説明

接合剤、窒化アルミニウム接合体及びその製造方法

【課題】窒化アルミニウム焼結体の接合において、低い接合温度でも良好な接合状態を得る。
【解決手段】複数の窒化アルミニウム焼結体間に、酸化カルシウムアルミニウム、又は、酸化カルシウム及び酸化アルミニウムを含み、希土類元素が5重量%未満である融材と、窒化アルミニウム粉末とを含む接合剤を介在させ、1500℃以下の接合温度で加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化アルミニウム焼結体を接合する接合剤、窒化アルミニウム接合体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窒化アルミニウム焼結体同士を接合する方法には、固相接合方法と固液接合方法がある。固相接合方法は、窒化アルミニウム焼結体間に接合剤を介在させ、その接合剤を溶融させることなく、固相の状態で接合を行う方法である。固相接合では、1850℃以上という高温の接合温度で加熱することにより、良好な接合状態を得ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
固液接合方法は、窒化アルミニウム焼結体間に接合剤を介在させ、その接合剤の一部を溶融させて、固相と液相が混在した状態で接合を行う方法である。従来の固液接合には、酸化カルシウムを25〜45重量%、酸化イットリウムを5〜30重量%、残部を酸化アルミニウムとする融材を用い、1650〜1800℃の接合温度で加熱することにより、良好な接合状態を得るものがある(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0004】
又、このような接合方法を用い、発熱体を含む加熱装置や、電極を含む静電チャックが製造されている。加熱装置や静電チャックは、腐食性ガス環境下で使用されている。
【特許文献1】特開平8−73280号公報
【特許文献2】特開平10−167850号公報
【特許文献3】特開平10−273370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、固相接合方法では、良好な接合状態を得るためには1850℃以上の高温に加熱する必要があった。又、酸化カルシウムを25〜45重量%、酸化イットリウムを5〜30重量%、残部を酸化アルミニウムとする融材を用いた固液接合方法によれば、固相接合方法よりも接合温度を低下させることができるものの、良好な接合状態を得るためには1650〜1800℃まで加熱する必要があった。このように従来の接合方法は、いずれも接合温度が高温であることから、窒化アルミニウム焼結体が接合により変形してしまう課題があった。
【0006】
又、加熱装置や静電チャックの製造過程において接合を行う場合には、高い接合温度により、発熱体や電極が変質したり、体積抵抗率が変化したりするおそれがあった。その結果、加熱装置の均熱性や静電チャックの吸着力の均一性といった特性の低下を招くおそれがあった。
【0007】
更に、接合温度が高いため、接合に必要なエネルギーが増大することや、変形により接合後に再度の加工が必要となることから、製造コストの増大を招いていた。
【0008】
そこで、本発明は、低い接合温度でも良好な接合状態を得ることができる窒化アルミニウム焼結体の接合剤、窒化アルミニウム接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る接合剤は、酸化カルシウムアルミニウム、又は、酸化カルシウム及び酸化アルミニウムを含み、希土類元素が5重量未満である融材と、窒化アルミニウム粉末とを含むことを特徴とする。このような接合剤によれば、1500℃以下の低い接合温度で、良好な接合状態を得ることができる。
【0010】
酸化カルシウムアルミニウムは、例えば、Ca12Al1433、又は、Ca3Al26の少なくとも1つを含むことができる。
【0011】
融材は、カルシウムを30〜80重量%、アルミニウムを20〜70重量%含むことが好ましい。融材は、シリカを0.01〜5重量%含むことが好ましい。又、接合剤は、融材を10〜90重量%、窒化アルミニウム粉末を10〜90重量%含むことが好ましい。更に、融材及び窒化アルミニウム粉末の最大粒子径が45μm以下であることがより好ましい。
【0012】
本発明に係る窒化アルミニウム接合体は、複数の窒化アルミニウム焼結体と、複数の窒化アルミニウム焼結体間に形成され、窒素、酸素、アルミニウム、カルシウムを含み、希土類元素が15重量%未満である接合層とを備えることを特徴とする。このような窒化アルミニウム接合体は、1500℃以下の低い接合温度によって得ることができるため、窒化アルミニウム焼結体の変形が小さく、接合状態も良好である。
【0013】
接合層は、窒素を15〜30重量%、酸素を10〜35重量%、アルミニウムを20〜55重量%、カルシウムを5〜20重量%含むことが好ましい。
【0014】
又、窒化アルミニウム接合体は、発熱体を含む加熱装置、又は、電極を含む静電チャックとすることができる。このような窒化アルミニウム接合体は、1500℃以下の低い接合温度によって得ることができるため、発熱体や電極が変質せず、体積抵抗率も接合時にほとんど変化しないため、加熱装置や静電チャックとして優れた性能を有する。
【0015】
本発明に係る窒化アルミニウム接合体の製造方法は、複数の窒化アルミニウム焼結体間に、酸化カルシウムアルミニウム、又は、酸化カルシウム及び酸化アルミニウムを含み、希土類元素が5重量%未満である融材と、窒化アルミニウム粉末とを含む接合剤を介在させ、1500℃以下の接合温度で加熱することを特徴とする。このような製造方法によれば、1500℃以下の低い接合温度で良好な接合状態を得ることができ、窒化アルミニウム焼結体の変形を小さくできる。
【0016】
接合温度までの昇温は、昇温速度0.5〜10.0℃/分で行うことが好ましい。又、窒化アルミニウム焼結体の接合面の平均表面粗さが0.1〜2.0μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、低い接合温度でも良好な接合状態を得ることができる窒化アルミニウム焼結体の接合剤、窒化アルミニウム接合体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
〔接合剤〕
接合剤は、窒化アルミニウム焼結体の接合に用いられる。本実施形態の接合剤を用いた接合は、1500℃以下という低い接合温度で行われる。接合剤は、融材と窒化アルミニウム(AlN)粉末とを含む。融材は、接合温度での加熱により溶融する。
【0019】
融材は、酸化カルシウムアルミニウム(CaxAlyOz)、又は、酸化カルシウム(CaO)及び酸化アルミニウム(Al23)を含む。即ち、融材は、少なくとも酸化カルシウムアルミニウムを含んでいるか、あるいは、酸化カルシウムと酸化アルミニウムの両方を含んでいる。そのため、融材は、酸化カルシウムアルミニウムだけを含む、酸化カルシウムアルミニウムと酸化カルシウムを含む、酸化カルシウムアルミニウムと酸化アルミニウムを含む、酸化カルシウムアルミニウムと酸化カルシウムと酸化アルミニウムを含む、酸化カルシウムと酸化アルミニウムを含む場合がある。
【0020】
融材は、酸化カルシウムアルミニウム(CaxAlyOz)として、Ca12Al1433(x=12、y=14、z=33)、又は、Ca3Al26(x=3、y=2、z=6)の少なくとも1つを含むことができる。即ち、融材は、酸化カルシウムアルミニウムとして、Ca12Al1433だけを含んでもよく、Ca3Al26だけを含んでもよく、Ca12Al1433とCa3Al26の両方を含んでもよく、Ca12Al1433やCa3Al26に加えて、Ca12Al1433やCa3Al26以外の相の酸化カルシウムアルミニウムを含んでもよい。
【0021】
融材に含まれる希土類元素は5重量%未満とする。融材に含まれるイットリウム等の希土類元素が5重量%以上になると、1500℃以下の接合温度では窒化アルミニウム焼結体を接合することができない。たとえ接合できたとしても、接合部分の強度が低く、良好な接合状態を得ることができない。融材は、希土類元素を含まないことがより好ましい。
【0022】
融材は、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ガラス形成材等の酸化物を含むことができる。ガラス形成材としては、例えば、シリカ(SiO2)、酸化硼素(B23)、酸化リン(P23)等を含むことができる。例えば、シリカを融材に少量添加することにより、熱サイクルによる耐久性や耐食性を低下させることなく、接合温度を更に低下させることができる。尚、接合剤を腐食性ガス環境下で用いる窒化アルミニウム接合体の製造に用いる場合には、融材に含まれるシリカ(SiO2)は10重量%以下であることが好ましい。シリカの含有量を10重量%以下に抑えることにより、腐食性ガスに対する耐食性を維持できる。又、融材に含まれるシリカの含有量は、0.01〜5重量%とすることがより好ましい。これによれば、耐久性、耐食性を維持したまま、接合温度を低下させ、接合部分の強度を向上させることができる。
【0023】
融材に含まれるカルシウム又はアルミニウムの少なくとも1つを含む酸化物以外の酸化物の総量は、20重量%未満であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。融材は、カルシウム又はアルミニウムの少なくとも1つを含む酸化物以外の酸化物を含まないことが、更に好ましい。
【0024】
融材は、カルシウムを30〜80重量%、アルミニウムを20〜70重量%含むことが好ましい。このようなカルシウムとアルミニウムの配合によれば接合部分の強度を向上できる。融材は、カルシウムを45〜70重量%、アルミニウムを30〜55重量%含むことがより好ましい。
【0025】
窒化アルミニウム粉末の純度は、95%以上であることが好ましい。より好ましい純度は、99%以上である。これによれば、不純物の影響を少なくすることができ、良好な接合性を得ることができる。
【0026】
接合剤は、融材を10〜90重量%、窒化アルミニウム粉末を10〜90重量%含むことが好ましい。このような融材と窒化アルミニウム粉末の配合によれば、窒化アルミニウム焼結体と接合剤との熱膨張差を小さくでき、接合部分に適量の融材を残すことができる。そのため、接合部分の強度や気密性を向上できる。よって、融材と窒化アルミニウム粉末とを混合した接合剤は、カルシウムを3〜69重量%、アルミニウムを31〜97重量%含むことが好ましい。接合剤は、融材を80〜40重量%、窒化アルミニウム粉末を20〜60重量%含むことがより好ましい。
【0027】
融材及び窒化アルミニウム粉末の最大粒子径が45μm以下であることが好ましい。これによれば、接合部分の強度や気密性を向上できる。より好ましい融材及び窒化アルミニウム粉末の最大粒子径は32μm以下である。
【0028】
〔窒化アルミニウム接合体〕
本実施形態に係る窒化アルミニウム接合体10は、図1に示すように、複数の窒化アルミニウム焼結体1,2と、複数の窒化アルミニウム焼結体1,2間に形成された接合層3とを備える。接合層3は、窒素(N)、酸素(O)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)を含み、希土類元素が15重量%未満である。このような窒化アルミニウム接合体10は、1500℃以下の低い接合温度によって得ることができるため、窒化アルミニウム焼結体1,2の変形が小さく、接合状態も良好である。
【0029】
接合層3は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ガラス形成材等の酸化物を含むことができる。ガラス形成材としては、例えば、SiO2、B23、P23等を含むことができる。尚、窒化アルミニウム接合体が腐食性ガス環境下で用いられる場合には、接合層3に含まれるシリカは10重量%以下であることが好ましい。シリカの含有量を10重量%以下に抑えることにより、腐食性ガスに対する耐食性を維持できる。
【0030】
接合層3に含まれるカルシウム又はアルミニウムの少なくとも1つを含む酸化物以外の酸化物の総量は、20重量%未満であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
【0031】
接合層3は、窒素を15〜30重量%、酸素を10〜35重量%、アルミニウムを20〜55重量%、カルシウムを5〜20重量%含むことが好ましい。このような接合層3の組成により、接合部分の強度や気密性を向上できる。接合層3は、例えば、化合物N−O−Al−Caや、化合物N−O−Al−Ca−X(Xは希土類元素)、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウムアルミニウム等を含むことができる。
【0032】
接合層3の厚さは、1〜150μmであることが好ましい。より好ましい接合層3の厚さは、3〜100μmである。接合層3における窒化アルミニウムの最大粒子径は、45μm以下であることが好ましい。より好ましい窒化アルミニウムの最大粒子径は、32μm以下である。これらによれば、接合部分の強度や気密性を向上できる。
【0033】
窒化アルミニウム焼結体1,2の純度は、85%以上であることが好ましい。より好ましくは、90%以上である。これによれば、不純物の影響を少なくすることができる。
【0034】
窒化アルミニウム焼結体1,2の平均粒子径は、0.5〜15.0μmであることが好ましい。より好ましい窒化アルミニウム焼結体1,2の平均粒子径は、0.5〜5.0μmである。窒化アルミニウム焼結体1,2の密度は、3.00〜3.35g/cm3であることが好ましい。より好ましい窒化アルミニウム焼結体1,2の密度は、3.10〜3.35g/cm3である。これらによれば、窒化アルミニウム接合体10の強度を向上できる。
【0035】
窒化アルミニウム接合体10の室温における4点曲げ強度(JIS R1601)は、250MPa以上であることが好ましい。より好ましい室温4点曲げ強度は、300MPa以上である。
【0036】
窒化アルミニウム接合体は、図2に示すような発熱体24を含む加熱装置20とすることができる。加熱装置20は、円盤状部材(プレート)21と、管状部材(シャフト)22とを、接合層23を介して接合した窒化アルミニウム接合体である。
【0037】
円盤状部材21は、窒化アルミニウム焼結体である。円盤状部材21は、半導体基板(ウェハ)が載置される載置面21aを有する。円盤状部材21は、内部に発熱体24を含む。発熱体24は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の抵抗発熱体を用いることができる。発熱体24は、線状、コイル状、メッシュ状、シート状、バルク状等のものを用いることができる。
【0038】
管状部材22は、窒化アルミニウム焼結体である。管状部材22は、円盤状部材21を支持すると共に、給電部材25を管内に収納する。管状部材22は、円盤状部材21の背面(載置面21aと反対側の面)に、接合層23を介して取り付けられている。給電部材25は、発熱体24に電力を供給する。給電部材25の端部は、発熱体24の端子にろう付け等により接続されている。
【0039】
接合層23は、窒素、酸素、アルミニウム、カルシウムを含み、希土類元素が15重量%未満に抑えられている。接合層23は、円盤状部材21の背面と管状部材22の端面とを接合する。
【0040】
又、窒化アルミニウム接合体は、図3に示すような電極34を含む静電チャック30とすることができる。静電チャック30は、誘電体層31と、基体32とを、接合層33を介して接合した窒化アルミニウム接合体である。
【0041】
誘電体層31、基体32は、窒化アルミニウム焼結体である。誘電体層31は、半導体基板(ウェハ)が載置される載置面31aを有する。誘電体層31と基体32は、両者の間に電極34を介在させ、接合層33を介して接合されている。
【0042】
電極34は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の高融点金属を用いることができる。電極34は、半円状、櫛形状、リング状、メッシュ状、バルク状等のものを用いることができる。電極34には、端子35がろう付け等により接続されている。
【0043】
接合層33は、窒素、酸素、アルミニウム、カルシウムを含み、希土類元素が15重量%に抑えられている。接合層33は、誘電体層31の背面(載置面31aと反対側の面)と、基体32の上面とを接合する。接合層33は、電極34の周辺を埋めるようにして設けられる。
【0044】
窒化アルミニウム接合体には、他にも、管状の窒化アルミニウム焼結体同士を接合したものや、円盤状や板状の窒化アルミニウム焼結体同士を接合したもの、発熱体と電極の両方を含む加熱処理が可能な静電チャック等があり、その形状や用途は限定されない。
【0045】
〔製造方法〕
(接合剤)
まず、少なくとも酸化カルシウムアルミニウムを生成する化合物(酸化カルシウムアルミニウム源)を秤量し、混合する。酸化カルシウムアルミニウム源の化合物としては、酸化カルシウム、炭酸カルシウム(CaCO3)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等のカルシウム化合物と、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)等のアルミニウム化合物とを用いることができる。このようなカルシウム化合物やアルミニウム化合物は、酸化カルシウム源、酸化アルミニウム源にもなる。融材は、化合物を、酸化カルシウム換算量で酸化カルシウム30〜70重量%、酸化アルミニウム換算量で酸化アルミニウム30〜70重量%の配合比となるように混合し、溶融して作製することが好ましい。
【0046】
更に、必要に応じて、配合可能なアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ガラス形成材等の酸化物源の化合物も秤量し、混合してもよい。アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ガラス形成材等の酸化物源の化合物には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ガラス形成材に含まれる元素の水酸化物、酸化物等を用いることができる。
【0047】
混合した化合物を1400〜1600℃で加熱して溶融し、冷却後、粉砕して融材を得る。このようにして得られた融材は、少なくとも酸化カルシウムアルミニウムを含んでいる。更に、融材は、混合した化合物や加熱温度、加熱時間等に応じて、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ガラス形成材等を含む。酸化カルシウムアルミニウムとしては、Ca12Al1433、又は、Ca3Al26の少なくとも1つを含んでいる。
【0048】
あるいは、酸化カルシウムと酸化アルミニウムを秤量し、混合して、酸化カルシウムと酸化アルミニウムを含む融材としてもよい。その場合、酸化カルシウム30〜70重量%、酸化アルミニウム30〜70重量%の配合比となるように混合することが好ましい。
【0049】
いずれの場合も、融材は、カルシウムを30〜80重量%、アルミニウムを20〜70重量%含んでいることが好ましい。このようして得られた融材と、窒化アルミニウム粉末を秤量し、混合することにより、接合剤を得る。
【0050】
(窒化アルミニウム焼結体)
窒化アルミニウム粉末、必要に応じて焼結助剤を秤量し、バインダを加えて混合する。得られた混合物をCIP(Cold Isostatic Pressing)、スリップキャスト、金型成形法等の成形方法により成形する。尚、図2に示した加熱装置20を製造する場合には、成形体中に発熱体24を埋設しておく。例えば、混合物を用いて予備成形体を製造し、予備成形体の上面に発熱体24を載せ、発熱体24の上面に混合物を充填させることにより、発熱体24を含む成形体を得ることができる。
【0051】
得られた成形体を、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中又は減圧雰囲気中で、ホットプレス法、常圧焼結法等の焼結方法により、1700〜2000℃で焼成する。そして、得られた窒化アルミニウム焼結体を加工する。窒化アルミニウム焼結体の接合面(接合剤との接触面)の平均表面粗さ(Ra)が0.1〜2.0μmとなるように加工することが好ましい。これによれば、接合部分の強度や気密性をより向上できる。より好ましい平均表面粗さは、0.4〜1.2μmである。例えば、平面研削盤や高速ラップ盤等を用いて、窒化アルミニウム焼結体を加工することにより、所望の表面粗さを得ることができる。
【0052】
(窒化アルミニウム接合体)
複数の窒化アルミニウム焼結体間に、酸化カルシウムアルミニウム、又は、酸化カルシウム及び酸化アルミニウムを含み、希土類元素が5重量%未満である融材と、窒化アルミニウム粉末とを含む接合剤を介在させ、1500℃以下の接合温度で加熱する。
【0053】
窒化アルミニウム焼結体の接合面に、接合剤を塗布する。接合剤は、接合する窒化アルミニウム焼結体の一方に塗布してもよく、両方に塗布してもよい。接合剤は、塗布しやすいようにIPA(イソプロピルアルコール)、エタノール等と混合して用いることができる。又、接合剤をシート状に成形し、窒化アルミニウム焼結体間に挟んでもよい。接合剤の量は均一となるようにし、5〜35g/cm2することが好ましい。より好ましい接合剤の量は、10〜30g/cm2である。
【0054】
窒化アルミニウム焼結体の接合面同士を貼り合わせ、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中又は減圧雰囲気中で、1500℃以下の接合温度で加熱する。これによれば、低い接合温度で良好な接合状態を得ることができ、窒化アルミニウム焼結体の変形を小さくできる。接合温度は、1400〜1500℃であることがより好ましい。窒化アルミニウム焼結体の大きさや形状にもよるが、1500℃以下の接合温度で、5分〜3時間保持することが好ましい。
【0055】
接合温度での保持中に、接合剤を介在させた窒化アルミニウム焼結体を加圧することが好ましい。これによれば、接合部分の強度や気密性をより向上できる。加圧は、接合温度までの昇温中や接合温度からの冷却中にも行ってもよい。加圧は、接合面と垂直な方向から、窒化アルミニウム焼結体同士を押しつけるように行う。加える圧力は、窒化アルミニウム焼結体の大きさや形状にもよるが、5〜200kg/cm2が好ましい。
【0056】
接合温度までは、昇温速度0.5〜10.0℃/分で昇温することが好ましい。昇温速度が0.5℃/分未満であると、融材が結晶化して融点が上がり、接合性が悪くなるおそれがある。10.0℃/分を越えると製造工程において破損し、歩留まりが低下するおそれがある。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の接合剤、及び、それを用いた窒化アルミニウム接合体の製造方法によれば、1500℃以下の低い接合温度で、良好な接合状態を得ることができる。そのため、得られる窒化アルミニウム接合体は、接合状態が良好で、かつ、窒化アルミニウム焼結体の変形が小さい。しかも、接合温度が低いため、接合に必要なエネルギーを低減でき、接合後の再度の加工も不要とできることから、製造コストを大幅に低減できる。
【0058】
又、発熱体を含む加熱装置や電極を含む静電チャックの製造過程において、本実施形態の接合剤を用いて接合を行う場合には、1500℃以下の低い接合温度で接合できるため、発熱体や電極の変質を防止でき、窒化アルミニウム焼結体の体積抵抗率の変化を抑制できる。よって、均熱性に優れた加熱装置や、吸着力の均一性に優れた静電チャックを得ることができる。
【実施例】
【0059】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0060】
〔実施例1〜11、比較例1〜3〕
(窒化アルミニウム焼結体)
窒化アルミニウム粉末95重量%に、焼結助剤として酸化イットリウム5重量%を加え、ボールミルを用いて混合した。得られた混合粉末に、バインダを添加し、噴霧造粒法により造粒した。得られた造粒粉を金型成形及びCIPにより板状と管状に成形した。得られた板状の成形体を窒素ガス中でホットプレス法により、管状の成形体を窒素ガス中で常圧焼成により1860℃で6時間焼成した。
【0061】
得られた窒化アルミニウム焼結体の大きさは、板状の焼結体が60mm角、厚さ20mmであり、管状の焼結体が外径58mm、内径20mm、長さ20mmであった。窒化アルミニウム焼結体の平面度が10μm以下となるように加工した。
【0062】
(接合条件)
表1,2に示す接合剤を、窒化アルミニウム焼結体の接合面に、接合剤の量が14g/cm2となるように均一に塗布した。窒化アルミニウム焼結体の接合面同士を貼り合わせ、窒素ガス中で、接合温度1450℃で2時間保持した。昇温速度は3.3℃/分とし、窒素ガス(N21.5atm)は1200℃から導入した。又、接合面と垂直な方向から窒化アルミニウム焼結体同士を押しつけるように加圧した。加圧は、圧力40kg/cm2で行い、1200℃から開始し、接合温度1450℃で保持している間続け、700℃に冷却した時点で終了した。
【0063】
(評価方法)
得られた窒化アルミニウム接合体の接合部分について、強度、耐食性、気密性、欠陥の有無を評価した。強度は、JIS R1601に従い、室温で4点曲げ強度を測定した。強度は、耐久性試験及び耐食性試験前(以下「初期状態」という)、耐久性試験後、耐食性試験後にそれぞれ測定した。耐久性試験は、大気中において、窒化アルミニウム接合体を700℃まで加熱し、室温まで冷却する処理を100回繰り返して行った。
【0064】
耐食性試験は、NF3ガス75sccm、窒素ガス100sccmの0.1Torrの腐食性ガス雰囲気中において、窒化アルミニウム接合体を540℃で5時間保持して行った。又、初期状態と耐食性試験後に、SEM(走査型電子顕微鏡)による接合部分の観察を行って変化を比較した。耐食性試験後の4点曲げ強度、SEMによる観察結果を総合的に評価して耐食性を評価した。表1,2には、初期状態及び耐久性試験後の4点曲げ強度を示す。又、表1,2には、耐食性を、耐食性が高い「高」、耐食性が低い「低」、両者の中間「中」の3段階で示す。
【0065】
気密性は、ヘリウムガスを窒化アルミニウム接合体外部から導入し、接合部分から管状の焼結体の管内に流入したヘリウムガスのリーク量を、ヘリウムリークディテクターを用いて測定した。接合部分の欠陥の有無は、超音波探傷器を用い、接合部分を調べた。表1,2には、接合剤を塗布した全面積に対し接合された割合を示す。
【0066】
更に、接合前後における窒化アルミニウム焼結体の変形量を調べるために、窒化アルミニウム接合体の平面度を、3次元測定器により測定した。平面度を17点測定し、それらの平面度の差が30μm以下であれば、変形が小さいと判断した。又、接合体の組成をEDS(Energy Dispersion Spectroscopy,日本電子(株)製JED-2200)により調べた。更に、融材の組成をX線回折分析法により分析した。
【0067】
まず、酸化カルシウムアルミニウム源、酸化カルシウム源及び酸化アルミニウム源の化合物として、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムを用いて実施例1〜8の融材を作製し、試験を行った。実施例1〜8の融材は、表1に示す配合比で化合物を秤量して混合した。表1では、炭酸カルシウムと水酸化カルシウムの配合比を、炭酸カルシウム換算量と酸化アルミニウム換算量で示している。更に、比較例1〜3として表1に示す配合比となるように化合物を秤量して混合し、融材を作製した。
【0068】
混合した化合物を大気中で加熱して溶融し、水中に投入して冷却した後、32μmの篩を通るまでボールミルにて粉砕して、融材を作製した。又、粒径が32μm以下の窒化アルミニウム粉末を用意した。作製した各融材と窒化アルミニウム粉末を秤量し、融材60重量%、窒化アルミニウム粉末40重量%の割合で、乳鉢を用いて混合した。得られた接合剤を用い、上記接合条件で窒化アルミニウム焼結体を接合させ、上記評価方法により評価を行った。結果を表1に示す。又、実施例1の配合比で作成した融材のX線回折図を図4に示す。図4において、縦軸は強度(cps)であり、横軸は2θ(deg.)である。
【表1】

【0069】
図4に示すように、実施例1の配合比で炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムを混合し、溶融させて得られた融材は、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、及び、酸化カルシウムアルミニウムとしてCa12Al1433及びCa3Al26を含むことが分かった。実施例2〜4も同様であった。
【0070】
表1に示すように、酸化カルシウムアルミニウムや酸化カルシウム、酸化アルミニウムを含み、これらの酸化物以外の酸化物を含まない融材を用いた接合剤による実施例1〜4の窒化アルミニウム接合体は、初期状態における接合部分の強度が高く、耐久性試験後も強度低下が見られなかった。
【0071】
特に、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムを、酸化カルシウム換算量で40〜60重量%、酸化アルミニウム換算量で40〜60重量%の範囲内で配合し、カルシウムが45〜70重量%、アルミニウムが30〜55重量%の範囲内にある融材を用いた実施例1,2の窒化アルミニウム接合体は、初期状態、耐久性試験後いずれにおいても、4点曲げ強度が300MPa程度あり、強度が高かった。実施例1の接合層の組成は、窒素が25重量%、酸素が13重量%、アルミニウムが51重量%、カルシウムが8重量%、イットリウムが3重量%であった。又、実施例2の接合層の組成は、窒素が17重量%、酸素が32重量%、アルミニウムが26重量%、カルシウムが17重量%、イットリウムが8重量%であった。
【0072】
又、実施例1〜4の窒化アルミニウム接合体は、耐食性試験後も、腐食の様子は観察されず、強度低下も見られなかった。即ち、実施例1〜4の窒化アルミニウム接合体は、耐食性にも優れていた。更に、実施例1,2の窒化アルミニウム接合体は、リーク量が1×10-8Torr・l/sec以下に抑えられており、接合部分の気密性が高かった。又、実施例1,2の窒化アルミニウム接合体は、接合部分に欠陥も見られず、接合状態が非常に良好であった。
【0073】
酸化カルシウムアルミニウムや酸化カルシウム、酸化アルミニウムを含み、これら以外の酸化物として酸化マグネシウムやシリカを10重量%未満の範囲内で含む融材を用いた接合剤による実施例5〜8の窒化アルミニウム接合体も、初期状態において高い強度を示した。特に、酸化マグネシウムを含む融材を用いた実施例5は、耐久性試験後も強度低下が見られず耐久性に優れており、耐食性、気密性にも優れ、接合部分に欠陥も見られなかった。又、シリカの含有量が0.01〜5重量%の範囲内にある実施例7,8の窒化アルミニウム接合体は、初期状態において4点曲げ強度が300MPa程度あり、強度が高かった。更に、耐久性試験後も強度低下が見られず耐久性に優れており、耐食性も非常に高かった。このように、融材が酸化カルシウムアルミニウム、酸化カルシウム及び酸化アルミニウム以外の酸化物を含んだ場合であっても、低い接合温度で良好な接合状態が得られることが分かった。
【0074】
尚、実施例1〜8の窒化アルミニウム接合体はいずれも、接合による変形が小さかった。又、初期状態のSEM観察の結果、接合層の厚さは10〜80μmであり、均一な組織が得られていた。
【0075】
これらの実施例1〜8に対し、酸化カルシウムと酸化アルミニウムと酸化イットリウム5重量%を配合して作製した融材を用いた接合剤の比較例1は、1450℃の接合温度では窒化アルミニウム焼結体を接合することができなかった。
【0076】
又、酸化カルシウム又は酸化アルミニウムのいずれかを配合せずに作製した融材を用いた接合剤の比較例2,3では、接合できるものの、接合部分の強度が非常に低かった。更に、比較例2,3の窒化アルミニウム接合体は、耐食性に劣っていた。又、比較例2,3の窒化アルミニウム接合体は、リーク量が1×10-8Torr・l/secを越えており、気密性にも劣っていた。比較例2,3では、融材に含まれる珪素(Si)の腐食がSEMにより観察された。
【0077】
更に、実施例1の接合体のSEMによる観察写真を図5に示す。図5に示すように、実施例1の接合剤により、窒化アルミニウム焼結体1,2が接合層3を介して強固に接合された接合体10が得られた。又、実施例1の接合体の組成のEDSによる分析結果を図6〜10に示す。
【0078】
図6は窒素、図7は酸素、図8はアルミニウム、図9はカルシウム、図10はイットリウムの分布状態を示す。図6〜図10には、分布状態測定対象の元素の信号強度レベルのカウント数(左側の数値)、その信号強度が占める割合(右側の数値)を併記する。図6〜図9に示すように、接合層には、窒素、酸素、アルミニウム、カルシウムが含まれていた。又、図10に示すように、窒化アルミニウム焼結体に含まれていたイットリウムが、微量ながら接合層に拡散していることが分かった。又、図9に示すように、接合剤に含まれていたカルシウムが接合層周辺の窒化アルミニウム焼結体に拡散していることが分かった。
【0079】
次に、表1に示した実施例1の融材を用い、融材と窒化アルミニウム粉末の配合比だけを、表2に示すように変化させて同様に試験を行った。結果を表2に示す。
【表2】

【0080】
表2に示すように、実施例1,9〜11の窒化アルミニウム接合体は、初期状態における接合部分の強度が高く、耐久性試験後も強度低下が見られなかった。又、実施例1,9〜11の窒化アルミニウム接合体は耐食性にも優れていた。このように、融材と窒化アルミニウム粉末の様々な配合比において、低い接合温度で良好な接合状態が得られることが分かった。
【0081】
特に、融材を10〜90重量%、窒化アルミニウム粉末を10〜90重量%含む実施例1,9の窒化アルミニウム接合体は、初期状態、耐久性試験後いずれにおいても、4点曲げ強度が350MPa程度あり、最も強度が高かった。又、実施例1,9の窒化アルミニウム接合体は、接合部分の気密性も高く、接合部分に欠陥も見られず、接合状態が最も良好であった。
【0082】
〔実施例12〕
図2に示した加熱装置20を製造した。実施例1〜11と同様にして得られた造粒粉を金型成形により成形した円盤状部材21用の成形体と、CIPにより成形した管状部材22用の成形体に成形した。尚、円盤状部材21用の成形体には、コイル状のモリブデンの発熱体24を埋設させた。得られた成形体を、窒素ガス中でホットプレス法により1860℃で6時間焼成した。得られた窒化アルミニウム焼結体の大きさは、円盤状部材21が、直径340mm、厚さ20mmであり、管状部材22が外径70mm、内径60mm、長さ180mmであった。円盤状部材21の載置面21aの平面度が10μm以下となるように加工した。
【0083】
表1,2に示した実施例1の接合剤を、管状部材22の端面に、接合剤の量が18g/cm2となるように均一に塗布した。円盤状部材21の背面と、管状部材22の端面とを貼り合わせ、実施例1〜11と同様の条件で加圧しながら、熱処理した。発熱体24の端子に給電部材25の端部をろう付けし、加熱装置20を得た。
【0084】
得られた加熱装置20の載置面21aの平面度を3次元測定器により測定した。平面度を13点測定し、それらの平面度の差を求めたところ、30μm以下であり、変形が小さく抑えられていた。又、載置面21aにおける面内温度差を測定したところ、同心円上での温度差の接合前後での変化量が±0.5℃以内に抑えられており、均熱性にも優れていた。JIS R1601に従って室温で4点曲げ強度を測定したところ、ろう付けによっても強度が低下せず、良好な接合状態が保たれていた。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態に係る窒化アルミニウム接合体の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る加熱装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る静電チャックの断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る融材のX線回折図である。
【図5】本発明の実施形態に係る接合体のSEM観察結果を示す図面代用写真である。
【図6】本発明の実施形態に係る接合体のEDSによる窒素分布の分析結果を示す図面代用写真である。
【図7】本発明の実施形態に係る接合体のEDSによる酸素分布の分析結果を示す図面代用写真である。
【図8】本発明の実施形態に係る接合体のEDSによるアルミニウム分布の分析結果を示す図面代用写真である。
【図9】本発明の実施形態に係る接合体のEDSによるカルシウム分布の分析結果を示す図面代用写真である。
【図10】本発明の実施形態に係る接合体のEDSによるイットリウム分布の分析結果を示す図面代用写真である。
【符号の説明】
【0086】
1,2…窒化アルミニウム焼結体
3,23,33…接合層
10…窒化アルミニウム接合体
20…加熱装置
21…円盤状部材
22…管状部材
24…発熱体
25…給電部材
30…静電チャック
31…誘電体層
32…基体
34…電極
35…端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化カルシウムアルミニウム、又は、酸化カルシウム及び酸化アルミニウムを含み、希土類元素が5重量%未満である融材と、窒化アルミニウム粉末とを含むことを特徴とする接合剤。
【請求項2】
前記酸化カルシウムアルミニウムは、Ca12Al1433、又は、Ca3Al26の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の接合剤。
【請求項3】
前記融材は、カルシウムを30〜80重量%、アルミニウムを20〜70重量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の接合剤。
【請求項4】
前記融材は、シリカを0.01〜5重量%含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接合剤。
【請求項5】
前記融材を10〜90重量%、前記窒化アルミニウム粉末を10〜90重量%含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接合剤。
【請求項6】
前記融材及び前記窒化アルミニウム粉末の最大粒子径が45μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の接合剤。
【請求項7】
複数の窒化アルミニウム焼結体と、
該複数の窒化アルミニウム焼結体間に形成され、窒素、酸素、アルミニウム、カルシウムを含み、希土類元素が15重量%未満である接合層と
を備えることを特徴とする窒化アルミニウム接合体。
【請求項8】
前記接合層は、窒素を15〜30重量%、酸素を10〜35重量%、アルミニウムを20〜55重量%、カルシウムを5〜20重量%含むことを特徴とする請求項7に記載の窒化アルミニウム接合体。
【請求項9】
前記窒化アルミニウム接合体は、発熱体を含む加熱装置、又は、電極を含む静電チャックであることを特徴とする請求項7又は8に記載の窒化アルミニウム接合体。
【請求項10】
複数の窒化アルミニウム焼結体間に、酸化カルシウムアルミニウム、又は、酸化カルシウム及び酸化アルミニウムを含み、希土類元素が5重量%未満である融材と、窒化アルミニウム粉末とを含む接合剤を介在させ、1500℃以下の接合温度で加熱することを特徴とする窒化アルミニウム接合体の製造方法。
【請求項11】
昇温速度0.5〜10.0℃/分により前記接合温度まで昇温することを特徴とする請求項10に記載の窒化アルミニウム接合体の製造方法。
【請求項12】
前記窒化アルミニウム焼結体の接合面の平均表面粗さが0.1〜2.0μmであることを特徴とする請求項10又は11に記載の窒化アルミニウム接合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−169092(P2006−169092A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234999(P2005−234999)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】