説明

接触子を備えた接続装置

【課題】 ICパッケージなどの電子部品の突出電極が接触する弾性腕を備えた接触子を有する接続装置において、電子部品が弾性腕に圧接したときの位置ずれを防止し、弾性腕が突出電極に確実に接触できるようにする。
【解決手段】 接触子20は、固定部21から延びる渦巻き状の弾性腕22を有している。弾性腕22の先端部22bと、中心Oを挟んで対称となる固定部21側にはその一部を折り曲げて形成した三角形状の補助片23が形成されている。立体形状の弾性腕22に球状の突出電極42が位置ずれした状態で当接しようとするとき、最初に突出電極42は補助片23に当接し、案内辺23bに導かれて中心Oに接近する方向に移動させることができる。これにより、突出電極42の位置ずれ量が相殺または減少され、弾性腕22と突出電極42とが導通しやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICパッケージなどの電子部品に設けられた突出電極と接続される接触子に係り、特に立体形状の弾性腕に前記突出電極が弾圧されて接続される接触子を備えた接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1には、複数のスパイラル状の接触子を備えた接続装置が開示されている。ICパッケージなどの電子部品の底面には複数の球状の突出電極が設けられており、それぞれの突出電極が接触子に弾圧されて、突出電極と接触子とが一対一の関係で個別に接続される。
【0003】
スパイラル状の接触子は、電子部品に向けて突出する立体形状とされており、電子部品が接続装置に設置されるときに、接触子が突出電極に押圧されて潰れるように変形し、接触子は、このときの弾性復元力によって前記突出電極に弾圧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3440243号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は従来例としてのスパイラル状の接触子と球状の突出電極を示す平面図、図8は図7の概略を示す側面図であり、(A)は接触時、(B)は加圧時を示している。
【0006】
この種の接触子は基本的に始端部3側のみが固定部2に支持される片持ち支持構造であり弾性腕4が自由端であること、弾性腕4の先端部5側が始端部3側よりも上方に延びており、弾性腕4が傾斜を構成していること、さらに図7及び図8(A)(B)に示す立体型のスパイラル状の接触子では、渦巻きの回転角度に応じて弾性腕4の径寸法が変化する構造であることなどから、その姿勢が不安定となりやすい。
【0007】
このため、例えばスパイラル状の接触子では、図7に示すように、半導体素子が接続装置内に装着される際に、半導体素子の底面に設けられた球状の突出電極7が接触子の中心O−Oから水平方向に位置ずれした状態で装着されると、図8(A)に示すように突出電極7は弾性腕4の先端部5に当接せず、その先端部5と始端部3との間で弾性腕4に当接する。すると、突出電極7から傾斜した弾性腕4に作用する加圧力fのうち斜面に沿う成分fxにより、突出電極7が接触子の中心から離れる外周側にずれる量が増大し、その結果、接触子の突出電極7に対する加圧力が極端に弱くなりやすい。なお、ここで接触子の中心O−Oとは、弾性腕4の渦巻きパターンの最外周縁からほぼ等距離にある点、又は、弾性腕4の略中心、あるいは、弾性腕4の略重心の位置として定義される。
【0008】
また突出電極7の表面には、酸化膜や油膜が形成されていることが多く、接触子と突出電極7との間の接触力が弱いと、前記酸化膜や油膜により電気的な接触抵抗が増大し、接触不良やインピーダンスの上昇を招くおそれがある。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、立体形状の弾性腕に突出電極が圧接したときに、突出電極の位置ずれ量を相殺または減少させて弾性腕と突出電極との接触状態を良好とする接触子を備えた接続装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電子部品の突出電極と電気的に接続される導電性の弾性腕を備える接触子を有する接続装置において、
前記弾性腕は、固定部と、前記固定部に対して片持ち支持された自由端部とを有し、前記固定部と前記自由端部との境界に始端部が形成され、前記始端部から離れて前記突出電極側に延びる自由端部の端部に先端部が形成されており、
前記先端部以外の位置で前記弾性腕に接触した前記突出電極を前記先端部に接近する方向に押し戻す補助片が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、個々の接触子に位置ずれした突出電極が圧接されるときに、最初に補助片が突出電極に当接し、このとき突出電極を接触子の中心方向(または先端部方向)に移動させる戻し力が作用する。この結果、突出電極が位置ずれした状態で押し込まれても、前記戻し力によりその位置ずれ量を相殺または減少することができ、接触子側の弾性腕が、それぞれの突出電極に確実に弾圧される。
【0012】
例えば、前記補助片が前記始端部に形成することができ、また前記弾性腕は渦巻き状である。
【0013】
上記において、前記補助片と前記先端部とは、前記弾性腕の中心を挟んで互いに逆側となる位置に形成されているものが好ましい。
【0014】
上記手段では、始端部側の補助片と先端部とにより突出電極を両側方向から挟み込むことができる。その結果、それぞれの突出電極の表面に酸化膜や油膜などが存在していたとしても、補助片と先端部とにより、酸化膜や油膜が除去されやすくなり、接触子と突出電極との導通を良好にできる。
【0015】
また前記補助片が前記固定部の一部を折り曲げることにより形成されているものが好ましい。
上記構成では、補助片を容易且つ低コストで形成することができる。
【0016】
さらには、前記補助片の前記先端側に向く側に、傾斜状の案内辺が形成されているものが好ましい。
【0017】
上記手段では、案内辺を用いて装着中の突出電極を、接触子の先端部方向に導くことができる。
【0018】
前記弾性腕の始端部が延びる方向と前記補助片の延びる方向とが互いに逆向きであるものが好ましい。
【0019】
上記手段では、固定部の縁部に弾性腕と補助片とを互いの機能を発揮することが可能な状態で配置することができる。
【0020】
また前記接触子が多数配置されており、前記補助片の形成位置が隣接する接触子間で互いに異なるものである。
【0021】
上記手段では、突出電極がいずれの方向に位置ずれしても、その位置ずれを相殺又は減少することができる。
【0022】
上記において、前記補助片から得られる戻し力の方向が、各補助片ごとに異なるように正方形状に配置した4つの接触子を1グループとし、このグループが格子状に配列されているものが好ましい。
【0023】
上記手段では、電子部品自体がいずれの方向に位置ずれしても、その全体の位置ずれを相殺又は減少することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、立体形状の弾性腕に、電子部品の突出電極が圧接したときに、突出電極の位置ずれ量を相殺または減少させることができ、その結果、弾性腕と突出電極とを導通させやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態である接触子を備えた接続装置の部分断面図である。
【図2】(A)は本発明の接触子の実施の形態としてスパイラル状の接触子を示す平面図、(B)は(A)変形例を示すスパイラル状の接触子を示す平面図である。
【図3】図2(A)のIII−IIIにおける断面図であるとともにスパイラル状の接触子の部分断面図である。
【図4】突出電極がスパイラル状の接触子を加圧している状態を示す図2(A)同様の平面図である。
【図5】図4の部分断面図である。
【図6】図2(B)のスパイラル状の接触子を正方状に配置した状態を示す平面図である。
【図7】従来例としてのスパイラル状の接触子と球状の突出電極を示す平面図である。
【図8】図7の概略を示す側面図であり、(A)は接触時、(B)は加圧時を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明の実施の形態である接触子を備えた接続装置の部分断面図、図2(A)は本発明の接触子の実施の形態としてスパイラル状の接触子を示す平面図、(B)は(A)変形例を示すスパイラル状の接触子を示す平面図、図3は図2(A)のIII−IIIにおける断面図であるとともにスパイラル状の接触子の部分断面図、図4は突出電極がスパイラル状の接触子を加圧している状態を示す図2(A)同様の平面図、図5は図4の部分断面図、図6は図2(B)のスパイラル状の接触子を正方状に配置した状態を示す平面図である。
【0027】
図1に示す接続装置1は、基台10を有している。基台10の平面形状は例えば四角形状であり、基台10の4辺のそれぞれにはほぼ垂直に立ち上がる側壁部10aが形成されている。4辺の側壁部10aで囲まれた領域は凹部であり、その底部10bの上面が支持面12である。支持面12の上には、接続シート15が設置されている。接続シート15は、例えば、可撓性の基材シート16の表面に複数の接触子20が設けられた構成である。
【0028】
基材シート16には、図3に示すようなスルーホール16aが多数形成されており、それぞれのスルーホール16aの内周面には導電層17がメッキなどの手段で形成されている。基材シート16の表面には、導電層17に導通する表側の接続ランド17aが形成され、基材シート16の裏面には、導電層17に導通する裏側の接続ランド17bが形成されている。
【0029】
接触子20は、例えば、薄い導電性金属板を打ち抜いて形成され、さらにメッキ処理されたものであり、個々の接触子20が、接続ランド17aの表面に導電性接着剤などで接合されている。あるいは、接触子20は、銅やニッケルなどの導電性材料を使用してメッキ工程で形成される。例えば、基材シート16とは別個のシートの表面に複数の接触子20がメッキ工程で形成され、シートが、基材シート16に重ね合わされて、それぞれの接触子20が、導電性接着剤などで接続ランド17aに接合される。
【0030】
それぞれの接触子20は、基材シート16に設置された後に、例えば、外力が与えられて立体形状に形成される。このとき、加熱処理で内部の残留応力が除去され、接触子20は立体形状で弾性力を発揮できるようになる。
【0031】
また、接触子20を立体形状に形成する工程で後述する補助片23を同時に立体形成することが可能である。
【0032】
図3に示すように、基材シート16の裏面側では、接続ランド17bに個別に接続する導電性材料のバンプ電極18が形成されている。図1に示すように、接続シート15が基台10の底部10bの表面である支持面12に設置されると、バンプ電極18が、支持面12に設けられた導電部(図示せず)に接続される。
【0033】
支持面12上での接触子20の配列ピッチは、例えば2mm以下であり、あるいは1mm以下である。接触子20の外形寸法の最大値も2mm以下であり、あるいは1mm以下である。
【0034】
なお上記の接続シート15の構成は一例である。例えば、図3では基材シート16にスルーホール16aが設けられているが、スルーホール16aが形成されず、基材シート16の表面に接触子20と導通する配線パターンが形成された構成であってもよい。
【0035】
図2(A)(B)と図3に示すように、接触子20は、固定部21と弾性腕22が一体に連続して形成されている。固定部21から連続して延びる弾性腕22は自由端部を形成しており、片持ち状態で例えば渦巻きパターンで形成されている。弾性腕22の一端、すなわち固定部21と自由端部との境界は始端部22aである。弾性腕22の他端、すなわち自由端部の端部は突出電極42に向かって延びる先端部22bを形成している。接触子20の先端部22bは、中心O側に位置している。なお、先端部22bは尖形形状に成形されている。
【0036】
ここで、「中心」とは、弾性腕22の渦巻きパターンの最外周縁からほぼ等距離にある点、又は、弾性腕22の渦巻きパターンの略中心、あるいは、弾性腕22の略重心の位置として定義される。なお中心Oは、電子部品40の突出電極42の中心またはスルーホール16aの中心と一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
【0037】
図3に示す形態では、接触子20を構成している固定部21が接続ランド17aに接続され、弾性腕22は、先端部22bが固定部21から離れるように立体成形されている。
【0038】
なお、接触子20は立体成形されず平面形状であってもよい。また弾性腕22は渦巻き形状であることに限定されない。弾性腕22は帯状(直線状)や湾曲形状等であってもよい。帯状(直線状)や湾曲形状からなる弾性腕の場合における「中心」とは、弾性腕の長さ寸法の1/2の位置、あるいは、弾性腕の略重心の位置として定義される。
【0039】
図2(A)に示す接触子20と図2(B)に示す接触子20との違いは固定部21の形状と弾性腕22の渦巻き方向にある。すなわち、図2(A)に示す接触子20の固定部21は略ベース形状であり弾性腕22の渦巻き方向は反時計周りであるのに対し、図2(B)に示す接触子20ではその全体が正方形状となるように固定部21はスルーホール16aの周囲に凹形状で形成され、弾性腕22の渦巻き方向は時計周りである。このように、固定部21の形状は1つに限定されるものではなく、渦巻きパターンの方向も時計周り方向と反時計周りのいずれの方向とすることも可能である。
【0040】
始端部22aには補助片23が一体に形成されている。図2(A)(B)及び図3に示すように補助片23は三角形状を有し、始端部22aに突出形成されている。補助片23の先端23aは、始端部22aから垂直に立ち上がるように折り曲げられている。補助片23の中心O側に向く一辺には、所定の傾斜を備えた案内辺23bが形成されている。案内辺23bのエッジは刃先のように鋭いものが好ましい。
【0041】
また始端部22aと補助片23とは、固定部21の縁部の位置にて互いに逆方向に突出する状態で形成されている。すなわち、図2(A)に示す形態では、弾性腕22の渦巻きパターンは反時計周り方向に形成されているため、始端部22aは図示反時計周り方向に突出するように形成されているのに対し、補助片23は時計周り方向に突出するように形成されている。
【0042】
また図2(B)に示すように、弾性腕22の渦巻きパターンが時計周り方向である場合には、始端部22aは図示時計周り方向に突出するように形成され、補助片23は反時計周りに突出するように形成される。このように、始端部22aの延びる方向と補助片23の延びる方向とは互いに逆向きとなるように形成される。これにより、固定部21の縁部で且つスルーホール16aに対向する狭い領域内に、弾性腕22と補助片23とが互いの干渉を受けずに各機能を発揮することができる状態で配置することができる。
【0043】
さらに補助片23は、渦巻きパターンの中心Oを挟んで先端部22bとはほぼ対称となる位置に形成されている。これにより、先端部22bと補助片23との間に突出電極42を挟み込むことが可能となる(図4、5参照)。
【0044】
図1に示すように、接続装置1には、電子部品40が設置される。電子部品40は半導体素子などであり、ICベアチップなどの各種電子素子が本体部41内に密閉されている。本体部41の底面41aには、複数の突出電極42が設けられており、それぞれの突出電極42が本体部41内の回路に導通している。この実施の形態の電子部品40では、突出電極42が球形状をした球状接触子であるが、その他例えば裁頭円錐形状などであってもよい。
【0045】
突出電極42は、スズを含む導電性の合金で形成されている。すなわち、鉛を含まない半田で形成されており、例えばスズ・ビスマス合金や、スズ・銀合金である。
【0046】
以下、接触子を備えた接続装置の動作について説明する。
本実施形態の接続装置1は、例えば、電子部品40の検査用であり、図1に示すように、被検査物である電子部品40が、基台10の凹部内に装着される。このとき、電子部品40は、本体部41の底面41aに設けられた個々の突出電極42が個々の接触子20の上に一対一で設置されるように位置決めされる。基台10の上には図示しない押圧用の蓋体が設けられており、この蓋体を基台10上に被せると、この蓋体により電子部品40が図1にて矢印方向へ押圧される。この押圧力により、それぞれの突出電極42が接触子20に押し付けられ、立体形状の弾性腕22が押しつぶされて、突出電極42と弾性腕22とが個別に導通させられる。そして、接触子20から突出電極42に所定の信号が与えられて、本体部41内の回路の動作試験などが行われる。
【0047】
検査が完了した電子部品40は、接続装置1から取り出され、次に検査すべき電子部品40が接続装置1内に設置されて、同様の検査が行われる。
【0048】
ここで図5に点線で示すように、突出電極42が、中心O−Oから水平方向の補助片23側に位置ずれした状態で接触子20上に載置されたとする。このときには、突出電極42は最初に補助片23の案内辺23bに当接する。そして、突出電極42は案内辺23b上を摺動しながら接触子20の弾性腕22に押し付けられる。このとき、図4および図5の実線に示すように、突出電極42は案内辺23bにより中心O−Oに接近する方向に案内される。すなわち、案内辺23bは、電子部品40の押圧力を、突出電極42が中心O−Oに向かう方向(先端部22b側に押し戻す方向)に導く戻し力Fに変換する。このため、従来のように、突出電極42は、その位置ずれ量が増大して接触子20上から外れてしまうことがない。
【0049】
さらにこの戻し力Fは、個々の突出電極42とこれに対応する個々の接触子20との間でそれぞれ発生し、全体として電子部品40の位置ずれを相殺する一方向(図4の矢印方向)に作用する。
【0050】
図5に示すように、突出電極42が圧接した接触子20は全体として若干傾斜する姿勢で圧縮されるが、接触子20の先端部22bと補助片23の案内辺23bとが両側方向から突出電極42に当接する。先端部22bは尖形形状を有し、案内辺23bは鋭いエッジを有している。このため、先端部22bと案内辺23bは共に接触子20の表面に形成されている酸化膜等を切り込んで接触子20との間の通電を確保することができる。特に、案内辺23bは、突出電極42が案内辺23b上を摺動する際にその表面上の酸化膜を確実に切り込むことができるため、接触子20との間の通電を確実に行うことが可能である。
【0051】
上記図4では、案内辺23bが中心Oに対して右側に形成されているため、突出電極42が右方向に位置ずれした場合には、案内辺23bから作用する左方向(図4の矢印方向)への戻し力Fにより、その位置ずれ量を相殺または減少することができる。しかし、突出電極42が、図4の矢印方向と同方向(左方向)、またはこれと交差する方向(上方向または下方向)に位置ずれした場合には、上記構成からなる接触子ではその位置ずれを相殺または減少することが困難である。
【0052】
このような場合には、接触子を図6に示す構成とすることで対応することができる。図6に示すものでは、図2(B)に示す接触子20を4個用い、これらを正方形状(格子状)に配置して1グループとしたものである。グループ内の4個の接触子20A,20B,20C,20Dは、各戻し力Fa,Fb,Fc,Fdの方向が、すべて異なるとともに直交する方向となるように、すなわち上下左右の4方向を向くように配置してある。4個の接触子20A,20B,20C,20Dの縦横のピッチ間隔は等しく、このようなグループが基材シート16上に多数配置されている。
【0053】
このように配置することにより、電子部品40が右方向に位置ずれしている場合には、図6では右下の位置に設けられた接触子20Aに形成された補助片23からの図示左方向の戻し力Faが、これに対応する突出電極42に作用するため、電子部品40の位置ずれ量を相殺または減少することができる。このとき、その他の接触子20B,20C,20Dの位置では、これらに対応する突出電極42は各補助片23に当接しないため、左方向の戻し力Fa以外の3方向の戻し力Fb,Fc,Fdが電子部品40に作用することがない。
【0054】
同様に、突出電極42が下方向に位置ずれした場合には、左下の位置に設けられた接触子20Bに形成された補助片23からの上方向の戻し力Fbが、突出電極42が左方向に位置ずれした場合には左上の位置に設けられた接触子20Cに形成された補助片23からの右方向の戻し力Fcが、突出電極42が上方向に位置ずれした場合には右上の位置に設けられた接触子20Dに形成された補助片23からの下方向の戻し力Fdが、それぞれ対応する突出電極42に作用するため、電子部品40の位置ずれ量を相殺または減少させることができる。
【0055】
このように上記実施の形態では、電子部品40がいずれの方向に位置ずれした場合であっても、1グループ内のいずれかの接触子20A,20B,20C,20Dに設けられた補助片23に当接することが可能となるため、電子部品40の位置ずれ量を相殺または減少することが可能である。
【0056】
これにより、電子部品40自体が位置ずれした状態で接続装置内に装着された場合でも、電子部品40全体の位置ずれ量を相殺または減少させることが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 接続装置
10 基台
12 支持面
15 接続シート
16 基材シート
16a スルーホール
20,20A,20B,20C,20D 接触子
21 固定部
22 弾性腕
22a 始端部
22b 先端部
23 補助片
23b 案内辺
40 電子部品
42 突出電極
Fa,Fb,Fc,Fd 戻し力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の突出電極と電気的に接続される導電性の弾性腕を備える接触子を有する接続装置において、
前記弾性腕は、固定部と、前記固定部に対して片持ち支持された自由端部とを有し、前記固定部と前記自由端部との境界に始端部が形成され、前記始端部から離れて前記突出電極側に延びる自由端部の端部に先端部が形成されており、
前記先端部以外の位置で前記弾性腕に接触した前記突出電極を前記先端部に接近する方向に押し戻す補助片が設けられていることを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記補助片が前記始端部に形成されている請求項1記載の接続装置。
【請求項3】
前記弾性腕は渦巻き状である請求項1または2記載の接続装置。
【請求項4】
前記補助片と前記先端部とは、前記弾性腕の中心を挟んで互いに逆側となる位置に形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項5】
前記補助片が前記固定部の一部を折り曲げることにより形成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項6】
前記補助片の前記先端側に向く側に、傾斜状の案内辺が形成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項7】
前記弾性腕の始端部が延びる方向と前記補助片の延びる方向とが互いに逆向きである請求項3ないし6のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項8】
前記接触子が多数配置されており、前記補助片の形成位置が隣接する接触子間で互いに異なる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項9】
前記補助片から得られる戻し力の方向が、各補助片ごとに異なるように正方形状に配置した4つの接触子を1グループとし、このグループが格子状に配列されている請求項8記載の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−205472(P2010−205472A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47642(P2009−47642)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】