説明

推進工法における掘削ヘッド回転速度検出装置

【課題】推進工法に用いる推進機を改造することなく掘削ヘッドの回転速度を検出できるようにする。
【解決手段】発進坑内に設置されたレーザーセオドライトからターゲットに向けてレーザー光線を照射するとともに、このレーザー光線を遮る状態と通過させる状態とを作り出す遮光部材がスクリュコンベアと一体に回転するように設ける。ターゲットは、レーザー光線を受光している状態と受光していない状態を識別するとともに、所定の時間内における受光状態の変化に基づいてスクリュコンベアの回転速度、したがってその先端に設けられている掘削ヘッドの回転数を演算し、その前面に設けられている表示器に表示する。この表示器をレーザーセオドライトで視認することにより、掘削ヘッドの回転数を容易に確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推進工法において掘削ヘッドの回転速度を検出する装置に関し、より詳しくは、掘削方向の確認に用いるレーザーターゲットおよびレーザー光線を活用して掘削ヘッドの回転速度を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道等を含む各種用途に供される地中埋設管は、経年変化によって老朽化が進むため、適切な時期に新しい埋設管(更新管)に交換する必要がある。
この場合、既設埋設管が埋設されている個所の地盤を地表面から開削して既設埋設管を掘り出した後に新たな管を吊り込んで埋設し直す工法、あるいは図6に示したように地表面に掘設した立坑から水平方向に掘進しつつ既設埋設管を撤去して更新管に交換する推進工法が用いられる。
【0003】
図6に示した従来の推進工法においては、既設埋設管1を更新管2に交換するべく地表面Gに発進坑3を掘設するとともに、この発進坑3の底部に推進機4を設置する。
そして、推進機4の駆動モータMおよび減速機5によってスクリュコンベア6とその先端に設けられている掘削ヘッド7を一体に回転駆動し、掘削ヘッド7の面板から突出している掘削ビット8により既設埋設管1を破砕しつつその周囲の地盤を掘削する。
破砕した既設埋設管1の破片および掘削した周囲の地盤の土砂は、スクリュコンベア6およびケーシング9によって後方に移送し、発進坑3側に取り出して地表面G側に除去する。
同時に、推進機4の油圧シリンダ10によって環状の押動部材11を前方に推進し、先導管12、更新管2,スクリュコンベア6等を一体に前進させて、既設埋設管1を更新管2に順次交換する。
【0004】
また、掘削ヘッド7の進行方向にずれが生じた場合に備えて、先導管12と刃口部13との間には、複数の方向修正用油圧シリンダ14が設けられている。
これにより、これらの油圧シリンダ14を選択的に伸縮させて先導管12に対し刃口部13を傾斜させると、刃口部13の内周面が掘削ヘッド7の外周部を半径方向内側に押すので、掘削ヘッド7の進行方向を修正することができる。
【0005】
さらに、発進坑4の内部に設置したレーザーセオドライト15から、先導管12の内部に吊設されているターゲット16に向けてレーザー光線Lを照射することにより、計画線に沿った地盤の掘削が可能となる(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−38485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来の推進工法においては、掘削状態を確認するために掘削ヘッド7の回転速度を検出する必要がある。
このとき、掘削ヘッド7の回転速度はスクリュコンベア6の回転速度に等しい。
そこで、従来は、減速機5の回転軸にロータリエンコーダを設け、あるいは減速機5の歯車に近接センサを並設して、スクリュコンベア6の回転速度を検出している。
【0008】
しかしながら、この種の回転速度センサが設けられていない推進機4に回転速度センサを取り付けるためには、推進機4の改造や電気回路の変更等の複雑な改修が必要となる。
また、回転速度センサを新たに取り付けるとトラブル発生の原因になることもある。
【0009】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、推進工法に用いる推進機を改造することなく掘削ヘッドの回転速度を検出する新規な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する第1の発明は、
推進工法に用いる掘削ヘッドの回転速度を検出する装置であって、
前記推進工法は、
その先端に掘削ヘッドが設けられているスクリュコンベアを回転駆動するとともに前記掘削ヘッドが掘削した地盤中に更新管を推進する、発進坑内に設置された推進機と、
前記掘削ヘッドと一体に推進されるターゲットに向けてレーザー光線を照射しつつ前記掘削ヘッドが地盤を掘削する方向を測定する、前記発進坑内に設置されたレーザーセオドライトと、を用いるものであり、
前記推進機は、駆動モータおよび減速機によって回転駆動される中空円環状の駆動部材と、前記スクリュコンベアの基端を前記駆動部材の内側に同軸に保持する保持手段とを有しており、
前記保持手段は、前記レーザー光線を遮る状態とレーザー光線を通過させる状態とを作り出せるようにように構成されており、
前記ターゲットは、前記レーザー光線を受光している状態および受光していない状態を識別可能な第1の識別部と、前記レーザー光線を受光している状態から受光していない状態へと所定の時間内に変化した回数を計測する第1の計測部と、この第1の計測部が計測した回数と前記所定時間とに基づいて前記スクリュコンベアの回転速度を演算する第1の演算部とを備えていることを特徴とする推進工法における掘削ヘッドの回転速度検出装置である。
【0011】
すなわち、保持手段がレーザー光線を通過させたり遮ったりするように構成すると、ターゲットの側においては、スクリュコンベアの回転に伴ってレーザー光線を受光する状態と受光できない状態とが交互に反復する。
そこで、第1の発明では、ターゲットにおけるレーザー光線の受光状態の変化に基づいて、スクリュコンベアの回転速度、したがって掘削ヘッドの回転速度を検出する。
これにより、スクリュコンベアの回転速度を検出するための機構が推進機に設けられていない場合であっても、本発明の新規なターゲットを設置することによってスクリュコンベアの回転速度を検出できるようになるから、推進機を改造する必要はなく、また推進機の改造に伴う様々なトラブルの発生を回避することができる。
さらに、スクリュコンベアの回転速度を表示する表示部をターゲットに設けることにより、レーザーセオドライトでターゲットを視認することによってスクリュコンベアの回転速度を知ることができる。
【0012】
また、上記の課題を解決する第2の発明は、
推進工法に用いる掘削ヘッドの回転速度を検出する装置であって、
前記推進工法は、
その先端に掘削ヘッドが設けられているスクリュコンベアを回転駆動するとともに前記掘削ヘッドが掘削した地盤中に更新管を推進する、発進坑内に設置された推進機と、
前記掘削ヘッドと一体に推進されるターゲットに向けてレーザー光線を照射しつつ前記掘削ヘッドが地盤を掘削する方向を測定する、前記発進坑内に設置されたレーザーセオドライトと、を用いるものであり、
前記推進機は、駆動モータおよび減速機によって回転駆動される中空円環状の駆動部材と、前記スクリュコンベアの基端を前記駆動部材の内側に同軸に保持する保持手段とを有しており、
前記保持手段は、前記レーザー光線を前記レーザーセオドライトの側に反射する反射手段を有しており、
前記レーザーセオドライトは、前記反射手段が反射したレーザー光線を受光している状態および受光していない状態を識別可能な第2の識別部と、前記レーザー光線を受光している状態から受光していない状態へと所定の時間内に変化した回数を計測する第2の計測部と、この第2の計測部が計測した回数と前記所定時間とに基づいて前記スクリュコンベアの回転速度を演算する第2の演算部とを備えていることを特徴とする推進工法における掘削ヘッドの回転速度検出装置である。
【0013】
なお、第2の識別部、第2の計測部、第2の演算部は、レーザーセオドライトに一体に組み込むこともできるし、あるいは別個の構造としてレーザーセオドライトに並設することもできる。
また、第2の演算部が演算した回転速度を表示する回転速度表示部を、レーザーセオドライトに一体に組み込み、あるいは別個の構造としてレーザーセオドライトに並設することもできる。
【0014】
すなわち、保持手段がレーザー光線を通過させたり遮ったりするように構成するととともに、レーザー光線をレーザーセオドライトの側に反射する反射部材をこの保持手段に設けると、レーザーセオドライトの側においては、スクリュコンベアの回転に伴ってレーザー光線を受光する状態と受光しない状態とが交互に反復することになる。
そこで、第2の発明では、レーザーセオドライトの側に反射されたレーザー光線の受光状態の変化に基づいて、スクリュコンベアの回転速度、したがって掘削ヘッドの回転速度を検出する。
これにより、スクリュコンベアの回転速度を検出するための機構が推進機に設けられていない場合であっても、第2の識別部、第2の計測部、第2の演算部をレーザーセオドライトの側に設けることによってスクリュコンベアの回転速度を検出できるようになるから、推進機を改造する必要はなく、また推進機の改造に伴う様々なトラブルの発生を回避することができる。
【0015】
また、上記の課題を解決する第3の発明は、
推進工法に用いる掘削ヘッドの回転速度を検出する装置であって、
前記推進工法は、
その先端に掘削ヘッドが設けられているスクリュコンベアを回転駆動するとともに前記掘削ヘッドが掘削した地盤中に更新管を推進する、発進坑内に設置された推進機と、
前記掘削ヘッドと一体に推進される自ら発光するターゲットと、
前記ターゲットを視認することにより前記掘削ヘッドの地盤掘削方向を測定する、前記発進坑内に設置されたセオドライトと、を用いるものであり、
前記推進機は、駆動モータおよび減速機によって回転駆動される中空円環状の駆動部材と、前記スクリュコンベアの基端を前記駆動部材の内側に同軸に保持する保持手段とを有しており、
前記保持手段は、前記セオドライトから前記ターゲットに向かう視野を遮る状態と遮らない状態とを作り出せるように構成されており、
前記セオドライトは、前記ターゲットを視認しているときの視野が明るい状態および暗い状態を識別する第3の識別部と、前記視野が明るい状態から暗い状態へと所定の時間内に変化した回数を計測する第3の計測部と、この第3の計測部が計測した回数と前記所定時間とに基づいて前記スクリュコンベアの回転速度を演算する第3の演算部とを備えていることを特徴とする推進工法における掘削ヘッドの回転速度検出装置である。
【0016】
すなわち、第3の発明は、自ら発光するターゲットをセオドライトで視認しているときに、保持手段によって視野が遮られずに視野が明るい状態から保持手段によって視野が遮られて視野が暗い状態へと所定時間内に変化した回数に基づいて、スクリュコンベアの回転速度、したがって掘削ヘッドの回転速度を検出するものである。
これにより、スクリュコンベアの回転速度を検出するための機構が推進機に設けられていない場合であっても、第3の識別部、第3の計測部、第3の演算部をセオドライトに設けることによってスクリュコンベアの回転速度を検出することができるから、推進機を改造する必要がなく、また推進機の改造に伴う様々なトラブルの発生を回避することができる。
【0017】
なお、第1〜第3の演算部が演算した回転速度を表示する回転速度表示部を、ターゲットあるいはセオドライトに設けることができる。
【0018】
なお、スクリュコンベアと一体に回転する遮光部材を設けるとともに、レーザーセオドライトからターゲットに照射されるレーザー光線あるいは自ら発光するターゲットからセオドライトに延びる光線をこの遮光部材が遮るように構成すれば、推進機の保持手段と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、推進工法に用いる推進機を改造することなく掘削ヘッドの回転速度を確実に検出する新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の回転速度検出装置を示す図。
【図2】図1中の矢印A方向から見た図。
【図3】図1中のレーザーターゲットの構造を模式的に示す図。
【図4】第2実施形態の回転速度検出装置を示す図。
【図5】第3実施形態の回転速度検出装置を示す図。
【図6】推進工法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜図5を参照し、本発明の推進工法における掘削ヘッド回転速度検出装置の各実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の部分には同一の符号を用いて重複した説明を省略する。
【0022】
第1実施形態
まず最初に図1〜図3を参照し、第1実施形態の回転速度検出装置について説明する。
【0023】
本第1実施形態の回転速度検出装置100は、図6を参照して説明した推進工法に用いる掘削ヘッド7の回転速度を検出するものである。
具体的に説明すると、推進工法は、その先端に掘削ヘッド7が設けられているスクリュコンベア6を回転駆動するとともに掘削ヘッド7が掘削した地盤中に更新管2を推進する、発進坑3内に設置された推進機20と、掘削ヘッド7と一体に推進されるターゲット16に向けてレーザー光線Lを照射して掘削ヘッド7が地盤を掘削する方向を測定する、発進坑3内に設置されたレーザーセオドライト15とを用いる。
【0024】
このとき推進機20は、その本体部分に軸受21を介して回転自在に支持された中空円環状の駆動部材22と、この駆動部材22の外周に設けられて一体に回転する環状歯車23と、この環状歯車23に噛み合うとともに駆動モータMによって回転駆動されるピニオンギヤ24とを有している。
また、中空円環状の駆動部材22の内側には、その直径方向に延びる保持部材25が設けられていて、スクリュコンベア6の基端6aを駆動部材22と同軸に保持して一体に回転するようになっている。
【0025】
これにより、図2(a)に示したように、保持部材25が水平に延びているときには、駆動部材22の内周面と保持部材25との間に形成されている隙間25aを介し、レーザーセオドライト15によってターゲット30を視認することができる。
これに対して、図2(b)に示したように、保持部材25が上下方向に延びているときには、ターゲット30が保持部材25の陰に隠れるので、レーザーセオドライト15によってターゲット30を視認することはできない。
【0026】
言い換えると、図2(a)に示したように保持部材25が水平に延びているときには、レーザーセオドライト15からターゲット30に向けて照射されたレーザー光線Lは、保持部材25によって遮られることなくターゲット30に到達する。
これに対して、図2(b)に示したように保持部材25が上下方向に延びているときには、レーザーセオドライト15からターゲット30に向けて照射されたレーザー光線Lは、保持部材25によって遮られてターゲット30には到達しない。
【0027】
一方、ターゲット30は、図3にその断面を示したように、レーザーセオドライト15から照射されたレーザー光線Lを受けるとともに、その表面に掘削方向のずれを測定するための目盛りや幾何学的な模様が描かれている半透明な受光板31を有している。
また、この受光板31の背面には導光板32が貼設されており、レーザーセオドライト15から照射されて受光板31を透過したレーザー光線Lをフォトダイオードあるいはフォトトランジスタ等の光センサから構成された受光部33に導くようになっている。
【0028】
これにより、レーザーセオドライト15から照射されたレーザー光線Lが、遮光部材としての保持部材25によって遮られることなく、受光板31および導光板32を介して受光部33に到達すると、識別部34はレーザー光線Lの受光を表すON信号を計測部35に出力する。
これに対して、レーザーセオドライト15から照射されたレーザー光線Lが、遮光部材としての保持部材25によって遮られて受光板31に到達しないときには、識別部34はレーザー光線Lを受光していないこと表すOFF信号を計測部35に出力する。
【0029】
計測部35は、識別部34から入力するON/OFF信号と、タイマ36から入力するクロック信号とに基づき、レーザー光線Lを受光している状態から受光していない状態へと所定の時間内に変化した回数を計測し、その計測値を演算部37に出力する。
演算部37は、計測部35から入力した計測値に基づいてスクリュコンベア6、したがって掘削ヘッド7の回転速度を演算して表示制御部38に出力する。
表示制御部38は、このターゲット30の前面上部に設けられている表示器39が演算された回転速度を表示するように、その作動を制御する。
【0030】
これにより、レーザーセオドライト15を操作してターゲット30を視認している作業者は、その視野の内部に現れている表示器39を視認することによって掘削ヘッド7の回転速度を知ることができる。
【0031】
すなわち、本第1実施形態の回転速度検出装置100は、推進工法に用いる推進機4およびレーザーセオドライト15をそのまま活用しつつ、先導管12の内部に吊設する従来のターゲット16を新規なターゲット30に交換する構成である。
これにより、スクリュコンベア6の回転速度を検出するために推進機4を改造する必要がなく、かつ推進機4の改造に伴って発生するトラブルを回避することができる。
【0032】
さらに、レーザーセオドライト15を用いてターゲット30を視認することにより、ターゲット30の表示部39に表示されている掘削ヘッド7の回転速度の値を容易に確認することができる。
これにより、ターゲット30から発進坑3の内部へと電気配線を引き回す必要がないから、無用のトラブルの発生を回避することができる。
【0033】
なお、計測部35は、レーザー光線Lを受光していない状態から受光している状態への所定の時間内における変化の回数を計測する構成とすることもできる。
さらに、計測部35は、レーザー光線Lを受光している状態の時間の合計値あるいはレーザー光線Lを受光していない状態の時間の合計値と所定の時間との比率に基づいて、レーザー光線Lを受光している状態から受光していない状態へと所定の時間内に変化した回数、若しくはレーザー光線Lを受光していない状態から受光している状態へと所定の時間内に変化した回数を計測する構成とすることもできる。
【0034】
第2実施形態
次に図4を参照し、第2実施形態の回転速度検出装置について説明する。
【0035】
上述した第1実施形態の回転速度検出装置100は、ターゲット30に受光部33、識別部34、計測部35、演算部37他を設ける構造であった。
これに対して、本第2実施形態の回転速度検出装置200は、第2の受光部、第2の識別部、第2の計測部、第2の演算部他を有する回転速度検出手段40をレーザーセオドライト15に並設する構造となっている。
【0036】
具体的に説明すると、発進坑3に設置されたレーザーセオドライト15には、回転速度検出手段40が並設されている。
また、推進機20の保持部材25には、レーザーセオドライト15からターゲット16に向けて照射されたレーザー光線Lを、回転速度検出手段40に向けて反射する反射部材41が設けられている。
【0037】
これにより、図2(a)に示したように、保持部材25が水平に延びているときには、レーザーセオドライト15から照射されたレーザー光線Lは、駆動部材22の内周面と保持部材25との間に形成されている隙間25aを通ってターゲット30に到達する。
これに対して、図2(b)に示したように、保持部材25が上下方向に延びているときには、レーザーセオドライト15から照射されたレーザー光線Lは、保持部材25に設けられている反射部材41で反射して回転速度検出手段40の第2の受光部42に向かう。
【0038】
すると、本第2の実施形態の回転速度検出手段40は、その第2の識別部、第2の計測部、第2の演算部、第2の表示制御部が、上述した第1実施形態の場合と同様に動作してスクリュコンベア6の回転速度を第2の表示器43に表示する。
【0039】
すなわち、本第2実施形態の回転速度検出装置200は、推進工法に用いる推進機4およびレーザーセオドライト15をそのまま活用しつつ、レーザーセオドライト15に並設した回転速度検出手段40と、推進機4の保持部材25に設けた反射部材41とによって、スクリュコンベア6の回転速度を検出するものである。
これにより、スクリュコンベア6の回転速度を検出するために推進機4を改造してセンサ等を設ける必要がないばかりでなく、推進機4の改造に伴って発生するトラブルを回避することができる。
また、その構造が簡単であるから、既存の推進機4を用いる推進工法にも容易に適用することができる。
【0040】
第3実施形態
次に図5を参照し、第3実施形態の回転速度検出装置について説明する。
【0041】
上述した第1および第2実施形態の回転速度検出装置100,200は、いずれもレーザーセオドライト15からターゲット16に向けて照射されたレーザー光線Lを活用するものであった。
これに対して、本第3実施形態の回転速度検出装置300は、発進坑4内に設けたセオドライト50を用いて自ら発光するターゲット51を視認することにより、スクリュコンベア6の回転速度を検出するものである。
【0042】
具体的に説明すると、自ら発光するターゲット51は、例えば本願出願人の先願である特開2008−64726号公報に開示されているような、LEDをバックライトとする内部照明方式とすることができる。
【0043】
これにより、図2(a)に示したように、保持部材25が水平に延びているときには、自ら発光するターゲット51からセオドライト50に向かう光線L2は、駆動部材22の内周面と保持部材25との間に形成されている隙間25aを通ってセオドライト50に到達する。
すると、セオドライト50でターゲット51を視認しているときの視野は、明るいものとなる。
【0044】
これに対して、図2(b)に示したように、保持部材25が上下方向に延びているときには、自ら発光するターゲット51からセオドライト50に向かう光線L2は、保持部材25によって遮られてセオドライト50には到達しない。
すると、セオドライト50でターゲット51を視認しているときの視野は、暗いものとなる。
【0045】
一方、セオドライト50の内部には図示されないハーフミラーが設けられていて、自ら発光するターゲット51からセオドライト50に到達した光線L2の一部を、その下方に設けられている図示されない第3の受光部へと導く。
すると、セオドライト50の内部に設けられている図示されない第3の識別部、第3の計測部、第3の演算部、第3の表示制御部が、上述した第1実施形態の場合と同様に動作してスクリュコンベア6の回転速度を第3の表示器52に表示する。
【0046】
すなわち、本第3実施形態の回転速度検出装置300は、推進工法に用いる推進機4およびターゲット51をそのまま活用しつつ、レーザーセオドライト50によってスクリュコンベア6の回転速度を検出するものである。
これにより、スクリュコンベア6の回転速度を検出するために推進機4を改造してセンサ等を設ける必要がないばかりでなく、推進機4の改造に伴って発生するトラブルを回避することができる。
【0047】
以上、本発明の推進工法における掘削ターゲット回転速度検出装置の各実施形態ついて詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態においては、いずれも推進機4の保持部材25が、レーザーセオドライトからターゲットに照射されるレーザー光線あるいは自ら発光するターゲットからセオドライトに延びる光線を遮る構造となっていた。
これに対して、スクリュコンベア6と一体に回転する他の部材をレーザー光線等の経路の途中に設けることにより、同様の作用効果を奏し得ることは言うまでもない。
また、推進工法は、上述したように既設埋設管を更新する用途に限定されるものではなく、様々な用途を対象とするものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1 既設埋設管
2 更新管
3 発進坑
4 推進機
5 減速機
6 スクリュコンベア
7 掘削ヘッド
10 油圧シリンダ
12 先導管
13 刃口部
15 レーザーセオドライト
16 ターゲット
20 推進機
22 駆動部材
25 保持部材
30 ターゲット
31 受光板
32 導光板
33 受光部
34 識別部
35 計測部
36 タイマ
37 演算部
38 表示制御部
39 表示器
40 回転速度検出手段
41 反射部材
50 セオドライト
51 ターゲット
100 第1実施形態の回転速度検出装置
200 第2実施形態の回転速度検出装置
300 第3実施形態の回転速度検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進工法に用いる掘削ヘッドの回転速度を検出する装置であって、
前記推進工法は、
その先端に掘削ヘッドが設けられているスクリュコンベアを回転駆動するとともに前記掘削ヘッドが掘削した地盤中に更新管を推進する、発進坑内に設置された推進機と、
前記掘削ヘッドと一体に推進されるターゲットに向けてレーザー光線を照射しつつ前記掘削ヘッドが地盤を掘削する方向を測定する、前記発進坑内に設置されたレーザーセオドライトと、を用いるものであり、
前記推進機は、駆動モータおよび減速機によって回転駆動される中空円環状の駆動部材と、前記スクリュコンベアの基端を前記駆動部材の内側に同軸に保持する保持手段とを有しており、
前記保持手段は、前記レーザー光線を遮る状態とレーザー光線を通過させる状態とを作り出せるようにように構成されており、
前記ターゲットは、前記レーザー光線を受光している状態および受光していない状態を識別可能な第1の識別部と、前記レーザー光線を受光している状態から受光していない状態へと所定の時間内に変化した回数を計測する第1の計測部と、この第1の計測部が計測した回数と前記所定時間とに基づいて前記スクリュコンベアの回転速度を演算する第1の演算部とを備えていることを特徴とする推進工法における掘削ヘッドの回転速度検出装置。
【請求項2】
前記ターゲットは、前記第1の演算部が演算した前記回転速度を前記レーザーセオドライトに向けて表示する回転速度表示部をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載した推進工法における掘削ヘッドの回転速度検出装置。
【請求項3】
推進工法に用いる掘削ヘッドの回転速度を検出する装置であって、
前記推進工法は、
その先端に掘削ヘッドが設けられているスクリュコンベアを回転駆動するとともに前記掘削ヘッドが掘削した地盤中に更新管を推進する、発進坑内に設置された推進機と、
前記掘削ヘッドと一体に推進されるターゲットに向けてレーザー光線を照射しつつ前記掘削ヘッドが地盤を掘削する方向を測定する、前記発進坑内に設置されたレーザーセオドライトと、を用いるものであり、
前記推進機は、駆動モータおよび減速機によって回転駆動される中空円環状の駆動部材と、前記スクリュコンベアの基端を前記駆動部材の内側に同軸に保持する保持手段とを有しており、
前記保持手段は、前記レーザー光線を前記レーザーセオドライトの側に反射する反射手段を有しており、
前記レーザーセオドライトは、前記反射手段が反射したレーザー光線を受光している状態および受光していない状態を識別可能な第2の識別部と、前記レーザー光線を受光している状態から受光していない状態へと所定の時間内に変化した回数を計測する第2の計測部と、この第2の計測部が計測した回数と前記所定時間とに基づいて前記スクリュコンベアの回転速度を演算する第2の演算部とを備えていることを特徴とする推進工法における掘削ヘッドの回転速度検出装置。
【請求項4】
前記第2の演算部が演算した前記回転速度を表示する回転速度表示部をさらに有していることを特徴とする請求項3に記載した推進工法における掘削ヘッドの回転速度検出装置。
【請求項5】
推進工法に用いる掘削ヘッドの回転速度を検出する装置であって、
前記推進工法は、
その先端に掘削ヘッドが設けられているスクリュコンベアを回転駆動するとともに前記掘削ヘッドが掘削した地盤中に更新管を推進する、発進坑内に設置された推進機と、
前記掘削ヘッドと一体に推進される自ら発光するターゲットと、
前記ターゲットを視認することにより前記掘削ヘッドの地盤掘削方向を測定する、前記発進坑内に設置されたセオドライトと、を用いるものであり、
前記推進機は、駆動モータおよび減速機によって回転駆動される中空円環状の駆動部材と、前記スクリュコンベアの基端を前記駆動部材の内側に同軸に保持する保持手段とを有しており、
前記保持手段は、前記セオドライトから前記ターゲットに向かう視野を遮る状態と遮らない状態とを作り出せるように構成されており、
前記セオドライトは、前記ターゲットを視認しているときの視野が明るい状態および暗い状態を識別する第3の識別部と、前記視野が明るい状態から暗い状態へと所定の時間内に変化した回数を計測する第3の計測部と、この第3の計測部が計測した回数と前記所定時間とに基づいて前記スクリュコンベアの回転速度を演算する第3の演算部とを備えていることを特徴とする推進工法における掘削ヘッドの回転速度検出装置。
【請求項6】
前記セオドライトは、前記第3の演算部が演算した前記回転速度を表示する回転速度表示部をさらに有していることを特徴とする請求項5に記載した推進工法における掘削ヘッドの回転速度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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