揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置
【課題】回転軸と一体に回転する羽根を用いることなく、梃子の原理を利用して物体を効率よく掻くことができる揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を提供する。
【解決手段】ミキシング装置1は、梃子部材2とクランク装置3とを具備する揺動支点型梃子装置4を備える。梃子部材2は、動力が伝達されて回転運動する力点部2a、移動自在に支持されているとともに力点部2aの回転運動に応じて往復運動する支点部2b、力点部2aを間に挟んで支点部2bの反対側に設けられているとともに力点部2aとは回転の中心が異なる位置で力点部2aの回転運動に応じて回転運動する作用点部2c、を有する。クランク装置3は、力点部2aに接続されたクランク軸5を介して力点部2aに動力を伝達する。作用点部2cと一体に回転運動して物体59を掻く羽根部14が作用点部2cに設けられている。
【解決手段】ミキシング装置1は、梃子部材2とクランク装置3とを具備する揺動支点型梃子装置4を備える。梃子部材2は、動力が伝達されて回転運動する力点部2a、移動自在に支持されているとともに力点部2aの回転運動に応じて往復運動する支点部2b、力点部2aを間に挟んで支点部2bの反対側に設けられているとともに力点部2aとは回転の中心が異なる位置で力点部2aの回転運動に応じて回転運動する作用点部2c、を有する。クランク装置3は、力点部2aに接続されたクランク軸5を介して力点部2aに動力を伝達する。作用点部2cと一体に回転運動して物体59を掻く羽根部14が作用点部2cに設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梃子装置を用いたミキシング装置に係り、特に梃子装置の支点部が移動自在に支持されている揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なミキシング装置(ミキサー)では、動力源(原動機)に接続された回転軸の一端部に、物体を掻き混ぜたり、攪拌したり、あるいは混合したりする羽根(フィン)が1枚ないしは複数枚取り付けられている。そして、フィンは、回転軸の軸方向(縦方向)に対して直交する方向(横方向)において回転軸と一体に360°以上回転(円運動)する(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平08−510038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、前述した構成からなる従来のミキサーでは、物体を効率よく掻き混ぜたりしようとすると、物体を入れる器の形状を略必然的にフィンの回転領域に応じた形状に形成しなければならない。例えば、物体を入れる器の形状を、一面に開口部を有する円柱形状あるいは半球形状に形成する必要がある。すなわち、従来のミキサーでは、いわゆる升型と称される、一面に開口部を有する立方体形状あるいは直方体形状の器を利用し難い。このように、従来のミキサーでは、利用できる器の形状に実質的に制限があった。
【0004】
また、従来のミキサーでは、複数組の回転軸およびフィンを連続して並べて配置して稼動させると、隣接するフィン同士が互いに干渉し合うおそれが高い。隣接するフィン同士が互いに干渉し合うと、攪拌作業や混錬作業等を適正に行うことが困難になる。したがって、従来のミキサーは、例えばベルトコンベア上で混錬作業等を連続して行う流れ作業の現場には不向きである。
【0005】
また、物体を温めつつ掻き混ぜたり、あるいは冷やしつつ掻き混ぜたりする場合、物体と直接接触し、かつ接触面積の大きいフィンで物体を温めたり冷やしたりすると効率がよい。ところが、従来のミキサーでは、フィンが回転運動するため、フィンに加熱用あるいは冷却用のパイプ、ケーブル、コード、あるいは配線等を直接設けると、回転軸やフィンにパイプ等が絡まって事実上殆ど使用不可能となってしまう。また、回転軸にいわゆるスリップリングを設けることにより間接的にフィンに配線等を設けることはできるが、回転軸の回転速度が高くなるとスリップリングと回転軸との間において火花が生じるおそれが高くなる。この場合、掻き混ぜる物体が花火の火薬等の可燃性が高い物質であると、爆発する危険が高くなる。このように、従来のミキサーは、フィンにより物体を直接温めたりあるいは冷やたりしつつ掻き混ぜる作業には構造上の制約や物体の種類の制約が多く、実用上不向きである。
【0006】
さらに、従来のミキサーでは、掻き混ぜる物体の中に紐状の物体が含まれている場合、紐状の物体がフィンや回転軸に絡まったり、あるいは引っ掛かったりするおそれが高い。特に、従来のミキサーをごみ処理機に用いた場合、通常のごみには様々な物体が含まれるので、フィンや回転軸へのごみの食い込み等が多発し易い。フィンや回転軸にごみが食い込むと、当然のことながらフィンや回転軸の適正な回転が妨げられて作業効率が低下する。このように、従来のミキサーは、掻き混ぜる物体の種類によっては作業効率が低下するおそれが高い。
【0007】
本発明は、以上説明したような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、回転軸と一体に回転する羽根を用いることなく、梃子の原理を利用して物体を効率よく掻くことができる揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の一態様に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置は、動力が伝達されて回転運動する力点部、移動自在に支持されているとともに前記力点部の回転運動に応じて往復運動する支点部、および前記力点部を間に挟んで前記支点部の反対側に設けられているとともに前記力点部とは回転の中心が異なる位置で前記力点部の回転運動に応じて回転運動する作用点部、を有する少なくとも1つの梃子部材と、前記力点部に接続された少なくとも1本のクランク軸を介して前記力点部に前記動力を伝達するクランク装置と、を具備する揺動支点型梃子装置を備えるとともに、前記作用点部と一体に回転運動して物体を掻く羽根部が前記梃子部材の前記作用点部に少なくとも1枚設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
この揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置においては、クランク軸およびこれに接続された梃子部材の力点部とは個別に回転運動する梃子部材の作用点部に設けられた羽根部により物体を掻く。このため、回転軸と一体に回転する羽根を用いることなく、梃子の原理を利用して物体を効率よく掻くことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置によれば、回転軸と一体に回転する羽根を用いることなく、梃子の原理を利用して物体を効率よく掻くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る各実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
先ず、本発明に係る第1実施形態について図1〜図3を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図2は、図1に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す側面図である。図3は、図1に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す正面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るミキシング装置1は、2本の梃子部材2およびクランク装置3を具備する揺動支点型梃子装置4を備えている。各梃子部材2は、その力点部2a、支点部2b、および作用点部2cが略一直線状に並ぶ長尺形状に形成されている。各梃子部材2の力点部2aは、各梃子部材2の長手方向の中間部に設けられている。各力点部2aは、動力が伝達されて回転運動する。また、各梃子部材2の支点部2bは、各梃子部材2の長手方向の一端部に設けられている。各支点部2bは、移動自在に支持されているとともに各力点部2aの回転運動に応じて往復運動する。そして各梃子部材2の作用点部2cは、各梃子部材2の長手方向の他端部に設けられている。すなわち、各作用点部2cは、各力点部2aを間に挟んで各支点部2bの反対側に設けられている。各作用点部2cは、各力点部2aとは回転の中心が異なる位置で各力点部2aの回転運動に応じて回転運動する。
【0014】
クランク装置3は、各梃子部材2の間に設けられている。そして、クランク装置3は、各力点部2aに接続された1本のクランク軸5を介して各力点部2aに動力を伝達する。より具体的には、クランク軸5は、クランク軸受け6に回転自在に軸支されている。そして、クランク軸5の両端部には、それぞれクランクアーム7がクランク軸5と一体に回転するように各クランクアーム7の一端部が固定されている。各クランクアーム7の他端部には、クランク軸5の回転を各クランクアーム7を介して各梃子部材2の力点部2aに伝達する力点軸8が1本ずつ固定されている。各力点軸8は、各梃子部材2の力点部2aに形成された穴を貫通して設けられている。また、各クランクアーム7は、各梃子部材2を間に挟んでその両側に対をなして設けられている。各梃子部材2を間に挟んでクランク軸5と反対側に設けられた各クランクアーム7の他端部にも、力点軸8が1本ずつ固定されている。また、各梃子部材2を間に挟んでクランク軸5と反対側に設けられた各クランクアーム7の一端部には、クランクアーム7と一体に回転するクランクアーム支持軸9が固定されている。各クランクアーム支持軸9は、それらの軸心をクランク軸5の軸心と同一軸線上に位置して設けられている。各クランクアーム支持軸9は、クランクアーム支持軸受け10に回転自在に軸支されている。
【0015】
各梃子部材2の支点部2bには、支点軸11がそれぞれ1本ずつ設けられている。各支点軸11の一端部は各支点部2bに固定されているとともに、各支点軸11の他端部にはローラ12がそれぞれ1個ずつ回転自在に設けられている。各ローラ12は、それぞれ長尺形状に形成されたガイド(案内板)13に摺動自在(移動自在)に支持されている。各ガイド13は、それらの長手方向が各力点部2aの回転運動の中心からそれらの径方向外側に向かうように配置されている。これにより、各梃子部材2の支点部2bは、各力点部2aの回転運動の径方向に沿って各力点部2aの回転運動の中心から離れたり、あるいは各力点部2aの回転運動の中心に近づいたりするように往復運動する。このようなクランク装置3よる各支点部2bの動きのメカニズムは、スライダークランク機構とも称される。特に、このように支点2bが移動自在に支持されている梃子装置4は、揺動支点型梃子装置と称される。
【0016】
各梃子部材2の作用点部2cには、各作用点部2cと一体に回転運動して物体を掻く羽根部14が少なくとも1枚ずつ設けられている。本実施形態においては、各羽根部14は、各梃子部材2の内側に取り付けられる第1の羽根部14aと、各梃子部材2の外側に取り付けられる第2の羽根部14bとから構成されている。これら各第1の羽根部14aおよび各第2の羽根部14bは、それぞれ各梃子部材2に着脱自在に取り付けられている。
【0017】
次に、図2を参照しつつ、ミキシング装置1の動作について説明する。各梃子部材2の力点部2aは、クランク軸5を回転中心として、図2中一点鎖線Aで示す円を描くように回転運動する。すると、各力点部2aの回転運動に伴って、各梃子部材2の支点部(揺動支点部)2bが図2中白抜き矢印で示す方向に沿って往復運動する。すると、各梃子部材2の作用点部2cは、図2中一点鎖線Bで示す閉曲線の軌跡を描くように回転運動する。具体的には、各作用点部2cは、各支点部2bの往復運動に沿った方向の移動距離が各支点部2bの往復運動に直交する方向に沿った移動距離よりも短い閉曲線Bの軌跡を描くように回転運動する。本実施形態においては、閉曲線Bは、各支点部2bの往復運動に沿った方向に潰れたいびつな楕円形状の軌跡となる。また、各梃子部材2の作用点部2cは、前述した閉曲線Bを描くように、それらの回転運動(往復運動)の範囲を各力点部2aの回転中心に対して30°〜45°の範囲に設定されることが好ましい。
【0018】
図3には、図1および図2に示すミキシング装置1をその正面から見た構成を模式的に示す。各羽根部14により掻き混ぜられたり、攪拌されたり、混合されたり、あるいは混錬されたりする物体は、図3中一点鎖線Cで示す領域に配置される。また、前述した各クランクアーム支持軸9のうちの一本には、クランク軸5を回転駆動させる動力源(モータ、エンジン、原動機)15が接続されている。動力源15で発生された動力は、第1および第2の2枚の歯車(プーリ)16,17、ならびにそれら各歯車(プーリ)16,17に掛けられたチェーン(ベルト)18を介してクランクアーム支持軸9に伝達される。クランクアーム支持軸9に伝えられた動力は、クランクアーム7および力点軸8を介してクランク軸5に伝達される。このような駆動力伝達系により、各梃子部材2が駆動される。引いては、各羽根部14により所定の物体がミキシングされる。また、図3に示すように、各羽根部14はそれらの表面のうち表面積が最も大きい面(主面、表面)に対して物体が正面から接触する向きで各梃子部材2に取り付けられる。
【0019】
以上説明したように、この第1実施形態によれば、クランク軸5およびこれに接続された各梃子部材2の力点部2aとは個別に回転運動する梃子部材2の作用点部2cに設けられた各羽根部14により物体を掻く。このため、回転軸と一体に回転する羽根を用いることなく、梃子の原理を利用して物体を効率よく掻くことができる。
【0020】
具体的には、本実施形態に係るミキシング装置においては、スライダークランク機構の中関節に羽根部(フィン)14を取り付ける。そして、原動機15から得られた回転運動を、梃子部材2の揺動支点2bを介して略楕円形状の回転運動(往復運動)に変換して、物体の混錬等を行う。この際、楕円状運動の下側部分により混錬運動を行うとともに、上側部分により反対方向へ戻るように設定することが好ましい。すなわち、混錬を行う各フィン14は、プロペラのように回転軸とともに回転する従来のミキサーのフィンとは異なり、縦の楕円状運動で横方向に上下動する。これにより、図1および図3に示すように、一対の梃子部材(レバー)2で交互に効率よく混錬運動を行うことができる。
【0021】
また、図1および図3に示すように、各梃子部材2に対して各羽根部(フィン)14を180°対向して取り付けることにより、各羽根部14の第1の羽根部14a同士は上下方向において重なるが互いに干渉し合うのを防ぐことができる。さらに、各羽根部14は、クランク軸5の回転方向と上下方向で横位置では回転しないため、外部とのインターフェースが可能である。このため、後述するように各フィン14に様々な機能を盛り込むことができる。
【0022】
また、前述したように、各羽根部14は各梃子部材2から分離可能(取り外し可能)であるため、洗浄が容易である。そして、各羽根部14の洗浄作業は、従来のようにミキサーの内部で実施する必要がないので、より衛生的である。さらに、各羽根部14と各梃子部材2との接続箇所(分離箇所)を特定してカバーをした状態で各梃子部材(ミキサー駆動体)2と各羽根部14とを繋ぐことにより、より容易に清浄に保つことができる。
【0023】
また、各羽根部14が各梃子部材2から分離できるので、各羽根部14を予め複数個揃えておくことにより、各羽根部14の洗浄作業と物体の混錬作業とを異なる場所で併行して行うことができる。これにより、物体の混錬作業を行うラインにおいて連続してミキシング作業を続行可能となり、効率が良い。また、図示しないツールホルダーに替えの羽根部14を用意しておき、自動的に交換可能な設定とすることにより、オートマチックな動作も期待することができる。さらに、各羽根部14は各梃子部材2からワンタッチで取り外したり、あるいはワンタッチで取り付けたりできる設定とするとより好ましい。
【0024】
以上説明した構成からなる本実施形態のミキシング装置(ミキサー)1は、いわゆるアイスクリーマーやハンドミキサーなどに容易に応用することができる。また、ミキサー1をごみ処理機に応用した場合には、各羽根部(翼部)14が、前述したように30°〜45°の範囲で往復運動をするので、従来の360°回転型のミキサーと比べてゴミの引っ掛かりや食い込み等による故障が少ない。したがって、本実施形態のミキサー1は、従来の360°回転型のミキサーと比べてごみ処理機に応用した場合の稼働率が向上されている。
【0025】
なお、前述した構成からなる本実施形態の揺動支点型梃子装置4はZメカニズムとも称される。これに伴って、以上説明した構造からなる本実施形態のミキシング装置(ミキサー)1は、Zメカニズムミキサーとも称される。
【0026】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図4を参照しつつ説明する。図4は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。なお、前述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0027】
図4に示すように、本実施形態に係るミキシング装置21は、前述した第1実施形態のミキシング装置1を応用したものである。以下、具体的に説明する。
【0028】
図4に示すように、ミキシング装置21の各羽根部14には、物体に直接又は間接的に接触して物体の温度を調節する温度調節装置(温度制御用素子)22が設けられている。そして、物体の加熱用媒体および冷却用媒体の少なくとも一方を内部に通して各温度調節装置22に供給する中空の管23が各温度調節装置22から延ばされて2本ずつ設けられている。各管(パイプ、チューブ)23は、各羽根部14の回転運動に応じて運動自在および変形自在な材料により形成されている。それとともに、各チューブ23は、それらの中間部で分離および接続自在に構成されている。
【0029】
本実施形態においては、各温度調節装置22は各チューブ23をそのまま延長して形成されている。そして、各チューブ23は、カプラー24を介してそれらの中間部で分離および接続自在に構成されている。このような構成によれば、各チューブ23内に流体を貫流させた状態で各チューブ23をカプラー24において切り離しても、流体が各チューブ23外に漏れるおそれを無くすことができる。また、各羽根部14を往復運動(回転運動)させつつ、各チューブ23をカプラー24において切り離したり、あるいは接続したりすることができる。
【0030】
ここで、本実施形態に対する比較例について図5を参照しつつ説明する。図5は、本実施形態に対する比較例に係る従来のミキシング装置101の羽根部(フィン)103付近を示す斜視図である。従来のミキシング装置(ミキサー)101では、フィン103が回転軸102と一体に回転運動するため、フィン103に加熱用あるいは冷却用のパイプ(ケーブル、コード、あるいは配線)104等を直接設けると、回転軸102やフィン103にパイプ104が絡まって事実上殆ど使用不可能となってしまう。すなわち、従来のミキサー101では、フィン103が横の円運動となるため、フィン103にヒータ等を組み込んでも、そのコード(パイプ)104がフィン103や回転軸102に絡まり易く、エネルギーを伝達することが極めて困難である。
【0031】
また、回転軸102にいわゆるスリップリング105を設けることにより間接的にフィン103に配線104等を設けることはできる。ところが、スリップリング105は電源106に接続されているので、回転軸102の回転速度が高くなるとスリップリング105と回転軸102との間において火花が生じるおそれが高くなる。この場合、掻き混ぜる物体が花火の火薬等の可燃性が高い物質であると、爆発する危険が高くなる。このように、従来のミキサー101は、フィン103により物体を直接温めたりあるいは冷やたりしつつ掻き混ぜる作業には構造上の制約や物体の種類の制約が多く、実用上不向きである。
【0032】
これに対して、本実施系形態のミキシング装置21では、第1実施形態において説明したように、各羽根部14は回転軸と一体に回転しない。各羽根部14は、縦の楕円状運動で横方向に上下動する。このため、各羽根部14や回転軸に各チューブ23が絡まるおそれは殆どない。
【0033】
以上説明したように、この第2実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、物体を加熱したりあるいは冷却したりする温度調節装置22を各羽根部14に取り付けるとともに、物体の加熱用媒体および冷却用媒体の少なくとも一方を内部に通して各温度調節装置22に供給する各チューブ23を各温度調節装置22に接続できるので、物体を掻き混ぜながら物体の温度を容易に調節することができる。すなわち、各チューブ23および各温度調節装置22に温度移動流体を貫流させることにより、掻き混ぜる物体の温度制御を容易に行うことができる。具体的には、本実施系形態のミキシング装置21によれば、次に述べる種々の効果を得ることができる。
【0034】
例えば、混錬される物質(物体)の温度を制御し易いので、物質の硬化を防止したり、あるいは物質の反応速度を可変としたりすることができる。また、各チューブ23内に冷媒を流入させて、物体を冷却しつつ混錬することができる。これにより、例えばアイスクリームなどを容易に作ることができる。また、冷媒等を各チューブ23の中だけに封入して外部と遮断できるので、食品等の混錬に使用しても安全である。また、花火の火薬等、熱が発生すると危険な可燃物や爆発物などでも低温状態を維持し易いので、安全に作業することができる。また、各チューブ23内に熱流体を貫流させることにより、各種の熱可塑性物質の物性に合わせた混錬が可能である。
【0035】
以上説明したように、本実施形態のミキサー21においては、羽根部14が温度調節機能付きフィンとして構成されているので、物体に冷熱衝撃または温熱衝撃の少なくとも一方を与えつつ物体を掻き混ぜることができる。また、各チューブ23を用いて大量のオイルや冷媒等の流体の送出が可能であるため、次のような具体的な効果を得ることができる。すなわち、本実施形態のZメカニズムミキサー21によれば、各チューブ23を用いて各羽根部(翼部)14付近に冷媒を導入することにより、混合される物質に冷熱衝撃を与えて物質の温度が上がらないように温度を低く保持しつつ物質を混合することができる。あるいは、本実施形態のZメカニズムミキサー21によれば、各チューブ23を用いて各羽根部(翼部)14付近にオイルを送出することにより、混合される物質に温熱衝撃を与えて物質の温度が下がらないように温度を高く保持しつつ物質を混合することができる。
【0036】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について図6および図7を参照しつつ説明する。図6は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図7は、図6に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置と組み合わせて用いられる容器の構造を模式的に示す正面図および側面図である。なお、前述した第1および第2の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0037】
図6に示すように、本実施形態に係るミキシング装置31は、前述した第1実施形態のミキシング装置1を応用したものである。以下、具体的に説明する。
【0038】
図6に示すように、ミキシング装置31の下方には、物体が載置される載置部32aを有しているとともに、この載置部32a上に載置された物体を各羽根部14が回転運動する領域と重なる位置に移動および配置させる搬送装置(ベルトコンベア)32が設けられている。すなわち、搬送装置32は、各羽根部14を間に挟んで各梃子部材2の各力点部2aおよび各支点部2bの反対側に設けられている。
【0039】
載置部(ベルト)32a上には、物体が内部に収容される容器33が少なくとも1個設けられている。容器33の揺動支点型梃子装置4と対向する側には、少なくとも各梃子部材2の各作用点部2cおよび各羽根部14が出入り自在かつ回転運動自在な大きさおよび形状の開口部34aが形成されている。物体は容器33の内部に収容されて載置部32a上に載置されるとともに容器33内において各羽根部14により掻き混ぜられたり、あるいは混錬されたりする。
【0040】
本実施形態においては、容器33は次に述べる設定としても構わない。先ず、容器33を中空の直方体形状または立方体形状に形成する。すなわち、容器33をいわゆる升型の筐体に形成する。それとともに、容器33を載置部32aとは別体に形成する。また、容器3の側部のうち載置部32aの移動方向の上流側に面した側部に、図6中白抜き矢印で示すように、蓋部34bにより開閉自在である上流側開口部34cを形成する。あるいは、容器3の側部のうち載置部32aの移動方向の下流側に面した側部に、同じく図6中白抜き矢印で示すように、蓋部34dにより開閉自在である下流側開口部34eを形成する。これら各開口部34c,34eは、併せて形成されても構わない。
【0041】
そして、上流側開口部34cを経た容器33外から容器33内への物体の収容を、載置部32aの移動および各羽根部14の回転運動の少なくとも一方により行う設定としても構わない。あるいは、下流側開口部34eを経た容器33内から容器33外への物体の排出を、載置部32aの移動および各羽根部14の回転運動の少なくとも一方により行う設定としても構わない。さらには、これら載置部32aの移動および各羽根部14の回転運動の少なくとも一方による上流側開口部34cを経た容器33外から容器33内への物体の収容、および下流側開口部34eを経た容器33内から容器33外への物体の排出を併せて行う設定としても構わない。
【0042】
次に、図7を参照しつつ、容器33の他の構成について説明する。図7に示す容器33においては、その一側部の下部に開口部35が形成されている。この開口部35は、シャッター36により開閉自在である。シャッター36は開閉装置37に接続されている。開閉装置37は、シャッター36を上下動させる動力を発生させるモータ38を備えている。モータ38の回転軸40には、第1のアーム39が接続されている。この第1のアーム39は、第1の支持軸42を介して第2のアーム41に接続されている。この第2のアーム41は、第2の支持軸43を介してシャッター36に接続されている。第1のアーム39および第2のアーム41がモータ38の駆動により図7中実線矢印で示す向きに動くことにより、シャッター36が上下動されて開口部35が開閉される。モータ38は、容器33内に物体を供給する物体供給装置44に取り付けられている。物体は、図7中白抜き矢印で示すように、物体供給装置44の物体供給パイプ45を介して物体供給口46から容器33内に供給される。
【0043】
以上説明したように、この第3実施形態によれば、前述した第1および第2の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、物体の混錬等が升型(四角枠形状)の容器(筐体)33で可能であるため、ベルトコンベア32上で囲いを作れば、その中で物体を混錬可能である。また、物体の混錬が終了した後、前述した下流側開口部34eのように囲いの一端を開放すれば、物体を容器33内から次の工程に送出(出力)することができる。また、前述した上流側開口部34eのように囲いの一端を開放すれば、前の工程から容器33内への物体の搬入(入力)も同様に行うことができる。
【0044】
このように、本実施形態のミキシング装置31によれば、ベルトコンベア32の載置部(ベルト)32aの移動のみならず、羽根部14による物体の搬送(搬入・搬出)が可能である。当然、羽根部14による物体の搬送は、物体のミキシング作業と併行して行うことができる。また、羽根部14による物体の連続ミキシングや連続搬送も可能である。すなわち、本実施形態のミキシング装置31においては、羽根部14は物体の搬送用のポンプを兼ねることができる。
【0045】
また、本実施形態においては、物体の混錬等を行う容器33を矩形(立方体形状または直方体形状)の升型ミキシング容器とすることにより、スペースセービング(スペースファクター)を向上させることができる。そして、前述したように、矩形のミキシング升型33の出口34eをシャッター34dを上下させて開閉するのと合わせることにより、混合が終了した物体を包装梱包エリヤに押し出すポンプ動作を同一の羽根部(フィン)14で兼ねることができる。
【0046】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について図8〜図11を参照しつつ説明する。図8は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図である。図9は、図8に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図10は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図である。図11は、図10に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。なお、前述した第1〜第3の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0047】
図8〜図11に示すように、本実施形態に係るミキシング装置51は、前述した第3実施形態のミキシング装置31をさらに応用したものである。以下、具体的に説明する。
【0048】
図8〜図11に示すように、ミキシング装置51(揺動支点型梃子装置4)は、羽根部14を容器33内に収容されている物体59に近付けたりあるいは物体59から離したりする方向(上下方向)に沿って移動させる移動装置52に取り付けられている。以下、具体的に説明する。
【0049】
ミキシング装置51(揺動支点型梃子装置4)は、移動筐体53の内部に収容されて取り付けられている。移動筐体53は、筐体受け58を介してガイド57に摺動自在に取り付けられている。移動筐体53は、モータ54により上下動させられる。モータ54には、移動筐体53を上下動させるための螺旋状の溝が形成された回転軸55が取り付けられている。移動筐体53は、回転軸55の回転に応じて上下動する筐体支持具56を介して回転軸55に移動可能に取り付けられている。
【0050】
以上説明したように、この第4実施形態によれば、前述した第1〜第3の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、図8および図9に示すように、混錬作業等の進み具合に応じて、ミキシング装置51(揺動支点型梃子装置4)を持ち上げて容器33内に収容されている物体59から羽根部14を離すことができる。あるいは、ミキシング装置51(揺動支点型梃子装置4)を降ろして容器33内に収容されている物体59に羽根部14を潜らせたりすることができる。当然、混錬作業等の進み具合に応じて、物体59と羽根部14との接触状態を適宜、適正な状態に設定して、物体59をより適正に掻き混ぜることができる。
【0051】
(第5の実施の形態)
次に、本発明に係る第5実施形態について図12を参照しつつ説明する。図12は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。なお、前述した第1〜第4の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0052】
図12に示すように、本実施形態に係るミキシング装置61は、前述した第1実施形態のミキシング装置1を応用したものである。以下、具体的に説明する。
【0053】
図12に示すように、ミキシング装置61の羽根部14には、固体、液体、および気体のうちの少なくとも一種類の物質を物体59に供給する物質供給装置、および固体、液体、および気体のうちの少なくとも一種類の物質を物体59およびその周囲から取り除く物質排出装置、の少なくとも一方が設けられている。本実施形態においては、物質供給装置および物質排出装置の両機能を併せ持つ物質給排装置62が羽根部14に設けられていることとする。
【0054】
以上説明したように、この第5実施形態によれば、前述した第1〜第4の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、物質給排装置62により、羽根部(フィン)14の付近から空気や各種気体、液体を物体59内に注入することが可能である。空気が必要であれば、空気を物体59内に注入してミキシング作業が可能である。また、液体が必要であれば液体を物体59内に注入してミキシング作業が可能である。また、この注入作業により注入される物質は、メインの物質、付加的物質、あるいはそれらが混合された複数の物質でも構わない。このように、物質給排装置62が取り付けられた吸収機構を有する羽根部(フィン)14を用いれば、物体59内から余分な水分や液体を吸引することも可能である。また、物体59内に気体を注入しつつ、物体59内から水分や液体を吸引することもできる。
【0055】
(第6の実施の形態)
次に、本発明に係る第6実施形態について図13および図14を参照しつつ説明する。図13は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図である。図14は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図である。なお、前述した第1〜第5の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0056】
図13および図14に示すように、本実施形態に係るミキシング装置71においては、2本のクランク軸74がそれらの軸方向に直交する方向に沿って互いに離間されて並べられている。また、各クランク軸74に梃子部材72がそれぞれ1つずつ接続されている。そして、隣接する各クランク軸74に接続されている各梃子部材72同士は各クランク軸74の軸方向に沿って互いにずらされて設けられている。
【0057】
各梃子部材72は、各力点部72aと各作用点部72cとの中間部において分離および接続自在に形成されている。各梃子部材72の各力点部72aおよび各支点部72bを含む部分を上側梃子部材72dとする。また、各梃子部材72の各作用点部72cを含む部分を下側梃子部材72eとする。各上側梃子部材72dと各下側梃子部材72eとは、接続アタッチメント72fを介してワンタッチで着脱自在に接続されている。
【0058】
また、図13および図14に示すように、本実施形態のミキシング装置71においては、各羽根部73は薄肉の略平板形状に形成されている。各羽根部73は、それらの表面のうち表面積が最も小さい面に対して物体59が正面から接触する向きで各梃子部材72(各下側梃子部材72e)の各作用点部72cに取り付けられている。さらに、ミキシング装置71においては、隣接する各クランク軸74に接続されている各梃子部材72は、互いに逆向きに回転運動する設定とされている。
【0059】
以上説明したように、この第6実施形態によれば、前述した第1〜第5の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態のミキシング装置71においては、クランク軸74を2本設けるとともに、各クランク軸74に梃子部材72を設けているので、物体59をその両側から混錬することも可能である。クランク軸74を複数本にすることにより、梃子部材72を交互に回転運動させる動作も容易であり、作業効率も向上させることができる。なお、クランク軸74は、梃子部材72ごとに個々に設けることも可能だが、1個のクランク軸74によりエキセンクランク構造にすると、設計も容易である。図13および図14に示すミキシング装置(デュアルZメカニズムミキサー)71は、クランク軸(回転軸)74を2本にしたエキセンクランク構造の一例である。
【0060】
(第7の実施の形態)
次に、本発明に係る第7実施形態について図15〜図19を参照しつつ説明する。図15は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図16は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図17は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図18は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す正面図。図19は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。なお、前述した第1〜第6の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0061】
図15〜図19に示すように、本実施形態に係るミキシング装置81は、前述した第6実施形態のミキシング装置71において、各クランク軸74に梃子部材72が3つ設けられている構成となっている。各梃子部材72は、各クランク軸74の軸方向に沿って互いに離間されて各クランク軸74に接続されている。また、当然のことながら、隣接する各クランク軸74に設けられている各梃子部材72同士は、互いに干渉し合わないように各クランク軸74の軸方向に沿って互いにずらされて設けられている。このように、図15〜図19に示す本実施形態のミキシング装置(デュアルZメカニズムミキサー)81は、クランク軸(回転軸)74を2本にしたエキセンクランク構造を備えるとともに各クランク軸74に梃子部材72が3つずつ接続された、3連ミキサーの一例である。
【0062】
各梃子部材72は、図15〜図18に示すように回転運動(往復運動)する。また、各梃子部材72は、図19に示すように、各上側梃子部材72dと各下側梃子部材72eとが接続アタッチメント72fを介してワンタッチで着脱自在に接続されている。
【0063】
以上説明したように、この第7実施形態によれば、前述した第1〜第6の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態のミキシング装置81は、梃子部材72が第6実施形態のミキシング装置71よりも多く設けられているので、物体59を掻き混ぜたり混錬したりする作業効率がより向上されている。
【0064】
(第8の実施の形態)
次に、本発明に係る第8実施形態について図20〜図23を参照しつつ説明する。図20は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置の一態様に係る羽根部を示す断面図である。図21は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置の他の態様に係る羽根部を示す斜視図および断面図である。図22は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のまた他の態様に係る羽根部を示す正面図である。図23は、実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のまた他の態様に係る羽根部を示す斜視図である。図24は、実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のさらに他の態様に係る羽根部を示す正面図である。なお、前述した第1〜第7の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0065】
本実施形態においては、各羽根部の形状や機能について具体的に説明する。
【0066】
先ず、図20に示す各羽根部91は、一方の主面が平面からなるとともに他方の主面が曲面からなる形状に形成されている。たとえるならば、各羽根部91は、図示しない飛行機の翼と同様の断面形状を有する形状に形成されている。このような形状からなる各羽根部91を、それらの曲面からなる主面を互いに対向させて配置する。そして、それら各羽根部91を物体59に対して図20中白抜き矢印で示す向きで移動させる。すると、各羽根部91の周囲には、各羽根部91に対して相対的に図20中白実線矢印で示す物体59の流れが生じる。これにより、各羽根部91は、例えば略平板形状からなる第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより大きく動かすことができる。すなわち、各羽根部91は、第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより効率よく掻き混ぜたり、あるいは混錬したりすることができる。
【0067】
次に、図21(a)、(b)に示す各羽根部92では、その表面に凹部92aおよび凸部92bが形成されている。図21(b)は、図21(a)中破断線X−X’に沿って示す断面図である。このような形状からなる各羽根部92を、物体59中に突入させると、当然のことながら、略平板形状からなる第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより複雑に動かすことができる。すなわち、各羽根部92は、図20に示す各羽根部91と同様に、第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより効率よく掻き混ぜたり、あるいは混錬したりすることができる。
【0068】
次に、図22に示す羽根部93は、いわゆる櫛形状に形成されている。すなわち、羽根部93では、その梃子部材2(72)との接続側とは反対側の端部に櫛歯93aを取り付けた形状に形成されている。このような形状からなる羽根部93を物体59中に突入させると、当然のことながら、略平板形状からなる第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより複雑に動かすことができる。すなわち、各羽根部92は、図20に示す各羽根部91や図21に示す各羽根部92と同様に、第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより効率よく掻き混ぜたり、あるいは混錬したりすることができる。
【0069】
次に、図23(a)、(b)に示す各羽根部94、95では、それらの表面に波形状(アールウェーブ型)の曲面が形成されている。すなわち、各羽根部94,95では、それらの表面に波形状の凹部94a,95aおよび凸部94b,95bが形成されている。より具体的には、図23(a)に示す羽根部94においては、波状の凹部94aおよび凸部94bが梃子部材2(72)の長手方向に沿って羽根部94の表面に形成されている。また、図23(b)に示す羽根部95においては、波状の凹部95aおよび凸部95bが梃子部材2(72)の長手方向とは直交する方向に沿って羽根部95の表面に形成されている。このような形状からなる羽根部94,95を物体59中に突入させると、当然のことながら、略平板形状からなる第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより複雑に動かすことができる。すなわち、各羽根部94,95は、図20に示す各羽根部91、図21に示す各羽根部92、および図22に示す羽根部93と同様に、第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより効率よく掻き混ぜたり、あるいは混錬したりすることができる。
【0070】
次に、図24に示す羽根部96では、その梃子部材2(72)との接続側の端部に、羽根部96の表面に洗浄液99を供給する洗浄装置97が設けられている。洗浄装置97は、具体的には、複数個の洗浄液供給口98が開口された中空の管(チューブ、パイプ)である。洗浄液99は、図24中破線矢印で示すように、各洗浄液供給口98から羽根部96の表面に沿って流れるように羽根部96の表面に向けて供給される。すなわち、図24に示す羽根部96は、自己洗浄機能付きの羽根部(フィン)96として構成されている。
【0071】
このような構成からなる羽根部96では、前述した他の羽根部14,73,91,92,93,94,95に比べて、その表面をより衛生的に保持することができる。
【0072】
以上説明したように、この第8実施形態によれば、前述した第1〜第7の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、前述した第1実施形態の羽根部14や第6実施形態の羽根部73に比べて物体59をより効率よく掻き混ぜたり、あるいは混錬したりすることができるので、混錬作業等の効率をより向上させることができる。また、図24に示す羽根部96を用いれば、衛生管理が厳しい食品加工の現場においても十分に適応することができる。
【0073】
なお、本発明に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置は、前述した第1〜第8の各実施形態には制約されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、それらの構成、あるいは製造工程などの一部を種々様々な設定に変更したり、あるいは各種設定を適宜、適当に組み合わせて用いたりして実施することができる。
【0074】
例えば、第1実施形態において各支点部2bに取り付けられたローラ12をガイドするスライダー13は、図1に示すようなリニアガイドタイプでも、あるいは図示しないオープンタイプでも構わない。
【0075】
また、例えば第2実施形態のミキシング装置21においては、チューブ23の代わりに各温度調節装置22に電力を供給する配線を設けても構わない。このような構成によれば、フィン14内部の温度制御用素子として各温度調節装置22を電気式のヒータで構成しても、スリップリング等のストリップ型配線を用いて大電力を供給する必要がない。これにより、ヒータに必要最小限の電力だけを直接給電することが可能である。すなわち、フィン14内部のヒータに電力を送出する配線等をヒータに直接接続可能である。このため、極めて安全である。また、カプラー24の代わりにコネクタを用いて、配線をその途中で自在に切り離したり、あるいは自在に接続したりすることができる構造としても構わない。特に、配線をコネクタ部分においてワンタッチで取り外したり、あるいは接続したりすることができる構成にすることがより好ましい。
【0076】
また、電力供給用配線もチューブ23と同様に羽根部14の回転運動に応じて運動自在および変形自在な材料により形成されていることが好ましい。これにより、電力供給用電線を羽根部14とともにそのまま往復運動させながら接続したり、あるいは切り離したりすることができる。また、第2実施形態のミキシング装置21においては、チューブ(パイプ)23は複数本から構成されるシステムであっても良い。さらには、電線とチューブ23との混在も可能なのはもちろんである。
【0077】
また、例えば第3実施形態のミキシング装置31を用いて連続ミキシング工程を実現する場合には、ミキシング装置31をカスケード接続すればよい。これにより、ベルトコンベア32で運ばれてくる物体59を連続的に混錬したりすることが容易にできる。また、このような構成からなる連続ミキシング工程の現場は、プロペラ式の従来のミキシング装置を複数台用いた場合に比べてスペースファクターに優れているのはもちろんである。
【0078】
さらに、物体59は、固定でも液体でも構わない。
【0079】
なお、図1、図4、図6、図12においては、梃子部材2の形状が互いに異なっているが、これは図面上でそれら2本の梃子部材2を識別し易くするために意図的に違えて描いたものであり、実際上は必ずしも互いに異なる形状の梃子部材2を用いる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図2】図1に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す側面図。
【図3】図1に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す正面図。
【図4】第2実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図5】第2実施形態に対する比較例に係る従来のミキシング装置の羽根部付近を示す斜視図。
【図6】第3実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図7】図6に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置と組み合わせて用いられる容器の構造を模式的に示す正面図および側面図。
【図8】第4実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図。
【図9】図8に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図10】第4実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図。
【図11】図10に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図12】第5実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図13】第6実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図。
【図14】第6実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図。
【図15】第7実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図16】第7実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図17】第7実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図18】第7実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す正面図。
【図19】第7実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図20】第8実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置の一態様に係る羽根部を示す断面図。
【図21】第8実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置の他の態様に係る羽根部を示す斜視図および断面図。
【図22】第8実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のまた他の態様に係る羽根部を示す正面図。
【図23】第8実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のまた他の態様に係る羽根部を示す斜視図。
【図24】第8実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のさらに他の態様に係る羽根部を示す正面図。
【符号の説明】
【0081】
1,21,31,51,61,71,81…揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置(Zメカニズムミキサー)、2…梃子部材(レバー)、2a…力点部、2b…揺動支点部、2c…作用点部、3…クランク装置、4…揺動支点型梃子装置(Zメカニズム)、5…クランク軸、14,73,91,92,93,94,95,96…羽根部(フィン)、14a…第1の羽根部、14b…第2の羽根部、22…温度調節装置、23…チューブ(中空の管)、32…ベルトコンベア(搬送装置)、32a…ベルト(載置部)、33…升型容器(ミキシング容器)、34a…容器開口部、34c…上流側開口部、34e…下流側開口部、52…移動装置、59…物体、62…物質給排装置(物質供給装置および物質排出装置)、97…洗浄装置、99…洗浄液
【技術分野】
【0001】
本発明は、梃子装置を用いたミキシング装置に係り、特に梃子装置の支点部が移動自在に支持されている揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なミキシング装置(ミキサー)では、動力源(原動機)に接続された回転軸の一端部に、物体を掻き混ぜたり、攪拌したり、あるいは混合したりする羽根(フィン)が1枚ないしは複数枚取り付けられている。そして、フィンは、回転軸の軸方向(縦方向)に対して直交する方向(横方向)において回転軸と一体に360°以上回転(円運動)する(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平08−510038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、前述した構成からなる従来のミキサーでは、物体を効率よく掻き混ぜたりしようとすると、物体を入れる器の形状を略必然的にフィンの回転領域に応じた形状に形成しなければならない。例えば、物体を入れる器の形状を、一面に開口部を有する円柱形状あるいは半球形状に形成する必要がある。すなわち、従来のミキサーでは、いわゆる升型と称される、一面に開口部を有する立方体形状あるいは直方体形状の器を利用し難い。このように、従来のミキサーでは、利用できる器の形状に実質的に制限があった。
【0004】
また、従来のミキサーでは、複数組の回転軸およびフィンを連続して並べて配置して稼動させると、隣接するフィン同士が互いに干渉し合うおそれが高い。隣接するフィン同士が互いに干渉し合うと、攪拌作業や混錬作業等を適正に行うことが困難になる。したがって、従来のミキサーは、例えばベルトコンベア上で混錬作業等を連続して行う流れ作業の現場には不向きである。
【0005】
また、物体を温めつつ掻き混ぜたり、あるいは冷やしつつ掻き混ぜたりする場合、物体と直接接触し、かつ接触面積の大きいフィンで物体を温めたり冷やしたりすると効率がよい。ところが、従来のミキサーでは、フィンが回転運動するため、フィンに加熱用あるいは冷却用のパイプ、ケーブル、コード、あるいは配線等を直接設けると、回転軸やフィンにパイプ等が絡まって事実上殆ど使用不可能となってしまう。また、回転軸にいわゆるスリップリングを設けることにより間接的にフィンに配線等を設けることはできるが、回転軸の回転速度が高くなるとスリップリングと回転軸との間において火花が生じるおそれが高くなる。この場合、掻き混ぜる物体が花火の火薬等の可燃性が高い物質であると、爆発する危険が高くなる。このように、従来のミキサーは、フィンにより物体を直接温めたりあるいは冷やたりしつつ掻き混ぜる作業には構造上の制約や物体の種類の制約が多く、実用上不向きである。
【0006】
さらに、従来のミキサーでは、掻き混ぜる物体の中に紐状の物体が含まれている場合、紐状の物体がフィンや回転軸に絡まったり、あるいは引っ掛かったりするおそれが高い。特に、従来のミキサーをごみ処理機に用いた場合、通常のごみには様々な物体が含まれるので、フィンや回転軸へのごみの食い込み等が多発し易い。フィンや回転軸にごみが食い込むと、当然のことながらフィンや回転軸の適正な回転が妨げられて作業効率が低下する。このように、従来のミキサーは、掻き混ぜる物体の種類によっては作業効率が低下するおそれが高い。
【0007】
本発明は、以上説明したような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、回転軸と一体に回転する羽根を用いることなく、梃子の原理を利用して物体を効率よく掻くことができる揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の一態様に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置は、動力が伝達されて回転運動する力点部、移動自在に支持されているとともに前記力点部の回転運動に応じて往復運動する支点部、および前記力点部を間に挟んで前記支点部の反対側に設けられているとともに前記力点部とは回転の中心が異なる位置で前記力点部の回転運動に応じて回転運動する作用点部、を有する少なくとも1つの梃子部材と、前記力点部に接続された少なくとも1本のクランク軸を介して前記力点部に前記動力を伝達するクランク装置と、を具備する揺動支点型梃子装置を備えるとともに、前記作用点部と一体に回転運動して物体を掻く羽根部が前記梃子部材の前記作用点部に少なくとも1枚設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
この揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置においては、クランク軸およびこれに接続された梃子部材の力点部とは個別に回転運動する梃子部材の作用点部に設けられた羽根部により物体を掻く。このため、回転軸と一体に回転する羽根を用いることなく、梃子の原理を利用して物体を効率よく掻くことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置によれば、回転軸と一体に回転する羽根を用いることなく、梃子の原理を利用して物体を効率よく掻くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る各実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
先ず、本発明に係る第1実施形態について図1〜図3を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図2は、図1に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す側面図である。図3は、図1に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す正面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るミキシング装置1は、2本の梃子部材2およびクランク装置3を具備する揺動支点型梃子装置4を備えている。各梃子部材2は、その力点部2a、支点部2b、および作用点部2cが略一直線状に並ぶ長尺形状に形成されている。各梃子部材2の力点部2aは、各梃子部材2の長手方向の中間部に設けられている。各力点部2aは、動力が伝達されて回転運動する。また、各梃子部材2の支点部2bは、各梃子部材2の長手方向の一端部に設けられている。各支点部2bは、移動自在に支持されているとともに各力点部2aの回転運動に応じて往復運動する。そして各梃子部材2の作用点部2cは、各梃子部材2の長手方向の他端部に設けられている。すなわち、各作用点部2cは、各力点部2aを間に挟んで各支点部2bの反対側に設けられている。各作用点部2cは、各力点部2aとは回転の中心が異なる位置で各力点部2aの回転運動に応じて回転運動する。
【0014】
クランク装置3は、各梃子部材2の間に設けられている。そして、クランク装置3は、各力点部2aに接続された1本のクランク軸5を介して各力点部2aに動力を伝達する。より具体的には、クランク軸5は、クランク軸受け6に回転自在に軸支されている。そして、クランク軸5の両端部には、それぞれクランクアーム7がクランク軸5と一体に回転するように各クランクアーム7の一端部が固定されている。各クランクアーム7の他端部には、クランク軸5の回転を各クランクアーム7を介して各梃子部材2の力点部2aに伝達する力点軸8が1本ずつ固定されている。各力点軸8は、各梃子部材2の力点部2aに形成された穴を貫通して設けられている。また、各クランクアーム7は、各梃子部材2を間に挟んでその両側に対をなして設けられている。各梃子部材2を間に挟んでクランク軸5と反対側に設けられた各クランクアーム7の他端部にも、力点軸8が1本ずつ固定されている。また、各梃子部材2を間に挟んでクランク軸5と反対側に設けられた各クランクアーム7の一端部には、クランクアーム7と一体に回転するクランクアーム支持軸9が固定されている。各クランクアーム支持軸9は、それらの軸心をクランク軸5の軸心と同一軸線上に位置して設けられている。各クランクアーム支持軸9は、クランクアーム支持軸受け10に回転自在に軸支されている。
【0015】
各梃子部材2の支点部2bには、支点軸11がそれぞれ1本ずつ設けられている。各支点軸11の一端部は各支点部2bに固定されているとともに、各支点軸11の他端部にはローラ12がそれぞれ1個ずつ回転自在に設けられている。各ローラ12は、それぞれ長尺形状に形成されたガイド(案内板)13に摺動自在(移動自在)に支持されている。各ガイド13は、それらの長手方向が各力点部2aの回転運動の中心からそれらの径方向外側に向かうように配置されている。これにより、各梃子部材2の支点部2bは、各力点部2aの回転運動の径方向に沿って各力点部2aの回転運動の中心から離れたり、あるいは各力点部2aの回転運動の中心に近づいたりするように往復運動する。このようなクランク装置3よる各支点部2bの動きのメカニズムは、スライダークランク機構とも称される。特に、このように支点2bが移動自在に支持されている梃子装置4は、揺動支点型梃子装置と称される。
【0016】
各梃子部材2の作用点部2cには、各作用点部2cと一体に回転運動して物体を掻く羽根部14が少なくとも1枚ずつ設けられている。本実施形態においては、各羽根部14は、各梃子部材2の内側に取り付けられる第1の羽根部14aと、各梃子部材2の外側に取り付けられる第2の羽根部14bとから構成されている。これら各第1の羽根部14aおよび各第2の羽根部14bは、それぞれ各梃子部材2に着脱自在に取り付けられている。
【0017】
次に、図2を参照しつつ、ミキシング装置1の動作について説明する。各梃子部材2の力点部2aは、クランク軸5を回転中心として、図2中一点鎖線Aで示す円を描くように回転運動する。すると、各力点部2aの回転運動に伴って、各梃子部材2の支点部(揺動支点部)2bが図2中白抜き矢印で示す方向に沿って往復運動する。すると、各梃子部材2の作用点部2cは、図2中一点鎖線Bで示す閉曲線の軌跡を描くように回転運動する。具体的には、各作用点部2cは、各支点部2bの往復運動に沿った方向の移動距離が各支点部2bの往復運動に直交する方向に沿った移動距離よりも短い閉曲線Bの軌跡を描くように回転運動する。本実施形態においては、閉曲線Bは、各支点部2bの往復運動に沿った方向に潰れたいびつな楕円形状の軌跡となる。また、各梃子部材2の作用点部2cは、前述した閉曲線Bを描くように、それらの回転運動(往復運動)の範囲を各力点部2aの回転中心に対して30°〜45°の範囲に設定されることが好ましい。
【0018】
図3には、図1および図2に示すミキシング装置1をその正面から見た構成を模式的に示す。各羽根部14により掻き混ぜられたり、攪拌されたり、混合されたり、あるいは混錬されたりする物体は、図3中一点鎖線Cで示す領域に配置される。また、前述した各クランクアーム支持軸9のうちの一本には、クランク軸5を回転駆動させる動力源(モータ、エンジン、原動機)15が接続されている。動力源15で発生された動力は、第1および第2の2枚の歯車(プーリ)16,17、ならびにそれら各歯車(プーリ)16,17に掛けられたチェーン(ベルト)18を介してクランクアーム支持軸9に伝達される。クランクアーム支持軸9に伝えられた動力は、クランクアーム7および力点軸8を介してクランク軸5に伝達される。このような駆動力伝達系により、各梃子部材2が駆動される。引いては、各羽根部14により所定の物体がミキシングされる。また、図3に示すように、各羽根部14はそれらの表面のうち表面積が最も大きい面(主面、表面)に対して物体が正面から接触する向きで各梃子部材2に取り付けられる。
【0019】
以上説明したように、この第1実施形態によれば、クランク軸5およびこれに接続された各梃子部材2の力点部2aとは個別に回転運動する梃子部材2の作用点部2cに設けられた各羽根部14により物体を掻く。このため、回転軸と一体に回転する羽根を用いることなく、梃子の原理を利用して物体を効率よく掻くことができる。
【0020】
具体的には、本実施形態に係るミキシング装置においては、スライダークランク機構の中関節に羽根部(フィン)14を取り付ける。そして、原動機15から得られた回転運動を、梃子部材2の揺動支点2bを介して略楕円形状の回転運動(往復運動)に変換して、物体の混錬等を行う。この際、楕円状運動の下側部分により混錬運動を行うとともに、上側部分により反対方向へ戻るように設定することが好ましい。すなわち、混錬を行う各フィン14は、プロペラのように回転軸とともに回転する従来のミキサーのフィンとは異なり、縦の楕円状運動で横方向に上下動する。これにより、図1および図3に示すように、一対の梃子部材(レバー)2で交互に効率よく混錬運動を行うことができる。
【0021】
また、図1および図3に示すように、各梃子部材2に対して各羽根部(フィン)14を180°対向して取り付けることにより、各羽根部14の第1の羽根部14a同士は上下方向において重なるが互いに干渉し合うのを防ぐことができる。さらに、各羽根部14は、クランク軸5の回転方向と上下方向で横位置では回転しないため、外部とのインターフェースが可能である。このため、後述するように各フィン14に様々な機能を盛り込むことができる。
【0022】
また、前述したように、各羽根部14は各梃子部材2から分離可能(取り外し可能)であるため、洗浄が容易である。そして、各羽根部14の洗浄作業は、従来のようにミキサーの内部で実施する必要がないので、より衛生的である。さらに、各羽根部14と各梃子部材2との接続箇所(分離箇所)を特定してカバーをした状態で各梃子部材(ミキサー駆動体)2と各羽根部14とを繋ぐことにより、より容易に清浄に保つことができる。
【0023】
また、各羽根部14が各梃子部材2から分離できるので、各羽根部14を予め複数個揃えておくことにより、各羽根部14の洗浄作業と物体の混錬作業とを異なる場所で併行して行うことができる。これにより、物体の混錬作業を行うラインにおいて連続してミキシング作業を続行可能となり、効率が良い。また、図示しないツールホルダーに替えの羽根部14を用意しておき、自動的に交換可能な設定とすることにより、オートマチックな動作も期待することができる。さらに、各羽根部14は各梃子部材2からワンタッチで取り外したり、あるいはワンタッチで取り付けたりできる設定とするとより好ましい。
【0024】
以上説明した構成からなる本実施形態のミキシング装置(ミキサー)1は、いわゆるアイスクリーマーやハンドミキサーなどに容易に応用することができる。また、ミキサー1をごみ処理機に応用した場合には、各羽根部(翼部)14が、前述したように30°〜45°の範囲で往復運動をするので、従来の360°回転型のミキサーと比べてゴミの引っ掛かりや食い込み等による故障が少ない。したがって、本実施形態のミキサー1は、従来の360°回転型のミキサーと比べてごみ処理機に応用した場合の稼働率が向上されている。
【0025】
なお、前述した構成からなる本実施形態の揺動支点型梃子装置4はZメカニズムとも称される。これに伴って、以上説明した構造からなる本実施形態のミキシング装置(ミキサー)1は、Zメカニズムミキサーとも称される。
【0026】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図4を参照しつつ説明する。図4は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。なお、前述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0027】
図4に示すように、本実施形態に係るミキシング装置21は、前述した第1実施形態のミキシング装置1を応用したものである。以下、具体的に説明する。
【0028】
図4に示すように、ミキシング装置21の各羽根部14には、物体に直接又は間接的に接触して物体の温度を調節する温度調節装置(温度制御用素子)22が設けられている。そして、物体の加熱用媒体および冷却用媒体の少なくとも一方を内部に通して各温度調節装置22に供給する中空の管23が各温度調節装置22から延ばされて2本ずつ設けられている。各管(パイプ、チューブ)23は、各羽根部14の回転運動に応じて運動自在および変形自在な材料により形成されている。それとともに、各チューブ23は、それらの中間部で分離および接続自在に構成されている。
【0029】
本実施形態においては、各温度調節装置22は各チューブ23をそのまま延長して形成されている。そして、各チューブ23は、カプラー24を介してそれらの中間部で分離および接続自在に構成されている。このような構成によれば、各チューブ23内に流体を貫流させた状態で各チューブ23をカプラー24において切り離しても、流体が各チューブ23外に漏れるおそれを無くすことができる。また、各羽根部14を往復運動(回転運動)させつつ、各チューブ23をカプラー24において切り離したり、あるいは接続したりすることができる。
【0030】
ここで、本実施形態に対する比較例について図5を参照しつつ説明する。図5は、本実施形態に対する比較例に係る従来のミキシング装置101の羽根部(フィン)103付近を示す斜視図である。従来のミキシング装置(ミキサー)101では、フィン103が回転軸102と一体に回転運動するため、フィン103に加熱用あるいは冷却用のパイプ(ケーブル、コード、あるいは配線)104等を直接設けると、回転軸102やフィン103にパイプ104が絡まって事実上殆ど使用不可能となってしまう。すなわち、従来のミキサー101では、フィン103が横の円運動となるため、フィン103にヒータ等を組み込んでも、そのコード(パイプ)104がフィン103や回転軸102に絡まり易く、エネルギーを伝達することが極めて困難である。
【0031】
また、回転軸102にいわゆるスリップリング105を設けることにより間接的にフィン103に配線104等を設けることはできる。ところが、スリップリング105は電源106に接続されているので、回転軸102の回転速度が高くなるとスリップリング105と回転軸102との間において火花が生じるおそれが高くなる。この場合、掻き混ぜる物体が花火の火薬等の可燃性が高い物質であると、爆発する危険が高くなる。このように、従来のミキサー101は、フィン103により物体を直接温めたりあるいは冷やたりしつつ掻き混ぜる作業には構造上の制約や物体の種類の制約が多く、実用上不向きである。
【0032】
これに対して、本実施系形態のミキシング装置21では、第1実施形態において説明したように、各羽根部14は回転軸と一体に回転しない。各羽根部14は、縦の楕円状運動で横方向に上下動する。このため、各羽根部14や回転軸に各チューブ23が絡まるおそれは殆どない。
【0033】
以上説明したように、この第2実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、物体を加熱したりあるいは冷却したりする温度調節装置22を各羽根部14に取り付けるとともに、物体の加熱用媒体および冷却用媒体の少なくとも一方を内部に通して各温度調節装置22に供給する各チューブ23を各温度調節装置22に接続できるので、物体を掻き混ぜながら物体の温度を容易に調節することができる。すなわち、各チューブ23および各温度調節装置22に温度移動流体を貫流させることにより、掻き混ぜる物体の温度制御を容易に行うことができる。具体的には、本実施系形態のミキシング装置21によれば、次に述べる種々の効果を得ることができる。
【0034】
例えば、混錬される物質(物体)の温度を制御し易いので、物質の硬化を防止したり、あるいは物質の反応速度を可変としたりすることができる。また、各チューブ23内に冷媒を流入させて、物体を冷却しつつ混錬することができる。これにより、例えばアイスクリームなどを容易に作ることができる。また、冷媒等を各チューブ23の中だけに封入して外部と遮断できるので、食品等の混錬に使用しても安全である。また、花火の火薬等、熱が発生すると危険な可燃物や爆発物などでも低温状態を維持し易いので、安全に作業することができる。また、各チューブ23内に熱流体を貫流させることにより、各種の熱可塑性物質の物性に合わせた混錬が可能である。
【0035】
以上説明したように、本実施形態のミキサー21においては、羽根部14が温度調節機能付きフィンとして構成されているので、物体に冷熱衝撃または温熱衝撃の少なくとも一方を与えつつ物体を掻き混ぜることができる。また、各チューブ23を用いて大量のオイルや冷媒等の流体の送出が可能であるため、次のような具体的な効果を得ることができる。すなわち、本実施形態のZメカニズムミキサー21によれば、各チューブ23を用いて各羽根部(翼部)14付近に冷媒を導入することにより、混合される物質に冷熱衝撃を与えて物質の温度が上がらないように温度を低く保持しつつ物質を混合することができる。あるいは、本実施形態のZメカニズムミキサー21によれば、各チューブ23を用いて各羽根部(翼部)14付近にオイルを送出することにより、混合される物質に温熱衝撃を与えて物質の温度が下がらないように温度を高く保持しつつ物質を混合することができる。
【0036】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について図6および図7を参照しつつ説明する。図6は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図7は、図6に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置と組み合わせて用いられる容器の構造を模式的に示す正面図および側面図である。なお、前述した第1および第2の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0037】
図6に示すように、本実施形態に係るミキシング装置31は、前述した第1実施形態のミキシング装置1を応用したものである。以下、具体的に説明する。
【0038】
図6に示すように、ミキシング装置31の下方には、物体が載置される載置部32aを有しているとともに、この載置部32a上に載置された物体を各羽根部14が回転運動する領域と重なる位置に移動および配置させる搬送装置(ベルトコンベア)32が設けられている。すなわち、搬送装置32は、各羽根部14を間に挟んで各梃子部材2の各力点部2aおよび各支点部2bの反対側に設けられている。
【0039】
載置部(ベルト)32a上には、物体が内部に収容される容器33が少なくとも1個設けられている。容器33の揺動支点型梃子装置4と対向する側には、少なくとも各梃子部材2の各作用点部2cおよび各羽根部14が出入り自在かつ回転運動自在な大きさおよび形状の開口部34aが形成されている。物体は容器33の内部に収容されて載置部32a上に載置されるとともに容器33内において各羽根部14により掻き混ぜられたり、あるいは混錬されたりする。
【0040】
本実施形態においては、容器33は次に述べる設定としても構わない。先ず、容器33を中空の直方体形状または立方体形状に形成する。すなわち、容器33をいわゆる升型の筐体に形成する。それとともに、容器33を載置部32aとは別体に形成する。また、容器3の側部のうち載置部32aの移動方向の上流側に面した側部に、図6中白抜き矢印で示すように、蓋部34bにより開閉自在である上流側開口部34cを形成する。あるいは、容器3の側部のうち載置部32aの移動方向の下流側に面した側部に、同じく図6中白抜き矢印で示すように、蓋部34dにより開閉自在である下流側開口部34eを形成する。これら各開口部34c,34eは、併せて形成されても構わない。
【0041】
そして、上流側開口部34cを経た容器33外から容器33内への物体の収容を、載置部32aの移動および各羽根部14の回転運動の少なくとも一方により行う設定としても構わない。あるいは、下流側開口部34eを経た容器33内から容器33外への物体の排出を、載置部32aの移動および各羽根部14の回転運動の少なくとも一方により行う設定としても構わない。さらには、これら載置部32aの移動および各羽根部14の回転運動の少なくとも一方による上流側開口部34cを経た容器33外から容器33内への物体の収容、および下流側開口部34eを経た容器33内から容器33外への物体の排出を併せて行う設定としても構わない。
【0042】
次に、図7を参照しつつ、容器33の他の構成について説明する。図7に示す容器33においては、その一側部の下部に開口部35が形成されている。この開口部35は、シャッター36により開閉自在である。シャッター36は開閉装置37に接続されている。開閉装置37は、シャッター36を上下動させる動力を発生させるモータ38を備えている。モータ38の回転軸40には、第1のアーム39が接続されている。この第1のアーム39は、第1の支持軸42を介して第2のアーム41に接続されている。この第2のアーム41は、第2の支持軸43を介してシャッター36に接続されている。第1のアーム39および第2のアーム41がモータ38の駆動により図7中実線矢印で示す向きに動くことにより、シャッター36が上下動されて開口部35が開閉される。モータ38は、容器33内に物体を供給する物体供給装置44に取り付けられている。物体は、図7中白抜き矢印で示すように、物体供給装置44の物体供給パイプ45を介して物体供給口46から容器33内に供給される。
【0043】
以上説明したように、この第3実施形態によれば、前述した第1および第2の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、物体の混錬等が升型(四角枠形状)の容器(筐体)33で可能であるため、ベルトコンベア32上で囲いを作れば、その中で物体を混錬可能である。また、物体の混錬が終了した後、前述した下流側開口部34eのように囲いの一端を開放すれば、物体を容器33内から次の工程に送出(出力)することができる。また、前述した上流側開口部34eのように囲いの一端を開放すれば、前の工程から容器33内への物体の搬入(入力)も同様に行うことができる。
【0044】
このように、本実施形態のミキシング装置31によれば、ベルトコンベア32の載置部(ベルト)32aの移動のみならず、羽根部14による物体の搬送(搬入・搬出)が可能である。当然、羽根部14による物体の搬送は、物体のミキシング作業と併行して行うことができる。また、羽根部14による物体の連続ミキシングや連続搬送も可能である。すなわち、本実施形態のミキシング装置31においては、羽根部14は物体の搬送用のポンプを兼ねることができる。
【0045】
また、本実施形態においては、物体の混錬等を行う容器33を矩形(立方体形状または直方体形状)の升型ミキシング容器とすることにより、スペースセービング(スペースファクター)を向上させることができる。そして、前述したように、矩形のミキシング升型33の出口34eをシャッター34dを上下させて開閉するのと合わせることにより、混合が終了した物体を包装梱包エリヤに押し出すポンプ動作を同一の羽根部(フィン)14で兼ねることができる。
【0046】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について図8〜図11を参照しつつ説明する。図8は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図である。図9は、図8に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図10は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図である。図11は、図10に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。なお、前述した第1〜第3の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0047】
図8〜図11に示すように、本実施形態に係るミキシング装置51は、前述した第3実施形態のミキシング装置31をさらに応用したものである。以下、具体的に説明する。
【0048】
図8〜図11に示すように、ミキシング装置51(揺動支点型梃子装置4)は、羽根部14を容器33内に収容されている物体59に近付けたりあるいは物体59から離したりする方向(上下方向)に沿って移動させる移動装置52に取り付けられている。以下、具体的に説明する。
【0049】
ミキシング装置51(揺動支点型梃子装置4)は、移動筐体53の内部に収容されて取り付けられている。移動筐体53は、筐体受け58を介してガイド57に摺動自在に取り付けられている。移動筐体53は、モータ54により上下動させられる。モータ54には、移動筐体53を上下動させるための螺旋状の溝が形成された回転軸55が取り付けられている。移動筐体53は、回転軸55の回転に応じて上下動する筐体支持具56を介して回転軸55に移動可能に取り付けられている。
【0050】
以上説明したように、この第4実施形態によれば、前述した第1〜第3の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、図8および図9に示すように、混錬作業等の進み具合に応じて、ミキシング装置51(揺動支点型梃子装置4)を持ち上げて容器33内に収容されている物体59から羽根部14を離すことができる。あるいは、ミキシング装置51(揺動支点型梃子装置4)を降ろして容器33内に収容されている物体59に羽根部14を潜らせたりすることができる。当然、混錬作業等の進み具合に応じて、物体59と羽根部14との接触状態を適宜、適正な状態に設定して、物体59をより適正に掻き混ぜることができる。
【0051】
(第5の実施の形態)
次に、本発明に係る第5実施形態について図12を参照しつつ説明する。図12は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。なお、前述した第1〜第4の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0052】
図12に示すように、本実施形態に係るミキシング装置61は、前述した第1実施形態のミキシング装置1を応用したものである。以下、具体的に説明する。
【0053】
図12に示すように、ミキシング装置61の羽根部14には、固体、液体、および気体のうちの少なくとも一種類の物質を物体59に供給する物質供給装置、および固体、液体、および気体のうちの少なくとも一種類の物質を物体59およびその周囲から取り除く物質排出装置、の少なくとも一方が設けられている。本実施形態においては、物質供給装置および物質排出装置の両機能を併せ持つ物質給排装置62が羽根部14に設けられていることとする。
【0054】
以上説明したように、この第5実施形態によれば、前述した第1〜第4の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、物質給排装置62により、羽根部(フィン)14の付近から空気や各種気体、液体を物体59内に注入することが可能である。空気が必要であれば、空気を物体59内に注入してミキシング作業が可能である。また、液体が必要であれば液体を物体59内に注入してミキシング作業が可能である。また、この注入作業により注入される物質は、メインの物質、付加的物質、あるいはそれらが混合された複数の物質でも構わない。このように、物質給排装置62が取り付けられた吸収機構を有する羽根部(フィン)14を用いれば、物体59内から余分な水分や液体を吸引することも可能である。また、物体59内に気体を注入しつつ、物体59内から水分や液体を吸引することもできる。
【0055】
(第6の実施の形態)
次に、本発明に係る第6実施形態について図13および図14を参照しつつ説明する。図13は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図である。図14は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図である。なお、前述した第1〜第5の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0056】
図13および図14に示すように、本実施形態に係るミキシング装置71においては、2本のクランク軸74がそれらの軸方向に直交する方向に沿って互いに離間されて並べられている。また、各クランク軸74に梃子部材72がそれぞれ1つずつ接続されている。そして、隣接する各クランク軸74に接続されている各梃子部材72同士は各クランク軸74の軸方向に沿って互いにずらされて設けられている。
【0057】
各梃子部材72は、各力点部72aと各作用点部72cとの中間部において分離および接続自在に形成されている。各梃子部材72の各力点部72aおよび各支点部72bを含む部分を上側梃子部材72dとする。また、各梃子部材72の各作用点部72cを含む部分を下側梃子部材72eとする。各上側梃子部材72dと各下側梃子部材72eとは、接続アタッチメント72fを介してワンタッチで着脱自在に接続されている。
【0058】
また、図13および図14に示すように、本実施形態のミキシング装置71においては、各羽根部73は薄肉の略平板形状に形成されている。各羽根部73は、それらの表面のうち表面積が最も小さい面に対して物体59が正面から接触する向きで各梃子部材72(各下側梃子部材72e)の各作用点部72cに取り付けられている。さらに、ミキシング装置71においては、隣接する各クランク軸74に接続されている各梃子部材72は、互いに逆向きに回転運動する設定とされている。
【0059】
以上説明したように、この第6実施形態によれば、前述した第1〜第5の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態のミキシング装置71においては、クランク軸74を2本設けるとともに、各クランク軸74に梃子部材72を設けているので、物体59をその両側から混錬することも可能である。クランク軸74を複数本にすることにより、梃子部材72を交互に回転運動させる動作も容易であり、作業効率も向上させることができる。なお、クランク軸74は、梃子部材72ごとに個々に設けることも可能だが、1個のクランク軸74によりエキセンクランク構造にすると、設計も容易である。図13および図14に示すミキシング装置(デュアルZメカニズムミキサー)71は、クランク軸(回転軸)74を2本にしたエキセンクランク構造の一例である。
【0060】
(第7の実施の形態)
次に、本発明に係る第7実施形態について図15〜図19を参照しつつ説明する。図15は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図16は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図17は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。図18は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す正面図。図19は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図である。なお、前述した第1〜第6の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0061】
図15〜図19に示すように、本実施形態に係るミキシング装置81は、前述した第6実施形態のミキシング装置71において、各クランク軸74に梃子部材72が3つ設けられている構成となっている。各梃子部材72は、各クランク軸74の軸方向に沿って互いに離間されて各クランク軸74に接続されている。また、当然のことながら、隣接する各クランク軸74に設けられている各梃子部材72同士は、互いに干渉し合わないように各クランク軸74の軸方向に沿って互いにずらされて設けられている。このように、図15〜図19に示す本実施形態のミキシング装置(デュアルZメカニズムミキサー)81は、クランク軸(回転軸)74を2本にしたエキセンクランク構造を備えるとともに各クランク軸74に梃子部材72が3つずつ接続された、3連ミキサーの一例である。
【0062】
各梃子部材72は、図15〜図18に示すように回転運動(往復運動)する。また、各梃子部材72は、図19に示すように、各上側梃子部材72dと各下側梃子部材72eとが接続アタッチメント72fを介してワンタッチで着脱自在に接続されている。
【0063】
以上説明したように、この第7実施形態によれば、前述した第1〜第6の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態のミキシング装置81は、梃子部材72が第6実施形態のミキシング装置71よりも多く設けられているので、物体59を掻き混ぜたり混錬したりする作業効率がより向上されている。
【0064】
(第8の実施の形態)
次に、本発明に係る第8実施形態について図20〜図23を参照しつつ説明する。図20は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置の一態様に係る羽根部を示す断面図である。図21は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置の他の態様に係る羽根部を示す斜視図および断面図である。図22は、本実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のまた他の態様に係る羽根部を示す正面図である。図23は、実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のまた他の態様に係る羽根部を示す斜視図である。図24は、実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のさらに他の態様に係る羽根部を示す正面図である。なお、前述した第1〜第7の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。
【0065】
本実施形態においては、各羽根部の形状や機能について具体的に説明する。
【0066】
先ず、図20に示す各羽根部91は、一方の主面が平面からなるとともに他方の主面が曲面からなる形状に形成されている。たとえるならば、各羽根部91は、図示しない飛行機の翼と同様の断面形状を有する形状に形成されている。このような形状からなる各羽根部91を、それらの曲面からなる主面を互いに対向させて配置する。そして、それら各羽根部91を物体59に対して図20中白抜き矢印で示す向きで移動させる。すると、各羽根部91の周囲には、各羽根部91に対して相対的に図20中白実線矢印で示す物体59の流れが生じる。これにより、各羽根部91は、例えば略平板形状からなる第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより大きく動かすことができる。すなわち、各羽根部91は、第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより効率よく掻き混ぜたり、あるいは混錬したりすることができる。
【0067】
次に、図21(a)、(b)に示す各羽根部92では、その表面に凹部92aおよび凸部92bが形成されている。図21(b)は、図21(a)中破断線X−X’に沿って示す断面図である。このような形状からなる各羽根部92を、物体59中に突入させると、当然のことながら、略平板形状からなる第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより複雑に動かすことができる。すなわち、各羽根部92は、図20に示す各羽根部91と同様に、第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより効率よく掻き混ぜたり、あるいは混錬したりすることができる。
【0068】
次に、図22に示す羽根部93は、いわゆる櫛形状に形成されている。すなわち、羽根部93では、その梃子部材2(72)との接続側とは反対側の端部に櫛歯93aを取り付けた形状に形成されている。このような形状からなる羽根部93を物体59中に突入させると、当然のことながら、略平板形状からなる第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより複雑に動かすことができる。すなわち、各羽根部92は、図20に示す各羽根部91や図21に示す各羽根部92と同様に、第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより効率よく掻き混ぜたり、あるいは混錬したりすることができる。
【0069】
次に、図23(a)、(b)に示す各羽根部94、95では、それらの表面に波形状(アールウェーブ型)の曲面が形成されている。すなわち、各羽根部94,95では、それらの表面に波形状の凹部94a,95aおよび凸部94b,95bが形成されている。より具体的には、図23(a)に示す羽根部94においては、波状の凹部94aおよび凸部94bが梃子部材2(72)の長手方向に沿って羽根部94の表面に形成されている。また、図23(b)に示す羽根部95においては、波状の凹部95aおよび凸部95bが梃子部材2(72)の長手方向とは直交する方向に沿って羽根部95の表面に形成されている。このような形状からなる羽根部94,95を物体59中に突入させると、当然のことながら、略平板形状からなる第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより複雑に動かすことができる。すなわち、各羽根部94,95は、図20に示す各羽根部91、図21に示す各羽根部92、および図22に示す羽根部93と同様に、第6実施形態の各羽根部73に比べて物体59をより効率よく掻き混ぜたり、あるいは混錬したりすることができる。
【0070】
次に、図24に示す羽根部96では、その梃子部材2(72)との接続側の端部に、羽根部96の表面に洗浄液99を供給する洗浄装置97が設けられている。洗浄装置97は、具体的には、複数個の洗浄液供給口98が開口された中空の管(チューブ、パイプ)である。洗浄液99は、図24中破線矢印で示すように、各洗浄液供給口98から羽根部96の表面に沿って流れるように羽根部96の表面に向けて供給される。すなわち、図24に示す羽根部96は、自己洗浄機能付きの羽根部(フィン)96として構成されている。
【0071】
このような構成からなる羽根部96では、前述した他の羽根部14,73,91,92,93,94,95に比べて、その表面をより衛生的に保持することができる。
【0072】
以上説明したように、この第8実施形態によれば、前述した第1〜第7の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、前述した第1実施形態の羽根部14や第6実施形態の羽根部73に比べて物体59をより効率よく掻き混ぜたり、あるいは混錬したりすることができるので、混錬作業等の効率をより向上させることができる。また、図24に示す羽根部96を用いれば、衛生管理が厳しい食品加工の現場においても十分に適応することができる。
【0073】
なお、本発明に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置は、前述した第1〜第8の各実施形態には制約されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、それらの構成、あるいは製造工程などの一部を種々様々な設定に変更したり、あるいは各種設定を適宜、適当に組み合わせて用いたりして実施することができる。
【0074】
例えば、第1実施形態において各支点部2bに取り付けられたローラ12をガイドするスライダー13は、図1に示すようなリニアガイドタイプでも、あるいは図示しないオープンタイプでも構わない。
【0075】
また、例えば第2実施形態のミキシング装置21においては、チューブ23の代わりに各温度調節装置22に電力を供給する配線を設けても構わない。このような構成によれば、フィン14内部の温度制御用素子として各温度調節装置22を電気式のヒータで構成しても、スリップリング等のストリップ型配線を用いて大電力を供給する必要がない。これにより、ヒータに必要最小限の電力だけを直接給電することが可能である。すなわち、フィン14内部のヒータに電力を送出する配線等をヒータに直接接続可能である。このため、極めて安全である。また、カプラー24の代わりにコネクタを用いて、配線をその途中で自在に切り離したり、あるいは自在に接続したりすることができる構造としても構わない。特に、配線をコネクタ部分においてワンタッチで取り外したり、あるいは接続したりすることができる構成にすることがより好ましい。
【0076】
また、電力供給用配線もチューブ23と同様に羽根部14の回転運動に応じて運動自在および変形自在な材料により形成されていることが好ましい。これにより、電力供給用電線を羽根部14とともにそのまま往復運動させながら接続したり、あるいは切り離したりすることができる。また、第2実施形態のミキシング装置21においては、チューブ(パイプ)23は複数本から構成されるシステムであっても良い。さらには、電線とチューブ23との混在も可能なのはもちろんである。
【0077】
また、例えば第3実施形態のミキシング装置31を用いて連続ミキシング工程を実現する場合には、ミキシング装置31をカスケード接続すればよい。これにより、ベルトコンベア32で運ばれてくる物体59を連続的に混錬したりすることが容易にできる。また、このような構成からなる連続ミキシング工程の現場は、プロペラ式の従来のミキシング装置を複数台用いた場合に比べてスペースファクターに優れているのはもちろんである。
【0078】
さらに、物体59は、固定でも液体でも構わない。
【0079】
なお、図1、図4、図6、図12においては、梃子部材2の形状が互いに異なっているが、これは図面上でそれら2本の梃子部材2を識別し易くするために意図的に違えて描いたものであり、実際上は必ずしも互いに異なる形状の梃子部材2を用いる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図2】図1に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す側面図。
【図3】図1に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す正面図。
【図4】第2実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図5】第2実施形態に対する比較例に係る従来のミキシング装置の羽根部付近を示す斜視図。
【図6】第3実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図7】図6に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置と組み合わせて用いられる容器の構造を模式的に示す正面図および側面図。
【図8】第4実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図。
【図9】図8に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図10】第4実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図。
【図11】図10に示す揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図12】第5実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図13】第6実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図。
【図14】第6実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す側面図。
【図15】第7実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図16】第7実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図17】第7実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図18】第7実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を模式的に示す正面図。
【図19】第7実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置を示す斜視図。
【図20】第8実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置の一態様に係る羽根部を示す断面図。
【図21】第8実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置の他の態様に係る羽根部を示す斜視図および断面図。
【図22】第8実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のまた他の態様に係る羽根部を示す正面図。
【図23】第8実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のまた他の態様に係る羽根部を示す斜視図。
【図24】第8実施形態に係る揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置のさらに他の態様に係る羽根部を示す正面図。
【符号の説明】
【0081】
1,21,31,51,61,71,81…揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置(Zメカニズムミキサー)、2…梃子部材(レバー)、2a…力点部、2b…揺動支点部、2c…作用点部、3…クランク装置、4…揺動支点型梃子装置(Zメカニズム)、5…クランク軸、14,73,91,92,93,94,95,96…羽根部(フィン)、14a…第1の羽根部、14b…第2の羽根部、22…温度調節装置、23…チューブ(中空の管)、32…ベルトコンベア(搬送装置)、32a…ベルト(載置部)、33…升型容器(ミキシング容器)、34a…容器開口部、34c…上流側開口部、34e…下流側開口部、52…移動装置、59…物体、62…物質給排装置(物質供給装置および物質排出装置)、97…洗浄装置、99…洗浄液
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力が伝達されて回転運動する力点部、移動自在に支持されているとともに前記力点部の回転運動に応じて往復運動する支点部、および前記力点部を間に挟んで前記支点部の反対側に設けられているとともに前記力点部とは回転の中心が異なる位置で前記力点部の回転運動に応じて回転運動する作用点部、を有する少なくとも1つの梃子部材と、
前記力点部に接続された少なくとも1本のクランク軸を介して前記力点部に前記動力を伝達するクランク装置と、
を具備する揺動支点型梃子装置を備えるとともに、前記作用点部と一体に回転運動して物体を掻く羽根部が前記梃子部材の前記作用点部に少なくとも1枚設けられていることを特徴とする揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項2】
前記支点部は前記力点部の回転運動の径方向に沿って往復運動するとともに、前記作用点部は前記支点部の往復運動に沿った方向の移動距離が前記支点部の往復運動に直交する方向に沿った移動距離よりも短い閉曲線の軌跡を描いて回転運動することを特徴とする請求項1に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項3】
複数本の前記クランク軸がそれらの軸方向に直交する方向に沿って互いに離間されて並べられているとともに、前記各クランク軸に前記梃子部材がそれぞれ少なくとも1つずつ接続されており、かつ、少なくとも隣接する前記各クランク軸に接続されている前記各梃子部材同士は前記各クランク軸の軸方向に沿って互いにずらされて設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項4】
隣接する前記各クランク軸に接続されている前記各梃子部材は、互いに逆向きに回転運動することを特徴とする請求項3に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項5】
複数個の前記梃子部材が前記クランク軸の軸方向に沿って互いに離間されて前記各クランク軸に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項6】
前記梃子部材は、前記力点部と前記作用点部との中間部において分離および接続自在に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項7】
前記羽根部は、前記梃子部材に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項8】
前記羽根部には、前記物体に直接又は間接的に接触して前記物体の温度を調節する温度調節装置が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項9】
前記物体の加熱用媒体および冷却用媒体の少なくとも一方を内部に通して前記温度調節装置に供給する中空の管、および前記温度調節装置に電力を供給する配線の少なくとも一方が、前記温度調節装置から延ばされて少なくとも1本設けられていることを特徴とする請求項8に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項10】
前記管および前記配線は、前記羽根部の回転運動に応じて運動自在および変形自在な材料により形成されていることを特徴とする請求項9に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項11】
前記管および前記配線は、その中間部で分離および接続自在に構成されていることを特徴とする請求項9または10に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項12】
前記羽根部には、固体、液体、および気体のうちの少なくとも一種類の物質を前記物体に供給する物質供給装置、および固体、液体、および気体のうちの少なくとも一種類の物質を前記物体およびその周囲から取り除く物質排出装置、の少なくとも一方が設けられていることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項13】
前記物体が載置される載置部を有しているとともに、この載置部上に載置された前記物体を前記羽根部が回転運動する領域と重なる位置に移動および配置させる搬送装置が、前記羽根部を間に挟んで前記力点部および前記支点部の反対側にさらに設けられていることを特徴とする請求項1〜12のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項14】
前記物体が内部に収容される容器が前記載置部上に少なくとも1個設けられているとともに、前記容器の前記揺動支点型梃子装置と対向する側には少なくとも前記梃子部材の前記作用点部および前記羽根部が出入り自在かつ回転運動自在な大きさおよび形状の開口部が形成されており、かつ、前記物体は前記容器の内部に収容されて前記載置部上に載置されるとともに前記容器内において前記羽根部により掻かれることを特徴とする請求項13に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項15】
前記容器は中空の直方体形状または立方体形状に形成されているとともに、前記容器は前記載置部とは別体に形成されており、かつ、前記容器の側部のうち前記載置部の移動方向の上流側に面した側部および前記載置部の移動方向の下流側に面した側部の少なくとも一方には開閉自在の開口部が形成されているとともに、前記上流側の前記開口部を経た前記容器外から前記容器内への前記物体の収容および前記下流側の前記開口部を経た前記容器内から前記容器外への前記物体の排出の少なくとも一方が、前記載置部の移動および前記羽根部の回転運動の少なくとも一方により行われることを特徴とする請求項14に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項16】
前記揺動支点型梃子装置は、前記羽根部を前記物体に近付けたりあるいは前記物体から離したりする方向に沿って移動させる移動装置に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜15のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項17】
前記羽根部は、その表面のうち表面積が最も大きい面に対して前記物体が正面から接触する向きで前記梃子部材に取り付けられているか、もしくはその表面のうち表面積が最も小さい面に対して前記物体が正面から接触する向きで前記梃子部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜16のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項18】
前記羽根部は、平板形状、一方の主面が平面からなるとともに他方の主面が曲面からなる形状、表面に凹部および凸部が形成された形状、櫛形状、および表面に波状の凹部および凸部が形成された形状のいずれかの形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜17のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項19】
前記羽根部には、前記羽根部の表面に洗浄液を供給する洗浄装置が設けられていることを特徴とする請求項1〜18のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項20】
前記羽根部は、前記力点部の回転中心に対して30°〜45°の範囲で回転運動することを特徴とする請求項1〜19のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項1】
動力が伝達されて回転運動する力点部、移動自在に支持されているとともに前記力点部の回転運動に応じて往復運動する支点部、および前記力点部を間に挟んで前記支点部の反対側に設けられているとともに前記力点部とは回転の中心が異なる位置で前記力点部の回転運動に応じて回転運動する作用点部、を有する少なくとも1つの梃子部材と、
前記力点部に接続された少なくとも1本のクランク軸を介して前記力点部に前記動力を伝達するクランク装置と、
を具備する揺動支点型梃子装置を備えるとともに、前記作用点部と一体に回転運動して物体を掻く羽根部が前記梃子部材の前記作用点部に少なくとも1枚設けられていることを特徴とする揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項2】
前記支点部は前記力点部の回転運動の径方向に沿って往復運動するとともに、前記作用点部は前記支点部の往復運動に沿った方向の移動距離が前記支点部の往復運動に直交する方向に沿った移動距離よりも短い閉曲線の軌跡を描いて回転運動することを特徴とする請求項1に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項3】
複数本の前記クランク軸がそれらの軸方向に直交する方向に沿って互いに離間されて並べられているとともに、前記各クランク軸に前記梃子部材がそれぞれ少なくとも1つずつ接続されており、かつ、少なくとも隣接する前記各クランク軸に接続されている前記各梃子部材同士は前記各クランク軸の軸方向に沿って互いにずらされて設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項4】
隣接する前記各クランク軸に接続されている前記各梃子部材は、互いに逆向きに回転運動することを特徴とする請求項3に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項5】
複数個の前記梃子部材が前記クランク軸の軸方向に沿って互いに離間されて前記各クランク軸に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項6】
前記梃子部材は、前記力点部と前記作用点部との中間部において分離および接続自在に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項7】
前記羽根部は、前記梃子部材に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項8】
前記羽根部には、前記物体に直接又は間接的に接触して前記物体の温度を調節する温度調節装置が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項9】
前記物体の加熱用媒体および冷却用媒体の少なくとも一方を内部に通して前記温度調節装置に供給する中空の管、および前記温度調節装置に電力を供給する配線の少なくとも一方が、前記温度調節装置から延ばされて少なくとも1本設けられていることを特徴とする請求項8に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項10】
前記管および前記配線は、前記羽根部の回転運動に応じて運動自在および変形自在な材料により形成されていることを特徴とする請求項9に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項11】
前記管および前記配線は、その中間部で分離および接続自在に構成されていることを特徴とする請求項9または10に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項12】
前記羽根部には、固体、液体、および気体のうちの少なくとも一種類の物質を前記物体に供給する物質供給装置、および固体、液体、および気体のうちの少なくとも一種類の物質を前記物体およびその周囲から取り除く物質排出装置、の少なくとも一方が設けられていることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項13】
前記物体が載置される載置部を有しているとともに、この載置部上に載置された前記物体を前記羽根部が回転運動する領域と重なる位置に移動および配置させる搬送装置が、前記羽根部を間に挟んで前記力点部および前記支点部の反対側にさらに設けられていることを特徴とする請求項1〜12のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項14】
前記物体が内部に収容される容器が前記載置部上に少なくとも1個設けられているとともに、前記容器の前記揺動支点型梃子装置と対向する側には少なくとも前記梃子部材の前記作用点部および前記羽根部が出入り自在かつ回転運動自在な大きさおよび形状の開口部が形成されており、かつ、前記物体は前記容器の内部に収容されて前記載置部上に載置されるとともに前記容器内において前記羽根部により掻かれることを特徴とする請求項13に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項15】
前記容器は中空の直方体形状または立方体形状に形成されているとともに、前記容器は前記載置部とは別体に形成されており、かつ、前記容器の側部のうち前記載置部の移動方向の上流側に面した側部および前記載置部の移動方向の下流側に面した側部の少なくとも一方には開閉自在の開口部が形成されているとともに、前記上流側の前記開口部を経た前記容器外から前記容器内への前記物体の収容および前記下流側の前記開口部を経た前記容器内から前記容器外への前記物体の排出の少なくとも一方が、前記載置部の移動および前記羽根部の回転運動の少なくとも一方により行われることを特徴とする請求項14に記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項16】
前記揺動支点型梃子装置は、前記羽根部を前記物体に近付けたりあるいは前記物体から離したりする方向に沿って移動させる移動装置に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜15のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項17】
前記羽根部は、その表面のうち表面積が最も大きい面に対して前記物体が正面から接触する向きで前記梃子部材に取り付けられているか、もしくはその表面のうち表面積が最も小さい面に対して前記物体が正面から接触する向きで前記梃子部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜16のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項18】
前記羽根部は、平板形状、一方の主面が平面からなるとともに他方の主面が曲面からなる形状、表面に凹部および凸部が形成された形状、櫛形状、および表面に波状の凹部および凸部が形成された形状のいずれかの形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜17のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項19】
前記羽根部には、前記羽根部の表面に洗浄液を供給する洗浄装置が設けられていることを特徴とする請求項1〜18のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【請求項20】
前記羽根部は、前記力点部の回転中心に対して30°〜45°の範囲で回転運動することを特徴とする請求項1〜19のうちのいずれかに記載の揺動支点型梃子装置を用いたミキシング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図17】
【図18】
【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−175626(P2007−175626A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377136(P2005−377136)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(599006258)有限会社タック リサーチ (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(599006258)有限会社タック リサーチ (4)
【Fターム(参考)】
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