説明

揺動スイッチ

【課題】可動接点体支持体と可動接点体間の電気的接続が確実に行えるスイッチを提供する。
【解決手段】ケース10と、ケース10の接点収納部11内に設置される固定接点体40及び可動接点体支持体50と、可動接点体支持体50の立設部54に軸支され可動接点71を有する可動接点体70と、可動接点体70の上部に設置され可動接点体70を揺動操作する操作部157を有する操作つまみ150と、両端が可動接点体70の軸支部75を挟んだ両側に取り付けられ中間部分を操作部157に弾接させる弾接部203とした板バネ200とを具備する。弾接部203に操作部157を弾接して摺動することで可動接点体70を立設部54に押し付けながら揺動させて可動接点71と固定接点45間をオンオフする。弾接部203を下方に向けて突出させ可動接点71が固定接点45に当接した際の操作部157による弾接部203の押圧方向Cを可動接点71側に傾ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作つまみの揺動によってスイッチ接点を切り換える揺動スイッチ(シーソー型スイッチ)に関し、特に電源のオンオフに用いて好適な揺動スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、揺動型の電源スイッチ(電源のオンオフに用いるスイッチ)は、たとえば特許文献1の図22に示すように、ケース(2)の底面に固定接点体(4)と可動接点体支持体(5)とを取り付け、可動接点体支持体(5)の立設部(521)(特許文献1の図18参照)の上辺(523)上に可動接点体(3)を揺動自在に設置し、さらに可動接点体(3)の上に操作つまみ(1)を揺動自在に設置し、操作つまみ(1)を揺動操作することで操作つまみ(1)の下面から突出する操作部(12)(特許文献1の図2参照)を左右に移動し、この操作部(12)にその一端が係止されている可動接点体(3)を揺動して固定接点体(4)の固定接点(41)と可動接点体(3)の可動接点(31)とをオンオフするように構成している。
【0003】
一方この電源スイッチにおいては、スイッチオン時及びオフ時に可動接点体(3)が立設部(521)の上辺(523)上でバウンシングし、このため可動接点体(3)と可動接点体支持体(5)の間でアークが生じ、電源スイッチの寿命が短くなってしまう恐れがあった。
【0004】
この問題を解決するため、特許文献1に記載の電源スイッチにおいては、本願の図13に示すように、可動接点体支持体(5)の立設部(521)の上辺(523)上に、短絡片(6)を挟んで可動接点体(3)を揺動自在に設置する例が開示されている。このとき立設部(521)の上辺(523)の両端には上方に突出する突出部(521a)が設けられ、この突出部(521a)に可動接点体(3)の両側辺中央に設けた凹状の係止部(3a)を係合して揺動自在に保持している。短絡片(6)は略矩形平板状の短絡片本体(60)の対向する両側辺から上方向に傾斜しながら突出する1対ずつ(計4本)の突起(61)を設けるとともに、他方の対向する両側辺から上方向に90°よりもさらに少し鋭角に折り曲げてなる保持片(62)を設けて構成されている。そして突起(61)が可動接点体(3)の下面に弾接すると同時に、両保持片(62)が突出部(521a)の外側の側辺に弾接することによって立設部(521)と可動接点体(3)間が短絡片(6)によって弾性を持って電気的に接続される。これによって可動接点体(3)が立設部(521)の上辺(523)上でバウンシングしても、常に可動接点体(3)と可動接点体支持体(5)間の電気的接続が維持され、アークの発生が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−303727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記従来例の場合、短絡片(6)の両保持片(62)が立設部(521)の左右両側辺から張り出して配置されるため、その分電源スイッチの幅方向寸法(操作つまみ(1)の揺動軸に沿う方向の寸法)の厚みの薄型化が図れなかった。
【0007】
また上記構成の短絡片(6)の場合、突起(61)の長さ寸法が短い。このため突起(61)による可動接点体(3)の弾発力が経時的に弱くなる、いわゆる「ヘタリ」が生じてしまう恐れがあり、その耐久性に問題があった。
【0008】
また上記構成の短絡片(6)は可動接点体(3)と可動接点体支持体(5)の両者の何れに対しても弾接して摺動する上、短絡片(6)全体が動く構成なので、必ずしも可動接点体(3)と可動接点体支持体(5)間の電気的接続が確実に行えているとは言えず、さらに確実な電気的接続構造が求められていた。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、可動接点体支持体と可動接点体間の電気的接続が確実に行えてアークの発生を確実に防止することができるとともに十分な耐久性が得られ、さらに操作つまみの揺動軸に沿う方向の厚みの薄型化が図れるスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願請求項1に記載の発明は、接点収納部を有するケースと、前記ケースの接点収納部の底面に設置される少なくとも一対の固定接点体及び可動接点体支持体と、前記可動接点体支持体の立設部に揺動自在に軸支される軸支部を設け且つ前記固定接点体に設けた固定接点に接離する可動接点を有する可動接点体と、前記可動接点体の上部に設置され揺動することで前記可動接点体を揺動操作する操作部を有する操作つまみと、を具備する揺動スイッチにおいて、前記可動接点体と前記操作つまみの操作部の間に、その両端が可動接点体の軸支部を挟んだ両側に取り付けられることでその中間部分を前記操作部に弾接させる弾接部としてなる板バネを設置し、この板バネの弾接部に前記操作つまみの操作部を弾接して摺動することで可動接点体の軸支部を立設部に押し付けながら揺動させて可動接点と固定接点間をオンオフすることを特徴とする揺動スイッチにある。
【0011】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の揺動スイッチであって、前記板バネの弾接部の部分は前記可動接点体に向けて突出する突出形状にすることで前記可動接点が固定接点に当接した際の操作部による弾接部の押圧方向を可動接点側に傾けたことを特徴とする揺動スイッチにある。
【0012】
本願請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の揺動スイッチであって、前記板バネは、弾接部の両側部分を前記可動接点体側に向けて折り返すように湾曲させ、それらの端部を前記可動接点体の軸支部を挟んだ両側に取り付けて板バネの弾発力を強めたことを特徴とする揺動スイッチにある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、操作つまみの操作部と可動接点体の間に両者間を弾発する板バネを設置したので、可動接点体は常に可動接点体支持体の立設部に押し付けられ、従ってスイッチオン時に可動接点体が立設部上でバウンシングすることはなく、可動接点体と可動接点体支持体間の電気的接続を常に確実に維持でき、アークは生じず、揺動スイッチの長寿命化が図れる。また板バネは簡単な構造であり、且つ可動接点体の長さとほぼ同じ程度の長さに形成できるので、十分な弾発力が簡単に得られるばかりか、十分な耐久性が得られる。また板バネは可動接点体の上部に取り付けるので、操作つまみの揺動軸に沿う方向の厚みの薄型化が図れる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、可動接点が固定接点に当接した際の操作部による弾接部の押圧方向が可動接点側に傾くので、固定接点に対して可動接点を押し付ける力がより強くなり、これによって両接点間の接触圧やチャタリング等の接触不良を確実に防止できる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、板バネの弾発力を強くできるので、可動接点体を可動接点体支持体の立設部に押し付ける力と、可動接点を固定接点に押し付ける弾接力の両者を何れも強くすることができる。従って可動接点体は常に立設部に押し付けられて可動接点体と可動接点体支持体間の電気的接続を常に確実に維持でき、同時に固定接点に対する可動接点の押付力を強くできて両接点間の接触不良を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】揺動スイッチ1−1の斜視図である。
【図2】図1のA−A概略断面図である。
【図3】揺動スイッチ1−1の分解斜視図である。
【図4】揺動スイッチ1−1を下側から見た分解斜視図である。
【図5】揺動スイッチ1−1の動作説明図である。
【図6】揺動スイッチ1−1の動作説明図である。
【図7】揺動スイッチ1−2の概略断面図である。
【図8】板バネ200−2の斜視図である。
【図9】揺動スイッチ1−2の動作説明図である。
【図10】揺動スイッチ1−3の概略断面図である。
【図11】板バネ200−3及び可動接点体70−3の斜視図である。
【図12】板バネ200−3を下側から見た斜視図である。
【図13】特許文献1に記載の電源スイッチの可動接点体支持体(5)と短絡片(6)と可動接点体(3)とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態に係る揺動スイッチ1−1の斜視図、図2は図1のA−A概略断面図、図3は揺動スイッチ1−1の分解斜視図、図4は揺動スイッチ1−1を下側から見た分解斜視図である。これらの図に示すように揺動スイッチ1−1は、接点収納部11を有するケース10と、ケース10の接点収納部11内の底面に設置される一対の固定接点体40及び可動接点体支持体50と、可動接点体支持体50の下記する立設部54に揺動自在に軸支される可動接点体70と、可動接点体70の上面に取り付けられる板バネ200と、可動接点体70及び板バネ200の上部に設置される操作つまみ150とを具備して構成されている。なお以下の説明において、「上」とはケース10から操作つまみ150を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0018】
ケース10は合成樹脂を上面が解放された略矩形箱型に一体成形して構成されている。ケース10には上面が開口している凹状の接点収納部11が形成されている。接点収納部11内の底面には、一対のスリット状の端子挿入孔15が1列に直線状に並んで設けられている。ケース10の4つの外周側面の内の面積の大きい対向する一対の外周側面12の上部中央にはそれぞれ軸支孔13が設けられ、また面積の小さい対向する一対の外周側面14にはそれぞれ弾発係止部17が設けられている。弾発係止部17は上下方向に延びて外方向に膨らむ略V字状で平板状のアームであり、弾性を有する。アームの上部の外側面には凹凸状の係止部19が形成されている。図2に示すように、ケース10の接点収納部11内の4つの角部にはストッパ部21が形成されている。なお図2では奥側の2つのストッパ部21のみが記載されている。ストッパ部21はそれぞれその上面が下記する操作つまみ150の4つの当接部163に当接する。
【0019】
固定接点体40は、略矩形状の金属板の所定部分を略直角に折り曲げ、その一方の部分(水平方向を向く部分)を接点固定部41、他方の部分(垂直方向を向く部分)を端子43としている。接点固定部41には略円板形状の固定接点45が取り付けられている。端子43の左右両側辺の根元側の部分には、幅方向に張り出す小突起状の固定部47が形成されている。
【0020】
可動接点体支持体50は、略L字形状の金属板の屈曲している部分を略直角に折り曲げ、その一方の部分(水平方向を向く部分)を支持体本体部51、他方の部分(垂直方向を向く部分)を端子53としている。支持体本体部51はさらにその一端部を上方向に略直角に折り曲げてその立設する部分を立設部54としている。立設部54の上辺55の左右両側の凸部は可動接点体係止部56となっている。端子53の左右両側辺の根元側の部分には、幅方向に張り出す小突起状の固定部57が形成されている。
【0021】
可動接点体70は略帯状で平板細長形状の金属板で構成され、その一端近傍の下面に略円板形状の可動接点71を取り付けている。また長手方向に沿う一対の両側辺のそれぞれの略中央に凹状に切り欠いてなる係止部73を形成し、一対の係止部73間の部分を軸支部75としている。可動接点体70の両端部からは凸形状の突起が突出して上方向に略直角に折り曲げられ、その先端側の部分は板バネ係止部77となっている。つまり板バネ係止部77は可動接点体70の軸支部75を挟んだその両側に設けられている。また可動接点体70の一方の端部(可動接点体支持体50側の端部)側には、可動接点体70の長手方向に沿う両側辺から突出する突出部79が設けられ、これら突出部79の軸支部75側の辺をつまみ当接部81としている。また突出部79を設けた側の板バネ係止部77の両側には舌片状の小突起を突出して下方向に折り曲げてなる当接部78が形成されている。
【0022】
板バネ200は、弾性金属板を帯状で略直線状に形成し、その両端近傍に前記可動接点体70の板バネ係止部77を係止する寸法の略矩形状の貫通孔からなる係止部201を設けて構成されている。板バネ200の中央部分には、前記可動接点体70に向けて(下方向に向けて)略V字状に突出する突出形状の弾接部203が形成されている。
【0023】
操作つまみ150は合成樹脂の成形品であり、下面が解放された略箱型に形成されている。この操作つまみ150の4つの外周側面の内の面積の大きい対向する一対の外周側面151の略中央にはそれぞれ前記ケース10の軸支孔13に回動自在に挿入される軸支突起153が設けられている。操作つまみ150下面の凹部155内には図2に示すように凹部155底面の中央から下方向に向けて突出する略平板状の操作部157が設けられている。操作部157の下端は弾接摺接部159になっている。外周側面151の下端部からは外周側面151を下方向に延ばすように板状の側板部160が突出して設けられており、側板部160の一方の側辺には、直線状の押圧部161が形成されている。両側板部160の内側間(凹部155内)の間隔は、その間に前記可動接点体70の係止部73近傍部分は挿入できるが、可動接点体70の突出部79の部分は挿入できない寸法に形成されている。これによって図6に示すように、可動接点71が固定接点45に当接した状態のまま操作つまみ150のみを左回転していくと、点線で示すように、その押圧部161が可動接点体70のつまみ当接部81に当接する位置関係となっている。操作つまみ150の外周下面の4隅の部分は、前記ケース10のストッパ部21に当接する当接部163となっている。
【0024】
揺動スイッチ1−1を組み立てるには、ケース10の接点収納部11内に可動接点体支持体50と固定接点体40とを挿入し、固定接点体40の端子43と可動接点体支持体50の端子53とを、ケース10の各端子挿入孔15に挿入する。そしてケース10の底面から突出する各端子43,53の根元の固定部47,57を潰し、これによって各固定接点体40と可動接点体支持体50をケース10内の底面に固定する。さらに図示はしていないが、ケース10の下面の各端子挿入孔15の周囲にエポキシ系接着剤などからなる封止樹脂を充填し、端子43,53と端子挿入孔15との間にあるわずかな隙間を封止する。
【0025】
次に可動接点体70の両板バネ係止部77にそれぞれ板バネ200の係止部201を係合して一体化する。そしてこの可動接点体70をケース10の接点収納部11内に収納し、可動接点体70の係止部73に可動接点体支持体50の可動接点体係止部56を係止し、同時に可動接点体70の軸支部75を可動接点体支持体50の上辺55に当接させる。
【0026】
そしてケース10の上に操作つまみ150を配置し、その際操作つまみ150の下部を接点収納部11内に挿入し、操作つまみ150の軸支突起153をケース10の軸支孔13に回動自在に挿入する。これによって揺動スイッチ1−1の組み立てが完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0027】
図2は操作つまみ150が一方の側に揺動しきってスイッチがオフして安定している状態を示している。同図に示す状態は、操作つまみ150の左側の当接部163がケース10のストッパ部21に当接し、可動接点体70の当接部78がケース10底面に当接し、操作つまみ150の操作部157の弾接摺接部159が板バネ200の弾接部203の中央よりも可動接点71から離れた側の部分を押圧(弾接)して板バネ200を下方向に撓め、これによって可動接点体70の可動接点71が固定接点体40の固定接点45から離れ、固定接点体40と可動接点体支持体50間、つまり両端子43,53間がオフになって安定している状態である。
【0028】
次に前記操作つまみ150の上方向に持ち上がっている側の上面を押し込む方向に(図2に示す矢印B方向に)押圧すると、操作つまみ150の操作部157の弾接摺接部159が板バネ200の弾接部203の上面を押圧して板バネ200を撓ませながら可動接点71側に向けて移動(摺動)を始める。そして弾接摺接部159が弾接部203の中央付近を通過した際に、可動接点体70は軸支部75の部分を揺動軸として可動接点71側が下降するように揺動を始め、湾曲している板バネ200の弾発力によって可動接点体70は急速に揺動して図5に示すように瞬時に可動接点71が固定接点45に当接し、固定接点体40と可動接点体支持体50間、つまり両端子43,53間がオンする。このとき操作つまみ150は他方の側に揺動しきって操作つまみ150の右側の当接部163がケース10のストッパ部21に当接し、安定する。このとき操作つまみ150の操作部157の弾接摺接部159が板バネ200の弾接部203の中央よりも可動接点71側の部分を押圧(弾接)して板バネ200を下方向に撓め、これによって可動接点体70はこの位置に安定して停止している。
【0029】
以上のように揺動スイッチ1−1は、接点収納部11を有するケース10と、ケース10の接点収納部11の底面に設置される少なくとも一対の固定接点体40及び可動接点体支持体50と、可動接点体支持体50の接点収納部11の底面から立設する立設部54(その上辺55)に揺動自在に軸支される軸支部75を設け且つ固定接点体40に設けた固定接点45に接離する可動接点71を有する可動接点体70と、可動接点体70の上部に設置され揺動することで可動接点体70を揺動操作する操作部157を有する操作つまみ150とを具備し、さらに可動接点体70と操作つまみ150の操作部157の間に、その両端が可動接点体70の軸支部75を挟んだ両側に取り付けられることでその中間部分を操作部157に弾接させる弾接部203としてなる板バネ200を設置し、この板バネ200の弾接部203に操作つまみ150の操作部157を弾接して摺動することで可動接点体70の軸支部75を立設部54に押し付けながら揺動させて可動接点71と固定接点45間をオンオフするように構成されている。
【0030】
そして上述のように可動接点71側が下降している途中において、可動接点体70は常に板バネ200によって可動接点体支持体50の立設部54(その上辺55)に押し付けられる。つまり可動接点71が固定接点45にオンする際に可動接点体70が立設部54の上辺55上でバウンシングしようとしても、板バネ200の弾発力によって前記バウンシングは防止され、これによって可動接点体支持体50と可動接点体70間の電気的接続が確実に確保できてアークの発生を確実に防止できる。
【0031】
即ちこの揺動スイッチ1−1によれば、操作つまみ150の操作部157と可動接点体70の間に両者間を弾発する板バネ200を設置したので、可動接点体70は常に可動接点体支持体50の立設部54に押し付けられ、従ってスイッチオン時に可動接点体70が立設部54上でバウンシングすることはなく、可動接点体70と可動接点体支持体50間の電気的接続を常に確実に維持でき、アークは生じず、揺動スイッチ1−1の長寿命化が図れる。同時に板バネ200の弾発力によって固定接点45に当接した可動接点71を固定接点45に押し付けるので、両接点45,71間の接触圧が大きくなりチャタリング等の接触不良も確実に防止できる。また板バネ200は簡単な構造であり、且つ可動接点体70の長さとほぼ同じ程度の長さに形成できるので、十分な弾発力が簡単に得られるばかりか、十分な耐久性が得られる。また板バネ200は可動接点体70の上部に取り付けられるので、操作つまみ150の揺動軸L(図1参照)に沿う方向の厚みの薄型化が図れる。
【0032】
さらにこの揺動スイッチ1−1によれば、板バネ200の弾接部203の部分を可動接点体70に向けて突出する突出形状にしているので、図5に矢印Cで示すように、可動接点71が固定接点45に当接した際の操作部157による弾接部203の押圧方向(弾接摺接部159が当接した弾接部203の面に垂直な方向)を可動接点71側に傾けることができる(もし弾接部203の部分を突出形状にしていないと、前記弾接部203の押圧方向は矢印C方向よりももっと立設部54側の矢印D方向を向く)。このため固定接点45に対して可動接点71を押し付ける力がより強くなり、これによって両接点45,71間の接触圧をさらに大きくでき、チャタリング等の接触不良をさらに確実に防止することができる。
【0033】
ところでこの揺動スイッチ1−1において、図5に示すように、可動接点71が固定接点45に当接した際、両者間に生じるアーク等によって両接点71,45間が溶着する場合がある。そしてその溶着力が強いと、操作つまみ150を図2に示すように反対方向に揺動しても、板バネ200の弾発力だけでは可動接点体70が揺動しにくくなる場合が生じる恐れがある。その際無理に操作つまみ150を揺動させると板バネ200が可動接点体70の上面に当接するほど変形するので、その耐久性等の点で問題が生じる恐れもある。そこでこの揺動スイッチ1−1では、図6に実線で示す操作つまみ150(スイッチオンの状態)を揺動させて行く途中の点線で示す位置において、操作つまみ150の押圧部161が可動接点体70のつまみ当接部81に当接し、可動接点体70を操作つまみ150の回転方向とは逆方向に揺動する力を印加し、つまり操作つまみ150の回転力によって直接可動接点体70を駆動し、前記両接点71,45間を引き剥がす。両接点71,45間が引き剥がされれば、上述のように板バネ200の弾発力によって可動接点体70は図2に示す位置に急速に移動し、スイッチはオフになる。この実施形態では可動接点体70の上に板バネ200を設けているため、可動接点体70の上に前記両接点71,45間が熔着した時にこれを引き剥がすための当接部を設けることはできないが、可動接点体70の側面を利用することで、溶着した時の引き剥がすための機能を持たせることができる。
【0034】
〔第2実施形態〕
図7は本発明の第2実施形態に係る揺動スイッチ1−2の概略断面図(図2と同一部分の断面図)、図8はこの揺動スイッチ1−2に用いる板バネ200−2の斜視図である。この揺動スイッチ1−2において、前記図1〜図6に示す揺動スイッチ1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し各符号には「−2」を付す)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図6に示す実施形態と同じである。
【0035】
この揺動スイッチ1−2において前記揺動スイッチ1−1と相違する点は、板バネ200−2の弾接部203−2の形状のみである。即ちこの板バネ200−2の中央部分には、可動接点体70−2に向けて(下方向に向けて)略半円弧状に突出する突出形状の弾接部203−2が形成されている。このように弾接部203−2を形成すれば、図9に示すように可動接点71−2が固定接点45−2に当接した際、矢印Eで示すように、操作部157−2による弾接部203−2の押圧方向(弾接部203−2の弾接摺接部159−2が当接した面に垂直な方向)を、さらに可動接点71−2側に傾けることができる。このため固定接点45−2に対して可動接点71−2を押し付ける力を強くすることができ、両接点45−2,71−2間の接触圧をさらに大きくでき、チャタリング等の接触不良を確実に防止することができる。
【0036】
〔第3実施形態〕
この実施形態は請求項3に関するものである。図10は本発明の第3実施形態に係る揺動スイッチ1−3の概略断面図(図5と同一部分の断面図)、図11はこの揺動スイッチ1−3に用いる板バネ200−3及び可動接点体70−3の斜視図、図12は板バネ200−3を下側から見た斜視図である。この揺動スイッチ1−3において、前記図1〜図6に示す揺動スイッチ1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し各符号には「−3」を付す)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図6に示す実施形態と同じである。この揺動スイッチ1−3において前記揺動スイッチ1−1と相違する点は、板バネ200−3と可動接点体70−3の形状のみである。
【0037】
すなわちこの板バネ200−3においては、帯状で略平板直線状に形成した弾性金属板の中央の弾接部203−3の両側部分を可動接点体70−3側(下側)に向けて略円弧状に折り返すように湾曲させ、その両端中央に小突起状の突起を突設してなる係止部201−3を設け、これら係止部201−3を可動接点体70−3側(下側)に向けて略直角に折り曲げて構成されている。弾接部203−3の部分は下方向に緩やかに湾曲する湾曲面となっている。
【0038】
一方可動接点体70−3は、略帯状で平板細長形状の金属板で構成され、その一端近傍の下面に略円板形状の可動接点71−3を取り付けている。また長手方向に沿う一対の両側辺のそれぞれの略中央に凹状に切り欠いてなる係止部73−3を形成し、一対の係止部73−3間の部分を軸支部75−3としている。可動接点体70−3の軸支部75−3を挟んだその両側には、前記板バネ200−3の一対の係止部201−3をそれぞれ挿入・係止する略矩形状の貫通孔からなる板バネ係止部77−3が形成されている。また可動接点体70−3の可動接点71−3から離れた側の端部は下方向に折り曲げられて当接部78−3が形成されている。また当接部78−3の両側辺からは突出部79−3が突出して設けられており、これら突出部79−3の軸支部75−3側の辺をつまみ当接部81−3としている。
【0039】
図10は操作つまみ150−3が一方の側に揺動しきって可動接点71−3が固定接点45−3に当接してスイッチがオンして安定している状態を示している。同図に示す状態は、操作つまみ150−3の右側の当接部163−3がケース10−3のストッパ部21−3に当接し、操作つまみ150−3の操作部157−3の弾接摺接部159−3が板バネ200−3の弾接部203−3の中央よりも可動接点71−3側の部分を押圧(弾接)して板バネ200−3を下方向に撓め、これによって可動接点体70−3の可動接点71−3が固定接点体40−3の固定接点45−3に弾接し、固定接点体40−3と可動接点体支持体50−3間、つまり両端子43−3,53−3間がオンになって安定している状態である。
【0040】
次に操作つまみ150−3の上方向に持ち上がっている側の上面を押し込む方向に(図10に示す矢印E方向に)押圧すると、操作つまみ150−3の操作部157−3の弾接摺接部159−3が板バネ200−3の弾接部203−3の上面を押圧して板バネ200−3を撓ませながら可動接点71−3から離れる側に向けて移動(摺動)を始める。そして弾接摺接部159−3が弾接部203−3の中央付近を通過した際に、可動接点体70−3は軸支部75−3の部分を揺動軸として可動接点71−3側が上昇するように揺動を始め、湾曲している板バネ200−3の弾発力によって可動接点体70−3は急速に揺動して瞬時に可動接点71−3が固定接点45−3から離れ、固定接点体40−3と可動接点体支持体50−3間、つまり両端子43−3,53−3間がオフする。このとき操作つまみ150−3は他方の側に揺動しきって操作つまみ150−3の左側の当接部163−3がケース10−3のストッパ部21−3に当接し、可動接点体70−3の当接部78−3がケース10−3底面に当接して安定する。このとき操作つまみ150−3の操作部157−3の弾接摺接部159−3が板バネ200−3の弾接部203−3の中央よりも可動接点71−3から離れた側の部分を押圧(弾接)して板バネ200−3を下方向に撓め、これによって可動接点体70−3はこの位置に安定して停止する。
【0041】
そしてこの揺動スイッチ1−3においても、上述のように可動接点71−3側が下降している途中において、可動接点体70−3は常に板バネ200−3によって可動接点体支持体50−3の立設部54−3(その上辺55−3)に押し付けられる。つまり可動接点71−3が固定接点45−3にオンする際に可動接点体70−3が立設部54−3の上辺55−3上でバウンシングしようとしても、板バネ200−3の弾発力によって前記バウンシングは防止され、これによって可動接点体支持体50−3と可動接点体70−3間の電気的接続が確実に確保できてアークの発生を確実に防止でき、揺動スイッチ1−3の長寿命化が図れる。同時に板バネ200−3の弾発力によって固定接点45−3に当接した可動接点71−3を固定接点45−3に押し付けるので、両接点45−3,71−3間の接触圧を大きくでき、チャタリング等の接触不良も確実に防止できる。なおオフ時の可動接点体70−3の上辺55−3上でのバウンシングも防止できる。また板バネ200−3は簡単な構造であり、且つ可動接点体70−3の長さとほぼ同じ程度までの長さに形成できるので、十分な弾発力が簡単に得られるばかりか、十分な耐久性が得られる。また板バネ200−3は可動接点体70−3の上部に取り付けられるので、操作つまみ150−3の揺動軸Lに沿う方向の厚みの薄型化が図れる。
【0042】
特にこの揺動スイッチ1−3によれば、板バネ200−3の形状からその弾発力を前記板バネ200,200−2に比べてさらに強くできるので、可動接点体70−3を可動接点体支持体50−3の立設部54−3に押し付ける力と、可動接点71−3を固定接点45−3に押し付ける弾接力の両者を何れもより強くすることができる。従って可動接点体70−3は常に立設部54−3に強く押し付けられて可動接点体70−3と可動接点体支持体50−3間の電気的接続を常に確実に維持でき、同時に固定接点45−3に対する可動接点71−3の押付力を強くできて両接点45−3,71−3間の接触不良を確実に防止できる。
【0043】
なおこの揺動スイッチ1−3においても、前記揺動スイッチ1−1,1−2と同様に、アーク等によって両接点71−3,45−3間が溶着した場合に、操作つまみ150−3の押圧部161−3が可動接点体70−3のつまみ当接部81−3に当接・押圧して前記両接点71−3,45−3間を引き剥がす。
【0044】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば板バネの形状は上記各例の形状に限定されず、種々の変形が可能であり、要は両端が可動接点体の軸支部を挟んだ両側に取り付けられることでその中間部分を操作つまみの操作部に弾接させる弾接部としてなる板バネであれば、どのような形状であっても良い。可動接点体に向けて突出する板バネの弾接部の突出形状もV字状,U字状に限定されず、要は可動接点が固定接点に当接した際の操作部による弾接部の押圧方向を可動接点側に傾ける形状であれば、他の各種形状に形成しても良い。また第1,第2実施形態では板バネ200全体の形状を可動接点体70の軸支部75を挟んで長手方向にほぼ直線状に形成しているが、板バネ200全体の長手方向の形状を上方に向けて湾曲させる、もしくは下方に向けて湾曲させる形状としても良い。
【符号の説明】
【0045】
1−1,2,3 揺動スイッチ
10 ケース
11 接点収納部
40 固定接点体
45 固定接点
50 可動接点体支持体
54 立設部
70 可動接点体
71 可動接点
75 軸支部
150 操作つまみ
157 操作部
200 板バネ
203 弾接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点収納部を有するケースと、
前記ケースの接点収納部の底面に設置される少なくとも一対の固定接点体及び可動接点体支持体と、
前記可動接点体支持体の立設部に揺動自在に軸支される軸支部を設け且つ前記固定接点体に設けた固定接点に接離する可動接点を有する可動接点体と、
前記可動接点体の上部に設置され揺動することで前記可動接点体を揺動操作する操作部を有する操作つまみと、を具備する揺動スイッチにおいて、
前記可動接点体と前記操作つまみの操作部の間に、その両端が可動接点体の軸支部を挟んだ両側に取り付けられることでその中間部分を前記操作部に弾接させる弾接部としてなる板バネを設置し、この板バネの弾接部に前記操作つまみの操作部を弾接して摺動することで可動接点体の軸支部を立設部に押し付けながら揺動させて可動接点と固定接点間をオンオフすることを特徴とする揺動スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動スイッチであって、
前記板バネの弾接部の部分は前記可動接点体に向けて突出する突出形状にすることで前記可動接点が固定接点に当接した際の操作部による弾接部の押圧方向を可動接点側に傾けたことを特徴とする揺動スイッチ。
【請求項3】
請求項1に記載の揺動スイッチであって、
前記板バネは、弾接部の両側部分を前記可動接点体側に向けて折り返すように湾曲させ、それらの端部を前記可動接点体の軸支部を挟んだ両側に取り付けて板バネの弾発力を強めたことを特徴とする揺動スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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