説明

採鉱車両およびそのエネルギー供給方法

本発明は採鉱車両およびそのエネルギー供給方法に関する。採鉱車両(1)は整流器(27)、DC中間回路(28)およびインバータ(29a、29b、29c)を有し、これを通して交流電動機(30a、30b、30c)は給電される。DC中間回路(28)には、少なくとも1つの補助エネルギー源(26a、26b)が接続されている。DC中間回路(28)と補助エネルギー源(26a、26b)の間にはDC/DCコンバータ(33a、33b)が接続されて補助エネルギー源(26a、26b)の電圧レベルを適合させ、また補助エネルギー源(26a、26b)を接続してDC中間回路(28)へエネルギーを供給する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は採鉱車両に関するものであり、これは、キャリッジと、キャリッジを移動させる駆動装置と、削岩機、ボルト打設装置、ショットクリート装置、スケーリング装置、注入装置、爆破孔装薬器、測定装置のうちの少なくとも1つとしての採鉱作業装置と、交流電動機と、鉱山の電源網から給電する接続部と、鉱山の電源網から整流器により電気を供給されるDC中間回路と、DC中間回路の電気エネルギーを交流電動機へ供給するインバータと、DC中間回路に接続された補助エネルギー源とを有する。
【0002】
本発明はさらに、採鉱車両のエネルギー供給方法に関するものであり、採鉱車両は、キャリッジと、キャリッジを移動させる駆動装置と、削岩機、ボルト打設装置、ショットクリート装置、スケーリング装置、注入装置、爆破孔装薬器、測定装置のうちの少なくとも1つとしての採鉱作業装置と、鉱山の電源網から整流器、DC中間回路およびインバータを通して給電される少なくとも1つの交流電動機とを有する。
【0003】
鉱山では、削岩リグおよび他の採鉱車両を用い、事前に計画された作業現場で採鉱作業の作業サイクルに従って作業を遂行する。作業サイクルに従って掘削孔の掘削などの必要な仕事を遂行した後、採鉱車両は次の作業現場へ移動し、新しい作業サイクルを開始する。地下鉱山ではとくに、採鉱車両が広く用いられるが、この場合、作業サイクルに従った作業についての移動用エネルギーは、鉱山の電源網からの電気である。それに対して、作業現場間の移動運転は、燃焼機関、代表的にはディーゼルエンジンを用いて得られる移動用エネルギーによって行なわれ、そのため電線等で移動運転が制約されることはない。しかし、燃焼機関からの排気ガスおよび騒音は鉱山で問題を生じる。さらに、燃焼機関は車両のキャリッジ上に多くのスペースを必要とし、また定期保守を必要とする。燃焼機関は表面が熱くなり、さらに車両および鉱山内で引火性燃料を貯蔵し取り扱う必要もあるので、鉱山の火災安全上も悪影響がある。
【0004】
鉱山の電源網に固定接続された採鉱車両も鉱山で使用される。そこで、これらの採鉱車両は電動機を有するが、代表的には定速度回転の電動機が用いられる。したがって、作業段階に必要な動力は液圧式構成部品によって調節することができ、電動機は、作業段階のエネルギー消費量で決まる電流および負荷電力を鉱山の電源網から得る。また、採鉱車両の動きは通常、電源網によって、または少なくともこれに接続されて採鉱車両内もしくは固定電源網で巻回されたケーブルによって拘束される。
【0005】
例えば、米国公報第7,053,568号には電池駆動式採鉱車両が開示されている。この公報にはとくに、伝動構成部品としての電池および交流電動機の使用と配置が記載されている。電池に完全に依存するこのような採鉱車両の問題点は、電池搭載に起因する重量の増加である。また、電池の容量がかなり限定的であり、採鉱車両の電池は比較的頻繁に充電する必要がある。
【0006】
米国公報第5,293,947号は架線ブスバー系から給電を受ける採鉱車両を開示している。この採鉱車両もまた、採鉱車両が使用するエネルギーを採鉱車両における電源網から取るか、あるいは電池もしくはディーゼルエンジンなどの補助エネルギー源から取るかを選択するスイッチを有する。エネルギーを補助エネルギー源から取る場合、採鉱車両は電源網架線に接続しないで短距離移動させることができる。
【発明の簡単な説明】
【0007】
本発明は、新方式の採鉱車両およびそのエネルギー供給方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の採鉱車両は、採鉱車両が補助エネルギー源とDC中間回路との間にDC/DCコンバータを有して、補助エネルギー源の電圧レベルを適合させ、また補助エネルギー源を接続してDC中間回路へエネルギーを供給し、これによって、異なる特性の補助エネルギー源を採鉱車両に接続できることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の方法は、DC/DCコンバータによって補助エネルギー源の電圧レベルをDC中間回路に適合させ、また補助エネルギー源をDC中間回路へエネルギーを供給するように適合させ、これによって異なる特性の補助エネルギー源を採鉱車両に接続できることを特徴とする。
【0010】
採鉱車両はそのエネルギー供給を主として鉱山の電源網から得る。採鉱車両はさらに、整流器、DC中間回路およびインバータを有するが、これは採鉱車両が交流電動機を有することを意味する。さらに、DC中間回路には少なくとも1つの補助エネルギー源が接続されている。DC中間回路と補助エネルギー源の間にはDC/DCコンバータが接続され、DC中間回路および補助エネルギー源の電圧レベルおよび充放電電流を適合させる。これは、さまざまな補助エネルギー源を本装置のDC中間回路に配設できることを意味する。これらの補助エネルギー源の出力もしくは充電容量はさまざまであってよく、または化学的に異なってもよく、あるいはそれらの充電電圧が互いに異なってもよく、または新旧のエネルギー源を混在使用してもよい。したがって、このDC/DCコンバータによれば、各補助エネルギー源が相違していても、それらをDC中間回路に配設することは、容易かつ簡単である。このDC/DCコンバータによればさらに、必要ならば、複数の補助エネルギー源を並列に使用することができる。
【0011】
採鉱車両は、採鉱作業装置として、削岩機、ボルト打設機、ショットクリート装置、スケーリング装置、注入装置、爆破孔装薬器、測定装置、または少量装薬掘削で用いられる穿孔、封止および推進剤投与機器のうちの1つ以上を含む。削岩機は、切羽穿孔装置、または作業孔穿孔用の装置、すなわち掘削孔を扇形に穿孔する長孔穿孔装置であってよい。採鉱作業装置は、未剥離岩盤の取扱いに用いるアクチュエータであり、与えられた作業サイクルに従って一連の複数の作業を行なう。典型的には、複数の類似の作業を1つの作業現場で採鉱作業装置によって行なう。これらの作業は、穿孔計画、装薬計画もしくは同様の採鉱計画などの掘削計画において設定してよい。採鉱作業装置は通常、作業中に採掘作業装置を動かすブームに配設される。他方、採鉱作業装置は、その作業サイクル中、採鉱作業装置を支持する採鉱車両内の対応する支持体もしくは支持構体に配設してもよい。
【0012】
一実施例の概念は、採鉱車両のエネルギー必要量が一定の限界を超えると、補助エネルギー源を接続して、DC中間回路を通して採鉱車両の電動機へエネルギーを供給することにある。同時に、採鉱車両へ鉱山の電源網からもエネルギーを供給するが、これは、補助エネルギー源が追加エネルギーの供給側として働くことを意味する。鉱山の電源網は、直流回路すなわちDC中間回路を通した採鉱車両の主要エネルギー源である。交流電動機はエネルギー効率がよく、調整機能も優れている。さらに、整流器、DC中間回路およびインバータによって、本システムはほとんど有効出力だけを電源網から取り込み、そのため本装置のない状況と比較して給電網の負荷が低減される。DC中間回路にインバータを通して接続さる三相電動機は給電網の位相順に左右されず、このため別個の相順制御もしくはその変更の必要がない。さらに、採鉱車両の電動機に対する給電網の周波数もしくはその変動の影響を、なくすことができる。鉱山の電源網の過大電圧または過小電圧によって採鉱車両の電気系に生ずる問題も、本方式を用いれば、解消することができる。採鉱車両の電動機からの出力は、中間回路に接続された補助エネルギー源によって平準化することができる。したがって本方式では、採鉱車両により電源網に生じる負荷変動が補助エネルギー源によって平準化される。このようにして、ピーク負荷状態では、電源網から取り込まれた電流は以前より少なく保つことができ、これによって採鉱車両の有効負荷が低減する。したがって、採鉱車両の給電ケーブルのサイズを採鉱車両のピーク電力に合わせて決める必要はない。そこで、全体的に見ると、鉱山の電源網のピーク電力とアイドル電力の大きさを小さくすることができる。
【0013】
一実施例の概念は、制御可能な整流器を配設し、少なくとも2つの異なる電源網の電圧を変換してDC中間回路において同じにすることにある。したがって、採鉱車両において、異なる電圧の少なくとも2つの電源網で同様の交流電動機を用い、採鉱車両に別個の電気機械式変換器を必要とせずに電源網の電圧を変換して採鉱車両に適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
次に、添付図面を参照して本発明のいくつかの実施例をさらに詳細に説明する。
【図1】採鉱車両、この場合は削岩リグの模式的側面図である。
【図2】採鉱車両のエネルギー供給装置の線図である。
【0015】
各図において、明瞭にするため本発明のいくつかの実施例を簡略化して示す。各図において同様の部分は同じ参照番号で示す。
【発明の詳細な説明】
【0016】
図1は1台以上の採鉱作業装置2を装備した採鉱車両1の一例である削岩リグを示す。削岩リグは駆動装置4により移動可能なキャリッジ3を有する。駆動装置4は、1台以上の駆動用電動機5および1つ以上の伝動手段6を有し、駆動力を1つ以上の車輪7へ伝達する。駆動力伝動装置は、機械歯車系および機械伝動部材で構成してもよく、または、駆動力伝動装置は液圧式もしくは電気式でもよい。キャリッジ3上には1本以上のブーム8を配設してよく、ブームは採鉱作業装置2を装備してもよい。図1に示す実施例では、第1のブーム8aが穿孔用ブームであり、その最外端部には送りビーム10を有する削岩装置9があり、これに沿って削岩機11を送り装置12により動かすことができる。削岩機11は、工具14に衝撃パルスを生成するパーカッション装置13と、工具14をその長手方向軸を中心に回転させる回転装置15とを有してよい。削岩リグには、これらの穿孔用ブーム8aの何本かがあってもよい。一例として、ボルト打設装置16を有する第2のブーム8bを示し、これは、事前穿孔された掘削孔内にロックボルトを配設して掘削済の岩洞を支持できるものである。図1の実施例では、第3のブーム8cに測定装置17が装備され、穿孔した掘削孔を測定する。他の採鉱作業装置2は、封止材を岩盤へ送り込むのに用いる注入装置、ショットクリート加工装置、スケーリング装置、少量装薬掘削用の装置、および爆薬を装填する装置を含む。
【0017】
採鉱車両1は、鉱山18の掘削計画、もしくは事前に起案された同様の計画に従って作業現場19へ走行し、そこで採鉱作業装置2は作業サイクルに従って作業を遂行するが、その遂行には比較的長い時間を要する。例えば、削岩機の作業サイクルは、穿孔計画に規定された作業現場19での複数の掘削孔の穿孔作業を含むことがある。さらに、それぞれの掘削孔の穿孔は典型的には、カラーリング、本穿孔、延長ロッドおよびドリルビットの交換、ならびに穿孔後の延長ロッド装置の取外しなど、複数の作業段階から成る。作業現場19での穿孔作業サイクルの遂行には数時間かかり、場合によってはある作業シフト全体にわたることさえある。同様に、装薬、ボルト打設、測定および注入は、時間のかかる作業になることが多い。総じて、採鉱作業装置2を使用すれば、掘削孔の穿孔もしくは仕上げた孔の更なる加工をしなければならない。これはつまり、未剥離岩盤の取扱いを意味する。
【0018】
図1はさらに、鉱山18が電源網20を有することを示し、これは、固定配設され、または変更可能な回路で構成されることもある。電源網20は典型的には三相交流回路網である。採鉱車両1が作業現場19にある場合、その採鉱作業装置2、液圧系および必要な補助システムは、主として外部電源網から得られる電気エネルギーによって駆動される。採鉱車両1は、1本以上の接続ケーブル21で電源網20に接続してもよい。接続ケーブル21はリール22に配設されることがあり、電源網20の給電端子に接続可能な適切なコネクタ23を装備していることがある。または、リール22およびケーブル21を鉱山18内に配設してもよく、接続ケーブル21は採鉱車両1に接続される。採鉱車両1には接続装置25が装備され、これを通して、電源網20から送られる電気が採鉱車両1のさまざまな装置に接続される。接続装置25の構成および作動は図2に関連してさらに詳細に説明する。
【0019】
採鉱車両1には少なくとも1つの補助エネルギー源26a、26bも装備されている。補助エネルギー源26a、26bは、電池、スーパーコンデンサ、燃料電池、もしくはディーゼルモータ、または他の同様の補助エネルギー源でもよい。
【0020】
接続装置25は整流器27を有し、これに電源網20からの電源が接続される。整流器27を固定型、もしくはパルス比制御型でよい。整流器35の直流側はDC中間回路34に、すなわち直流電圧中間回路に接続されている。第1のインバータ29aはDC中間回路28に接続され、直流を交流に変換し、交流電気を第1の交流電動機30aへ供給する。交流電動機30aは好ましくは三相電動機である。接続装置25は第2のインバータ29bも有し、これは第2の交流電動機30bへ給電する。交流電動機30aによって、例えば採鉱作業装置2を駆動してもよく、交流電動機30bによって、例えば駆動装置4を駆動してもよい。
【0021】
接続装置25は第3のインバータ29cも1台以上有して、付属装置の少なくとも1台の交流電動機30cへ給電してもよい。電動機30cには、装置内部のシステムの送水ポンプ系、圧搾空気コンプレッサ系、補助液圧系、もしくは冷却系31を接続してもよい。
【0022】
複数のインバータを同一のDC中間回路に接続して使用する場合、インバータに接続された各電動機の供給電圧を任意に変えてよい。その際、インバータに接続された各電動機の回転速度も任意に調節することができる。そこで、3台以上のインバータがあってもよく、これは、3台以上の電動機があることも意味する。本装置は制御装置32も有し、これは、必要に応じて接続装置25内に、もしくはその外部に配設してもよい。制御装置32を使用して、整流器27、インバータ29a、29bおよび補助エネルギー源26a、26bなどの接続装置25のさまざまな回路の動作を制御する。
【0023】
補助エネルギー源26a、26bもDC中間回路28に接続されている。補助エネルギー源26a、26bは、電池、スーパーコンデンサ、燃料電池、ディーゼルモータ、はずみ車、もしくは他の同様な補助エネルギー源でよい。例えば、ディーゼルモータによれば、電流を生成する交流発電機を駆動することができる。補助エネルギー源226a、26bで交流電気を発電する場合は、整流器を通してこれをDC中間回路28に接続する。
【0024】
補助エネルギー源26a、26bはDC中間回路28に直接接続することもできるが、好ましくは補助エネルギー源26a、26bは、少なくとも1台のDC/DCコンバータ33a、33bによってDC中間回路28に接続する。DC/DCコンバータは、補助エネルギー源26a、26bの電圧レベルをDC中間回路28に適合するように変換する。さらにDC/DCコンバータ33a、33bは、補助エネルギー源のエネルギー放電およびエネルギー源26の充電を行なう。DC/DCコンバータ33a、33bによって、さまざまな補助エネルギー源26を接続装置の中間回路28に適合させることができる。したがって、補助エネルギー源26a、26bの変更が容易であり、または複数の補助エネルギー源を並列に配することができ、これらは、DC/DCコンバータ33a、33bによれば確実にDC中間回路28に適合する。複数のDC/DCコンバータ33a、33bを配してもよく、DC/DCコンバータ33a、33bが故障した場合、他のDC/DCコンバータを利用して接続装置を駆動することができる。図2の実施例は2台の並列のDC/DCコンバータ33a、33bと、2つの並列の補助エネルギー源26a、26bを示す。エネルギー源26a、26bの一方が故障した場合、これを運用から外すことができ、別のエネルギー源を利用して低い電力レベルで稼動を継続することができる。これによって採鉱車両の信頼性が増し、故障の際、他の採鉱通行に危険を与えることなく、採鉱車両を移動させて通路から外すことができる。この後、安全な場所で保守を行なうことができる。当然、3台以上のDC/DCコンバータおよび/または補助エネルギー源を並列に接続することができる。
【0025】
鉱山の電源網20は採鉱車両の主要エネルギー源である。採鉱車両1に高出力が必要な場合、採鉱車両には補助エネルギー源26a、26bから追加のエネルギーを供給して、鉱山の電源網20を補完する。例えば、全出力で穿孔中は、補助エネルギー源26a、26bから追加エネルギーを得てもよい。制御装置32において一定の限度値を設定し、その後、補助エネルギー源を使用することができる。補助エネルギー源26a、26bを使用すれば、電源網20から取り込んだ電力を一定のレベルに制限することができる。さらに、補助エネルギー源を取り込んで、各貨物車両もしくは輸送車両における最大エネルギー消費量のピークを平準化するのに使用ことができる。すなわち、これら車両が、例えば重い荷を積んで勾配を登る場合である。
【0026】
本システムは電動機で使用される電流を測定し、これにより、補助エネルギー源26a、26bで発電された電力のDC中間回路28への供給を調節する。補助エネルギー源26a、26bと電源網20を併用する一概念は、電源網20の電圧が過負荷によっても確実に、電源網電圧の設定限界値、例えば公称電圧より5%を下回ることのないようにすることである。このようにして、電源網20における電圧変動を避けることができる。
【0027】
図2は破線で変圧器34も示す。変圧器34を使用して、電源網20の電圧レベルを変換して採鉱車両の電気系統に適合させることができる。しかし、少なくとも2つの異なる電源網の電圧レベルを整流器27によって変換してDC中間回路28で同一になるよう構成されている場合、変圧器34は必ずしも必要ではない。2種類の電圧を生成する電気変圧器は、例えばゲートターンオン・サイリスタによって実現してもよい。この種の整流器によって生成される直流電圧は、サイリスタの導通角を変えることによって変えることができる。
【0028】
本装置を使用すれば、電源網20が利用不能な場合でも、補助エネルギー源26から得られるエネルギーを利用して穿孔作業もしくは他の作業を短時間に行なうことができる。さらに、電源網ケーブルが接続されている場合、電源網20を用いて採鉱車両を走行させることができ、また電源網を使用しない場合、補助エネルギー源26を用いて車両を走行させることができる。電源網が接続ケーブル21およびリール22ではなく、例えば採鉱車両1が集電器を通して接続されるブスバー系の場合も、採鉱車両1は電源網20に接続することができる。
【0029】
本システムは、例えば最大でも一定の設定された最大電力を電源網20から取り込むように制御することができ、この限界値を超えると、必要な電力の残りの部分は補助エネルギー源26から取り込む。したがってこの場合、通常は補助エネルギー源26から取り込む電力を調整する。そこでまた、必要に応じて、使用可能な全電力を補助エネルギー源26から取り込み、その代わりに電源網20から取り込む電力を調整することができ、または電源網20が何らかの理由で利用不能な場合は、必要な全電力を補助エネルギー源から取ることができる。
【0030】
採鉱車両1が受給する電力は、インバータ29aないし29cの電力消費量を測定することによって判定することができる。そこで、インバータ29aないし29cの総合電力が一定の限界値を超えると、1台以上の採鉱作業装置2が受給する電力を制限する出力制限機能を実行することができる。
【0031】
制御装置はソフトウエア製品を含んでもよく、これは、制御装置32で実行されると、本明細書に記載の動作の少なくとも一部を行なうように構成されている。ソフトウエア製品は、メモリスティック、メモリディスク、ハードディスクもしくは情報ネットワークサーバ等などの記憶装置もしくは記憶媒体から制御装置にインストールしてもよく、制御装置コンピュータのプロセッサ等でソフトウエア製品を実行すれば、本明細書に記載の採鉱車両のエネルギー供給動作が行なわれる。
【0032】
本明細書に記載の方式はトンネルの掘削時にも使用することができる。トンネルは掘削円として掘削される。作業現場はトンネルの切羽であり、ここで掘削孔を穿孔し、装薬する。掘削円を掘削する前に削岩リグは、切羽から離れた安全地帯へ移動させる。発破後、爆破された岩石を除去した後、削岩リグは安全地帯からトンネルの切羽へ戻し、別の掘削円を掘削する。トンネルを掘削円として掘削することは、新たな掘削現場すなわち新たな作業現場が以前の掘削現場すなわち以前の作業現場からその掘削円の長さに相当する距離にあることを意味する。そこで移動運転は、以前の作業現場から安全地帯を径由して次の作業現場まで行なわれる。
【0033】
言及すべきは、本明細書において鉱山とは、地下鉱山および露天掘り鉱山を言うことである。さらに、本方法および本採鉱車両は、さまざまな岩石施設を掘削する場合などの請負作業現場で使用することができる。したがって、請負作業現場も鉱山の一種と考えてよい。請負作業現場では、移動可能キャリッジ上の集電装置など、外部電源網が変更可能であってよい。
【0034】
場合によっては、本明細書に記載の構成要件を他の構成要件と無関係に使用してもよい。他方、本明細書に記載の各構成要件を、必要に応じて組み合わせてさまざまな組合せを作ってもよい。
【0035】
図面およびその関連説明は本発明の概念の図説のみを企図している。本発明はその細部を請求項の範囲内で変更することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジ(3)と、
該キャリッジ(3)を移動させる駆動装置(4)と、
削岩機、ボルト打設装置、ショットクリート装置、スケーリング装置、注入装置、爆破孔装薬器、測定装置のうちの少なくとも1つとしての採鉱作業装置(2)と、
交流電動機(30a、30b、30c)と、
鉱山の電源網(20)から給電する接続部と、
前記鉱山の電源網(20)から整流器(27)により電気を供給されるDC中間回路(28)と、
該DC中間回路(28)の電気エネルギーを前記交流電動機(30a、30b、30c)へ供給するインバータ(29a、29b、29c)と、
前記DC中間回路(28)に接続された補助エネルギー源(26a、26b)とを含む採鉱車両において、
該採鉱車両は、前記補助エネルギー源(26a、26b)とDC中間回路(28)の間にDC/DCコンバータ(33a、33b)を有し、前記補助エネルギー源(26a、26b)の電圧レベルを適合させ、該補助エネルギー源(26a、26b)を接続してエネルギーを前記DC中間回路(28)へ供給し、これによって異なる特性を有する補助エネルギー源(26a、26b)が該採鉱車両に接続可能であることを特徴とする採鉱車両。
【請求項2】
請求項1に記載の採鉱車両において、該採鉱車両は、並列に接続された少なくとも2つのDC/DCコンバータ(33a、33b)を有することを特徴とする採鉱車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載の採鉱車両において、該採鉱車両は、前記DC中間回路(28)へ並列に接続された少なくとも2つの補助エネルギー源(26a、26b)を有することを特徴とする採鉱車両。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載の採鉱車両において、前記補助エネルギー源(26a、26b)は、該採鉱車両が前記鉱山の電源網(20)からも同時にエネルギーを受けながら、該採鉱車両(1)のエネルギー必要量がある限界を超えると、前記DC中間回路(28)を通して該採鉱車両(1)の交流電動機(30a、30b、30c)へエネルギーを供給するように接続されていることを特徴とする採鉱車両。
【請求項5】
請求項1または2に記載の採鉱車両において、前記補助エネルギー源(26a、26b)は電池であることを特徴とする採鉱車両。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の採鉱車両において、該採鉱車両(1)の整流器(27)は、前記鉱山の異なった電圧の少なくとも2つの電源網(20)の供給電圧を前記DC中間回路(28)における同じ電圧に変換するように構成されていることを特徴とする採鉱車両。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の採鉱車両において、該採鉱車両は削岩リグであることを特徴とする採鉱車両。
【請求項8】
キャリッジ(3)と、該キャリッジ(3)を移動させる駆動装置(4)と、削岩機、ボルト打設装置、ショットクリート装置、スケーリング装置、注入装置、爆破孔装薬器、測定装置のうちの少なくとも1つとしての採鉱作業装置(2)と、鉱山の電源網(20)から整流器(27)、DC中間回路(28)およびインバータ(33a、33b、33c)を通して給電される少なくとも1つの交流電動機(30a、30b、30c)を有する採鉱車両(1)のエネルギー供給方法において、該方法は、DC/DCコンバータ(33a、33b)によって、補助エネルギー源(26a、26b)の電圧レベルを前記DC中間回路(28)に適合させ、該補助エネルギー源(26a、26b)はエネルギーを前記DC中間回路(28)に供給するように構成され、これによって異なる特性の補助エネルギー源(26a、26b)が前記採鉱車両に接続可能であることを特徴とする採鉱車両のエネルギー供給方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、該方法は、前記採鉱車両(1)のエネルギー必要量がある限界を超えると、前記鉱山の電源網(20)および前記補助エネルギー源(26a、26b)から同時に前記採鉱車両にエネルギーを供給することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法において、前記採鉱車両(1)の整流器(27)は、前記鉱山の異なった電圧の少なくとも2つの電源網(20)の供給電圧を変換して前記DC中間回路内(28)における同じ電圧にするよう構成することを特徴とする方法。
【請求項11】
キャリッジ(3)と、該キャリッジ(3)を移動させる駆動装置(4)と、削岩機、ボルト打設装置、ショットクリート装置、スケーリング装置、注入装置、爆破孔装薬器、測定装置のうちの少なくとも1つとしての採鉱作業装置(2)と、交流電動機(30a、30b、30c)と、鉱山の電源網(20)から給電する接続部と、前記鉱山の電源網(20)から電気を整流器(27)により供給されるDC中間回路(28)と、DC中間回路(28)の電気エネルギーを前記交流電動機(30a、30b、30c)へ供給するインバータ(29a、29b、29c)と、前記DC中間回路(28)に接続された補助エネルギー源(26a、26b)とを有する採鉱車両において、前記補助エネルギー源(26a、26b)は、該採鉱車両(1)が前記鉱山の電源網(20)からも同時にエネルギーを受けながら、該採鉱車両(1)のエネルギー必要量がある限界を超えると、前記DC中間回路(28)を通して該採鉱車両(1)の交流電動機(30a、30b、30c)へエネルギーを供給するように接続されていることを特徴とする採鉱車両。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−515888(P2013−515888A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546476(P2012−546476)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【国際出願番号】PCT/FI2010/051087
【国際公開番号】WO2011/080392
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】