説明

接合金物

【課題】生産性を向上しうる接合金物に関する。
【解決手段】架構体の柱・梁接合部Cを形成するための接合金物1である。上側の柱2Aが固着される上部プレート5、下側の柱2Bが固着される下部プレート6、及び梁の端部が固着可能な梁固着部7を含む。梁固着部7は、第1梁3Aが添着可能な第1片11と、第2梁3Bが添着可能な第2片12とを一体に有する第1縦プレート7A、及び 第3梁3Cが添着可能な第3片13と、第4梁3Dが添着可能な第4片14とを一体に有する第2縦プレート7Bからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産性を向上しうる接合金物に関する。
【背景技術】
【0002】
柱や梁を連結してなる架構体に、床や壁などのパネル体を組込むことにより、施工性を高めた工業化住宅が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この架構体には、図7に分解して示されるように、上下に配される柱bと、水平面内で十字状に配されたH形鋼の第1乃至第4梁c1〜c4とを連結固定して架構体の柱・梁接合部dを形成する接合金物aが用いられる。なお、図8には、第1乃至第4梁c1〜c4を連結後の接合金物aの断面図が示される。
【0003】
この接合金物aは、上部プレートe、下部プレートf及び第1乃至第4梁c1〜c4の柱・梁接合部d側の端部がそれぞれ固着される梁固着部gを含む。梁固着部gは、柱・梁接合部dを横断しかつ第1梁c1のウエブu1に添着される梁取付面h1と、第3梁c3のウエブu3に添着される梁取付面h3とを一体に有する長尺プレートg1、長尺プレートg1の各梁取付面h1、h3と直角な梁取付面h2を有しかつ第2梁c2のウエブu2が添着される第1短尺プレートg2、及び長尺プレートg1各梁取付面h1、h3と直角な梁取付面h4を有しかつ第4梁c4のウエブu4が添着される第2短尺プレートg3を含む。
【0004】
これらの長尺プレートg1、第1短尺プレートg2及び第2短尺プレートg3は、例えば、該長尺プレートg1と第1短尺プレートg2との入隅、及び該長尺プレートg1と第2短尺プレートg3との入隅に溶接部iが設けられることによって一体に固着される。また、梁固着部gは、上部プレートeとの上入隅及び下部プレートfとの下入隅に溶接部iが設けられることによって一体に固着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−131663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような接合金物aは、部品数や溶接箇所が多いため、生産性が低いという問題があった。さらに、溶接部iが多いと、品質にバラつきが生じやすいという問題もあった。
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、第1梁のウエブに添着可能な第1片と、該第1梁と直交する第2梁のウエブが添着可能な第2片とを一体に有する第1縦プレート、及び第2梁と直交する第3梁のウエブに添着可能な第3片と、該第3梁と直交する第4梁のウエブが添着可能な第4片とを一体に有する第2縦プレートから梁固定部を形成することを基本として、生産性を向上しうる接合金物を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明は、柱と、水平面内に配されたH形鋼の梁とを連結固定して架構体の柱・梁接合部を形成するための接合金物であって、上側に配される柱の下端部が固着される水平な板状の上部プレート、下側に配される柱の上端部が固着される水平な板状の下部プレート、及び前記上部プレートと前記下部プレートとを継いで上下にのびかつ前記梁の端部がそれぞれ固着可能な梁固着部とを含み、前記梁固着部は、第1梁のウエブに添着可能な垂直な梁取付面を有する第1片と、該第1片と直角な垂直面の梁取付面を有することにより前記第1梁と直交する第2梁のウエブが添着可能な第2片とを一体に有する第1縦プレート、及び前記第2梁と直交する第3梁のウエブに添着可能な垂直な梁取付面を有する第3片と、該第3片と直角な垂直面の梁取付面を有することにより、前記第3梁と直交する第4梁のウエブが添着可能な第4片とを一体に有する第2縦プレートからなることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記第1縦プレート及び前記第2プレートは、同一の鋼材からなる請求項1記載の接合金物である。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、前記第1縦プレート及び第2縦プレートは、前記各第1乃至第4片と上部プレートとがなす上入隅、及び前記各第1乃至第4片と下部プレートとがなす下入隅のみが溶接にて固着される請求項1に記載の接合金物である。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、前記上部プレート及び下部プレートは、中心が柱中心に揃えられかつ相似形状に取り付けられる矩形の板状であり、前記第1縦プレート及び前記第2縦プレートは、前記梁取付面を梁のウエブの厚さの1/2だけ上部プレート及び下部プレートの中心線から控えた位置に固着されることにより、前記第1乃至第4梁の各梁中心を柱中心に揃える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接合金物である。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、前記第1縦プレートは、前記第1片と、前記第2片と、これらの各片と略135度の角度で折れ曲がって繋がる第1継ぎ片とを有し、前記第2縦プレートは、前記第3片と、前記第4片と、これらの各片と略135度の角度で折れ曲がって繋がる第2継ぎ片とを有し、前記第1継ぎ片と第2継ぎ片とが背中合わせで配されてなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接合金物である。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、前記第1縦プレートには、前記第1片と第2片とに跨って第1ブレースが取り付けられる第1ブレース取付片が固着され、前記第2縦プレートには、前記第3片と第4片とに跨って第2ブレースが取り付けられる第2ブレース取付片が固着される請求項1乃至5のいずれかに記載の接合金物である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の接合金物は、柱と、水平面内に配されたH形鋼の梁とを連結固定して架構体の柱・梁接合部を形成するためのものであり、上側に配される柱の下端部が固着される水平な板状の上部プレート、下側に配される柱の上端部が固着される水平な板状の下部プレート、及び上部プレートと下部プレートとを継いで上下にのびかつ梁の端部がそれぞれ固着可能な梁固着部とを含む。
【0015】
梁固着部は、第1梁のウエブに添着可能な垂直な梁取付面を有する第1片と、該第1片と直角な垂直面の梁取付面を有することにより前記第1梁と直交する第2梁のウエブが添着可能な第2片とを一体に有する第1縦プレート、及び第2梁と直交する第3梁のウエブに添着可能な垂直な梁取付面を有する第3片と、該第3片と直角な垂直面の梁取付面を有することにより、前記第3梁と直交する第4梁のウエブが添着可能な第4片とを一体に有する第2縦プレートからなる。
【0016】
このような梁固着部は、第1縦プレートが第1片及び第2片を一体に有するとともに、第2縦プレートが第3片及び第4片を一体に有するため、部品数及び溶接箇所を低減することができる。従って、本発明では、製造作業が煩雑となるのを抑制でき、生産性を向上しうる。また、本発明では、溶接箇所が少ないため、品質のバラツキを抑制しうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の接合金物を含む架構体を示す斜視図である。
【図2】接合金物を分解して示す斜視図である。
【図3】図1の断面図である。
【図4】他の実施形態の接合金物を示す断面図である。
【図5】さらに他の実施形態の接合金物を示す断面図である。
【図6】ブレース取付片を有する接合金物を示す斜視図である。
【図7】従来の接合金物を示す斜視図である。
【図8】図7の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の接合金物1は、例えば、工業化住宅等の架構体を施工する際に、上下に配される柱2A、2Bと、水平面内に配された複数、本実施形態では、第1乃至第4梁3A、3B、3C、3Dとを連結固定して、柱・梁接合部Cを形成するのに用いられる。
【0019】
前記柱2A、2Bは、例えば、断面矩形状の角型鋼管からなる。この柱2A、2Bの上端部2a及び下端部2bには、水平な板状のフランジ2f、2fがそれぞれ設けられている。本実施形態の各フランジ2f、2fは、それらの中心2c、2cが各柱2A、2Bの柱中心2CLに揃えられ、かつ相似形状に取り付けられる矩形の板状に形成される。また、各フランジ2f、2fには、上下に貫通する孔部2hがそれぞれ設けられる。
【0020】
前記第1乃至第4梁3A〜3Dは、上下に離間して水平面内をのびる一対のフランジ3f、3fと、この一対のフランジ3f、3f間を垂直に継ぐウエブ3uとを含むH形鋼からなる。このウエブ3uの前記柱・梁接合部C側の端部3tには、水平方向に貫通する孔部3hが設けられる。
【0021】
そして、前記接合金物1は、上側に配される柱2Aの下端部2bが固着される水平な板状の上部プレート5、下側に配される柱2Bの上端部2aが固着される水平な板状の下部プレート6、及び上部プレート5と下部プレート6とを継いで上下にのびる梁固着部7とを含む。
【0022】
図2に示されるように、前記上部プレート5及び下部プレート6は、その中心5c、6cが柱中心2CLに揃えられ、かつ相似形状に取り付けられる矩形の板状に形成される。また、本実施形態の上部、下部プレート5、6は、各柱2A、2Bのフランジ2f、2f(図1に示す)と実質的に同一形状をなしている。これにより、上部、下部プレート5、6の中心5c、6cとフランジ2f、2fの中心2c、2cとを、柱中心2CLに容易に一致しうる。
【0023】
また、前記上部、下部プレート5、6には、図1に示されるように、各柱2A、2Bのフランジ2fの各孔部2h、2hに対応して上下方向に貫通する孔部5h、6hがそれぞれ設けられる。これらの孔部5h、6h及び孔部2h、2hには、ボルト(図示省略)が挿通され、かつ該ボルトにナット(図示省略)が螺合されることにより、接合金物1と各柱2A、2Bとが固着される。
【0024】
前記梁固着部7は、前記第1梁3Aの前記端部3tと前記第2梁3Bの端部3tとが固着可能な第1縦プレート7A、及び前記第3梁3Cの端部3tと前記第4梁3Dの端部3tとが固着可能な第2縦プレート7Bからなる。
【0025】
また、前記第1縦プレート7A及び前記第2縦プレート7Bは、第1乃至第4梁3A〜3Dのウエブ3uと略同一の高さに設定され、図2に示されるように、各上端7u及び下端7dが、上部プレート5の下面及び下部プレート6の上面に沿って配される。
【0026】
前記第1縦プレート7Aは、図2及び図3に示されるように、第1梁3Aのウエブ3uに添着可能な垂直な梁取付面11sを有する第1片11、及び該第1片11と直角な垂直面の梁取付面12sを有することにより第1梁3Aと直交する第2梁3Bのウエブ3uが添着可能な第2片12を一体に有し、断面略L字状に形成される。
【0027】
また、本実施形態の第1縦プレート7Aは、第1片11と第2片12との間に、これらの各片11、12と略135度の角度α1、α1で折れ曲がって繋がる第1継ぎ片16が設けられる。このような第1継ぎ片16は、第1片11と第2片12との間に生じる歪を緩和でき、第1縦プレート7Aの剛性を高めるのに役立つ。
【0028】
一方、前記第2縦プレート7Bは、第1縦プレート7Aと同一の鋼材からなり、第2梁3Bと直交する第3梁3Cのウエブ3uに添着可能な垂直な梁取付面13sを有する第3片13、及び該第3片13と直角な垂直面の梁取付面14sを有することにより第3梁3Cと直交する第4梁3Dのウエブ3uが添着可能な第4片14を一体に有し、断面略L字状に形成される。
【0029】
また、第2縦プレート7Bにも、第3片13と第4片14との間に、これらの各片13、14と略135度の角度α2、α2で折れ曲がって繋がる第2継ぎ片17が設けられ、該第2縦プレート7Bの剛性を向上にさせるのに役立つ。
【0030】
前記第1乃至第4片11〜14は、上部プレート5及び下部プレート6の各中心5c、6c側から各外縁5e、6eに向かって直線状にのび、かつ該外縁5e、6eからはみ出して形成される。
【0031】
また、前記第1乃至第4片11〜14には、上部プレート5及び下部プレート6の各外縁5e、6eからはみ出す外端部11o、12o、13o及び14oに、第1乃至第4梁3A〜3Dのウエブ3uの孔部3h(図1に示す)に対応して水平方向に貫通する孔部7hが設けられる。これらの孔部3h、7hには、各梁取付面11s〜14sに第1乃至第4梁3A〜3Dのウエブ3uを沿わせた状態でボルト(図示省略)が挿通され、かつ該ボルトにナット(図示省略)が螺合されることにより、第1乃至第4片11〜14と第1乃至第4梁3A〜3Dとがそれぞれ固着される。
【0032】
また、図2に示されるように、本実施形態の第1乃至第4片11〜14の外端部11o〜14oには、それらの上端及び下端を入隅状に切り欠いた切欠部19a、19bが設けられている。このような切欠部19a、19bは、第1乃至第4梁3A〜3Dのウエブ3uを各梁取付面11s〜14sに沿わせる際に、各外端部11o〜14oが、第1乃至第4梁3A〜3Dのフランジ3f(図1に示す)に干渉するのを抑制でき、施工性を向上しうる。
【0033】
図3に示されるように、前記第1縦プレート7A及び第2縦プレート7Bは、第1乃至第4片11〜14と上部プレート5とがなす上入隅、及び該第1乃至第4片11〜14と下部プレート6とがなす下入隅に溶接部20が形成され、該上部プレート5及び該下部プレート6に固着される。
【0034】
このように、梁固着部7は、第1縦プレート7Aが第1片11及び第2片12を一体に有するとともに、第2縦プレート7Bが第3片13及び第4片14を一体に有するため、部品数及び溶接箇所を低減できる。従って、本発明では、製造作業が煩雑となるのを抑制でき、生産性を向上しうる。また、本発明では、溶接箇所を低減できるため、品質がバラつくのを抑制しうる。
【0035】
また、本実施形態の第1縦プレート7A及び第2縦プレート7Bは、L字状に形成されるため、上部プレート5と下部プレート6との間において、第1、第2片11、12、及び第3、第4片13、14の夫々が、互いに支持し合うことができ、耐久性を向上しうる。
【0036】
前記梁取付面11s〜14sは、各梁3A〜3Dのウエブ3uの厚さW1の1/2の距離L1だけ上部プレート5及び下部プレート6の中心線CL1、CL2から控えた位置に固着されるのが望ましい。これにより、接合金物1は、第1乃至第4梁3A〜3Dの各梁中心3cを柱中心2CLに揃えて固着しうる。
【0037】
本実施形態では、第1縦プレート7Aの梁取付面11s、12sが、前記中心線CL1、CL2から、上部プレート5及び下部プレート6の4つのコーナ21a、21b、21c、21dのうち、第1片11及び第2片12に挟まれる第1コーナ21a側へ、前記距離L1だけ控えた位置に固着される。一方、第2縦プレート7Bの梁取付面13s、14sも、前記中心線CL1、CL2から、第3片13及び第4片14に挟まれる第3コーナ21c側へ前記距離L1だけ控えた位置に固着される。これにより、各梁取付面11s〜14sは、第2、第4コーナ21b、21d側に大きな溶接領域を確保しうる。
【0038】
また、図4に示されるように、各梁取付面11s〜14sが、前記中心線CL1、CL2から第2コーナ21b及び第4コーナ21d側へ前記距離L1だけ控えた位置に固着されてもよい。この場合、第1継ぎ片16と第2継ぎ片17とが背中合わせに配置されるとともに、第1コーナ21a側、及び第3コーナ21cを向く各梁取付面11s〜14sに溶接部20が形成されるのが望ましい。
【0039】
これにより、第1縦プレート7A及び第2縦プレート7Bは、第1、第2継ぎ片16、17と溶接部20とにより、柱中心2CL側と、第1、第3コーナ21a、21c側との両側で支持されるため、接合金物1の耐久性を向上しうる。
【0040】
さらに、図5に示されるように、第1縦プレート7Aの梁取付面11sが第1コーナ21a側に控えた位置に固着され、かつ梁取付面12sが第2コーナ21b側に控えた位置に固着されるとともに、第2縦プレート7Bの梁取付面13sが第3コーナ21c側に控えた位置に固着され、かつ梁取付面14sが第4コーナ21dに控えた位置に固着されてもよい。これにより、第1縦プレート7A及び第2縦プレート7Bは、上部プレート5及び下部プレート6の間でバランスよく固着される。
【0041】
ところで、図6に示されるように、工業化住宅等の架構体には、例えば、耐震性能等を向上させるために、柱間に水平ブレース26が架け渡されることが多い。そのため、接合金物1には、水平ブレース26の端部をなす金具26sを固定するブレース取付片22が固着されるのが望ましい。このようなブレース取付片22は、施工現場において、水平ブレース26を取り付ける金具を取り付ける必要がないため、施工性を向上しうる。
【0042】
本実施形態のブレース取付片22は、第1縦プレート7Aの第1片11と第2片12とに跨りかつ第1ブレース26Aが取り付けられる第1ブレース取付片22A、及び第2縦プレート7Bの第3片13と第4片14とに跨って第2ブレース(図示省略)が取り付けられる第2ブレース取付片22Bを含む。
【0043】
前記第1ブレース取付片22A及び前記第2ブレース取付片22Bは、矩形の板状に形成され、上部プレート5と下部プレート6との間の上下方向の中央付近に固着される。また、第1ブレース取付片22Aと第2ブレース取付片22Bには、上下に貫通する孔部22hがそれぞれ設けられる。
【0044】
これにより、第1、第2ブレース取付片22A、22Bは、その下方に水平ブレース26が配置されるとともに、各ブレース取付片22A、22Bの孔部22h及び金具26sに形成される孔部26hにボルト(図示省略)が挿通され、かつ該ボルトにナット(図示省略)が螺合されることにより、該水平ブレース26が固着される。
【0045】
なお、前記第1、第2ブレース取付片22A、22Bの各外縁22eは、水平面内において、上部プレート5及び下部プレート6の各外縁5e、6eよりも中心5c、6c側に配されるのが望ましい。これにより、第1、第2ブレース取付片22A、22Bが、第1乃至第4梁3A〜3Dのウエブ3u(図1に示す)や、他の部材に干渉するのを抑制しうる。
【0046】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。例えば、接合金物1には、柱2A、2Bの一方のみが連結固定される場合や、第1乃至第4梁3A〜3Dの1乃至3本のみが連結固定される場合にも使用しうるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 接合金物
2A、2B 柱
3A〜3D 第1乃至第4梁
5 上部プレート
6 下部プレート
7 梁固着部
7A 上部プレート
7B 下部プレート
11〜14 第1乃至第4片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と、水平面内に配されたH形鋼の梁とを連結固定して架構体の柱・梁接合部を形成するための接合金物であって、
上側に配される柱の下端部が固着される水平な板状の上部プレート、
下側に配される柱の上端部が固着される水平な板状の下部プレート、及び
前記上部プレートと前記下部プレートとを継いで上下にのびかつ前記梁の端部がそれぞれ固着可能な梁固着部とを含み、
前記梁固着部は、第1梁のウエブに添着可能な垂直な梁取付面を有する第1片と、該第1片と直角な垂直面の梁取付面を有することにより前記第1梁と直交する第2梁のウエブが添着可能な第2片とを一体に有する第1縦プレート、及び
前記第2梁と直交する第3梁のウエブに添着可能な垂直な梁取付面を有する第3片と、該第3片と直角な垂直面の梁取付面を有することにより、前記第3梁と直交する第4梁のウエブが添着可能な第4片とを一体に有する第2縦プレートからなることを特徴とする接合金物。
【請求項2】
前記第1縦プレート及び前記第2プレートは、同一の鋼材からなる請求項1記載の接合金物。
【請求項3】
前記第1縦プレート及び第2縦プレートは、前記各第1乃至第4片と上部プレートとがなす上入隅、及び前記各第1乃至第4片と下部プレートとがなす下入隅のみが溶接にて固着される請求項1に記載の接合金物。
【請求項4】
前記上部プレート及び下部プレートは、中心が柱中心に揃えられかつ相似形状に取り付けられる矩形の板状であり、
前記第1縦プレート及び前記第2縦プレートは、前記梁取付面を梁のウエブの厚さの1/2だけ上部プレート及び下部プレートの中心線から控えた位置に固着されることにより、前記第1乃至第4梁の各梁中心を柱中心に揃える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接合金物。
【請求項5】
前記第1縦プレートは、前記第1片と、前記第2片と、これらの各片と略135度の角度で折れ曲がって繋がる第1継ぎ片とを有し、
前記第2縦プレートは、前記第3片と、前記第4片と、これらの各片と略135度の角度で折れ曲がって繋がる第2継ぎ片とを有し、
前記第1継ぎ片と第2継ぎ片とが背中合わせで配されてなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接合金物。
【請求項6】
前記第1縦プレートには、前記第1片と第2片とに跨って第1ブレースが取り付けられる第1ブレース取付片が固着され、
前記第2縦プレートには、前記第3片と第4片とに跨って第2ブレースが取り付けられる第2ブレース取付片が固着される請求項1乃至5のいずれかに記載の接合金物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11110(P2013−11110A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144670(P2011−144670)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】