説明

接合方法及び接合体

【課題】導電性接着部を介して金属部材同士を接合するに際し、金属部材と導電性接着部の接触抵抗を低減せしめる接合方法、及びその接合方法を用いて得られる接合体を提供すること。
【解決手段】第1金属部材2と第2金属部材3を、導電性接着部を介して接合する接合方法であって、該第1金属部材2と該導電性接着部との間に、該導電性接着部の金属微粒子を構成する金属及び該第1金属部材2を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなる第1接合補助部6を設ける、及び/又は該第2金属部材3と該導電性接着部との間に、該導電性接着部の金属微粒子を構成する金属及び該第2金属部材3を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなる第2接合補助部7を設ける、接合方法及び接合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部材同士を導電性接着部を介して接合する接合方法、及び該接合方法を用いて得られる接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の基板への実装や電極間の接合に、樹脂バインダー中に銀や銅などの導電性金属微粒子を分散させた導電性接着剤を用いる方法が知られている。この方法では、導電性接着剤によって形成された導電性接着部を介して、金属部材同士が接合する。
近年、各種電子機器の小型化、高機能化にともなって、電子部品の高実装密度の要求は高まる一方であり、これに対応して、上記の導電性接着部にも微細化が求められるケースが増えている。その一例として、多層プリント配線板の層間接続部の微細化が挙げられる。
多層プリント配線板は、配線層を多層化した構造を有するものであり、配線層と配線層を電気的に接続する方法として、配線層と配線層との間にビアホールを設け、当該ビアホールに導電性ペーストを充填することで層間接続する方法や、配線層と配線層の間に存在する非導電層を貫通する導電性バンプを設けることで層間接続する方法が知られている(特許文献1、2参照)。配線層の多層化は高密度化の要請に応じてできたものであるが、さらなる高密度化に対応するためには、層間接続部の微細化が求められるようになってきている。しかし、層間接続部を微細化すると、層間接続部と配線層との接触面積が小さくなって層間接続部と配線層の界面における接触抵抗が大きくなり、十分な導通が得られなくなる(接続信頼性が低くなる)という問題が生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−268345号公報
【特許文献2】特許3167840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであって、導電性接着部を介して金属部材同士を接合するに際し、金属部材と導電性接着部の接触抵抗を低減せしめる接合方法、及びその接合方法を用いて得られる接合体を提供するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
第1金属部材と第2金属部材を、粒径0.5〜5μmの金属微粒子とバインダー樹脂を含む導電性接着部を介して接合する接合方法であって、該第1金属部材と該導電性接着部との間に、該導電性接着部の金属微粒子を構成する金属及び該第1金属部材を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなる第1接合補助部を設ける、及び/又は該第2金属部材と該導電性接着部との間に、該導電性接着部の金属微粒子を構成する金属及び該第2金属部材を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなる第2接合補助部を設ける、接合方法
を提供するものである。
【0006】
本発明は、さらに
上記の接合方法を用いて得られる、第1金属部材、第2金属部材、導電性接着部、及び第1接合補助部並びに第2接合補助部の少なくとも一方、を含む接合体
を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導電性接着部と金属部材の間における接触抵抗を低減することができる。これによって、導電性接着部を微細化させても十分な導通が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の一つの実施形態として、本発明の接合方法を導電性バンプによる層間接続に応用した場合に形成される積層体の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の接合方法及び接合体について説明する。
【0010】
本発明の接合方法は、第1金属部材と第2金属部材を、粒径0.5〜5μmの金属微粒子とバインダー樹脂を含む導電性接着部を介して接合する接合方法であって、該第1金属部材と該導電性接着部との間に、該導電性接着部の金属微粒子を構成する金属及び該第1金属部材を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなる第1接合補助部を設ける、及び/又は該第2金属部材と該導電性接着部との間に、該導電性接着部の金属微粒子を構成する金属及び該第2金属部材を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなる第2接合補助部を設ける。
また、本発明の接合体は上記の接合方法を用いて得られるものであり、第1金属部材、第2金属部材、導電性接着部、及び第1接合補助部並びに第2接合補助部の少なくとも一方、を含む。
【0011】
本発明においては、第1接合補助部が導電性接着部と第1金属部材の間に設けられることによって、導電性接着部と第1金属部材の間の抵抗低減を可能にしている。同様に、第2接合補助部が導電性接着部と第2金属部材の間に設けられることによって、導電性接着部と第2金属部材の間の抵抗低減を可能にしている。一般に、導通経路上の界面数が増加すると抵抗も増加する傾向があるが、驚くべきことに本発明においては第1接合補助部及び第2接合補助部を設けることが、抵抗低減に寄与している。
本発明においては、前記第1接合補助部と前記第2接合補助部の両方を設けることが好ましい。両方を設けた場合には、いずれか一方を設ける場合に比べて、第1金属部材と第2金属部材の間の抵抗がより大きく低減される。
【0012】
[第1金属部材、第2金属部材]
本発明の第1金属部材及び第2金属部材を構成する金属は、導電性の金属であれば特に限定されない。例えば、金、銀、銅ならびにAlなどの金属及びこれら金属を含む合金などを使用することができるが、導電性とコストの両面を考慮すると、銅を使用することが好ましい。また、形状についても特に限定されず、シート状、板状、棒状などいかなるものであってもよい。
【0013】
[導電性接着部]
本発明の導電性接着部は、平均粒径0.5〜5μmの金属微粒子及びバインダー樹脂を含むものである。
本発明の平均粒径0.5〜5μmの金属微粒子としては、例えば銀粉、金粉、銅粉、ニッケル粉、白金粉、パラジウム粉、半田粉、前記金属の合金粉末等の金属粉末等を使用することができる。これらの導電性粉末は二種以上併用することもできる。導電性とコストの両面を考慮すると、銀粉が好ましい。
導電性粉末の形態は、本発明の目的に反しない限り任意である。本発明では、例えば樹枝状、りん片状、球状、フレーク状の形態のもの、特に好ましくは、球状もしくはりん片状と球状の混合物、を使用することができる。
金属微粒子の平均粒径は0.5〜5μmであるが、0.5μm未満であると導電性が悪くなり、5μmを超えると微細パターンの印刷が困難である。平均粒径は、好ましくは0.8〜4.5μmであり、より好ましくは1.0〜4.0μmである。
なお、上記平均粒径はレーザー回折法により測定した値である。
【0014】
本発明のバインダー樹脂としては、従来から用いられてきた導電性接着剤のバインダー樹脂の中から適当なものを選択して使用できる。例えば、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0015】
導電性接着部は、平均粒径0.5〜5μmの金属微粒子とバインダー樹脂とを混合して調製された導電性接着剤を用いて形成される。
導電性接着剤中における金属微粒子の含有量は、バインダー樹脂成分の合計100質量部に対して、300質量部以上が好ましく、900質量部以上がより好ましく、1200質量部以上がさらに好ましい。導電性接着部の抵抗は、金属微粒子を多く配合するほど低下させることができる。一方で、金属微粒子の含有量が多すぎると、他の特性、例えば、第1金属部材や第2金属部材との接着性や、導電性接着部の成形性、とのバランスが悪くなるため、金属微粒子の含有量は6000質量部以下が好ましく、5000質量部以下がより好ましく、4800質量部以下がさらに好ましい。
導電性接着剤は必要に応じて更に溶剤を含んでもよい。また、顔料、チクソトロピー付与剤、消泡剤、分散剤、防錆剤、還元剤等も、必要に応じて含まれる。
【0016】
[第1接合補助部、第2接合補助部]
本発明の第1接合補助部は、導電性接着部の金属微粒子を構成する金属及び第1金属部材を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなる。
また、本発明の第2接合補助部は、導電性バンプの金属微粒子を構成する金属及び第2金属部材を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなる。
なお、上記平均一次粒子径は走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて測定した値である。
第1接合補助部及び第2接合補助部の大きさ、形状等は第1金属部材、第2金属部材、導電性接着部の大きさ、形状に合わせて、適宜選定される。例えば、第1金属部材及び導電性接着部が層状であるならば、その層間に第1接合補助部も層状に設けられる。
【0017】
第1接合補助部の形成方法としては、第1金属部材と導電性接着部の間に第1接合補助部を形成できる方法であれば、特に限定されない。例えば、第1金属部材に、ナノ粒子を含むペースト(以後、“ナノ粒子ペースト”とも呼ぶ)、導電性接着剤を順次塗布し、加熱することで、第1金属部材と導電性接着部の間に第1接合補助部を形成する方法が挙げられる。
第2接合補助部の形成方法も、第1接合補助部の形成方法と同様である。
第1接合補助部と第2接合補助部の両方を形成する場合には、例えば、第1金属部材/ナノ粒子ペースト/導電性接着剤/ナノ粒子ペースト/第2金属部材の構造体を形成した後、加熱して、第1金属部材/第1接合補助部/導電性接着部/第2接合補助部/第2金属部材の接合体を得る方法がある。また別の方法としては、例えば、第1金属部材/ナノ粒子ペースト/導電性接着剤の構造体を形成した後、加熱することで、第1金属部材/第1接合補助部/導電性接着部の構造体を形成しておいて、当該構造体にナノ粒子ペースト/第2金属部材の構造体を当接させて、加熱することで第1金属部材/第1接合補助部/導電性接着部/第2接合補助部/第2金属部材の接合体を得る方法もある。
【0018】
ナノ粒子ペーストは、ナノ粒子以外の成分として溶剤等を含んでもよいが、第1接合補助部形成時、第2接合補助部形成時には、実質的にはナノ粒子のみから形成されていることが、抵抗低減効果の観点から好ましい。ナノ粒子は、第1接合補助部、第2接合補助部が形成された段階では、その一部、又は全部が焼結体となっていてもよい。
【0019】
第1接合補助部を形成した際に抵抗低減効果が得られる理由については明らかではないが、次のように推測される。
第1接合補助部を設けない場合、マクロの視点では、第1金属部材と導電性接着部の界面全体が導通経路のように見えるが、実際には第1金属部材と導電性接着部中の金属微粒子が点接触しているものであり、さらに、導電性接着部に含まれるバインダー成分(導電性ではない)を加味すると、実効的な導通経路は少ないと考えられる。
一方で、第1接合補助部を設けた場合、ナノ粒子は粒径が導電性接着部の金属微粒子と比較してはるかに小さいた為、第1金属部材とナノ粒子の接触点は多く、実効的な導通経路は多くなる。特に、第1接合補助部が実質的にはナノ粒子のみからなる場合には、バインダー成分等による阻害が無いため、実効的な導通経路は大きくなる。また、第1接合補助部と導電性接着部の界面についても、粒径の小さいナノ粒子が、導電性接着部中の金属微粒子の間隙に入り込むようにして、金属微粒子と接触するため、金属微粒子とナノ粒子の接触点は多く、実効的な導通経路は大きくなる。また、ナノ粒子同士が加熱時に焼結体を形成するためアンカー層内部の抵抗も低下する。
さらに、ナノ粒子は導電性接着部の金属微粒子を構成する金属または第1金属部材を構成する金属と共通の金属を構成成分として有していることにより、導電性接着部または第1金属部材との馴染みがよく、抵抗低減に寄与していると考えられる。
【0020】
第1接合補助部のナノ粒子は、導電性接着部の金属微粒子を構成する金属で構成される方がより好ましく、ナノ粒子を構成する金属と導電性バンプの金属微粒子を構成する金属がともに銀であることが特に好ましい。
第1接合補助部のナノ粒子の平均一次粒子径は1〜100nmであり、1nm未満であると製造上困難であり、100nmを超えると低温焼結が困難である。第1接合補助部のナノ粒子の平均一次粒子径は、好ましくは5〜50nmである。
【0021】
第2接合補助部を形成した際に抵抗低減効果が得られる理由については、第1接合補助部を形成した際に抵抗低減効果が得られる理由として上述した理由が同様に推測される。
第2接合補助部のナノ粒子は導電性バンプの金属微粒子を構成する金属で構成される方がより好ましく、ナノ粒子を構成する金属と導電性バンプの金属微粒子を構成する金属がともに銀であることが特に好ましい。
第2接合補助部のナノ粒子の平均一次粒子径は1〜100nmであり、1nm未満であると製造上困難であり、100nmを超えると低温焼結が困難である。第2接合補助部のナノ粒子の平均一次粒子径は、好ましくは5〜50nmである。
また、第1接合補助部のナノ粒子と第2接合補助部のナノ粒子は、同一であっても異なってもよいが、製造工程の簡略化という観点からは、同一である方が好ましい。
【0022】
本発明の接合方法の一つの実施形態として、多層プリント配線板における導電性バンプによる層間接続に応用した例が挙げられる。当該実施形態に基づいて本発明を以下に詳細に説明するが、本発明は当該実施形態に何ら限定されるものではない。導電性接着部を介して金属部材同士を接合するものであれば、本発明の接合方法は幅広く応用できる。
【0023】
図1は、導電性バンプによって層間接続された積層体の一例を模式的に示すものである。積層体1は、第1金属シート2と第2金属シート3との間に非導電性シート4が挟まれており、導電性バンプ5が非導電性シート4を貫通することで第1金属シート2と第2金属シート3を電気的に接続している。図1の積層体においては、導電性バンプ5と第1金属シート2との間に第1接合補助部6が設けられ、かつ導電性バンプ5と第2金属シート3の間に第2接合補助部7が設けられているが、第1接合補助部6と第2接合補助部7は少なくとも一方が設けられていればよい。
【0024】
本実施形態の導電性バンプによる層間接続方法は、
(1)第1金属シート2上に、バインダー樹脂及び平均粒径0.5〜5μmの金属微粒子を含む導電性ペーストを塗工した後、加熱することにより該導電性ペーストを硬化させて、該第1金属シート2上に導電性パンプ5を形成する工程、
(2)該導電性パンプ5が形成された第1金属シート2上に非導電性シート4を積層配置した後、加圧することにより該導電性バンプ5を該非導電性シート4に貫通させる工程、及び
(3)第2金属シート3を、該導電性バンプ5によって貫通された該非導電性シート4上に積層配置し、加熱しながら加圧する工程
を含む層間接続方法であって、該工程(1)が該第1金属シート2と該導電性バンプ5との間に第1接合補助部6を設ける工程を含み、及び/又は該工程(3)が該第2金属シート3と該導電性バンプ5の間に第2接合補助部7を設ける工程を含む。
ここで第1接合補助部は導電性ペーストの金属微粒子を構成する金属及び第1金属シート2を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなり、第2接合補助部は導電性ペーストの金属微粒子を構成する金属及び第2金属シート4を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなる。
【0025】
工程(1):
工程(1)では、第1金属シート2上に、平均粒径0.5〜5μmの金属微粒子とバインダー樹脂とを混合して調製された導電性ペーストを塗工した後、加熱することにより該導電性ペーストを硬化させて、該第1金属シート2上に導電性パンプ5を形成する。
導電性ペーストの塗工方法は特に限定されないが、メタルマスクなどのマスクを用いて印刷する方法が挙げられる。加熱処理の温度、処理時間等は、用いる導電性ペーストの種類を考慮して適宜定めることができるが、一般的には150〜200℃程度で、10〜60分程度処理することが好ましい。
工程(1)が第1金属シート2と導電性バンプ5との間に第1接合補助部6を設ける工程を含む場合は、例えば、第1金属シート2上に、ナノ粒子ペーストを塗工し、その上に、導電性ペーストを塗工する。その後、加熱することで、第1金属シート2と導電性バンプ5の間に第1接合補助部6を設けることができる。ナノ粒子ペーストの塗工方法についても特に限定はされないが、メタルマスクなどのマスクを用いて印刷する方法が挙げられる。
【0026】
工程(2):
工程(2)では、導電性パンプ5が形成された第1金属シート2上に非導電性シート4を積層配置した後、加圧することにより該導電性バンプ5を該非導電性シート4に貫通させる。
加圧処理における圧力は、導電性バンプ5の硬度や用いる非導電性シート4の種類等を考慮して適宜定めることができるが、一般的には0.2〜0.4MPa程度が好ましい。
【0027】
工程(3):
工程(3)では、第2金属シート3を、導電性バンプ5によって貫通された非導電性シート4上に積層配置し、加熱しながら加圧する。
本工程において、第1金属シート2と第2金属シート3が導電性バンプ5を介して接合することになる。
加熱及び加圧の条件は、導電性バンプ5の硬度や用いる非導電性シートの4種類を考慮して適宜定めることができるが、一般的には100〜200℃程度に加熱しながら、10〜100MPa程度で加圧することが好ましい。
工程(3)が第2金属シート3と導電性バンプ5との間に第2接合補助部7を設ける工程を含む場合は、例えば、第2金属シート3の導電性バンプ5と当接する部分に、予めナノ粒子ペーストを塗工しておく方法が挙げられる。予めナノ粒子ペーストを塗工しておいた第2金属シート3を、ナノ粒子ペーストが導電性バンプ5と当接するようにして、加熱しながら加圧することで、第2金属シート3と導電性バンプ5の間に第2接合補助部7を設けることが可能となる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は以下に記載する方法になんら限定されるものではない。
【0029】
(1)積層体の作製
[実施例1](第1接合補助部を設けた構成)
ナノ銀ペーストを以下の方法により作製した。
炭酸銀64gとラウリルアミンn−C1225NH279gを三つ口フラスコに固体のまま入れ、N2雰囲気下で120℃まで加熱した。120℃で5時間保持した後、70℃に降温するまで放置し、70℃にてメタノールを加えて数回洗浄し、得られた粉末を減圧下で乾燥させた。得られた粉末を走査型透過電子顕微鏡(STEM)により観察した結果、平均一次粒子径は7.5nmであった。得られた粉末にターピネオール10gを加え十分に攪拌し、ナノ銀ペーストを得た。
銀ペーストを以下の方法により作製した。
フェノールメラミン樹脂100質量部に対してブチルカブビトールアセテート130質量部を均一に混合し、樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に平均粒径1μmの略球形銀粉(DOWAハイテック株式会社製、AG2−1C)900質量部を配合し、ヘラを用いてかき混ぜて軽くなじませた後、三本ロールミルを用いて分散し、銀ペーストを得た。
このようにして作製したナノ銀ペースト及び銀ペーストを以下の通り、積層体Aの作製工程で使用した。
銅箔上に、ナノ銀ペースト、銀ペーストを順次塗布し、200℃で20分加熱することで、銅箔上に、ナノ銀の第1接合補助部を介して導電性バンプを形成させた。この上にプリプレグを積層配置した後、0.3MPaで加圧することにより、導電性バンプをプリプレグに貫通させた。さらにその上に、銅箔を積層し、175℃に加熱しながら、40MPaで加圧した。このようにして、ナノ銀を含んでなる第1接合補助部を有する積層体Aを得た。
【0030】
[実施例2](第1接合補助部及び第2接合補助部を設けた構成)
ナノ銀ペースト及び銀ペーストを実施例1と同様の方法で作製し、以下の通り積層体Bの作製工程で使用した。
銅箔上に、ナノ銀ペースト、銀ペーストを順次塗布し、200℃で20分加熱することで、銅箔上に、ナノ銀からなる第1接合補助部を介して導電性バンプを形成させた。この上にプリプレグを積層配置した後、0.3MPaで加圧することにより、導電性バンプをプリプレグに貫通させた。さらにその上に、予めナノ銀ペーストを塗布しておいた銅箔をナノ銀ペーストと導電性バンプが当接するように積層し、175℃に加熱しながら、40MPaで加圧した。このようにして、このようにして、ナノ銀を含む第1接合補助部及び第2接合補助部を有する積層体Bを得た。
【0031】
[比較例1](第1接合補助部も第2接合補助部も設けない構成)
銀ペーストを実施例1と同様の方法で作製し、以下の通り積層体Cの作製工程で使用した。
銅箔上に、銀ペーストを塗布し、200℃で20分加熱することで、銅箔上に導電性バンプを形成させた。この上にプリプレグを積層配置した後、0.3MPaで加圧することにより、導電性バンプをプリプレグに貫通させた。さらにその上に、銅箔を積層し、175℃に加熱しながら、40MPaで加圧した。このようにして、第1接合補助部も第2接合補助部も有さない積層体Cを得た。
【0032】
(2)抵抗の測定
上記実施例1、2と比較例1で得た積層体A〜Cに対して、抵抗の測定を以下のようにおこなった。
ミリオームハイテスタ(3560 ACミリオームハイテスタ、日置電機株式会社)を用いて、積層体の第1金属シート(銅箔)および第2金属シート(銅箔)の露出している面に対し、+−端子をそれぞれ接触させることにより抵抗の測定を実施した。
【0033】
実施例1、2と比較例1の評価結果を以下の表1に示す。
【表1】

【符号の説明】
【0034】
1 積層体
2 第1金属シート
3 第2金属シート
4 非導電性シート
5 導電性バンプ
6 第1接合補助部
7 第2接合補助部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属部材と第2金属部材を、粒径0.5〜5μmの金属微粒子とバインダー樹脂を含む導電性接着部を介して接合する接合方法であって、
該第1金属部材と該導電性接着部との間に、該導電性接着部の金属微粒子を構成する金属及び該第1金属部材を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなる第1接合補助部を設ける、及び/又は該第2金属部材と該導電性接着部との間に、該導電性接着部の金属微粒子を構成する金属及び該第2金属部材を構成する金属からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属で構成される平均一次粒子径1〜100nmのナノ粒子を含んでなる第2接合補助部を設ける、接合方法。
【請求項2】
前記第1接合補助部及び前記第2接合補助部の両方を設ける、請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
前記第1接合補助部に含まれるナノ粒子が、前記導電性接着部の金属微粒子を構成する金属で構成される、請求項1または2に記載の接合方法
【請求項4】
前記第2接合補助部に含まれるナノ粒子が、前記導電性接着部の金属微粒子を構成する金属で構成される、請求項1〜3のいずれかに記載の接合方法
【請求項5】
前記導電性接着部の金属微粒子を構成する金属が銀である、請求項1〜4のいずれかに記載の接合方法。
【請求項6】
前記第1金属部材及び前記第2金属部材を構成する金属が銅である、請求項1〜5のいずれかに記載の接合方法。
【請求項7】
前記請求項1〜6の接合方法を用いて得られる、第1金属部材、第2金属部材、導電性接着部、及び第1接合補助部並びに第2接合補助部の少なくとも一方、を含む接合体。

【図1】
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【公開番号】特開2012−74627(P2012−74627A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219956(P2010−219956)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】