説明

接合方法及び蓋付構造体の製造方法

【課題】一対の金属部材同士の突合部を容易に接合するとともに、接合部分の気密性及び水密性を高めることが可能な接合方法を提供することを課題とする。
【解決手段】一対の板状の金属部材1a,1bを突き合わせて接合する接合方法であって、金属部材1bの端面と、金属部材1aの裏面12aとを突き合わせて突合部J1を形成する突合工程と、突合部J1に対して金属部材1a,1bの内隅から溶接を行う溶接工程と、金属部材1aの表面11a側から回転ツールGを挿入して突合部J1に対して摩擦攪拌接合を行う摩擦攪拌工程と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦攪拌を利用した接合方法及び蓋付構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属部材同士を接合する方法として、摩擦攪拌接合(FSW=Friction Stir Welding)が知られている。摩擦攪拌接合は、回転ツールを回転させつつ金属部材同士の突合部に沿って移動させ、回転ツールと金属部材との摩擦熱により突合部の金属を塑性流動させることで、金属部材同士を固相接合させるものである。なお、回転ツールは、円柱状を呈するショルダの下端面に攪拌ピン(プローブ)を突設してなるものが一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1には、アルミニウム製の真空チャンバを摩擦攪拌接合によって製造する方法が開示されている。図21は、従来の真空チャンバの製造方法を段階的に示した正面図である。図21の(a)に示すように、従来の真空チャンバの製造方法は、まず、対向する金属部材101,101の端部に段差102,102を形成し、段差102,102同士を突き合わせて、図21の(b)に示すように、突合部J1を形成する。そして、回転ツールを金属部材101に押し込んで突合部J1に対して摩擦攪拌接合を行うことで一体化することができる。突合部J1には、塑性流動した金属部材が硬化して塑性化領域Wが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−300481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の真空チャンバの製造方法によると、図21の(b)に示すように、塑性化領域Wが熱収縮するため、一方の金属部材101が反ってしまうという問題があった。また、熱収縮に起因して、金属部材101,101の内隅に欠損(Kissing Bond)Eが形成される可能性があった。従来の製造方法で形成された構造体は、構造上の問題はないが、接合部の水密性及び気密性を高めるための対策が必要になる場合がある。
【0006】
ここで、例えば、金属部材101,101の内側(内側の隅部)から摩擦攪拌接合を行えば、水密性及び気密性を高めることができると考えられる。しかし、筒状の構造体の内隅から摩擦攪拌接合をする場合など、接合する金属部材同士の突き合わせの形態によっては、摩擦攪拌装置の取り合い等により回転ツールを適切に可動させることが困難となり接合作業が煩雑になるという問題があった。
【0007】
このような観点から、本発明は、一対の金属部材同士の突合部を容易に接合するとともに、接合部分の気密性及び水密性を高めることが可能な接合方法及び蓋付構造体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために本発明は、一対の板状の金属部材を突き合わせて接合する接合方法であって、少なくとも一方の前記金属部材の端面と他方の前記金属部材の裏面とを突き合わせて突合部を形成する突合工程と、一方の前記金属部材の裏面と他方の前記金属部材の裏面で構成される内隅から前記突合部に対して溶接を行う溶接工程と、他方の前記金属部材の表面側から回転ツールを挿入して前記突合部に対して摩擦攪拌接合を行う摩擦攪拌工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
かかる接合方法によれば、一対の金属部材の内隅側及び外側から入熱されそれぞれ熱収縮が発生するため、金属部材の反りを是正することができる。また、溶接工程によれば、一対の金属部材の内隅に摩擦攪拌接合を施す場合に比べて、比較的容易に作業を行うことができるため、作業効率を高めることができる。溶接工程及び摩擦攪拌工程は、どちらを先に行ってもよいが、溶接工程を先に行うと、金属部材同士を仮付けした状態で摩擦攪拌接合を行うことができるため、作業効率を高めることができる。一方、摩擦攪拌工程を先に行うと、一対の金属部材の内隅に欠損が形成された場合であっても、溶接工程によって当該欠損を補修することができる。
【0010】
他方の前記金属部材の裏面を、第一裏面と、この第一裏面に対して段差のある第二裏面と、前記第一裏面と前記第二裏面とを連結する第三裏面とを備えるように形成し、前記突合工程では、一方の前記金属部材の前記端面と他方の前記金属部材の前記第二裏面とを突き合わせるとともに、一方の前記金属部材の裏面と他方の前記金属部材の前記第三裏面とを突き合わせて突合部を形成することが好ましい。
また、一方の前記金属部材の端面を、第一端面と、この第一端面に対して段差のある第二端面と、前記第一端面と前記第二端面とを連結する第三端面とを備えるように形成し、他方の前記金属部材の裏面を、第一裏面と、この第一裏面に対して段差のある第二裏面と、前記第一裏面と前記第二裏面とを連結する第三裏面とを備えるように形成し、前記突合工程では、一方の前記金属部材の前記第一端面と他方の前記金属部材の前記第二裏面とを突き合わせ、一方の前記金属部材の前記第三端面と他方の前記金属部材の前記第三裏面とを突き合わせ、一方の前記金属部材の前記第二端面と他方の前記金属部材の前記第一裏面とを突き合わせて突合部を形成することが好ましい。
また、一方の前記金属部材の端面に凹部及び凸部のいずれか一方を形成し、他方の前記金属部材の裏面に凹部及び凸部のいずれか他方を形成し、前記突合工程では、前記凹部と前記凸部とを係合させて突合部を形成することが好ましい。
かかる接合方法によれば、金属部材同士の位置合わせを容易に行うことができる。
【0011】
また、前記溶接工程では、前記内隅に現れる突合部に沿って形成された凹溝に溶接金属を充填することが好ましい。かかる接合方法によれば、凹溝に溶接金属を充填させることで溶接作業を容易に行うことができる。
【0012】
また、前記摩擦攪拌工程の前に、この摩擦攪拌工程で用いる回転ツールよりも小型の回転ツールを用いて前記突合部に対して仮接合を行う仮接合工程を含むことが好ましい。かかる接合方法によれば、仮接合によって金属部材同士を仮付けすることができるため、摩擦攪拌工程の作業性を高めることができる。
【0013】
また、前記突合部の両脇に一対のタブ材を配置して、前記タブ材に摩擦攪拌の開始位置及び終了位置を設定することが好ましい。かかる接合方法によれば、摩擦攪拌の開始位置及び終了位置を一対の金属部材の外部に設けることができるため、製品の品質を高めることができる。
【0014】
また、前記摩擦攪拌工程の前に、摩擦攪拌を行う前記回転ツールの挿入予定位置に予め下穴を形成する下穴形成工程を行うことが好ましい。かかる接合方法によれば、回転ツールを押し込む際の摩擦抵抗を低減することができる。
【0015】
また、本発明は、筒状を呈する構造体と前記構造体の開口を覆う蓋板とを有する蓋付構造体の製造方法であって、少なくとも前記構造体の開口側の端面に前記蓋板の裏面を突き合わせて突合部を形成する突合工程と、前記構造体の裏面と、前記蓋板の裏面で構成される内隅から前記突合部に対して溶接を行う溶接工程と、前記突合部に対して前記蓋板の表面側から回転ツールを挿入して摩擦攪拌接合を行う摩擦攪拌工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
かかる製造方法によれば、蓋付構造体の内隅側及び外側から入熱されそれぞれ熱収縮が発生するため、蓋板の反りを是正することができる。また、溶接工程によれば、蓋付構造体の内隅に摩擦攪拌接合を施す場合と比べて、比較的容易に作業を行うことができるため、作業効率を高めることができる。溶接工程及び摩擦攪拌工程は、どちらを先に行ってもよいが、溶接工程を先に行うと、構造体と蓋板とを仮付けした状態で摩擦攪拌接合を行うことができるため、作業効率を高めることができる。一方、摩擦攪拌接合を先に行うと、構造体の内隅に欠損が形成された場合であっても、溶接工程によって当該欠損を補修することができる。
【0017】
また、前記蓋板の裏面を、第一裏面と、この第一裏面に対して段差のある第二裏面と、前記第一裏面と前記第二裏面とを連結する第三裏面とを備えるように形成し、前記突合工程では、前記構造体の開口側の端面と前記蓋板の前記第二裏面とを突き合わせるとともに、前記構造体の裏面と前記蓋板の前記第三裏面とを突き合わせて突合部を形成することが好ましい。
また、前記構造体の開口側の端面を、第一端面と、この第一端面に対して段差のある第二端面と、前記第一端面と前記第二端面とを連結する第三端面とを備えるように形成し、前記蓋板の裏面を、第一裏面と、この第一裏面に対して段差のある第二裏面と、前記第一裏面と前記第二裏面とを連結する第三裏面とを備えるように形成し、前記突合工程では、前記構造体の前記第一端面と前記蓋板の第二裏面とを突き合わせ、前記構造体の前記第三端面と前記蓋板の前記第三裏面とを突き合わせ、前記構造体の前記第二端面と前記蓋板の第一裏面とを突き合わせて突合部を形成することが好ましい。
また、前記突合工程では、前記構造体の開口側の端面及び前記蓋板の裏面のいずれか一方に形成された凸部と、他方に形成された凹部とを係合させて突合部を形成することが好ましい。
かかる製造方法によれば、構造体と蓋板との位置合わせを容易に行うことができる。
【0018】
また、前記溶接工程では、前記内隅に現れる前記突合部に沿って形成された凹溝に溶接金属を充填することが好ましい。かかる製造方法によれば、凹溝に溶接金属を充填することで溶接作業を容易に行うことができる。
【0019】
また、前記摩擦攪拌工程の前に、この摩擦攪拌工程で用いる回転ツールよりも小型の回転ツールを用いて前記突合部に対して仮接合を行う仮接合工程を含むことが好ましい。かかる製造方法によれば、仮接合によって構造体と蓋板とを仮付けすることができるため、摩擦攪拌工程の作業性を高めることができる。
【0020】
また、前記構造体にタブ材を添設して、前記タブ材に摩擦攪拌の開始位置及び終了位置を設定することが好ましい。かかる製造方法によれば、摩擦攪拌の開始位置及び終了位置を蓋付構造体の外部に設けることができるため、構造体の品質を高めることができる。
【0021】
また、前記摩擦攪拌工程の前に、摩擦攪拌を行う前記回転ツールの挿入予定位置に予め下穴を形成する下穴形成工程を行うことが好ましい。かかる製造方法によれば、回転ツールを押し込む際の摩擦抵抗を低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る接合方法及び蓋付構造体の製造方法は、一対の金属部材同士の突合部を容易に接合するとともに、接合部の気密性及び水密性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第一実施形態に係る構造体を示した斜視図である。
【図2】(a)は、第一実施形態に係る金属部材を示した斜視図であって、(b)は、第一実施形態に係る金属部材及びタブ材を示した斜視図である。
【図3】(a)は、仮接合用回転ツールを示した側面図であり、(b)は、本接合用回転ツールを示した側面図である。
【図4】第一実施形態に係る接合方法の溶接工程を示した断面図である。
【図5】第一実施形態に係る接合方法を示した図であって、(a)は、タブ材配置工程を示した平面図、(b)は、仮接合工程を示した斜視図である。
【図6】第一実施形態に係る接合方法を示した図であって、(a)は、本接合工程を示した平面図、(b)は、(a)のI−I線断面図である。
【図7】第二実施形態に係る接合方法を示した断面図であって、(a)は、突合工程の前の状態を示し、(b)は、本接合工程を示す。
【図8】第一変形例に係る接合方法を示した断面図であって、(a)は、突合工程の前の状態を示し、(b)は突合工程の後の状態を示す。
【図9】第三実施形態に係る接合方法を示した断面図であって、(a)は、突合工程の前の状態を示し、(b)は、本接合工程を示す。
【図10】第二変形例に係る接合方法を示した断面図であって、(a)は、突合工程の前の状態を示し、(b)は、突合工程の後の状態を示す。
【図11】第四実施形態に係る接合方法を示した断面図であって、(a)は、突合工程の前の状態を示し、(b)は、本接合工程を示す。
【図12】第五実施形態に係る蓋付構造体の分解斜視図である。
【図13】第五実施形態に係る蓋付構造体の製造方法を示した断面図であって、(a)は、突合工程、(b)は、溶接工程を示す。
【図14】第五実施形態に係る蓋付構造体の製造方法を示した平面図であって、(a)は、タブ材配置工程、(b)は、仮接合工程を示す。
【図15】第五実施形態に係る蓋付構造体の製造方法の本接合工程を示した図であって、(a)は、斜視図、(b)は、(a)のII-II線断面図である。
【図16】第六実施形態に係る蓋付構造体の製造方法を示した断面図であって、(a)は、突合工程の前の状態を示し、(b)は、本接合工程を示す。
【図17】第三変形例に係る蓋付構造体の製造方法を示した断面図であって、(a)は、突合工程の前の状態を示し、(b)は、突合工程の後の状態を示す。
【図18】第七実施形態に係る蓋付構造体の製造方法を示した断面図であって、(a)は、突合工程の前の状態を示し、(b)は、本接合工程を示す。
【図19】第四変形例に係る蓋付構造体の製造方法を示した断面図であって、(a)は、突合工程の前の状態を示し、(b)は、突合工程の後の状態を示す。
【図20】第八実施形態に係る蓋付構造体の製造方法を示した断面図であって、(a)は、突合工程の前の状態を示し、(b)は、本接合工程を示す。
【図21】従来の真空チャンバの製造方法を段階的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第一実施形態]
本発明に係る接合方法について図面を用いて詳細に説明する。第一実施形態では、図1に示すように、正面視矩形の筒状を呈する構造体1を形成する際に、一対の金属部材を垂直に接合する場合を例示する。なお、説明における上下左右前後は、図1の矢印にしたがう。また、構造体1の内部を内側、外部を外側とする。
【0025】
図1に示すように、構造体1は、四枚の板状の金属部材(1a〜1d)をそれぞれ突き合わせた後に、回転ツールを用いて摩擦攪拌接合によって一体形成される。構造体1は、例えば、半導体製造装置用の真空チャンバとして用いられる。金属部材1aと金属部材1bは、正面視して垂直に突き合わされており、金属部材1aの表面(上面)側から摩擦攪拌を行って接合されている。同様の工程を構造体1の四隅に施すことで、構造体1が形成される。以下の説明では、四枚の金属部材のうち金属部材1a,1bの接合方法について説明する。
【0026】
まず、図2を用いて、接合すべき金属部材1a,1bを詳細に説明するとともに、この金属部材1a,1bを接合する際に用いられる第一タブ材2、第二タブ材3を詳細に説明する。
【0027】
図2の(a)に示すように、金属部材1a,1bは、断面視矩形を呈する板状部材であって、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金など摩擦攪拌可能な金属材料からなる。本実施形態では、金属部材1a及び金属部材1bを、同一組成の金属材料で形成している。金属部材1a及び金属部材1bの板厚は、同一の厚さtとなっている。金属部材1aの裏面12aの左端に、金属部材1bの端面13bが垂直に突き合わされる。金属部材1a,1bが突き合わされた部分には突合部J1が形成される。金属部材1aの端面13aと、金属部材1bの表面11bとは面一になる。金属部材1aの裏面12aと、金属部材1bの裏面12bとで形成される内側の角部を内隅という。金属部材1bの端面13bの内側(右端)には、断面視矩形の切欠き部12eが金属部材1bの長手方向に亘って連続して形成されている。なお、切欠き部12eの形状は、断面視矩形に限定されるものではない。
【0028】
図2の(b)に示すように、第一タブ材2及び第二タブ材3は、金属部材1a,1bの突合部J1をその長手方向両端側から挟むように配置されるものであって、それぞれ金属部材1a,1bに添設され、金属部材1a,1bの前面及び背面に現れる継ぎ目(境界線)を覆い隠す。第一タブ材2及び第二タブ材3の材質に特に制限はないが、本実施形態では、金属部材1a,1bと同一組成の金属材料で形成している。第一タブ材2及び第二タブ材3の形状・寸法にも特に制限はないが、本実施形態では、その厚さ寸法を金属部材1a,1bの厚さ寸法よりも大きくしている。金属部材1aの表面11aと、第一タブ材2の表面2a及び第二タブ材3の表面3aとはそれぞれ面一に形成している。また、金属部材1aの端面13a(金属部材1bの表面11b)と、第一タブ材2の表面2b及び第二タブ材3の表面3bとはそれぞれ面一になる。
【0029】
次に、図3を参照して、仮接合工程で用いる小型の回転ツール(以下、「仮接合用回転ツールF」という。)及び本接合工程で用いる大型の回転ツール(以下、「本接合用回転ツールG」という。)を詳細に説明する。
【0030】
図3の(a)に示す仮接合用回転ツールFは、工具鋼など金属部材1a,1bよりも硬質の金属材料からなり、円柱状を呈するショルダ部F1と、このショルダ部F1の下端面F11に突設された攪拌ピン(プローブ)F2とを備えて構成されている。仮接合用回転ツールFの寸法・形状は、金属部材1a,1bの材質や厚さ等に応じて設定すればよいが、少なくとも、後記する本接合用回転ツールG(図3の(b)参照)よりも小型にする。このようにすると、本接合よりも小さな負荷で仮接合を行うことが可能となるので、仮接合時に摩擦攪拌装置に掛かる負荷を低減することが可能となり、さらには、仮接合用回転ツールFの移動速度(送り速度)を本接合用回転ツールGの移動速度よりも高速にすることも可能になるので、仮接合に要する作業時間やコストを低減することが可能となる。
【0031】
ショルダ部F1の下端面F11は、塑性流動化した金属を押えて周囲への飛散を防止する役割を担う部位であり、本実施形態では、凹面状に成形されている。ショルダ部F1の外径Xの大きさに特に制限はないが、本実施形態では、本接合用回転ツールGのショルダ部G1の外径Yよりも小さくなっている。
【0032】
攪拌ピンF2は、ショルダ部F1の下端面F11の中央から垂下しており、本実施形態では、先細りの円錐台状に成形されている。また、攪拌ピンF2の周面には、螺旋状に刻設された攪拌翼が形成されている。攪拌ピンF2の外径の大きさに特に制限はないが、本実施形態では、最大外径(上端径)Xが本接合用回転ツールGの攪拌ピンG2の最大外径(上端径)Yよりも小さく、かつ、最小外径(下端径)Xが攪拌ピンG2の最小外径(下端径)Yよりも小さい。攪拌ピンF2の長さLは、金属部材1bの厚さt(図2の(a)参照)の3〜15%とすることが望ましいが、少なくとも、本接合用回転ツールGの攪拌ピンG2の長さLよりも小さくすることが望ましい。
【0033】
図3の(b)に示す本接合用回転ツールGは、工具鋼など金属部材1a,1bよりも硬質の金属材料からなり、円柱状を呈するショルダ部G1と、このショルダ部G1の下端面G11に突設された攪拌ピン(プローブ)G2とを備えて構成されている。
【0034】
ショルダ部G1の下端面G11は、仮接合用回転ツールFと同様に、凹面状に成形されている。攪拌ピンG2は、ショルダ部G1の下端面G11の中央から垂下しており、本実施形態では、先細りの円錐台状に成形されている。また、攪拌ピンG2の周面には、螺旋状に刻設された攪拌翼が形成されている。攪拌ピンG2の長さLは、金属部材1a厚さtの1/2以上3/4以下となるように設定することが望ましい。
【0035】
以下、本実施形態に係る接合方法を詳細に説明する。本実施形態に係る接合方法では、(1)準備工程、(2)溶接工程、(3)予備工程、(4)摩擦攪拌工程を行う。
【0036】
(1)準備工程
準備工程では、金属部材1a,1bに対して脱脂処理を行う脱脂工程と、金属部材1aと金属部材1bとを突き合わせる突合工程とを含む。
【0037】
脱脂工程では、金属部材1a,1b、第一タブ材2及び第二タブ材3を脱脂処理液内に浸けて、各部材が突き合わされる面に付着した加工油等の油脂分や汚れを取り除く。脱脂工程は、少なくとも各部材が突き合わされる面に対して処理を行えばよいが、突合せ面に隣接する面に対して脱脂処理を行ってもよい。
【0038】
突合工程では、図2の(a)に示すように、金属部材1a,1bの端部同士を垂直に突き合わせる。本実施形態では、金属部材1aの裏面12aの左端に、金属部材1bの端面13bを突き合わせる。金属部材1aの端面13aを、金属部材1bの表面11bと面一にする。金属部材1a,1bが突き合わされた部分に突合部J1が形成される。また、金属部材1aの裏面12aと、金属部材1bの切欠き部12eとで凹溝21が形成される。凹溝21は、金属部材1a,1bの長手方向に亘って形成される。
【0039】
(2)溶接工程
溶接工程では、図4に示すように、凹溝21に対して溶接を行って、金属部材1a,1bを接合する。溶接工程では、TIG溶接又はMIG溶接などの肉盛溶接を行って、突合部J1に沿って溶接金属T1を形成する。肉盛溶接は、金属部材1bの裏面12bから溶接金属T1が突出する程度に行う。溶接工程を行うことで、後記する摩擦攪拌工程を行う際に、突合部J1の内側に欠損(Kissing Bond)が形成されることを防止することができるとともに、金属部材1a,1bを仮付けすることができる。なお、溶接金属T1のうち、金属部材1bの裏面12bから突出する部分は、切削して平滑に形成することが好ましい。
【0040】
なお、金属部材1aの裏面12aに切欠き部(図示省略)を形成して、当該切欠き部と金属部材1bとで形成される凹溝に溶接金属を充填させてもよい。また、本実施形態では、金属部材1bに切欠き部12eを設け、凹溝21に対して溶接を行ったが、凹溝21を必ずしも設ける必要はない。金属部材1a,1bの内側の角部(内隅)に対して直接溶接を行ってもよい。溶接は、突合部J1の長手方向に連続して行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
【0041】
(3)予備工程
予備工程は、一対のタブ材を配置するタブ材配置工程と、突合部J1に対して仮接合を行う仮接合工程と、タブ材に下穴を形成する下穴形成工程と、を含む。
【0042】
タブ材配置工程では、図2の(b)及び図5の(a)に示すように、金属部材1a,1bの突合部J1の一端側に第一タブ材2を配置してその当接面を金属部材1a,1bに当接させるとともに、突合部J1の他端側に第二タブ材3を配置してその当接面を金属部材1a,1bに当接させる。このとき、第一タブ材2の表面2aと第二タブ材3の表面3aを金属部材1aの表面11aと面一にするとともに、第一タブ材2の表面2bと第二タブ材3の表面3bを金属部材1bの表面11bと面一にする。また、タブ材配置工程では、金属部材1a,1bと第一タブ材2とを溶接して接合し、金属部材1a,1bと第二タブ材3とを溶接して接合する。
【0043】
仮接合工程では、図5の(a)及び(b)に示すように、突合部J1に沿って仮接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌接合を行う。第一タブ材2の表面2bに、突合部J1の延長線上に始点s1を設定する。また、第二タブ材3の表面3bに、突合部J1の延長線上に終点e1を設定する。仮接合工程では、左回転させた仮接合用回転ツールFを始点s1に押し込み、ショルダ部F1の下端面F11の全面が第一タブ材2の表面2bに接触したら、仮接合用回転ツールFを回転させつつ仮接合工程の終点e1に向けて相対移動させる。仮接合用回転ツールFが終点e1に達したら、仮接合用回転ツールFを離脱させる。仮接合工程によって、仮接合用回転ツールFの移動軌跡に塑性化領域w1が形成される。
【0044】
仮接合用回転ツールFが金属部材1a,1bと第一タブ材2との突合部J2、金属部材1a,1bと第二タブ材3との突合部J3を横切る際に、金属部材1a,1bと各タブ材を引き離そうとする力が作用するが、金属部材1a,1bと第一タブ材2及び第二タブ材3とを溶接により接合しているので、金属部材1a,1bと第一タブ材2及び第二タブ材3との間の目開きを防止することができる。
【0045】
なお、仮接工程を行う際に、金属部材1a,1bと第一タブ材2との突合部J2及び金属部材1a,1bと第二タブ材3との突合部J3に沿って、仮接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌を行ってもよい(タブ材仮接合工程)。これにより、金属部材1a,1bと第一タブ材2及び第二タブ材3とをより強固に接合することができる。本実施形態では仮接合工程を行ったが、仮接合工程は省略してもよい。
【0046】
下穴形成工程では、図3の(b)に示すように、後記する本接合工程における摩擦攪拌の開始位置SM1に下穴P1を形成する工程である。即ち、本実施形態に係る下穴形成工程においては、第一タブ材2の表面2aに設定された開始位置SM1に下穴P1を形成する。
【0047】
下穴P1は、本接合用回転ツールGの攪拌ピンG2の挿入抵抗(圧入抵抗)を低減する目的で設けられるものであり、図示せぬドリルなどで拡径することで形成される。下穴P1の形態に特に制限はないが、本実施形態では、円筒状としている。なお、本実施形態では、第一タブ材2に下穴P1を形成しているが、下穴P1の位置に特に制限はなく、第二タブ材3に形成してもよい。
【0048】
(4)摩擦攪拌工程
摩擦攪拌工程では、図6に示すように、第一タブ材2に設定した開始位置SM1から第二タブ材3に設定した終了位置EM1まで、本接合用回転ツールGを移動させて金属部材1aの表面11a側から本接合工程を行う。
【0049】
本接合工程では、図6の(a)及び(b)に示すように、開始位置SM1に形成した下穴P1(図3の(b)参照)に、右回転させた本接合用回転ツールGの攪拌ピンG2を挿入(圧入)し、挿入した攪拌ピンG2を途中で離脱させることなく終了位置EM1まで移動させる。なお、本実施形態では、第一タブ材2に摩擦攪拌の開始位置SM1を設け、第二タブ材3に終了位置EM1を設けているが、開始位置SM1と終了位置EM1の位置を限定する趣旨ではない。
【0050】
摩擦攪拌の開始位置SM1に本接合用回転ツールGの攪拌ピンG2を挿入する際の本接合用回転ツールGの回転速度(挿入時の回転速度)は、攪拌ピンG2の寸法・形状、摩擦攪拌される金属部材1a,1b等の材質や肉厚等に応じて設定されるものであり、多くの場合、70〜700(rpm)の範囲内において設定されるが、開始位置SM1から摩擦攪拌の終了位置EM1に向かって本接合用回転ツールGを移動させる際の本接合用回転ツールGの回転速度(移動時の回転速度)よりも高速にすることが望ましい。このようにすると、挿入時の回転速度を移動時の回転速度と同じにした場合に比べて、金属を塑性流動化させるまでに要する時間が短くなるので、開始位置SM1における攪拌ピンG2の挿入作業を迅速に行うことが可能となる。
【0051】
攪拌ピンG2の全体が第一タブ材2に入り込み、かつ、ショルダ部G1の下端面G11の全面が第一タブ材2の表面2aに接触したら、摩擦攪拌を行いながら本接合用回転ツールGを相対移動させ、さらに、突合部J2を横断させる。図6の(b)に示すように、本接合用回転ツールGを移動させると、その攪拌ピンG2の周囲にある金属が順次塑性流動化するとともに、攪拌ピンG2から離れた位置では、塑性流動化していた金属が再び硬化して塑性化領域W1が形成される。
【0052】
本接合用回転ツールGのルート及び押込み量は、図6の(b)に示すように、本接合工程で形成される塑性化領域W1が少なくとも突合部J1の一部に達するように設定する。また、本接合用回転ツールGのルート及び押込み量は、塑性化領域W1が仮接合工程で形成された塑性化領域w1及び溶接工程で形成された溶接金属T1と接触するように設定することが好ましい。このようにすれば、突合部J1が全長に亘って密閉されるため、水密性及び気密性を高めることができる。
【0053】
なお、本実施形態では、本接合用回転ツールGを右回転させて本接合工程を行ったため、進行方向左側にトンネル状の空洞欠陥(以下、トンネル状空洞欠陥とする)が形成される可能性がある。本接合用回転ツールGを右回転させた場合の進行方向左側はシアー側(被接合部に対する回転ツールの外周の相対速さが、回転ツールの外周における接線速度の大きさに移動速度の大きさを加算した値となる側)であるため、メタルが強く攪拌されて高温軟化し、バリとなって排出され易いと考えられる。このため、進行方向左側はメタルが不足するので、トンネル状空洞欠陥が形成される可能性がある。本実施形態のように、右回転させた本接合用回転ツールGを第一タブ材2から第二タブ材3に向けて移動させれば、空洞欠陥が形成されたとしても、構造体1の中空部から離間する側に形成することができる。
【0054】
ちなみに、本接合用回転ツールGを左回転させると、進行方向右側がシアー側となるため進行方向右側にトンネル状空洞欠陥が形成される可能性がある。したがって、本接合用回転ツールGを左回転させる場合は、第二タブ材3から第一タブ材2に向かって移動させるとよい。
【0055】
本接合用回転ツールGの移動速度(送り速度)は、攪拌ピンG2の寸法・形状、摩擦攪拌される金属部材1a,1b等の材質や肉厚等に応じて設定されるものであるが、多くの場合、30〜300(mm/分)の範囲内において設定される。なお、本接合用回転ツールGを移動させる際には、ショルダ部G1の軸線を鉛直線に対して進行方向の後ろ側へ僅かに傾斜させてもよいが、傾斜させずに鉛直にすると、本接合用回転ツールGの方向転換が容易となり、複雑な動きが可能となる。
【0056】
金属部材1a,1bへの入熱量が過大になる虞がある場合には、本接合用回転ツールGの周囲に水を供給するなどして冷却することが望ましい。
【0057】
なお、本実施形態のように、摩擦攪拌のルートを一直線にすると、本接合用回転ツールGの移動距離を最小限に抑えることができるので、本接合工程を効率よく行うことが可能となり、さらには、本接合用回転ツールGの磨耗量を低減することが可能となる。
【0058】
本接合工程が終了したら、予備工程、摩擦攪拌工程における摩擦攪拌で発生したバリを除去し、金属部材1a,1bから第一タブ材2及び第二タブ材3を除去する。
図1に示す構造体1を形成する際には、前記した接合方法を繰り返して、金属部材1a,1b,1c,1dを正面視矩形に接合する。構造体1の各角部には、塑性化領域w2〜w4、塑性化領域W2〜W4及び溶接金属T2〜T4がそれぞれ形成される。
【0059】
以上説明した本実施形態に係る接合方法によれば、金属部材1a,1bの内隅から溶接工程、外側から摩擦攪拌工程を行うことで、金属部材1a,1bの内隅及び外側で入熱されてそれぞれ熱収縮が発生するため、金属部材1a,1bの反りを是正することができる。また、溶接工程によれば、金属部材1a,1bの内隅に摩擦攪拌接合を施す場合に比べて、比較的容易に作業を行うことができるため、作業効率を高めることができる。また、溶接工程及び摩擦攪拌工程は、どちらを先に行ってもよいが、本実施形態のように先に溶接工程を行うことで、金属部材1a,1bを仮付けした状態で摩擦攪拌接合を行うことができるため、作業効率を高めることができる。
【0060】
また、溶接工程では、凹溝21に溶接金属を充填させることができるため、溶接作業を容易に行うことができる。
【0061】
また、本接合工程では、金属部材1aの表面11a側から本接合用回転ツールGを押し込むため、金属部材1a,1bを密接させながら摩擦攪拌を行うことができる。これにより、接合部分の気密性及び水密性をより高めることができる。
【0062】
また、本実施形態では、本接合工程に先だって仮接合工程を行うため、本接合工程を行う際の金属部材1a,1bの位置ずれを防止して摩擦攪拌の作業性を高めることができる。
【0063】
また、第一タブ材2及び第二タブ材3を金属部材1aの表面11aと面一にし、さらに第一タブ材2及び第二タブ材3を金属部材1bの表面11bと面一にすることで、仮接合工程及び本接合工程でタブ材を共用することができる。これにより、作業効率を高めることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、摩擦攪拌工程の前に溶接工程を行ったが、溶接工程の前に摩擦攪拌を行ってもよい。先に摩擦攪拌接合を行って、熱収縮によって金属部材が反ってしまい、金属部材1a,1bの内隅に欠損が形成された場合であっても、溶接工程によって当該欠損を補修することができる。また、溶接工程による入熱により、反りを是正することができる。
【0065】
また、本実施形態では、金属部材1a,1bを垂直に接合して正面視矩形の筒状を呈する構造体1を形成する場合を例示したが他の形状であってもよい。また、例えば、金属部材1aの板厚を薄くするなどして本接合工程を行う際に、本接合用回転ツールGの攪拌ピンG2が突合部J1に達するように設定して摩擦攪拌接合を行ってもよい。
【0066】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る接合方法について説明する。図7に示すように、第二実施形態に係る接合方法は、金属部材1aの裏面12aに段差を形成する点、金属部材1bに切欠き部12eを形成していない点及び仮接合工程を行わない点で第一実施形態と相違する。第二実施形態に係る接合方法の説明では、第一実施形態と共通する点については詳細な説明を省略する。
【0067】
図7の(a)に示すように、本実施形態に係る金属部材1aの裏面12aの左端に段差を形成する。裏面12aは、第一裏面22aと、第一裏面22aよりも一段上がった位置に形成された第二裏面22bと、第一裏面22a及び第二裏面22bに対して垂直な第三裏面22cとを有する。第二裏面22bと第三裏面22cとで段差が構成される。第二裏面22bの幅は、金属部材1bの板厚と同等に形成する。第三裏面22cの高さは金属部材1aの板厚の半分に形成する。
【0068】
図7の(b)に示すように、本実施形態に係る突合工程では、金属部材1aの第二裏面22bと金属部材1bの端面13bとを突き合せるとともに、金属部材1aの第三裏面22cと金属部材1bの裏面12bとをそれぞれ突き合わせて突合部J1を形成する。突合部J1の断面線形はL字状になる。
【0069】
本実施形態に係る溶接工程では、金属部材1aの裏面12aと金属部材1bの裏面12bとで形成された角部(内隅)に溶接を行う。溶接工程によって、溶接金属T1が形成される。
【0070】
摩擦攪拌工程では、金属部材1aの表面11a側から本接合用回転ツールG(図示省略)を押し込んで、突合部J1に対して摩擦攪拌接合を行う。摩擦攪拌工程によって、塑性化領域W1が形成される。形成される塑性化領域W1が、少なくとも突合部J1の一部を含むように本接合用回転ツールGのルート及び押込み量等を設定する。
【0071】
第二実施形態によれば、金属部材1aの裏面12aに段差(第二裏面22b,第三裏面22c)を設けて、金属部材1aの第二裏面22b及び第三裏面22cと、金属部材1bの端面13b及び裏面12bとをそれぞれ当接させることにより、金属部材1a,1bの位置決めを容易に行うことができる。
【0072】
なお、図7の(a)を参照するように、金属部材1aの第一裏面22aと第三裏面22cとで形成される角部に、第一実施形態と同じように切欠き部(図示省略)を設けて、当該切欠き部と金属部材1bの裏面12bとで形成される凹溝に溶接を行ってもよい。また、摩擦攪拌工程に先だって、金属部材1bの表面11b側から仮接合用回転ツールFを用いて突合部J1に対して仮接合工程を行ってもよい。
【0073】
[第一変形例]
次に、第二実施形態の変形例(第一変形例)について説明する。第一変形例では、突合工程及び溶接工程以外は第二実施形態と略同等であるため、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0074】
図8の(a)に示すように、金属部材1aの裏面12aの左端に段差を形成する。裏面12aは、第一裏面22aと、第一裏面22aよりも一段上がった位置に形成された第二裏面22bと、第一裏面22a及び第二裏面22bに対して垂直な第三裏面22cとを有する。第二裏面22bと第三裏面22cとで段差が構成される。第二裏面22bの幅は、金属部材1bの板厚よりもやや大きく形成する。第三裏面22cの高さは、金属部材1aの板厚の四分の一程度に形成する。
【0075】
図8の(b)に示すように、本変形例に係る突合工程では、金属部材1aの第二裏面22bと金属部材1bの端面13bとを突き合わせて突合部J1を形成する。突合部J1の断面線形は直線となる。金属部材1aの端面13aと金属部材1bの表面11bとは面一にする。金属部材1aの第三裏面22cと、金属部材1bの裏面12bとは所定の間隔をあけて配設される。これにより、金属部材1aの第二裏面22b及び第三裏面22cと、金属部材1bの裏面12bとにより断面視矩形の凹溝22eが形成される。
【0076】
具体的な図示はしないが、本変形例の溶接工程では、TIG溶接又はMIG溶接などの肉盛り溶接を行って、凹溝22eに溶接金属を充填させて金属部材1a及び金属部材1bを接合する。金属部材1aの第一裏面22aから突出する溶接金属は、切削して平滑にする。
【0077】
第一変形例では、段差を構成する第二裏面22bの幅を大きく形成して、金属部材1a,1bの内隅に溶接金属を充填させる凹溝22eを形成することにより、溶接工程を容易に行うことができる。
【0078】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態に係る接合方法について説明する。図9に示すように、第三実施形態に係る接合方法では、金属部材1aの裏面12a及び金属部材1bの端面13bにそれぞれ段差を形成する点で第二実施形態と相違する。第三実施形態は、金属部材1bにも段差部を形成する点を除いては、第二実施形態と略同等であるため、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0079】
図9の(a)に示すように、金属部材1aの裏面12aの左端に段差を形成する。裏面12aは、第一裏面22aと、第一裏面22aよりも一段上がった位置に形成された第二裏面22bと、第一裏面22a及び第二裏面22bに対して垂直な第三裏面22cとを有する。第二裏面22bと第三裏面22cとで段差が構成される。第二裏面22bの幅及び第三裏面22cの高さは、それぞれ金属部材1aの板厚の半分に形成する。
【0080】
一方、金属部材1bの端面13bの右端に段差を形成する。端面13bは、第一端面23aと、第一端面23aよりも一段下がった位置に形成された第二端面23bと、第一端面23a及び第二端面23bに対して垂直な第三端面23cとを有する。第二端面23bと第三端面23cとで段差が構成される。第二端面23bの幅及び第三端面23cの高さは金属部材1bの板厚の半分に形成する。
【0081】
図9の(a)及び(b)に示すように、突合工程では、金属部材1aの段差と金属部材1bの段差を当接させて突合部J1を形成する。つまり、金属部材1aの第二裏面22b、第三裏面22c及び、第一裏面22aが、金属部材1bの第一端面23a、第三端面23c及び第二端面23bにそれぞれ突き合わされる。突合部J1の断面線形はクランク形状になる。
【0082】
本実施形態に係る溶接工程では、金属部材1aの裏面12aと金属部材1bの裏面12bとで形成された角部(内隅)に溶接を行う。溶接工程によって、溶接金属T1が形成される。
【0083】
摩擦攪拌工程では、金属部材1aの表面11a側から本接合用回転ツールG(図示省略)を押し込んで、突合部J1に対して摩擦攪拌接合を行う。摩擦攪拌工程によって、塑性化領域W1が形成される。形成される塑性化領域W1が、少なくとも突合部J1の一部を含むように本接合用回転ツールGのルート及び押込み量等を設定する。
【0084】
第三実施形態によれば、金属部材1a及び金属部材1bにそれぞれ段差を設けて、金属部材1aの第二裏面22b、第三裏面22c及び、第一裏面22aが、金属部材1bの第一端面23a、第三端面23c及び第二端面23bにそれぞれ当接するため、金属部材1a,1bの位置決めを容易に行うことができる。
【0085】
なお、図9の(a)を参照するように、金属部材1bの裏面12bと第二端面23bとで形成される角部に、第一実施形態と同じように切欠き部(図示省略)を設けて、当該切欠き部と金属部材1aの裏面12aとで形成される凹溝に溶接を行ってもよい。また、摩擦攪拌工程に先だって、金属部材1bの表面11b側から仮接合用回転ツールFを用いて突合部J1に対して仮接合工程を行ってもよい。
【0086】
[第二変形例]
次に、第三実施形態の変形例(第二変形例)について説明する。第二変形例では、突合工程及び溶接工程以外は第三実施形態と略同等であるため、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0087】
図10の(a)に示すように、金属部材1aの裏面12aの左端に段差を形成する。裏面12aは、第一裏面22aと、第一裏面22aよりも一段上がった位置に形成された第二裏面22bと、第一裏面22a及び第二裏面22bに対して垂直な第三裏面22cとを有する。第二裏面22bと第三裏面22cとで段差が構成される。
【0088】
一方、金属部材1bの端面13bの右端に段差を形成する。端面13bは、第一端面23aと、第一端面23aよりも一段下がった位置に形成された第二端面23bと、第一端面23a及び第二端面23bに対して垂直な第三端面23cとを有する。第二端面23bと第三端面23cとで段差が構成される。第二端面23bの幅は、金属部材1bの板厚の四分の一程度に形成する。第三端面23cの高さは、第三裏面22cの高さよりもやや大きく形成する。
【0089】
図10の(a)及び(b)に示すように、突合工程では、金属部材1aの段差と金属部材1bの段差を当接させて突合部J1を形成する。つまり、金属部材1aの第二裏面22b、第三裏面22cが、金属部材1bの第一端面23a、第三端面23cにそれぞれ突き合わされる。突合部J1の断面線形はL字状になる。金属部材1aの第一裏面22aと、金属部材1bの第二端面23bとは所定の間隔をあけて配設される。これにより、金属部材1aの第一裏面22a、金属部材1bの第二端面23b及び第三端面23cにより断面視矩形の凹溝23eが形成される。
【0090】
具体的な図示はしないが、本変形例の溶接工程では、TIG溶接又はMIG溶接などの肉盛溶接を行って、凹溝23eに溶接金属を充填させて金属部材1a及び金属部材1bを接合する。金属部材1bの裏面12bから突出する溶接金属は切削して平滑にする。
【0091】
第二変形例では、金属部材1a及び金属部材1bに段差を設ける場合に、凹溝23eが形成されるように突き合せることで、溶接工程を容易に行うことができる。
【0092】
[第四実施形態]
次に、第四実施形態に係る接合方法について説明する。図11に示すように、第四実施形態に係る接合方法は、金属部材1aに凹部25を、金属部材1bに凸部26を形成する点で第二実施形態と相違する。第四実施形態では、凹部25及び凸部26を形成する点を除いては第二実施形態と同等であるため、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0093】
図11の(a)に示すように、金属部材1aの裏面12aに、断面視矩形の凹部25を形成する。また、金属部材1bの端面13bに、断面視矩形の凸部26を形成する。凸部26は、凹部25に隙間なく係合する形状で形成する。なお、凹部25及び凸部26の形状は、特に制限されるものではない。
【0094】
図11の(b)に示すように、突合工程では、金属部材1aの凹部25と、金属部材1bの凸部26とを係合させて突合部J1を形成する。
【0095】
第四実施形態によれば、凹部25に凸部26を係合させることで、金属部材1a,1bの位置決めを容易に行うことができる。
【0096】
なお、金属部材1bの裏面12bに、第一実施形態と同じように切欠き部(図示省略)を設けて、当該切欠き部と金属部材1aの裏面12aとで形成される凹溝に溶接を行ってもよい。また、金属部材1aに凸部、金属部材1bに凹部を設けてもよい。また、前記した第二実施形態、第三実施形態、第一変形例及び第二変形例に係る金属部材1aの裏面,金属部材1bの端面に凸部又は凹部を設けてもよい。
【0097】
[第五実施形態]
次に、第五実施形態に係る蓋付構造体の製造方法について説明する。図12に示すように、蓋付構造体1Aは、平面視矩形の筒状を呈する構造体1と、構造体1の開口を塞ぐ蓋板51とを摩擦攪拌接合によって一体形成する。構造体1は、本実施形態では、第一実施形態で形成したものを用いるが、これに限定するものではない。また、構造体1は、断面視矩形のものを用いるが、断面形状は例えば円形、楕円形、他の多角形であってもよい。
【0098】
構造体1の前側において、各金属部材の端面14a,14b,14c,14dで構成される枠状の面を端面14とする。また、構造体1の内側において、各金属部材の裏面12a,12b,12c,12dで構成される面を裏面12とする。蓋板51の裏面52aと、構造体1の裏面12とで構成される内側の角部を内隅という。
【0099】
蓋付構造体1Aの製造方法では、(1)準備工程、(2)突合工程、(3)溶接工程、(4)予備工程、(5)摩擦攪拌工程を行う。
【0100】
(1)準備工程
準備工程では、蓋板51に対して脱脂処理を行う脱脂工程と、構造体1の端面14の内縁に切欠き部1eを形成する切削工程とを含む。
【0101】
脱脂工程では、蓋板51を脱脂処理溶液内に浸けて、蓋板51に付着した加工油等の油脂分や汚れを取り除く。また、構造体1に対して脱脂処理を行ってもよい。
【0102】
切削工程では、図12に示すように、構造体1の端面14の内縁に沿って断面視矩形の切欠き部1eを形成する。切欠き部1eの幅及び深さは特に制限されるものではないが、本実施形態では、第一実施形態の切欠き部12e(図2の(a)参照)と同等の幅及び深さで形成する。
【0103】
(2)突合工程
突合工程では、図13の(a)に示すように、構造体1の端面14に蓋板51を突き合わせて突合部J11を形成する。蓋板51の4つの側面53a(図12参照)は、構造体1を構成する各金属部材の表面11a,11b,11c,11dと面一となる。突合部J11は、端面14に沿って枠状に形成される。蓋板51の裏面52aと、切欠き部1eとで凹溝31が形成される。凹溝31は、突合部J11に沿って構造体1の内周に沿って枠状に形成される。
【0104】
(3)溶接工程
溶接工程では、図13の(b)に示すように、構造体1の内側から凹溝31に対して溶接を行って、構造体1と蓋板51とを接合する。溶接工程では、TIG溶接又はMIG溶接などの肉盛溶接を行って、突合部J11に溶接金属T5を形成する。肉盛溶接は、構造体1の裏面12から溶接金属T5が突出する程度に行う。溶接工程を行うことで、後記する摩擦攪拌工程を行う際に、突合部J11の内側に欠損(Kissing Bond)が形成されることを防止することができるとともに、構造体1と蓋板51とを仮付けすることができる。なお、溶接金属T5のうち、構造体1の裏面12から突出する部分は、切削して平滑に形成することが好ましい。
【0105】
なお、蓋板51の裏面52aに切欠き部を形成して、当該切欠き部と構造体1とで形成される凹溝に溶接金属を充填させてもよい。また、本実施形態では、構造体1の内周縁に沿って切欠き部1eを設け、凹溝31に対して溶接を行ったが、凹溝31を必ずしも設ける必要はない。構造体1の裏面12と、蓋板51の裏面52aとで形成される角部(内隅)に対して直接溶接を行ってもよい。溶接は、突合部J11に沿って連続して行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
【0106】
(3)予備工程
予備工程では、図14に示すように、構造体1の両脇に第一タブ材2、第二タブ材3を配置するタブ材配置工程と、突合部J11に沿って仮接合を行う仮接合工程とを含む。
【0107】
タブ材配置工程では、図14の(a)に示すように、突合部J11の一端側に第一タブ材2を配置してその当接面を構造体1及び蓋板51に当接させるとともに、突合部J11の他端側に第二タブ材3を配置してその当接面を構造体1及び蓋板51に当接させる。このとき、第一タブ材2の表面2bと第二タブ材3の表面3bを金属部材1aの表面11aと面一にするとともに、第一タブ材2の表面2aと第二タブ材3の表面3aを蓋板51の表面51aと面一にする。また、タブ材配置工程では、構造体1及び蓋板51と第一タブ材2とを溶接して接合し、構造体1及び蓋板51と第二タブ材3とを溶接して接合する。
【0108】
仮接合工程では、図14の(b)に示すように、突合部J11に沿って仮接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌接合を行う。第一タブ材2の表面2bにおいて、突合部J11の延長線上に始点s2を設定する。また、第二タブ材3の表面3bにおいて、突合部J11の延長線上に終点e2を設定する。仮接合工程では、右回転させた仮接合用回転ツールFを始点s2に押し込み、終点e2まで相対移動させる。仮接合用回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域w5が形成される。
【0109】
なお、仮接合工程を行う際に、構造体1及び蓋板51と第一タブ材2との突合部J2及び構造体1及び蓋板51と第二タブ材3との突合部J3に沿って、仮接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌を行ってもよい(タブ材仮接合工程)。これにより、構造体1及び蓋板51と第一タブ材2及び第二タブ材3とをより強固に接合することができる。
【0110】
具体的な図示はしないが、同様の仮接合工程を、タブ材を適宜取り付けながら金属部材1b,1c,1d(図11参照)の外側に現れる突合部J11に対しても行う。これにより、構造体1及び蓋板51の外周には突合部J11に沿って塑性化領域w5が形成される。なお、本実施形態では仮接合工程を行ったが、仮接合工程を省略してもよい。
【0111】
下穴工程では、後記する本接合工程における摩擦攪拌接合の開始位置に下穴を形成する。本実施形態では、図15の(a)を参照するように、第一タブ材2の表面2aに設定する開始位置SM2に下穴を形成する。下穴形成工程は、第一実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0112】
(4)摩擦攪拌工程
摩擦攪拌工程では、図15の(a)及び(b)に示すように、タブ材を配置するタブ材配置工程と、蓋板51の表面51a側から本格的に摩擦攪拌を行う本接合工程と、を含む。
【0113】
タブ材配置工程では、仮接合工程と同様にして蓋板51及び構造体1に第一タブ材2及び第二タブ材3を設置する。
【0114】
本接合工程では、第一タブ材2に設定した開始位置SM2から第二タブ材3に設定した終了位置EM2まで、本接合用回転ツールGを移動させて蓋板51の表面51a側から突合部J11に対して摩擦攪拌接合を行う。
【0115】
本接合工程では、開始位置SM2に形成した下穴(図示省略)に本接合用回転ツールGの攪拌ピンG2を挿入した後、蓋板51側に本接合用回転ツールGを移動させ、突合部J2を横断させる。そして、本接合用回転ツールGを蓋板51の外縁に沿って一周させて、突合部J11に対して摩擦攪拌接合を行う。
【0116】
本接合用回転ツールGのルート及び押込み量は、図15の(b)に示すように、本接合工程で形成される塑性化領域W5が少なくとも突合部J1の一部に達するように設定する。また、本接合用回転ツールGのルート及び押込み量は、塑性化領域W5が仮接合工程で形成された塑性化領域w5及び溶接工程で形成された溶接金属T5と接触するように設定することが好ましい。このようにすれば、突合部J11が全長に亘って密閉されるため、水密性及び気密性を高めることができる。
【0117】
本接合用回転ツールGが蓋板51の外縁に沿って一周したら、既存の塑性化領域W5上に再度本接合用回転ツールGのルートを設定し、第二タブ材3に設定した終了位置EM2まで移動させる。摩擦攪拌工程が終了したら、第一タブ材2及び第二タブ材3を切除するとともに、バリを除去して蓋付構造体1Aの表面を平滑にする。
【0118】
なお、本実施形態では、本接合用回転ツールGを右回転させて本接合工程を行ったため、進行方向左側にトンネル状の空洞欠陥(以下、トンネル状空洞欠陥とする)が形成される可能性がある。本接合用回転ツールGを右回転させた場合の進行方向左側はシアー側(被接合部に対する回転ツールの外周の相対速さが、回転ツールの外周における接線速度の大きさに移動速度の大きさを加算した値となる側)であるため、メタルが強く攪拌されて高温軟化し、バリとなって排出され易いと考えられる。このため、進行方向左側はメタルが不足するので、トンネル状空洞欠陥が形成される可能性がある。本実施形態のように、右回転させた本接合用回転ツールGを蓋板51に対して右回りに移動させれば、空洞欠陥が形成されたとしても、構造体1(蓋付構造体1A)の中空部から離間する側に形成することができる。
【0119】
ちなみに、本接合用回転ツールGを左回転させると、進行方向右側がシアー側となるため進行方向右側にトンネル状空洞欠陥が形成される可能性がある。したがって、本接合用回転ツールGを左回転させる場合は、蓋板51に対して左回りに移動させるとよい。
【0120】
以上説明した本実施形態に係る蓋付構造体の製造方法によれば、蓋付構造体1Aの内隅から溶接工程、外側から摩擦攪拌工程を行うことで、蓋付構造体1Aの内隅及び外側で入熱されてそれぞれ熱収縮が発生するため、蓋板51が反るのを防止することができる。また、溶接工程によれば、蓋付構造体1Aの内隅に摩擦攪拌接合を施す場合に比べて、比較的容易に作業を行うことができるため、作業効率を高めることができる。また、溶接工程及び摩擦攪拌工程は、どちらを先に行ってもよいが、本実施形態のように先に溶接工程を行うことで、構造体1と蓋板51とを仮付けした状態で摩擦攪拌接合を行うことができるため、作業効率を高めることができる。
【0121】
また、本接合工程では、蓋板51の表面51aから本接合用回転ツールGを押し込むため、構造体1と蓋板51とを密接させながら摩擦攪拌を行うことができる。これにより、接合部分の気密性及び水密性をより高めることができる。また、本接合工程では、本接合用回転ツールGを突合部J11に沿って一周させるとともに、塑性化領域W5の一部が重複するように、突合部J11の全長に亘って連続して摩擦攪拌接合を行ったため気密性及び水密性をより高めることができる。
【0122】
また、本実施形態では、本接合工程に先だって仮接合工程を行うため、本接合工程を行う際の蓋板51の位置ずれを防止して摩擦攪拌の作業性を高めることができる。また、内隅に形成された凹溝31に溶接金属T5を充填させることで溶接作業を容易に行うことができる。

【0123】
なお、本実施形態では、摩擦攪拌工程の前に溶接工程を行ったが、溶接工程の前に摩擦攪拌を行ってもよい。先に摩擦攪拌接合を行って、熱収縮によって蓋板51が反ってしまい、蓋付構造体1Aの内側の角部に欠損が形成された場合であっても、溶接工程によって当該欠損を補修することができる。また、溶接工程による入熱により、蓋板51の反りを是正することができる。
【0124】
また、本実施形態では、正面視筒状の蓋付構造体1Aを形成する場合を例示したが、他の形状であってもよい。また、例えば、蓋板51の板厚を薄くするなどして本接合用回転ツールGの攪拌ピンG2が突合部J11に達するように設定して摩擦攪拌接合を行ってもよい。また、本実施形態では、一対のタブ材を設けたが、タブ材は一つ配置するだけでもよい。
【0125】
[第六実施形態]
次に、第六実施形態に係る蓋付構造体の製造方法について説明する。図16に示すように、第六実施形態に係る蓋付構造体の製造方法は、蓋板51の裏面52aに段差を形成する点、構造体1に切欠き部1eを形成していない点及び仮接合工程を行わない点で第五実施形態と相違する。第六実施形態に係る製造方法については、第五実施形態と共通する点については詳細な説明を省略する。
【0126】
図16の(a)に示すように、本実施形態に係る蓋板51の裏面52aの外縁に段差を形成する。裏面52aは、第一裏面62aと、第一裏面62aよりも一段上がった位置に形成された第二裏面62bと、第一裏面62a及び第二裏面62bに対して垂直な第三裏面62cとを有する。第二裏面62bと第三裏面62cとで段差が構成される。第二裏面62bの幅は、金属部材1a(1b,1c,1d)の板厚と同等に形成する。第三裏面62cの高さは蓋板51の板厚の半分に設定する。
【0127】
図16の(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る突合工程では、構造体1の端面14及び裏面12と、蓋板51の第二裏面62b及び第三裏面62cとをそれぞれ突き合わせて突合部J11を形成する。突合部J11の断面線形はL字状になる。
【0128】
本実施形態に係る溶接工程では、構造体1の裏面12と蓋板51の裏面52aとで形成された角部(内隅)に溶接を行う。溶接工程によって、溶接金属T5が形成される。
【0129】
摩擦攪拌工程では、蓋板51の表面51a側から本接合用回転ツールG(図示省略)を押し込んで、突合部J11に対して摩擦攪拌接合を行う。摩擦攪拌工程によって、塑性化領域W5が形成される。形成される塑性化領域W5が、少なくとも突合部J11の一部に達するように本接合用回転ツールGの押込み量等を設定する。
【0130】
第六実施形態によれば、蓋板51の裏面52aに段差を設けて、蓋板51の第二裏面62b及び第三裏面62cと、構造体1の端面14及び裏面12とをそれぞれ当接させることにより、構造体1及び蓋板51の位置決めを容易に行うことができる。
【0131】
なお、図16の(a)を参照するように、蓋板51の第一裏面62aと第三裏面62cとで構成される角部に、第五実施形態と同様に切欠き溝(図示省略)を設けて、当該切欠き溝と構造体1の裏面12とで形成される凹溝に溶接を行ってもよい。また、摩擦攪拌工程に先だって、突合部J11に対して仮接合を行ってもよい。
【0132】
[第三変形例]
次に、第六実施形態の変形例(第三変形例)について説明する。第三変形例では、突合工程及び溶接工程以外は第六実施形態と略同等であるため、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0133】
図17の(a)に示すように、蓋板51の裏面52aの外縁に段差を形成する。裏面52aは、第一裏面62aと、第一裏面62aよりも一段上がった位置に形成された第二裏面62bと、第一裏面62a及び第二裏面62bに対して垂直な第三裏面62cとを有する。第二裏面62bと第三裏面62cとで段差が構成される。第二裏面62bの幅は、構造体1の端面14の板厚よりもやや大きく形成する。第三裏面62cの高さは、蓋板51の板厚の四分の一程度に形成する。
【0134】
図17の(a)及び(b)に示すように、本変形例に係る突合工程では、構造体1の端面14と、蓋板51の第二裏面62bとを突き合わせて突合部J11を形成する。突合部J11の断面線形は直線となる。構造体1の蓋板51の各側面53aと構造体1の表面11a,11b,11c,11dは面一にする。蓋板51の第三裏面62cと構造体1の裏面12とは所定の間隔をあけて配設される。これにより、蓋板51の第二裏面62b、第三裏面62c及び構造体1の裏面12により断面視矩形の凹溝62eが形成される。
【0135】
具体的な図示はしないが、本変形例の溶接工程では、TIG溶接又はMIG溶接などの肉盛溶接を行って、凹溝62eに溶接金属を充填させて蓋板51と構造体1とを接合する。蓋板51の第一裏面62aから突出する溶接金属は切削して平滑にする。
【0136】
第三変形例では、段差を構成する第二裏面62bの幅を大きく形成して、構造体1及び蓋板51の内隅に溶接金属を充填させる凹溝62eを形成することにより、溶接工程を容易に行うことができる。
【0137】
[第七実施形態]
次に、第七実施形態に係る蓋付構造体の製造方法について説明する。図18に示すように、第七実施形態では、蓋板51の裏面52a及び構造体1の端面14に段差を形成する点で第六実施形態と相違する。第七実施形態は、構造体1にも段差を形成する点を除いては第六実施形態と同等であるため、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0138】
図18の(a)に示すように、蓋板51の裏面52aの外縁に段差を形成する。裏面52aは、第一裏面62aと、第一裏面62aよりも一段上がった位置に形成された第二裏面62bと、第一裏面62a及び第二裏面62bに対して垂直な第三裏面62cとを有する。第二裏面62bと第三裏面62cとで段差が構成される。第二裏面62bの幅及び第三裏面62cの高さは、金属部材1aの板厚の半分に形成する。
【0139】
一方、構造体1の端面14の内縁に、段差を形成する。端面14は、第一端面63aと、第一端面63aよりも一段下がった位置に形成された第二端面63bと、第一端面63a及び第二端面63bに対して垂直な第三端面63cとを有する。第二端面63bと第三端面63cとで段差が構成される。第一端面63a及び第二端面63bの幅は金属部材1aの板厚の半分に形成する。第三端面63cの高さは、金属部材1aの板厚の半分に形成する。
【0140】
図18の(a)及び(b)に示すように、突合工程では、構造体1の段差と蓋板51の段差を当接させて突合部J11を形成する。つまり、構造体1の第一端面63a、第三端面63c及び第二端面63bに、蓋板51の第二裏面62b、第三裏面62c及び第一裏面62aをそれぞれ突き合わせる。突合部J11の断面線形は、クランク形状になる。
【0141】
本実施形態に係る溶接工程では、蓋板51の裏面52aと構造体1の裏面12とで形成された角部(内隅)に溶接を行う。溶接工程によって、溶接金属T5が形成される。
【0142】
摩擦攪拌工程では、蓋板51の表面51aから本接合用回転ツールG(図示省略)を押し込んで、突合部J11に対して摩擦攪拌接合を行う。摩擦攪拌工程によって、塑性化領域W5が形成される。形成される塑性化領域W5が、少なくとも突合部J11の一部を含むように本接合用回転ツールGのルート及び押込み量等を設定する。
【0143】
第七実施形態によれば、構造体1及び蓋板51にそれぞれ段差を設けて、構造体1の第一端面63a、第三端面63c及び第二端面63bと、蓋板51の第二裏面62b、第三裏面62c及び第一裏面62aをそれぞれ当接させることにより、構造体1と蓋板51の位置決めを容易に行うことができる。
【0144】
なお、図18の(a)を参照するように、構造体1の裏面12と第二端面63bとで形成される角部に、第五実施形態と同じように切欠き部(図示省略)を設けて、当該切欠き部と蓋板51の裏面52とで形成される凹溝に溶接を行ってもよい。また、摩擦攪拌工程に先だって、構造体1の表面11a側から仮接合用回転ツールFを用いて突合部J11に対して仮接合工程を行ってもよい。
【0145】
[第四変形例]
次に、第七実施形態の変形例(第四変形例)について説明する。第四変形例では、突合工程及び溶接工程以外は第七実施形態と略同等であるため、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0146】
図19の(a)に示すように、蓋板51の裏面52aの外縁に段差を形成するとともに、構造体1の端面14の内縁に段差を形成する。裏面52aは、第一裏面62aと、第一裏面62aよりも一段上がった位置に形成された第二裏面62bと、第一裏面62a及び第二裏面62bに対して垂直な第三裏面62cとを有する。第二裏面62bと第三裏面62cとで段差が構成される。
【0147】
一方、構造体1の端面14の内縁に、段差を形成する。端面14は、第一端面63aと、第一端面63aよりも一段下がった位置に形成された第二端面63bと、第一端面63a及び第二端面63bに対して垂直な第三端面63cとを有する。第二端面63bと第三端面63cとで段差が構成される。第一端面63aの幅は、第二裏面62bの幅と同等に形成する。第二端面63bの幅は、金属部材1aの板厚の四分の一程度に形成されている。第三端面63cの高さは、第三裏面62cの高さよりもやや大きく形成する。
【0148】
図19の(a)及び(b)に示すように、突合工程では、構造体1の段差と蓋板51の段差を当接させて突合部J11を形成する。つまり、構造体1の第一端面63a及び第三端面63cと、蓋板51の第二裏面62b及び第三裏面62cとがそれぞれ突き合わされる。突合部J11の断面線形はL字状になる。構造体1の第二端面63bと、蓋板51の第一裏面62aは、所定の間隔をあけて配設される。これにより、蓋板51の第一裏面62a、構造体1の第二端面63b及び第三端面63cにより断面視矩形の凹溝63eが形成される。
【0149】
具体的な図示はしないが、本変形例の溶接工程では、TIG溶接又はMIG溶接などの肉盛溶接を行って、凹溝63eに溶接金属を充填させて構造体1及び蓋板51を接合する。構造体1の裏面12から突出する溶接金属は切削して平滑にする。
【0150】
第四変形例では、構造体1及び蓋板51に段差を設ける場合に、凹溝63eが形成されるように突き合せることで溶接工程を容易に行うことができる。
【0151】
[第八実施形態]
次に、第八実施形態に係る製造方法について説明する。図20に示すように、第八実施形態に係る製造方法は、構造体1に凸部65を、蓋板51の裏面52aに凹部66を形成する点で第六実施形態と相違する。第八実施形態では、凸部65及び凹部66を形成する点を除いては第六実施形態と同等であるため、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0152】
図20の(a)に示すように、構造体1の端面を切削して構造体1の回りに沿って断面視矩形の凸部65を形成する。蓋板51の裏面52aには、凸部65と対応する位置に断面視矩形の凹部66を形成する。凸部65は、凹部66に隙間なく係合する形状で形成する。なお、凸部65及び凹部66の形状は特に制限されるものではない。
【0153】
図20の(b)に示すように、突合工程では、構造体1の凸部65と、蓋板51の凹部66とを係合させて突合部J11を形成する。
【0154】
第八実施形態によれば、凸部65に凹部66を係合させることで、構造体1と蓋板51の位置決めを容易に行うことができる。
【0155】
なお、構造体1の裏面12に第五実施形態と同じように切欠き部(図示省略)を設けて、当該切欠き部と蓋板51の裏面52aとで形成される凹溝に溶接を行ってもよい。また、蓋板51に凸部、構造体1に凹部を設けてもよい。
【0156】
以上、本発明の接合方法及び蓋付構造体の製造方法について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、本実施形態では、金属部材を断面視してL字状に突き合わせる場合を例示したが、例えば断面視T字状に突き合わせる場合に本発明を採用してもよい。
【符号の説明】
【0157】
1 構造体
1A 蓋付構造体
1a 金属部材
1b 金属部材
1c 金属部材
1d 金属部材
2 第一タブ材
3 第二タブ材
11a 金属部材の表面
11b 金属部材の表面
12a 金属部材の裏面
12b 金属部材の裏面
12e 切欠き部
13a 金属部材の端面
13b 金属部材の端面
21 凹溝
22a 第一裏面
22b 第二裏面
22c 第三裏面
23a 第一端面
23b 第二端面
23c 第三端面
25 凹部
26 凸部
51 蓋板
51a 蓋板の表面
52a 蓋板の裏面
62a 第一裏面
62b 第二裏面
62c 第三裏面
63a 第一端面
63b 第二端面
63c 第三端面
F 仮接合用回転ツール
G 本接合用回転ツール
J 突合部
T 溶接金属
w 塑性化領域
W 塑性化領域



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の板状の金属部材を突き合わせて接合する接合方法であって、
少なくとも一方の前記金属部材の端面と他方の前記金属部材の裏面とを突き合わせて突合部を形成する突合工程と、
一方の前記金属部材の裏面と他方の前記金属部材の裏面で構成される内隅から前記突合部に対して溶接を行う溶接工程と、
他方の前記金属部材の表面側から回転ツールを挿入して前記突合部に対して摩擦攪拌接合を行う摩擦攪拌工程と、を含むことを特徴とする接合方法。
【請求項2】
他方の前記金属部材の裏面を、第一裏面と、この第一裏面に対して段差のある第二裏面と、前記第一裏面と前記第二裏面とを連結する第三裏面とを備えるように形成し、
前記突合工程では、一方の前記金属部材の前記端面と他方の前記金属部材の前記第二裏面とを突き合わせるとともに、一方の前記金属部材の裏面と他方の前記金属部材の前記第三裏面とを突き合わせて突合部を形成することを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
一方の前記金属部材の端面を、第一端面と、この第一端面に対して段差のある第二端面と、前記第一端面と前記第二端面とを連結する第三端面とを備えるように形成し、
他方の前記金属部材の裏面を、第一裏面と、この第一裏面に対して段差のある第二裏面と、前記第一裏面と前記第二裏面とを連結する第三裏面とを備えるように形成し、
前記突合工程では、一方の前記金属部材の前記第一端面と他方の前記金属部材の前記第二裏面とを突き合わせ、一方の前記金属部材の前記第三端面と他方の前記金属部材の前記第三裏面とを突き合わせ、一方の前記金属部材の前記第二端面と他方の前記金属部材の前記第一裏面とを突き合わせて突合部を形成することを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
【請求項4】
一方の前記金属部材の端面に凹部及び凸部のいずれか一方を形成し、他方の前記金属部材の裏面に凹部及び凸部のいずれか他方を形成し、
前記突合工程では、前記凹部と前記凸部とを係合させて突合部を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項5】
前記溶接工程では、前記内隅に現れる突合部に沿って形成された凹溝に溶接金属を充填することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項6】
前記摩擦攪拌工程の前に、この摩擦攪拌工程で用いる回転ツールよりも小型の回転ツールを用いて前記突合部に対して仮接合を行う仮接合工程を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項7】
前記突合部の両脇に一対のタブ材を配置して、前記タブ材に摩擦攪拌の開始位置及び終了位置を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項8】
前記摩擦攪拌工程の前に、摩擦攪拌を行う前記回転ツールの挿入予定位置に予め下穴を形成する下穴形成工程を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項9】
筒状を呈する構造体と前記構造体の開口を覆う蓋板とを有する蓋付構造体の製造方法であって、
少なくとも前記構造体の開口側の端面に前記蓋板の裏面を突き合わせて突合部を形成する突合工程と、
前記構造体の裏面と、前記蓋板の裏面で構成される内隅から前記突合部に対して溶接を行う溶接工程と、
前記突合部に対して前記蓋板の表面側から回転ツールを挿入して摩擦攪拌接合を行う摩擦攪拌工程と、を含むことを特徴とする蓋付構造体の製造方法。
【請求項10】
前記蓋板の裏面を、第一裏面と、この第一裏面に対して段差のある第二裏面と、前記第一裏面と前記第二裏面とを連結する第三裏面とを備えるように形成し、
前記突合工程では、前記構造体の開口側の端面と前記蓋板の前記第二裏面とを突き合わせるとともに、前記構造体の裏面と前記蓋板の前記第三裏面とを突き合わせて突合部を形成することを特徴とする請求項9に記載の蓋付構造体の製造方法。
【請求項11】
前記構造体の開口側の端面を、第一端面と、この第一端面に対して段差のある第二端面と、前記第一端面と前記第二端面とを連結する第三端面とを備えるように形成し、
前記蓋板の裏面を、第一裏面と、この第一裏面に対して段差のある第二裏面と、前記第一裏面と前記第二裏面とを連結する第三裏面とを備えるように形成し、
前記突合工程では、前記構造体の前記第一端面と前記蓋板の第二裏面とを突き合わせ、前記構造体の前記第三端面と前記蓋板の前記第三裏面とを突き合わせ、前記構造体の前記第二端面と前記蓋板の第一裏面とを突き合わせて突合部を形成することを特徴とする請求項9に記載の蓋付構造体の製造方法。
【請求項12】
前記突合工程では、前記構造体の開口側の端面及び前記蓋板の裏面のいずれか一方に形成された凸部と、他方に形成された凹部とを係合させて突合部を形成することを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の蓋付構造体の製造方法。
【請求項13】
前記溶接工程では、前記内隅に現れる前記突合部に沿って形成された凹溝に溶接金属を充填することを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の蓋付構造体の製造方法。
【請求項14】
前記摩擦攪拌工程の前に、この摩擦攪拌工程で用いる回転ツールよりも小型の回転ツールを用いて前記突合部に対して仮接合を行う仮接合工程を含むことを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれか一項に記載の蓋付構造体の製造方法。
【請求項15】
前記構造体にタブ材を添設して、前記タブ材に摩擦攪拌の開始位置及び終了位置を設定することを特徴とする請求項9乃至請求項14のいずれか一項に記載の蓋付構造体の製造方法。
【請求項16】
前記摩擦攪拌工程の前に、摩擦攪拌を行う前記回転ツールの挿入予定位置に予め下穴を形成する下穴形成工程を行うことを特徴とする請求項9乃至請求項15のいずれか一項に記載の蓋付構造体の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate