説明

揮発性材料を送出するための、エネルギーを要するシステム及び装置

揮発性材料を大気に放出(emitting)又は放出(releasing)するための揮発性材料の送出システムを提供する。より具体的には、一時的放出増加をもたらすために、エネルギー源を使用して1つ以上の揮発性材料を送出するための送出システムも、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性材料を大気に放出(emitting)又は放出(releasing)するための送出システムに関する。より具体的には、本発明は、1つ以上の異なる揮発性材料を送出するための、エネルギー源を要する送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
心地よい香気をもたらすために、揮発性組成物を空間の中へ、特に例えば浴室などの家庭空間の中へ蒸発させるのに、装置を使用することは一般に既知である。このような装置の最も一般的なものは、空気清浄剤組成物の微小液滴を空気中へ押出す噴霧容器である。別の一般的な種類の分配装置は、乾燥して小さくなるときに気化した空気処理組成物を大気中へ放出する一群のゼラチン状物質を収容又は支持する皿である。防臭剤ブロックのような他の製品は、蒸発によって空気処理蒸気を大気中へ分配するのにも使用される。別の類の蒸気分配装置は、蒸発性組成物を含浸した又はそれでコーティングされたボール紙のようなキャリア材料を利用する。様々なこのような装置が販売されており、例えば、アジャスタブル(ADJUSTABLE)(登録商標)(ダイアル社(Dial Corp.)製)又はデュエット(DUET)(登録商標)2イン1ゲル+スプレー(2 in 1 Gel + Spray)(S.C.ジョンソン社(S.C.Johnson)製)がある。一般に、前記装置は、香料又は芳香剤の供給源、芳香を制御するための調整可能な最上端部及び/又はスプレーヤからなる。芳香剤の供給源内(受動的ディスペンサー)の開口部を調節することにより、香料又は芳香剤は、装置が置かれている空間に連続的に供給される。スプレーヤ(能動的ディスペンサー)を適用することにより、香料又は芳香剤は、装置が供給されている空間に一時的に供給される。
【0003】
この仕組みに関わる問題点は、その空間を占める人が香料又は芳香剤にたちまち慣れて、しばらくすると、芳香剤の強さを強いと感じなくなり、あるいは全く気付かない場合もあることである。これは、慣れと呼ばれる周知の現象である。慣れの問題を取り扱おうとした取り組みが、米国特許出願公開第5,755,381号(ヤザキ・セイイチ(Seiichi Yazaki))に記載されている。ヤザキ特許は、均一な芳香濃度で芳香性液体から芳香を一定期間放出するための芳香放出装置を開示している。前記装置は、分割プレートで上部区画と下部区画に区切られた容器であって、上カバー部分と下カバー部分を貫通しているエアーチューブを有する容器を具えている。上部区画と下部区画とが互いに通じ合えるように、穿孔が分割プレートに設けられている。上部区画に空気が入ると、上部区画に保持されている芳香性液体が穿孔を通じて分割プレートの中へ流れ落ちて、下側の区画の空いている部分に蓄積する。香気を含む空気は、下部区画のエアーチューブから放出される。上部区画内の芳香性液体が下部区画へ完全に移動すると、香気を含む空気の放出が停止する。前記装置は、装置の容器をいつでも上下逆さまにして置くことによって繰り返し使用できる。ヤザキ特許は、漏刻として機能できる装置に向けられているように思われる。すなわち、流体が上部区画から下部区画へ移動すると、この装置は香りの良い芳香剤を放出し、その後、流体移動が完了すると放出を停止する。ヤザキ特許には、香料又は香りの良い芳香剤を供給するために蒸発表面装置を使用することが記載されておらず、むしろ、ヤザキの装置の香気を含む空気は、下部区画内に設けられたエアーチューブの使用によって放出される。更に、ヤザキの香りの良い芳香剤は、一時的な放出として与えられる。それは、特に連続しないように設計されている。
【0004】
蒸発表面装置機器類(ウィック装置、など)は、芳香剤、防臭剤、殺菌剤又は殺虫剤活性剤のような揮発性液体を大気中に分配することで周知である。典型的な蒸発表面装置は、揮発性液体を液体流体貯蔵器から分配するために、ウィック部と発散領域との組み合わせを利用する。蒸発表面装置については、米国特許第1,994,932号、同第2,597,195号、同第2,802,695号、同第2,804,291号、同第2,847,976号、同第3,283,787号、同第3,550,853号、同第4,286,754号、同第4,413,779号、及び同第4,454,987号に記載されている。
【0005】
理想的には、蒸発表面装置は、できる限り単純で、ほとんど又は全く保守の必要がなく、また揮発性材料を、指定された領域に規則的でかつ制御された速度で分配できると同時に、その放出の完全性を装置の耐用期間にわたって維持するような様式で機能すべきである。残念なことに、市販されているほとんど全ての比較的単純な非噴霧式装置は、同様の制限に悩んでいる。揮発性の高い構成成分が最初に取り除かれ、揮発性の低い構成成分が後に残るという事実に起因して、放出は、装置の耐用期間の間に歪んでくる。組成物のこの経時変化は、揮発性の低い構成成分ほど遅く蒸発することから、結局は芳香剤の強度を弱めることとなる。より良い空気清浄装置を考え出そうとしている者の注意の多くを占めているのは、これら2つの問題、すなわち芳香剤材料の寿命にわたる強度低下と歪みである。表面からの蒸発に依存する実用上全ての装置が、上記短所に悩んでいる。大抵の装置では、ウィック部、ゲル又は多孔質の表面は単に、芳香剤材料がより迅速に蒸発できる、より大きな表面積を提供するが、液体自体の表面からのように、分溜がまだ生じており、その結果、より揮発性の高い構成成分が蒸発した途端に、芳香剤の初期バーストが生じ、その後、より強度の低い期間が続く。この分溜、及びおそらくは不溶性物質の沈殿に基づくウィック部の目詰まりとの組み合わせに起因して、蒸発表面装置は正常に機能しなくなり始める。芳香剤が歪み始めると、放出強度は感知できる程度に低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
揮発性材料の送出システムの、強度制御の概念を消費者にとって望ましい価値のある方法に変換する能力に加えて、習慣化、香気低下、分溜、及びウィック部の目詰まりといった問題の解決策が求められている。持続段階の放出に自動的に戻るのに加えて、増加段階の放出が与えられる方法の簡便さに関連して審美性が改善され、それによって作り出される動的で相互作用的な香気体験が、非活性な非噴霧式の装置を非常に望ましいものにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
送出システムの多数の実施形態が本明細書に記述されているが、その全ては、非限定例であることが意図されている。本発明の一実施形態において、揮発性材料の送出システム(以下「送出システム」とする)が提供される。前記送出システムは、少なくとも1つの揮発性材料を含み、少なくとも1つの揮発性材料の連続的持続段階の放出及び/又は少なくとも1つの揮発性材料の一時的増加段階の放出を与える。前記揮発性材料は、1つ以上の香料成分を含み、香料成分の一部は、高いコヴァッツインデックスを有する。一実施形態において、前記香料成分の少なくとも40重量パーセントが1500以上のコヴァッツインデックスを有する。
【0008】
本発明の別の実施形態においては、エネルギー源を要する揮発性材料送出システムを提供する。本送出システムは、熱源か、気体供給源か、又は電源を使用するが、前記少なくとも1つの揮発性材料は、噴霧器により機械的に送出されない。前記送達システムは、(a)少なくとも1つの流体貯蔵器を具えた少なくとも1つの容器と、(b)前記少なくとも1つの容器に設けられた少なくとも1つの蒸発表面装置開口部と、(c)少なくともいくつかの長手方向の露出部を有し、蒸発表面装置開口部及び流体貯蔵器に少なくとも部分的に設けられて揮発性材料に流体接続する少なくとも1つの蒸発表面装置と、(d)所望により少なくとも1つのバイパスチューブと、(e)所望により1つ以上の第2の蒸発表面装置を更に具えてもよい。
【0009】
本発明の別の態様では、単一供給源、あるいは複数の供給源からの少なくとも1つの揮発性材料を含む送出システムが提供される。前記少なくとも1つの揮発性材料は、様々な揮発性材料、並びに不揮発性材料を、任意の量で含有する組成物であってよい。前記1つ以上の揮発性材料は、送出システムの耐用年数にわたって様々な揮発度を有していてよい。消費者は、均一な放出を与えるため、及び例えば悪臭制御のために所望の嗅覚効果の認識を高めるために、蒸発表面装置へ供給される揮発性材料の容量を制御することができる。本明細書に記載の送出システムは、収集ボウル、ポンプ、及びばね作用装置を含むが、これらに限定されない、いかなる種類の投与装置をも含むことができる。本送出システムはまた、横に倒れたときに、揮発性材料の流出を低減するように構成されることができる。
【0010】
本発明の更に別の態様では、キットが提供される。キットは、(a)包装と、(b)使用説明書と、(c)少なくとも1つの揮発性材料を含みかつエネルギー源を要する揮発性材料の送出システムとを具え、前記送出システムは、少なくとも1つの揮発性材料の連続的持続段階の放出及び/又は少なくとも1つの揮発性材料の一時的増加段階の放出を与え、前記揮発性材料は、噴霧器によって機械的に送出されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、揮発性材料を大気に放出(emitting)又は放出(releasing)するための送出システムに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、持続段階の放出モード中及び/又は増加段階の放出モード中に少なくとも1つの揮発性材料を与える送出システムに関する。本送出システムは、熱源か、気体供給源か、又は電源を使用するが、揮発性材料は噴霧器により機械的に送出されない。電源を使用する送出システムの一例は、電動送風機の使用である。添付の図面を見れば、本明細書に記載の送出システムの実施形態が多数あることを理解できるはずであるが、それらは全て、非限定的な例とするものである。
【0012】
定義
本明細書で使用するとき、「揮発性材料」という用語は、蒸発性材料、又は蒸発性の1つ以上の材料を含む別個のユニットに言及するか、あるいはエネルギー源を必要とせずに蒸発性の材料を含む。いかなる量又は形態の、いかなる好適な揮発性材料も使用することができる。したがって、用語「揮発性材料」には、もっぱら単一の揮発性物質からなる組成物が含まれる(が、これに限定されない)。用語「揮発性材料」はまた、1を超える揮発性構成成分を有する組成物に言及すること、及び前記揮発性材料の構成物質の全てが揮発性である必要はないことを理解すべきである。したがって、本明細書に記載の揮発性材料は、不揮発性構成成分を有していてもよい。揮発性材料が本明細書中で「放出される(emitted)」又は「放出される(released)」と記載される場合、これは、揮発性構成成分の揮発に言及すること、及びその不揮発性構成成分が放出される必要性はないことも理解すべきである。本明細書において対象の揮発性材料は、これらに限定されるものではないが、固体、液体、ゲル、及びこれらの組み合わせを含む好適ないかなる形態でもあり得る。揮発性材料は、カプセル封入されていてもよく、蒸発表面装置(例えば、蒸発表面装置)において使用でき、また揮発性材料で含浸されているか又はそれを含有する多孔性材料及びこれらの組み合わせのような、キャリア材料と組み合わせることができる。いかなる好適な量又は形態の、いかなる好適なキャリア材料も使用することができる。例えば、送出システムは、1つ以上のキャリア材料(例えば、水、溶媒、など)中の1つ以上の供給源からの単相組成物、多相組成物及びこれらの組み合わせを含む揮発性材料を含有していてよい。
【0013】
本明細書で使用するとき、「揮発性材料」、「香気」及び「放出」という用語は、これらに限定されるものではないが、心地よいにおい又は良いにおいを含み、そのため、芳香剤、空気清浄剤、防臭剤、消臭剤、悪臭中和剤、殺虫剤、防虫剤、薬物、殺菌剤、消毒剤、ムード増強剤(mood enhancers)、及びアロマテラピー助剤として機能する材料、又は大気若しくは環境を調整、変性、それでなければ大気若しくは環境を満たすように作用する物質を用いていかなる他の好適な目的を果たす材料も包含する。これらに限定されるものではないが、香料、芳香物質、及び放出された物質を含む特定の揮発性材料は、多くの場合、(揮発性物質の収集物からなる独特の及び/又は別個のユニットを形成する可能性のある)1つ以上の揮発性組成物からなることを理解すべきである。例えば、悪臭制御組成物としては、臭気中和材料、臭気遮断材料、臭気マスキング材料、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
本発明の送出システムについて言及するとき、用語「エネルギー源を要する」とは、送出システムが、揮発性材料の大気への送出を助けるために熱源か、気体供給源か、又は電源を使用することを意味する。例としては、ウィック部又はゲル状材料を加熱するための加熱部材の使用、及び送風機などの送出装置に電力を供給するための電流の使用が挙げられる。本発明の一実施形態では、本発明のウィック部は、加熱ブロックを貫通することができる。作動するとき、加熱ブロックはウィック部を加熱し、その結果、揮発性材料が送出される。加熱ブロックは、ユーザーにブロックをしばらくの期間作動させることによって、送出される揮発性物質の一時的増加をもたらすために使用することができる。そのような期間は、おそらく「オン/オフ」スイッチの使用によって、ユーザーにより予め定められる、又は独立して制御されることができる。本発明の別の実施形態では、送風機が蒸発表面の後方に設置される。作動するとき、送風機は蒸発表面の上部に空気を吹き込み、その結果、揮発性材料が送出される。送風機は、ユーザーに送風機をしばらくの期間作動させることによって、送出される揮発性物質の一時的増加をもたらすために使用することができる。そのような期間は、おそらく「オン/オフ」スイッチの使用によって、ユーザーにより予め定められる、又は独立して制御されることができる。別の実施形態では、加熱ブロックと送風機の両方が使用されて、1つのエネルギー源が基準の揮発性物質送出を与え、もう一方のエネルギー源が一時的増加をもたらしてもよい。例えば、一定水準の揮発性物質送出をもたらすために、加熱ブロックを使用できる一方、揮発性物質送出を増加させるために送風機を一時的に作動させることができ、またその逆もあり得る。
【0015】
「コヴァッツインデックス」(KI又は保持指標)は、クロマトグラフィーカラム上への溶質又は香料原料(PRM)の選択的保持により定義される。主として、カラム固定相及び溶質又はPRMの性質により判断される。あるカラムシステムにおいて、PRMの極性、分子量、蒸気圧、沸点及び固定相の性質が、保持の程度を決定する。あるGCカラム上の検体の保持を系統的に表すために、コヴァッツインデックス(又は保持指標)と呼ばれる指標を定義する。コヴァッツインデックス(KI)は、カラム上の検体(又はPRM)の揮発属性と、同一カラム上のn−アルカン系の揮発特性との関係を位置づけたものである。用いられる典型的なカラムは、DB−5及びDB−1である。
【0016】
この定義により、ノルマルアルカンのKIは100nに設定され、ここでnはn−アルカンの炭素原子数である。この定義を用い、時間t’で溶出される場合、補正保持時間t’n及びt’Nをそれぞれ有する炭素原子数n及びNの2つのn−アルカンの間のPRMのコヴァッツインデックスxは、以下のように計算される。
【0017】
【数1】

【0018】
送出システムは、香油の形態の揮発性材料を含有することができる。最も常套的な芳香剤材料は揮発性精油である。揮発性材料は、一般に香料の供給元から入手可能な1つ以上の揮発性有機化合物を含んでいてよい。更に、前記揮発性材料は、合成的又は自然に形成された材料でもあり得る。例としては、これらに限定されないが、ベルガモット、橙、レモン、マンダリン、ヒメウイキョウ、ニオイヒバ(cedar leaf)、クローブリーフ、シダーウッド、ゼラニウム、ラベンダー、オレンジ、オリガナム、プチグレン、ヌマヒノキ、パチョリ、ラバンジン、ネロリ(neroili)、ローズアブソリュートなどの油が挙げられる。放出された物質又は芳香剤の場合、異なる揮発性材料は、類似するか、関連しているか、相補的であるか、又は対照的であることができる。
【0019】
更に、本発明の送出システムの重量の力を借りる性質は、これまで蒸発システムに利用可能だったものより広い範囲の香料成分を使用する機会を提供する。香料の液体要素全てが重力によってウィック部を通って取り出されることから、より重い(高いKIを有する)香料成分は、典型的な問題を生じることなく使用され得る(つまり、それらは、容器の底に沈殿するのであって、他の香料成分と同じ速度で蒸発するのではない)。
【0020】
本発明の一実施形態において、揮発性物質は、香料成分(香料原料−「PRMs」とも呼ばれる)を包含し、その一部は、高いコヴァッツインデックス(KI)を有する。好ましくは、香料成分の約40パーセント(重量比)が1500以上のガスクロマトグラフィックのコヴァッツインデックスを有する(非極性シリコーン固定相として5%のフェニル−メチルポリシロキサンで測定)。より好ましくは、香料成分の約50パーセント(重量比)が1500以上のKIを有する。更により好ましくは、香料成分の少なくとも約60パーセント(重量比)が1500以上のKIを有する。別の実施形態においては、香料成分の少なくとも約5パーセント(重量比)が1800以上のガスクロマトグラフィックのコヴァッツインデックスを有する(非極性シリコーン固定相として5%のフェニル−メチルポリシロキサンで測定)。より好ましくは、香料成分の少なくとも約7パーセント(重量比)が1800以上のKIを有する。更により好ましくは、香料成分の少なくとも約10パーセント(重量比)が1800以上のKIを有する。
【0021】
1つの実施形態では、揮発性組成物は、
・KI<1400のPRM約60%
・KI>1500かつ<1800、約35%
・KI>1800のPRM約5%
を含有する。
【0022】
別の実施形態では、揮発性組成物は
・KI<1400のPRM約50%
・KI>1400かつ<1800、約43%
・KI>1800のPRM約7%
を含有する。
【0023】
別の実施形態では、揮発性組成物は、
・KI<1400のPRM約40%
・KI>1400かつ<1800、約50%
・KI>1800のPRM約10%
を含有する。
【0024】
本発明の一実施形態において、香料成分の一部は、極性が高いか、又はカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、及びこれらの組み合わせのような親水性の官能基を含有する。有用な香料成分の非限定的例として、バニリン、エチルバニリン、クマリン、PEA(フェニルエチルアルコール)、クミンアルコール、ケイ皮アルコール、オイゲノール、ユーカリプトール、シス−3−ヘキセノール、2−パテノイック酸メチル(2-methyl patenoic acid)、ジヒドロミルセノール、リナロール、ゲラノール、アントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチル、カビトール、セロール、テルピネオール、シトロネロール、エチルバニリン、サリチル酸アミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ベンジル、パチョリアルコール、メントール、イソメントール、マルトール、エチルマルトール(ehtylmaltol)、ネロール、イソオイゲノール、パラエチルフェノール、ベンジルアルコール、サビノール、及びテルピネン−4−01、並びに上述の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明の別の実施形態において、香料成分の一部は、実体性が高い。このような香料成分としては、ベンジルサルアシレート、ヘルコリンD、メチルアビエテート、シンナミルフェニルアセテート、及びエチレンブラシレートの液体形態を挙げてもよい。
【0026】
本発明の一実施形態において、香料成分の一部は、非常に「敏感」(又は不安定)である。本文脈において用語「敏感」が指すものとして、エステル類、ラクトン類、及びアセテール類/ケタール等のように、熱誘導の分解反応により生じる構成成分が挙げられる。また、本文脈において用語「敏感」が指すものとして、シッフ塩基の形成、エステル形成、脱水反応、重合反応等のような不揮発性種を形成するための縮合反応により生じる構成成分が挙げられる。このような香料成分としては、芳香族アルデヒド類、D−ダマスコーン類、及びイオノン類を含む、フロールアセテート、ラクトン、メチルアントラニル酸塩の液体形態が挙げられる。
【0027】
しかしながら、放出の習慣化の問題を避けるために異なる揮発性材料が使用されている場合、揮発性材料が余りに類似しているのは望ましくないことがあり、さもなければ、放出を経験している人が、異なる放出が放出されていることに気付かない場合がある。異なる放出は、共通のテーマ又は何か他の方法により相互に関連付けられることができる。異なるが相補的な放出の例は、桂皮の放出とリンゴの放出であろう。例えば、異なる放出は、それぞれが異なる揮発性材料を提供する複数の送出システムを用いて与えられることができる(例えば、じゃこう、フローラル、フルーツの放出など)。
【0028】
特定の非限定的な実施形態において、揮発性材料の持続段階の放出は、実質的に全ての揮発性材料が送出システム供給源から同時に使い尽くされるまで、均一な強度を示すことができる。言い換えると、持続段階の放出の特徴を示す場合、均一性は、揮発性材料の送出システムの耐用期間にわたる、実質的に一定の揮発度という言葉で表すことができる。持続段階の放出に係る「連続的」という用語は、全ての揮発性材料が実質上使い果たされるまで連続して放出する均一な持続段階の放出モードを提供すること(及び、所望により、揮発性材料の供給源が1つ以上ある場合、このことがほぼ同時に生じること)が送出システムには望ましいが、持続段階の放出には、放出が途切れている期間も含み得ることを意味する。持続段階の放出の供給は、いかなる好適な長さの期間とすることもでき、30日まで、60日まで、90日まで、より短い又はより長い期間、あるいは30〜90日の間の任意の期間を含むが、これらに限定されない。
【0029】
特定の他の非限定的な実施形態において、増加段階の放出モードが人的相互作用によって作動するとき、より高く、所望により均一な強度の揮発性材料が好適な放出期間にわたって放出され、その時点で、送出システムは、更なる人的相互作用を伴わずに、持続段階の放出モードでの揮発性材料の供給へ自動的に戻ることができる。増加段階の放出に関する「一時的」という用語は、増加段階の放出が、人的相互作用によって作動及び/又は制御された後で、限られた時間、より高い強度で放出されるのが望ましいが、前記増加段階の放出には、放出が途切れている期間も含まれ得ることを意味する。理論に縛られるものではないが、増加段階の放出のより高い強度は、多数の要因に左右されると考えられる。これら要因のいくつかとしては、揮発性材料の「香料効果」、増加段階の放出を与えるために蒸発表面装置へ供給される揮発性材料の容量、増加段階の放出のために供給源から入手可能な揮発性材料の供給速度、及び増加段階の放出の供給中の蒸発表面装置の利用可能な表面積が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
いかなる好適な揮発性材料、並びにいかなる好適な揮発性材料容量、供給速度、及び/又は蒸発表面積も、増加段階の放出の強度を高める及び/又は制御するために使用されてもよい。好適な容量、供給速度、及び表面積は、増加段階の放出が持続段階の放出より高いか又はそれと同等の放出強度を示すものである。例えば、より多くの容量の揮発性材料を蒸発表面装置へ提供することによって、消費者が増加段階の放出の強度を高める及び/又は制御することができる。蒸発表面装置へ供給される揮発性材料の容量も、特定の容量を有する特定の投与装置を用いて制御されることができる。特定の容量を蒸発表面装置の中へ推し進めるために、収集ボウルを使用してもよい。収集ボウルは、いかなる好適な材料、大きさ、形又は構造で作られていてもよく、いかなる好適な容量の揮発性材料をも収集することができる。例えば、送出システムは、単位用量室(dose chamber)などの収集ボウルを含んでいてよく、それを、増加段階の放出を作動するため少なくともいくらかの揮発性材料で少なくとも部分的に満たすことができる。単位用量室は、制御された容量の揮発性材料を蒸発表面装置などの蒸発表面装置へ提供する。他の投与装置としては、ポンプ及びばねの作用の装置を挙げることができる。
【0031】
「蒸発表面装置」という用語には、揮発性材料の少なくともいくらかを蒸発させることが可能ないかなる好適な表面も含まれる。いかなる好適な大きさ、形、形態、又は構造を有するいかなる好適な蒸発表面装置も使用することができる。好適な蒸発表面装置は、これらに限定されるものではないが、天然物質、人工材料、繊維性材料、非繊維性材料、多孔質材料、非多孔質材料、及びこれらの組み合わせを含むいかなる好適な材料からも作られる。本明細書で使用される蒸発表面装置は、無炎性であって、任意の種類(例えば、液体)の揮発性材料(芳香剤、防臭剤、殺菌剤又は殺虫剤活性剤など)を大気中に分配するのに使用されるいかなる装置をも含む。特定の非限定的な実施形態において、典型的な蒸発表面装置は、ウィック部、ゲル、及び/又は多孔性表面の組み合わせと、揮発性液体を液体流体貯蔵器から分配するための発散領域とを利用する。
【0032】
上述のように、供給速度又は蒸発表面積におけるいかなる好適な増大も、増加段階の放出の強度を高める及び/又は制御するのに有用である。「供給速度」は、揮発性材料が、貯蔵用の容器又は流体貯蔵器に戻る前に蒸発表面装置上で蒸発すべき時間に関する。揮発性材料を蒸発表面装置へ送出するための好適な手段として、反転、ポンピング、又はばね作用装置の使用によるものが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、1つ以上の蒸発表面装置(第1のウィック部又は第2のウィック部、など)の送出システムへの追加によって、強度を高めるために表面積を大きくすることができる。第2の蒸発表面装置の表面積は、第1の蒸発表面装置の表面積よりも約1〜約100倍大きな範囲に及ぶことがある。所望により、第2の蒸発表面装置は、他の蒸発表面装置と流体連通していることができる。
【0033】
特定の非限定的な実施形態において、増加段階の放出は、第1の蒸発表面装置及び/又は第2の蒸発表面装置の両方からの揮発性材料放出を含んでもよい。増加段階の放出は、任意の好適な放出持続時間の増加放出プロファイルを示すことができる。例えば、好適な増加段階の放出の持続時間としては、10分間以下から、又は約10分〜約2時間、あるいは、約2時間〜約24時間の持続時間が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
いくつかの非限定的な実施形態において、送出システムは、蒸発表面装置における揮発性材料の流れ方向を周期的に逆転させることによって、長期にわたってその特徴忠実性を維持することができる。例えば、送出システムの特徴忠実性は、長期間にわたって、少なくとも1つの揮発性材料の分溜(分割効果、など)のために、又はウィック部の目詰まりによって、低下することがある。分溜とウィック部の目詰まりの両方に対する解決策は、好適な持続時間にわたる蒸発表面装置上における好適な流れの逆転を提供することである。例えば、蒸発表面装置の好適な流れの逆転は、増加段階の放出の作動と好適な持続時間にわたる放出とから成り得る。この場合、反転、ポンピング作用、又はばねの作用によって結果として生じる蒸発表面装置の揮発性材料の流れの逆転は、望ましくない不溶性の沈殿、分溜及び/又は分割効果のいくらかを取り除くのに十分な様式で、ウィック部を実質的に洗い流すことができる。したがって、特徴忠実性は、増加段階の放出の間にウィック部を洗い流すことによって少なくとも部分的に修復される。この方法では、送出システムに収容される異なる揮発性材料の範囲全体が簡単なステップであると感じることによって、動的で相互作用的な嗅覚的経験を消費者が再生することができる。
【0035】
他の非限定的な実施形態において、本明細書に記載の送出システムは、香りを与えること、悪臭制御、及び防虫剤などのもののために使用することができる。例えば、室内、又は所望によりピクニックテーブルの上などの戸外に置く場合、香りを与えること及び悪臭制御以外に、近くにいる虫の数に応じて放出水準を調節することによって虫防除ができる。虫による不快感があまりないときは、消費者を快適にさせるのには持続段階の放出でおそらく十分である。しかしながら、蚊やサシバエなど、多数の虫が苦になるときは、消費者は、増加段階の放出を与えるように選択することができる。
【0036】
図面
図1は、少なくとも1つのウィック開口部18(及び19)を具えた少なくとも1つの容器1(及び2)、少なくとも1つのウィック部5、少なくとも1つの流体貯蔵器6(及び7)、並びに少なくとも1つの揮発性材料8を含む、送出システム20の非限定的な実施形態の断面図を表す。前記送出システム及びその構成要素は、いかなる好適な大きさ、形、構造、又は種類で、いかなる好適な材料から作られていてもよい。好適な材料としては、金属、ガラス、天然繊維、セラミック、木材、プラスチック、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。容器1(及び2)は、外観検査に付されるときのみならず、消費者が使用中に持ち上げて操作するときは、送出システム20の外面を構成していてよく、又はシェル(図示せず)の中に収納されていてもよい。ウィック部5は、少なくともいくらかの部分が大気に露出している。ウィック開口部18(及び19)は、いかなる使いやすい大きさ及び形とすることもでき、また容器1(及び2)のどこに位置していてもよい。前記少なくとも1つのウィック開口部18(及び19)は、持続段階の放出及び/又は増加段階の放出モードの間に、前記少なくとも1つのウィック部5を介して揮発性材料8を大気へ与える手段を可能にする。特定の非限定的な実施形態において、容器1(及び2)は、望ましくは視覚的に魅力がある外側シェル(図示せず)であって、蒸発性分配を行っている間、最大効力のために使用領域内の見える所に置いておくことができる好適な寸法の外側シェル(図示せず)の中に収納されていてよい。1つを超える容器1及び2がある場合、これらは、図に示すように向かい合わせて接続及び/又は流体接続されていてよい。
【0037】
1つの非限定的な実施形態において、容器1及び2は、大気への少なくともいくつかの長手方向の露出部を有するウィック部5を具えた蒸発表面装置を介して流体連通している。容器1(及び2)は、送出システム20の何れかの他の好適な構成要素に取り付けられていてよい。例えば、容器1及び2は互いにウィック部5を介して、シェル若しくはハウジング(図示せず)の一部として、又は何れかの他の好適な手段によって取り付けられていてよい。ウィック部5は、ある時間少なくともいくらかの揮発性材料8と流体接触している。揮発性材料5は、流体貯蔵器6又は7のどちらかに貯蔵できる。ウィック部5の長手方向部分は、持続段階の放出モードと増加段階の放出モードの両方の間に揮発性材料8の好適な放出速度を可能にするのに十分な露出したウィック部5表面積を提供する。容器1及び2とそれらの関連する流体貯蔵器6及び7は、接続された時点で、ウィック部5を介して又は何れかの他の好適な手段(例えば、囲まれた経路又は管)によって、互いに流体連通することができる。放出のための蒸発表面を提供することの他に、容器1及び2をウィック部5と接続させることの別の目的は、消費者が送出システム20を反転させたときに、蒸発又は放出されない過剰の揮発性材料8が重力によって、上部の容器1から、下部の容器2内に収集及び貯蔵されるために実質的に漏れずに移動するための道を提供することである。
【0038】
ウィック取り付け部品3(及び4)は、少なくともいくらかの揮発性材料8を送出システム20内に保持するための封止として機能することができる。ウィック取り付け部品3(及び4)は、ウィック部5及び/又は任意の構成要素を送出システム20内の何れかの構成要素に密閉可能に取り付けるように、いかなる好適な大きさ、形又は構造で、いかなる好適な材料から作られていてもよい。ウィック取り付け部品3(及び4)は、ウィック部5が送出システム20の非ウィック部分から揮発性材料8を実質的に漏らすことなく取り込み与えるのを助けるように、送出システム20の何れかの部分に取り付けることができる。ウィック取り付け部品3(及び4)は、ウィック開口部18(及び19)の中に挿入することができ、前記ウィック開口部18(及び19)は、ウィック部5又は他のいかなる好適な構成要素(図示せず)もがウィック開口部18(及び19)を通って流体貯蔵器6(及び7)の少なくとも一部に入ることができるように、容器1(及び2)表面上の何れかの好適な場所に設けられている。前記少なくとも1つのウィック開口部18(及び19)及びウィック取り付け部品3(及び4)は、ウィック部5及び任意の他の構成要素に適応でき、かつ消費者が送出システム20を反転又は転倒させた場合に、送出システム20からの過剰の揮発性材料8の漏れを最小限にするような寸法にする。
【0039】
ウィック部5は、少なくともいくらかの部分を大気に露出させることによって揮発性材料8の放出を可能にするウィック部として機能するように、いかなる好適な大きさ、形、又は構造でいかなる好適な材料から作られることもできる。ウィック部5は、容器1(及び2)内のどの好適な場所に設けられていてもよい。ウィック部5は、容器1(及び2)、ウィック開口部18(及び19)、及び/又はウィック取り付け部品3(及び4)の中に少なくとも部分的に設けられて、容器1(及び2)の流体貯蔵器6(及び7)内に貯蔵されている揮発性材料8に流体接続されていてもよい。ウィック部5は、流体貯蔵器6(及び7)の内側で、容器基部33(及び34)に向かって延びていてよい。それとは逆に、ウィック部5は、送出システム20の耐用年数にわたって持続段階の放出モード中に、前記少なくとも一方の流体貯蔵器6(及び7)内のたとえ少量の揮発性材料8とでも流体接続を維持する、いかなる好適な長さとすることもできる。容器1(及び2)の内側又は外側では、特別なウィック部5の長さ要件はない。前記少なくとも1つのウィック部5を、流体貯蔵器6(及び7)内で所望の内部深さに配置することができる。前記少なくとも1つのウィック部5は、任意に、揮発性材料8の放出供給を最大にするために、流体貯蔵器6及び7の両方の内部の長さ全体を占有することができる。
【0040】
ウィック部5は、前記少なくとも1つのウィック開口部18(及び19)の位置で、ウィック取り付け部品3(及び4)を介して容器1(及び2)と密封可能に固定される。ウィック取り付け部品3(及び4)は、ウィック開口部18(及び19)を通るウィック部5及び他の好適な構成要素の少なくとも一部を密封可能に保持することができる。ウィック取り付け部品3(及び4)は、貯蔵中、反転、ポンプの作用の後、又はばねの作用によって、あるいは倒れた場合に、ウィック部5の取り込み又は投与中に、送出システム20からの揮発性材料8の望ましくない漏れを防ぐように、前記少なくとも1つのウィック開口部18(及び19)及び前記少なくとも1つのウィック部5のそれぞれの周りにぴったりと嵌め込まれることができる。ウィック取り付け部品3(及び4)は、とりわけ、使用していないときに、揮発性材料8の望ましくない揮発を最小限にするように、いかなる手段(例えば、摩擦、接着剤など)によって容器1(及び2)に取り付けられることもできる。ウィック取り付け部品3(及び4)は、任意に、ウィック部5の取り込みを助けるように、いかなる好適な場所に通気孔(図示せず)を開けることもできる。
【0041】
持続段階の放出モードの間、送出システム20を直立位置などの適切な配置で安定化及び/又は保持するのに役立つ、少なくとも1つの容器基部33(及び34)があってよい。送出システム20は、揮発性材料を容器1(及び2)の中に収容するための追加的な再密閉可能な封止(図示せず)を更に含んでいてよい。送出システム20は、製造者又は消費者が望む場合、例えば、販売前又は香りを与えようとする部屋から長期間離れる間のように揮発性材料8が放出するのが望ましくない場合には、上述の1つ以上の揮発性材料8を含む前記少なくとも1つのウィック部5及び/又は送出システム20を覆うための包装用封止(図示せず)を更に有していてもよい。
【0042】
図2aは、少なくとも1つのバイパスチューブ9(及び10)及び/又は前記少なくとも1つのウィック部5を介して互いに向かい合わせて接続されかつ流体接続されている2つの容器1及び2を有する、揮発性材料の送出システム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。上述のように、容器1と2は、少なくともいくらかの揮発性材料8を収容するための流体貯蔵器6及び7を有し、前記少なくとも1つのウィック部5及び/又はバイパスチューブ9(及び10)を介して流体接続されている。バイパスチューブ9(及び10)は、任意の大きさ、形、又は構造を有するバイパスチューブ開口部15及び17(14及び16)を介して容器1(及び2)に接続することができる。バイパスチューブ9(及び10)は、容器1(及び2)の一体型の構成要素として形成されていてよく、又は容器1(及び2)に追加される別個の構成要素として提供されてもよい。バイパスチューブ9(及び10)は、液漏れしない任意の構造で容器1(及び2)及び/又は流体貯蔵器6(及び7)を適切に封止できるか又はそれらと適切に接続できるように、容器1(及び2)と適合するいかなる好適な材料で作られていてもよい。バイパスチューブ開口部15及び17(14及び16)は、バイパスチューブ9(及び10)を介して流体貯蔵器6と7との間で揮発性材料8の直接的な流体連通を可能にする。バイパスチューブ9(及び10)、並びにバイパスチューブ開口部14及び16(15及び17)は、任意の好適な種類の所望の流れを可能にするように構成されることができる。バイパスチューブ9(及び10)並びに/又はバイパスチューブ開口部14、15、16、及び/若しくは17は、これら構造体を通る任意の流体の開放性の流れ、一方向の流れ、制限された流れ、又はこれらの組み合わせを提供するように、それぞれ構造的に改善することができる。例えば、バイパスチューブ開口部14及び17は無制限の流れを有して作られることができるが、バイパスチューブ開口部15及び16は、流体を一方向のみから収集するか又は滴下などの審美的効果を与えるために低減された流れを有するように作られていてよい。この独特な流れ構造は、揮発性材料8の改善された流れが送出システムに注目を集めることができることから、消費者に特異な視覚的興味を提供する能力を送出システム20に与える。各容器1(及び2)は、少なくともいくらかの揮発性材料8が送出システム20内で任意の特定の場所においていつでも存在できるように、1つ以上の流体貯蔵器6(及び7)の一部を担うことが可能である。このような容器1(及び2)は、例えば、反転、ポンプの作用、又はばねの作用によってウィック部5の取り込み又は投与を行った直後に、少なくともいくらかの揮発性材料8を流体貯蔵器6と流体貯蔵器7の両方に保持することができる。揮発性材料8自体はまた、いかなる好適な補助剤成分をいかなる好適な量で又はいかなる好適な形態で含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、及びスペックルは、とりわけ、改善された流れの構造中に消費者が観察する場合に、追加的な審美的効果を与えることができる。
【0043】
バイパスチューブ9(及び10)はまた、特定量の揮発性材料8を収集するための追加的な流体貯蔵器としても、及び/又は混合、ポンプの作用又は反転後に特定の容量の揮発性材料8の一部を向かい合った流体貯蔵器6と7との間で方向転換させる手段としても機能することができる。例えば、送出システム20が垂直な直立位置から水平位へその基部34で倒れた場合、送出システム20は、少なくとも1つのバイパスチューブ9又は10が流体貯蔵器6及び7それぞれから少なくともいくらかの揮発性材料8を収集することができるように位置するような配置で停止するように、設計することができる。この場合、バイパスチューブ9又は10は、追加的な流体貯蔵器の役目をして、揮発性材料8が送出システム20から不必要にこぼれる及び/又は漏れる可能性を低減する。
【0044】
ウィック開口部18(及び19)は、容器1(及び2)の外面上のどこに位置してもよい。例えば、ウィック開口部18(及び19)は、容器基部33(及び34)の面と平行な面上にあるように、容器1(及び2)の外面上に配置することができる。単位用量室11(及び12)は、容器1(及び2)内のどこに位置していてもよく、一般には、流体貯蔵器6(及び7)内にある。単位用量室11(及び12)は、少なくとも1つのウィック開口部18(及び19)の最も上部の領域とバイパスチューブ開口部14及び15(16及び17)の最も下部の領域との間の、流体貯蔵器6(及び7)の内側に作り出される内部容積で画定される。単位用量室11(及び12)の実際の容積は、前記少なくとも1つの流体貯蔵器6及び7の大きさ、前記少なくとも1つのウィック部5が占める容積、並びに送出システム20を反転させたときに前記少なくとも1つの単位用量室11及び12へ供給される揮発性材料8の量に応じて変えることができる。特定の非限定的な実施形態において、消費者は、単位分の容量の取り込み及び/又は投与を調節することによって、単位用量室11(及び12)を介してウィック部5へ供給される揮発性材料の容量を制御することができる。このことは、例えば、ポンプ送りされる揮発性材料8の量を調節することによって、又は容器1(及び2)の反転を操作することによって、又は他のいかなる好適な手段によっても達成できる。
【0045】
送出システム20は、反転させたときに、前記少なくとも1つの単位用量室11では収集されないか、又は前記少なくとも1つのウィック部5で吸収されない及び/若しくは前記ウィック部5に取り込まれない過剰の揮発性材料8を、容器2で収集及び貯蔵するために、容器1の上部の流体貯蔵器6からバイパスチューブ開口部14及び15を介してバイパスチューブ9及び10を通り、バイパスチューブ開口部16及び17を介して下部の流体貯蔵器7へ送ることができる。例えば、単位用量室10(及び11)は、送出システム20及び/又は容器1(及び2)を反転させると、揮発性材料8の少なくともいくらかを収容することができる。送出システム20及び/又は容器1(及び2)がその直立位置から反転する及び/又は倒れるときに、バイパスチューブ9(及び10)は、前記1つ以上の流体貯蔵器6(及び7)から、前記少なくとも1つの単位用量室11(及び12)から、及び/又はウィック部5から放出されるいくらかの揮発性材料8で満たされる。
【0046】
上部の流体貯蔵器6内の単位用量室11に少なくともいくらかの揮発性材料8を少なくとも部分的に満たす、取り込む及び/又は与える場合、単位用量室11は、制御された容量(例えば、単位用量)の揮発性材料8をウィック部5へ供給して、大気へ増加段階の放出を与える。蒸発も放出もされない、その過剰の揮発性材料8は、ウィック部5によって運ばれ、ほとんど漏れずに下部の流体貯蔵器7に収集される。送出システム20はまた、複数の制御された容量及び/又は単位用量を供給して、香りを与えること、悪臭制御、防虫、場の雰囲気の設定、及びこれらの組み合わせ、の1つ以上の目的のために複数の増加段階の放出を開始させることも可能である。投与プロセスによって、消費者は、例えば悪臭制御などが必要なときにいつでも、一時的増加段階の放出を空間に与えることができる。
【0047】
ウィック部5の投与は、何れかの好適な手段によって、例えば、反転により、ブラダ(bladder)を圧搾することにより、非噴霧式のポンピング作用により、又は熱、ガス、若しくは電流を使用すること以外の何れかの他の好適な手段により行うことができる。例えば、消費者が送出システム20を単に上下逆さまにして、容器基部33(及び34)を下にして送出システム20を設置すると、反転によって投与が生じ得る。したがって、反転すると、下部の流体貯蔵器(6又は7)内に元々貯蔵されていた揮発性材料8は一時的に、上部の流体貯蔵器(6又は7)の中に配置される。揮発性材料8は即座に上部の流体貯蔵器(6又は7)から排出され始め、重力によって単位用量室(11又は12)、ウィック部5及び/又はバイパスチューブ9(及び10)を通って下部の流体貯蔵器(6又は7)へ移動する。揮発性材料8が単位用量室(dose chamber)11(及び12)に収集されると、揮発性材料8は、大気に露出しているウィック部5の部分に沿って重力によって前記少なくとも1つのウィック部5へ供給され、増加段階の放出が開始する。制御された容量の揮発性材料8が単位用量室11(及び12)を介して前記1つのウィック部5へ供給される場合、増加段階の放出は、揮発性材料8の揮発度の点から見ると、送出システム20の耐用期間の一部分にわたって実質的に均一であり得る。
【0048】
1つの非限定的な実施形態では、単位用量室11(及び12)からウィック開口部18(及び19)及びウィック部5を通って移動する、上部の流体貯蔵器(6又は7)内の揮発性材料8の単位用量の少なくともいくらかが、大気に放出される。単位用量のうち、放出されない部分は、ウィック部5及び/又はウィック開口部19(及び18)を介して下部の流体貯蔵器(6又は7)に戻すことができる。上部の流体貯蔵器(6又は7)内の単位用量室11(及び12)が重力によって排出されると、増加段階の放出は、単位用量が放出されるか又は下部の貯蔵器(6又は7)に通り抜けるまで、ゆっくりと減衰し始める。増加段階の放出が停止すると、持続段階の放出が自動的に復帰する。持続段階の放出モードにおいて、ウィック部5は、下部の流体貯蔵器(6又は7)に貯蔵された揮発性材料8を毛管現象によって、大気に露出されているウィック部の少なくともある部分まで汲み上げる。例えば、揮発性材料8は、ウィック開口部18と19との間の、露出された長手方向のウィック部5表面の全体(又はその何れかの部分)から放出され得る。
【0049】
図3aは、バイパスチューブ9及び10並びに/又はウィック部5を介して互いに向かい合わせて接続されかつ流体接続されている2つの容器1及び2を有する、揮発性材料の送出システム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。この実施形態では、バイパスチューブ9及び10は、送出システム20を配置しやすくするための便利な凹状の手懸り部を作り出すような形で、また送出システム20がその直立位置から反転し及び/又は倒れ、その容器基部33(及び34)を下にして置かれない場合、ウィック部5に損傷からの保護を与えるような形で構成される。
【0050】
1つの非限定的な実施形態において、増加段階の放出のための単位用量室の容量は、下部の流体貯蔵器(6又は7)へ戻るように導くためのバイパスチューブ9(及び10)では収集されない、上部の流体貯蔵器(6又は7)内の揮発性材料8の容量で決めることができる。単位用量室壁23、24、25及び26は、貯蔵器6(及び7)及び/又は容器1(及び2)内のどこにでも設定される及び設けられることができる。例えば、単位用量室12は、バイパスチューブ開口部16及び17の下方に構成された室壁25及び26を有していてよい。そのとき、単位分の容量は、単位用量室壁25及び26の開放端部22で収集される。それとは異なり、他の構造の室壁も有用である。例えば、単位用量室11により収集される単位分の容量が、バイパスチューブ9(及び10)並びに/又はバイパスチューブ開口部14及び15の構造とは無関係であることもある。単位用量室11は、バイパスチューブ開口部14及び15の位置より上方に延びる壁23及び24を有する流体貯蔵器6内に設けられていてよい。ここでは、上部の貯蔵器6内の揮発性材料8の単位分の容量は、送出システム20の反転、ポンプの作用時、又はばねの作用によって、単位用量室壁23及び24の開放端部21を介して単位用量室11で収集されることができる。
【0051】
更に、2つの容器1及び2を共に繋ぐ若しくは噛み合わせるための、又は送出システム20内で流体の流れを方向付けるための、いかなる好適な大きさ、形、構造、又は材料のいかなる追加的な構成要素も使用できる。例えば、揮発性材料8の流れを助け、及び/又は任意の所望の位置に(例えば、ウィック部5から離れて又はウィック部5へ向かって)方向付けるために、いかなる好適な内側構成要素も、送出システム20の流体の通路内に提供されることができる。送出システム20及び/又は容器1(及び2)のいかなる好適な外側構成要素も、送出システム20の性能を助けるように提供されることができる。
【0052】
図3bは、溝アセンブリを有する揮発性材料の送出システム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。溝138は、容器2の外面上のウィック開口部18(及び19)付近に位置し、ウィック部5の取り込み後及び/又は送出システム20を倒した後でウィック部5及び/又はウィック開口部18(及び19)から漏れる可能性のある過剰の揮発性材料8を収集するために提供される。いかなる大きさ、形、構造、又は材料のいかなる溝138も使用することができる。1つの非限定的な実施形態において、前記溝は、ウィック開口部19が位置する領域又はその位置と隣接する領域に設けられる。(反転、ポンプの作用及び/又は傾けることによって過剰に取り込んだ後のように)向かい合ったウィック開口部19から及び/又はウィック部5から滴る可能性のある過剰の揮発性材料8を捕集又は収集する目的で、吸収性材料139が提供される。いかなる好適な吸収性材料139も、いかなる好適な大きさ、形、又は構造で使用することができる。吸収性材料139は、揮発性材料8の蒸発を実質的に吸収及び/又は促進できるいかなる好適な材料から作られていてもよい。吸収性材料139は、いかなる好適な蒸発性表面物質を含むこともできる。例えば、好適な吸収性材料139としては、紙、プラスチック、スポンジなどを挙げることができる。溝138で収集される過剰の揮発性材料8は、その後、吸収性材料139で吸収又は再吸収され、ウィック部5又はウィック開口部19の方へ方向転換されるか、あるいは大気へ直接蒸発させることができる。
【0053】
特定の他の非限定的な実施形態において、吸収性材料139は、下部の流体貯蔵器7により収集されない過剰の揮発性材料8を収集するのを助けるように、溝138の位置又はその周辺に配置されることができる。例えば、吸収性材料139は、ウィック部5の材料で、溝138の中に設けられ前記少なくとも1つのウィック部5を取り囲む薄いワッシャ又はドーナツの形に作られていてもよい。吸収性材料139は、ウィック部5又はウィック開口部19のどちらかと物理的に接触している必要はないことに留意すべきである。吸収性材料139は、何れかの好適な手段によって(摩擦、接着、留め具、などによって)送出システム20の外面のどの部分に取り付けられていてもよい。事実、吸収性材料139は、消費者が所望に応じて追加又は除去することができるので、固定して取り付ける必要はない。吸収性材料139は、例えば、送出システム20の反転中、過剰なポンプの作用の間、又は倒している間に、前記少なくとも1つのウィック部5の長手方向軸に沿って自由に滑り落ちて、向かい合った溝(図示せず)の領域で停止することができ、そこで、その向かい合ったウィック開口部(図示せず)付近に存在する可能性のあるいかなる過剰の揮発性材料8をも収集することができる。
【0054】
図4は、単一のバイパスチューブ9及び/又は前記少なくとも1つのウィック部5を介して互いに向かい合わせて接続されかつ流体接続されている2つの容器1及び2を有する、揮発性材料の送出システム20の別の非限定的な実施形態を表す。バイパスチューブ9は、いかなる好適な大きさ、形、又は構造をとってもよく、またいかなる好適な材料から作られることもできる。バイパスチューブ9は、いかなる好適な手段によっていかなる好適な位置で容器1(及び2)に接続されていてもよい。例えば、容器1(及び2)と類似の材料のバイパスチューブ9は、らせん、球体、又は楕円の形に形成することができ、また貯蔵器6(及び7)と接続される。バイパスチューブ9は、送出システム20のいかなる構成要素の一部であってもよい。例えば、バイパスチューブ9は、容器1(及び2)の中及び/又はウィック部5の中に一体化されていてよい。バイパスチューブ9は、漏れ又は蒸発による損失なしに容器1(及び2)と流体連通を可能にする1つ以上のバイパスチューブ開口部15(及び17)を有していてよい。例えば、揮発性材料8は、反転後、重力によって上部の貯蔵器6からバイパスチューブ9及び/又は前記少なくとも1つのウィック部5を介して下部の貯蔵器7に向かって流れることができる。バイパスチューブ開口部15(及び17)は、容器1(及び2)の表面上のどこに設けられていてもよく、また任意に均一で一時的増加段階の放出を与えるために、ウィック開口部18(及び19)とバイパスチューブ開口部15(及び17)との間の流体貯蔵器6(及び7)の内部空間に設けられる単位用量室11(及び12)を形成できるような様式で設けられていてもよい。バイパスチューブ9は、送出システム20をその直立位置から反転させる及び/又は倒すときに、物理的な干渉又は損傷からウィック部5を保護するようにウィック部5を取り囲むことができる。この構造は、ウィック部5との思わしくない接触によって、子供が揮発性材料8に不必要に曝されるか又は直接曝されるのを保護するのに役立つ。
【0055】
図5a、5b、5cは、揮発性材料の送出システム20の別の非限定的な実施形態を表す。図5aは、一体成形型容器1に1つ以上の通気開口部35を有する、単一の一体成形型容器1の外面を表す。1つ以上の通気開口部35は、揮発性材料(図示せず)をウィック部(図示せず)から、処理を要する部屋(単数及び複数)の大気へ放出又は与えさせる。任意に、1つ以上の通気開口部35の幅を調節可能に及び/又は閉鎖可能にできるように、調節可能な通気孔(図示せず)を送出システム20の容器1に追加することができる。これによって、消費者は持続段階の及び増加段階の放出速度を制御することができる。調節可能な通気孔(図示せず)は、いかなる好適な材料から、いかなる好適な大きさ又は形で作られていてもよく、また送出システム20上又は送出システム20内のどこに設けられていてもよい。例えば、消費者は、所望の量の放出が処理を要する場所に与えられるように、調節可能な通気孔(図示せず)を動かすことによって前記1つ以上の通気開口部35を開ける、部分的に開ける、部分的に閉じる、又は閉じることができる。
【0056】
図5bは、ウィック部5、ウィック取り付け部品3(及び4)、ウィック取り付け部品開口部43(及び44)、任意のウィック取り付け部品通気孔27(及び28)、及びウィック取り付け部品フランジ31(及び32)を有する、蒸発表面装置40の非限定的な実施形態を表す。蒸発表面装置40の全ての構成要素は、いかなる好適な材料から、いかなる好適な大きさ、形、又は構造で作られていてもよい。前記少なくとも1つのウィック部5の各端部は、複数の流体貯蔵器(図示せず)の間でウィック部5を介して流体連通させることができるが、使用又は貯蔵中にウィック取り付け部品開口部43(及び44)、ウィック開口部(図示せず)、又は容器(図示せず)の周囲から揮発性材料(図示せず)が不必要に漏れるのを低減できるように、ウィック取り付け部品3(及び4)のウィック取り付け部品開口部43(及び44)に封止可能に嵌め込むことができる。
【0057】
図5cは、バイパスチューブ9及び10並びに/又は前記少なくとも1つのウィック部5を介して互いに向かい合わせて接続されかつ流体接続された2つの流体貯蔵器6及び7を有する、単一の一体成形型容器1を有する別の非限定的な実施形態の断面図を表す。この実施形態において、バイパスチューブ9(及び10)は、送出システム20を配置しやすくするための便利な凹状の手懸り部を作り出し、反転させている間及び/又は送出システム20をその直立位置から倒した場合に、ウィック部5に損傷からの保護を与えるような様式で、単一の一体成形型容器1の内部の中に構成されている。単位用量室11(及び12)は、単一の一体成形型容器1の流体貯蔵器6(及び7)内に設けられる。単位用量室11(及び12)のうち一方は、送出システム20を反転させるときに揮発性材料8を収集するために、開放端21(及び22)を有するカップの形で壁23及び24(25及び26)を有することができる。単位用量室11(及び12)はいつでも、特に反転直後に、少なくともいくらかの揮発性材料8を収容することができる。揮発性材料8は、重力によって又は非噴霧式ポンプ(図示せず)によって、バイパスチューブ9(及び10)及び/又はウィック部5を介して、向かい合った流体貯蔵器(6又は7)の方へ流れることができる。前記少なくとも1つのウィック開放部18(及び19)は、ウィック部5を流体貯蔵器6(及び7)へ貫通させる。単位用量室の壁23及び24(25及び26)は、直立位置にある場合、又は前記少なくとも1つのウィック部5の取り込み要件に応じて開口部の位置若しくはそれより下方にあるかもしれない場合、前記少なくとも1つの流体貯蔵器6(及び7)の内側のバイパスチューブ開口部14及び15(16及び17)の上方に延びていてよい。ウィック取り付け部品ブラケット36(及び37)は、ウィック取り付け部品3(及び4)及びウィック部5との密封に対応し前記密封を提供するように、一体成形型容器1のいかなる好適な位置に設けられていてもよい。ウィック取り付け部品3(及び4)は、ウィック取り付け部品ブラケット36(及び37)の中に配置されるとウィック部5をしっかりと保持するように構成されることができ、これは、ウィック取り付け部品3(及び4)及び/又はウィック部5を封止可能に取り囲むように作られて、ウィック取り付け部品3(及び4)とウィック部5との接合点若しくはウィック取り付け部品3(及び4)とウィック取り付け部品ブラケット36(及び37)との接合点において、又はそれら接合点のどちらか若しくは両方から揮発性材料8が漏れるのを最小限にすることができる。
【0058】
図6は、前記少なくとも1つのバイパスチューブ9及び/又は前記少なくとも1つのウィック部5を介して互いに向かい合わせて接続されかつ流体接続された2つの容器1及び2を有する、揮発性材料の送出システム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。例えば、バイパスチューブ9は、ウィック部5自体の内部に組み込まれることができる。バイパスチューブ9は、ウィック部5の近くにあるが、ウィック部5と物理的に接触していない位置にあることができるか、又は実際にはウィック部5と物理的に接触していることができる。1つ以上のバイパスチューブ開口部15(及び17)は、送出システム20のウィック部5、貯蔵器6(及び7)、及び/又は容器1(及び2)内のどこに位置してもよい。例えば、バイパスチューブ9は、ウィック部5と同じウィック開口部18(及び19)に入れることができるが、送出システム20を反転させたとき及び/又は倒したとき並びにそのようになった場合に揮発性材料8を収集するための代替の流体貯蔵器として役立つように、ウィック部5より長めに作られ、ウィック部5から離して配置することができる。別の例では、バイパスチューブ9とウィック部5の両方が同一の開口部の中を通るように、バイパスチューブ開口部15(及び17)をウィック開口部18(及び19)内に一体化することができる。この場合、増加段階の放出モード中に過剰の揮発性材料8が送出システム20から漏れるのを防ぐために、封止(図示せず)が1つだけ必要となり得る。これによって、生産コストが低減され、また封止の不具合又は漏れのおそれが減る。バイパスチューブ9は、ウィック部5自体の中に単に空洞を作り出すことによって、ウィック材料5から製造することもできる。同一の貯蔵器6(及び7)の中及び/又は同一のウィック部5の中に、1つを超えるバイパスチューブ9及び/又はウィック開口部15(及び17)があってもよい。
【0059】
図7aは、持続段階の放出モードにおける送出システム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。送出システム20は、2つの貯蔵器78及び79、2つのバイパスチューブ9及び10、1つのウィック部5、2以上の別個の区別できる相61及び83からなる少なくとも1つの多相揮発性材料を有する。いかなる好適な量、密度及び/又は粘度のいかなる好適な多相揮発性材料も使用することができる。持続段階の放出モードの間、多相揮発性材料は、下部の流体貯蔵器79に貯蔵されている。別個の区別できる相61及び83は、何れか好適な順序又は配列で、流体貯蔵器79から前記少なくとも1つのウィック部5への毛管現象によって大気に与えられることができる。例えば、ウィック部5は、貯蔵器79(及び80)から両方の相を等量で汲み上げて大気に与えることができ、また、相61を相83よりも速く、優先的に与えることができ、逆もまた同様に可能である。ウィック部5に、所望の相のうち一方からの流体を、静止又は平衡状態におけるもう一方の相の速度よりも速い速度で優先的に汲み上げさせて供給させる他のいかなる方法が使用されてもよい。例えば、前記少なくとも1つのウィック部5の長さは、それが、持続段階の放出中に相61を優先的に汲み上げるが、同時に相83での汲み上げが生じないように、流体貯蔵器80内に設定又は高さ配置されてよい。ウィック部での差別的な吸上げを提供する他の手段としては、異なるウィック材料の種類及び/又は設計を提供すること、並びに多相揮発性組成物中の異なる相の化学的性質を調節してウィック部5での吸上げを変更することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
図7bは、増加段階の放出モードにおける送出システム20を表す。増加段階の放出が望ましいとき、消費者は送出システム20を反転させる。反転すると、(図7aの)下部の流体貯蔵器79は、図7bの上部流体貯蔵器79になる。そのとき、多相揮発性材料の少なくともいくらかが単位用量室80で収集されるが、過剰の多相揮発性材料は、入口開口部16及び17並びにバイパスチューブ9及び10を通って下部の流体貯蔵器78へ排出され始める。前記少なくとも1つのバイパスチューブ開口部16及び17の位置は、消費者に、単位用量室80及び/又は前記少なくとも1つのウィック部5を所望の流体相で満たさせることができる。
【0061】
増加段階の放出中に消費者が知覚する多相揮発性材料の特徴並びに強度は、単位用量室80に収集された前記多相組成物の別個の相61及び83を混合及び/又は置換した途端に変化し得る。多相揮発性材料78の好適ないかなる物理的性質又は特性を用いて、所望の相を分離し、それを前記少なくとも1つのウィック部5に優先的に取り込むこともできる。
【0062】
多相揮発性材料の前記少なくとも2つの別個の区別できる相の密度は、特定の揮発性材料相がウィック部5にどのようにして、いつ供給されるかを制御することができる。例えば、密度のより低い相61は、反転後に混ざるとバイパスチューブ9及び10に入り、密度のより高い相83よりも速く流出することができるが、密度のより高い相83は実際には、適切な構造及び/又は状態が与えられると単位用量室80の中で密度のより低い相61のいくらか又は全部と置き換わることができる。密度のより高い相83の一部が単位用量室80の中でより密度の低い相61の一部と置き換わるとき、置き換えられたより密度の低い相61は、その後、排出されて下部の流体貯蔵器78に戻ることができる。増加段階の放出モード中には、より密度の高い相83が、ウィック部5へ優先的に供給され、密度のより低い相61よりも大量に大気に放出される。したがって、同じ多相揮発性材料が、持続段階の放出モードでは、増加段階の放出モード中とは異なる特徴及び/又は強度を示すことがある。
【0063】
同様に、多相揮発性材料(図示せず)の前記少なくとも2つの別個の区別できる相の粘度は、特定の揮発性材料相をどのようにして、いつウィック部へ供給するかを制御することができる。例えば、持続段階の放出中の平衡状態では、ウィック部は、2以上の揮発性材料のうち粘度の高い相から汲み上げるように、下部の貯蔵器内の特定の高さ又は特定の位置にあってよい。増加段階の放出中に混合すると、下部の流体貯蔵器は上部の流体貯蔵器になる。粘度のより低い相が粘度のより高い揮発性材料よりも速く流出できることから、単位用量室は、まず粘度のより低い相で満たすことができる。粘度のより高い揮発性材料は、粘度のより低い相よりもわずかに低いか又はそれと同じ密度であり、バイパスチューブの方向に向けられ、重力によって下部の流体貯蔵器で収集される。したがって、増加段階の放出モード中には、粘度のより低い揮発性材料が、ウィック部に優先的に供給され、粘度のより高い相よりも大量に大気に放出される。
【0064】
図8aは、少なくとも1つの第2のウィック部38を有する揮発性材料の送出システム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。前記少なくとも1つの第2のウィック部38は、いつでも、例えば、送出システム20の反転時又は増加段階の放出を与えるための非噴霧式ポンプによって、揮発性材料8を取り込むことができる。第2のウィック部38は、増加段階の放出モード中に蒸発表面積を大きくすることによって、高められた強度の揮発性材料8を大気に供給するのを助けることができる。第2のウィック部38は、いかなる好適な大きさ、形、又は構造でいかなる好適な材料からも作られる。例えば、第2のウィック部38は、平坦なワッシャ、中空リング、又はドーナツの形であってよく、前記少なくとも1つの流体貯蔵器6(及び7)内で少なくとも部分的に、例えば、図のように前記少なくとも1つのウィック開口部18及び19の接合点を超えたところに、延びている。第2のウィック部38はまた、流体貯蔵器6(及び7)内の任意の位置まで、例えば、流体貯蔵器6(及び7)の内部空洞の全長まで延びていてもよく、できれば容器基部33(及び34)の内面と接触さえしていてもよい。この例では、第2のウィック部38は、第1のウィック部5と物理的に接触していてよい。
【0065】
図8bは、第1のウィック部5と物理的に接触していない少なくとも1つの第2のウィック部39を有する、揮発性材料の送出システム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。
【0066】
図8cは、複数個の個別の送出システムを有する複合送出システム100の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。例えば、送出システム100は、何れかの構造の複数個の別個の容器101、102、103及び104を含み得るが、前記容器の全てが、物理的に接続されている、向かい合わせて接続されている、又は流体接続されているとは限らない。容器101と102は、容器103及び104と向かい合わせて接続されていても、及び/又は流体接続されていてもよいが、容器103及び104とは必ずしも物理的に接続されていなくてもよい。それでも、全てを単一の送出システム100又はハウジング(図示せず)の中に収納することができる。容器の各ペア101と102、及び103と104はそれぞれ、少なくとも1つの貯蔵器又は1対の貯蔵器113と116、及び114と115を含んでいてもよい。貯蔵器の各対113と116、及び114と115は、少なくとも1つのバイパスチューブ107(及び108)、及び上述のように向かい合った貯蔵器ペアを流体接続する、対応するバイパスチューブ開口部109及び111(110及び112)を有していてよい。この実施形態では、異なる揮発性材料を、それぞれの流体貯蔵器ペアに提供することができる。例えば、揮発性材料117を貯蔵器ペア113及び116に提供すると同時に、揮発性材料118を貯蔵器ペア114及び115に提供することができる。
【0067】
個別のウィック部105(及び106)の位置、場所、大きさ、形、及び構造は、複合送出システム100に収納される個別の送出システムそれぞれの要件に応じて変えることができる。例えば、ウィック部105は、ウィック部105が容器102の流体貯蔵器113の内部空洞内には部分的にしか延びていないが、ウィック部105が容器101の流体貯蔵器116の内部空洞の長さ全体に延びているように、貯蔵器116の中に配置することができる。同様に、ウィック部106は、ウィック部106が容器104の流体貯蔵器115の内部空洞内には部分的にしか延びていないが、ウィック部106が容器103の流体貯蔵器114の内部空洞の長さ全体に延びているように、貯蔵器114の中に配置することができる。
【0068】
この構造では、異なる芳香剤を、2つの別個の持続段階の放出モードの間に、それぞれ個別の送出システムから放出することができる。第1の持続段階の放出モード(A)では、ウィック部105は揮発性材料118に浸かっているが、同時に、ウィック部106は揮発性材料117に浸かっていない。そのため、ウィック部105のみが動作中で、揮発性材料118を毛管現象により放出する。増加段階の放出モードが望ましいときは、複合送出システム100を反転させる。下部の流体貯蔵器115及び116が、上部の流体貯蔵器となる。増加段階の放出モードでは、ウィック部105及び106に、揮発性材料118及び117がそれぞれ個別に取り込まれる及び/又は与えられる。増加段階の放出モードが完了して、揮発性材料117(及び118)がバイパスチューブ107(及び108)又はウィック部105(及び106)の何れかを介してそれぞれの下部の貯蔵器ペア114(及び113)へ排出されると、第2の持続段階の放出モードが自動的に開始する。
【0069】
第2の持続段階の放出モード(B)では、ウィック部106は揮発性材料117に浸かっているが、同時に、ウィック部105は揮発性材料118に浸かっていない。そのため、ウィック106のみが動作中で、揮発性材料117を毛管現象により放出する。したがって、増加段階の放出の特徴は、持続段階の放出(A)及び(B)の両方と異なり、前記持続段階の放出(A)及び(B)もやはり互いに特徴が異なる。
【0070】
図9a、9b、9c、及び9dは、持続段階の放出モードにおいて、単一の容器1、少なくとも1つの流体貯蔵器6及び少なくとも1つの投与チューブ45を有する、他の非限定的な実施形態の断面図を表す。増加段階の放出モードが望ましいときは、ウィック部5に揮発性材料8を取り込む及び/又は与えるために、図9aの送出システム20を反転させることが必要である。ウィック部5は、前記少なくとも1つの流体貯蔵器6の内部に少なくとも部分的に設けられて前記少なくとも1つの流体貯蔵器6に貯蔵されている揮発性材料8の少なくともいくらかに流体接続する。反転すると、投与チューブ入口開口部49は、流体貯蔵器6内に位置する揮発性材料8を投与チューブ45の中に収集し、投与チューブ45が揮発性材料8で少なくとも部分的に満たされるようになる。送出システム20を、その容器基部34を下に戻して直立位置に戻したとき、揮発性材料8の少なくともいくらかの部分は投与チューブ45で収集される。揮発性材料8の収集された部分は、その後、ウィック投与室54と物理的及び/又は流体接続されている投与チューブ出口開口部51を介して重力によってウィック部5へ流れ、前記ウィック投与室54は、次いで、ウィック部5及び/又は前記少なくとも1つの第2のウィック38と物理的に接続される及び/又は流体接続される。ウィック投与室54は、揮発性材料8に、増加段階の放出の供給のための反転後に投与チューブ45に収集された揮発性材料8の少なくともいくらかでウィック部5及び第2のウィック部38を湿らせることを可能にする。この実施形態における持続段階の放出の供給は、反転などの機械的な行為を必要としないことに留意すべきである。反転後、ウィック部5の毛管による取り込みが自動的に復帰する。毛管現象は、送出システム20が放出プロセスで揮発性材料8を実質的に使い尽くすまで、自動的に続けることができる。
【0071】
図9aの実施形態と同様に、図9b及び9cの実施形態もまた、持続段階の放出を与えるために機械的なステップを必要としない。しかしながら、前述の実施形態とは異なり、増加段階の放出は、圧迫可能なブラダ47又は非噴霧式ポンプ48を介して揮発性材料8をウィック部5及び/又は第2のウィック部38(及び39)に取り込むことによって達成される。図9bでは、容器1の流体貯蔵器6から投与チューブ入口開口部49を介して、少なくともいくらかの揮発性材料8を汲み上げる、圧迫可能なブラダ47を使用する。揮発性材料8は、投与チューブ45に収集され、かつブラダ入口開口部52からブラダ47に収集され、ブラダを圧迫したときに、ブラダ出口開口部53から投与チューブ46へ放出される。ウィック部5及び任意の第2のウィック材料(図示せず)は、図9aにおいて前述した方法に従って、取り込まれる又は与えられることができる。
【0072】
図9bの実施形態と同様に、図9cの実施形態では、圧迫可能なブラダ47を非噴霧式手動ポンプ48と置き換えること以外は同じ送出概念を用いる。非噴霧式手動ポンプ48は、ポンプ入口開口部56及びポンプ出口開口部55を有し、非噴霧式手動ポンプが最小限の機械的行動によって使用されているときに、少なくともいくらかの揮発性材料8がウィック部5並びに/又は第2のウィック部38及び39へ供給されるように好適なポンプヘッドを有するいかなる好適な種類、大きさ、形、及び/又は寸法のものであることもできる。ポンプ又は圧迫可能なブラダ装置の何れにもスプレーヤは取り付けられていない。
【0073】
図9dは、2つの別個の容器1及び50を有する送出システム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。ウィック部5は、封止可能なウィック開口部18を介して、流体貯蔵器6内に貯蔵された揮発性材料8と流体接続されている。持続段階の放出は、前記少なくとも1つのウィック部5を介した揮発性材料8の毛管現象によって大気に与えられる。ウィック部5は、いかなる好適な大きさ又は長さのものであることもでき、また貯蔵器6内で容器基部34の内面へ向かって延びていてよい。容器50は、投与チューブ46を介して容器1と流体接続されている。容器50は、投与漏斗71、投与拡散器72、収集基部73、第2の流体貯蔵器57及び第2のウィック部38を具えていてよい。増加段階の放出が望ましいとき、容器1の揮発性材料8は、任意の好適な手段によって容器50の第2のウィック部38へ供給され得る。揮発性材料8は、投与チューブ入口開口部49から投与チューブ46へ供給される。揮発性材料8は、投与チューブ出口開口部51から容器50に入るが、ここで、揮発性材料8は投与漏斗71によって収集され、前記投与漏斗71が揮発性材料8を投与拡散器72に方向付け、前記投与拡散器72が揮発性材料8を第2のウィック38に供給する。第2のウィック部38は、投与拡散器72及び投与漏斗71と流体接続されている。第2のウィック部38はまた、任意の好適な接続を介して投与拡散器72及び容器基部73に固定して接続されていてもよい。
【0074】
第2のウィック部38は、好適ないかなる大きさ又は形であってもよい。例えば、第2のウィック部は、中空カップ、球体又はリングの形であってよく、そこでは、揮発性材料8は、重力によって投与拡散器72から第2のウィック部38を通って容器基部73へ向かって流れる。第2のウィック部38は、いかなる好適な表面積を含んでもよい。例えば、好適な表面積は、前記少なくとも1つのウィック部5よりも約1〜約100倍、又は約1〜約50倍、又は約1〜約20倍、又は約1〜約5倍大きな表面積の範囲に及ぶことがある。ウィック部の表面積の拡大は、ウィック材料の孔径を変えることによって、又はウィック材料をプリーツ状にするか若しくはこれを折り畳むことによって、などの任意の好適な手段によって提供され得る。
【0075】
図9aの実施形態と同様に、図9dの実施形態は、揮発性材料8が増加段階の放出のために第2のウィック部38へ供給されるように容器1を反転させることによって(又は任意の他の好適な手段によって)増加段階の放出を開始することができる。投与拡散器72を介して供給された後で第2のウィック部38に収集されない過剰の揮発性材料8は、第2のウィック部38と流体接続された第2の流体貯蔵器57に収集することができる。第2のウィック部38は、任意の第2の流体貯蔵器57を有する多孔質固体であってもよい。多孔質固体は、第2のウィック部38自体から即座には放出されない過剰の揮発性材料8を吸収することができる。増加段階の放出は、揮発性材料8が全て蒸発するまで続く。例えば、第2のウィック部38に取り込まれるか又は第2の流体貯蔵器57に貯蔵されている揮発性材料8は全て、増加段階の放出の間に蒸発によって大気に与えられる。
【0076】
図10a及び10bは、大気に曝されている表面積の量に応じて多少の揮発性材料8を大気に与えることができる、調節可能な大きな表面積のウィック部58を有する、送出システム120の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。図10aは、ウィック部58の表面積の最小量が大気に露出されている平衡状態での送出システム120を表す。平衡状態では、ばね75は圧縮されていない。平衡状態での折り畳まれた位置において、ウィック部58は、持続段階の放出を与える。
【0077】
特定の実施形態では、送出システム120は、調節可能な大きな表面積のウィック部58、ウィック部拘束(retraining)リング60、ばね75、任意の制動装置(図示せず)、ばね拘束装置(図示せず)、任意に、穿孔を有する保護シェル121、及びウィック部拘束リング60を介してばね75を圧縮するための少なくとも1つのレバー122を具えたウィックばねアセンブリを含む。穿孔を有する保護シェル121は、いかなる好適な大きさ、形又は構造でもあり得る穿孔(図示せず)を介して揮発性材料の規制されていない放出流を可能にするように、いかなる大きさ、形、又は構造でいかなる好適な材料から作られることもできる。例えば、穿孔(図示せず)は、複数個のスロットであってよい。穿孔を有する保護シェル121には、ウィック部拘束リング60に取り付けられたレバー122が、ばね75の圧縮に必要な長さ全体を移動させる垂直スロット123を設けることができる。ウィックばねアセンブリは、増加段階の放出の強度を変えるために、消費者にウィック部58の露出した表面積を設定又は調節させる。レバー122を用いてばね75を圧縮する間、消費者は、送出システム120を反転させなくても、増加段階の放出を与えることができる。
【0078】
図10bは、最大増加段階モードの送出システム120を表す。ここでは、ウィック部58の表面積の最大量が大気に露出されている。ばね75は、完全に圧縮されている。拘束されていないときは、その最大表面積を大気に露出するために開く又は広がるように、ウィック部58はいかなる好適な形又は大きさのいかなる好適な材料で作られていてもよい。ばね75が徐々にその平衡状態の長さへ戻るにつれて、ウィック部の表面積はウィック部拘束リング60によって減少する。任意のばね制動装置(図示せず)は、様々な増加段階の放出の持続時間を提供できるようにする。ウィックばねがその平衡状態へ戻るとき、増加段階の放出モードが停止して、持続段階の放出モードが自動的に復帰する。したがって、増加段階の放出の持続時間及び強度は、単にレバー122を所望の位置まで押し下げることによって、消費者が制御することができる。
【0079】
図11は、安定クレードル62を有する、送出システム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。安定クレードル62は、送出システム20が、安定クレードル62に置かれた時点で、好適な分配位置(例えば、直立位置)で少なくとも部分的に安定化されるように、いかなる好適な大きさ、形、又は構造を有するいかなる好適な材料から作られていてもよい。この場合、直立位置は、任意の方向で垂直線から45度より大きいいかなる傾斜にも言及する。例えば、安定クレードル62は、木材、金属、プラスチック及び/又はガラスから作られていてもよく、また任意に、前記少なくとも1つの容器基部34と接触したときに送出システム20に少なくともいくらかの安定性を追加する、陥凹部63を有していてよい。安定クレードル62は、処置を必要とする任意の部屋又は場所(例えば、居間、台所、浴室、ガレージ、裏庭など)での送出システム20の設置を特定することの利便性を消費者にもたらす。安定クレードル62は、消費者に送出システム20を独自のものにさせるために、装飾的な品目を構造体上に配置させることができる。例えば、カラーコーディネートに利用できる多くの異なる装飾的な色を有する、着色された化粧板を選択することができる。装飾的な品目は、留め具、接着剤、鍵と鍵穴の装置、などの任意の固定手段によって、安定クレードル62及び/又は送出システム20のどこに取り付けられてもよい。
【0080】
図12は、送出システム20が接触、振り、非水平に倒すこと、ないしは別の方法によって転倒した時点で、転倒に対して少なくともいくらかの安定性を与えるように、いかなる大きさ、形、又は構造でいかなる好適な材料から作られることもできる少なくとも1つのバラスト63を有する、送出システム20の別の非限定的な実施形態の断面図を表す。好適なバラスト材料の好適な形態としては、固体、液体、ゲル、粉末、顆粒、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、バラスト63は、送出システム20の転倒を減らすために、いかなる好適な重量を有するいかなる好適な材料を含むこともできる。バラスト63は、任意の好適な様式(例えば、固定式、非固定式、など)で送出システム20及び/又は容器1(及び2)に取り付けることができる。バラスト63は、送出システム20上で調節できるように取り外し可能に取り付けることができる。そのため、バラスト63は、いかなる好適な構造でいかなる好適な手段によって、容器1(及び2)に配置及び/又は再配置することもできる。例えば、消費者は、反転させた後で、バラスト63を下部の容器2に取り付けることができる。あるいは、製造者は、送出システム20を反転させたときに重力の作用によって上部の容器1から下部の容器2へ自動的に再配置され得るように、バラスト63を取り付けてもよい。
【0081】
バラスト63は、任意の好適な機構、例えば、スライディング機構によって、前記少なくとも1つの容器に接続されることができる。バラスト64は、重力によって、例えば、リングなどの取り付け装置65を介してバイパスチューブ9(及び10)に沿ってスライドさせることによって、送出システム20の長手方向軸に沿って自由に移動することができる。あるいは、バラスト64は、スライドさせずに、例えば、バラスト64を送出システム20の任意の部分、例えば下部の容器基部34又はバイパスチューブ9(及び10)などにクリップで留めることによって、反転プロセスの前、その間、又はその後で、物理的に移転させることができる。好適な取り付け装置65は、いかなる好適な大きさ、形、又は構造でいかなる好適な材料から作られることもできる。例えば、取り付け装置65は、クランプ、クリップ、リング、糸、ひも、接着剤、摩擦器具、磁石、及びこれらの組み合わせであってよい。前記少なくとも1つのバラスト63はまた、前記少なくとも1つの容器1(及び2)に定位置で取り付け及び/又は接続することもできる。1つの非限定的な実施形態において、バラスト(図示せず)は、送出システム20の一構成要素内に収納された砂又はボールベアリングの形態であってよい。
【0082】
図13aは、4つのバイパスチューブ65、66、67、及び68並びに少なくとも1つのウィック部5を有する、送出システム20の別の非限定的な実施形態の斜視図を表す。上下を逆さまにすると、バイパスチューブ65、66、67、及び68は、何れかの流体貯蔵器(図示せず)に貯蔵されていた揮発性材料(図示せず)のいくらかを収集するための第2の流体貯蔵器として作用し、それによって、送出システム20からの漏れを最小限に抑えることができる。図13bは、図13aの送出システム20の平面図を表す。この構造は、直立位置から倒した後で送出システム20を安定化するのを助ける。図13cは、バイパスチューブ66及び68を通る断面図(A−A)を示す。
【0083】
図14は、少なくとも1つのバラスト70を有する外側フレーム69を有する、送出システム20の別の非限定的な実施形態の斜視図を表す。外側フレーム69は、いかなる好適な材料から作られていてもよく、またいかなる好適な大きさ又は形で構成されていてもよい。外側フレーム69は、任意の好適な手段によって送出システム20に取り外し可能に取り付けることができる。バラスト70も、外側フレーム69に取り外し可能に取り付けることができる。送出システム20は、外側フレーム69から容易に取り外し、消費者によって反転させてから、再び取り付けることができる。あるいは、送出システム20は、所定の位置で反転させることができる。例えば、外側フレーム69は、容器1(及び2)を押すことで消費者に送出システム20を簡単に反転させることができるピボットアーム(図示せず)を設けることによって、送出システム20を反転させる手段を提供することができる。バラスト70は、必要に応じて、例えば洗浄のために、送出システム20の後で取り外して、外側フレーム69に再び取り付けることができる。
【0084】
図15aは、別のウィックばねアセンブリ機構を含む、送出システム20の断面図を表す。ウィックばねアセンブリは、少なくとも1つの伸縮自在ウィック部86、少なくとも1つのばね87、少なくとも1つのばね調節器88、任意的な制動装置(図示せず)、及びばね拘束装置(図示せず)を具えている。図10aの実施形態と同様に、持続段階の放出モードは、伸縮自在ウィック部86の表面積の最小量が大気に露出されている平衡状態で生じる。平衡状態において、伸縮自在ウィック部86は、容器1の流体貯蔵器6に収容される揮発性材料8に浸かっている。この場合、ウィックばねアセンブリ75は平衡状態では圧縮されている。
【0085】
増加段階の放出が望ましいとき、伸縮自在ウィック部86のより大きな表面積が大気に露出される。例えば、消費者は、ばね調節器88を所望の長さまで引き上げ、それによって平衡状態で露出していたよりも大きな伸縮自在ウィック部86の表面積を大気に露出させることによって、前記ウィック部の表面積を大きくすることができる。伸縮自在ウィック部86が完全に伸ばされたとき、ウィックばね75は圧縮されていない。揮発性材料8の放出速度は、ウィック部の露出される表面積の量に応じて増加する。露出される表面積が大きいほど、増加段階の放出速度は増す。したがって、消費者は、伸縮自在ウィック部86の露出される表面積の量を変えることによって、増加段階の放出モード中に知覚される強度水準を制御する能力を有する。ウィックばねアセンブリ75が徐々に平衡状態に圧し戻されるにつれて、伸縮自在ウィック部86は容器1の流体貯蔵器6に戻され、そこで、伸縮自在ウィック部86は揮発性材料8に再び浸かって、揮発性材料8を再び取り込む。したがって、増加段階の放出は、均一に与えられることができ、揮発性材料8が使い尽くされるまで消費者によって必要に応じて何度でも繰り返される。
【0086】
増加段階の放出の強度を高めるいかなる他の好適な手段も有用である。例えば、特定の他の実施形態では、送出システム内の揮発性材料は、ゲル又は液状ゲルの形態(図示せず)であってよい。そのような場合、ウィック部は、ウィック部への、ばね自体への、及び/又はパドルのように、ウィックばねに取り付けられるか若しくはそれに隣接することができる好適な供給装置への、揮発性ゲル組成物の取り込みを促進するように改善することができる。ゲルを取り込んだウィックばね自体及び/又は供給装置は、増加段階の放出を与える手段を提供することができる。平衡状態では、ウィック部及び/又は揮発性ゲル材料の最上層表面からの揮発性ゲル組成物の蒸発が、持続段階の放出モードを提供する。それとは逆に、ゲルを取り込んだウィックばねが、非圧縮モードで容器から引き伸ばされると(図15bの実施形態と同様)、揮発性ゲル材料のより大きな表面積蒸発が生じる。ウィックばねが徐々に平衡状態に戻るにつれて、増加段階の放出が自動的に停止すると同時に、持続段階の放出が自動的に復帰する。
【0087】
他の代替の実施形態において、送出システムは、1つ以上の揮発性材料の包み束又はパックを含むキットを含むことができる。前述の実施形態のいかなるものも、その最初の製品を消費者に提供することに加えて、同一物の詰め替え品を提供するのに使用されることができる。特定の非限定的な実施形態において、送出システムは、最初の製品で販売される揮発性材料以外の、又はそれらに加えて、様々な種類の揮発性材料(例えば、芳香剤組成物、悪臭低減組成物、殺虫剤、ムード増強組成物、又はこれらの組み合わせ)の選択肢を消費者に提供することを含んでよい。
【0088】
本明細書全体にわたって言及した全ての特許、特許出願(及びそれに基づいて発行された何れの特許、並びに関連して発行された何れの外国特許出願も)、及び出版物の開示内容を本明細書に参考として組み込む。しかしながら、本明細書に参考として組み込まれる文献の何れもが本発明を教示又は開示していないことを明言する。
【0089】
本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最大数値限定は、それよりも小さいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含むことが理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それよりも大きいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、こうしたより広い数値範囲内に入る、それよりも狭いあらゆる数値範囲を、あたかもこうしたそれよりも狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0090】
本発明の特定の実施形態について記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には明らかであろう。更に、本発明を特定の具体的な実施形態と関連させて説明してきたが、これは説明を目的とするものであって、限定を目的とするものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義され、請求項は従来技術が容認するのと同じくらい幅広く解釈されるべきであることを理解すべきである。
【0091】
本明細書は、本発明を詳細に指摘し明確に請求する請求項をもって結論とするが、本発明は、添付の図面と併せてなされる以下の説明から、より一層理解が深まると考える。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】送出システムの断面図。
【図2】送出システムの断面図。
【図3a】送出システムの断面図。
【図3b】溝を有する送出システムの断面図
【図4】送出システムの断面図。
【図5a】送出システムの側面図。
【図5b】蒸発表面装置の断面図。
【図5c】送出システムの断面図。
【図6】送出システムの断面図。
【図7a】送出システムの断面図。
【図7b】送出システムの断面図。
【図8a】送出システムの断面図。
【図8b】送出システムの断面図。
【図8c】送出システムの断面図。
【図9a】送出システムの断面図。
【図9b】送出システムの断面図。
【図9c】送出システムの断面図。
【図9d】送出システムの断面図。
【図10a】送出システムの断面図。
【図10b】送出システムの断面図。
【図10c】プリーツ状のウィック部の断面図
【図11】送出システムの断面図。
【図12】送出システムの断面図。
【図13a】送出システムの斜視図
【図13b】送出システムの平面図
【図13c】送出システムの断面図。
【図14】送出システムの斜視図
【図15a】送出システムの断面図。
【図15b】送出システムの断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの揮発性材料を大気に放出する方法であって、(a)エネルギー源を要する揮発性材料送出システムを用意するステップと、(b)少なくとも1つの揮発性材料の連続的持続段階の放出及び/又は少なくとも1つの揮発性材料の一時的増加段階の放出を与えるステップとを具え、前記送出システムは、熱と、気体と、電流とからなるグループから選択されるエネルギー源を使用し、前記少なくとも1つの揮発性材料が噴霧器によって機械的に送出されず、更に、前記蒸発表面装置は、反転,ポンピング,ばね作用,振盪,旋回,攪拌,衝突,移動,往復振動,回転,動揺,かき混ぜ,揺動,震動の手段の1つ以上を使用して消費者により与えられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記送出システムが加熱部材又は電動送風機の何れかを使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記送出システムが加熱部材及び電動送風機の両方を使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱部材又は前記送風機の何れかが前記一時的増加段階の放出を与えるために用いられることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記揮発性材料は、少なくとも1つの揮発性材料を含みかつエネルギー源を要する揮発性材料送出システムを使用して大気に放出され、前記送出システムは、少なくとも1つの揮発性材料の連続的持続段階の放出及び/又は少なくとも1つの揮発性材料の一時的増加段階の放出を与え、前記送出システムは、
a)少なくとも1つの流体貯蔵器を具えた少なくとも1つの容器と、
b)少なくともいくつかの長手方向の露出部を有する前記少なくとも1つの容器に設けられた少なくとも1つの蒸発表面装置開口部と、
c)前記少なくとも1つの蒸発表面装置開口部および前記少なくとも1つの流体貯蔵器に少なくとも部分的に設けられて前記揮発性材料に流体接続する少なくとも1つの蒸発表面装置と
を具え、
前記送出システムが熱源か、気体供給源か、又は電源を使用し、前記少なくとも1つの揮発性材料が噴霧器により機械的に送出されず、更に、前記容器は、前記揮発性材料の蒸発表面への時間制御放出を与える更なる流体貯蔵器を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記揮発性材料は、少なくとも1つの揮発性材料を含みかつエネルギー源を要する揮発性材料送出システムを使用して大気に放出され、前記送出システムは、少なくとも1つの揮発性材料の連続的持続段階の放出及び/又は少なくとも1つの揮発性材料の一時的増加段階の放出を与え、前記送出システムは、
a)少なくとも1つの流体貯蔵器を具えた少なくとも1つの容器と、
b)少なくともいくつかの長手方向の露出部を有する前記少なくとも1つの容器に設けられた少なくとも1つのウィック開口部と、
c)前記少なくとも1つのウィック開口部および前記少なくとも1つの流体貯蔵器に少なくとも部分的に設けられて前記揮発性材料に流体接続する少なくとも1つのウィック部と
を具え、
前記送出システムが熱源か、気体供給源か、又は電源を使用し、前記少なくとも1つの揮発性材料が噴霧器により機械的に送出されず、更に、前記ウィック部が整列した繊維のウィック部であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記整列した繊維のウィック部がポリエステル/ポリオレフィンの混紡体を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ウィック部が約0.1g/cm3〜約0.2g/cm3の平均密度を有することを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記整列した繊維のウィック部が多孔質材料又は膜で包まれていることを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記整列した繊維のウィック部が異なる密度を持った同心円状をなす環状の領域を有することを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図8c】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図9c】
image rotate

【図9d】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図10c】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13a】
image rotate

【図13b】
image rotate

【図13c】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15a】
image rotate

【図15b】
image rotate


【公表番号】特表2008−537697(P2008−537697A)
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506618(P2008−506618)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/013588
【国際公開番号】WO2006/113253
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】