説明

接着剤

積層用接着剤及び感圧接着剤として有用なUV‐硬化型ウレタン(メタ)アクリレートポリマー、並びにそれらの製造方法が開示される。このポリマーは、アクリレートから誘導されたポリオール及びゴムポリマーから誘導されたポリオールの混合物とジイソシアネートを反応させることにより形成されたウレタン延長主鎖を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤及びその製造法に関する。本発明の接着剤は、主鎖延長型ウレタン(メタ)アクリルオリゴマー及び/又は輻射線により更に重合可能なポリマーを含むことができる。このようなポリマーは、例えば、ヒドロキシル(メタ)アクリレート基を末端にもつアクリルー・ゴムブロックコポリマーを含む。また、本発明は、接着剤成分としてこれらのポリマーの少なくとも1種を含む接着剤配合物、並びに配合物の製造法に関するものであり、この配合物は、例えば、従来の溶媒系接着剤に比較すると、硬化後に高い接着性能を示すことができる。本発明の接着剤は、輻射線硬化型感圧接着剤(PSAs)及び/又は積層用接着剤として使用できる。
【0002】
輻射線硬化型接着剤は、瞬時に硬化でき、その結果、生産出力の向上、仕掛品の低減、エネルギー消費の低減、フロアー面積の低減、及び揮発性有機化合物(VOC)若しくはイソシアネートなどの好ましくない成分の放出の低減又は解消をもたらす故に、引き続き産業界の関心事である。しかし、従来の溶媒、水及び/又はホットメルト系接着剤にとって代わるこのような利点を差置いて、輻射線硬化型接着剤は、新規な問題及び欠点を持ち込むことなく、優れたバランスの接着性能をもつことを証明しなければならない。さらに、輻射線硬化型接着剤は、その利点と共に、最終ユーザーに対して付加価値を与えることになる低コストで、実現できなければならない。これは実に手強い挑戦である。
【0003】
接着剤の粘弾性は、流動(粘性)及び剛性(弾性)の両者のバランスといえる。このように、粘弾性は、高分子の流動、変形、変形に対する抵抗及びエネルギー消費を支配し、それ故に、接着に関する結合及び剥離の両面に影響を与える。
【0004】
従来のポリウレタンエラストマー接着剤において、ポリウレタン主鎖は、可撓性/伸び、及び水素結合に関与して、顕著な接着性、耐熱性及び剛性を生み出している。これには多くの因子が関係しているかもしれない。如何なるメカニズムに束縛されることも望まないが、固有の分子構造及び架橋密度が、共に、接着性能を決めるために有用な役割を演じることができると思われる。
【0005】
可撓性ポリウレタンエラストマーは、2つのセグメント型の構造、即ち長くて可撓性ポリオール鎖からなるソフトセグメント、並びに比較的短く固いポリウレタンポリウレア結合からなるハードセグメントを含む。得られたエラストマーは、ポリマー鎖中で極性基の二次結合又は水素結合に大いに依存しているに違いないと思われる。ハードウレタンセグメント内のNH基及びC=O(カルボニル)基間の水素結合は、強力であって、ハードセグメントを長くて可撓性の連鎖を有する構造内に集合させる。ハード及びソフトセグメントからなる2相構造が形成される。
【0006】
従来の硬化したポリウレタンネットワークの架橋密度は、架橋ポリマーネットワーク中の分枝点当たりの平均当量で測定することができ、Mcと呼ばれる。この値は、典型的には、可撓性の材料に対する2,000から、きわめて柔軟な弾性材料に対する約25,000まで変化するであろう。したがって、従来の柔軟な可撓性高伸長ポリウレタンは、主にリニア構造であり、かつ比較的低度の分枝を有する。
【0007】
1960年代の後半以降、以下のような種々の輻射線硬化型(メタ)アクリレート化ウレタンオリゴマー接着剤が現れた。
【0008】
日本特開2003‐155455及び日本特開2002‐309185は、両者共に、ポリウレタン系UV硬化型PSAを開示しており、ポリウレタンは、主に、水素化ポリブタジエンポリオールとポリイソシアネートにより形成される。
【0009】
日本特開2002‐322454は、特殊なウレタン(メタ)アクリレートを開示し、その主鎖は、シリコーンポリオール、1,4‐ポリブタジエンジオール、水素化1,4‐ポリブタジエンジオール、メチレングリコール、及び/又はフルオロ/ペルフルオロアリレンポリオールからの少なくとも一つのポリオールを含む。
【0010】
日本特開09‐279076は、UV硬化型感圧接着剤/インキ組成物を開示し、この組成物は、(a)1,000〜20,000の範囲のMwをもつウレタンアクリレートオリゴマー、(b)85〜1,000の範囲のMwをもつ二重結合含有モノマー、(c)脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネート、並びに(d)光開始剤を含有する。ポリウレタン主鎖の詳細は開示されていない。
【0011】
米国特許第5,391,602号は、輻射線硬化型PSAの組成物を開示しており、ポリウレタンは、ポリオキシプロピレンジオール又はポリオキシエチレンジオールから誘導される。
【0012】
米国特許第5,087,920号並びにDE3,709,920は、共に、アクリレート及びアルコールでキャップされた輻射線硬化型ポリウレタンオリゴマーを開示しており、これはPSAに用いられる。このポリウレタンは、ポリエーテル又はポリエステルジオールから誘導される。
【0013】
EP0289852は、輻射線硬化型PSAを開示しており、これは、(a)部分水素化ポリブタジエン系ポリウレタンアクリレート、(b)連鎖移動剤及び(c)N‐ニトロソフェニルヒドロキシルアミンの金属錯体を取り込んでいる。
【0014】
米国特許第4,786,586号は、ポリブタジエン又はポリブテン主鎖をもつ、アクリレート末端のウレタンオリゴマーを開示し、これは光乳化積層用接着剤として用いられる。
【0015】
また、米国特許第4,789,625号は、主鎖がアルカンジオールから誘導されるアクリレート末端のウレタンオリゴマーを含有する積層用接着剤を開示する。
【0016】
輻射線硬化型接着剤の使用が爆発的に成長するであろうという期待があるにも拘らず、これが決して十分には実現していない。これは、現在の接着剤技術に取って代わるために克服される必要がある多くの技術的挑戦に原因している。例えば、従来技術の輻射線硬化型接着剤システムにおいて、粘性と弾性間、分子量と架橋密度(Mc)間、及び/又は粘着力、接着力と凝集力間のバランスがうまく制御されなかった。
【0017】
Ozawaらの報告(Takehiro Ozawa、Shinich Ishiwata、Yoshihisa Kano、Furukawaレビユー(2001年)20、83〜88)は、UV硬化型PSAとして、硬化コーティングの接着強さ及び凝集強さのバランスが如何にコーティングの特性に影響を及ぼすかを開示している。この報告に記載された方法は、制御された効果的な仕方でUVエネルギーを湿潤フィルムに送り込む。種々の接着剤ブレンド(UVで硬化した及び未硬化の両者)を、DSC(示差走査熱量測定法)及びDCA(動的接触角)を用いて試験した。データは、プローブ粘着剥離接着力が貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E’’の増加に伴い単調に減少し、一方接着剤保持力がより高くなったことを示す。UV照射後、接着剤の弾性値及びガラス転移温度(Tg)が高くなるので、UV硬化したブレンドの変形エネルギーが硬化工程により低減されたと考えられる。
【0018】
高分子量オリゴマーを含む輻射線硬化型配合物は、しばしば低分子量(即ち低粘度)モノマーを用いて希釈される。如何なるメカニズムにも束縛されることを望まないが、希釈が、取扱い性及び配合物の粘度を改良し、可撓性及び伸長性を付与できると考えられている。適切な希釈性モノマーは、モノ‐、ジ‐、トリ‐又はより高い官能価をもつことができる。より高分子量のオリゴマーは、2種以上の末端(メタ)アクリレート基を含むことができる。この基は、オリゴマーが硬化され、共重合され、又はモノマーで架橋された後に、分枝点になることができる。
【0019】
それぞれのモノマー及び/又はオリゴマー上の官能器が多くなるほど、硬化した配合物のMcが低くなり、即ち架橋密度が高くなる。より密なネットワークは、より高い抗張力、より低い伸び、より高いTg、より高い硬度及び/又はより固い製品を示す。しかし、過度に多い官能価は、過剰な架橋を起こすことがあり、これが輻射線硬化程度を低下させる恐れが生じる。これを処理するために、モノマー及び/又はオリゴマーの不飽和二重結合の数は、最小限に抑えてもよいが、過少の官能価は不十分な凝集強さの硬化された配合物を生成する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
良好な性能をもった接着剤配合物を提供するために、配合物の粘弾性(並びに、表面エネルギー及び/又は表面張力などのその他の特性)が、すべて考慮されなければならない。本発明は、先行技術の接着剤について先に記載した問題の一部又は全てについて提言する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明に従い幅広く、式1で表されるポリマーであって、
【化1】


式中、R1及びR’1は、それぞれ独立して水素又はC1-4アルキル、都合よくはH又はメチルであり、R2、R’2及びR3は、それぞれ独立して任意選択で置換有機基、都合よくは任意選択で置換ヒドロカルボ、より都合よくは任意選択で置換C1-36ヒドロカルビレン:例えばC1-18アルキレンであり、R4は、式2で表される2価ランダムブロックコポリマー成分(=「主鎖」)であり、
【化2】


式中、A’は、少なくとも1種の活性化不飽和成分を含む1種以上のポリオールから得られた及び/又は得ることができる有機残基、その際ポリオールは、低分子量の単分散化合物であり、かつ好ましくは親水性であり、B’は、少なくとも1種の活性化不飽和成分を含む1種以上のポリオールから得られた及び/又は得ることができる有機残基、その際ポリオールは、高分子量のポリマーであり、かつ好ましくは疎水性であり、m及びnは独立した整数であり、かつpは約2から約100であるポリマーが提供される。好ましくは、R1及びR’1並びにR2及びR’2は同一である。
【0022】
文脈が特に明確に示唆しない限り、本明細書に用いる場合には、用語の複数形は単数形を含むものと解釈されるものとし、その逆も成り立つ。
【0023】
本明細書に用いる用語「含む(comprising)」は、後続のリストが不徹底であり、任意の別の追加的な適切なアイテム、例えば、相応しい1種以上の更なる特徴、成分、要素、及び/又は置換基を包含してもよい、又は包含しなくてもよいことを意味すると解釈されるであろう。
【0024】
用語「効果的」、「許容できる」、「活性な」及び/又は「適切な」(例えば、任意の工程、用途、方法、応用、製造、製品、材料、配合物、化合物、モノマー、オリゴマー、ポリマー、前駆体、及び/又は本発明のポリマー、及び/又は相応しいとして明細書に記載したポリマーを参照して)は、本明細書に記載するように、正しい仕方で用いた時、それらが添加され、及び/又は取り込まれて有用になる要求特性を提供する本発明の特徴を言うものと理解されるであろう。このような有用性は、材料が、前記の用途に対する要求特性を有する場合には直接的であり、及び/又は材料が合成中間体及び/又は直接利用の別の材料を製造する際の診断用具として用途をもつ場合には間接的であるかもしれない。また、本明細書で用いるこれらの用語は、官能基が、効果的、許容できる、活性な及び/又は適切な最終製品と矛盾しないことを意味する。本発明のポリマーの好ましい効用は、接着剤であり、より好ましくは感圧接着剤又は積層用接着剤である。
【0025】
本明細書で用いる用語「任意選択の置換基」及び/又は「任意選択で置換された」は(別の置換基の表を伴わない限り)、下記の基の1種以上(若しくは、これらの基にによる置換)を意味する:カルボキシ、スルホ、ホルミル、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、ニトリロ、メルカプト、シアノ、ニトリロ、メチル、メトキシ、及び/又はそれらの組み合わせ。これらの任意選択の基は、複数の前記の基の同一成分中に全ての適切な化学的に可能な組み合わせを包含する(例えば、アミノとスルホニル、若し相互に直接結合する場合、スルファモイルを表す)。好ましい任意選択の置換基は、カルボキシ、スルホ、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、シアノ、メチル、ハロ、トリハロメチル及び/又はメトキシを含む。
【0026】
本明細書で用いる同義語「有機置換基」及び「有機基」(「オルガノ」とも省略される)は、1個以上の炭素原子及び任意選択で1種以上のその他のヘテロ原子を含む任意の一価又は多価成分(任意選択で1種以上の他の成分に結合した)を示す。有機基は、炭素を含有する一価基を含むオルガノヘテリル基(オルガノエレメント基としても知られる)を含むことができ、この基は、したがって有機質であり、しかも炭素以外の原子に自由原子価をもっている(例えばオルガノチオ基)。有機基は、官能基の種類に関係なく、かつ炭素原子に1個の自由原子価をもつ任意の有機置換基を含むオルガニル基を二者択一的に又は付加的に含むことができる。また、有機基は、複素環式化合物の任意の環原子から水素原子を取り除くことにより形成した一価基を含むヘテロシクリル基を含むことができる(環構成員として少なくとも2種の異なる元素、この場合一つは炭素、からなる原子をもつ環状化合物)。好ましくは、有機基中の非炭素原子は、水素、ハロ、リン、窒素、酸素、ケイ素及び/又は硫黄から選択することができ、より好ましくは水素、窒素、酸素、リン及び/又は硫黄から選択することができる。
【0027】
最も好ましい有機基は、下記の炭素含有成分の1種以上を含む:アルキル、アルコキシ、アルカノイル、カルボキシ、カルボニル、ホルミル及び/又はそれらの組み合わせ;任意選択で下記のヘテロ原子含有成分の1種以上を組み合わせて:オキシ、チオ、スルフィニル、スルホニル、アミノ、イミノ、ニトリロ及び/又はそれらの組み合わせ。有機基は、複数の上記炭素含有及び/又はヘテロ原子成分の同一成分中に、適切な、化学的に可能な全ての組み合わせを含む(例えば、アルコキシ及びカルボニル、若し相互に直接結合するなら、アルコキシカルボニル基を表す)。
【0028】
本明細書に用いる用語「ヒドロカルボ基」は、有機基のサブセット(sub‐set)であり、1個以上の水素原子及び一個以上の炭素原子からなる一価又は多価成分(任意選択で一種以上の他の成分に結合した)を示し、かつ1種以上の飽和、不飽和及び/又は芳香族成分を含むことができる。ヒドロカルボ基は、下記の基の1種以上を含むことができる。ヒドロカルビル基は、炭化水素(例えば、アルキル)から水素原子を取り除くことにより形成される一価の基を含む。ヒドロカルビレン基は、炭化水素から2個の水素原子を取り除くことにより形成される二価の基を含み、その自由原子価は二重結合に使われない(例えば、アルキレン)。ヒドロカルビリデン基は、炭化水素の同一炭素原子から2個の水素原子を取り除くことにより形成された二価の基(「R2C=」で表すことができる)を含み、その自由原子価は二重結合に使われる(例えば、アルキリデン)。ヒドロカルビリジン基は、炭化水素の同一炭素原子から3個の水素原子を取り除くことにより形成された三価の基(「RC≡」で表すことができる)を含み、その自由原子価は三重結合に使われる(例えば、アルキリジン)。また、ヒドロカルボ基は、飽和炭素炭素単結合(例えば、アルキル基);不飽和二重及び/又は三重炭素炭素結合(例えば、それぞれアルケニル及びアルキニル基);芳香族基(例えば、アリール基)及び/又は同一成分内にそれらの組み合わせを含むことができ、かつ断りがある場合、別の官能基で置換されてもよい。
【0029】
本明細書で用いる用語「アルキル」又はその同等用語(例えば、「アルク」)は、適切であり、かつ文脈が特に明確に示唆しない限り、本明細書で記載した基などの任意の他のヒドロカルボ基を包括する用語(例えば、二重結合、三重結合、芳香族成分を含む(それぞれアルケニル、アルキニル及び/又はアリールなど))及び/又はそれらの組み合わせ(例えば、アラルキル)並びに2種以上の成分に結合した任意の多価ヒドロカルボ種(二価ヒドロカルビレン基、例えばアルキレン)で容易に置き換えることができる。
【0030】
本明細書で述べた任意の(ラジカル)基又は成分(例えば、置換基)は、特に断りがない限り、又は文脈が特に明確に示唆しない限り、多価又は一価の基であってもよい(例えば、2個の他の成分に結合した二価ヒドロカルビレン成分)。本明細書で示唆した場合、このような一価又は多価基は、さらに任意選択的置換基を含むことができる。3個以上の原子の連鎖を含む基は、連鎖が全体として又は部分的にリニア、分枝状及び/又は環状(スピロ及び/又は縮合環を含有する)であってもよい基を意味する。ある種の置換基については、ある種の原子の総数が特定され、例えば、C1-Nは1からN個の炭素を含む有機成分を意味する。本明細書中の任意の式において、1個以上の置換基が成分中の任意の特定の原子に(例えば、連鎖及び/又は環に沿った特定の位置上に)結合すると示唆されない場合、置換基は、任意のHと置き換わることができ、及び/又は化学的に安定な及び/又は効果的な成分上の任意の利用できる位置に存在することができる。
【0031】
好ましくは、本明細書に掲載されたどの有機基も、1から36個の炭素原子、より好ましくは1から18個の炭素原子を含む。有機基中の炭素原子の数は、1から12個、特に包括的に1から10個、例えば1から4個の炭素原子であることが特に好ましい。
【0032】
括弧で与えられる特徴((アルキル)アクリレート、(メタ)アクリレート及び/又は(コ)ポリマーなど)を含む、本明細書で用いる化学用語(特に同定された化合物に関するIUAPC以外の名称)は、文脈が示唆するように括弧内の部分が任意選択であり、例えば、用語(メタ)アクリレートが、メタクリレート及びアクリレートの両者を表すことを意味する。
【0033】
本明細書で述べたように、本発明の一部又は全体に含まれ及び/又は使用される、ある種の成分、種、基、繰り返し単位、化合物、オリゴマー、ポリマー、材料、混合物、組成物、及び/又は配合物は、下記の不徹底なリスト中のこれら用語などの1種以上の異なる形で存在できる:立体異性体(鏡像異性体(例えば、E及び/又はZ形)、ジアステレオ異性体、及び/又は幾何異性体など);互変異性体(例えば、ケト及び/又はエノール形)、配座異性体、塩、両性イオン、錯体(キレート、包接化合物、クラウン化合物、シプタンド/クリプテード、包接化合物、層間化合物、侵入型化合物、配位子錯体、有機金属錯体、非化学量論的錯体、Πアダクツ、溶媒和化合物、及び/又は水化物など);同位体的置換形、高分子構造体[ホモ又はコポリマー、ランダム、グラフト及び/又はブロックポリマー、リニア及び/又は分枝したポリマー(例えば、スター及び/又は側枝した)、架橋及び/又は網状化ポリマー、二価及び/又は三価の繰り返し単位から得られるポリマー、デンドリマー、異なる立体規則性のポリマー(例えば、アイソタクティック、シンジオタクティック又はアタクティック)など];同質異像体(侵入形、結晶形及び/又は非晶質形など)、異なる相、固溶体;及び/又はそれらの組み合わせ、及び/又は可能な場合それらの混合物。本発明は、本明細書から明らかであるように、効果的なこのような全ての形態を包含し及び/又は使用する。
【0034】
本発明のポリマーは、1種以上の適切なポリマー前駆体を用いて製造できる。この前駆体は、有機及び/又は無機であってもよく、任意の適切な(コ)モノマー、(コ)ポリマー(ホモポリマーを含む)、及びそれらの混合物を含んでもよく、かつこの若しくは各ポリマー前駆体との結合を形成する能力があって、本明細書で示唆するような直接結合により、この若しくは各ポリマー前駆体の別のものと連鎖延長及び/又は架橋結合を与えることができる成分を含む。
【0035】
本発明のポリマー前駆体は、適切な重合可能な官能性をもつ1種以上のモノマー、オリゴマー、ポリマー、それらの混合物及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0036】
モノマーは、重合能力がある、低分子量(例えば、1キロダルトン未満)の実質的に単分散化合物である。
【0037】
ポリマーは、重合法により製造された大分子量(例えば、数千、数万)をもつ高分子の多分散混合物であり、その際、この高分子は、より小さい単位の多重繰り返し(それ自身、モノマー、オリゴマー及び/又はポリマーであってもよい)を含み、(特性が分子構造の微細部分に顕著に左右されない限り)この単位の1個又は数個の付加又は除去が、高分子の特性にほとんど影響を与えない。
【0038】
オリゴマーは、モノマーとポリマーとの中間分子量をもつ分子の多分散混合物であり、この分子は、小量の複数のモノマー単位を含み、このモノマー単位の除去が分子の特性を顕著に変えるであろう。
【0039】
文脈に応じて、広範な用語のポリマーは、オリゴマーを包含してもよく、又は包含しなくてもよい。
【0040】
本発明の及び/又は本発明で用いるポリマー前駆体は、直接合成又は(ポリマーの前駆体がそれ自身ポリマーである場合)重合により製造することができる。重合性ポリマーが、それ自身、本発明の及び/又は本発明で用いるポリマー前駆体として用いられる場合、このようなポリマー前駆体が、低い多分散性をもち、より好ましくは実質的に単分散であって、副反応、副生成物の数、及び/又はこのポリマー前駆体から形成される任意のポリマー材料中の多分散性を減少させることが好ましい。このポリマー前駆体は、常温常圧で実質的に非反応性であってもよい。
【0041】
本明細書で文脈が特に明確に示唆しない限り、本発明の及び/又は本発明で用いるポリマー及び/又は高分子量のポリマー前駆体は、当業者に周知の適切な重合法により(共)重合できる。適切な方法の例は、以下の手段を含む:熱的開始反応;適切な試薬を添加することによる化学的開始反応;触媒;及び/又は任意選択の開始剤の使用とそれに続く照射による開始反応、例えばUVなどの適切な波長で電磁輻射(光‐化学開始反応)で;及び/又は電子ビーム、α粒子、中性子及び/又はその他の粒子などの別種の輻射線で。
【0042】
ポリマー及び/又はオリゴマーの繰り返し単位上の置換基は、材料と、それらが本明細書に記載した用途に配合され、及び/又は取り込まれるポリマー及び/又は樹脂との混和性を改良するために選択することができる。したがって、置換基のサイズ及び長さは、樹脂との物理的な絡み合い又は位置関係を最適にするために選択することができ、又は置換基は、相応しいその他の樹脂と化学的に反応及び/又は架橋反応することができる別の反応要素を含んでもよく、又は含まなくてもよい。
【0043】
用語「活性化不飽和成分」は、本明細書では、少なくとも一つの不飽和炭素炭素二重結合を、少なくとも一つの活性成分に化学的に近接して含む種を表すために用いられる。好ましくは、活性成分は、エチレン性不飽和二重結合を活性化する任意の基を含み、適切な求電子性基が二重結合上に付加されている。好都合には、活性化成分は、オキシ、チオ、(任意選択でオルガノ置換)アミノ、チオカルボニル、及び/又はカルボニル基(後の2基はチオ、オキシ、又は(任意選択でオルガノ置換)アミノ基で任意置換された)を含む。より好都合には、活性化成分は、(チオ)エーテル、(チオ)エステル、及び/又は(チオ)アミド成分である。最も好都合な「活性化不飽和成分」は、「不飽和エステル成分」を含む。この「不飽和エステル成分」は、1種以上の「ヒドロカルビニデニル(チオ)カルボニル(チオ)オキシ」、及び/又は1種以上の「ヒドロカルビニデニル(チオ)カルボニル(オルガノ)アミノ」基、及び/又は類似物、及び/又は誘導された成分、例えば、(メタ)クリレート官能性、及び/又はそれらの誘導体を含む成分を含むオルガノ種を意味する。「不飽和エステル成分」は、任意選択で置換された一般名α,β‐不飽和酸、エステル、及び/又はチオ誘導体を含有するそれらの別の誘導体、及びそれらの類似物を任意選択で含むことができる。
【0044】
好ましい活性化不飽和成分は、式Aで表される成分である。
【化3】


式中、qは0又は1であり、X1はオキシ又はチオであり、X2はオキシ、チオ又はNRe(式中、ReはH又は任意選択で置換オルガノ基)であり、R、R、R及びRdはそれぞれ独立してH、任意選択で置換基、及び/又は任意選択で置換オルガノ基を表し、かつ、それらの全ての適切な異性体、同一種に関してそれらの組み合わせ、及び/又はそれらの混合物である。
【0045】
本明細書で、用語「活性化不飽和成分」、「不飽和エステル成分」、及び/又は式Aは、個別の化学種(化合物、イオン、フリーラジカル、オリゴマー及び/又はポリマーなど)及び/又はそれらの任意の一部分を表してもよいことが理解できるであろう。したがって、また、式Aは、多価基(好ましくは二価)を表してもよい。このように、本明細書でq、X1、X2、R、R、R、Rd及びReに関して与えられた選択は、相応しい相当する二価又は多価基を包含する。
【0046】
式Aのより好ましい成分(異性体及びそれらの混合物を含有する)は、qが1、X1がO;X2がO、S又はNRe;R、R、R及びRdが、H、任意選択の置換基、及び任意選択的に置換されたC1-10ヒドロカルボから独立して選択され、かつ存在するReが、H、及び任意選択的に置換されたC1-10ヒドロカルボから選択される成分である。
【0047】
最も好ましくは、qが1、X1がO;X2がO又はS、並びにR、R、R及びRdが、独立してH、ヒドロキシ、及び/又は任意選択的に置換されたC1-6ヒドロカルビルである。
【0048】
例えば、qが1、X1及びX2が共にO、並びにR、R、R及びRdが、独立してH、OH、及び/又はC1-4アルキルである。
【0049】
qが1、かつX1及びX2が共にOである式Aの成分について:(R及びR)の一つがH、かつRもHである場合、式Aはアクリレート成分を表し、これは(R及びRの両者がHである場合)アクリレートを、並びに(R又はRのいずれかがHでない場合)それらの誘導体を含有する。同様にR又はRの一つがHであり、かつRがCH3である場合、式Aはメタクリレート成分を表し、これは(R及びRの両者がHである場合)メタクリレートを、かつ(R又はRのいずれかがHでない場合)それらの誘導体を含有する。式Aのアクリレート及び/又はメタクリレート成分は、本発明の用途にとって特に好ましい。
【0050】
好都合な式Aの成分は、qが1、X1及びX2が共にO、R及びRが独立してH、メチル又はOH、かつRがH又はCH3であるものである。
【0051】
より好都合な式Aの成分は、qが1、X1及びX2が共にO、RがOH、RがCH3、かつRがHであるもの、及び/又はそれらの互変異性体(例えば、アセトアセトキシ官能種の)である。
【0052】
最も好都合な不飽和エステル成分は、‐OCO‐CH=CH2;‐OCO‐C(CH3)=CH2;アセトアセトキシ、‐OCO‐CH=C(CH3)(OH)及びそれらの適切な全ての互変異性体から選択される。
【0053】
別の反応性成分などの、式Aで表される任意の適切な成分が、本発明の文脈内で使用できることは理解されるであろう。
【0054】
本発明の接着剤は、好ましくは比較的高分子量(M、M及び/又はMで測定した)のオリゴマー及び/又はポリマーを含む。高分子量は、最終配合物を適切な粘度に維持しながら、加温溶融状態で基体を容易に塗布できるように、未硬化接着剤の強度を増加させると考えられている。適切なオリゴマー及び/又はポリマーの多分散性は、高くてもよく、好ましくは約2から約100である。
【0055】
輻射線開始の架橋結合反応は、硬化した接着剤の弾性及び/又は凝集性を限られた程度に向上させるが、ポリマー網は、単に部分的に完成されているに過ぎないと考えられる。
【0056】
本発明の好ましいオリゴマー及び/又はポリマーは、アクリル及びゴム成分の複合体である高分子主鎖を含む。
【0057】
如何なるメカニズムにも束縛されることを望まないが、アクリル成分が、例えば、より大きい混和性を有するため、凝集性能を改良する追加配合を行うこともなく、PSA配合物に使用できるので、このアクリル成分は、固有の自己粘着性を与え、かつゴム成分に比較してある種の性能利点をもたらすと考えられる。ゴム成分が用いられるが、その理由は、これが、きわめて良好な一般的接着性、高められたせん断強度をもち、及び/又は限られた輻射線架橋結合に基づく凝集性能をいくらかでも部分的に補うことができると考えられている故である。また、本発明のアクリルの極性部分、ゴム、オリゴマー及び/又はポリマーの非極性部分の比率を変更することは、その表面エネルギーの変化を有効にもたらすことができる。
【0058】
本発明の好ましい目的は、主鎖がランダムなアクリル及びゴムブロックを含む、主鎖延長ウレタン(メタ)アクリレートポリマー(及びその製造法)を提供することである。
【0059】
本発明の別の好ましい目的は、輻射線硬化型(例えば、紫外線又は電子ビームなどの化学線及び/又はイオン化輻射線による)の接着組成物、より好ましくは高いUV‐硬化速度のものを提供することである。
【0060】
本発明の更に好ましい目的は、高い固形分含有量の、より好ましくは実質的に約100%固形分をもつ接着剤組成物を提供することである。
【0061】
本発明の更に別の好ましい目的は、加温溶融条件下で、十分に低粘度(好ましくは約20,000cPs以下)の液体状態で存在して適切な基体に塗布することができる、より好ましくはモノマーによる希釈の必要がなく塗布できる接着組成物を提供することである。適切な加温溶融条件は、約40℃から約120℃の温度である。
【0062】
本発明の更に別の好ましい目的は、溶媒系接着剤に比較して種々の基体に対して高い後硬化接着性をもつ接着剤組成物を提供することである。
【0063】
本発明の別の観点に従えば、ブロックコポリマー構造の主鎖を有する、主鎖延長型ウレタン(メタ)アクリレートを提供することができる。この主鎖は、ヒドロキシとイソシアネートを反応させ形成したウレタンにより結合したコポリマーブロックをランダム形成する、ポリマーを合成中に延長することができる。
【0064】
本発明の主鎖形成ポリマーブロックは、アクリルポリオールから誘導されるブロック及びゴムポリオールから誘導されるブロックの、2つの種類に分類できる。
【0065】
アクリルブロックは、ポリマーに対して、種々の温度における粘着性、良好な接着バランス及び凝集性、及び/又は汎用粘着付与剤との良好な総合的混和性などの、多くの固有の感圧接着特性をもたらす。ゴムブロックは、ポリマーに対して、高い抗張力、良好な可撓性、及び/又は良好な弾性を与える。
【0066】
本発明のポリマーは、非晶質又は無定形状態のアクリル及びゴムブロックの両方を含むことができる。好ましいアクリル及び/又はゴムブロックは、低Tgであり、より好ましくは約−85℃から約10℃、最も好ましくは約−70℃から約−10℃のTgである。
【0067】
本発明の好ましいポリマーは、ウレタン(メタ)アクリレートであり、このポリマーは、2段階法で製造することができ、最初にポリマー主鎖を構成又は延長し、次に主鎖の(メタ)アクリル化を行う。
【0068】
このポリマー主鎖は、ヒドロキシとイソシアネート基の間のウレタン縮合反応により作成し、及び/又は延長することができる。ヒドロキシル基は、アクリル及びゴムポリオールから誘導されたポリオール混合物として提供することができ、かつ過剰のイソシアネート基は、二官能価のイソシアネートにより供給することができる。この両者は、反応生成物として、本発明のイソシアネート末端プレポリマーを生成する。
【0069】
本発明の好ましいポリマーは、式1Aで表されるポリマーである。
【化4】


式中、R1は、水素又はメチルであり、R2は、アルキル又はアルコキシヒドロキシ(メタ)アクリレートから誘導される2価の残基、より好ましくはアルキル又はアルコキシ残基であり、R3は、脂肪族、脂環式、複素環式、及び/又は芳香族ジイソシナネートから誘導される2価の残基であり、R4は、式2Aで表される2価のランダムブロックコポリマー主鎖であり、
【化5】


式中、Aは、1種以上のアクリル誘導ポリオールから誘導される2価の残基であり、Bは、1種以上のゴム誘導ポリオールから誘導される2価の残基であり、m及びnは独立して1から20の整数であり、かつpは約2から約50である。
【0070】
好ましくは、ポリマー主鎖R4の配列は、繰り返し単位の相対的存在量だけを条件として、厳密には偶発的に決まる。
【0071】
本発明のポリマー中のゴムポリオールとアクリルポリオールの重量比は、約0.1から約10、好ましくは約0.2から約3であってもよい。
【0072】
本発明のポリマー中の主鎖R4の長さ及び繰り返し単位の数pは、反応の化学量論、及びポリマーの製造に用いる反応体の反応性により制御できる。例えば、全ポリオールとイソシアネートの当量数の比率は、George Odian、「重合の原理」第3版、John Wiley & Sons社、78〜82頁に記載されたように制御できる。
【0073】
式2の繰り返し単位の平均数「p」は、好ましくは約5から約15である。
【0074】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートでは、好ましくは、主鎖R4は、実質的にリニアであるが、アクリルポリオールから誘導された多くのペンダント側鎖を含む。このような側鎖は、場合によっては分枝していてもよく、好ましくは1から14個の炭素原子を含むことができる。
【0075】
(メタ)アクリレーション反応では、先行反応で得られたイソシアネート基末端プレポリマーは、2端がヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートでキャップされる。時には、(メタ)アクリレーション反応は、幾つかの側鎖上で起こり制御可能数のペンダント(メタ)アクリレート基を提供する。
【0076】
本発明の好ましいポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定した約50から約5,500キロダルトン(kDa)の、より好ましくは約200から約1,000kDaのz平均分子量(Mz)を有する。
【0077】
本発明の好ましいポリマーは、GPCで測定した約1から約1,000kDaの、より好ましくは約5から約150kDaの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0078】
本発明の好ましいポリマーは、約1から約100kDaの、より好ましくは約2から約50kDaの、最も好ましくは約5から約20kDaの数平均分子量(Mn)を有する。
【0079】
本発明の好ましいポリマー中の輻射線硬化型官能基の密度((メタ)アクリレート基当たりの分子量として測定された)は、約1から150kDa、より好ましくは約2から約100kDの、最も好ましくは約3から約50kDaである。
【0080】
本発明に従う全ての合成反応において、ウレタン反応に用いるイソシアネート量は、好ましくは、全てのポリオール及びヒドロキシ(メタ)アクリレートの全当量数に等しい。好都合には、約2%から約5%の追加のイソシアネート(全イソシアネート重量に基づいて)を、反応容器に添加してもよく、存在するかもしれない反応体中の水、及び空気中の水分に原因するロスを補う。
【0081】
カルボン酸とイソシアネートとの周知の反応は、水との反応と同様に、CO2を放出し、かつ条件次第では、熱的に不安定な混合酸無水物を経由してアミドに導くことができ、又は脱水によりカルボン酸無水物及び尿素に導くことができる(Gunter Oertel、ポリウレタン便覧、第2版、Hanser Publishers社、12〜14頁を参照されたい)。
【0082】
したがって、本発明のポリマーは、それからペンダントしたカルボン酸基をもつ、主鎖延長ウレタン(メタ)アクリレートを含む。ペンダントした酸基の数を制御して所望する性能を満たすことができる。これらの酸官能基をもつウレタン(メタ)アクリレートを製造するために、アクリル及びゴム誘導ポリオールのほかに、不活性、ペンダントカルボン酸基をもつポリオールを、ポリオール反応体の混合物に添加することができる。
【0083】
本発明の好ましいポリマーのカルボン酸含有量は、約0%から約10%、より好ましくは約2%から約5%を含んでもよい(全ポリマー中のカルボン酸の重量%で測定して)。
【0084】
本発明のポリマー及び配合物(ウレタン(メタ)アクリレートなど)は、例えば、1種以上のヒドロキシ含有メタクリレート又はアクリレートモノマー(=「ヒドロキシ(メタ)アクリレート」)と1種以上のポリイソシアネートの反応から得た及び/又は得られるものを含む。このヒドロキシ(メタ)アクリレートは、1種以上のポリオールから得た及び/又は得られるものを含んでもよい。好ましいポリオールは、アクリルポリマー(アクリルポリオール)、又はゴムポリマー(ゴムポリオール)から誘導されてもよく、及び/又はカルボン酸官能基(カルボキシポリオール)を含んでもよい。本発明の使用に適したヒドロキシ(メタ)アクリレート、アクリルポリオール、ゴムポリオール、カルボキシポリオール及びポリイソシアネートについて以下に解説する。
【0085】
(ヒドロキシ(メタ)アクリレート)
本明細書では、任意の適切なヒドロキシ官能基をもつエチレン性不飽和モノマーが用いられる。好ましいモノマーは、モノヒドロキシ官能基をもつアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはヒドロキシC1-10アルキル(メタ)アクリレート、1種以上のアルコキシ基で任意選択で置換されたもの、カプロラクトンとそれらのアダクツ、及び/又はそれらの混合物である。
【0086】
このようなヒドロキシ(メタ)アクリレートの例は、2‐ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)及びメタクリレート(HEMA)、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3‐ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6‐ヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシ及び5‐ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、7‐ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、並びに5‐ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及び/又はエトキシル化及びプロポキシル化誘導体と組み合わせた(メタ)アクリレート(コーニング社製品として市場で入手できる)、カプロラクトン‐2‐ヒドロキシエチルアクリレートアダクツ(市場で入手できるダウ/ユニオンカーバイド社の登録商標Tone M−100など)、及びそれらの混合物を含む。
【0087】
(ポリオール)
(アクリル誘導ポリオール)
適切なアクリル誘導ポリオール(=アクリルポリオール)は、重合性不飽和アルキル(メタ)アクリレートモノマーなどの、1種以上のエチレン性不飽和ポリマー前駆体から、個別に用いて又は組み合わせて用いて、得てもよく及び/又は得ることができてもよい。好ましいモノマーは、1種以上のC1-14アルキル(メタ)アクリレートを含む。より好ましいモノマーは、イソ‐オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2‐メチルブチルアクリレート、N‐ブチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、及び/又はイソボルニルアクリレートを含む。
【0088】
ヒドロキシル基は、適切な方法で、好ましくは一つ以上の下記の方法によりアクリルポリマーに導入できる:
ヒドロキシ官能基をもつ重合性不飽和化合物を重合混合物に供給する;
ヒドロキシ官能基をもつ開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いる;
重合後、ヒドロキシル基(例えば、アセテート基の加水分解により)を生成する適切な方法によりアクリルポリマーを処理する;及び/又は
それらの方法の2つ以上の組み合わせ。
【0089】
本明細書で用いられるアクリルポリオールは、好ましくは約100から約1,000,000センチポアズ(cPs)、より好ましくは約1,000から約10,000cPsの粘度(25℃で測定)をもつ粘性液体である。
【0090】
本明細書で用いられる好ましいアクリルポリオールは、約0.5から約1,000kDa、より好ましくは約1から約300kDaの重量平均分子量(Mw、ゲル透過クロマトグラフィー、GPCによる測定)を有する。
【0091】
本明細書で用いられる好ましいアクリルポリオールは、約0.5から約1,000kDa、より好ましくは約1から約100kDa、最も好ましくは約1から約5kDaの数平均分子量(M)を有する。
【0092】
本明細書で用いられる好ましいアクリルポリオールは、約−85℃から約30℃、より好ましくは約−85℃から約10℃、最も好ましくは約−70℃から約−10℃のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0093】
好ましいアクリルポリオールは、約1.5から約5.0、より好ましくは約1.5から約3.0、最も好ましくは約1.8から約2.4の、モル当たり平均ヒドロキシル基数(OHav)を有する。また、ヒドロキシル基の多くがアクリル主鎖の末端であり、場合により一部のヒドロキシル基がペンダントであってもよい。
【0094】
(ゴム誘導ポリオール)
適切なゴム誘導ポリオール(=「ゴムポリオール」)は、1種以上の下記のもの、及び/又はそれらの組み合わせ、及び/又はそれらの混合物を含む:ポリブタジエン誘導ポリオール、水素化ポリブタジエン誘導二官能価ポリオール、ポリ(エチレン/ブチレン)誘導二官能価ポリオール、非晶質ポリエーテルグリコール。
【0095】
好ましいポリブタジエン誘導ポリオールは、アニオン重合により製造されたリニアホモポリマーを含む。このようなポリオールの例は、Sartomer社製、登録商標Polybd R‐45HTLOとして市場で入手できる下記構造の液体ジオールである。
【化6】


Polybd(登録商標)R‐45HTLO
w=〜2,800ダルトン、OHav=2.4〜2.6、Tg=〜−75℃。
【0096】
これらのジオールは、ポリマー鎖の末端に配置された第一級アリールヒドロキシル基をもち、縮合反応又は誘導体の製造で高い反応性を示す。これらのジオールは、イソシアネートと反応して、注型性、特有の加水分解安定性、酸及びアルカリ耐性、低水分透過性、及び/又は優れた低温可撓性及び延性などの有用な特性をもつ、本発明の汎用ウレタンエラストマーを生成できる。このようなエラストマーは、接着剤として特に有用である。
【0097】
好ましい水素化ポリブタジエン誘導ポリオール、及び/又はポリ(エチレン/ブチレン)誘導二官能価ポリオールは、両端に末端脂肪族第一級ヒドロキシル基を含有するリニアな飽和した、homo‐telechelicポリマーを含む。このようなポリマーの例は、Kraton Polymer社製、登録商標Kraton Liquid L‐2203として市場で入手できる下記構造の液体である。
【化7】


Kraton Liquid(登録商標)L‐2203
x+y=25から40の整数、M=〜3,300、OHav=〜1.29、Tg=〜−63℃。
【0098】
これらの炭化水素主鎖をもつ不定形の、飽和ポリマーは、安定であり、かつ屋外暴露、加水分解、熱‐酸化劣化、酸、アルカリ、及び極性溶媒に耐性がある。この主鎖の疎水性は、高い混和性及びポリオレフィンに対する高い接着性を与えることができる。
【0099】
好ましい非晶質ポリエーテルグリコールは、1種以上のリニアジオールを含み、ヒドロキシル基が、繰り返しのテトラメチレン及び2‐メチルテロラメチレンエーテル基により分離されている。このようなグリコールの例は、デュポン社製、登録商標TerathaneIIIとして市場で入手できる下記構造をもつ、テトラヒドロフラン(THF)及び3‐メチルTHFの液状(室温で)コポリマーである。
【化8】


Terathane(登録商標)III
m+n=10から30の整数、M=〜3,500、OHav=〜2.0、Tg=〜−48℃。
【0100】
このようなジオールを用いて製造したウレタンは、レジリエンス、低ヒステリシス、極低温における弾性保持性を含む優れた動的特性を示し、並びに加水分解及び微生物に対する優れた耐性をもつことができる。
【0101】
好ましいゴム誘導ポリオールは、約1.9から約2.1のOHavを有し、より好ましくはジオールである。ゴム誘導ポリオールは、ポリオールの末端になるヒドロキシル基を主に含む。
【0102】
(カルボン酸官能基をもつポリオール)
カルボン酸官能基をもつ適切なポリオール(「カルボキシポリオール」)は、1種以上の下記の化合物、及び/又はそれらの組み合わせ、及び/又はそれらの混合物を含む:ヒンダード第三級カルボン酸基、及び複数の反応性第一級ヒドロキシル基(ジメチロールプロピオン酸=「DMPA」)、及び/又はペンダントカルボン酸基をもつポリエステル系ポリオール。
【0103】
DMPA(例えば、GEO Specialty Chemicals社製、市場で入手可能)は下記の構造をもつ:
【化9】


DMPA。
【0104】
ヒンダードカルボキシル基は、大部分の酸基より反応性が低く、80℃未満の温度でイソシアネートと非反応性である。それ故、ウレタン形成反応では、DMPAはジオールとして反応する。DMPAのヒンダードカルボキシル基は、保護基を加水分解する必要がなく、容易かつ便利にフリーの酸基を導入する。
【0105】
好ましいポリエステル誘導カルボキシポリオールは、ヒドロキシ端末ポリエステルジオール、より好ましくはDMPAとポリ‐ε‐カプロラクトンを反応させて得られた及び/又は得ることができるものを含む。このようなジオールの例は、下記の構造を有し、かつGEO Specialty Chemicals社製、商品名DICAPとして市場で入手可能である:
【化10】


DICAP、n=2から10の整数。
【0106】
(ポリイソシアネート)
本発明のポリマー及び/又は配合物は、1種以上のポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネート、より好ましくは脂肪族、脂環式、複素環式、及び/又は芳香族ジイソシアネートから得てもよく、及び/又は得ることができてもよい。好都合なジイソシアネートは、リニア構造をもつポリマー得るために用いることができるものである。
【0107】
芳香族基が硬化時にUV輻射線を吸収して、最終硬化接着剤を得る速度を低下させるため、本発明の方法では、脂肪族ジイソシアネートが好ましい。脂環式ジイソシアネートが、高い貯蔵弾性率をもつポリマーを生成することができるので、これらの脂環式ジイソシアネートを用いることがより好ましい。電子ビームを用いて接着剤を硬化させる時、硬化速度は著しい影響を受けないので、脂肪族ジイソシアネートを用いるよりも、より安価な芳香族ジイソシアネートが好ましい。
【0108】
本発明に用いることができる好ましいジイソシアネート化合物は、以下の化合物から選ばれる:
アルキル(より好ましくはメチル)ジアルキレン(より好ましくはジ‐C1-4アルキレン)ジイソシアネートベンゼン、
アルキル(より好ましくはメチル)ジフェニルジイソシアネート、
任意選択でアルキル置換ジフェニルメタンジイソシアネート、
アルキルジエン(より好ましくはC1-10アルキルジエン)ジイソシアネート、
任意選択でアルコキシ置換ナフチレンジイソシアネート、
任意選択でそれらの中の任意の芳香族及び/又はエチレン基が部分的に及び/又は完全に水素化されているイソシアネート、
ジメトキシベンジリデンジイソシアネート、
ジ(イソシアナトエチル)ビシクロヘプテン‐ジカルボキシレート、
モノ又はジハロ(好ましくはブロモ)トルエン及びフェニレンジイソシアネート、及び/又はそれらの混合物、
及び/又は同様な及び/又は類似のジイソシアネート;イソシアネート官能基をもつそれらのビューレット、それらのアロフォネート、及び/又はそれらのイソシアヌレート、及び/又はそれらの混合物を含むが、これに限定されない。
【0109】
本発明に用いることができる特定のジイソシアネートの例は、下記から選ばれる:
【化11】


3‐イソシアナトメチル‐3,5,5‐トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、
【化12】


2,4‐トルエンジイソシアネート、
【化13】


2,6‐トルエンジイソシアネート及び/又はそれらの混合物(TDI)、
【化14】


4,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、
【化15】


2,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネート、
【化16】


4,4’‐ジシクロヘキシルジイソシアネート又は還元MDI(ジシクロヘキサンメタンジイソシアネートとして知られる)、
【化17】


メタ‐テトラメチルキシレンジイソシアネート、
【化18】


パラ‐テトラメチルキシレンジイソシアネート(TXMDI)及びそれらの混合物、
【化19】


水素化メタ‐テトラメチルキシレンジイソシアネート[1,3‐ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン]、
【化20】


ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、
【化21】


ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、
【化22】


2,2,4‐及び2,4,4‐トリメチレンヘキサメチレンジイソシアネート(2,4,4‐異性体ではR=H、R’=CH3、2,2,4‐異性体ではR=CH3、R’= H)及び/又はそれらの混合物(TMDI)、
【化23】


1,5‐ナフチレンジイソシアネート(NDI)
【化24】


ジメトキシベンチジンジイソシアネート(ジアニシジンジイソシアネート)、
ジ(2‐イソシアナトエチル)ビシクロ[2,2,1]‐ヘプト‐5‐エン‐2,3‐ジカルボキシレート、
【化25】


2,4‐ブロモトルエンジイソシアネート、
【化26】


2,6‐ブロモトルエンジイソシアネート及び/又はそれらの混合物、
【化27】


4‐ブロモ‐メタ‐フェニレンジイソシアネート、
【化28】


4,6‐ジブロモ‐メタ‐フェニレンジイソシアネート、及び/又は同様な、及び/又は類似のジイソシアネート;それらのイソシアネート官能基をもつビューレット、それらのアロフォネート、及び/又はそれらのイソシアヌレート、及び/又はそれらの混合物を含むが、それに限定されない。
【0110】
(配合物)
本発明の更なる観点は、本発明の100(重量)部の1種以上のポリマーと、約1から約120部、好ましくは約20から約80部の1種以上の粘着付与剤を含む輻射線硬化型接着性組成物を提供する。
【0111】
好ましい粘着付与剤は、ロジンエステル、任意選択で水素化芳香族樹脂、脂肪族炭化水素粘着付与樹脂、混合された芳香族/脂肪族粘着付与樹脂、テルペン粘着付与樹脂、及び/又は変性炭化水素粘着付与樹脂を含む。
【0112】
好適なロジンエステル粘着付与剤は、天然及び変性ロジン、ガムロジン、ウッドロジン、タル油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量体ロジン、重合ロジン、天然及び変性ロジンのグリセロール及びペンタエリトリットエステル、ペイルウッドロジンのグリセリルエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリットエステル、ロジンのフェノール変性ペンタエリトリットエステル、並びにそれらの組み合わせ及び混合物からなる群から選ばれる。
【0113】
本発明で用いることができる特定の粘着付与剤の例は、イーストマンケミカル社製、登録商標Zegalrez1081、1085及び/又はPMR1100として市場で入手できる水素化及び/又は部分水素化芳香族樹脂;
イーストマンケミカル社製、登録商標Kristalex3070、3085及び/又はPM‐3370として市場で入手できる炭化水素コポリマー;
アリゾナケミカル社製、登録商標SylvaliteRE80HP(ロジンエステル)、及び登録商標SylvaresTP7042(高軟化点(145〜151℃)熱的に安定なポリテルペンフェノール粘着付与樹脂)、TR7115、TP2040(熱可塑性テルペンフェノール樹脂)及び/又はTR‐1085(ポリテルペン樹脂)として市場で入手できるポリマー;
ユニテックスケミカル社製、登録商標Uniplex280として市場で入手できるジシクロヘキシルフタレート可塑剤及び粘着付与剤;
Surface Specialties UCB社製の市場で入手できる、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートの一官能価の架橋剤及び粘着付与剤モノマー;
Surface Specialties UCB社製、登録商標Ebecryl230として市場で入手できる、比較的低Mwの二官能価ウレタンアクリレートオリゴマー架橋剤;及び/又は
ソーケンケミカル&エンジニアリング社製、登録商標ActiflowCB3098として市場で入手でき、酸と共に用いて可塑剤となる、一部のフリーカルボキシル基をもつ2‐エチルヘキシルアクリレート系アクリルオリゴマーから選ばれる。
【0114】
また、本発明の配合物は、下記の任意選択の成分の1種以上を含むことができる(量は、本発明のポリマー100部当たりの成分重量部、phrとして与えられる):
1種以上の輻射線硬化型ポリマー前駆体、好ましくは50phrまでの量;
1種以上のフリーラジカル光開始剤、好ましくは約10phrまでの量;
1種以上の湿潤剤、好ましくは約8phrまでの量;
1種以上の可塑剤、好ましくは約15phrまでの量;
1種以上の酸化防止剤、好ましくは約10phrまでの量;
1種以上の着色剤、好ましくは約40phrまでの量;及び/又は
1種以上のレオロジー改質剤、好ましくは約12phrまでの量。
【0115】
本発明の更なる観点は特許請求の範囲に記載される。
【実施例】
【0116】
以下の実施例は本発明を例証するために用いられるが、これに限定されない。
【0117】
本発明の主鎖延長ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(実施例1から9)が、表を参照して本明細書に記載した一般的方法で、ポリオールとイソシアネートを反応させることにより製造された。
【0118】
(ポリオール混合物を製造する一般的方法)
下記の成分を室温(20℃)で混合して液状ポリオール混合物を製造した:「a」gのトルエン;本明細書に記載した、「b」gの2種以上のポリオールP1からP8;「c」gのブチル化ヒドロキシトルエン(=BTH、PMC Specialties社製、商品名CAO‐3として市場で入手できる酸化防止剤);及び「d」gのジブチル錫ジラウレート(Air Products社製、登録商標Dabco T‐12として市場で入手できる)。
【0119】
(ポリオール)
P1=Soken社製、商標登録Actiflow UT‐1001として市場で入手できる、ヒドロキシ官能価が1.7から1.9の2‐エチルヘキシルアクリレート系アクリルポリオール、
P2=デユポン社製、登録商標TerathaneIIIとして市場で入手できる変性ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)コポリマー、
P3=Soken社製、登録商標Actiflow UMB‐2005として市場で入手できる、ブチルアクリレート系アクリルポリオール、
P4=Lyodell社製、登録商標Acrylflow P−60として市場で入手できる、P1とは異なる端末剤及びより高いヒドロキシ官能価2.2から2.4をもつ2‐エチルヘキシルアクリレート系アクリルポリオール、
P5=協和発酵工業(株)製、商品名PD−9として市場で入手できる、2,4‐ジエチル‐1,5‐ペンタンジオール、
P6=GEO Specialty Chemicals社製、商品名DICAP1000として市場で入手できる、酸ポリエステルジオール、
P7=Sartomer社製、登録商標Polybd R‐45HTLOとして市場で入手できる、ポリブタジエン系ジオール、及び/又は
P8=Kraton Polymer社製、登録商標Kraton Liquid L‐2203として市場で入手できるポリ(エチレン/ブチレン)系二官能価ポリオール。
【0120】
【表1】


脚注
1 トリフェニルスチルベンにより置き換えられたBTH(=TPS;Atofina社製、市場で入手できる)。
2 297gのエチルアセテートと共に。
【0121】
(それぞれのポリオール混合物とイソシアネートを反応させる一般的方法)
2Lの丸底フラスコに「e」gのイソシアネート「E」を仕込み、これにそれぞれ1種のポリオール混合物を、室温(20℃)で20から30分かけてゆっくりと添加した。この間、フラスコの内容物は攪拌されていた。得られた混合物の温度を「f」℃に高めて「g」分間保持し(ステップA)、次に「h」℃に高めて更に「i」分間保持し(ステップB)、かつ任意選択で「j」℃で更に「k」分間保持した(ステップC)。以下の表に示したようにステップA、B及び/又はCの終点で、種々の成分を添加した。更に加熱することなく、混合物を更に「l」分間攪拌した後、生成物をフラスコから「M」重量%の適切な希釈剤(トルエン(T)及び任意選択でエチルアセテート(EA))に注いだ。表に記載した特性をもった液状製品を得た。
【0122】
(イソシアネート)
MDI=バイエル社製、登録商標Mondur Mとして市場で入手できるジフェニルメタン‐4,4’‐ジイソシアネート、
IPDI=バイエル社製、登録商標Desmodur Iとして市場で入手できるイソホロンジイソシアネート、又は
HDI=バイエル社製、登録商標Desmodur Hとして市場で入手できる1,6‐ヘキサメチレンジイソシアネート。
【0123】
(ステップAからCの終点で、任意選択で添加された成分)
HEA=ダウ社製、市場で入手できる2‐ヒドロキシエチルアクリレート、
HQ=イーストマンケミカル社製、市場で入手できるヒドロキノン、
MeHQ=アルドリッチケミカル社製、市場で入手できるパラ‐メトキシフェノール、及び/又は
DIL=希釈剤として、Soken社製、登録商標Actiflow CB‐3098として市場で入手できる、フリーのカルボキシル基を含む2‐エチルヘキシルアクリレート系アクリルオリゴマー(酸価約98±1)。
【0124】
【表2】

【0125】
【表3】

【0126】
(実施例1から9の特性)
汎用ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により、各実施例1から9の分子量及び多分散性を測定して以下に示した。各実施例の少量のサンプルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、PLゲルポリスチレン‐ジビニルベンゼンGPCカラム(300×7.5mm×10μm)を備えた液体クロマトグラフ(ヒューレットパッカード1100シリーズ)に注入した。サンプルの成分を、溶液中の分子量サイズに基づきGPCカラムにより分離した。成分は、ヒューレットパッカード‐1047A屈折率検出器により検出し、かつヒューレットパッカードHPLC Chemstation及びPolymer Laboratories GPCソフトウエアーにより記録した。既知分子量及び狭い分散性のポリスチレン標準を用いて標準曲線を作成した。この試験結果を以下の表に示す。
【0127】
【表4】

【0128】
一般的に、芳香族イソシアネートは、非芳香族イソシアネートに比べるとポリオールに対してより反応性である。これは、例えば芳香族イソシアネートMDIから作成された実施例1が、脂肪族イソシアネートから作成された実施例8若しくは9(それぞれHDI及びIPDI)に比べてより高い分子量であるので、理解できる。より高い分子量は、凝集性能に有利であると考えられるが、対応するより高い粘性は、ポリマーをコーティングとして適用することをより難しくする(実施例1の80℃における粘度は378,000センチポアズ、実施例8のそれは5,400センチポアズである)。ポリオールP4は、P1より多いヒドロキシ基もち、それ故にP4から得られたポリマーにより高い分子量を与える。例えば、それぞれがP4から作成された実施例3から7は、それぞれがP1から作成された実施例1、8及び9に比べてより高い分子量、特にM及びMを有する。また、用いるP4の割合を高めることが、得られるポリマーの分子量を高めることが理解できる。
【0129】
(熱安定性)
低減した圧力(50mbar)下、80℃でサンプルを加熱することにより、実施例7からトルエン溶媒を除去した。
【0130】
一般的に、輻射線硬化型樹脂系の熱安定性は、サンプルを高められた温度で所定の時間老化させた後、サンプルの粘度上昇を測定することにより決められる。輻射線硬化型樹脂領域で2つの方法を普通に用いて、粘度変化パーセント又は合格/失敗として結果を報告する。
【0131】
60℃、7日後の≦20%の粘度変化パーセントは、合格として考えられ、>20%は失敗と考えられる。
【0132】
93.3℃で2日後、≦100%の粘度変化パーセントは合格と考えられ、>100%は失敗と考えられる。
【0133】
本発明では、実施例8(純度が高いポリマー)の熱安定性が、樹脂をオーブン(それぞれ80℃及び120℃)中に24時間置いた後、粘度変化を測定することにより決定された。これらの条件は、加温溶融コーティング法に期待された条件内であると十分に考えられる。
【0134】
【表5】

【0135】
(実施例1から9のポリマーの配合)
3種の従来技術の、市場で入手できるPSA製品を、本発明の配合物と比較するために用いた。
比較例Aは、高性能接着剤として用いられた一般的な溶媒系PSAである。
比較例B及びCは、2種のUV‐硬化型ホットメルトPSAである。
【0136】
本発明の輻射線硬化型接着剤ポリマーは、本明細書に記載された方法により(又はそれと同様に)合成され、トルエン中の60%溶液として提供された。指示されない限り、これらの分散液は、溶媒を除去することなく直接用いられた。適切なミキサーを使用して、ポリマー分散液と、粘着付与剤、光開始剤、及び/又はその他の添加剤とをブレンドして、本発明の接着配合物を作成した(指示しない限り、このミキサーは、FlackTek社(ランドラム、サウスカロライナ州)が市場で販売し、かつHauschild Engineering社、Hamm、ドイツが製造する登録商標SpeedMixer、型式DAC150FVZである)。
【0137】
このポリマーは許容できるUV硬化性能を有した。例えば、実施例1から9(及び配合10及び11)は、1phrの光開始剤(Ciba Specialties社製、登録商標Darocur1173として市場で入手できる開始剤など)を添加し、100フィート/分(>1,000mJ/cm2)、2個の600W/インチのFusion UVランプを用い、2ミルの普通の接着剤厚みを用いて硬化させた。より高い濃度(例えば3phr)の光開始剤を、より厚い接着フィルム(例えば5ミル)で用いることにより、ポリマーが表面で硬化するけれども基体では部分的に硬化するにすぎないというような、厚いフィルムの一貫した硬化が低下する可能性を減らすことができる。
【0138】
(接着配合物を製造する一般的方法)
100gの使い捨てカップ(FlackTekの#501‐221)に、本発明のポリマー(60g)を入れ、粘着付与剤1(40phr)を加えた。この混合物をSpeed Mixer中で、3,000rpmで、3分間ブレンドし、必要ならば、この混合ステップを3回まで繰り返した。必要に応じて、粘着付与剤2(40phr)を添加して上のように混合し、次に光開始剤(0.36g又は1phr)及び任意の他の成分を添加して上のように混合した。指示がない限りは、混合から得られた配合物が暖かいうちに、Cheminstruments HLC‐101実験室ホットメルトコーターを用いて基体に塗布して接着剤塗膜を作成した。塗布ウエブをCheminstruments Laboratory Laminator LL‐100ベンチトップ式実験室ラミネーターを用いて移動した。積層接着剤として試験する時は、本明細書に記載するように、塗布基体をラインから取り除いて積層し、硬化し、手積層した。
【0139】
純粋な樹脂を試験する目的で、本明細書に記載したように、高粘度用「HV」ブレード付きのRoss型式DPM‐1Qt Double Planetary Mixerを用いて樹脂を混合した。LL‐100を用いて塗布し、硬化し、必要に応じて手積層した。
【0140】
配合10(ポリマー実施例1を用い)
実施例1(乾燥した又は純粋な) 71.42重量%
Kristalex PM‐3370(粘着付与剤1) 21.43重量%
Sylvarez TP70.42(粘着付与剤2) 7.15重量%
Darocur(登録商標)1173(光開始剤) 1phr
【0141】
配合11(ポリマー実施例4を用い)
実施例4(乾燥した又は純粋な) 100重量部
Sylvarez TP70.42(粘着付与剤) 40重量部
Darocur(登録商標)1173(光開始剤) 1phr
【0142】
(レオロジー)
加温溶融条件下のレオロジー研究は、基体を塗布するための実施例1のポリマーの能力を測定した。
【0143】
TAレオメータ、型式AR2000を使用し、法線力制御した8mmETC平行板(温度ギャップ補償なし)を用いて、硬化したPSAのレオロジーを評価した。サンプルを適切にコンディショニングした後、1Hzのレオメータ周波数及び0.025%(1.5e-4Rad.)の制御されたひずみを用いて、3℃/分の温度傾斜で−100℃から+200℃まで評価した。硬化させ、コンディショニングした接着剤フィルムの約1/4インチの小板を約8mmの直径に丸め、これをレオメータ取り付け器具に置いた。試験片を挿入すること及びギャップ(約5,000ミクロン)を設定することを含めて室温で典型的にコンディショニングし、試験片を一定のギャップで100℃に加温し、続いて法線力制御(0.3±0.1)した試験片を約−70℃に冷却した。この点で、必要に応じて、試験片を8mmの取り付け器具直径に整えた後、−100℃の試験開始温度に冷却した。
【0144】
レオロジー特性は、樹脂又は配合物が適切な接着剤であるか否かの有効な指針を与える。下記の動的弾性率;貯蔵(せん断)弾性率、損失(接着破壊)弾性率、及び損失tan(δ)(損失/貯蔵弾性率)を含む動的弾性率の温度依存性を測定した。
【0145】
如何なるメカニズムに縛られることも望まないが、出願人は、これらの動的測定は、低温度でのガラス状態、両弾性率の強力な低下を伴うガラス転移範囲、及び両弾性率が温度上昇と共によりゆっくりと低下する温度範囲をカバーすると考える。ガラス転移範囲の直上では、粘弾性挙動は絡み合いによって支配される。広い温度範囲にわたり徐々に低下することが、非常に広い分子量分布をもつポリマーの典型的現象である。損失弾性率の明白な上昇は、材料が温度上昇に伴いより容易に変形し、短い接触時間で接触を広げることができるという事実に基づいて引き起こされるに違いない。より高い温度における損失弾性率の低下は、剥離プロセスと結び付けられ、ポリマーのエネルギー分散能力と関連する。それは、ガラス転移範囲に最高点を有し、より高い温度で低下する。最高粘着点の位置は、Tgに関係し、一方分子量及び架橋結合密度などのその他の因子はこれに影響を与える。
【0146】
いくつかの接着剤の種々のレオロジー特性を測定し、比較例A(従来技術の溶媒系PSA)、比較例B及びC(2つの従来技術のUV硬化PSA)、実施例3及び4(本発明のポリマー)、並びに配合物11(粘着付与剤を配合した実施例4)を比較した。レオロジーデータ(種々の弾性率‐温度のグラフ(図示せず)から計算)は、実施例3及び比較例Aが同様な接着性能をもち、しかも実施例3がより高い粘着性(より高いtan(δ))をもつことを示している。実施例4は、Tg=−68℃及びtan(δ)=0.68であり、一方、配合物11は、Tg=−10℃及びtan(δ)=2.2であり、しかも貯蔵弾性率及び損失弾性率の両方とも同様な程度に低下する。このことは、純粋なポリマーへ粘着付与剤の添加が、より高い粘着を示すtan(δ)値を著しく上昇させることを示す。
【0147】
低減された圧力(50mbar)下、80℃でサンプルを加熱することにより、実施例1からトルエン溶媒を除去した。このサンプルは室温で安定な状態に留まり、精製された樹脂は非常に粘性な液体であった。その粘度は以下に示すように温度に依存した。
【0148】
【表6】

【0149】
一定の温度における実施例1(純粋なポリマー)の粘度が、せん断速度に依存することが判った。
【0150】
【表7】

【0151】
このデータは、実施例1が加温溶融法(70℃から120℃まで)による基体塗布に適することを示す。
【0152】
(混和性)
本発明のポリマーは、ポリマー固形分当たり80phrの粘着付与剤の濃度であっても、PSAで用いられた従来の粘着付与剤、可塑剤と混和性があることが判った。種々の接着配合物が作成され、粘着付与剤と樹脂との物理的混和性、UV硬化反応性(配合物は1から3phrの光開始剤を用いて硬化させた)及びPSAとしての一般適性(初回通過硬化後、配合物は十分な粘着性又はせん断強度を与えた)を確認した。例えば、本明細書に先に掲載したそれぞれの特定の粘着付与剤を用い、20から50重量%の粘着付与剤の量で透明塗布フィルムを作成した。
【0153】
(PSAとしての性能)
PSA及び積層用接着剤として、本発明のポリマーの性能を、以下の方法で試験した。
【0154】
(試験サンプルの作成)
本明細書のPSAの成果として全テープを、接着剤転写により作成した。未硬化、液体PSAを剥離紙(Loparex Poly Slik 111/120、Apeldoorn、オランダ、ロール番号W03180672)上に引き落とし、本明細書に記載したようにUV硬化させた。
【0155】
引き落としは、Gardco Automatich Drawdown Machineにより、12インチストローク、最も遅い速度(約4.6フィート/分)で、Braive Instrumentsの調節可能なバード塗布機を用い、典型的に130ミクロンに設定して作成した。
【0156】
剥離紙上の硬化した接着剤を68℃±10℃のオーブン中で30分間加温し、続いて1時間真空にした。冷却したフィルムを8インチ硬質ゴムローラー(水平に保持したハンドルで5.03Kg)を2回ダブルパスして、ポリエステルフィルム(Pilcher Hamilton社、200ゲージ、管理番号787‐7222)と積層した。積層物を整え、1インチ×約7インチの細片に切断し、一定の温度の部屋でコンディショニングした後に試験した。
【0157】
接着フィルムの厚みを、Cheminstruments(フェアフィールド、オハイオ州)Micrometer MI‐1000を用いて、非破壊試験により測定した。この試験機は、各測定の前に校正した。厚み値は、3枚のランダムに選択した細片(通常は7〜9枚作成された中の)ごとに5測定の平均であり、10万分の1インチ(0.01ミル)まで報告された。
【0158】
(PSA試験)
23±2℃、50±5%相対湿度に維持された、定温定湿に管理された室内で全ての室温性能試験を実施した。Enercom Instruments社(トロント、オンタリオ州、カナダ)の週次帯記録紙を用いて条件を監視した。試験法は、感圧接着テープ協議会(グレンビュー、イリノイ州)のSpecifications and Technical Committee、第8版により展開された標準法であった。
【0159】
Cheminstruments LT‐500を用い、ステンレススチール基体上で標準手法に従って(PSTC‐16Bを参照、またASTM D66195‐97、試験法Bを参照)、ループ粘着を測定した。結果は、標準偏差と共にポンド/平方インチで報告する。
【0160】
Mass SP 2000 Slip/Peel試験機(Instrumentors社、ストロングスビル、オハイオ州)を用い、PSTC‐101Aに従い、ステンレススチール基体上で剥離試験を実施した。1インチ×5インチのテープを、Cheminstruments圧延機を用い、12インチ/分のローラー速度で、試験片当たり2回のダブルパスで、ステンレススチール板上で圧延した。試験板にテープを適用し、20分後及び>24時間後に、剥離試験を実施した。結果は、ポンド/リニアインチで報告された。標準偏差は、剥離強度値の後ろの括弧内に報告する。
【0161】
Cheminstruments 30 Bankせん断試験機を用い、1Kgの荷重で、PSTC‐107Aに従い、ステンレススチール基体上で、又はその代わりにASTM D3654、セクション9.4、方法A(1Kgの荷重)に従い、せん断強度を測定した。
【0162】
【表8】

【0163】
本発明の配合物は、従来技術のUV硬化型PSA(比較例B及びC)の性能に比較してより高い性能を示し、かつ従来技術の溶媒系PSA(比較例A)に相当する性能を示す。
【0164】
如何なるメカニズムに束縛されることを望まないが、出願人は試験結果から以下の観察を行った。
【0165】
実施例1は、芳香族イソシアネートから作成されたウレタンであり、145℃より高い温度で矛盾したレオロジー挙動を示す。高い温度で最適接着性能を有することが望ましいので、脂肪族イソシアネートから作成された本発明のウレタンが好ましくなる。
【0166】
実施例7及び8は、ポリマー中のゴム含有量の増加、特にポリ(エチレン/ブチレン)含有量の増加が、凝集力及びせん断強度を高めることができ、一方粘着性を低下させることを示している。アクリル含有量が高くなるほど、粘着性及び接着性がよくなると考えられる。
【0167】
低粘着性及び低接着性にならないようにするためには、UV‐架橋密度が低い(即ち、(メタ)アクリレート官能基当たりの分子量が高い)ことが好ましい。UV‐架橋密度を低めて高い凝集力を維持するためには、ポリマーが比較的高分子量であることが好ましい。最高の接着性能を意図すると、粘度が分子量に対して指数関数的に増加するので、粘度と分子量及び(メタ)アクリレート基当たりの分子量とを注意深くバランスさせることが好ましい。
【0168】
試験した実施例の一部は、加温溶融塗布として適用するに適した高い接着性能及び粘度を合理的に示した。
【0169】
ペンダントの酸官能基をもつウレタンアクリレート(実施例5及び9)は、高粘着性及び高接着性を示す。
【0170】
本発明のより高い分子量のウレタンアクリレートを得るために、2個以上のアクリル基をもつアクリルポリオール(Acryflow(登録商標)P60など)を用いることができ、凝集力を改良することができた。
【0171】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート中の非晶質ポリエーテルグリコール(Terthane(登録商標)IIIなど)の含有量が多いほど、粘着付与剤に対するそれらの混和性がよくなる。
【0172】
(積層用接着剤)
実施例1の接着強度を、Surface Specialties UCB社製、登録商標Ebecryl 230として市場で入手できる既知のオリゴマーと比較した。
【0173】
(接着剤の作成)
50%の一定オリゴマー濃度になるように、Ebecryl 230及び実施例1を、IRR 545モノマー(ウレタンアクリレート)で希釈した(それぞれ比較例Y及び配合物12)。加えて、各オリゴマーのサンプルをIRR 545で希釈して、ほぼ等しい粘性を達成した(比較例Z及び配合物13)。このサンプルを、一定温度の熱対流オーブンを用いて60℃に加熱し、次に下記のように積層用接着剤として用いた。比較例X(IRR 545ウレタンアクリレートモノマー単独)を更に比較した。
【0174】
【表9】

【0175】
(積層物の作成)
試験した接着剤を用いて、2枚のコロナ処理(表面エネルギー42ダイン)した2ミルの厚みの5×12インチのシートから、即ち、互いに処理された面を有する一方のポリエステル(PET)シートに他方の2軸延伸ポリプロピレン(BOPP)シートを接触させて積層物を作成した。2枚のシートの前縁をテープでlaneta chart(SBSボード)に固着し、BOPPが下、PETが上になるように、ガラス被覆したドローダウンクリップボードを用いて保持した。2枚のシート間の相対的移動が、しわの発生を阻止し、かつ接着剤がシート間で自由に流動できるようにした。それぞれのシートを糸屑の無いぼろ布で拭き、糸屑粒子及びコロナ処理により発生した静電荷に引き寄せられたその他の粒子を取り除いた。上部のPETシートを剥がして、BOPPシートの処理表面を露出させて、試験サンプルである接着剤の加温サンプルをBOPP上に流し、上部シートを置いて、BOPPとPETシート間に接着剤をサンドイッチする。全ての空気泡が除去され、かつ接着剤層が0.005インチ未満の均一な厚みになるまで、接着剤を均等な方法でシート間に分配するように、ニップローラーを用い、適切な抑えた力でサンドイッチされたシートを繰り返しローラーでならした。電子ビームを用いて下記の条件、即ち50ppm以下のO2を含む不活性N2下、170KV、3Mrad及び50フィート/分で積層サンプルを硬化させた。レーザブレードを用いて、それぞれの硬化した積層サンプルを5枚の1×12インチの細片に切断した。
【0176】
(積層物の試験)
温度及び湿度管理された計測室内で、25℃50%相対湿度で、積層物の試験を実施した。200ポンドのロードセルを備えたInstron4667機械式応力分析器を用いて、ASTM 1876−72に従ってフィルム層を剥離するために必要な平均lbf/in力を測定した。デジタルマイクロメータを用いて接着剤フィルムの平均厚みを測定した。前縁に始まる最初の5インチを横切って、それぞれのサンプルを5回測定し、平均値を計算した。
【0177】
【表10】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1で表されるポリマーであって、
【化1】


式中、R1及びR’1は、それぞれ独立して水素又はC1-4アルキル、都合よくはH又はメチルであり、R2、R’2及びR3は、それぞれ独立して任意選択で置換有機基、都合よくは任意選択で置換ヒドロカルボ、より都合よくは任意選択で置換C1-36ヒドロカルビレン:例えばC1-18アルキレンであり、R4は、式2で表される2価ランダムブロックコポリマー成分(=「主鎖」)であり、
【化2】


式中、A’は、少なくとも1種の活性化不飽和成分を含む1種以上のポリオールから得られた及び/又は得ることができる有機残基、その際ポリオールは、低分子量の単分散化合物であり、かつ好ましくは親水性であり、B’は、少なくとも1種の活性化不飽和成分を含む1種以上のポリオールから得られた及び/又は得ることができる有機残基、その際ポリオールは、高分子量のポリマーであり、かつ好ましくは疎水性であり、m及びnは独立した整数であり、かつpは約2から約100であるポリマー。
【請求項2】
式1Aで表されるポリマーであって、
【化3】


式中、R1は、水素又はメチルであり、R2は、アルキル又はアルコキシヒドロキシ(メタ)アクリレートから誘導される2価の残基、より好ましくはアルキル又はアルコキシ残基であり、R3は、脂肪族、脂環式、複素環式、及び/又は芳香族ジイソシナネートから誘導される2価の残基であり、R4は、式2Aで表される2価のランダムブロックコポリマー主鎖であり、
【化4】


式中、Aは、1種以上のアクリル誘導ポリオールから誘導される2価の残基であり、Bは、1種以上のゴム誘導ポリオールから誘導される2価の残基であり、m及びnは独立して1から20の整数であり、かつpは約2から約50であるポリマー。
【請求項3】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定した約50から約5,500キロダルトン(kDa)のz平均分子量(Mz)を有する請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項4】
GPCで測定した約1から約1,000kDaの重量平均分子量(Mw)を有する請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項5】
約1から約100kDaの数平均分子量(Mn)を有する請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項6】
約1から150kDa(基当たりの分子量として測定した)の輻射線硬化型官能基の密度を有する請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項7】
ヒドロキシ官能基をもつエチレン性不飽和ポリマー前駆体と1種以上のジイソシアネートを反応させることにより、UV硬化型ウレタン(メタ)アクリレートポリマーを製造する方法であって、ヒドロキシ官能基をもつエチレン性不飽和ポリマー前駆体が、(a)1種以上のC1-14アルキル(メタ)アクリレート、(b)1種以上のポリブタジエン誘導ポリオール、水素化ポリブタジエン誘導二官能価ポリオール、ポリ(エチレン/ブチレン)誘導二官能価ポリオール、非結晶性ポリエチレングリコール、並びに(c)ヒンダード、tert‐カルボン酸基及び複数の反応性、第一級水酸基を含む1種以上の多官能価化合物から得られた及び/又は得ることができるコポリマーである方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法で得られた又は得ることができるコポリマー。
【請求項9】
請求項1、2及び8のいずれか一項に記載の1種以上の、100(重量)部のポリマー、及び約1から約120部、好ましくは約20から約80部の1種以上粘着付与剤を共に含む輻射線硬化型接着剤配合物。
【請求項10】
少なくとも2つの間に、請求項1、2又は8に記載のポリマー、又は請求項9に記載の配合物からなる複数の層を含むフイルム積層体。

【公表番号】特表2007−523227(P2007−523227A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548304(P2006−548304)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050046
【国際公開番号】WO2005/068529
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(505365965)サイテック サーフェース スペシャリティーズ、エス.エイ. (38)
【Fターム(参考)】