すわわち、チューブ96を閉塞することができ、よって、初流バッグ20に収納された血液(採血初流)が流れ出るのを防止することができる。
【0039】
また、前述した採血バッグ10内には、予め抗凝固剤が入れられていることが好ましい。この抗凝固剤は、通常液体であり、例えば、ACD−A液、CPD液、CPDA−1液、ヘパリンナトリウム液等が挙げられる。これらの抗凝固剤の量は、予定採血量に応じた適正な量とされる。
【0040】
また、採血バッグ10のシート材の構成材料としては、特に限定されず、例えば、軟質ポリ塩化ビニルまたは軟質ポリ塩化ビニルを主とする材料(例えば、少量の他の高分子材料との共重合体、ポリマーブレンド、ポリマーアロイ等)が好ましい。
【0041】
また、初流バッグ20のバッグ本体21の構成材料としては、特に限定されず、例えば、例えば、前記採血バッグ10におけるシート材と同様のものを用いることができる。前記採血バッグ10におけるシート材と同様のものを用いた場合には、用意するシート材の種類が少なくなり、製造上有利である。
【0042】
また、チューブ15、61、91、96、97の構成材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂、あるいはこれらを主とする材料が挙げられるが、そのなかでも特に、軟質ポリ塩化ビニルまたはこれを主とする材料が好ましい。
【0043】
次に、封止部材17および93の構成について説明する。なお、各封止部材17および93の構成は、ほぼ同様であるので、代表的に封止部材93を説明する。
【0044】
図7に示すように、封止部材93は、例えば軟質ポリ塩化ビニルのような可撓性を有する樹脂により構成された短チューブ930と、この短チューブ930内に液密に嵌入され、中実柱状部932によりその一端が閉塞された筒体931とで構成されている。
【0045】
短チューブ930の図7中上端部には、図7中上側のチューブ15の一端が液密に接続され、短チューブ930の図7中下端部には、図7中下側のチューブ15の一端が液密に接続されている。
【0046】
筒体931の外周には、薄肉で脆弱な破断部933が形成されている。手指等により短チューブ930の外部から短チューブ930ごと中実柱状部932を折り曲げて破断部933を破断し、中実柱状部932を分離する。これにより、前記中実柱状部932で閉塞(遮断)されていた状態のチューブ15が開通する。
【0047】
筒体931の構成材料としては、特に限定されず、例えば、硬質ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエステル等の硬質材料が挙げられる。
【0048】
また、中実柱状部932の図中上方は、くさび形状をなし、その上端部(頂部)934は、幅方向の寸法が筒体931の外径より小さく、チューブ15の内径より大きい寸法とされ、中実柱状部932の破断分離後に中実柱状部932がチューブ91を閉塞しないような構成とするのが好ましい。さらに、図示のごとく、中実柱状部932の上端部934には、血液の流通を促進する溝935を設けてもよい。
【0049】
次に、サンプリングポート71の構成について説明する。なお、以下の説明では、図8中の右側を「先端」、左側を「基端」と言う。
【0050】
同図に示すように、サンプリングポート71は、メスコネクタ73と、キャップ76とで構成されている。
【0051】
メスコネクタ73の基端部732は、チューブ96の端部に液密に接続されている。
そして、メスコネクタ73の先端側には、キャップ76が装着される。なお、メスコネクタ73の先端部731に、血液の取り出し口が形成される。
【0052】
キャップ76は、外周に薄肉に形成された脆弱部761と、脆弱部761の先端側に設けられた操作部762と、脆弱部761の基端側に設けられた固定部763とを有しており、固定部763によりメスコネクタ73が固定(装着)されている。
【0053】
そして、操作部762を手指等により回転させること(ネジ切り動作)により脆弱部761を破断させて、操作部762を切り離すように構成されている。これにより、メスコネクタ73の先端を露出させることができる。
【0054】
メスコネクタ73およびキャップ76の構成材料としては、それぞれ、例えば、硬質ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエステル等の硬質材料が挙げられる。
【0055】
図9に示すように、このサンプリングポート71には、例えば、減圧採血管(容器)85のホルダー(減圧採血管用採血器具)82が接続され、このホルダー82と減圧採血管85とにより、血液の初流(採血初流)が減圧採血管85に回収される。
【0056】
ここで、減圧採血管85は、採血管本体86と、この採血管本体86に嵌入されているゴム栓87とで構成されている。減圧採血管85内は、真空または減圧状態になっている。
【0057】
ホルダー82は、有底筒状のホルダー本体83と、このホルダー本体83と同心的に設置され、ホルダー本体83内に延びる中空針84と、この中空針84をハブ841を介して固着するオスコネクタ88とで構成されている。
【0058】
そして、オスコネクタ88には、雄ネジが形成されており、ホルダー本体83の底部中央には、前記雄ネジと螺合する雌ネジが形成されており、これらを螺合することにより、オスコネクタ88がホルダー82(ホルダー本体83)に対して着脱自在に装着、固定される。
【0059】
また、オスコネクタ88をサンプリングポート71のメスコネクタ73にルアー嵌合することにより、サンプリングポート71にホルダー82が接続されるように構成されている。
【0060】
図1に示すように、前述の構成の採血器具1は、支持台100に支持された状態で用いられる。支持台100は、主台110と、副台120と、主台110を支持する支持手段130とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0061】
主台110は、主台本体111と、分岐コネクタ92を固定する固定部140a、140bと、開口部160と、クランプ部(圧閉手段)170とを有している。
【0062】
主台本体111は、長方形の板状体で構成されている。主台本体111は、ほぼ水平な姿勢をとるよう、支持手段130によって支持(固定)されている。支持手段130の構成については、後に詳述する。
【0063】
固定部140a、140bは、それぞれ、主台本体111の上面112に設けられている。これらの固定部140a、140bは、主台本体111(主台110)の中心線113に対して、互いに対象となる位置に配置されて(設けられて)いる。すなわち、固定部140a、140bは、主台本体111の中心線(中心)を介して、主台本体111の一方側(前方側)と他方側(後方側)とに配置されている。
【0064】
このような配置により、例えば、支持台100をドナー900の右側に設置したとき(図1参照)には、固定部140aで分岐コネクタ92の封止部材93側を固定することができ、支持台100をドナー900の左側に設置したときには、固定部140bで分岐コネクタ92を固定することができる。すなわち、ドナー900に対する支持台100の設置位置に応じて、固定部140a、140bをそれぞれ適宜使い分けることができる。これにより、採血器具1の封止部材93が主台110上に位置するのを回避することができ、よって、封止部材93を操作する(中実柱状部932を破断する)のが主台110により妨げられるのを防止することができる。
【0065】
なお、封止部材93(中実柱状部932)を破断したとき、固定部140a、140bの固定力は、それぞれ、分岐コネクタ92が外れないような強度であるが好ましい。固定力が前記強度に満たない場合、一方の手で分岐コネクタ92を把持しつつ、他方の手で封止部材93を破断するの必要がある。しかし、固定力が前記強度を満たしているの場合、分岐コネクタ92が確実に固定されているため、一方の手で分岐コネクタ92を把持する必要性が省略される。すなわち、固定力が前記強度を満たしているの場合、採血器具1(封止部材93)に対する操作性を向上させることができる。
【0066】
図3に示すように、固定部140a、140bは、ブロック体で構成されている。固定部140a、140bは、それぞれ、形状がほぼ同一であるため、以下、固定部140aについて代表的に説明する。
【0067】
固定部140aには、正面141から背面142まで貫通する貫通孔143が形成されている。この貫通孔143は、その形状がほぼ円柱状をなしている。
【0068】
なお、貫通孔143の直径は、分岐コネクタ92の前記各ポートの外径とほぼ同等またはそれより若干小さいのが好ましい。これにより、より強固に分岐コネクタ92を固定することができる。
【0069】
また、固定部140aの上面144には、貫通孔143に連通する切欠き部145が形成されている。切欠き部145の壁面146は、上方に向く(面する)ような傾斜をなしている。これにより、分岐コネクタ92を貫通孔143へ容易に導入することができる。
【0070】
また、固定部140aの構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種プラスチック、各種ゴム材料等が挙げられる。
【0071】
開口部160は、平面視でその形状がほぼ長方形をなしており、主台本体111の中央部に設けられている。図1に示すように、固定部140aに固定された分岐コネクタ92から延出するチューブ91は、開口部160をまたぐ(横切る)ように通過している。
【0072】
このような構成の開口部160により、例えば、切断具(図示せず)によりチューブ91を切断する(シールカット)するとき、切断具が主台本体111に干渉する(妨げられる)のが防止され、チューブ91を容易に切断することができる。
【0073】
図1に示すように、クランプ部(トグルクランプ)170は、開口部160を介して固定部140aと反対側に設置されている。
【0074】
図4に示すように、クランプ部170は、ベース171と、第1の部材172と、第2の部材173と、操作レバー(操作部)174とで構成されている。
【0075】
第1の部材172は、その形状が四角柱状をなしており、ベース171の一端部に固定されている。
【0076】
第2の部材173は、第1の部材172と同様の形状をなしている。この第2の部材173は、ベース171の長手方向に沿って移動可能に、ベース171に設置されている。
【0077】
操作レバー174は、第2の部材173を移動操作するものである。
クランプ部170は、操作レバー174が回動することにより、第2の部材173が第1の部材172に対して、接近・離間することができるよう構成されている。この接近・離間により、第1の部材172と第2の部材173との間を挿通するチューブ91を圧閉(閉塞)・開放することができる。
【0078】
このような構成のクランプ部170により、チューブ91を容易、かつ自在に圧閉・開放することができる。また、目視により、チューブ91の圧閉・開放状態を確認することができる。
【0079】
次に、副台120について説明する。
図1に示すように、副台120は、副台本体121と、支持部180と、目盛り190とを有している。
【0080】
副台本体121は、主台本体111と同様に、長方形の板状体で構成されている。副台本体121は、ヒンジ122により、主台本体111(主台110)に対し回動可能に、主台本体111の縁部に連結されている。このヒンジ122が回動することにより、副台本体121(副台120)は、主台本体111(水平)に対して傾斜した位置で停止した姿勢(以下、この姿勢を「傾斜姿勢」と言う)と、鉛直下向き(下方向)の位置で停止した姿勢(以下、この姿勢を「鉛直姿勢」と言う)とをとり得る。また、副台120は、主台110と平行、すなわち、水平な位置で停止した姿勢もとり得る。
【0081】
なお、副台本体121(ヒンジ122)は、支持部180に初流バッグ20を設置(支持)した状態で、傾斜姿勢(図1参照)と、鉛直姿勢とを維持可能な回動抵抗を有するのが好ましい。これにより、例えば上方からでも、初流バッグ20に収納されている採血初流の液量を正確に確認することができる。また、採血初流が収納されている初流バッグ20からサンプリングポート71を介して採血初流を採取(サンプリング)するときに、この採取される採血初流に空気が巻き込まれるのを防止することができる。また、採血初流が収納(採取)されるのに伴って、重量が増加する初流バッグ20によって副台本体121が不本意に回動するのを防止することができる。
【0082】
支持部180は、初流バッグ20を設置する部位である。支持部180には、フック181が副台本体121の上面123から突出して形成されている。初流バッグ20の上端部に形成されている孔24にフック181を挿通することにより、初流バッグ20がフック181に係止(固定)される。これにより、初流バッグ20が支持部180(副台120)から不本意に離脱するのを防止することができる。
【0083】
また、図2に示すように、支持部180の中央部付近には、副台開口部182が設けられている。初流バッグ20は、採血初流を収納(採取)するのに伴って膨張するが、その膨張した箇所(バッグ本体21)が副台開口部182に入り込むことにより、支持部180に安定して設置(保持)される。このように、副台開口部182により、初流バッグ20の膨張を妨げるのを防止しつつ、初流バッグ20を安定して設置することができる。これにより、初流バッグ20への採血初流の流入が円滑に行われる。
【0084】
図1に示すように、目盛り190は、副台本体121の上面123に付されている。この目盛り190は、初流バッグ20に収容された血液(採血初流)の量の示すように振られている。これにより、初流バッグ20中の血液量を正確に(容易に)把握することができる。
【0085】
次に、支持手段130について説明する。
図2に示すように、支持手段130は、連結部材131と、ネジ(ビス)132とで構成されている。
【0086】
連結部材131は、板状体で構成され、曲げ部131a、131bが形成されている。曲げ部131a、131bは、それぞれ、曲げ方向が反対となるように曲げられている。
【0087】
主台110は、連結部材131を介して、肘置(載置部)800に固定(連結)されている。ここで、肘置800とは、採血されるドナー(供血者)900の上腕(採血部位)を載置することができるものである(図1参照)。また、肘置800は、ドナー900が使用するベッド(図示せず)に設置されているのが好ましい。
【0088】
なお、図2に示すように、主台110と連結部材131とは、ネジ132により固定されているのが好ましい。また、肘置800と連結部材131との固定方法についても同様である。
【0089】
このような構成の支持手段130により、支持台100(主台110)を肘置800に容易に設置することができる。
【0090】
次に、支持台100に支持された採血器具1の作用(採血器具1を用いた血液処理方法)について説明する。
【0091】
図1に示すように、支持台100の副台120を予め傾斜姿勢としておく。
分岐コネクタ92を固定部140aに固定する。また、初流バッグ20を副台120のフック181に掛け、支持部180に設置する。
【0092】
このとき、クランプ部170は、第1の部材172と第2の部材173とが離間しており、チューブ91は、クランプ部170により閉塞されていない状態、すなわち、開放した状態となっている。
【0093】
図9に示すように、サンプリングポート71のメスコネクタ73からキャップ76を取り外して、サンプリングポート71の栓77にホルダー82の中空針84を穿刺し、貫通させることにより、ホルダー82をサンプリングポート71に装着する。
【0094】
そして、この採血器具1の採血バッグ10を、それぞれ、採血針152を穿刺する部位より低い位置に設置する。
【0095】
次いで、ハブ151からキャップ153を取り外し(図6参照)、ドナー900の静脈(血管)に採血針152を穿刺し、採血針152が静脈を捉えていることが確認されたら、ハブ151を例えばテープ(粘着テープ)600で固定する(図1参照)。また、これと同様に、チューブ97もテープ(粘着テープ)600で固定するのが好ましい。
【0096】
また、分岐コネクタ92が固定部140aに固定されているため、チューブ97に引張力(テンション)がかかるのが抑制され、例えば、採血針152が静脈から抜去されるのを防止することができる。
【0097】
このような操作により、採血初流(血液)は、採血針152、チューブ97、分岐コネクタ92を経て、チューブ91へ流入し、このチューブ91を流れ、初流バッグ20の収納部23に導入される。この場合、チューブ15の流路は、封止部材93で遮断されているので、血液は、チューブ97から分岐コネクタ92を経てチューブ91に流れ込む。
【0098】
また、この血液の導入の際は、その前に、チューブ97、91および分岐コネクタ92内の空気が、チューブ91の他端から排出され、初流バッグ20に回収される。
【0099】
これにより、チューブ97および91内の圧力や、チューブ97および91の内腔の容積は、ほぼ一定に保持され、血液細胞に対し過度の負荷がかかるのを防止することができ、よって、血液に溶血等が生じるのを防止することができる。
【0100】
また、血液が、分岐コネクタ92において、封止部材93側に入り込んで残ってしまうこともない。
【0101】
このようにして、血液を初流バッグ20に所定量採血(採取)した後、チューブ91をクランプ部170で圧閉し、その流路を閉塞させる(遮断する)。なお、初流バッグ20の採血量は、目盛り190で確認するのが好ましい。
【0102】
次いで、採血バッグ10への採血を開始する。
この場合、封止部材93の破断部933を破断して中実柱状部932を分離し、封止部材93内の流路を開通させる。この操作により、チューブ15は、一端から他端までの流路が連通(開放)する。これにより、採血された血液が、チューブ15を流れ、採血バッグ10の血液収納部13に導入される。
【0103】
また、この採血バッグ10への採血と並行して、初流バッグ20内に収納されている血液を減圧採血管85内に回収(サンプリング)する。なお、このとき、副台120を鉛直姿勢とする。これにより、初流バッグ20側のチューブ91の方向が鉛直下向きとなり、チューブ91内の血液が初流バッグ20へ確実に流れ込む。
【0104】
初流バッグ20内の血液を回収する場合、減圧採血管85をホルダー82に挿入して、ホルダー82の最奥部まで押し込み、ホルダー82の中空針84をゴム栓87に穿刺し、貫通させる。これにより、初流バッグ20内に収納されている血液は、チューブ96を流れ、減圧採血管85内に吸引され、回収される。この減圧採血管85への血液のサンプリング終了後、減圧採血管85をホルダー82から引き抜く。
【0105】
複数本の減圧採血管85へ血液のサンプリングを行う場合には、前述した操作を繰り返す。
【0106】
前記減圧採血管85への採血、すなわち、減圧採血管85への血液のサンプリング終了後、サンプリングポート71からホルダー82を取り外し、サンプリングポート71のメスコネクタ73にキャップ76を装着する。
【0107】
なお、サンプリングポート71のメスコネクタ73には栓77が嵌入されているので、この栓77により、血液の漏れ出しを防止することができる。
【0108】
また、前記採血バッグ10への採血において、血液を採血バッグ10に所定量採血した後、ドナー900の血管から採血針152を抜き取り、ハブ151にキャップ153を装着し、必要に応じて、チューブシーラー等により、チューブ91や15を融着により封止する。その後、初流バッグ20や採血バッグ10を分離する。
【0109】
これにより、採血初流の除去された採取された血液が収納された採血バッグ10が得られる。
【0110】
前述したバッグ連結体の場合、この採血バッグ10に収納された採取された血液に遠心分離操作を行って、例えば、赤血球、バフィーコート、血漿のような複数の血液成分に分離し、分離された血液成分を、常法に従って、採血バッグ10に連結された所定の血液成分バッグへ移送する。
【0111】
一方、減圧採血管85内に回収された採血初流は、廃棄されるか、または、例えば、血清の生化学検査、感染症ウィルス(例えば、エイズ、肝炎等)の抗体検査等に用いることができる。
【0112】
以上説明したように、支持台100によれば、採血器具1を確実に支持することができ、よって、採血器具1が採血を確実に行うことができる。
【0113】
<第2実施形態>
図5は、本発明の採血器具支持台の第2実施形態を示す斜視図である。なお、以下では、説明の都合上、図5中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
【0114】
以下、この図を参照して本発明の採血器具支持台の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0115】
本実施形態は、支持手段の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図5に示すように、支持手段130は、主台110を床700に対して支持する脚部133で構成されている。
【0116】
脚部133は、基台134と、支柱135と、キャスタ136とを有している。
基台134は、長方形の板状体で構成されたものである。
【0117】
支柱135は、基台134の上面134aの中央部付近から上方に向って立設している。
【0118】
キャスタ136は、基台134の下面134bの四隅に設置されている。これにより、支持台100を容易に移動することができる。
【0119】
このような構成の支持手段130により、支持台100を肘置800(ベッド)の近傍(周辺)に容易に設置することができる。
【0120】
なお、支柱135は、主台110の高さを変化させることができるよう構成されていてもよい。
【0121】
以上、本発明の採血器具支持台を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、採血器具支持台を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0122】
また、第3のチューブに設置された封止部材は、図7のような構成であるのに限定されず、例えば、サンプリングポートと初流バッグとの間に設けられたようなクレンメであってもよい。
【0123】
また、主台は、水平な姿勢をとっているのに限定されず、例えば、水平に対して傾斜した姿勢をとっていてもよい。
【0124】
また、固定部の設置数は、2つであるのに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0125】
また、圧閉手段は、図4に示すような構成のクランプ部で構成されているに限定されず、例えば、図7のような構成の封止部材、前記クレンメ等で構成されていてもよい。
【0126】
また、副台は、傾斜姿勢と鉛直姿勢との2つの姿勢をとるよう構成されているのに限定されず、例えば、主台と平行となる(水平となる)姿勢もとり得るよう構成されていてもよい。
【0127】
また、副台は、主台に対して無段階的で回動するよう構成されていてもよいし、段階的に回動するよう構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の採血器具支持台の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す採血器具支持台の正面図である。
【図3】図1に示す採血器具支持台における固定部の斜視図である。
【図4】図1に示す採血器具支持台におけるクランプ部の斜視図である。
【図5】本発明の採血器具支持台の第2実施形態を示す斜視図である。
【図6】図1に示す採血器具支持台が支持する採血器具の平面図である。
【図7】図6に示す採血器具における封止部材の構成例を示す縦断面図である。
【図8】図6に示す採血器具におけるサンプリングポートの構成例を示す縦断面図である。
【図9】図8に示すサンプリングポートの先端部、減圧採血管およびそのホルダーを示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0129】
1 採血器具
10 採血バッグ
11 バッグ本体
12 シール部
13 血液収納部
14 開口部
15 チューブ
151 ハブ
152 採血針
153 キャップ
17 封止部材
18 排出口
20 初流バッグ(バッグ)
21 バッグ本体
22 シール部
23 収納部
24 孔
61 チューブ
71 サンプリングポート
73 メスコネクタ
731 先端部
732 基端部
76 キャップ
761 脆弱部
762 操作部
763 固定部
77 栓
82 ホルダー
83 ホルダー本体
84 中空針
841 ハブ
85 減圧採血管
86 採血管本体
87 ゴム栓
88 オスコネクタ
91 チューブ
92 分岐コネクタ
921 第1のポート
922 第2のポート
923 第3のポート
93 封止部材
930 短チューブ
931 筒体
932 中実柱状部
933 破断部
934 上端部
935 溝
95 クレンメ
96 チューブ
97 チューブ
100 支持台(採血器具支持台)
110 主台
111 主台本体
112 上面
113 中心線
120 副台
121 副台本体
122 ヒンジ
123 上面
130 支持手段
131 連結部材
131a、131b 曲げ部
132 ネジ
133 脚部
134 基台
134a 上面
134b 下面
135 支柱
136 キャスタ
140a、140b 固定部
141 正面
142 背面
143 貫通孔
144 上面
145 切欠き部
146 壁面
160 開口部
170 クランプ部(圧閉手段)
171 ベース
172 第1の部材
173 第2の部材
174 操作レバー(操作部)
180 支持部
181 フック
182 副台開口部
190 目盛り
600 テープ
700 床
800 肘置
900 ドナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に採血針が接続された第1のチューブと、前記第1のチューブから分岐部を介して分岐した第2のチューブと、前記第2のチューブに設けられ、血液を収容するバッグとを有する採血器具を支持する採血器具支持台であって、
前記分岐部が装着される固定部を有する主台と、
前記主台を支持する支持手段とを備えていることを特徴とする採血器具支持台。
【請求項2】
第1のチューブの他端に採血バッグが接続されており、
前記第1のチューブの前記分岐部と前記採血バッグとの間に、破断すると遮断状態の前記第1のチューブが開通する破断可能な封止部材が設けられており、
前記固定部は、前記分岐部の前記封止部材側を固定する請求項1に記載の採血器具支持台。
【請求項3】
前記主台は、開口部を有し、
前記固定部に前記分岐部を固定したときに、前記第2のチューブが前記開口部をまたぐように配置される請求項1または2に記載の採血器具支持台。
【請求項4】
前記第2のチューブを閉塞し得る圧閉手段を備えた請求項1ないし3のいずれかに記載の採血器具支持台。
【請求項5】
前記支持手段は、採血されるドナーの採血部位を載置可能な載置部と前記主台とを連結する連結部材を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の採血器具支持台。
【請求項6】
前記連結部材は、板状体で構成され、該板状体を互いに曲げ方向が反対となるように曲げ変形した2つの曲げ部を有する請求項5に記載の採血器具支持台。
【請求項7】
前記バッグは、採血初流を採取するものである請求項1ないし6のいずれかに記載の採血器具支持台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−6297(P2008−6297A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196490(P2007−196490)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【分割の表示】特願2004−226954(P2004−226954)の分割
【原出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】