説明

搬送システム

【課題】複数の投入場所から物品を効率的に投入することが可能となり、同時に投入時の作業者による仕分けミスを極力減らすことのできる、搬送システムの提供を課題とする。
【解決手段】
物品5を投入する投入ライン12と、投入ライン12より下流に配置される複数の搬送ラインと、前記投入ライン12と前記搬送ラインとの間に配置され、前記複数の搬送ラインへの物品5の仕分けを行う仕分けライン7・8と、を備える搬送システム21であって、前記投入ライン12には、複数の投入場所から投入された物品5を、一列に整列させる自動整列コンベア6を備ることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を投入する投入ラインと、投入ラインより下流に配置される複数の搬送ラインと、前記投入ラインと前記搬送ラインとの間に配置され、前記複数の搬送ラインへの物品の仕分けを行う仕分けラインと、を備える搬送システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から輸送業界では、トラックターミナル等において、集荷した荷物(以下物品という。)を配送先に仕分けして、その後配送先に出荷する為のマテハン設備(以下搬送システムという。)が使用されている。
前記搬送システムは図3に示すように、通常搬送方向に並設した直進する2ラインの仕分けラインを根幹とし、その上流部の一側には、搬送方向に沿って配設された複数の物品投入部を配置し、下流部には、各物品の配送先ごとに搬送ラインを配置して構成される。
【0003】
ここで、前記仕分けラインは、サイズ、形状等、予め設定した規格外の自動判別不可能な物品、又は、ガラス製品等の壊れ物や、宝石類等の貴重品を梱包した物品を、作業者の手作業によって仕分ける手仕分けラインと、バーコード等により、個々の物品の行き先を判別し、ソータ等の自動機により自動仕分けを行う自動仕分けラインと、により構成され、これらコンベアは、設置スペース上の関係から、両者(手仕分けライン及び自動仕分けラインをいう。以下同じ。)並列して構成される技術が公知となっている。(特許文献1を参照。)
【0004】
しかし上記搬送システムにおいては従来から、2列に並設された、手仕分けライン及び自動仕分けラインに対して、作業者は、どちらのラインに物品を投入するかを判断して仕分ける作業と、集荷された場所から物品を投入する作業とを、各個人で同時にこなす必要が有り、手違いが発生しやすい状況にあった。
【特許文献1】特開2005−15088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の点を踏まえた上で、本発明においては、複数の投入場所から物品を効率的に投入することが可能となり、同時に投入時の作業者による仕分けミスを極力減らすことのできる、搬送システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、物品を投入する投入ラインと、投入ラインより下流に配置される複数の搬送ラインと、前記投入ラインと前記搬送ラインとの間に配置され、前記複数の搬送ラインへの物品の仕分けを行う仕分けラインと、を備える搬送システムであって、前記投入ラインには、複数の投入場所から投入された物品を、一列に整列させる自動整列コンベアを備えたものである。
【0008】
請求項2においては、前記自動整列コンベアは、搬送速度の異なる一対の斜行コンベアを相隣接するように、且つ、物品をコンベア間の境界へと送り出すように配置し、更に、物品をコンベア間の境界へと送り出す駆動力を異ならせたものであり、前記複数の投入場所を自動整列コンベアに沿って複数設けたものである。
【0009】
請求項3においては、前記仕分けラインは、並設された作業者の手作業によって物品を仕分ける手仕分けラインと、自動仕分け装置によって物品を仕分ける自動仕分けラインと、を備え、手仕分けラインと、自動仕分けラインと、の間においては、物品が水平方向にて互いに移動自在であって、且つ、仕分けラインの上流には、自動整列コンベアによって整列された物品を、手仕分けライン側へ幅寄せさせる、幅寄せコンベアを設けたものである。
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、物品を投入する投入ラインと、投入ラインより下流に配置される複数の搬送ラインと、前記投入ラインと前記搬送ラインとの間に配置され、前記複数の搬送ラインへの物品の仕分けを行う仕分けラインと、を備える搬送システムであって、前記投入ラインには、複数の投入場所から投入された物品を、一列に整列させる自動整列コンベアを備えたことにより、常に物品が一列に整列した状態で仕分けラインに搬送される為、例えば、前記仕分けラインの上流側(入口部)に、物品の仕分け作業者を別途配置することで、一列に整列して搬送されてきた物品を、前記仕分け作業者は、手仕分けライン及び自動仕分けラインに仕分けるだけでよく、物品投入作業と仕分け作業の分離化が可能となる。その結果、前記仕分け作業者は物品の投入作業まで遂行することなく、集中して仕分け作業を実施でき、仕分け作業の間違いを減らすことができる。又同様に、自動整列コンベアが、複数の投入場所から投入された物品を一列に整列する為、複数の場所から連続的に物品を投入することも可能となり、投入作業の効率が良い。
【0012】
請求項2においては、前記自動整列コンベアは、搬送速度の異なる一対の斜行コンベアを相隣接するように、且つ、物品をコンベア間の境界へと送り出すように配置し、更に、物品をコンベア間の境界へと送り出す駆動力を異ならせたものであり、前記複数の投入場所を自動整列コンベアに沿って複数設けたことにより、コンベア中央の境界付近に物品が移動する為、上流の投入場所から投入された物品は、下流へ移動しつつ中央へ移動し、下流側に物品を投入するスペースができる。この為、コンベアに沿って、物品投入場所が設けられていても、効率良く物品を投入することができる。
【0013】
請求項3においては、前記仕分けラインは、並設された作業者の手作業によって物品を仕分ける手仕分けラインと、自動仕分け装置によって物品を仕分ける自動仕分けラインと、を備え、手仕分けラインと、自動仕分けラインと、の間においては、物品が水平方向にて互いに移動自在であって、且つ、仕分けラインの上流には、自動整列コンベアによって整列された物品を、手仕分けライン側へ幅寄せさせる、幅寄せコンベアを設けたことにより、仕分けラインの上流側に作業者を配置したとすると、作業者は自動仕分けラインへ送り込む物品のみを仕分ければ良く、両方(手仕分けライン及び自動仕分けライン)に仕分ける場合と比較し、作業が減る為、より集中して仕分け作業を行うことができ、仕分け作業の間違いを減らすことができる。又仮に、作業者が物品の搬送に間に合わず、仕分け作業を仕損じても、物品は手仕分けラインへ搬送される為、その後、作業者の手作業により自動仕分けラインへ仕分けることが可能であり、間違って、手仕分けラインへ搬送されるべき物品が、自動仕分けラインへ流れることも無く、自動仕分けライン及び物品等の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る搬送システムの全体的な構成を示した平面図、図2は本発明の一実施例に係る搬送システムの、物品投入場所付近の断面を示した側面図、図3は従来の搬送システムにおける全体的な構成を示した平面図である。(尚、図1乃至図3において、矢印Aは、搬送システムの搬送方向を示し、その他の矢印は、物品の移動方向を示す。)
【実施例1】
【0015】
[物品投入場所]
トラックターミナル等からなる搬送工場1においては、貨物車両2により外部から物品5が運搬され、各配送先への仕分け機能を具備した、搬送システム21に前記物品5が投入される。以下にその物品5の投入部の詳細について図2を用いて説明する。
【0016】
物品5の投入部には、貨物車両2から前記物品5の荷卸作業を行うローダー装置(図示せず。)と、搬送システム21に物品5を投入する為の投入コンベア9が設置され、その配置は、貨物車両2の駐車スペースに付随する。ここで、本実施例においては、貨物車両2に積載された物品5は、前記ローダー装置等を使用することなく、作業者3によって、作業場所4より搬送工場1に運ばれることとし、前記作業場所4は、作業者3が貨物車両2より積み降ろした物品5をラインの投入場所に投入する場所であり、通常貨物車両2の停車位置後端部に突き出したスペース(荷卸用デッキ)を設ける場合もあるが、本実施例では特に作業場所4は設けず、貨物車両2の荷台の後端部を作業場所4とした。
【0017】
[搬送システムの構成]
次に搬送システム21の構成について、図1を用いて説明する。
本実施例における搬送システム21は、並設された2ラインからなる仕分けライン7・8を根幹とし、その上流側には、物品5を投入する投入ライン12を配設させ、その下流側には、各配送先に物品5を分配する、複数の搬送ライン16を枝状に連結させている。
【0018】
仕分けライン7・8は、配送先を選別する作業者17が、手作業により物品5を仕分けする、手仕分けライン7と、ソータ、リフトコンベア等により配送先毎に自動仕分けを行う自動仕分けライン8と、により構成される。そして、前記仕分けライン7・8の上流部には、両仕分けライン7・8の間に中継ライン13が設けられている。中継ライン13は、常時自動仕分けライン8へ物品5を搬送するローラコンベアであり、仕分け作業者11が手仕分けライン7側から中継ライン13側へ物品5を押し出すことにより、物品5を中継ライン13に引き込ませ、更に、自動仕分けライン8へ繰出すようにしたものである。これにより、前記仕分けライン7・8の上流部に配置された仕分け作業者11は、投入ライン12から搬送されてきた物品5を、容易に手仕分けライン7又は、自動仕分けライン8へと仕分けることが可能となる。ここで、搬送システム21においては、後述の幅寄せコンベア10を備える構成の為、物品5は常に手仕分けライン7へ向けて搬送されることとなる。
【0019】
又、前記中継ライン13は、本実施例に示すローラコンベア方式に限定されるものではなく、例えば、フリーベアコンベアのように、搬送方向を正逆自在としたものでも良い。また、駆動源に関しても、モータ等を具備して搬送方向を限定したり、或いは、駆動源を有さず、仕分け作業者11による人力にて、両搬送方向への移動を可能とするものでも良い。
更に、本実施例においては、手仕分けライン7及び自動仕分けライン8を、共に各1ラインにて記載しているがこれに限定されるものではなく、搬送システム21全体における物品5の仕分け処理能力及び設置スペースの関係等から、各ライン7・8のライン数は自由に決定されるものとする。手仕分けライン7及び自動仕分けライン8の配分数も自在に設定可能であり、複数のラインを、どちらか一方の種類のラインで統一するようにしても良く、手仕分けライン7、自動仕分けライン8に関係なく、例えば、関西方面のラインや、関東方面のライン等、任意に設定することができる。尚、各ライン7・8のレイアウト形状についても上記理由により、直線ラインに限られず、S字等の曲線形状を形成しても良い。
【0020】
投入ライン12は、任意の投入場所14から投入された物品5群を自動的に一列に整列する自動整列コンベア6により構成され、その下流部において、前記物品5群を搬送方向の一側部に自動的に幅寄せする幅寄せコンベア10と、連結される。
【0021】
前記自動整列コンベア6とは、搬送速度の異なる一対の斜行コンベアを相隣接するように、且つ、物品5をコンベア間の境界へと送り出すように配置し、更に、物品5をコンベア間の境界へと送り出す駆動力を異ならせたものである。本実施例では、一対の斜行コンベアを境界で対称となるようにするとともに、その搬送速度を異ならせるようにしたものであり、物品5をそれぞれの境界(つまり中央)に送り出す駆動力が左右で異なる機能を具備する。この為、物品5には搬送中において複雑な外力が付加されて、前記境界上を蛇行運動ないしは自転運動することとなる。この結果、コンベア中央付近で物品の蛇行運動や自転運動が生じると、左右に並んで搬送される物品5のいずれか一方が前方に押し出され物品5が整列されていくのである。
【0022】
この自動整列コンベア6にて投入ライン12を構成することにより、投入ライン12の搬送方向に沿って、物品5の投入場所を配置しても、効率よく物品5の投入ライン12への搬入作業が行われる。即ち、物品5が自動整列コンベア6の中央側に整列されるので、自動整列コンベア6の側方に空きスペースができるようになり、この空きスペースに、次々と物品5を搬入できる為である。
【0023】
前記幅寄せコンベア10は、例えば、幅を寄せる方向にローラを傾かせた斜行コンベアであり、物品5の搬送方向を変えることで、一側方に幅寄せすることができる。尚、本コンベアにおいては、幅寄せする方向の側面にガイド15を設けて、物品5がコンベアから脱落するのを防止している。又、ガイド15に沿って駆動されるベルトコンベア18を、物品5との接触面に設けることで、物品5をガイドするとともに、傾いた状態でガイド15に接触した物品5を旋回させ、物品5一片がガイド15に沿うようにすることができ、より好ましい。
【0024】
これら、自動整列コンベア6からなる投入ライン12と、その下流部に連結される幅寄せコンベア10により、物品5の搬送状態は整列される。即ち、上流部に自動整列コンベア6を配設し、その下流部に幅寄せコンベア10を連結して配設し、更に前記幅寄せコンベア10の下流部において、上記仕分けライン7・8の上流部と連結される。これにより、投入コンベア9を介して投入された物品5群は、一旦自動整列コンベアにて一列に整列され、その後、幅寄せコンベア10により、整列状態を保持したまま、一側部へ幅寄せされ、上記仕分けライン7・8へ投入されていく。尚、本実施の形態では、物品5の仕分けの効率上、幅寄せコンベア10の幅寄せ方向を手仕分けライン7側としているが、これは仕分け対象の物品5の性質によって変わりうるものであり、幅寄せ方向を自動仕分けライン8側とする場合もある。また、仕分けラインを共に、自動仕分けラインとする場合などは、仕分け量に応じて、幅寄せ方向をどちらにするかを、適宜設定するものとする。
【0025】
また、搬送システム21においては、投入ライン12、即ち自動整列コンベア6の下流部に幅寄せコンベア10を連結する構成としているが、前記幅寄せコンベア10を排して、自動整列コンベア6のみで構成するようにしても良い。この場合、投入ラインを搬送される物品5群は、投入ラインの中央を一列に整列された状態で、仕分けライン7・8の始端部へと搬送される。そして、図1に示す搬送システム21において、中継ライン13の略配置位置に相当する位置に、物品5が供給されるような状態となる。この場合、中継ライン13をフリーコンベアとしておき、仕分けライン7・8のどちらかに押し出すことで、仕分けを行うことができる。尚、中継ライン13を正逆自在なコンベアとし、仕分け作業者11が物品5を目視により、手仕分けライン7に搬送するべきか、自動仕分けライン8に搬送するべきかを判断し、その結果を基に、中継ライン13の正逆を制御することで、手仕分けライン7か自動仕分けライン8を仕分けるようにしても良い。又、本実施例では、中継ライン13が設けられているが、中継ライン13を無くして、手仕分けライン7、自動仕分けライン8を、例えば、搬送面を物品5が水平移動可能なスチールベルトコンベアで形成し、作業者が手仕分けライン7から直接自動仕分けライン8へ物品5を移動させるようにしても良い。
【0026】
尚、本実施例においては、自動整列コンベア6を3連にて構成しているが、前記自動整列コンベア6の搬送距離は、その投入場所14の配置領域、即ち最下流部において投入された物品5が、十分に整列可能な搬送距離であることが要件となる為、本実施例に限定される必要は無く、例えば、投入場所14を一箇所等に限定する場合は、1連にて構成することも可能であろうし、又、本実施例以上に、投入場所14を増やして計画する場合は、5連、6連等、本実施例以上に自動整列コンベア6の搬送距離が延長される必要も生じる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例に係る搬送システムの全体的な構成を示した平面図。
【図2】本発明の一実施例に係る搬送システムの、物品投入場所付近の断面を示した側面図。
【図3】従来の搬送システムにおける全体的な構成を示した平面図。
【符号の説明】
【0028】
1 搬送工場
2 貨物車両
3 作業者
4 作業場所
5 物品
6 自動整列コンベア
7 手仕分けライン
8 自動仕分けライン
9 投入コンベア
10 幅寄せコンベア
11 仕分け作業者
12 投入ライン
13 中継ライン
14 投入場所
15 ガイド
16 搬送ライン
17 作業者
18 ベルトコンベア
21 搬送システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を投入する投入ラインと、投入ラインより下流に配置される複数の搬送ラインと、前記投入ラインと前記搬送ラインとの間に配置され、前記複数の搬送ラインへの物品の仕分けを行う仕分けラインと、を備える搬送システムであって、前記投入ラインには、複数の投入場所から投入された物品を、一列に整列させる自動整列コンベアを備えたことを特徴とする、搬送システム。
【請求項2】
前記自動整列コンベアは、搬送速度の異なる一対の斜行コンベアを相隣接するように、且つ、物品をコンベア間の境界へと送り出すように配置し、更に、物品をコンベア間の境界へと送り出す駆動力を異ならせたものであり、前記複数の投入場所を自動整列コンベアに沿って複数設けたことを特徴とする、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記仕分けラインは、並設された作業者の手作業によって物品を仕分ける手仕分けラインと、自動仕分け装置によって物品を仕分ける自動仕分けラインと、を備え、手仕分けラインと、自動仕分けラインと、の間においては、物品が水平方向にて互いに移動自在であって、且つ、仕分けラインの上流には、自動整列コンベアによって整列された物品を、手仕分けライン側へ幅寄せさせる、幅寄せコンベアを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−153484(P2007−153484A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348199(P2005−348199)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】