説明

接続具

【課題】安全で、容易かつ迅速に操作を行うことができる接続具を提供する。
【解決手段】接続具1は、第1の薬剤容器100および第2の薬剤容器200が装着される薬剤側装着部材2と、薬剤側装着部材2に対して離脱可能に連結し、第1の液体容器300および第2の液体容器400が装着される液体側装着部材3と、薬剤側装着部材2から液体側装着部材3を離脱させる離脱機構8とを備えている。薬剤側装着部材2と液体側装着部材3とが連結した状態では、第1の接続部512と第3の接続部712とが接続し、第2の接続部522と第4の接続部722とが接続している。薬剤側装着部材2から液体側装着部材3を離脱させると、第1の接続部512および第2の接続部522が露出し、第1の接続部512および第2の接続部522に、それぞれ第1のシリンジおよび第2のシリンジの各外筒の縮径部が接続可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療機関等においては、例えば、患者に対し、点滴注射(輸液)を行う場合、癒着防止材や生体組織接着材等を投与する場合等において、薬剤を液体で希釈または溶解し、その薬液をシリンジで吸引して用いる場合がある。これらの操作は、下記のようにして行われる。
【0003】
まず、両頭針を備えた器具を用い、その両頭針の一方に、薬剤が収納された薬剤容器を接続し、他方に、液体が収納された液体容器を接続し、液体容器内の液体を薬剤容器内に移送する。これにより、薬剤容器内の薬剤が液体で希釈または溶解される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
次に、薬剤容器から両頭針を抜去し、先端に鋭利な針先を有する穿刺針が接続されたシリンジを用い、その穿刺針を薬剤容器の栓体に穿刺(刺通)し、薬剤容器内の薬液をシリンジの外筒内に吸引、充填する。
【0005】
しかしながら、このような従来の両頭針を備えた器具および穿刺針が接続されたシリンジを用いる手法では、穿刺針を薬剤容器の栓体に穿刺する操作が必要であるので、その操作の際、穿刺針で手指を誤って刺してしまう恐れがある。
【0006】
また、前記誤刺を防止するために、操作を慎重に行う必要があり、操作に手間と時間がかかるという欠点がある。
【0007】
【特許文献1】特開平6−239352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、安全で、容易かつ迅速に操作を行うことができる接続具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) 基端側に第1の接続部が設けられた中空の第1の薬剤側穿刺針および基端側に第2の接続部が設けられた中空の第2の薬剤側穿刺針を有し、薬剤が収納された第1の薬剤容器および第2の薬剤容器が装着される薬剤側装着部材と、
前記薬剤側装着部材に対して離脱可能に連結し、基端側に第3の接続部が設けられた中空の第1の液体側穿刺針および基端側に第4の接続部が設けられた中空の第2の液体側穿刺針を有し、薬剤を希釈または溶解する液体が収納された第1の液体容器および第2の液体容器が装着される液体側装着部材と、
前記薬剤側装着部材から前記液体側装着部材を離脱させる離脱機構とを備え、
前記薬剤側装着部材と前記液体側装着部材とが連結した状態で、前記第1の接続部と前記第3の接続部とが接続し、前記第2の接続部と前記第4の接続部とが接続し、
前記薬剤側装着部材から前記液体側装着部材を離脱させると、前記第1の接続部および前記第2の接続部が露出し、前記第1の接続部および前記第2の接続部に、それぞれ、互いに形状の異なる第1のシリンジおよび第2のシリンジの各外筒の先端部が接続可能となるよう構成されていることを特徴とする接続具。
【0010】
(2) 前記離脱機構は、変位可能に設けられた操作部材と、
前記操作部材の変位にともなって移動し、前記薬剤側部材と前記液体側部材とを互いに離反させる従動部材とを有する上記(1)に記載の接続具。
【0011】
(3) 前記薬剤側装着部材は、前記第1の薬剤容器および前記第2の薬剤容器を保持する薬剤容器ホルダと、
前記薬剤側保持部に対し、前記第1の薬剤側穿刺針および前記第2の薬剤側穿刺針の長手方向に移動可能に設置され、前記第1の薬剤側穿刺針および前記第2の薬剤側穿刺針を有する薬剤側コネクタとを備える上記(1)または(2)に記載の接続具。
【0012】
(4) 前記液体側装着部材は、前記第1の液体容器および前記第2の液体容器を保持する液体容器ホルダと、
前記液体側保持部に対し、前記第1の液体側穿刺針および前記第2の液体側穿刺針の長手方向に移動可能に設置され、前記第1の液体側穿刺針および前記第2の液体側穿刺針を有する液体側コネクタとを備える上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の接続具。
【0013】
(5) 前記第1の接続部と前記第2の接続部とに対する前記第1のシリンジと前記第2のシリンジとの誤接続を防止する第1の誤接続防止手段を有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の接続具。
【0014】
(6) 前記第1のシリンジの外筒と前記第2のシリンジの外筒とを保持し、前記第1のシリンジの外筒と前記第2のシリンジの外筒との位置関係を固定する保持部材を有する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の接続具。
【0015】
(7) 前記第1のシリンジは、前記第2のシリンジよりもその長手方向の長さが長く、
前記第1のシリンジの外筒と前記第2のシリンジの外筒とを、前記第1のシリンジの外筒の先端部が前記第2のシリンジの外筒の先端部よりも先端側に位置するように保持し、その位置関係を固定する保持部材を有し、
前記第1の薬剤側穿刺針と前記第2の薬剤側穿刺針とは、前記第1の接続部が前記第2の接続部よりも先端側に位置するように並設されており、これにより、前記第1の接続部と前記第2の接続部とに対する前記第1のシリンジと前記第2のシリンジとの誤接続が防止されるよう構成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の接続具。
【0016】
(8) 保持部材は、前記第1のシリンジの外筒と前記第2のシリンジの外筒とを、その長手方向における互いの基端部の位置が一致するように保持するよう構成されている上記(6)または(7)に記載の接続具。
【0017】
(9) 前記第1の薬剤容器および前記第2の薬剤容器のうちの少なくとも一方が、前記第1の薬剤側穿刺針および前記第2の薬剤側穿刺針のうちの不適正な方の穿刺針で穿刺されるのを防止する第2の誤接続防止手段を有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の接続具。
【0018】
(10) 前記第1の液体容器および前記第2の液体容器のうちの少なくとも一方が、前記第1の液体側穿刺針および前記第2の液体側穿刺針のうちの不適正な方の穿刺針で穿刺されるのを防止する第3の誤接続防止手段を有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の接続具。
【0019】
(11) 前記第1の接続部と前記第2の接続部とに対する前記第3の接続部と前記第4の接続部との誤接続を防止する第4の誤接続防止手段を有する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の接続具。
【0020】
(12) 前記第1のシリンジの押し子と前記第2のシリンジの押し子とを連結する連結部材を有する上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の接続具。
【0021】
(13) 前記連結部材は、前記第1のシリンジの押し子と前記第2のシリンジの押し子の基端部同士を連結し、操作部の機能を有するものであり、
前記連結部材を前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの長手方向に沿って移動させると、前記各押し子が同時に移動するよう構成されている上記(12)に記載の接続具。
【0022】
(14) 前記第1のシリンジの押し子を外筒に対して基端方向へ移動させたときの外筒に対する押し子の位置と、前記第2のシリンジの押し子を外筒に対して基端方向へ移動させたときの外筒に対する押し子の位置とを規制する規制部材を有する上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の接続具。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、薬剤側装着部材と液体側装着部材とが連結した状態では、第1の接続部と第3の接続部、第2の接続部と第4の接続部が、それぞれ接続しているので、第1の液体側穿刺針および第1の薬剤側穿刺針を介して、第1の液体容器内の液体を第1の薬剤容器内に導入し、第2の液体側穿刺針および第2の薬剤側穿刺針を介して、第2の液体容器内の液体を第2の薬剤容器内に導入することができる。
【0024】
そして、薬剤側装着部材から液体側装着部材を離脱させると、第1の接続部および第2の接続部が露出し、第1の接続部および第2の接続部に、それぞれ、第1のシリンジおよび第2のシリンジの各外筒の先端部が接続可能となるので、容易かつ迅速に、第1の薬剤容器内の薬剤を第1の液体容器内の液体で希釈または溶解してなる液体(薬液)および第2の薬剤容器内の薬剤を第2の液体容器内の液体で希釈または溶解してなる液体を、それぞれ、第1のシリンジおよび第2のシリンジの外筒内に充填することができる。
【0025】
また、先端に鋭利な針先を有する穿刺針が接続されたシリンジを用いることなく、前記操作(作業)を行うことができるので、安全性が高い。
また、離脱機構を備えているので、前記操作を容易かつ迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の接続具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の接続具は、複数の薬剤容器と、複数の液体容器とを装着し得るものであるが、下記の実施形態では、代表的に、2つ薬剤容器と、2つの液体容器とを装着し得るものについて説明する。
【0027】
<第1実施形態>
図1は、本発明の接続具の第1実施形態を示す斜視図、図2〜図6は、図1に示す接続具の作用を説明するための縦断面図、図7は、図1に示す接続具の作用を説明するための斜視図、図8は、図1に示す接続具の離脱機構の斜視図、図9は、図8中のA−A線での断面図、図10は、図1に示す接続具1に接続して用いられる第1のシリンジ(第2のシリンジも同様)の構成例を示す部分縦断面図である。
【0028】
なお、説明の都合上、図1〜図9中の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」という。また、図10中の上側を「上」、「基端」または「後端」、下側を「下」または「先端」という。
【0029】
また、図5および図6では、図面が煩雑になるのを避け、理解が容易になるように規制部材13を図示していない。
【0030】
また、図6と図7には、同じ状態が示されている。
これらの図に示すように、接続具1は、第1の薬剤容器100および第2の薬剤容器200が装着される薬剤側装着部材2と、薬剤側装着部材2に対して離脱可能(着脱可能)に連結し、第1の液体容器300および第2の液体容器400が装着される液体側装着部材3と、薬剤側装着部材2から液体側装着部材3を離脱させる離脱機構8とを備えている。
【0031】
接続具1の各構成要素について説明する前に、まず、第1の薬剤容器100、第2の薬剤容器200、第1の液体容器300および第2の液体容器400について説明する。
【0032】
第1の薬剤容器100、第2の薬剤容器200、第1の液体容器300および第2の液体容器400としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、バイアル瓶(バイアル)等を用いることができる。
【0033】
第1の薬剤容器100および第2の薬剤容器200内には、それぞれ、薬剤が収納(収容)されている。
【0034】
薬剤の形態としては、特に限定されず、例えば、固体(錠剤、顆粒剤等)、粉体(散剤等)、液体(液剤等)等が挙げられる。
【0035】
また、第1の薬剤容器100および第2の薬剤容器200内は、それぞれ、陰圧(負圧)になっている。
【0036】
一方、第1の液体容器300および第2の液体容器400内には、それぞれ、薬剤を希釈または溶解する、例えば、蒸留水等の液体が収納されている。
【0037】
次に、第1の薬剤容器100、第2の薬剤容器200、第1の液体容器300および第2の液体容器400の構成例について、バイアル瓶を用いた場合を説明するが、これら(特に、第1の薬剤容器100と第2の薬剤容器200、第1の液体容器300と第2の液体容器400)は、形状が異なること以外は、ほぼ同様の構成であるため、代表的に第1の薬剤容器100について説明する。
【0038】
図1および図2に示すように、第1の薬剤容器100は、硬質の瓶本体101を有している。瓶本体101は、その上側に、最も外径の小さい首部103を介して、ポート部開口が形成されたポート部102を有している。そのポート部102には、ポート部開口を気密的に封止する栓体104が装着されている。
【0039】
瓶本体101の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種ガラスや、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂等が挙げられる。また、ガラスと樹脂とでは、樹脂が好ましいく、瓶本体101が樹脂で構成されている場合には、焼却廃棄が可能となり、廃棄の手間が軽減される。なお、瓶本体101は、内部の視認性を確保するために、光透過性を有する(実質的に透明または半透明である)のが好ましい。
【0040】
栓体104は、第1の薬剤側穿刺針51で刺通可能なものであり、その構成材料としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
【0041】
ここで、第1の薬剤容器100と第2の薬剤容器200とは、その形状が互いに異なっている。本実施形態では、第1の薬剤容器100の容積は、第2の薬剤容器200の容積よりも大きい。すなわち、第1の薬剤容器100は、第2の薬剤容器200よりも、容器(瓶本体101)の高さが高く(長手方向の長さが長く)、かつ、瓶本体101、ポート部102および首部103の外径と、瓶本体101の内径とがそれぞれ大きい。
【0042】
また、第1の液体容器300と第2の液体容器400とは、その形状が互いに異なっている。本実施形態では、第1の液体容器300の容積は、第2の液体容器400の容積よりも大きい。すなわち、第1の液体容器300は、第2の液体容器400よりも、容器(瓶本体101)の高さが高く(長手方向の長さが長く)、かつ、瓶本体101、ポート部102および首部103の外径と、瓶本体101の内径とがそれぞれ大きい。
【0043】
次に、接続具1に接続して用いられる第1のシリンジ500および第2のシリンジ600の構成例について説明するが、第1のシリンジ500と第2のシリンジ600とは、形状が異なること以外は、ほぼ同様の構成であるため、代表的に第1のシリンジ500について説明する。
【0044】
図10に示すように、第1のシリンジ500は、外筒(シリンジ外筒)510と、外筒510内で摺動し得るガスケット540と、ガスケット540を外筒510の長手方向(軸方向)に沿って移動操作する押し子(プランジャロッド)560とを備えている。ガスケット540は、押し子560の先端(下側)に連結されている。
【0045】
外筒510は、有底筒状の部材で構成され、先端側底部の中央部には、外筒510の胴部に対し縮径した縮径部(口部)520が一体的に突出形成されている。すなわち、外筒510の先端部は、縮径部520である。
【0046】
外筒510の後端(基端)(上端)の外周には、フランジ530が一体的に形成されている。
また、外筒510の外周面には、液量を示す目盛りが付されている。
【0047】
外筒510の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であり、かつ水蒸気透過性が低い点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステルのような樹脂が好ましい。なお、外筒510は、内部の視認性を確保するために、光透過性を有する(実質的に透明または半透明である)のが好ましい。
【0048】
このような外筒510内には、弾性材料で構成されたガスケット540が収納されて(挿入されて)いる。ガスケット540の外周部には、複数(本実施形態では2つ)のリング状の突部が全周にわたって形成されており、これらの突部が外筒510の内周面に密着しつつ摺動することで、液密性をより確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。
【0049】
また、ガスケット540には、その後端面に開放する中空部550が形成されている。この中空部550は、後述する押し子560のヘッド部580が螺入(嵌入)される。中空部550の内面には、雌ネジが形成されている。
【0050】
ガスケット540の構成材料としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
【0051】
押し子560は、横断面が十文字状をなす棒状の本体部570を有している。
本体部570の先端側には、ガスケット540の中空部550内に挿入され、ガスケット540と連結されるヘッド部(連結部)580が形成されている。ヘッド部580の外周には、中空部550の内面の雌ネジと螺合し得る雄ネジが形成されている。この雄ネジを雌ネジと螺合することにより、ガスケット540と押し子560とが連結される。なお、ガスケット540と押し子560は、螺合による連結に限らず、例えば凹凸嵌合等により連結された構成、接着、融着等により固着された構成、一体成形された構成であってもよい。
【0052】
また、本体部570の後端(基端)側には、円盤状のフランジ590が形成されている。
【0053】
また、押し子560の構成材料としては、前述した外筒510の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0054】
この第1のシリンジ500は、接続具1の後述する第1の薬剤側穿刺針51の第1の接続部512に接続され、外筒510とガスケット540とで囲まれた空間(貯液空間)に、所定の液体、すなわち、第1の薬剤容器100内の薬剤を第1の液体容器300内の液体で希釈または溶解してなる第1の液体(第1の薬液)が、吸引され、充填される。
【0055】
また、第2のシリンジ600も、第1のシリンジ500と同様に、外筒510と、外筒510内で摺動し得るガスケット540と、ガスケット540を移動操作する押し子560とで構成され、接続具1の後述する第2の薬剤側穿刺針52の第2の接続部522に接続され、外筒510とガスケット540とで囲まれた空間(貯液空間)に、第2の薬剤容器200内の薬剤を第2の液体容器400内の液体で希釈または溶解してなる第2の液体(第2の薬液)が、吸引され、充填される。第2のシリンジ600は、第1のシリンジ500と形状が異なること以外は、各部の構成は同様であるため、その説明は省略する。
【0056】
第1のシリンジ500に充填される第1の液体と、第2のシリンジ600に充填される第2の液体とは、それらの組成(成分)が異なるものである。これら第1の液体および第2の液体は、それぞれ、例えば、用途、使用目的、症例等に応じて適宜選定される。
【0057】
ここで、第1のシリンジ500と第2のシリンジ600とは、その形状が互いに異なっている。本実施形態では、第1のシリンジ500の外筒510の容積は、第2のシリンジ600の外筒510の容積よりも大きい。すなわち、第1のシリンジ500は、第2のシリンジ600よりも、シリンジ(外筒510)の長手方向の長さが長く、かつ、外筒510の外径および内径がそれぞれ大きい。
【0058】
図1および図2に示すように、薬剤側装着部材2は、第1の薬剤容器100および第2の薬剤容器200を保持する薬剤容器ホルダ4と、第1の薬剤側穿刺針51および第2の薬剤側穿刺針52を有する薬剤側コネクタ5とを備えている。薬剤側コネクタ5は、薬剤容器ホルダ4の上側に配置され、その薬剤容器ホルダ4に対し、第1の薬剤側穿刺針51および第2の薬剤側穿刺針52の長手方向に移動可能に設置されている。
【0059】
また、液体側装着部材3は、第1の液体容器300および第2の液体容器400を保持する液体容器ホルダ6と、第1の液体側穿刺針71および第2の液体側穿刺針72を有する液体側コネクタ7とを備えている。液体側コネクタ7は、液体容器ホルダ6の下側に配置され、その液体容器ホルダ6に対し、第1の液体側穿刺針71および第2の液体側穿刺針72の長手方向に移動可能に設置されている。また、液体側コネクタ7は、薬剤側装着部材2の薬剤側コネクタ5の上側に配置され、その薬剤側コネクタ5に対して離脱可能に連結している。
【0060】
薬剤容器ホルダ4は、筒状をなすホルダ本体40を有しており、このホルダ本体40の内面には、第1の薬剤容器100を保持する保持部41と、第2の薬剤容器200を保持する保持部42とが形成されている。第1の薬剤容器100および第2の薬剤容器200は、それぞれ、ポート部102が上方を向くように保持される。
【0061】
ホルダ本体40と保持部41とは、一体的に形成されていてもよく、また、別部材を接着、融着等により固着した構成であってもよい。また、ホルダ本体40と保持部42とは、一体的に形成されていてもよく、また、別部材を接着、融着等により固着した構成であってもよい。
【0062】
ホルダ本体40の外面の上端部には、後述する薬剤側コネクタ5のコネクタ本体50の凹部501に係合する突起401が形成されている。
【0063】
また、保持部41および42は、それぞれ、環状をなしている。保持部41の内径は、第1の薬剤容器100の瓶本体101の外径およびポート部102の外径よりも小さく、かつ、首部103の外径と同じかまたは首部103の外径よりも若干大きく設定されている。薬剤容器ホルダ4に第1の薬剤容器100を装着する際は、保持部41に、その下側から第1の薬剤容器100のポート部102を挿入する。これにより、ポート部102と瓶本体101との間、すなわち首部103の外周に保持部41が位置し、その保持部41により、第1の薬剤容器100が保持される。
【0064】
同様に、保持部42の内径は、第2の薬剤容器200の瓶本体101の外径およびポート部102の外径よりも小さく、かつ、首部103の外径と同じかまたは首部103の外径よりも若干大きく設定されている。薬剤容器ホルダ4に第2の薬剤容器200を装着する際は、保持部42に、その下側から第2の薬剤容器200のポート部102を挿入する。これにより、ポート部102と瓶本体101との間、すなわち首部103の外周に保持部42が位置し、その保持部42により、第2の薬剤容器200が保持される。
【0065】
これら保持部41および42は、それぞれ、保持部41が保持部42よりも下側に位置するように配置されている。図示の構成では、保持部41および42は、それぞれ、薬剤容器ホルダ4の保持部41に第1の薬剤容器100が保持され、保持部42に第2の薬剤容器200が保持された状態で、第1の薬剤容器100のポート部102が第2の薬剤容器200のポート部102よりも下側に位置し、かつ、第1の薬剤容器100の瓶本体101の底部が第2の薬剤容器200の瓶本体101の底部よりも下側に位置するように配置されている。なお、保持部41が左側、保持部42右側に配置されている。
【0066】
ここで、前述したように、第1の薬剤容器100の首部103の外径は、第2の薬剤容器200の首部103の外径よりも大きいので、保持部41の内径は、保持部42の内径よりも大きく設定されており、これにより、保持部41に第2の薬剤容器200が保持されてしまうのを防止することができ、また、保持部42に第1の薬剤容器100が保持されてしまうのを防止することができる。これにより、後述する、第1の薬剤側穿刺針51および第2の薬剤側穿刺針52で、それぞれ第1の薬剤容器100の栓体104および第2の薬剤容器200の栓体104を刺通(穿刺)し、第1の液体側穿刺針71および第2の液体側穿刺針72で、それぞれ第1の液体容器300の栓体104および第2の液体容器400の栓体104を刺通(穿刺)する操作(以下、単に「刺通操作」と言う)の際、第1の薬剤容器100の栓体104および第2の薬剤容器200の栓体104をそれぞれ不適正な方の穿刺針で刺通してしまうのが防止され、適正な穿刺針で刺通することができる。したがって、保持部41および42により、第2の誤接続防止手段が構成される。
【0067】
なお、第2の誤接続防止手段は、第1の薬剤容器100および第2の薬剤容器200のうちの少なくとも一方が、第1の薬剤側穿刺針51および第2の薬剤側穿刺針52のうちの不適正な方の穿刺針で穿刺されるのを防止するように構成されていればよいので、例えば、保持部41に第2の薬剤容器200が保持されてしまうことのみが防止されるようになっていてもよく、また、保持部42に第1の薬剤容器100が保持されてしまうことのみが防止されるようになっていてもよい。
【0068】
また、保持部41および42には、それぞれ、上下方向の一端から他端まで延在するスリットが形成されていてもよい。これにより、薬剤容器ホルダ4に第1の薬剤容器100および第2の薬剤容器200を装着する際、それぞれ、保持部41に第1の薬剤容器100のポート部102を、保持部42に第2の薬剤容器200のポート部102を容易に挿入することができる。
【0069】
また、保持部41および42には、それぞれ、その環状をなす部分(環状部)の一部を切り欠いたような形状、例えば、C字状をなしていてもよい。この場合も、前記スリットを形成した場合と同様の効果が得られる。
【0070】
薬剤側コネクタ5は、筒状をなすコネクタ本体50と、コネクタ本体50の内側に位置し、そのコネクタ本体50に固定された第1の薬剤側穿刺針51および第2の薬剤側穿刺針52とを有している。コネクタ本体50と第1の薬剤側穿刺針51とは、一体的に形成されていてもよく、また、別部材を接着、融着等により固着した構成であってもよい。また、コネクタ本体50と第2の薬剤側穿刺針52とは、一体的に形成されていてもよく、また、別部材を接着、融着等により固着した構成であってもよい。
【0071】
コネクタ本体50の内面の下端部には、凹部501が形成されている。このコネクタ本体50は、ホルダ本体40の外側に同心的に配置され、ホルダ本体40の突起401がその凹部501に係合している。これにより、薬剤側コネクタ5と薬剤容器ホルダ4との位置関係が固定されるが、これらのうちの少なくとも一方に対し、上下方向に所定値以上の力が加わると、所定の各部材が弾性変形して、突起401と凹部501との係合が外れ、薬剤側コネクタ5と薬剤容器ホルダ4とが相対的に移動し得るようになっている。
【0072】
また、第1の薬剤側穿刺針51は、先端部(先端側)(下側)に鋭利な針先(刃先)511を有し、基端部(基端側)(上側)に第1の接続部512を有している。同様に、第2の薬剤側穿刺針52は、先端部(先端側)(下側)に鋭利な針先(刃先)521を有し、基端部(基端側)(上側)に第2の接続部522を有している。
【0073】
これら第1の薬剤側穿刺針51および第2の薬剤側穿刺針52は、それぞれ、先端側が下側、基端側が上側となるように配置されている。そして、第1の薬剤側穿刺針51と第2の薬剤側穿刺針52とは、針先511が針先521よりも先端側(下側)に位置し、かつ、第1の接続部512が第2の接続部522よりも先端側(下側)に位置するように並設されている。なお、第1の薬剤側穿刺針51が左側、第2の薬剤側穿刺針52が右側に配置されている。
【0074】
また、第1の薬剤側穿刺針51は、薬剤容器ホルダ4の保持部41に第1の薬剤容器100が保持された状態で、その第1の薬剤容器100の栓体104に対応する位置(栓体104の上方)に位置するように配置されている。同様に、第2の薬剤側穿刺針52は、薬剤容器ホルダ4の保持部42に第2の薬剤容器200が保持された状態で、その第2の薬剤容器200の栓体104に対応する位置(栓体104の上方)に位置するように配置されている。
【0075】
液体容器ホルダ6は、筒状をなすホルダ本体60を有しており、このホルダ本体60の内面には、第1の液体容器300を保持する保持部61と、第2の液体容器400を保持する保持部62とが形成されている。第1の液体容器300および第2の液体容器400は、それぞれ、ポート部102が下方を向くように保持される。
【0076】
ホルダ本体60と保持部61とは、一体的に形成されていてもよく、また、別部材を接着、融着等により固着した構成であってもよい。また、ホルダ本体60と保持部62とは、一体的に形成されていてもよく、また、別部材を接着、融着等により固着した構成であってもよい。
【0077】
ホルダ本体60の外面には、後述する液体側コネクタ7のコネクタ本体70の突起701が係合する凹部601および602が形成されている。凹部601は、ホルダ本体60の下端部に配置され、凹部602は、凹部601の上側に配置されている。
【0078】
また、保持部61および62は、それぞれ、環状をなしている。保持部61の内径は、第1の液体容器300の瓶本体101の外径およびポート部102の外径よりも小さく、かつ、首部103の外径と同じかまたは首部103の外径よりも若干大きく設定されている。液体容器ホルダ6に第1の液体容器300を装着する際は、保持部61に、その下側から第1の液体容器300のポート部102を挿入する。これにより、ポート部102と瓶本体101との間、すなわち首部103の外周に保持部61が位置し、その保持部61により、第1の液体容器300が保持される。
【0079】
同様に、保持部62の内径は、第2の液体容器400の瓶本体101の外径およびポート部102の外径よりも小さく、かつ、首部103の外径と同じかまたは首部103の外径よりも若干大きく設定されている。薬剤容器ホルダ6に第2の液体容器400を装着する際は、保持部62に、その下側から第2の液体容器400のポート部102を挿入する。これにより、ポート部102と瓶本体101との間、すなわち首部103の外周に保持部62が位置し、その保持部62により、第2の液体容器400が保持される。
【0080】
これら保持部61および62は、それぞれ、保持部61が左側、すなわち薬剤側コネクタ5の保持部41に対応する位置に位置し、保持部62が右側、すなわち薬剤側コネクタ5の保持部42に対応する位置に位置し、保持部61が保持部62よりも下側に位置するように配置されている。図示の構成では、保持部61および62は、それぞれ、液体容器ホルダ6の保持部61に第1の液体容器300が保持され、保持部62に第2の液体容器400が保持された状態で、第1の液体容器300のポート部102が第2の液体容器400のポート部102よりも下側に位置し、かつ、第1の液体容器300の瓶本体101の底部と第2の液体容器400の瓶本体101の底部との、第1の液体側穿刺針71および第2の液体側穿刺針72の長手方向の位置(高さ)が一致するように配置されている。
【0081】
前記第1の液体容器300の瓶本体101の底部と第2の液体容器400の瓶本体101の底部との長手方向の位置が一致していることにより、後述する、第1の薬剤側穿刺針51および第2の薬剤側穿刺針52で、それぞれ第1の薬剤容器100の栓体104および第2の薬剤容器200の栓体104を刺通(穿刺)し、第1の液体側穿刺針71および第2の液体側穿刺針72で、それぞれ第1の液体容器300の栓体104および第2の液体容器400の栓体104を刺通(穿刺)する操作を容易に行うことができる。
【0082】
ここで、前述したように、第1の液体容器300の首部103の外径は、第2の液体容器400の首部103の外径よりも大きいので、保持部61の内径は、保持部62の内径よりも大きく設定されており、これにより、保持部61に第2の液体容器400が保持されてしまうのを防止することができ、また、保持部62に第1の液体容器300が保持されてしまうのを防止することができる。これにより、後述する刺通操作の際、第1の液体容器300の栓体104および第2の液体容器400の栓体104をそれぞれ不適正な方の穿刺針で刺通してしまうのが防止され、適正な穿刺針で刺通することができる。したがって、保持部61および62により、第3の誤接続防止手段が構成される。
【0083】
なお、第3の誤接続防止手段は、第1の液体容器300および第2の液体容器400のうちの少なくとも一方が、第1の液体側穿刺針71および第2の液体側穿刺針72のうちの不適正な方の穿刺針で穿刺されるのを防止するように構成されていればよいので、例えば、保持部61に第2の液体容器400が保持されてしまうことのみが防止されるようになっていてもよく、また、保持部62に第1の液体容器300が保持されてしまうことのみが防止されるようになっていてもよい。
【0084】
また、保持部61および62には、それぞれ、上下方向の一端から他端まで延在するスリットが形成されていてもよい。これにより、液体容器ホルダ6に第1の液体容器300および第2の液体容器400を装着する際、それぞれ、保持部61に第1の液体容器300のポート部102を、保持部62に第2の液体容器400のポート部102を容易に挿入することができる。
【0085】
また、保持部61および62には、それぞれ、その環状をなす部分(環状部)の一部を切り欠いたような形状、例えば、C字状をなしていてもよい。この場合も、前記スリットを形成した場合と同様の効果が得られる。
【0086】
液体側コネクタ7は、筒状をなすコネクタ本体70と、コネクタ本体70の内側に位置し、そのコネクタ本体70に固定された第1の液体側穿刺針71および第2の液体側穿刺針72とを有している。コネクタ本体70と第1の液体側穿刺針71とは、一体的に形成されていてもよく、また、別部材を接着、融着等により固着した構成であってもよい。また、コネクタ本体70と第2の液体側穿刺針72とは、一体的に形成されていてもよく、また、別部材を接着、融着等により固着した構成であってもよい。
【0087】
コネクタ本体70の内面の上端部には、突起701が形成されている。このコネクタ本体70は、ホルダ本体60の外側に同心的に配置され、その突起701がホルダ本体60の凹部601に係合している。これにより、液体側コネクタ7と液体容器ホルダ6との位置関係が固定されるが、これらのうちの少なくとも一方に対し、上下方向に所定値以上の力が加わると、所定の各部材が弾性変形して、突起701と凹部601との係合が外れ、液体側コネクタ7と液体容器ホルダ6とが相対的に移動し得るようになっている。
【0088】
また、第1の液体側穿刺針71は、先端部(先端側)(上側)に鋭利な針先(刃先)711を有し、基端部(基端側)(下側)に第3の接続部712を有している。同様に、第2の液体側穿刺針72は、先端部(先端側)(上側)に鋭利な針先(刃先)721を有し、基端部(基端側)(下側)に第4の接続部722を有している。
【0089】
これら第1の液体側穿刺針71および第2の液体側穿刺針72は、それぞれ、前記第1の薬剤側穿刺針51および第2の薬剤側穿刺針52と上下方向が反対、すなわち、先端側が上側、基端側が下側となるように配置されている。そして、第1の液体側穿刺針71と第2の液体側穿刺針72とは、針先711が針先721よりも基端側(下側)に位置し、かつ、第3の接続部712が第4の接続部722よりも基端側(下側)に位置するように並設されている。なお、第1の液体側穿刺針71が左側、第2の液体側穿刺針72が右側に配置されている。
【0090】
また、第1の液体側穿刺針71は、液体容器ホルダ6の保持部61に第1の液体容器300が保持された状態で、その第1の液体容器300の栓体104に対応する位置(栓体104の下方)で、かつ、第1の薬剤側穿刺針51に対応する位置に位置するように配置されている。同様に、第2の液体側穿刺針72は、液体容器ホルダ6の保持部62に第2の液体容器400が保持された状態で、その第2の液体容器400の栓体104に対応する位置(栓体104の下方)で、かつ、第2の薬剤側穿刺針52に対応する位置に位置するように配置されている。
【0091】
前記第1の薬剤側穿刺針51の第1の接続部512には、第1の液体側穿刺針71の第3の接続部712と、第1のシリンジ500の外筒510の先端部である縮径部520とが、選択的に接続し得るようになっている。同様に、前記第2の薬剤側穿刺針52の第2の接続部522には、第2の液体側穿刺針72の第4の接続部722と、前記第1のシリンジ500と形状の異なる第2のシリンジ600の外筒510の先端部である縮径部520とが、選択的に接続し得るようになっている。
【0092】
すなわち、図2に示すように、薬剤側装着部材2と液体側装着部材3とが連結した状態(連結状態)では、第1の薬剤側穿刺針51の第1の接続部512と第1の液体側穿刺針71の第3の接続部712とが接続し、第2の薬剤側穿刺針52の第2の接続部522と第2の液体側穿刺針72の第4の接続部722とが接続している。
【0093】
そして、図4に示すように、薬剤側装着部材2から液体側装着部材3を離脱させると、第1の接続部512および第2の接続部522が露出し、第1の接続部512および第2の接続部522に、それぞれ、第1のシリンジ500および第2のシリンジ600の各外筒510の縮径部520が接続可能となる。
【0094】
ここで、前述したように、第1の薬剤側穿刺針51の第1の接続部512は、第2の薬剤側穿刺針52の第2の接続部522よりも下側に位置し、第1の液体側穿刺針71の第3の接続部712は、第2の液体側穿刺針72の第4の接続部722よりも下側に位置しているので、接続具1を組み立てる際(液体側コネクタ7と薬剤側コネクタ5とを連結する際)において、第1の接続部512と第3の接続部712とを接続し、第2の接続部522と第4の接続部722とを接続する際、第1の接続部512と第2の接続部522とに対する第3の接続部712と第4の接続部722との誤接続を防止することができる。したがって、第1の接続部512を第2の接続部522よりも下側に配置し、第3の接続部712を第4の接続部722よりも下側に配置する構成(構造)により、第4の誤接続防止手段が構成される。
【0095】
なお、第4の誤接続防止手段として、第1の接続部512および第3の接続部712の径(一方が内径、他方が外径)と、第2の接続部522および第4の接続部722の径(一方が内径、他方が外径)とを互いに異なるように設定し、第1の接続部512と第4の接続部722とが接続することができず、第2の接続部522と第3の接続部712とが接続することができないように構成してもよい。
【0096】
また、図1、図2、図8および図9に示すように、離脱機構8は、薬剤側装着部材2の薬剤側コネクタ5に対し、移動(変位)可能に設けられた操作ボタン(操作部材)81と、操作ボタン81の移動にともなって上昇(移動)し、薬剤側装着部材2と液体側装着部材3とを互いに離反させる従動部材82とを有している。なお、図2中の離脱機構8の部分は、図8中のB−B線での断面図に相当する。但し、図8には、従動部材82が上昇した状態が示されている。
【0097】
操作ボタン81は、棒状(図示の構成では、四角柱状)をなしている。この操作ボタン81は、その長手方向が図2の紙面に対して垂直な方向(前後方向)となり、薬剤側コネクタ5に対し、前記長手方向に移動可能で、その他の方向には移動不能となるように設置されている。
【0098】
また、操作ボタン81には、従動部材82の後述する軸部823が挿入される溝811が形成されている。図9に示す操作ボタン81の断面における溝811は、操作ボタン81の図9中の中央部から右斜め上方に向かって延在し、上端部に開放している。なお、図9中の右側が、正面側(図1および図2の紙面に対して手前側)であり、図9中の左側が、背面側(図1および図2の紙面に対して奥側)である。
【0099】
また、従動部材82は、棒状(図示の構成では、円柱状)をなす軸部(摺動部)823と、軸部823の右側の端部に設けられ、管状をなす支持部821と、軸部823の左側の端部に設けられ、管状をなす支持部822とで構成されている。支持部821は、第1の薬剤側穿刺針51および第1の液体側穿刺針71に対応する位置に配置されている。また、支持部822は、第2の薬剤側穿刺針52および第2の液体側穿刺針72に対応する位置であって、支持部821よりも上側に配置されている。
【0100】
各支持部821、822の上端部の内径は、それぞれ、それよりも下側の部分に対して縮径しており、これにより、各支持部821、822の内側の上端部に、それぞれ、段差部が形成されている。
【0101】
図2に示すように、薬剤側装着部材2と液体側装着部材3とが連結した状態では、従動部材82の軸部823は、図9(a)に示すように、操作ボタン81の溝811の底部812に位置している。また、従動部材82の支持部821は、図2に示すように、第1の薬剤側穿刺針51と第1の液体側穿刺針71との間に介在し、支持部822は、第2の薬剤側穿刺針52と第2の液体側穿刺針72との間に介在している。すなわち、第1の薬剤側穿刺針51の第1の接続部512は、支持部821にその下側から挿入され、第1の液体側穿刺針71の第3の接続部712は、支持部821にその上側から挿入され、これら第1の接続部512と第3の接続部712とが接続している。同様に、第2の薬剤側穿刺針52の第2の接続部522は、支持部822にその下側から挿入され、第2の液体側穿刺針72の第4の接続部722は、支持部822にその上側から挿入され、これら第2の接続部522と第4の接続部722とが接続している。
【0102】
操作ボタン81を図9中の左側に押し、その操作ボタン81を図9中の左側に移動させると、従動部材82の軸部823は、溝811内の斜面813に沿って摺動(移動)し、これにより、図9(b)に示すように、従動部材82が上昇する。これによって、従動部材82の支持部821および822により、第1の液体側穿刺針71および第2の液体側穿刺針72がそれぞれ押し上げられ、第1の接続部512と第3の接続部712との接続と、第2の接続部522と第4の接続部722との接続とが、それぞれ外れ、薬剤側装着部材2の薬剤側コネクタ5から液体側装着部材3の液体側コネクタ7が離脱する。そして、図4に示すように、薬剤側装着部材2から液体側装着部材3を取り外すと、第1の接続部712および第2の接続部722が露出する。
【0103】
なお、操作ボタン81は、薬剤側装着部材2側に限らず、例えば、液体側装着部材3側に設けられていてもよい。
【0104】
また、図5〜図7に示すように、接続具1は、第1のシリンジ500の外筒510と第2のシリンジ600の外筒510とを保持し、第1のシリンジ500の外筒510と第2のシリンジ600の外筒510との位置関係を固定する保持部材11を有している。これにより、第1のシリンジ500と第2のシリンジ600とを一体的(同時)に取り扱うことができる。
【0105】
保持部材11は、第1のシリンジ500の外筒510の基端部、すなわちフランジ530に係合する係合部111と、第2のシリンジ600の外筒510の基端部、すなわちフランジ530に係合する係合部112と、係合部111と係合部112との間に配置され、後述する規制部材13の取付部133が圧入される穴部113とを有しており、各係合部111および112が対応するフランジ530に係合することにより、第1のシリンジ500の外筒510と第2のシリンジ600の外筒510とを、その長手方向における互いのフランジ530の位置が一致するように保持するよう構成されている。この場合、前述したように、第1のシリンジ500の外筒510は、第2のシリンジ600の外筒510よりもその長手方向の長さが長いので、第1のシリンジ500の外筒510の縮径部520が第2のシリンジ600の外筒510の縮径部520よりも先端側(下側)に位置する。なお、第1のシリンジ500の押し子560および第2のシリンジ600の押し子560をそれぞれ最先端に位置させた状態で、第1のシリンジ500と第2のシリンジ600の長手方向における互いの押し子560のフランジ590の位置は、一致している。
【0106】
ここで、前述したように、第1の薬剤側穿刺針51の第1の接続部512は、第2の薬剤側穿刺針52の第2の接続部522よりも先端側(下側)に位置し、第1のシリンジ500の外筒510の縮径部520は、第2のシリンジ600の外筒510の縮径部520よりも先端側に位置しているので、第1の接続部512に第1のシリンジ500の外筒510の縮径部520を接続し、第2の接続部522に第2のシリンジ600の外筒510の縮径部520を接続する際、第1の接続部512と第2の接続部522とに対する第1のシリンジ500と第2のシリンジ600との誤接続を防止することができる。したがって、第1の接続部512を第2の接続部522よりも先端側に配置する構成(構造)と、保持部材11とにより、第1の誤接続防止手段が構成される。
【0107】
なお、第1の誤接続防止手段として、第1の接続部512および第1のシリンジ500の外筒510の縮径部520の径(一方が内径、他方が外径)と、第2の接続部522および第2のシリンジ600の外筒510の縮径部520の径(一方が内径、他方が外径)とを互いに異なるように設定し、第1の接続部512と第2のシリンジ600の外筒510の縮径部520とが接続することができず、第2の接続部522と第1のシリンジ500の外筒510の縮径部520とが接続することができないように構成してもよい。
【0108】
また、図5〜図7に示すように、接続具1は、第1のシリンジ500の押し子560と第2のシリンジ600の押し子560とを連結する連結部材12を有している。
【0109】
連結部材12は、第1のシリンジ500の押し子560の基端部、すなわちフランジ590に係合する係合部121と、第2のシリンジ600の押し子560の基端部、すなわちフランジ590に係合する係合部122とを有しており、各係合部121および122が対応するフランジ590に係合することにより、第1のシリンジ500の押し子560と第2のシリンジ600の押し子560のフランジ590同士を連結するよう構成されている。
【0110】
この連結部材12は、操作部の機能も有しており、例えば、連結部材12を手指で把持するか、または、連結部材12に手指を引っ掛けて、その連結部材12を第1のシリンジ500および第2のシリンジ600の長手方向に沿って移動させると、各押し子560が同時に移動する。すなわち、連結部材12を基端方向へ移動させると、各押し子560は、同時に基端方向へ移動する。このように、第1のシリンジ500の押し子560と、第2のシリンジ600の押し子560とを、一体的に操作することができ、これにより、作業を迅速に行うことができる。
【0111】
また、図7に示すように、接続具1は、第1のシリンジ500の押し子560を外筒510に対して基端方向へ移動させたときの外筒510に対する押し子560の位置と、第2のシリンジ600の押し子560を外筒510に対して基端方向へ移動させたときの外筒510に対する押し子560の位置とを規制する規制部材(ストッパ)13を有している。
【0112】
規制部材13は、第1のシリンジ500の押し子560の先端部またはガスケット540に当接し得る当接部131と、第2のシリンジ600の押し子560の先端部またはガスケット540に当接し得る当接部132と、取付部133とを有している。図示の構成では、当接部131および132は、それぞれ、第1のシリンジ500および第2のシリンジ600の押し子560の先端部に当接し得るようになっており、以下、代表的に、この構成例を説明する。
【0113】
規制部材13の当接部131は、第1のシリンジ500の外筒510内にその基端側から挿入され、当接部132は、第2のシリンジ600の外筒510内にその基端側から挿入されている。また、取付部133は、当接部131と当接部132との間に配置されており、保持部材11の穴部113に圧入されることにより、保持部材11に取り付けられる(固定される)。これにより、規制部材13は、保持部材11を介して、第1のシリンジ500の外筒510および第2のシリンジ600の外筒510に取り付けられる。
【0114】
また、規制部材13は、第1のシリンジ500の押し子560と第2のシリンジ600の押し子560とを基端方向へ移動させたとき、当接部131の先端部(下側の端部)が第1のシリンジ500の押し子560の先端部に当接し、これと同時に当接部132の先端部(下側の端部)が第2のシリンジ600の押し子560の先端部に当接するように、当接部131および132の寸法(長手方向の長さ)等の諸条件が設定されている。
【0115】
すなわち、この規制部材13では、当接部131の先端部が第1のシリンジ500の押し子560の先端部に当接することにより、その押し子560の位置が規制され、当接部132の先端部が第2のシリンジ600の押し子560の先端部に当接することにより、その押し子560の位置が規制される。これにより、第1のシリンジ500の外筒510内に吸引(充填)される第1の液体の量および第2のシリンジ500の外筒510内に吸引される第2の液体の量がそれぞれ規制される。
【0116】
なお、接続具1は、連結部材12を有しており、第1のシリンジ500の押し子560と第2のシリンジ600の押し子560とが同時に移動するようになっているので、当接部131と当接部132とのうちのいずれか一方を省略してもよい。
【0117】
前記薬剤容器ホルダ4、薬剤側コネクタ5、液体容器ホルダ6、液体側コネクタ7、操作ボタン81、従動部材82、保持部材11、連結部材12および規制部材13は、それぞれ、硬質材料で構成されているものでもよく、また、軟質材料で構成されているものでもよい。但し、第1の薬剤側穿刺針51、第2の薬剤側穿刺針52、第1の液体側穿刺針71および第2の液体側穿刺針72は、それぞれ、硬質材料で構成されているのが好ましい。また、保持部42、43、62および63は、それぞれ、軟質材料で構成されているのが好ましい。剤容器ホルダ4、薬剤側コネクタ5、液体容器ホルダ6、液体側コネクタ7、操作ボタン81、従動部材82、保持部材11、連結部材12および規制部材13の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種の軟質または硬質樹脂、ステンレス鋼、アルミニウム、銅または銅系合金等の各種金属材料、各種ガラス、アルミナ、シリカ等の各種セラミックスが挙げられる。
【0118】
次に、接続具1の作用(接続具1を使用する際の手順)を説明する。
図2に示すように、初期状態では、薬剤側装着部材2と液体側装着部材3とが連結した状態になっており、第1の薬剤側穿刺針51の第1の接続部512と第1の液体側穿刺針71の第3の接続部712とが接続し、第2の薬剤側穿刺針52の第2の接続部522と第2の液体側穿刺針72の第4の接続部722とが接続している。
【0119】
まずは、例えば、第1の液体容器300および第2の液体容器400の底面に手のひらを置き、それらを下方に向けて押し込む。なお、この操作は、第1の液体容器300および第2の液体容器400を液体容器ホルダ6とともに把持して行うこともできる。
【0120】
これにより、図3に示すように、液体側コネクタ7の突起701と液体容器ホルダ6の凹部601との係合が外れ、液体容器ホルダ6が液体側コネクタ7に対して下方に移動し、第1の液体側穿刺針71が第1の液体容器300の栓体104を刺通するとともに、第2の液体側穿刺針72が第2の液体容器400の栓体104を刺通する。なお、液体側コネクタ7の突起701は、液体容器ホルダ6の凹部602に係合する。
【0121】
また、薬剤容器ホルダ4の突起401と薬剤側コネクタ5の凹部501との係合が外れ、薬剤側コネクタ5が薬剤容器ホルダ4に対して下方に移動し、第1の薬剤側穿刺針51が第1の薬剤容器100の栓体104を刺通するとともに、第2の薬剤側穿刺針52が第2の薬剤容器200の栓体104を刺通する。
【0122】
これにより、第1の薬剤側穿刺針51および第1の液体側穿刺針71を介して、第1の薬剤容器100の内部と第1の液体容器300の内部とが連通するとともに、第2の薬剤側穿刺針52および第2の液体側穿刺針72を介して、第2の薬剤容器200の内部と第2の液体容器400の内部とが連通する。
【0123】
第1の薬剤容器100および第2の薬剤容器200内は、それぞれ、陰圧になっているので、第1の液体容器300内の液体は、第1の薬剤容器100側に引かれ、第1の液体側穿刺針71および第1の薬剤側穿刺針51を経て、第1の薬剤容器100内に流入する。同様に、第2の液体容器400内の液体は、第2の薬剤容器200側に引かれ、第2の液体側穿刺針72および第2の薬剤側穿刺針52を経て、第2の薬剤容器200内に流入する。
【0124】
次に、接続具1を数回振る。これにより、第1の薬剤容器100内の薬剤および第2の薬剤容器200内の薬剤は、それぞれ、流入した液体で希釈または溶解され、第1の薬剤容器100および第2の薬剤容器200内に、それぞれ、第1の液体および第2の液体が収納された状態となる。
【0125】
次に、図9に示すように、離脱機構8の操作ボタン81を左側に押し、その操作ボタン81を左側に移動させる。
【0126】
これにより、従動部材82の軸部823は、溝811内の斜面813に沿って摺動し、図9(b)に示すように、従動部材82が上昇する。これによって、従動部材82の支持部821および822(図3参照)により、第1の液体側穿刺針71および第2の液体側穿刺針72がそれぞれ押し上げられ、第1の接続部512と第3の接続部712との接続と、第2の接続部522と第4の接続部722との接続とが、それぞれ外れ、薬剤側装着部材2の薬剤側コネクタ5から液体側装着部材3の液体側コネクタ7が離脱する。
【0127】
次に、薬剤側装着部材2から液体側装着部材3を取り外し、第1の接続部512および第2の接続部522を露出させる(図4参照)。
【0128】
このようにして、容易かつ迅速に、液体側装着部材を薬剤側装着部材2から離脱させることができ、第1の接続部712および第2の接続部722を露出させることができる。
【0129】
次に、操作ボタン81を前記と反対側から右側に押し、その操作ボタン81を右側に移動させる。これにより、従動部材82の軸部823は、溝811内の斜面813に沿って摺動し、図9(a)に示すように、従動部材82が下降する。これによって、図4に示すように、離脱機構8は、前記初期状態のときの状態に戻る。なお、この操作は、直接、従動部材82を下方に向けて押し込むことで行うこともでき、また、省略してもよい。
【0130】
次に、図5に示すように、第1のシリンジ500の縮径部520を、支持部821を介して、第1の薬剤側穿刺針51の第1の接続部512に接続するとともに、第2のシリンジ600の縮径部520を、支持部822を介して、第2の薬剤側穿刺針52の第2の接続部522に接続する。
【0131】
これにより、第1の薬剤側穿刺針51を介して、第1の薬剤容器100の内部と第1のシリンジ500の外筒510の内部とが連通するとともに、第2の薬剤側穿刺針52を介して、第2の薬剤容器200の内部と第2のシリンジ600の外筒510の内部とが連通する。
【0132】
なお、前述したように、第1の接続部512は、第2の接続部522よりも先端側(下側)に位置し、第1のシリンジ500の外筒510の縮径部520は、第2のシリンジ600の外筒510の縮径部520よりも先端側に位置しているので、第1の接続部512と第2の接続部522とに対する第1のシリンジ500と第2のシリンジ600との誤接続を容易かつ確実に防止することができる。
【0133】
次に、図6に示すように、例えば、連結部材12を手指で把持するか、または、連結部材12に手指を引っ掛けて、その連結部材12を基端方向へ引っ張り、移動させる。これにより、第1のシリンジ500の押し子560(ガスケット540)と第2のシリンジ600の押し子560(ガスケット540)とが同時に基端方向へ移動し、これによって、第1の薬剤容器100内の第1の液体は、第1の薬剤側穿刺針51を経て、第1のシリンジ500の外筒510の内に吸引され、流入し、同様に、第2の薬剤容器200内の第2の液体は、第2の薬剤側穿刺針52を経て、第2のシリンジ600の外筒510の内に吸引され、流入する。
【0134】
この際、図7に示すように、規制部材13の当接部131の先端部および当接部132の先端部が、それぞれ、第1のシリンジ500および第2のシリンジ600の押し子560の先端部に当接し、各押し子560(ガスケット540)は、所定位置で停止する。これにより、第1のシリンジ500および第2のシリンジ600の外筒510内に、それぞれ、目標量の第1の液体および第2の液体が充填される。
【0135】
次に、離脱機構8の操作ボタン81を左側に押し、その操作ボタン81を左側に移動させる。
【0136】
これにより、前述したように、従動部材82が上昇し、これによって、従動部材82の支持部821および822により、第1のシリンジ500および第2のシリンジ600の外筒510がそれぞれ押し上げられ、第1のシリンジ500の縮径部520と第1の接続部512との接続と、第2のシリンジ600の縮径部520と第2の接続部522との接続とが、それぞれ外れ、薬剤側装着部材2の薬剤側コネクタ5から第1のシリンジ500および第2のシリンジ600がそれぞれ離脱する。このようにして、第1のシリンジ500および第2のシリンジ600を薬剤側装着部材2から容易かつ迅速に離脱させることができる。
【0137】
以上の操作により、第1の液体が充填された第1のシリンジ500および第2の液体が充填された第2のシリンジ600が得られる。
【0138】
以上説明したように、この接続具1によれば、容易かつ迅速に、第1の液体容器300内の液体を第1の薬剤容器100内に導入し、第2の液体容器400内の液体を第2の薬剤容器200内に導入することができ、第1の薬剤容器100内の薬剤を第1の液体容器300内の液体で希釈または溶解してなる第1の液体および第2の薬剤容器200内の薬剤を第2の液体容器400内の液体で希釈または溶解してなる第2の液体を、それぞれ、第1のシリンジ500および第2のシリンジ600の外筒510内に充填することができる。
【0139】
また、先端に鋭利な針先を有する穿刺針が接続されたシリンジを用いることなく、前記操作(作業)を行うことができるので、安全性が高い。
【0140】
なお、本発明では、第1〜第4の誤接続防止手段としては、それぞれ、本実施形態で述べた構成のものには限定されず、その他、例えば、下記の構成のものが挙げられる。
【0141】
すなわち、第1の接続部512(第1の薬剤側穿刺針51)と第1のシリンジ500とに、同一の色を付し、第2の接続部522(第1の薬剤側穿刺針52)と第2のシリンジ600とに、同一の色で、前記第1の接続部512および第1のシリンジ500に付した色とは異なる色で、かつ、同一の色を付すことにより、第1の誤接続防止手段を構成してもよい。
【0142】
また、保持部41と第1の薬剤容器100とに、同一の色を付し、保持部42と第2の薬剤容器200とに、同一の色で、前記保持部41および第1の薬剤容器100に付した色とは異なる色を付すことにより、第2の誤接続防止手段を構成してもよい。
【0143】
また、保持部61と第1の液体容器300とに、同一の色を付し、保持部62と第2の液体容器400とに、同一の色で、前記保持部61および第1の液体容器300に付した色とは異なる色を付すことにより、第3の誤接続防止手段を構成してもよい。
【0144】
また、第1の接続部512(第1の薬剤側穿刺針51)と第3の接続部712(第1の液体側穿刺針71)とに、同一の色を付し、第2の接続部522(第2の薬剤側穿刺針52)と第4の接続部722(第2の液体側穿刺針72)とに、同一の色で、前記第1の接続部512および第3の接続部712に付した色とは異なる色を付すことにより、第4の誤接続防止手段を構成してもよい。
【0145】
このような色分けを行う場合は、第1の接続部512(第1の薬剤側穿刺針51)、第3の接続部712(第1の液体側穿刺針71)、保持部41、保持部61、第1のシリンジ500、第1の薬剤容器100および第1の液体容器300に、すべて、同一の色を付し、第2の接続部522(第2の薬剤側穿刺針52)、第4の接続部722(第2の液体側穿刺針72)、保持部42、保持部62、第2のシリンジ600、第2の薬剤容器200および第2の液体容器400に、すべて、同一の色で、前記第1の接続部512、第3の接続部712、保持部41、保持部61、第1のシリンジ500、第1の薬剤容器100および第1の液体容器300に付した色とは異なる色を付すのが好ましい。
【0146】
また、第1〜第4の誤接続防止手段として、それぞれ、本実施形態で述べた構成のものと、前記色分けによるものとの両方を設けてもよい。
【0147】
<第2実施形態>
図11は、本発明の接続具の第2実施形態を示す斜視図である。なお、説明の都合上、図11中の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」という。
【0148】
以下、本発明の接続具の第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0149】
第2実施形態は、離脱機構8の操作部材の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0150】
図11に示すように、接続具1は、離脱機構8の操作部材として、薬剤側装着部材2の薬剤側コネクタ5に対し、回動可能に設置された操作レバー83を有している。操作レバー83を図11中の反時計回りに所定角度回転させると、前記第1実施形態と同様に、従動部材82が上昇し、これにより、薬剤側装着部材2(薬剤側コネクタ5)から液体側装着部材3(液体側コネクタ7)が離脱する。
【0151】
そして、この状態から、操作レバー83を図11中の時計回りに所定角度回転させると、前記第1実施形態と同様に、従動部材82が下降する。
この接続具1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0152】
なお、本発明では、離脱機構8の操作部材は、操作レバー83や操作ボタン81に限定されないことは、言うまでもない。
【0153】
以上、本発明の接続具を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0154】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0155】
また、前記実施形態では、薬剤側穿刺針の数と、液体側穿刺針の数と、装着される薬剤容器の数と、装着される液体容器の数と、薬剤側装着部材から液体側装着部材を離脱させた状態で薬剤側穿刺針の接続部に接続可能となるシリンジの数とは、それぞれ、2つであるが、本発明では、これに限らず、3つ以上でもよい。
【0156】
すなわち、本発明では、薬剤側装着部材は、基端側に接続部が設けられた3以上の薬剤側穿刺針を有し、薬剤が収納された3以上の薬剤容器が装着されるよう構成され、また、液体側装着部材は、基端側に接続部が設けられた3以上の液体側穿刺針を有し、液体が収納された3以上の液体容器が装着されるよう構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の接続具の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す接続具の作用を説明するための縦断面図である。
【図3】図1に示す接続具の作用を説明するための縦断面図である。
【図4】図1に示す接続具の作用を説明するための縦断面図である。
【図5】図1に示す接続具の作用を説明するための縦断面図である。
【図6】図1に示す接続具の作用を説明するための縦断面図である。
【図7】図1に示す接続具の作用を説明するための斜視図である。
【図8】図1に示す接続具の離脱機構の斜視図である。
【図9】図8中のA−A線での断面図である。
【図10】図1に示す接続具1に接続して用いられる第1のシリンジ(第2のシリンジも同様)の構成例を示す部分縦断面図である。
【図11】本発明の接続具の第2実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0158】
1 接続具
2 薬剤側装着部材
3 液体側装着部材
4 薬剤容器ホルダ
40 ホルダ本体
401 突起
41、42 保持部
5 薬剤側コネクタ
50 ホルダ本体
501 凹部
51 第1の薬剤側穿刺針
511 針先
512 第1の接続部
52 第2の薬剤側穿刺針
521 針先
522 第2の接続部
6 液体容器ホルダ
60 ホルダ本体
601、602 凹部
61、62 保持部
7 液体側コネクタ
70 ホルダ本体
701 突起
71 第1の液体側穿刺針
711 針先
712 第3の接続部
72 第2の液体側穿刺針
721 針先
722 第4の接続部
8 離脱機構
81 操作ボタン
811 溝
812 底部
813 斜面
82 従動部材
821、822 支持部
823 軸部
83 操作レバー
11 保持部材
111、112 係合部
113 穴部
12 連結部材
121、122 係合部
13 規制部材
131、132 当接部
133 取付部
100 第1の薬剤容器
101 瓶本体
102 ポート部
103 首部
104 栓体
200 第2の薬剤容器
300 第1の液体容器
400 第2の液体容器
500 第1のシリンジ
510 外筒
520 縮径部
530 フランジ
540 ガスケット
550 中空部
560 押し子
570 本体部
580 ヘッド部
590 フランジ
600 第2のシリンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側に第1の接続部が設けられた中空の第1の薬剤側穿刺針および基端側に第2の接続部が設けられた中空の第2の薬剤側穿刺針を有し、薬剤が収納された第1の薬剤容器および第2の薬剤容器が装着される薬剤側装着部材と、
前記薬剤側装着部材に対して離脱可能に連結し、基端側に第3の接続部が設けられた中空の第1の液体側穿刺針および基端側に第4の接続部が設けられた中空の第2の液体側穿刺針を有し、薬剤を希釈または溶解する液体が収納された第1の液体容器および第2の液体容器が装着される液体側装着部材と、
前記薬剤側装着部材から前記液体側装着部材を離脱させる離脱機構とを備え、
前記薬剤側装着部材と前記液体側装着部材とが連結した状態で、前記第1の接続部と前記第3の接続部とが接続し、前記第2の接続部と前記第4の接続部とが接続し、
前記薬剤側装着部材から前記液体側装着部材を離脱させると、前記第1の接続部および前記第2の接続部が露出し、前記第1の接続部および前記第2の接続部に、それぞれ、互いに形状の異なる第1のシリンジおよび第2のシリンジの各外筒の先端部が接続可能となるよう構成されていることを特徴とする接続具。
【請求項2】
前記離脱機構は、変位可能に設けられた操作部材と、
前記操作部材の変位にともなって移動し、前記薬剤側部材と前記液体側部材とを互いに離反させる従動部材とを有する請求項1に記載の接続具。
【請求項3】
前記薬剤側装着部材は、前記第1の薬剤容器および前記第2の薬剤容器を保持する薬剤容器ホルダと、
前記薬剤側保持部に対し、前記第1の薬剤側穿刺針および前記第2の薬剤側穿刺針の長手方向に移動可能に設置され、前記第1の薬剤側穿刺針および前記第2の薬剤側穿刺針を有する薬剤側コネクタとを備える請求項1または2に記載の接続具。
【請求項4】
前記液体側装着部材は、前記第1の液体容器および前記第2の液体容器を保持する液体容器ホルダと、
前記液体側保持部に対し、前記第1の液体側穿刺針および前記第2の液体側穿刺針の長手方向に移動可能に設置され、前記第1の液体側穿刺針および前記第2の液体側穿刺針を有する液体側コネクタとを備える請求項1ないし3のいずれかに記載の接続具。
【請求項5】
前記第1の接続部と前記第2の接続部とに対する前記第1のシリンジと前記第2のシリンジとの誤接続を防止する第1の誤接続防止手段を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の接続具。
【請求項6】
前記第1のシリンジの外筒と前記第2のシリンジの外筒とを保持し、前記第1のシリンジの外筒と前記第2のシリンジの外筒との位置関係を固定する保持部材を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の接続具。
【請求項7】
前記第1のシリンジは、前記第2のシリンジよりもその長手方向の長さが長く、
前記第1のシリンジの外筒と前記第2のシリンジの外筒とを、前記第1のシリンジの外筒の先端部が前記第2のシリンジの外筒の先端部よりも先端側に位置するように保持し、その位置関係を固定する保持部材を有し、
前記第1の薬剤側穿刺針と前記第2の薬剤側穿刺針とは、前記第1の接続部が前記第2の接続部よりも先端側に位置するように並設されており、これにより、前記第1の接続部と前記第2の接続部とに対する前記第1のシリンジと前記第2のシリンジとの誤接続が防止されるよう構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の接続具。
【請求項8】
保持部材は、前記第1のシリンジの外筒と前記第2のシリンジの外筒とを、その長手方向における互いの基端部の位置が一致するように保持するよう構成されている請求項6または7に記載の接続具。
【請求項9】
前記第1の薬剤容器および前記第2の薬剤容器のうちの少なくとも一方が、前記第1の薬剤側穿刺針および前記第2の薬剤側穿刺針のうちの不適正な方の穿刺針で穿刺されるのを防止する第2の誤接続防止手段を有する請求項1ないし8のいずれかに記載の接続具。
【請求項10】
前記第1の液体容器および前記第2の液体容器のうちの少なくとも一方が、前記第1の液体側穿刺針および前記第2の液体側穿刺針のうちの不適正な方の穿刺針で穿刺されるのを防止する第3の誤接続防止手段を有する請求項1ないし9のいずれかに記載の接続具。
【請求項11】
前記第1の接続部と前記第2の接続部とに対する前記第3の接続部と前記第4の接続部との誤接続を防止する第4の誤接続防止手段を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の接続具。
【請求項12】
前記第1のシリンジの押し子と前記第2のシリンジの押し子とを連結する連結部材を有する請求項1ないし11のいずれかに記載の接続具。
【請求項13】
前記連結部材は、前記第1のシリンジの押し子と前記第2のシリンジの押し子の基端部同士を連結し、操作部の機能を有するものであり、
前記連結部材を前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの長手方向に沿って移動させると、前記各押し子が同時に移動するよう構成されている請求項12に記載の接続具。
【請求項14】
前記第1のシリンジの押し子を外筒に対して基端方向へ移動させたときの外筒に対する押し子の位置と、前記第2のシリンジの押し子を外筒に対して基端方向へ移動させたときの外筒に対する押し子の位置とを規制する規制部材を有する請求項1ないし13のいずれかに記載の接続具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−153720(P2009−153720A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335394(P2007−335394)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】