説明

揚げカス処理装置

【課題】
シンプルな構成でありながら、脱油率が良好な揚げカス処理装置を提供する。
【解決手段】
揚げカス投入口3と、揚げカス投入口3の下方に位置して回転可能に設けられ、底壁41と、多孔状の周壁40と、を備えた油分離かご4と、油分離かご4の下方に位置して設けられたモータ6と、モータ6の回転により油分離かご4を周方向に回転させるシャフト7と、油分離かご4の下方かつモータ6の上方に位置して設けられ、シャフト7を回転可能に挿通させる開口21と、油回収口20と、を備え、上面が油を油回収口に案内するガイド面となっている油回収ガイド板2と、を備え、油分離かご4の周壁の外面には、当該外面の下方部位に位置して、油分離かご4の回転時に遠心方向に空気流を生成する少なくとも1枚の羽根43が設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚げカス処理装置に係り、より詳しくは、揚げカスから油分を分離する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品製造工場やレストラン等で各種揚げもの(天ぷら、とんかつ、からあげ、その他各種フライ等)を調理する際には、大量の揚げカスが発生する。揚げカスはそのまま放置しておくと発火のおそがあるため、揚げカスを水にさらしてグリーストラップで油分を捕集したり、揚げカスから油分を分離する装置を用いて揚げカスを処理したりしている。
【0003】
揚げカスを処理する装置としては、幾つかの提案が行われているが、圧縮式の装置が主流である(特許文献1〜4)。しかしながら、圧縮式の揚げカス処理装置は、構造が複雑かつ大がかりであるため、装置のコストも高くなってしまい、より低コストの装置の登場が望まれている。
【0004】
揚げカス処理装置に要求される性能として、脱油率が重要である。脱油率が高ければ高いほど、再利用できる油量が多くなり、脱油後の揚げカスも軽量となる。また、他の性能としては、揚げカスの自然発火をより確実に防止するには、減温率が大きい方が望ましい。
【0005】
揚げカス処理装置は、揚げカスから油分を分離するものであり、分離した油分が不必要な部位に漏れ出ないようにすることも重要である。油分が不必要な部位に付着すると、付着した油分の清掃が必要となり、また、装置の駆動機構に油分が付着した場合に、これを放置すると、装置の性能に悪影響を与えるおそれがある。
【特許文献1】特許第3734809号
【特許文献2】特許第4531707号
【特許文献3】特許第4694407号
【特許文献4】特開2010−51934号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することができる揚げカス処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
揚げカス投入口と、
揚げカス投入口の下方に位置して回転可能に設けられ、底壁と、多孔状の周壁と、を備えた油分離かごと、
油分離かごを周方向に回転させるためのモータと、
油分離かごの下方に設けられ、油回収口を備え、上面が油を油回収口に案内するガイド面となっている油回収ガイド板と、
を備え、
揚げカスを収容した油分離かごの回転によって、揚げカスの油分を、油分離かごの多孔状の周壁から飛散させ、飛散した油分を油回収ガイド板のガイド面で受け取って、油回収口から排出させるように構成されており、
前記油分離かごの周壁の外面には、当該外面の下方部位に位置して、油分離かごの回転時に遠心方向に空気流を生成する少なくとも1枚の羽根が設けてあることを特徴とする揚げカス処理装置、である。
【0008】
1つの態様では、
前記モータは、油分離かごの下方に位置して設けてあり、
前記油分離かごは、一端が油分離かごの底壁に固定され、他端がモータの回転軸と伝動連結されているシャフトにより、モータの回転が伝動されて周方向に回転するようになっており、
前記油回収ガイド板は、油分離かごの下方かつモータの上方に位置して設けられ、シャフトを回転可能に挿通させる開口を備えている。
言い換えると、1つの態様では、揚げカス処理装置は、
揚げカス投入口と、
揚げカス投入口の下方に位置して回転可能に設けられ、底壁と、多孔状の周壁と、を備えた油分離かごと、
油分離かごの下方に位置して設けられたモータと、
一端が油分離かごの底壁に固定され、他端がモータの回転軸と伝動連結されており、モータの回転により油分離かごを周方向に回転させるシャフトと、
油分離かごの下方かつモータの上方に位置して設けられ、シャフトを回転可能に挿通させる開口と、油回収口と、を備え、上面が油を油回収口に案内するガイド面となっている油回収ガイド板と、
を備え、
揚げカスを収容した油分離かごの回転によって、揚げカスの油分を、油分離かごの多孔状の周壁から飛散させ、飛散した油分を油回収ガイド板のガイド面で受け取って、油回収口から排出させるように構成され、
前記油分離かごの周壁の外面には、当該外面の下方部位に位置して、油分離かごの回転時に遠心方向に空気流を生成する少なくとも1枚の羽根が設けてあることを特徴としている。
【0009】
1つの態様では、
前記油回収ガイド板のシャフトを挿通させる開口の周縁には、立ち上がり状の周壁(後述する実施形態では、周壁22)が形成されており、
前記油分離かごの底壁の下面には、前記シャフトを囲むように垂下状の周壁(後述する実施形態では、周壁42、また、周壁42と共にあるいはこれに代えて、周壁40の下方部位がシャフトを囲む垂下状の周壁を構成してもよい)が形成されており、
前記2つの周壁は異なる径を備えており、
前記立ち上がり状の周壁の上端と、前記垂下状の周壁の下端とは、同じ高さ位置、あるいは、前記上端が前記下端より上方に位置することで2つの周壁同士が部分的に対向するような高さ位置にある。
【0010】
1つの態様では、前記油分離かごは、前記シャフトの上端に固定されており、前記羽根を備えた第1かごと、第2かご内に取り出し可能に設けられ、揚げカスが収容される第2かごと、からなり、前記第2かごは第1かごと共に周方向に回転する。
1つの態様では、前記第2かごは、油濾過フィルタから形成されている。
1つの態様では、前記第1かごと前記第2かごは、共に、周壁に多数の孔が形成されている金属製のかごである。
第2かごの孔が、油は通すが揚げカスは通さないような寸法を備えている場合には、第1かごの孔は、揚げカスが通過できるような寸法の孔であってもよい。
2つのかごを設けずに、1つのかごがシャフトに取り外し可能となっているものでもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、揚げカスを収容した油分離かごの回転により、遠心力を用いて油分を分離するものであり、従来の圧縮式の揚げカス処理装置に比べて、少ない部品点数で構成することができ、構造がシンプルであり、比較的低コストで装置を提供することができる。また、揚げカスを遠心分離することで、油が分離された後の揚げカスの減温率も良好である。
【0012】
周方向に回転する油分離かごの周壁の外面の下方部位に位置して、油分離かごの回転時に遠心方向に空気流を生成する少なくとも1枚の羽根が設けることで、油分離かごに収容された揚げカスの底壁の周縁の隅に位置する揚げカスの脱油を効率良く行うことができる。
【0013】
本発明では、油分離かごをシャフトによって回転させる場合に、ガイド板にはシャフトを挿通させる開口が必要となり、開口とシャフトとの間にはシャフトの回転の許容するための隙間が形成されるが、油分離かごの回転と共に羽根が回転して、油分離かごの下方部位において遠心方向(シャフト及び開口から遠ざかる方向)の空気流を形成することで、この空気流によって、飛散した油が、シャフトと開口との隙間に入り込むことを可及的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る揚げカス処理装置の外観図である。内部構造の一部を点線で示してある。
【図2】実施形態に係る揚げカス処理装置の内観図である。
【図3】左図は、揚げカス処理装置の駆動機構を示す内観図であり、右図は、ケーシングおよびガイド板のみを示す図である。
【図4】図3左図における駆動機構の部分拡大図である。
【図5】油分離かごの平面図及び側面図である。
【図6】油分離かご及び油分離かごとガイド板、シャフトとの取り合いを示す断面図である。
【図7】羽根の他の実施形態を示す平面図である。
【図8】羽根の作用を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、説明する。図1に示すように、揚げカス処理装置は、上壁10、前壁11、後壁12、左右側壁13、底壁14を備えた縦長直方体のケーシング1を備えている。ケーシング1の内部空間は、後壁12から前壁11に向かって下向き傾斜状に延びるガイド板2によって上側空間、下側空間、に仕切られている。
【0016】
図示の態様では、ガイド板2は、前後方向の一端が前面11に達し、他端が後面12に達しており、前面11と後面12との間の全前後幅に亘って延びている。ガイド板2の左右方向の一端は一方の側面13に達し、他端は他方の側面13に達しており、左右の側面12間の全左右幅に亘って延びている。
【0017】
ガイド板12の四周は、前壁11、後壁12、左右の側壁13の内面に油の漏れがないように接続されている。接続手段は限定されないが、例えば、溶接が例示される。接続手段に加えて、油漏れを防止するシール処理を施してもよい。
【0018】
なお、ガイド板12の四周の縁部を折り曲げて、当該折り曲げ片と、前壁11、後壁12、左右の側壁13の内面と、を重ね合わせて接続してもよい。あるいは、ガイド板12と前壁11、後壁12、左右の側壁13の少なくともいずれか1つを同じ板材から折り曲げ形成してもよい。
【0019】
ガイド板2の前後方向の幅寸法は、前面11と後面12との間の寸法よりも短くてもよい。ガイド板2の左右方向の幅寸法は、左右の側面13間の寸法よりも短くてもよい。このような態様としては、ケーシング1の内部空間の上側空間に、上側が開放状で、四周壁及び傾斜状の底壁を備えた箱体を設け、当該箱体の傾斜状の底壁をガイド板とした場合が例示される。
【0020】
ガイド板2の上面は、傾斜状のガイド面となっており、傾斜状のガイド面の低い側に油回収口20が形成されている。ガイド面が受け取った油分は、傾斜状のガイド面によって油回収口20へ案内されて、油回収口2から下方に排出されて回収される。図示の形態では、ガイド面は平面状の傾斜面であるが、傾斜面は曲面であってもよい。例えば、ガイド板の上面が下向きに膨出しており(例えば、すり鉢状に膨出している)、底部に油回収口を形成してもよい。
【0021】
ケーシング1の上壁10は、開閉可能な上蓋となっており、上蓋には、揚げカス投入口3が形成されている。投入口3は、上蓋の面部から下方に向かって縮径状に延びる側壁30と、側壁30の下端に形成された開口31と、からなる。
【0022】
図2に示すように、ケーシング1の内部の上側空間には、揚げカス投入口3の直下に位置して、上側が開放状の円筒状の油分離かご4が回転可能に設けてある。油分離かご4は金属製であり、金属製金網からなる円筒状の周壁40と、底壁41と、を備えている。油分離かご4内には、上側が開放状の油濾過フィルタ5が出し入れ可能に設けてある。
【0023】
油濾過フィルタ5は、油は通すが、揚げカスは通さないような材料から形成される。油濾過フィルタ5としては、公知の油濾過フィルタを用いることができ、そのようなフィルタとしてミルオイルフィルターを例示することができる。揚げカス投入口3から投入された揚げカスは、下端の開口31から落下して、油分離かご4内に設けたフィルタ5内に入る。
【0024】
ケーシング1の内部の下側空間には、油分離かご4およびガイド板2の下方に位置してモータ6が設けてある。モータ6の出力軸は、ガイド板2を貫通して垂直状に延びるシャフト7を介して油分離かご4の下端部に伝動連結されており、モータ6の回転により油分離かご4が周方向に回転するようになっている。油濾過フィルタ5は、油分離かご4と一体で回転するように油分離かご4内に設けられている。油濾過フィルタ5の部分が、油分離かご4の周壁40の内面、底壁41の上面に少なくとも部分的に接触していれば、接触部分の摩擦によって、油分離かご4と油濾過フィルタ5は一体で回転する。
【0025】
ケーシング1の内部の上側空間において、ガイド板12の上面と、前壁11、後壁12、左右の側壁13の内面と、油分離かご4の周壁40の外面と、で囲まれる空間は、油飛散空間Aとなっている(図2参照)。揚げカスを収容した油濾過フィルタ5及び油分離かご4の回転によって、揚げカスの油分は、油濾過フィルタ5で濾過されて、油分離かご4の多孔状の周壁40の多孔(網目)を通って油飛散空間Aに飛散する。油飛散空間Aに飛散した油分は、直接、あるいは、前壁11、後壁12、左右の側壁13の内面を伝って、あるいは、これらの内面から跳ね返って、重力によって、ガイド板2の傾斜状の上面で受け取られて油回収口20へ案内され、油回収口20からドレン20aを通って下方に排出される。
【0026】
ケーシング1の下側空間の前面側には油回収部が形成されている。図示の態様では、下側空間の前面側は、開放状の有底空間8となっており、有底空間8の底面80には、油回収カップ9が載置される。ガイド板2の前端側には油回収部(油回収カップ9)の上方に位置してガイド板2の油回収口20に連通するドレン20aが形成されている。
【0027】
図4に示すように、モータ6は、底壁14に立設された支持フレーム140に垂直姿勢で保持されている。上方に垂直に延びるモータ軸は、カップリング70を介して、垂直状に延びるシャフト7と伝動連結されており、モータ軸とシャフト7が一体で回転するようになっている。シャフト7は、支持フレーム140に支持された水平状の2つのスラストベアリング71により垂直姿勢で回転自在に支持されている。
【0028】
図3右図に示すように、ガイド板2のほぼ中央部位には、シャフト7を垂直方向に挿通させる円形状の開口21が形成されている。ガイド板2は、油回収口20以外では、開口21を除いて、下側空間へ油漏れがないようになっている。開口21の周縁は、上方に垂直に立ち上がっており、円筒状の周壁22を形成している。周壁22は、ガイド板2上の油が開口21を通って、ケーシング1の内部の下方空間に浸入することを防止している。
【0029】
図3左図、図4に示すように、開口21を通って上方に延びるシャフト7の上端には円板状の連結部72が形成されている。円板状の連結部72の径は開口21の径よりも小さい。開口21を通して上方空間にまで延びた円板状の連結部72は、油分離かご4の底壁41の下面に固定されている。円筒状の油分離かご4は、モータ6の回転によって、円形の底壁41の中心を通る鉛直軸線を回転中心として、周方向に回転するようになっている。シャフト7の回転と共に油分離かご4が回転するものであれば、連結部72と底壁41との連結手段は限定されないが、1つの態様では螺子を用いて固定される。
【0030】
図5、図6に示すように、油分離かご4の周壁40の下端は底壁41よりも下方に延びており、いわゆる底上げ状になっている。油分離かご4の底壁41の下面には、円筒状の周壁42が垂下状に設けてある。円筒状の周壁42の径は、円板状の連結部72の径、及び、円筒状の周壁22の径よりも大きく、油分離かご4の周壁40の径よりも小さい。図示の態様では、周壁42の下端420は、周壁40の下端400よりも下方に延びているが、周壁42の下端420は、周壁40の下端400と同じ高さ、あるいは、より高い位置にあってもよい。
【0031】
1つの態様では、油分離かご4の底壁41の円筒状の周壁42の下端420と、ガイド板2の円筒状の周壁22の上端220とは、ほぼ同じ高さ位置、あるいは、油分離かご4の底壁41の円筒状の周壁42の下端420は、ガイド板2の円筒状の周壁22の上端220よりも低い高さにあり、2つの周壁同士が部分的に対向するような高さ位置(高さ方向に部分的に重なっている)にある。こうすることで、飛散した油分の飛沫が、ガイド板2の開口21とシャフト7との間の隙間からケーシング1の下方空間に落下することを可及的に防止している。
【0032】
油分離かご4の周壁40の下方部位には、周方向に等間隔(すなわち、120度間隔)で3つの羽根43が設けてある。図示の態様では、各羽根43は垂直状に延びており、羽根43の下端は周壁40の下端と一致している。油分離かご4の回転時に、ガイド板2と接触しない範囲において、羽根43の下端が周壁40の下端よりも下方に延びていてもよい。
【0033】
モータ6の回転により油分離かご4が回転すると、油分離かご4の周壁40の下方部位に設けた羽根43も一体で回転し、遠心方向に風の流れを形成する。遠心方向の風の流れは、開口21から遠ざかる方向に作用するため、飛散した油分の飛沫が開口21とシャフト7のクリアランスから飛沫した油が浸入することを防止する。
【0034】
羽根43は、遠心方向に風の流れを形成できるものであれば、配向や枚数は限定されない。図示の態様では、羽根43は垂直に延びているが、垂直方向に対して傾斜していてもよい。図示の態様では、3枚の羽根43を示しているが、図7に示すように、例えば、1枚(図7(A))、2枚(図7(A))、4枚(図7(A))の羽根を設けたものでもよい。回転時のバランス等を考慮すると、複数枚の羽根を設ける場合には、周方向に等間隔で設けるのがよい。
【0035】
このように構成された揚げカス処理装置において、揚げカス投入口3から投入された揚げカスは、開口31から落下して、油分離かご4内のフィルタ5内に入る。必要に応じて、蓋体を開けて、油分離かご4内に、投入された揚げカスを上から押さえる押さえ蓋を設ける。蓋体を閉めて、ケーシング1の前壁11に設けたスイッチのスタートボタンS1を押すと、モータ6が回転し、モータ6の回転に連動して、油分離かご4及びフィルタ5が回転し、揚げカスに含まれる油がフィルタ5、油分離かご4の網目を通して、遠心方向に飛散し、飛散した油は、重力でガイド板2上に落下して回収され、傾斜状のガイド板2の前端に向かって案内されて、油回収口20から排出される。
【0036】
この時、ガイド板2の開口21の周縁には、周縁22が形成されているので、ガイド板2上を移動する油が開口21から下方に落下することがない。さらに、油分離かご4の底壁41の下面から垂下する周壁42が立ち上がり状の周壁22と高さ方向において重なっているので(図6参照)、飛散した油が、シャフト7と周壁22の隙間に入り込むことを可及的に防止している。
【0037】
さらに、油分離かご4の回転と共に羽根43が回転して、油分離かご4の下方部位において遠心方向の空気流を形成する。この空気流によって、飛散した油が、シャフト7と周壁22の隙間に入り込むことを可及的に防止している。
【0038】
油回収口20、ドレン20aから排出された油は、ケーシング1の下方空間の前方に設けた油回収カップによって回収される。揚げカスから油を回収した後、停止ボタンS2を押してモータ6および油分離かご4の回転を停止し、上蓋を開けて、処理後の処理後の揚げカスが収容されているフィルタ5を油分離かご4から取り出すことで、廃棄処分(燃えるごみとして処理可能)する。
【0039】
ここで、羽根43を設けたことが脱油率の向上にどのように関係するか考察する。図8(A)は、羽根を備えていない油分離かごに揚げカスを収容して回転させた後の状態を示す概念図である。実際、底壁41及び周壁40と底壁41との隅部近傍に揚げカスが存在し、特に、隅部近傍では油分が残って湿った状態となりがちである。これに対して、羽根43を設けた油分離かごに揚げカスを収容して回転させたところ、図8(B)(便宜上、1つの羽根43のみを示すが、羽根の枚数は限定されない)に示すように、底壁41及び周壁40と底壁41との隅部近傍に揚げカスが残りにくいことがわかった。上述のように、油分離かご4の回転と共に羽根43が回転して、油分離かご4の周壁40の外面の下方部位において遠心方向の空気流を形成するが、この空気流によって、油分離かご4の内部の下方部位の隅部が負圧となり、図8(B)に示すような空気の流れが生じるものと考えられる。
【符号の説明】
【0040】
1 ケーシング
2 ガイド板
20 油回収口
21 開口
22 立ち上がり状周壁
3 揚げカス投入口
4 油分離かご
40 周壁
41 底壁
42 垂下状周壁
43 羽根
5 油濾過フィルタ
6 モータ
7 シャフト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚げカス投入口と、
揚げカス投入口の下方に位置して回転可能に設けられ、底壁と、多孔状の周壁と、を備えた油分離かごと、
油分離かごを周方向に回転させるためのモータと、
油分離かごの下方に設けられ、油回収口を備え、上面が油を油回収口に案内するガイド面となっている油回収ガイド板と、
を備え、
揚げカスを収容した油分離かごの回転によって、揚げカスの油分を、油分離かごの多孔状の周壁から飛散させ、飛散した油分を油回収ガイド板のガイド面で受け取って、油回収口から排出させるように構成されており、
前記油分離かごの周壁の外面には、当該外面の下方部位に位置して、油分離かごの回転時に遠心方向に空気流を生成する少なくとも1枚の羽根が設けてあることを特徴とする揚げカス処理装置。
【請求項2】
前記モータは、油分離かごの下方に位置して設けてあり、
前記油分離かごは、一端が油分離かごの底壁に固定され、他端がモータの回転軸と伝動連結されているシャフトにより、モータの回転が伝動されて周方向に回転するようになっており、
前記油回収ガイド板は、油分離かごの下方かつモータの上方に位置して設けられ、シャフトを回転可能に挿通させる開口を備えている、
請求項1に記載の揚げカス処理装置。
【請求項3】
前記油回収ガイド板のシャフトを挿通させる開口の周縁には、立ち上がり状の周壁が形成されており、
前記油分離かごの底壁の下面には、前記シャフトを囲むように垂下状の周壁が形成されており、
前記2つの周壁は異なる径を備えており、
前記立ち上がり状の周壁の上端と、前記垂下状の周壁の下端とは、同じ高さ位置、あるいは、前記上端が前記下端より上方に位置することで2つの周壁同士が部分的に対向するような高さ位置にある、請求項1、2いずれかに記載の揚げカス処理装置。
【請求項4】
前記油分離かごは、
前記シャフトの上端に固定されており、前記羽根を備えた第1かごと、
第2かご内に取り出し可能に設けられ、揚げカスが収容される第2かごと、
からなり、前記第2かごは第1かごと共に周方向に回転する、請求項1〜3いずれか1項に記載の揚げカス処理装置。
【請求項5】
前記第2かごは、油濾過フィルタから形成されている、請求項4に記載の揚げカス処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−94733(P2013−94733A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239877(P2011−239877)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(511265305)有限会社ウィンダム (1)
【Fターム(参考)】