説明

接着特性が改善されたポリオレフィングラフトポリマーを製造する方法

有機溶媒中のラジカル開始剤の存在下でオレフィンポリマー上にフェノールエステルモノマー化合物をグラフトすることによりポリオレフィングラフトポリマーを製造するための溶液グラフティング法が記載されている。本グラフトポリマーは、特に金属基材およびポリエステル基材に対して改善された接着特性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2004年5月27日出願の米国特許仮出願第60/575004号明細書の利益を請求する。
【技術分野】
【0002】
本発明はポリマー化学の分野に関する。より詳しくは、本発明は、有機溶媒中のラジカル開始剤の存在下でオレフィンポリマー上にフェノールエステルモノマー化合物をグラフトすることによりポリオレフィングラフトポリマーを製造するための溶液グラフティング法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリオレフィンに4−アセトキシスチレンなどのフェノールエステルモノマー化合物をグラフトすることにより形成されたポリオレフィングラフトポリマーは周知である。これらのポリマーの脱アシル化誘導体は、似ていない材料間の接着剤結合または相溶性ブレンドを必要とする用途において定着剤および相溶化剤として潜在的価値を有する。これらのポリオレフィングラフトポリマーは、無水マレイン酸でグラフトされたものなどの現在入手可能なグラフトポリオレフィンがうまく機能しない、金属基材およびポリエステル基材に対する定着剤および相溶化剤として有用である場合がある。本発明のフェノールエステルグラフトポリオレフィンは、高分子酸化防止剤および分離用のイオン交換媒体を含んでなる他の有用な製品を製造するために更に誘導されてもよい。
【0004】
イオン交換膜として用いるためのヒドロキシスチレングラフトポリオレフィンおよびジヒドロキシスチレングラフトポリオレフィンを調製する方法は知られている(フジワラ(Fujiwara)らによる特許文献1および特許文献2)。こうした方法において、ポリオレフィンフィルムは、ガンマ線、X線、アルファ線または電子ビームなどの電離線を照射され、その後、ヒドロキシスチレンモノマーまたはジヒドロキシスチレンモノマーを含んでなる溶液に浸漬される。あるいは、アシルオキシスチレンモノマーまたはジアシルオキシスチレンモノマーが用いられる。その場合、グラフトされたアシルオキシ基は加水分解されて、アシルオキシスチレンまたはジアシルオキシスチレンをそれぞれヒドロキシスチレンまたはジヒドロキシスチレンに転化する。これらの方法がポリオレフィンフィルムを用いるので、グラフティングはフィルムの表面に限られる。
【0005】
フェノールエステルモノマー化合物によりグラフトポリマーを製造するための溶融グラフティング法は知られている。例えば、スズキ(Suzuki)ら(特許文献3)には、ラジカル開始剤の存在下で高圧下で少なくとも1種の反応性モノマーによるラジカルグラフト重合によってグラフト炭化水素ポリマーまたはグラフト弗素化ポリマーを調製するための溶融グラフティング法が記載されている。溶融グラフティング法において、ポリマーおよび反応性モノマーは、押出機、ミキサーなどの中で材料を加工性にする150〜220℃の温度でラジカル開始剤の存在下で互いに混合される。場合により、グラフティングは、反応性モノマーおよび開始剤を溶解させるとともに膨潤させるが、ポリマーを溶解させない有機溶媒の存在下で行ってもよい。この方法で用いられる反応性モノマーには、スチレン、ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレンおよびアシルオキシスチレンなどの重合性二重結合を有する芳香族モノマーが挙げられる。グラフト重合反応は高圧、特に50〜15,000kg/cmを必要とする。更に、ウィルキー(Wilkey)(特許文献4)には、グラフトされた4−ヒドロキシスチレン基を有する水素添加スチレン/ジエンコポリマーを製造するための溶融グラフティング法が記載されている。水素添加スチレン/ジエンコポリマーは、アミノ分解、加水分解または鹸化によって4−ヒドロキシスチレンに転化される4−アセトキシスチレンでグラフトされる。グラフトポリマーは、フェノール基がポリカーボネートと反応した時にポリカーボネートの低温衝撃強度を改善するために用いられる。
【0006】
ラジカル開始剤の存在下でのビニルモノマーによるポリオレフィンの溶液グラフティング法も知られている。しかし、これらの方法は、ポリオレフィン上にフェノールエステルモノマー化合物をグラフトするために用いられてこなかった。例えば、リョージ(Ryoji)ら((特許文献5))には、ラジカル開始剤を用いてスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸およびメタクリル酸などのビニルモノマーを用いてグラフトエチレンポリマーを調製するための溶液グラフティング法が記載されている。この方法において、ポリマー、ビニルモノマーおよびラジカル開始剤は不活性溶媒に溶解され、グラフト重合反応はプラグフロー反応器内で50〜180℃で行われる。同様に、フールナー(Fournier)ら((特許文献6))には、グラフトポリマーを製造するための溶液法が記載されている。この方法において、ゴム状エチレンプロピレンコポリマーは、有機溶媒中のラジカル開始剤の存在下でスチレン、塩化ビニル、メチルアクリレート、アクリロニトリルおよびそれらの混合物などのビニルモノマーによりグラフトされる。
【0007】
従って、特に金属基材およびポリエステル基材に対する、似ていない材料間の接着剤結合または相溶性ブレンドを必要とする用途において定着剤および相溶化剤が必要とされている。
【0008】
出願人は、有機溶媒中のラジカル開始剤の存在下でオレフィンポリマー上にフェノールエステルモノマー化合物をグラフトすることによりポリオレフィングラフトポリマーを製造するための溶液グラフティング法を提供することにより前述した問題を解決した。これらのグラフトポリマーは、金属基材およびポリエステル基材に対する改善された接着性を提供する。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,011,147号明細書
【特許文献2】米国特許第4,025,401号明細書
【特許文献3】特開昭52−004589号公報
【特許文献4】米国特許第5,266,635号明細書
【特許文献5】特開2000−239479号公報
【特許文献6】CA1003145号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は接着特性が改善されたグラフトポリマーを製造する方法に関する。詳しくは、本発明は、接着特性が改善されたポリオレフィングラフトポリマーを製造する方法であって、
a)ポリオレフィングラフトポリマーの重合および形成を可能にするのに十分な温度で十分な時間にわたり、溶媒に溶解させた少なくとも1種のポリオレフィンを
(i)式(I)
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R=炭素原子数1〜20のアルキル基、またはフェニル)
で示した構造を有する第1のフェノールエステルモノマー化合物および
(ii)ラジカル開始剤
と接触させて反応混合物を形成する工程と、
(b)場合により(a)のポリオレフィングラフトポリマーを単離する工程と
を含んでなる方法を提供する。
【0013】
代案の実施形態において、ポリマー中のフェノールエステル側基は、場合により脱アシル化製品に脱アシル化されてもよい。
【0014】
同様に、別の実施形態において、本方法は、フェノールエステルであっても、そうでなくてもよい第2のモノマーを更に含んでなってもよい。
【0015】
特定の実施形態において、本発明は、接着特性が改善されたポリオレフィングラフトポリマーを製造する方法であって、
a)第1の溶媒中の少なくとも1種のポリオレフィンを式(I)
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、R=炭素原子数1〜20のアルキル基、またはフェニル)
で示した構造を有する第1のフェノールエステルモノマー化合物と接触させて反応混合物を形成する工程と、
(b)過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−アミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレートおよびエチル3,3−ジ−(t−アミルペルオキシ)ブチレートよりなる群から選択されたラジカル開始剤と工程(a)の前記反応混合物を接触させる工程と、
(c)フェノールエステルを含んでなるポリオレフィングラフトポリマーの重合および形成を可能にするのに十分な時間にわたり約60℃から約180℃に工程(b)の前記混合物を加熱する工程と、
(d)工程(c)の前記混合物を約70℃未満の温度に冷却する工程と、
(e)工程(d)の前記混合物を第2の溶媒中で沈殿させる工程と、
(f)工程(e)の沈殿した混合物から前記第1の溶媒と前記第2の溶媒を分離する工程と、
(g)ポリオレフィングラフトポリマー内に含まれるフェノールエステルを場合により脱アシル化する工程と
を含んでなる方法を提供する。
【0018】
もう1つの実施形態において、本発明は、ポリオレフィンにグラフトされたフェノールエステルモノマー化合物を含んでなるポリオレフィングラフトポリマー塗料を含んでなる被覆された基材であって、前記フェノールエステルモノマー化合物が式(I)
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、R=炭素原子数1〜20のアルキル基、またはフェニル)
で示した構造を有する被覆された基材を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、オレフィンポリマー上にグラフトされたフェノールエステルモノマー化合物を含んでなるグラフトポリオレフィンポリマーの製造のための方法に関する。本方法はラジカル開始剤の存在下で溶液相で行われる。本発明のポリマー組成物を含んでなる被覆された基材も提供される。
【0022】
本発明のポリオレフィングラフトポリマーおよびその脱アシル化誘導体は、例えば、金属またはポリエステルへのポリオレフィンなどの似ていない材料間の接着剤結合または相溶性ブレンドを必要とする用途において定着剤および相溶化剤として特に有用である。本発明のフェノールエステルグラフトポリオレフィンは、高分子酸化防止剤および分離用のイオン交換媒体を含んでなる他の有用な製品を製造するために例えばスルホン化によって更に誘導されてもよい。
【0023】
以下の定義は本明細書において用いられ、特許請求の範囲および明細書の解釈のために参照されるべきである。
【0024】
「p」はパラを意味する。
【0025】
「pAS」は、パラアセトキシスチレンのために用いられる略語であり、それはp−アセトキシスチレンまたは4−アセトキシスチレンとしても表される。
【0026】
本発明のグラフトポリマーに関連して「改善された接着特性」という用語は、繋ぎ層の存在しない状態で劣った剥離強度を有する2つの似ていない材料間の繋ぎ層として用いられる時、グラフトポリマーが非グラフトポリマーと比べて高い剥離強度を付与することを意味する。剥離強度の増加は用いられる基材に応じて異なる。典型的には、本発明のグラフトポリマーにより得られる剥離強度は非グラフトポリマーにより得られる剥離強度より約2〜30倍高い。
【0027】
「ポリオレフィン」という用語は、芳香族化合物における形式的炭素−炭素二重結合の他に1個もしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を有する非環式炭化水素または環式炭化水素よりなるポリマーを意味する。クラスオレフィンはアルケンおよびシクロアルケンならびに対応するポリエンを包含する。
【0028】
「ラジカル開始剤」という用語は、重合反応混合物に添加された時、反応を開始するように機能するラジカル(不対電子を有する・CH、・SnH、・ClまたはRO・などの分子体)を含んでなる物質を意味する。
【0029】
「アルキル」という用語は不飽和を含まない直鎖または分岐鎖の炭化水素を意味する。
【0030】
「剥離強度」という用語は単位g/cmを有し、可撓性部材を硬質部材またはもう1つの可撓性部材から段々に分離するのに要する結合線の単位幅当たりの平均荷重として本明細書で定義する。
【0031】
「重量%」という用語は重量パーセントを意味する。
【0032】
「wt/vol%」という用語は体積に対する重量パーセントを意味する。
【0033】
本発明の溶媒に適用される「極性非プロトン」という用語は、変動性プロトンドナーまたはプロトンアクセプターとして行動できない大きな永久双極子モーメントを有する分子によって特徴付けられる溶媒に関連する。
【0034】
本明細書で示されるすべての範囲は範囲の終わりおよびすべての中間範囲点も含んでなる。
【0035】
本発明は、オレフィンポリマー上にグラフトされたフェノールエステルモノマー化合物を含んでなるグラフトポリオレフィンポリマーに関する。本方法はラジカル開始剤の存在下で溶液相中で典型的に行われる。場合により、ポリマー上にグラフトされた側鎖フェノールエステルは脱アシル化によって誘導されてもよい。得られた製品は改善された接着特性を有し、基材を被覆するために有用である。
【0036】
本方法は、少なくとも1種のポリオレフィンをフェノールエステルモノマー化合物に接触させることにより進行する。本発明のフェノールエステルモノマーは一般式
【0037】
【化4】

【0038】
(式中、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、またはフェニルである)を有する。本発明のフェノールエステルは技術上周知された方法によって合成してもよい。例えば、アルキルスチレンエステルは、オーバーバーガー(Overberger)(米国特許第2,687,422号明細書およびJ.Amer.Chem.Soc.72:1200〜1202(1950年))によって記載された方法を用いて調製してもよい。スチレンエステル(ここでR=H(p−ホルミルスチレン))は、ウィリー(Wiley)ら(J.Amer.Chem.Soc.71:2429〜2431頁(1949年))によって記載されたようにp−ホルミルケイ皮酸の脱カルボキシル化を経由して調製してもよい。スチレンエステル(ここでR=フェニル(p−ビニルフェノールベンゾエート))は、ハットリ(Hattoriら)(J.Amer.Chem.Soc.81:4424〜4427頁(1959年))によって記載されたようにp−ヒドロキシスチレンへの塩化ベンゾイルの塩基触媒付加を経由して調製してもよい。
【0039】
好ましい実施形態において、基材はp−アセトキシスチレン(ここで、RはCHである)である。p−アセトキシスチレン(pAS)は多くの方法で得られる。例えば、pASは、デュポン・エレクトロニック・ポリマーズ(DuPont Electronic Polymers)(テキサス州ダラス(Dallas,TX))、アルドリッチ(Aldrich)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI))、ランカスター・シンセシス(Lancaster Synthesis)(ニューハンプシャー州ペルハム(Pelham,NH))およびティー・シー・アイ・アメリカ(TCI America)(オレゴン州ポートランド(Portland,OR))などの会社から高純度で市販されている。パラアセトキシスチレンは、コルソン(Corson)ら(J.Org.Chem.23:544(1958))によって記載された方法により合成してもよい。更に、pASは、米国特許第5,463,108号明細書においてソウニク(Sounik)らによって記載された方法を用いてpHSから得てもよい。この反応の出発材料として用いられるpHSは、ベンベサット(Ben−Bassat)ら(同時係属共有米国特許出願第10/439478号明細書、米国特許出願公開第2004−0018600号明細書および米国特許出願第10/824237号明細書)によって記載されたように組換え型微生物を用いる発酵によって製造してもよい。
【0040】
反応において用いられるフェノールエステルモノマーの量は、必要とされるグラフト度に応じて異なってもよい。フェノールエステルモノマーは、ポリオレフィンポリマーの重量を基準にして典型的には約4重量%〜約20重量%の濃度で反応混合物中に存在する。
【0041】
同様に、本発明において有用なポリオレフィンは、デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥヌムール(E.I.du Pont de Nemours Co.(Wilmington,DE))、ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル(Dow Chemical Co.(Midland,MI))、テキサス州アービングのエクソン・モービル(Exxon−Mobil(Irving,TX))を含んでなる多様な供給業者から得てもよい。ポリオレフィンはポリマーミックスまたはコポリマーミックスのいずれかとして供給されていてもよい。適するポリオレフィンポリマーおよびコポリマーの非限定的なリストは、ポリエチレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、ポリプロピレン、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマーおよびエチレン/酢酸ビニルコポリマーを含んでなる。
【0042】
反応において用いられるポリオレフィンの量は、用いられる溶媒中のポリオレフィンの溶解度および得られた溶液の粘度を含んでなる幾つかの要素に応じて異なってもよい。ポリオレフィンの最少有効濃度は、形成される製品の量が反応において用いられるポリオレフィンの量に関連付けられるので実際的な問題である。従って、用いられるポリオレフィンの量が非常に少ない場合、非常に少量の製品が製造される。所定のあらゆる反応において用いられるポリオレフィンの量は当業者によって容易に決定してもよい。ポリオレフィンの濃度は典型的には約10wt/vol%である。
【0043】
場合により、2種以上のモノマー化合物を本発明のポリオレフィン上にグラフトさせてもよい。この追加のモノマーは異なるフェノールエステルであってもよいか、または完全に異なる化合物であってもよい。この目的のために特に適するモノマーには、スチレンおよびジエンモノマー(テキサス州ヒューストンのリオンデル・ケミカル(Lyondell Chemical Co.(Houston,TX))およびユタ州ソルトレークシティのハンツマン(Huntsman(Salt Lake City,UT))から入手できる)、ならびにアクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマー(ニュージャージー州マウントオリーブのバスフ(BASF Corporation(Mount Olive,NJ))、ペンシルバニア州フィラデルフィアのアトフィナ・ケミカルズ(Atofina Chemicals,Inc.(Philadelphia,PA))またはペンシルバニア州フィラデルフィアのローム・アンド・ハース(Rohm and Haas(Philadelphia,PA))から入手できる)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0044】
重合を促進するために反応においてラジカル開始剤を用いることが好ましい。ラジカル開始剤は一般的であり、技術上周知されており、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−アミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレートおよびエチル3,3−ジ−(t−アミルペルオキシ)ブチレートに限定されないが、それらを含んでなる種類は本目的のために適する場合がある。当業者は、技術上周知されている手段によってラジカル開始剤の濃度をどのように決定するかを理解しているであろう。本反応系における好ましい濃度は、ポリオレフィンポリマーの重量を基準にして約0.1重量%〜約4.0重量%の範囲である。
【0045】
ラジカル開始剤はペンシルバニア州フィラデルフィアのアトフィナ・ケミカルズ(Atofina Chemicals,Inc.(Philadelphia,PA))から市販されており、ラジカル開始剤の使用は、ロポット(Ropot)ら著「ブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーの合成における高分子ラジカル開始剤(Macromolecular radical initiators in the synthesis of block and graft copolymers)」、レブエ・ルーメイン・デ・キミー(Revue Roumaine de Chimie(1995)、40(9)、937−55頁に完全に記載されている。
【0046】
典型的には、本反応は、フェノールエステルモノマーに接触させる前にポリオレフィンを第1の溶媒に最初に溶解させる溶液相中で実行される。適する溶媒は、クロロベンゼンおよびジクロロベンゼン、ハロゲン化炭化水素などの芳香族炭化水素、ならびにジメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン溶媒を含んでなる不活性有機溶媒であり、ここで、クロロベンゼンは好ましい。
【0047】
グラフトポリマーの形成後、抽出のためにポリマーを沈殿させる第2の溶媒にポリマーを添加してもよい。典型的な第2の溶媒には、アルコール(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコールおよびn−ヘキシルアルコール)、エーテル、ケトン、エステルおよびアミドならびにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。ここで、メタノールおよびアセトンは好ましい。未反応モノマーおよび開始剤ならびにフェノールエステルの未グラフトホモポリマーは、テトラヒドロフランなどの溶媒にポリマーを溶解させ、還流下で加熱することによってグラフトポリマーから除去してもよい。その後、溶媒を徐冷することにより、グラフトポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを濾過して、新鮮な溶媒で洗浄した。
【0048】
本ポリマーグラフティング法のための反応条件は異なってもよいが、しかし、反応は典型的には少なくとも約60℃の温度で行われる。ここで、約60℃〜約180℃の温度は特に適する。同様に、反応は反応混合物を約70℃未満の温度に冷却することにより終わらせてもよい。重合反応は時間のいかなる長さにわたっても行ってよいが、しかし、少なくとも約6時間の時間が典型的である。場合により、反応は、しばしば窒素などの不活性ガスの下で圧力下で行ってもよい。更に、酸化防止剤、UV安定剤および加工助剤(例えば潤滑剤)などを含んでなる技術上一般に用いられるような他の成分を反応混合物に添加してもよい。本方法は実に効率的であり、少なくとも約90%を上回る収率は典型的である。
【0049】
本方法はポリオレフィンにグラフトされたフェノールモノマーを含んでなる一般組成を有するポリマー組成物をもたらすことが予想され、ここで、ポリオレフィン対フェノールモノマーの重量比は約5:1〜約100:1である。
【0050】
本発明の方法はフェノールエステル側基を含んでなるポリオレフィングラフトポリマーを製造する。1つの好ましい実施形態において、側鎖フェノールエステルは、脱アシル化製品を製造するために脱アシル化によって誘導されてもよい。こうして、p−アセトキシスチレンの側鎖は、例えばヒドロキシスチレンに脱アシル化されてもよい。
【0051】
脱アシル化の方法は一般的であり、技術上周知され、鹸化、酸触媒エステル交換反応および塩基触媒エステル交換反応(例えば、グプタ(Gupta)らによる米国特許第4,898,916号明細書、エルモア(Elmore)らによる米国特許第4,689,371号明細書およびエルモア(Elmore)らによる米国特許第4,678,843号明細書を参照すること)を含んでなるが、それらに限定されない。本発明の背景内で、ポリオレフィングラフトポリマーは低温でNaOHなどの強塩基と反応してもよく、その後、強酸(HCl)に接触させてもよい。ここで、脱アシル化製品は沈殿し、その後、単離される。
【0052】
本発明のポリマーは、基材上に被覆された時、技術上似た化合物より優れる接着特性を有する。本ポリマーは、多様な基材を被覆するとともに、ポリマー(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、フルオロポリマー、ナイロン、液晶ポリマー)、ならびにスチール、銅およびアルミニウムなどの金属に限定されないが、それらを含んでなる材料よりなる積層体を作るために用いてもよい。本明細書で用いられる積層体は、フィルムまたはシートとしてポリオレフィングラフトポリマーを含んでなる多層構造と、基材およびポリオレフィングラフトポリマーを互いに溶融状態にもっていく多層共押出構造とを含んでなる。ポリオレフィングラフトポリマーは、2種の異なるポリマーフィルム、例えば、ポリエチレンとポリ(エチレンテレフタレート)またはポリエチレンと液晶ポリマーを互いに接着させる繋ぎ層としても用いてよい。更に、本発明のポリオレフィングラフトポリマーは、ポリエチレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、ポリプロピレン、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマーまたはエチレン/酢酸ビニルコポリマーなどの少なくとも1種の他のポリオレフィンとのブレンド中で用いられた時、効果的な定着剤である。本ブレンドは、実施例8〜13、19および23に記載されたように溶液中で、または技術上知られている方法を用いて溶融物中で調製してもよい。5重量%ほどに少いポリオレフィングラフトポリマーを含んでなるブレンドは、非グラフトポリオレフィンに比べて大幅に改善された接着特性を示す。本ポリマーの剥離強度は、適切な基材上に被覆された時、約30g/cm〜約3000g/cmの範囲である。
【0053】
更に、溶融グラフティング(例えば、ウィルキー(Wilkey)らによる米国特許第5,266,635号明細書参照)および電離線を用いるグラフティング(例えば、フジワラ(Fujiwara)らによる米国特許第4,011,147号明細書参照)などの技術上知られている他の方法を用いて調製されているポリオレフィンにグラフトされたフェノールモノマーを含んでなるポリオレフィングラフトポリマーを用いて上述した被覆された基材および積層体を調製することは十分に本発明の範囲内である。これらの方法によって調製されたポリオレフィングラフトポリマーは、本発明の溶液グラフティング法を用いて調製されたグラフトポリマーと似た改善された接着特性を提供することが予想されるであろう。
【実施例】
【0054】
本発明を以下の実施例において更に説明する。これらの実施例が本発明の好ましい実施形態を示す一方で、例示のみとして提示されていることが理解されるべきである。上での議論およびこれらの実施例から、当業者は本発明の必須の特徴を確認することが可能であり、本発明の精神および範囲を逸脱せずに、本発明を種々の用途および条件に適合させるために本発明の種々の変更および修正を行うことが可能である。
【0055】
用いられる略語の意味は次の通りである。「min」は分を意味する。「h」は時間を意味する。「s」は秒を意味する。「ml」はミリリットルを意味する。「L」はリットルを意味する。「μL」はマイクロリットルを意味する。「cm」はセンチメートルを意味する。「cm−1」は逆数センチメートルを意味する。「mm」はミリメートルを意味する。「μm」はマイクロメートルを意味する。「mol」はモルを意味する。「mmol」はミリモルを意味する。「g」はグラムを意味する。「mg」はミリグラムを意味する。「Mw」は重量平均分子量を意味する。「Mn」は数平均分子量を意味する。「M」はモル濃度を意味する。「N」は規定度を意味する。「THF」はテトラヒドロフランを意味する。「THF−d8」は重水素化テトラヒドロフランを意味する。「psi」は平方インチ当たりのポンドを意味する。「v/v」は体積対体積の比を意味する。「重量%」は重量パーセントを意味する。「モル%」はモルパーセントを意味する。「H NMR」は陽子核磁気共鳴スペクトル分析を意味する。「FTIR」はフーリエ変換赤外線吸光分光分析を意味する。「LCP」は「液晶ポリマー」のための略語である。「HDPE」は「高密度ポリエチレン」のための略語である。LDPEは「低密度ポリエチレン」のための略語である。LCP400はE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール(E.I.du Pont de Nemours Company)から購入し、その調製は米国特許出願公開第2004/0058092号明細書に完全に記載されている。この特許は本明細書に参照により援用する。
【0056】
実施例1
ポリエチレン上への4−アセトキシスチレンのグラフティング
この実施例の目的は、低密度ポリエチレン上に4−アセトキシスチレンをグラフトすることによりポリオレフィングラフトポリマーを調製することであった。
【0057】
0.906の密度、2.25のメルトインデックス、35,000のMwおよび7,700のMnを有する分岐低密度ポリエチレンであるポリエチレンAは、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ(Aldrich((Milwaukee,WI))から購入した(アルドリッチ(Aldrich)番号42−779,9)。ポリエチレンA(50g)を窒素雰囲気下で125℃で攪拌しつつ500mLのクロロベンゼンに溶解させた。その後、テキサス州ダラスのデュポン・エレクトロニック・ポリマーズ(DuPont Electronic Polymers(Dallas,TX))から購入した10gの4−アセトキシスチレンを添加した。5分後、20mLのクロロベンゼン中に2gのt−ブチルペルオキシド開始剤を含んでなるプレミックス溶液を60分にわたり滴下した。125℃での攪拌および加熱を6時間にわたり続け、その後、熱を除去した。翌日、混合物を加熱して、グラフトポリマーを完全に再溶解させ、1Lのメタノールに溶液を注ぐことによりポリマーを沈殿させた。ポリマーを濾過し、その後、新鮮なメタノールで洗浄した。30分にわたり空気乾燥させた後、一晩窒素パージしつつ真空炉内で75℃でポリマーを乾燥させた。グラフトポリマーは55.84gの正味重量を有していた。このポリマーの64μmプレスフィルムのFTIRスペクトルは、ポリエチレンに特徴的な帯域に加えて、アセトキシカルボニル基に一致する1767cm−1で1.7吸光度単位の強い帯域を示した。THF−d8中のH NMRは、ポリマーサンプル中に存在するアセトキシスチレンの量が1.18モル%であったことを示した。
【0058】
未反応モノマーおよび開始剤ならびに未グラフトアセトキシスチレンホモポリマーを除去するために、5gのグラフトポリマーを67℃での還流下で50mLのテトラヒドロフランに溶解させた。徐冷すると、グラフトポリマーは溶液から沈殿した。ポリマーを濾過し、その後、少量の新鮮なテトラヒドロフランで洗浄した。空気乾燥後、一晩窒素パージしつつ真空炉内で80℃でポリマーを乾燥させた。ポリマーの正味重量は4.74gであった。この抽出されたポリマーの25μmプレスフィルムのFTIRスペクトルは、ポリエチレンに特徴的な帯域に加えて、グラフトモノマーからのアセトキシカルボニル基に一致する1767cm−1で0.9吸光度単位の強い帯域を示した。
【0059】
実施例2
ポリエチレングラフトポリマー上の4−アセトキシスチレンの脱アセチル化
この実施例の目的は、実施例1で調製されたポリエチレングラフトポリマー上の4−アセトキシスチレンを脱アセチル化して、ヒドロキシスチレングラフトポリエチレンをもたらすことであった。
【0060】
実施例1のグラフトポリマー(30g)を500mLのテトラヒドロフランに還流状態で溶解させた。50ミリリットルの3N水酸化ナトリウム水溶液を添加した。液体は乳白色に変わった。混合物を攪拌しつつ4時間にわたり60℃で保持した。その後、混合物を3Lの10%水性塩酸に注ぎ、2時間にわたりゆっくり攪拌した。固形物を濾過し、洗浄水が6のpHに達するまで脱イオン水で数回洗浄した。空気乾燥後、窒素パージしつつ真空炉内で50℃で2日にわたり固形物を乾燥させた。固形物の正味重量は29.3gであった。この製品のKBrペレットのFTIRスペクトルは、アセトキシカルボニルによる小帯域のみおよびヒドロキシルによる3415cm−1の新たな広帯域を示した。THF−d8中のH NMRは、アセトキシスチレン基の76%がこの手順によってヒドロキシスチレンに脱アセチル化されたことを示した。
【0061】
実施例3−4
ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムへのグラフトポリエチレンAの接着の剥離強度試験
これらの実施例の目的は、非変性ポリエチレンAと比べて、脱アセチル化グラフトポリエチレンAの改善された接着性を実証することであった。
【0062】
3分間の予熱後、1分間の20,000psiの圧力を用いて、160℃で実験室プレス内でポリエチレンAおよび実施例2の脱アセチル化グラフトポリエチレンAをそれぞれ12.7cm×12.7cm、厚さ51〜102μmのフィルムにプレスし、プレス内で徐冷した。幅2.5cmの帯にわたって厚さ51μmの配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム(「マイラー(Mylar)」(登録商標)PET、デラウェア州ウィルミントンのデュポン・ヌムール(E.I.du Pont de Nemours Co.(Wilmington,DE)))にこれらのフィルムの各々を接着させるためにヒートシーラーを用いた。用いたヒートシール条件を表1に明記している。所定の温度でヒートシール後に、サンプルを放置して室温に冷却し、その後、剥離試験を行った。
【0063】
その後、剥離試験[ASTM D1876]のために、幅1.3cmの5つの細片をそれぞれ接着されたサンドイッチから切り出した。インストロン試験機の両顎に接着部分から離してフィルム両端を入れ、サンプルが剥離または引き裂きによって完全に破断するまで30.5cm/分のクロスヘッド速度で引っ張ることによりT−剥離試験を行った。サンプルが完全に荷重下にあった間に達成された平均応力として剥離強度を採用した。剥離強度試験の結果を表1にまとめている。表における剥離強度値は、多数のサンプルに関する測定値の平均である。
【0064】
【表1】

【0065】
「マイラー(Mylar)」(登録商標)PETへのポリエチレンAの接着性は殆ど低すぎて測定できなかった。それに反して、実施例2の脱アセチル化グラフトポリエチレンAはPETへの著しい接着性を有していた。更に、実施例2ポリマーフィルムの数枚はインストロンで試験すると裂けており、PETへのこれらのフィルムの接着性が剥離強度によって示されるよりも遙かに大きかったことを示唆した。
【0066】
実施例5
ポリエチレン上への4−アセトキシスチレンのグラフティング
この実施例の目的は、低密度ポリエチレン上に4−アセトキシスチレンをグラフトすることによりポリオレフィングラフトポリマーを調製することであった。
【0067】
ポリエチレンA(25g)を窒素雰囲気下で攪拌しつつ125℃で250mLのクロロベンゼンに溶解させた。その後、1gの4−アセトキシスチレン(テキサス州ダラスのデュポン・エレクトロニック・ポリマーズ(DuPont Electronic Polymers(Dallas,TX)))を添加した。5分後、10mLのクロロベンゼン中に1gのt−ブチルペルオキシド開始剤を含んでなるプレミックス溶液を50分にわたり滴下した。125℃での攪拌および加熱を6時間にわたり続け、その後、熱を除去した。翌日、混合物を加熱して、グラフトポリマーを完全に再溶解させ、1Lのメタノールに溶液を注ぐことによりポリマーを沈殿させた。ポリマーを濾過し、その後、新鮮なメタノールで洗浄した。空気乾燥後、週末にわたって窒素パージしつつ真空炉内で70℃でポリマーを乾燥させた。グラフトポリマーは25.54gの正味重量を有していた。
【0068】
未反応モノマーおよび開始剤ならびに未グラフトアセトキシスチレンホモポリマーを除去するために、19.5gのグラフトポリマーを67℃での還流下で210mLのテトラヒドロフランに溶解させた。徐冷すると、グラフトポリマーは溶液から沈殿した。ポリマーを濾過し、その後、少量の新鮮なテトラヒドロフランで洗浄した。空気乾燥後、一晩窒素パージしつつ真空炉内で80℃でポリマーを乾燥させた。ポリマーの正味重量は18.65gであった。この抽出されたポリマーの25μmプレスフィルムのFTIRスペクトルは、ポリエチレンに特徴的な帯域に加えて、グラフトモノマーからのアセトキシカルボニル基に一致する1771cm−1で約0.1吸光度単位の帯域を示した。THF−d8中のH NMRによって、このポリマー中のアセトキシスチレンのレベルは0.28モル%であることが判明した。
【0069】
実施例6
ポリエチレングラフトポリマー上の4−アセトキシスチレンの脱アセチル化
この実施例の目的は、実施例5で調製されたポリエチレングラフトポリマー上の4−アセトキシスチレンを脱アセチル化して、ヒドロキシスチレングラフトポリエチレンをもたらすことであった。
【0070】
実施例5で調製されたグラフトポリマー(18.4g)を500mLのテトラヒドロフランに還流状態で溶解させた。50ミリリットルの3N水酸化ナトリウム水溶液を添加した。液体は乳白色に変わった。混合物を攪拌しつつ6時間にわたり60℃で保持した。その後、混合物を3Lの10%水性塩酸に注ぎ、2時間にわたりゆっくり攪拌した。固形物を濾過し、洗浄水が6のpHに達するまで脱イオン水で数回洗浄した。空気乾燥後、一晩窒素パージしつつ真空炉内で固形物を65℃〜70℃で乾燥させた。固形物の正味重量は17.8gであった。プレスされた20μmのフィルムのFTIRスペクトルは、アセトキシカルボニルによる帯域を示さず、ヒドロキシルによる3415cm−1での新たな広帯域を示した。THF−d8中のH NMRは、アセトキシスチレン基の全部がこの手順によってヒドロキシスチレンに脱アセチル化されたことを示した。
【0071】
実施例7
ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムへのグラフトポリエチレンAの接着の剥離強度試験
この実施例の目的は、脱アセチル化グラフトポリエチレンAの改善された接着性を実証することであった。
【0072】
3分間の予熱後、1分間の20,000psiの圧力を用いて、160℃で実験室プレス内で実施例5の脱アセチル化グラフトポリエチレンAを12.7cm×12.7cm、厚さ51μmのフィルムにプレスし、プレス内で徐冷した。幅2.54cmの帯にわたって厚さ51μmの配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム(「マイラー(Mylar)」(登録商標)PET)にこれらのフィルムの各々を接着させるためにヒートシーラーを用いた。ヒートシール条件を以下で明記している。その後、剥離試験のために、幅1.3cmの5つの細片をそれぞれ接着されたサンドイッチから切り出した。T−剥離試験を実施例3および4に記載されたように行った。サンプルが完全に荷重下にあった間に達成された平均応力として剥離強度を採用した。報告された値は3つのサンプルに関する測定値の平均である。1秒の保圧時間により177℃でヒートシールされたサンドイッチは372g/cmの平均剥離強度を有していた。2秒の保圧時間により177℃でヒートシールされたサンドイッチは507g/cmの平均剥離強度を有していた。
【0073】
実施例8〜12
ポリ(エチレンテレフタレート)への接着性に及ぼすグラフトポリエチレンと非グラフトポリエチレンをブレンドする効果
これらの実施例の目的は、ポリ(エチレンテレフタレート)への接着性に及ぼすグラフトポリエチレンAと非グラフトポリエチレンAをブレンドする効果を実証し、この接着性を非グラフトポリエチレンAで得られた接着性と比較することであった。
【0074】
それぞれのポリマーを熱いテトラヒドロフランに溶解させ、特定の割合で溶液をブレンドし、冷却してポリマーを沈殿させ、一晩真空炉内で68℃で乾燥させることにより、ポリエチレンAと実施例6の脱アセチル化グラフトポリエチレンAのブレンドを調製した。ブレンドは、脱アセチル化グラフトポリマーの重量を基準にして1%の「イルガノックス(Irganox)」(登録商標)1010酸化防止剤(ニューヨーク州タリータウンのチバ・ガイギー(Ciba Geigy(Tarrytown,NY)))も含んでなった。
【0075】
2秒の保圧時間により177℃のヒートシール条件を用いて、剥離試験のためのサンプルを実施例7に記載されたように調製した。結果を表2に示している。データから分かるように、ブレンド中の比較的少量のグラフトポリマー(すなわち5重量%)が非グラフトポリエチレンに比べて剥離強度の大幅な改善をもたらした。
【0076】
【表2】

【0077】
実施例14
ポリエチレン上への4−アセトキシスチレンのグラフティング
この実施例の目的は、低密度ポリエチレン上に4−アセトキシスチレンをグラフトすることによりポリオレフィングラフトポリマーを調製することであった。
【0078】
ポリエチレンA(50g)を窒素雰囲気下で攪拌しつつ125℃で500mLのクロロベンゼンに溶解させた。その後、10mLのクロロベンゼン中の2gの4−アセトキシスチレン(テキサス州ダラスのデュポン・エレクトロニック・ポリマーズ(DuPont Electronic Polymers(Dallas,TX)))を添加した。5分後、20mLのクロロベンゼン中に2gのt−ブチルペルオキシド開始剤を含んでなるプレミックス溶液を60分にわたり滴下した。125℃での攪拌および加熱を6時間にわたり続け、その後、熱を除去した。室温で3日後、混合物を加熱して、グラフトポリマーを完全に再溶解させ、1.5Lのメタノールに溶液を注ぐことによりポリマーを沈殿させた。ポリマーを濾過し、その後、新鮮なメタノールで洗浄した。空気乾燥後、一晩窒素パージしつつ真空炉内で75℃でポリマーを乾燥させた。グラフトポリマーは49.21gの正味重量を有していた。
【0079】
未反応モノマーおよび開始剤ならびに未グラフトアセトキシスチレンホモポリマーを除去するために、48gのグラフトポリマーを還流下で約1時間にわたり1Lの樹脂ケトル内で800mLのテトラヒドロフランに溶解させた。樹脂ケトルを氷水に入れると、グラフトポリマーは溶液から沈殿した。ポリマーを濾過し、その後、150mLの新鮮なテトラヒドロフランで洗浄した。25gのテトラヒドロフラン中に「イルガノックス(Irganox)」(登録商標)1010酸化防止剤0.5gを含んでなる溶液を湿潤ポリマーケーキ上に広げた。空気乾燥後、窒素パージしつつ真空炉内で65℃で48時間にわたりポリマーを乾燥させた。ポリマーの正味重量は48.61gであった。この抽出されたポリマーの厚さ15μmのプレスフィルムのFTIRスペクトルは、ポリエチレンに特徴的な帯域に加えて、グラフトモノマーからのアセトキシカルボニル基に一致する1771cm−1で約0.09吸光度単位の帯域を示した。THF−d8中のH NMRによって、このポリマー中のアセトキシスチレンのレベルは0.29モル%であることが判明した。
【0080】
実施例15
ポリエチレングラフトポリマー上の4−アセトキシスチレンの脱アセチル化
この実施例の目的は、実施例14で調製されたポリエチレングラフトポリマー上の4−アセトキシスチレンを脱アセチル化して、ヒドロキシスチレングラフトポリエチレンをもたらすことであった。
【0081】
実施例14の抽出されたグラフトポリマー(38g)を800mLのテトラヒドロフランに還流状態で溶解させた。その後、100mLの3N水酸化ナトリウム水溶液を添加した。液体は粘性且つ乳白色に変わった。混合物を攪拌しつつ5時間にわたり67℃で保持した。混合物を3Lの10%水性塩酸に注ぎ、2時間にわたりゆっくり攪拌した。固形物を濾過し、洗浄水が6のpHに達するまで脱イオン水で数回洗浄した。空気乾燥後、窒素パージしつつ真空炉内で70℃で48時間にわたり固形物を乾燥させた。固形物の正味重量は37.22gであった。THF−d8中のH NMRは、アセトキシスチレン基の全部がこの手順によってヒドロキシスチレンに脱アセチル化されたことを示した。
【0082】
実施例16〜19
高密度ポリエチレン/繋ぎ層/PETサンドイッチの接着の剥離強度試験
これらの実施例の目的は、非グラフトポリエチレンと比べて、グラフトポリエチレンを含んでなる繋ぎ層を用いる高密度ポリエチレン(HDPE)とPETとの間の改善された接着性を実証することであった。
【0083】
ポリエチレンA、実施例14のグラフトポリマー、実施例15の脱アセチル化グラフトポリマーおよびポリエチレンA95%と実施例15の脱アセチル化グラフトポリマー5%のブレンド(テトラヒドロフラン溶液中でブレンドされたもの)を厚さ約64μmのフィルムにそれぞれ溶融プレスした。これらのフィルムの各々は、「アラトン(Alathon)」(登録商標)6060HDPE(テキサス州ヒューストンのイクイスター(Equistar(Houston,TX)))の厚さ89μmの押出フィルム、繋ぎ層としての上の溶融プレスフィルムの1つおよび厚さ51μmの「マイラー(Mylar)」(登録商標)PETフィルムよりなるサンドイッチ中に含まれていた。各サンドイッチを2秒の保圧時間により191℃でヒートシールし、その後、実施例3および4に記載されたように剥離試験した。剥離強度測定の結果を表3に示している。繋ぎ層樹脂がないと、HDPEフィルムおよびPETフィルムはヒートシールできなかった。アセトキシスチレン−グラフトポリマーは、アセトキシ基の脱アセチル化前後の両方で接着性を劇的に改善した。非グラフトポリエチレンAにより得られた接着性の改善を上回る接着性の改善を与えるために非常に僅かのグラフトポリマーしか必要としなかった。
【0084】
【表3】

【0085】
実施例20〜23
高密度ポリエチレン/繋ぎ層/LCPサンドイッチの接着の剥離強度試験
これらの実施例の目的は、非グラフトポリエチレンと比べて、グラフトポリエチレンを含んでなる繋ぎ層を用いるHDPEと液晶ポリマー(LCP)との間の改善された接着性を実証することであった。
【0086】
ポリエチレンA、実施例14のグラフトポリマー、実施例15の脱アセチル化グラフトポリマーおよびポリエチレンA95%と実施例15の脱アセチル化グラフトポリマー5%のブレンド(テトラヒドロフラン溶液中でブレンドされたもの)を厚さ約64μmのフィルムにそれぞれ溶融プレスした。これらのフィルムの各々は、「アラトン(Alathon)」(登録商標)6060HDPE(テキサス州ヒューストンのイクイスター(Equistar(Houston,TX)))の厚さ89μmの押出フィルム、繋ぎ層としての上の溶融プレスフィルムの1つおよび厚さ94μmの押出フィルムLCP400(デラウェア州ウィルミントンのデュポン・ヌムール(E.I.du Pont de Nemours Co.(Wilmington,DE)))フィルムよりなるサンドイッチ中に含まれていた。各サンドイッチを2秒の保圧時間により191℃でヒートシールし、その後、実施例3および4に記載されたように剥離試験した。剥離強度測定の結果を表4に示している。繋ぎ層樹脂がないと、HDPEフィルムおよびLCPフィルムはヒートシールできなかった。ポリエチレンAはHDPEのみにヒートシールした。アセトキシスチレン−グラフトポリマーは、アセトキシ基の脱アセチル化前後の両方で接着性を劇的に改善した。接着性をもたらすために非常に僅かのグラフトポリマーしか必要としなかった。
【0087】
【表4】

【0088】
実施例24
エチレン/メチルアクリレートコポリマー上への4−アセトキシスチレンのグラフティング
この実施例の目的は、エチレン/メチルアクリレートコポリマー上に4−アセトキシスチレンをグラフトすることによりポリオレフィングラフトポリマーを調製することであった。
【0089】
コポリマーA(「オプテマ(Optema)」(登録商標)TC−110、エチレンとメチルアクリレートのコポリマー、メチルアクリレート21重量%、テキサス州アービングのエクソン・モービル(Exxon−Mobil(Irving,TX)))(50g)を窒素雰囲気下で攪拌しつつ125℃で500mLのクロロベンゼン中に溶解させた。その後、2gの4−アセトキシスチレン(テキサス州ダラスのデュポン・エレクトロニック・ポリマーズ(DuPont Electronic Polymers((Dallas,TX)))を添加した。15分後、20mLのクロロベンゼン中にt−ブチルペルオキシド開始剤2gを含んでなるプレミックス溶液を70分にわたり滴下した。125℃での攪拌および加熱を6時間にわたり続けた。高い粘性の混合物を約95℃に加熱し、その後、2Lのメタノールに注ぎ込んで、ポリマーを沈殿させた。空気乾燥後、一晩窒素パージしつつ真空炉内で70℃でポリマーを乾燥させた。その後、ポリマーは12日にわたり熱のない炉内に留まった。グラフトポリマーは50.76gの正味重量を有していた。
【0090】
未反応モノマーおよび開始剤ならびに未グラフトアセトキシスチレンホモポリマーを除去するために、40.0gのグラフトポリマーを67℃での還流下で500mLのテトラヒドロフランに入れた。ポリマーは軟化したが、完全には溶解しなかった。冷却後、グラフトポリマーを200mLの新鮮な溶媒で洗浄し、その後、濾過した。空気乾燥後、一晩窒素パージしつつ真空炉内で70℃でポリマーを乾燥させた。ポリマーの正味重量は37.14gであった。THF−d8中のH NMRによって、ポリマー中のアセトキシスチレンのレベルは0.3モル%であることが判明した。
【0091】
実施例25
エチレン/メチルアクリレートコポリマー上にグラフトされた4−アセトキシスチレンの脱アセチル化
この実施例の目的は、実施例24で調製されたグラフトポリマー上の4−アセトキシスチレンを脱アセチル化して、ヒドロキシスチレングラフトポリマーをもたらすことであった。
【0092】
実施例24の抽出されたグラフトポリマー(30.0g)を800mLのテトラヒドロフランに還流状態で溶解させた。その後、100mLの3N水酸化ナトリウム水溶液を添加した。液体は濁り且つゲル様に変わった。混合物を攪拌しつつ6時間にわたり70℃で保持した。その後、混合物を3Lの10%水性塩酸に注ぎ、直ちにゴム状塊に沈殿した。塊を崩し、放置して4.5時間にわたり酸性化し続けた。固形物を濾過し、洗浄水が6のpHに達するまで脱イオン水で数回洗浄した。空気乾燥後、週末にわたり窒素パージしつつ真空炉内で70℃〜80℃で固形物を乾燥させた。固形物の正味重量は29.76gであった。THF−d8中のH NMRは、アセトキシスチレン基の全部がこの手順によってヒドロキシスチレンに脱アセチル化されたことを示した。ポリマー中のヒドロキシスチレンの量は0.3モル%であると決定した。
【0093】
実施例26〜31
金属へのグラフトエチレン/メチルアクリレートコポリマーの接着の剥離強度試験
これらの実施例の目的は、金属への脱アセチル化グラフトエチレン/メチルアクリレートコポリマーの改善された接着性を実証することであった。
【0094】
実施例25の脱アセチル化グラフトポリマーを1分の保持時間により230℃で溶融プレスして、厚さ1.32mm×10cm×10cmのフィルムを製造した。2.54cm×10cmの細片に切断した後、アルミニウム、炭素鋼および銅の2.54cm×10cmクリーン基材に対してフィルムを再プレスし、T−剥離試験のためのフィルムのタブを残した。剥離強度を実施例3および4に記載されたように測定した。測定の結果を表5でまとめている。表から分かるように、殆どの場合、グラフトポリマーの剥離強度は、非グラフトポリマーの剥離強度より大幅に高かった。
【0095】
【表5】

【0096】
金属に接着されたポリマーフィルムのサンプルを周囲温度の水に60日より長く浸漬した。これらの暴露サンプルの剥離強度を再試験し、結果を表5でまとめている。炭素鋼基材を除き、グラフトポリマーは水中で貯蔵後に著しい接着性を保持した。これらの暴露条件は、殆どのポリマーを金属基材から切り離させている。
【0097】
実施例32〜34
グラフトポリマーのグラフティングおよびメルトインデックスに及ぼす過酸化物レベルの効果
これらの実施例の目的は、ポリマーの架橋およびグラフティングに及ぼす過酸化物レベルの効果を実証することであった。ポリマーの重量を基準にして0.2重量%および1重量%の過酸化物濃度を用いた。
【0098】
これらの実施例で用いたポリマーは、ポリエチレンB(「エンゲージ(Engage)」(登録商標)8585エチレン/オクテンコポリマー、密度0.885、メルトインデックス2.5g/10分、デラウェア州ウィルミントンのデュポン・ダウ・エラストマーズ(DuPont−Dow Elastomers,L.L.C.(Wilmington,DE)))およびポリエチレンC(「エンゲージ(Engage)」(登録商標)8401エチレン/オクテンコポリマー、密度0.885、メルトインデックス30g/10分、デュポン・ダウ・エラストマーズ(DuPont−Dow Elastomers,L.L.C.))であった。ポリマー(50g)を窒素雰囲気下で攪拌しつつ125℃で500mLのクロロベンゼンに溶解させた。その後、2gの4−アセトキシスチレン(テキサス州ダラスのデュポン・エレクトロニック・ポリマーズ(DuPont Electronic Polymers(Dallas,TX)))を10mLのクロロベンゼン中で添加した。5分後、20mLのクロロベンゼン中のt−ブチルペルオキシド開始剤の規定量(表6)のプレミックス溶液を約1時間にわたり滴下した。125℃での攪拌および加熱を6時間にわたり続け、その後、1Lのアセトンに溶液を注ぐことによりポリマーを沈殿させた。ポリマーを濾過し、その後、新鮮なアセトンで3回洗浄した。空気乾燥後、一晩窒素パージしつつ真空炉内で70℃でポリマーを乾燥させた。
【0099】
3種のグラフトポリマーをメルトインデックスおよびH NMRによって特性分析した。これらの測定の結果を表6でまとめている。過酸化物濃度を上げると、より多くのグラフティングおよび低いメルトインデックスをもたらした。
【0100】
【表6】

【0101】
実施例35
グラフトエチレン/オクテンコポリマーの脱アセチル化
この実施例の目的は、実施例34で調製されたグラフトポリマー上の4−アセトキシスチレンを脱アセチル化して、ヒドロキシスチレングラフトポリマーをもたらすことであった。
【0102】
実施例34のグラフトポリマーを実施例2の方法により脱アセチル化し、酸性化した。乾燥前に塩の除去を改善するために、ポリマーを149μm未満の粒子サイズに粉砕し、65℃で30分にわたりテトラヒドロフラン/脱イオン水の50/50v/v混合物で2回洗浄した。
【0103】
実施例36〜37
PETフィルムサンドイッチ中の脱アセチル化グラフトポリエチレンCの接着の剥離強度試験
これらの実施例の目的は、非グラフトポリエチレンCと比べて、PETフィルムサンドイッチ中の脱アセチル化グラフトポリエチレンCの改善された接着性を実証することであった。
【0104】
実施例35の脱アセチル化グラフトポリマー(0.5g)を10mLのシクロヘキサンに溶解させた。305μmの空隙を有する円筒状フィルムキャスターで1mLの溶液を引落とすことにより、「マイラー(Mylar)」(登録商標)PETフィルムの厚さ51μm×10.2cm×10.2cmの片をこの溶液で被覆した。フィルムを空気乾燥させ、その後、窒素パージしつつ真空炉内で80℃で2時間にわたり乾燥させた。得られた被膜の厚さは約10μmであった。この被覆プロセスをPETフィルムの第2の片で繰り返した。被覆されたPETフィルムの2つの片を2秒の保圧時間により220℃でヒートシールした。比較のために、非グラフトポリエチレンCを用いてこのプロセスを繰り返した。両方のサンプルの剥離強度を実施例3および4に記載されたように決定した。平均剥離強度の結果を表7に示している。脱アセチル化グラフトポリエチレンCによるサンドイッチは、非グラフトポリエチレンCによるサンドイッチより大幅に高い剥離強度を有していた。被覆されなかったPETフィルムは、これらの条件下でヒートシールした時、全くくっつかなかった。
【0105】
【表7】

【0106】
実施例38
エチレン/オクテンコポリマー上への4−アセトキシスチレンとスチレンのブレンドのグラフティング
この実施例の目的は、エチレン/オクテンコポリマー上に4−アセトキシスチレンとスチレンをグラフトすることによりポリオレフィングラフトポリマーを調製することであった。
【0107】
2gの4−アセトキシスチレンの代わりに1gの4−アセトキシスチレンおよび1gのスチレンを添加したことを除き、実施例34の方法によりポリエチレンCをグラフトさせた。H NMRによって、このグラフトポリマーは0.3モル%の全スチレンを含んでなった。この方法は、アセトキシスチレンとスチレンとの間を区別することができない。FTIRはポリマー中のアセトキシスチレンの存在を確認した。
【0108】
実施例39
アセトキシスチレン/スチレングラフトエチレン/オクテンコポリマーの脱アセチル化
この実施例の目的は、実施例38のアセトキシスチレン/スチレングラフトエチレン/オクテンコポリマーを脱アセチル化して、ヒドロキシスチレン/スチレングラフトポリマーを形成させることであった。
【0109】
実施例38のグラフトポリマーを実施例2の方法により脱アセチル化し、酸性化した。乾燥前に塩の除去を改善するために、ポリマーを149μm未満の粒子サイズに粉砕し、65℃で30分にわたりテトラヒドロフラン/脱イオン水の50/50v/v混合物で2回洗浄した。
【0110】
実施例40〜42
4−アセトキシスチレン/スチレンブレンドでグラフトされたポリマーのPETへの接着の剥離強度試験
これらの実施例の目的は、非グラフトエチレン/オクテンコポリマーと比べて、アセトキシスチレン/スチレングラフトエチレン/オクテンコポリマーのPETフィルムへの改善された接着性を実証することであった。
【0111】
実施例39の脱アセチル化グラフトポリマーを2つの「マイラー(Mylar)」(登録商標)PETフィルム上に溶液被覆した。フィルムをヒートシールし、その後、実施例36に記載されたのと同じ方法で剥離試験した。4−アセトキシスチレンのみでグラフトされ、その後、脱アセチル化された実施例35のポリマーを同じ方法で同時に試験した。更に、非グラフトポリエチレンCを比較のために同じ方法で試験した。剥離強度の結果を表8でまとめている。アセトキシスチレン/スチレングラフト脱アセチル化ポリオレフィンCは、アセトキシスチレングラフト脱アセチル化ポリエチレンCより高い剥離強度を有していた。両方のグラフトポリマーは、非グラフトポリエチレンCより大幅に高い剥離強度を有していた。
【0112】
【表8】

【0113】
実施例43〜45
4−アセトキシスチレン/スチレンブレンドでグラフトされたポリマーのナイロンへの接着の剥離強度試験
これらの実施例の目的は、非グラフトエチレン/オクテンコポリマーと比べて、アセトキシスチレン/スチレングラフトエチレン/オクテンコポリマーのナイロンフィルムへの改善された接着性を実証することであった。
【0114】
実施例39の脱アセチル化グラフトポリマーを厚さ76μmの2つの「ダーテック(Dartek)」(登録商標)ナイロン66フィルム(カナダ国オンタリオ州のデュポン・カナダ(DuPont Canada(Ontario,Canada)))上に溶液被覆した。フィルムをヒートシールし、その後、実施例36に記載されたのと同じ方法で剥離試験した。4−アセトキシスチレンのみでグラフトされ、その後、脱アセチル化された実施例35のポリマーおよび非グラフトポリエチレンCを同じ方法で同時に試験した。剥離強度試験の結果を表9でまとめている。アセトキシスチレン/スチレングラフト脱アセチル化ポリオレフィンCは、アセトキシスチレングラフト脱アセチル化ポリエチレンCより高い剥離強度を有していた。両方のグラフトポリマーは、非グラフトポリエチレンCより大幅に高い剥離強度を有していた。
【0115】
【表9】

【0116】
比較例46
スチレングラフトエチレン/オクテンコポリマーの接着の剥離強度試験
この実施例の目的は、スチレングラフトエチレン/オクテンコポリマーと比べて、アセトキシスチレングラフトエチレン/オクテンコポリマーおよびアセトキシスチレン/スチレングラフトエチレン/オクテンコポリマーの高い接着性を実証することであった。
【0117】
2gの4−アセトキシスチレンの代わりに2gのスチレンを添加したことを除き、実施例34の方法によりポリエチレンCをグラフトさせた。グラフトポリマーを熱いテトラヒドロフランに溶解させ、その後、冷却し、沈殿させて一切の未反応スチレンを除去した。H NMRによって、このグラフトポリマーは0.46モル%のスチレンを含んでなった。
【0118】
それぞれ実施例40〜42および実施例43〜45のようにPETフィルム上に、およびナイロン66フィルム上にスチレングラフトポリマーを溶液被覆し、ヒートシールし、剥離試験した。「マイラー(Mylar)」(登録商標)PETフィルムに関して、平均剥離強度は25g/cmであった一方で、「ダーテック(Dartek)」(登録商標)ナイロン66フィルムに関して、平均剥離強度は17g/cmであった。これらの値を表8および9の結果と比較すると、スチレン単独によるグラフティングがPETまたはナイロン66へのポリエチレンの剥離強度に本質的に全く影響を及ぼさないことを示している。しかし、スチレンとアセトキシスチレンのブレンドのグラフティングは、アセトキシスチレン単独によるグラフティングと比べて高い剥離強度をもたらす。
【0119】
実施例47
高密度ポリエチレン上への4−アセトキシスチレンのグラフティング
この実施例の目的は、高密度ポリエチレン上に4−アセトキシスチレンをグラフトすることによりポリオレフィングラフトポリマーを調製することであった。
【0120】
ポリエチレンD(「アラトン(Alathon)」(登録商標)6060高密度ポリエチレン、密度0.965、メルトインデックス30、テキサス州ヒューストンのイクイスター(Equistar(Houston,TX)))(50g)を窒素雰囲気下で攪拌しつつ125℃で500mLのクロロベンゼンに溶解させた。その後、2gの4−アセトキシスチレン(テキサス州ダラスのデュポン・エレクトロニック・ポリマーズ(DuPont Electronic Polymers(Dallas,TX)))を10mLのクロロベンゼン中で添加した。5分後、20mLのクロロベンゼン中に0.5gのt−ブチルペルオキシド開始剤を含んでなるプレミックス溶液を約1時間にわたり滴下した。125℃での攪拌および加熱を4時間にわたり続け、2Lのアセトンに溶液を注ぐことによりポリマーを沈殿させた。ポリマーを濾過し、その後、新鮮なアセトンで洗浄した。空気乾燥後、一晩窒素パージしつつ真空炉内で70℃でポリマーを乾燥させた。回収された重量は50.23gであった。
【0121】
このグラフトポリマー(47g)を500mLのテトラヒドロフランと混合し、加熱して還流させた。混合物は乳白色に変わり、ポリマーが完全には溶解しなかったことを示した。混合物を冷却し、真空濾過して固形物を回収した。固形物を新鮮なテトラヒドロフランでリンスし、空気乾燥させ、その後、窒素パージしつつ70℃で一晩真空炉内で乾燥させた。回収された重量は46.59gであった。
【0122】
この抽出されたグラフトポリマーの厚さ18μmのフィルムのFTIRは、0.04吸光度単位の強度を有する1770cm−1でのアセトキシカルボニル帯域を含んでなった。H NMRによって、ポリマーは0.12モル%の4−アセトキシスチレンを含んでなることが判明した。
【0123】
実施例48
エチレン/アクリル酸コポリマー上への4−アセトキシスチレンのグラフティング
この実施例の目的は、エチレン/アクリル酸コポリマー上に4−アセトキシスチレンをグラフトすることによりポリオレフィングラフトポリマーを調製することであった。
【0124】
コポリマーB(「ヌクレル(Nucrel)」(登録商標)AN4309、エチレンとアクリル酸のコポリマー、アクリル酸21重量%、デュポン・ヌムール(E.I.du Pont de Nemours Co.)から購入した)(50g)を窒素雰囲気下で攪拌しつつ125℃で500mLのクロロベンゼンに溶解させた。その後、2gの4−アセトキシスチレン(テキサス州ダラスのデュポン・エレクトロニック・ポリマーズ(DuPont Electronic Polymers((Dallas,TX)))を10mLのクロロベンゼン中で添加した。5分後、20mLのクロロベンゼン中に0.5gのt−ブチルペルオキシド開始剤を含んでなるプレミックス溶液を約1時間にわたり滴下した。125℃での攪拌および加熱を4時間にわたり続けた。2Lのアセトンに溶液を注ぐことによりポリマーを沈殿させた。ポリマーを濾過し、その後、新鮮なアセトンで洗浄した。空気乾燥後、一晩窒素パージしつつ真空炉内で70℃でポリマーを乾燥させた。
【0125】
グラフトポリマー(20g)を500mLのアセトンと混合し、1時間にわたり還流させた。冷えると、固形物を濾過し、新鮮なアセトンでリンスし、放置して空気乾燥させ、その後、一晩窒素パージしつつ真空炉内で70℃で乾燥させた。FTIR分析は、アセトキシスチレンによる1769cm−1での小帯域の存在を確認した。H NMRによって、ポリマー中のアセトキシスチレンの量は0.11〜0.13モル%であると決定した。
【0126】
実施例49
エチレン/アクリル酸コポリマー上にグラフトされた4−アセトキシスチレンの脱アセチル化
この実施例の目的は、実施例48で調製されたエチレン/アクリル酸グラフトポリマー上の4−アセトキシスチレンを脱アセチル化して、ヒドロキシスチレングラフトポリマーをもたらすことであった。
【0127】
実施例48のグラフトポリマー(18g)を83mLの脱イオン水および7mLの水酸化アンモニウム溶液(アンモニア28〜30%)と混合し、加熱して還流させた。90分後、ポリマーを完全に分散させた。ポリマーのFTIR分析は、アセトキシ基がこのプロセスにおいて除去されており、ポリマー上にヒドロキシスチレンを残したことを示した。還流を約10時間続けた。得られた水性分散液を種々の基材の被覆において用いてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着特性が改善されたポリオレフィングラフトポリマーを製造する方法であって、
a)フェノールエステルを含んでなるポリオレフィングラフトポリマーの重合および形成を可能にするのに十分な温度で十分な時間にわたり、溶媒に溶解させた少なくとも1種のポリオレフィンを
(i)式(I)
【化1】


(式中、R=炭素原子数1〜20のアルキル基、またはフェニル)
で示した構造を有する第1のフェノールエステルモノマー化合物および
(ii)ラジカル開始剤
と接触させて反応混合物を形成する工程と、
(b)場合により(a)のポリオレフィングラフトポリマーを単離する工程と
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記ポリオレフィングラフトポリマー内に含まれる前記フェノールエステルは工程(b)後に場合により脱アシル化される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脱アシル化は、鹸化、酸触媒エステル交換反応および塩基触媒エステル交換反応よりなる群から選択された方法によって行われる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応混合物中のラジカル開始剤の濃度は前記ポリオレフィンポリマーの重量を基準にして約0.1重量%〜約4.0重量%である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)の前記反応混合物は少なくとも約60℃の温度で加熱される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応混合物は約60℃〜約180℃の温度に加熱される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応は約70℃未満の温度に前記反応混合物を冷却することにより終了する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応は少なくとも約6時間後に終了する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種のポリオレフィンは、ポリエチレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、ポリプロピレン、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマーおよびエチレン/酢酸ビニルコポリマーよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(a)の前記反応混合物は場合により第2のモノマー化合物を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のモノマー化合物は、スチレン、ジエンモノマー、アクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーよりなる群から選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ラジカル開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−アミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレートおよびエチル3,3−ジ−(t−アミルペルオキシ)ブチレートよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のフェノールエステルモノマー化合物はパラアセトキシスチレンである請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記反応混合物中のモノマーの濃度は前記ポリオレフィンポリマーの重量を基準にして約4重量%〜約20重量%である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒は不活性有機溶媒である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒は、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ハロゲン化炭化水素および極性非プロトン溶媒よりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項17】
接着特性が改善されたポリオレフィングラフトポリマーを製造する方法であって、
a)第1の溶媒中の少なくとも1種のポリオレフィンを式(I)
【化2】


(式中、R=炭素原子数1〜20のアルキル基、またはフェニル)
で示した構造を有する第1のフェノールエステルモノマー化合物と接触させて反応混合物を形成する工程と、
(b)過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−アミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレートおよびエチル3,3−ジ−(t−アミルペルオキシ)ブチレートよりなる群から選択されたラジカル開始剤と工程(a)の前記反応混合物を接触させる工程と、
(c)フェノールエステルを含んでなるポリオレフィングラフトポリマーの重合および形成を可能にするのに十分な時間にわたり約60℃から約180℃に工程(b)の前記混合物を加熱する工程と、
(d)工程(c)の前記混合物を約70℃未満の温度に冷却する工程と、
(e)工程(d)の前記混合物を第2の溶媒中で沈殿させる工程と、
(f)工程(e)の沈殿した混合物から前記第1の溶媒と前記第2の溶媒を分離する工程と、
(g)ポリオレフィングラフトポリマー内に含まれるフェノールエステルを場合により脱アシル化する工程と
を含んでなる方法。
【請求項18】
前記第1の溶媒中のポリオレフィンの濃度は約10wt/vol%である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記反応混合物中のラジカル開始剤の濃度は前記ポリオレフィンポリマーの重量を基準にして約0.1重量%〜約4.0重量%である請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1種のポリオレフィンは、ポリエチレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、ポリプロピレン、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマーおよびエチレン/酢酸ビニルコポリマーよりなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項21】
工程(a)の前記反応混合物は、場合により第2のモノマー化合物を含んでなる請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記第2のモノマー化合物は、スチレン、ジエンモノマー、アクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーよりなる群から選択される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のフェノール性モノマー化合物はパラアセトキシスチレンである請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記反応混合物中のモノマーの濃度は前記ポリオレフィンポリマーの重量を基準にして約4重量%〜約20重量%である請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の溶媒は、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ハロゲン化炭化水素および極性非プロトン溶媒よりなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の溶媒は、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、アミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項27】
ポリオレフィンにグラフトされたフェノールエステルモノマー化合物を含んでなるポリオレフィングラフトポリマー塗料を含んでなる被覆された基材であって、前記フェノールエステルモノマー化合物が式(I)
【化3】


(式中、R=炭素原子数1〜20のアルキル基、またはフェニル)
に示した構造を有する被覆された基材。
【請求項28】
前記ポリオレフィングラフトポリマー内に含まれる前記フェノールエステルは場合により脱アシル化される請求項27に記載の被覆された基材。
【請求項29】
前記ポリオレフィングラフトポリマーは請求項1または17に記載の方法によって製造される請求項27に記載の被覆された基材。
【請求項30】
前記ポリオレフィングラフトポリマーは溶融グラフティングまたは電離線を用いるグラフティングによって製造される請求項27に記載の被覆された基材。
【請求項31】
前記基材はポリマーまたは金属である請求項27に記載の被覆された基材。
【請求項32】
前記ポリオレフィングラフトポリマーは、基材から除去される時に約30g/cm〜約3000g/cmの剥離強度を有する請求項27に記載の被覆された基材。
【請求項33】
前記基材は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、フルオロポリマー、ナイロン、液晶ポリマー、スチール、銅およびアルミニウムよりなる群から選択される請求項31に記載の被覆された基材。
【請求項34】
前記塗料はポリオレフィングラフトポリマーと少なくとも1種の他のポリオレフィンとのブレンドを含んでなる請求項27に記載の被覆された基材。
【請求項35】
前記少なくとも1種の他のポリオレフィンは、ポリエチレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、ポリプロピレン、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマーおよびエチレン/酢酸ビニルコポリマーよりなる群から選択される請求項34に記載の被覆された基材。
【請求項36】
請求項27または28に記載の被覆された基材を含んでなる積層体。

【公表番号】特表2008−500439(P2008−500439A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515436(P2007−515436)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/018888
【国際公開番号】WO2005/118717
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】