説明

搬送装置、及び、画像形成装置

【課題】記録媒体の搬送経路に合流部が形成されている場合であっても、上流側ガイド部材の位置を記録媒体の後端が通過するときに、記録媒体の後端が下流側ガイド部材に強く突き当たって「後端はね音」が生じることのない、搬送装置、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の上流側搬送経路A1、A2が1つの下流側搬送経路Bに合流する合流部Xの位置又はその近傍において、下流側ガイド部材53の対向面に対して記録媒体Pに近づく方向に突出するように移動手段31によって移動される突出部材32が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録媒体を搬送する搬送装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機等の画像形成装置と、に関し、特に、搬送経路において合流部を有する搬送装置、及び、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、記録媒体が搬送される搬送経路において、記録媒体の搬送を案内するガイド部材(ガイド板)を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
このような画像形成装置では、記録媒体の後端がガイド部材等に強く突き当たって耳障りな衝撃音(このような衝突音を「後端はね音」という。)が発生する問題が知られている。
そして、このような問題を解決するために、特許文献1には、後端はね音が生じる位置に回動可能なガイド部材を設置して、記録媒体の後端がそのガイド部材に衝突する前にガイド部材を回動させる技術が開示されている。
【0004】
他方、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、記録媒体が搬送される搬送経路において、複数の上流側搬送経路を1つの下流側搬送経路に合流させる合流部を設けたものが知られている。
具体的に、特許文献2における画像形成装置では、カセットからの搬送経路(上流側搬送経路)と、手差し給紙部からの搬送経路(上流側搬送経路)と、を合流部で合流させて、その合流部から1つの搬送経路(下流側搬送経路)によって画像形成部に向けて記録媒体を案内するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像形成装置は、合流部の位置で、上流側搬送経路に設置された上流側ガイド部材と、下流側搬送経路に設置された下流側ガイド部材と、の間に形成される隙間が段差となって、その段差の位置を記録媒体の後端が通過するときに、記録媒体の後端が下流側ガイド部材に強く突き当たって「後端はね音」が生じていた。
特に、このような問題は、画像形成装置の小型化等を目的として、合流部に至る上流側搬送経路において、記録媒体を湾曲させながら搬送する搬送経路が設けられている場合には、その搬送経路によって湾曲した状態の記録媒体の後端が、上流側ガイド部材の位置を通過した直後に、下流側ガイド部材に非常に強く突き当たってしまうために、顕著なものとなっていた。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、記録媒体の搬送経路に合流部が形成されている場合であっても、上流側ガイド部材の位置を記録媒体の後端が通過するときに、記録媒体の後端が下流側ガイド部材に強く突き当たって「後端はね音」が生じることのない、搬送装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1記載の発明にかかる搬送装置は、記録媒体を搬送する搬送装置であって、記録媒体が搬送される複数の上流側搬送経路が1つの下流側搬送経路に合流する合流部と、前記複数の上流側搬送経路において記録媒体に対向して当該記録媒体の前記合流部に向けての搬送を案内する上流側ガイド部材と、前記下流側搬送経路において記録媒体に対向して当該記録媒体の前記合流部を通過した後の搬送を案内する下流側ガイド部材と、を備え、前記合流部の位置又は前記合流部に対して搬送方向下流側の位置において、前記下流側ガイド部材の対向面に対して記録媒体に近づく方向に突出するように移動手段によって移動される突出部材をさらに備えたものである。
【0008】
また、請求項2記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記移動手段は、記録媒体の後端が前記上流側ガイド部材の位置を通過する前に、前記突出部材を前記下流側ガイド部材の対向面を越えずに記録媒体から遠ざかる方向の位置から前記近づく方向の位置に移動させるものである。
【0009】
また、請求項3記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項2に記載の発明において、前記移動手段は、記録媒体の後端が前記突出部材の位置に達した直後に、前記突当部材を前記近づく方向の位置から前記遠ざかる方向の位置に向けて移動させるものである。
【0010】
また、請求項4記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記移動手段は、記録媒体の先端が前記突出部材の位置を通過するときに、前記突出部材が前記下流側ガイド部材の対向面を越えずに記録媒体から遠ざかる方向の位置にあるように制御するものである。
【0011】
また、請求項5記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記移動手段は、前記突出部材における前記近づく方向の位置を可変できるように構成されたものである。
【0012】
また、請求項6記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項5に記載の発明において、搬送される記録媒体の厚さ又は坪量を直接的又は間接的に検出する検出手段を備え、前記移動手段は、前記検出手段の検出結果に基いて、前記近づく方向の位置を可変するものである。
【0013】
また、請求項7記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項6に記載の発明において、前記検出手段によって記録媒体の厚さ又は坪量が大きいと検知された場合に、記録媒体の厚さ又は坪量が小さいと検知された場合に比べて、前記近づく方向の位置が記録媒体により近づく位置になるように可変するものである。
【0014】
また、請求項8記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項5に記載の発明において、記録媒体の搬送速度を可変できるように構成され、前記移動手段は、記録媒体の搬送速度に応じて、前記近づく方向の位置を可変するものである。
【0015】
また、請求項9記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項8に記載の発明において、記録媒体の搬送速度が速い場合に、記録媒体の搬送速度が遅い場合に比べて、前記近づく方向の位置が記録媒体により近づく位置になるように可変するものである。
【0016】
また、請求項10記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記移動手段は、搬送される記録媒体の厚さ又は坪量が所定値以上の場合にのみ、記録媒体の後端が前記上流側ガイド部材の位置を通過する前に、前記突出部材を前記下流側ガイド部材の対向面を越えずに記録媒体から遠ざかる方向の位置から前記近づく方向の位置に移動させるものである。
【0017】
また、請求項11記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1〜請求項10のいずれかに記載の発明において、搬送される記録媒体の搬送位置を検知する検知手段を備え、前記移動手段は、前記検知手段の検知結果に基いて、記録媒体の後端が前記上流側ガイド部材の位置を通過する前に、前記突出部材を前記下流側ガイド部材の対向面を越えずに記録媒体から遠ざかる方向の位置から前記近づく方向の位置に移動させるものである。
【0018】
また、請求項12記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1〜請求項11のいずれかに記載の発明において、前記突出部材は、カム形状の回転部材であって、前記移動手段は、前記突出部材を回転移動させることで前記下流側ガイド部材の対向面に対して記録媒体に近づく方向に前記突出部材を突出させるものである。
【0019】
また、請求項13記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1〜請求項12のいずれかに記載の発明において、前記複数の上流側搬送経路に設置された複数の前記上流側ガイド部材のうち、少なくとも1つの上流側ガイド部材を、記録媒体を湾曲させながら当該記録媒体の前記合流部への搬送を案内する湾曲搬送ガイド部材としたものである。
【0020】
また、この発明の請求項14記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項13のいずれかに記載の搬送装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、記録媒体の搬送経路に合流部が形成されている場合であっても、合流部の位置又はその近傍に下流側ガイド部材の対向面から突出するように移動する突出部材を設けているため、上流側ガイド部材の位置を記録媒体の後端が通過するときに、記録媒体の後端が下流側ガイド部材に強く突き当たって「後端はね音」が生じる不具合が軽減される、搬送装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】搬送装置を示す構成図である。
【図3】突出部材が記録媒体に近づく位置に移動した状態を示す図である。
【図4】突出部材が記録媒体から遠ざかる位置に移動した状態を示す図である。
【図5】(A)ガイド部材と突出部材とを上方からみた断面図と、(B)ガイド部材と突出部材とを示す正面図と、である。
【図6】従来の搬送装置を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2における搬送装置を示す構成図である。
【図8】図7の搬送装置において突出部材が記録媒体に近づく位置に移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0024】
実施の形態1.
図1〜図6にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部(画像形成部)、8は転写部7に向けて記録媒体Pを搬送するレジストローラ(レジストローラ対)、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12、13は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部(給紙カセット)、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、を示す。
【0025】
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0026】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、画像形成部としての転写部7で、レジストローラ8により搬送された記録媒体P上に転写される。
【0027】
一方、転写部7(画像形成部)に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12、13のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、上流側搬送経路A1の位置に向けて搬送される。
【0028】
その後、記録媒体Pは、2つの上流側搬送経路A1、A2が合流する合流部Xの位置を通過した後に、下流側搬送経路Bを通過して、レジストローラ8の位置に達する。そして、レジストローラ8の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。
【0029】
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによって画像が定着される。画像が定着された記録媒体Pは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(ニップ部である。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
なお、本実施の形態1における画像形成装置1は、記録媒体Pの搬送速度(プロセス線速)が、550mm/sに設定されている。
【0030】
次に、図2〜図5にて、本実施の形態1において特徴的な搬送装置30について詳述する。
図2を参照して、搬送装置30には、記録媒体Pが搬送される2つの上流側搬送経路A1、A2が1つの下流側搬送経路Bに合流する合流部Xが設けられている。
詳しくは、第1の給紙部12(図1を参照できる。)から給送された記録媒体Pは、第1の上流側搬送経路A1を通過して合流部Xに至り、合流部Xから下流側搬送経路Bを通過して、レジストローラ8の位置に搬送される。この第1の上流側搬送経路A1には、搬送される記録媒体Pに対向して記録媒体Pの合流部Xに向けての搬送を案内する上流側ガイド部材としての第1ガイド板51や、駆動モータ48によって図2の矢印方向に回転駆動される第1搬送ローラ14、15、が設けられている。なお、第1ガイド板51の位置には、フォトセンサ40(検知手段)が設けられている。
同様に、第2の給紙部13(図1を参照できる。)から給送された記録媒体Pは、第2の上流側搬送経路A2を通過して合流部Xに至り、合流部Xから下流側搬送経路Bを通過して、レジストローラ8の位置に搬送される。この第2の上流側搬送経路A2には、搬送される記録媒体Pに対向して記録媒体Pの合流部Xに向けての搬送を案内する上流側ガイド部材としての第2ガイド板52や、駆動モータ48によって図2の矢印方向に回転駆動される第2搬送ローラ16、17、が設けられている。なお、図示は省略するが、第2ガイド板52の位置にも、フォトセンサ(検知手段)が設けられている。
【0031】
合流部Xは、2つの上流側搬送経路A1、A2が交会する部分であって、上流側搬送経路A1、A2から搬送された記録媒体Pを下流側搬送経路Bに導くための部分である。下流側搬送経路Bには、記録媒体Pに対向して記録媒体Pの合流部Xを通過した後の搬送を案内する下流側ガイド部材としての第3ガイド板53が設置されている。
詳しくは、第1搬送ローラ14、15(又は、第2搬送ローラ16、17)によって挟持・搬送された記録媒体Pは、第1ガイド板51(又は、第2ガイド板52)に案内されながら、合流部Xの位置に達する。その後、記録媒体Pは、合流部Xの位置を通過して第3ガイド板53に案内されながら、第3搬送ローラ18、19によって挟持・搬送されることになる。
【0032】
なお、本実施の形態1において、2つの上流側搬送経路A1、A2に設置された上流側ガイド部材51、52のうち一方の上流側ガイド部材(第1ガイド板51である。)は、記録媒体Pを湾曲させながら記録媒体Pの合流部Xへの搬送を案内する湾曲搬送ガイド部材(湾曲ガイド板)である。
このように湾曲搬送ガイド部材51を設けることにより、給紙部12から合流部Xへの記録媒体Pの搬送経路を比較的短く形成することができるので、画像形成装置1の小型化が達成される。
【0033】
ここで、合流部Xの位置(又は、合流部Xに対して搬送方向下流側の位置)には、第3ガイド板53(下流側ガイド部材)の対向面に対して記録媒体Pに近づく方向に突出するように移動機構31(移動手段)によって移動される突出部材32が設けられている。
この突出部材32は、記録媒体Pの後端が第1ガイド板51(又は、第2ガイド板52)を通過する前(直前のタイミングである。)に、移動機構31によって、第3ガイド板53(下流側ガイド部材)の対向面を越えずに記録媒体Pから遠ざかる方向の位置から第3ガイド板53の対向面を越えて記録媒体Pに近づく位置(近づく方向の位置)に移動して、その記録媒体Pの姿勢を規制するためのものである。
なお、突出部材32は、樹脂材料等で形成することができる。また、突出部材32の対向面(搬送される記録媒体Pに対向する搬送面である。)には、記録媒体Pとの摺動抵抗を低減するために、低摩擦材料等をコーティングすることができる。
【0034】
突出部材32は、移動手段としての移動機構31の先端部に設置されていて、移動機構31(移動手段)によって第3ガイド板53の対向面を越えずに記録媒体Pから遠ざかる位置(図2の位置である。)と、第3ガイド板53の対向面を越えて記録媒体Pに近づく位置(図3の位置である。)と、の間で移動できるように構成されている。
詳しくは、移動機構31(移動手段)は、突出部材32を保持する保持板33、保持板33に固設されたラックギア34、ラックギアに噛合するピニオンギア35、ピニオンギア35を回転駆動するステッピングモータ46、等で構成されていて、搬送装置30の側板に図2の両矢印方向に移動可能に保持されている。そして、制御部45によって制御されたステッピングモータ46によってピニオンギア35が回転駆動されることにより、ラックギア34が図2及び図3の斜め方向に移動して、突出部材32の突出量T(第3ガイド板53の搬送面から記録媒体Pに近づく方向に突出する長さであって、図3の符号Tで示す長さである。)が可変される。なお、本実施の形態1では、突出部材32の突出量Tが2mm程度になるように設定されている。また、突出部材32は、記録媒体P(その位置を通過する記録媒体Pである。)に対向する面が、記録媒体Pの搬送方向に沿って、なだらかな凸面となるように形成されている。
【0035】
そして、このように構成された搬送装置30において、記録媒体Pの後端が第1ガイド板51(又は、第2ガイド板52)の搬送方向下流側の端部(後端)を抜ける前(直前のタイミングである。)に、突出部材32を図2の位置(記録媒体Pから遠ざかる位置である。)から図3の位置(記録媒体Pに近づく位置である。)に移動させるように、移動機構31が制御される。
具体的に、検知手段としてのフォトセンサ40によって、記録媒体Pの搬送位置(後端又は先端である。)が検知されると、その情報が制御部45に送られて、フォトセンサ40から後端位置までの距離や記録媒体Pの搬送方向の長さ等から、記録媒体Pの後端が第1ガイド板51(又は、第2ガイド板52)の後端位置を通過する時間が算出される。そして、その算出された時間(記録媒体Pの後端がガイド板の後端位置を通過する時間であって、予め算出されてデータ化されている。)よりも所定時間だけ早く、ステッピングモータ46の稼働が開始されて、突出部材32が図3の位置に移動される。
【0036】
以下、このように構成された搬送装置30における、突出部材32(移動機構31)の動作について詳述する。
まず、図2を参照して、記録媒体Pの先端が突出部材32の位置を通過するときには、移動機構31によって、突出部材32は突出量Tが第3ガイド板53の対向面(搬送面)を越えない位置(記録媒体Pから遠ざかる方向の位置である。)に退避している(突出量Tがほぼ0mmになっている)。これにより、記録媒体Pの先端が突出部材32に接触してジャム(紙詰まり)が生じる不具合が抑止される。また、記録媒体Pの先端が突出部材32に接触してしまったとしても、その接触位置は曲面であるために、その形状に沿って記録媒体Pの先端が案内されるため、記録媒体Pの先端が突出部材32に引っ掛かってしまうことはない。
その後、フォトセンサ40によって、記録媒体Pの後端(又は、先端)が光学的に検知されると、その検知情報が制御部45に送られる。そして、記録媒体Pの後端が第1ガイド板51(又は、第2ガイド板52)の後端位置を通過する直前に、制御部45によってステッピングモータ46が制御されて、ピニオンギア35の回転駆動によってラックギア34とともに突出部材32が図3の位置(突出部材32が、第3ガイド板53の搬送面から突出量Tだけ突出する位置である。)にスライド移動される。
【0037】
これにより、記録媒体Pの後端が第1ガイド板51(又は、第2ガイド板52)の後端位置を通過するときには、図3に示すように、記録媒体Pの湾曲形状が比較的なだらかなものになって、記録媒体Pの後端がガイド板後端位置を通過するときに第3ガイド板53の側に向けて移動するエネルギーが減少されるため、ガイド板後端位置を記録媒体Pの後端が通過するときに記録媒体Pの後端が第3ガイド板53に強く突き当たって「後端はね音」が生じる不具合が軽減される。
具体的に、本願発明者が実験をおこなったところ、図6に示す従来の搬送装置300(合流部Xの近傍に突出部材32が設置されていないものである。)において、記録媒体P(連量309Kのものである。)の後端が第1ガイド板151の後端位置を通過するときに生じる「後端はね音」の音圧レベル(図6に示す位置に設置されたマイク140で測定されたものである。)は約102dB(デシベル)であった。図6に示すように、従来の搬送装置300では、記録媒体Pの後端が第1ガイド板151を通過するときに記録媒体Pが大きく湾曲してしまい、第3ガイド板153の側に向けて移動するエネルギーも大きくなるため、合流部X(第1ガイド板151と第3ガイド板153とによる段差ができている。)の位置を記録媒体Pの後端が通過するときに記録媒体Pの後端が第3ガイド板153に強く突き当たって大きな「後端はね音」が生じてしまう。
これに対して、本実施の形態1における搬送装置30において、同じ位置に設置されたマイク140によって測定された「後端はね音」の音圧レベルは約95dB(デシベル)であって、上述した従来のものよりも、約7dB(デシベル)の消音効果があることが確認された。
【0038】
ここで、本実施の形態1では、図4を参照して、記録媒体Pの後端が突出部材32の位置に達した直後(突出部材32に接触した直後である。)に、移動機構31によって、突当部材32が記録媒体Pに近づく位置(図3の位置である。)から記録媒体Pから遠ざかる位置(図2の位置である。)に向けて移動される。
これにより、記録媒体Pの後端が突出部材32の位置を通過する(抜ける)ときに、突出量Tにて突出した突出部材32と第3ガイド板53との間に形成された段差によって、記録媒体Pの後端が第3ガイド板53に強く突き当たって「後端はね音」が生じる不具合が軽減される。
【0039】
ここで、図5に示すように、本実施の形態1では、1つの突出部材が幅方向(図5の左右方向であって、図2及び図3の紙面垂直方向である。)にわたって形成されているのではなく、複数の突出部材32(本実施の形態1では5つの突出部材32である。)が幅方向に分割して形成されている。詳しくは、移動機構31の保持板33上に、複数の突出部材32が互いに間隔を空けて幅方向に並設されている。
また、第3ガイド板53(下流側ガイド部材)は、このような複数の突出部材32に対応する位置に、複数の突出部材32の移動(図5(A)の上下方向の移動である。)を可能にするための複数の開口が形成されている。
このように、複数の突出部材32を幅方向に分割して形成することで、第3ガイド板53の開口も幅方向に分割して形成されることになるので、記録媒体Pの先端が第3ガイド部材53の開口の位置を通過するときに、記録媒体Pの先端(先端における幅方向両端部の角部である。)が第3ガイド部材53の開口に引っ掛かってジャム(紙詰まり)が生じる不具合や搬送性が低下する不具合が抑止される。すなわち、1つの突出部材32を幅方向にわたって形成する場合には、第3ガイド板53の開口も幅方向にわたって1つ形成されることになるので、記録媒体Pの先端が第3ガイド部材53の開口の位置を通過するときに、記録媒体Pの先端(先端における幅方向両端部の角部である。)が第3ガイド部材53の開口に引っ掛かってジャム(紙詰まり)が生じたり搬送性が低下したりする可能性が高くなってしまう。
なお、このような効果を確実なものにするため、第3ガイド板53に形成する複数の開口(複数の突出部材32)は、装置本体1で搬送可能な種々のサイズの記録媒体Pにおける幅方向両端部の角部の位置に対して、いずれのものとも重ならないようにレイアウトされることが好ましい。
【0040】
また、本実施の形態1における搬送装置30において、移動機構31(移動手段)は、突出部材32における突出量T(搬送される記録媒体Pに近づく位置)を可変できるように構成されている。
詳しくは、図2を参照して、装置本体1の搬送経路中には、搬送(通紙)される記録媒体Pの厚さを検出する検出手段としての紙厚センサ47が設置されている。この紙厚センサ47は、給紙部12、13を含めた給紙部12、13から突出部材32の位置に至る記録媒体Pの搬送経路中に設置されていて、記録媒体Pの紙厚を光学的に直接的に検出するものである。
そして、移動機構31(移動手段)は、紙厚センサ47(検出手段)の検出結果に基いて、突出部材32における突出量T(搬送される記録媒体Pに近づく位置)を可変できるように構成されている。具体的に、紙厚センサ47によって記録媒体Pの厚さが大きいと検知された場合には、記録媒体Pの厚さが小さいと検知された場合に比べて、突出部材32における突出量Tが大きくなるように(搬送される記録媒体Pに近づく位置が、記録媒体Pにより近づく位置になるように)可変制御される。
【0041】
なお、本実施の形態1では、上述した可変制御をおこなう際に、紙厚センサ47によって直接的に検出される記録媒体Pの紙厚(厚さ)に基いておこなったが、検出手段によって直接的に検出される記録媒体Pの坪量に基いて上述した可変制御をおこなうこともできるし、検出手段によって間接的に検出される記録媒体Pの厚さ又は坪量に基いて上述した可変制御をおこなうこともできる。これは、記録媒体Pの厚さと坪量とには相関関係があるためである。また、記録媒体Pの厚さ又は坪量を間接的に検出する検出手段としては、ユーザーが装置本体1の操作パネル(不図示である。)に入力した記録媒体Pについての情報等に基いて間接的に検知するものを用いることもできる。そして、このような可変制御をおこなうことにより、厚さや坪量が異なる種々の記録媒体Pに対して、「後端はね音」の発生を確実かつ効率的に低減することができる。
補足的に説明すると、記録媒体Pの坪量(又は厚さ)が大きくなるほど、「後端はね音」の程度が全体的に悪化することが実験的にも確認されている。これは、記録媒体Pの坪量(又は厚さ)が大きくなるほど、記録媒体Pの剛性が高くなって、記録媒体Pの後端が合流部Xに達したときに第3ガイド板53の側に向けて移動するエネルギーが大きくなるためである。そして、突出部材32の突出量Tを大きく設定することにより「後端はね音」の程度を小さくすることができて、記録媒体Pの坪量(又は厚さ)が大きくなるほど突出量Tを大きくしたときの消音効果が大きくなる。これは、記録媒体Pの坪量(又は厚さ)が変化すると、記録媒体Pの剛性も変化するため、記録媒体Pの湾曲形状をなだらかにするための適正な突出量Tが変化するためと考えられる。
【0042】
また、本実施の形態1において、紙厚センサ47(検出手段)によって検出された記録媒体Pの厚さ(坪量)の大きさに応じた突出量Tの可変制御をおこなう場合に、移動機構31(移動手段)は、搬送される記録媒体Pの厚さ(坪量)が所定値以上のときにのみ、記録媒体Pの後端が段差の位置を通過する直前に突出部材32を図3の位置に移動させる制御をおこなうことができる。
具体的に、紙厚センサ47(検出手段)によって検出された記録媒体Pの厚さが坪量208g/m2以上に相当するものである場合にのみ、記録媒体Pの後端が上流側ガイド部材51、52の後端位置を通過する直前に突出部材32を図3の位置に移動させる。これに対して、紙厚センサ47(検出手段)によって検出された記録媒体Pの厚さが坪量208g/m2未満に相当するものである場合(薄紙が通紙される場合である。)には、記録媒体Pの後端が上流側ガイド部材51、52の後端位置を通過する直前であっても突出部材32を図2の位置に退避させたままにする(突出部材32の移動はおこなわない)。
これは、厚さ(坪量)の小さな記録媒体Pが通紙される場合には、記録媒体Pの剛性も低くて、記録媒体Pの後端がガイド板後端を通過した直後に第3ガイド板53の側に向けて移動するエネルギーが小さいため、発生する「後端はね音」が小さいためである。そのため、このような場合には、突出部材32の移動制御をおこなわない方が、装置本体1の省エネルギー化や移動機構31の機械的な長寿命化を達成できることになる。
【0043】
なお、本実施の形態1では、紙厚センサ47(検出手段)によって検出される記録媒体Pの紙厚や坪量に基いて突出部材32の突出量Tの可変制御をおこなったが、記録媒体Pの搬送速度(プロセス線速)が可変される画像形成装置においては、記録媒体Pの搬送速度(プロセス線速)に応じて、突出部材32における突出量T(搬送される記録媒体Pに近づく位置)を可変できるように構成することもできる。具体的に、記録媒体Pの搬送速度が速い場合には、記録媒体Pの搬送速度が遅い場合に比べて、突出部材32における突出量Tが大きくなるように(搬送される記録媒体Pに近づく位置が、記録媒体Pにより近づく位置になるように)可変制御することができる。
これは、記録媒体Pの搬送速度が速くなるほど、記録媒体Pの後端がガイド板後端を通過した直後に第3ガイド板53の側に向けて移動するエネルギーが大きくなって、「後端はね音」の程度が大きくなるためである。
所定の画像形成装置において、記録媒体Pの搬送速度(プロセス線速)が可変される場合としては、通常の搬送速度で記録媒体Pが通紙される「通常モード」に加えて、定着装置20においておこなわれる定着工程において定着画像の定着性を確保するために通常の搬送速度よりも遅い搬送速度で記録媒体Pが通紙される「低速モード」が選択可能な場合等がある。そして、記録媒体Pの搬送速度の検出は、ユーザーが装置本体1の操作パネル(不図示である。)に入力した「通常モード」や「低速モード」についての情報に基いて間接的におこなってもよいし、図2に示す駆動モータ48(搬送ローラ14〜19を回転駆動する速度可変型の駆動モータである。)の入力電流の変化等から直接的におこなってもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態1においては、記録媒体Pの搬送経路に合流部Xが形成されている場合であっても、合流部Xの位置又はその近傍に第3ガイド板53(下流側ガイド部材)の対向面から突出するように移動する突出部材32を設けているため、第1ガイド板51又は第2ガイド板52(上流側ガイド部材)の位置を記録媒体Pの後端が通過するときに、記録媒体Pの後端が第3ガイド板53に強く突き当たって「後端はね音」が生じる不具合を軽減することができる。
【0045】
実施の形態2.
図7及び図8にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図7は、実施の形態2における搬送装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。また、図8は、突出部材37が記録媒体Pに近づく位置に回転移動した状態を示す図であって、前記実施の形態1における図4に相当する図である。
本実施の形態2における搬送装置30は、突出部材としてカム部材37を用いている点が、前記実施の形態1のものと相違する。
【0046】
図7を参照して、本実施の形態2における搬送装置30にも、前記実施の形態1のものと同様に、記録媒体Pが搬送される2つの上流側搬送経路A1、A2が1つの下流側搬送経路Bに合流する合流部Xが設けられている。また、本実施の形態2における搬送装置30にも、前記実施の形態1のものと同様に、上流側ガイド部材としての第1ガイド板51(湾曲搬送ガイド部材)、第2ガイド部材52、下流側ガイド部材としての第3ガイド板53、フォトセンサ40(検知手段)、搬送ローラ14〜19、等が設置されている。
【0047】
ここで、本実施の形態2では、図7及び図8に示すように、合流部Xの位置(又は、合流部Xに対して搬送方向下流側の位置)に、第3ガイド板53(下流側ガイド部材)の対向面に対して記録媒体Pに近づく方向に突出するようにステッピングモータ46(移動手段)によって回転移動される突出部材としてのカム部材37が設けられている。詳しくは、突出部材としてのカム部材37は、カム形状の回転部材であって、移動手段としてのステッピングモータ46によって回転可能に設置されている。
【0048】
そして、本実施の形態2においても、このカム部材37は、記録媒体Pの後端が第1ガイド板51(又は、第2ガイド板52)を通過する前(直前のタイミングである。)に、ステッピングモータ46によって、第3ガイド板53(下流側ガイド部材)の対向面を越えずに記録媒体Pから遠ざかる方向の位置から第3ガイド板53の対向面を越えて記録媒体Pに近づく位置(近づく方向の位置)に移動するように制御されて、その記録媒体Pの姿勢を規制する。
【0049】
詳しくは、まず、図7を参照して、記録媒体Pの先端がカム部材37の位置を通過するときには、ステッピングモータ46によって、カム部材37の突出部37aが第3ガイド板53の対向面(搬送面)を越えないようにカム部材37の回転方向の姿勢が維持されている(突出量Tがほぼ0mmになっている)。これにより、記録媒体Pの先端が突出部材32に接触してジャム(紙詰まり)が生じる不具合が抑止される。
【0050】
その後、フォトセンサ40によって、記録媒体Pの後端(又は、先端)が光学的に検知されると、その検知情報が制御部45に送られる。そして、記録媒体Pの後端が第1ガイド板51(又は、第2ガイド板52)の後端位置を通過する直前に、制御部45によってステッピングモータ46が制御されて、カム部材37の突出部37aが図8の位置(突出部37aが、第3ガイド板53の搬送面から突出量Tだけ突出する位置である。)に突出するようにカム部材37が回転駆動されて、その位置でカム部材37の回転方向の姿勢が維持される。
これにより、記録媒体Pの後端が第1ガイド板51(又は、第2ガイド板52)の後端位置を通過するときには、図8に示すように、記録媒体Pの湾曲形状が比較的なだらかなものになって、記録媒体Pの後端がガイド板後端位置を通過するときに第3ガイド板53の側に向けて移動するエネルギーが減少されるため、ガイド板後端位置を記録媒体Pの後端が通過するときに記録媒体Pの後端が第3ガイド板53に強く突き当たって「後端はね音」が生じる不具合が軽減される。
【0051】
さらに、記録媒体Pの後端がカム部材37の位置に達した直後(カム部材37に接触した直後である。)に、ステッピングモータ46による回転駆動によって、カム部材37の突出部37aが記録媒体Pから遠ざかる位置(図7の位置である。)に向けて移動される。
これにより、記録媒体Pの後端がカム部材37の位置を通過する(抜ける)ときに、突出量Tにて突出したカム部材37と第3ガイド板53との間に形成された段差によって、記録媒体Pの後端が第3ガイド板53に強く突き当たって「後端はね音」が生じる不具合が軽減される。
【0052】
なお、本実施の形態2においても、前記実施の形態1と同様に、記録媒体Pの坪量(又は厚さ)や、記録媒体Pの搬送速度、に応じてカム部材37の突出量Tを可変する制御をおこなうことができる。
さらに、本実施の形態2においても、前記実施の形態1と同様に、複数のカム部材37を幅方向に分割して形成することができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態2においては、記録媒体Pの搬送経路に合流部Xが形成されている場合であっても、合流部Xの位置又はその近傍に第3ガイド板53(下流側ガイド部材)の対向面から突出するように移動するカム部材37(突出部材)を設けているため、第1ガイド板51又は第2ガイド板52(上流側ガイド部材)の位置を記録媒体Pの後端が通過するときに、記録媒体Pの後端が第3ガイド板53に強く突き当たって「後端はね音」が生じる不具合を軽減することができる。
【0054】
なお、前記各実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置される搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、前記各実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置である。)に設置される搬送装置であって、合流部を有する搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、前記各実施の形態では、レジストローラ8に対して搬送方向上流側の位置に配設された搬送装置30に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の位置に設置された搬送装置であっても、合流部有する搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、前記各実施の形態では、第1ガイド板51(第1ガイド部材)が湾曲搬送ガイド部材として形成された搬送装置30に対して本発明を適用したが、湾曲搬送ガイド部材(湾曲搬送経路)が形成されていない上流側搬送経路であっても、記録媒体の後端がガイド部材の後端位置を通過するときに記録部材の後端が下流側ガイド部材に衝突してしまう搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、前記各実施の形態では、2つの上流側搬送経路A1、A2が合流部Xで合流する搬送装置30に対して本発明を適用したが、3つ以上の上流側搬送経路が合流部Xで合流する搬送装置30に対しても当然に本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、前記各実施の形態では、上流側ガイド部材51、52に配設されたフォトセンサ40によって、記録媒体Pの搬送位置を光学的に検知したタイミングをトリガーとして、予め求められた記録媒体Pの後端が上流側ガイド部材51、52の後端位置を通過する直前のタイミングによって突出部材32を記録媒体Pに近づく位置に移動させている。
これに対して、記録媒体Pを検知するフォトセンサを突出部材32よりも上流側(記録媒体Pの搬送方向上流側である。)に配設して、記録媒体Pの先端を光学的に検知してから所定時間(フォトセンサの位置からガイド後端位置に至る搬送距離と、記録媒体Pの搬送速度と、から算出される時間+αである。)が経過した後に、突出部材32を記録媒体Pに近づく位置に移動させることもできる。
さらには、記録媒体Pを検知するフォトセンサを給紙部12、13の位置に配設して、給紙部12、13における給紙動作が開始されてから所定時間(給紙部12、13の位置からガイド後端位置に至る搬送距離と、記録媒体Pの搬送速度と、から算出される時間+αである。)が経過した後に、突出部材32を記録媒体Pに近づく位置に移動させることもできる。
そして、これらの場合にも、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
14、15 第1搬送ローラ、
16、17 第2搬送ローラ、
18、19 第3搬送ローラ、
30 搬送装置、
31 移動機構(移動手段)、
32 突出部材、
33 保持板、 34 ラックギア、 35 ピニオンギア、
37 カム部材(突出部材、回転部材)、
37a 突出部、
40 フォトセンサ(検知手段)、
47 紙厚センサ(検出手段)、
51 第1ガイド板(上流側ガイド部材、湾曲搬送ガイド部材)、
52 第2ガイド板(上流側ガイド部材)、
53 第3ガイド板(下流側ガイド部材)、
A1、A2 上流側搬送経路、 B 下流側搬送経路、 X 合流部、
P 記録媒体。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2007−276951号公報
【特許文献2】特開2002−68512号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送装置であって、
記録媒体が搬送される複数の上流側搬送経路が1つの下流側搬送経路に合流する合流部と、
前記複数の上流側搬送経路において記録媒体に対向して当該記録媒体の前記合流部に向けての搬送を案内する上流側ガイド部材と、
前記下流側搬送経路において記録媒体に対向して当該記録媒体の前記合流部を通過した後の搬送を案内する下流側ガイド部材と、
を備え、
前記合流部の位置又は前記合流部に対して搬送方向下流側の位置において、前記下流側ガイド部材の対向面に対して記録媒体に近づく方向に突出するように移動手段によって移動される突出部材をさらに備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記移動手段は、記録媒体の後端が前記上流側ガイド部材の位置を通過する前に、前記突出部材を前記下流側ガイド部材の対向面を越えずに記録媒体から遠ざかる方向の位置から前記近づく方向の位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記移動手段は、記録媒体の後端が前記突出部材の位置に達した直後に、前記突当部材を前記近づく方向の位置から前記遠ざかる方向の位置に向けて移動させることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記移動手段は、記録媒体の先端が前記突出部材の位置を通過するときに、前記突出部材が前記下流側ガイド部材の対向面を越えずに記録媒体から遠ざかる方向の位置にあるように制御することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記突出部材における前記近づく方向の位置を可変できるように構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
搬送される記録媒体の厚さ又は坪量を直接的又は間接的に検出する検出手段を備え、
前記移動手段は、前記検出手段の検出結果に基いて、前記近づく方向の位置を可変することを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記検出手段によって記録媒体の厚さ又は坪量が大きいと検知された場合に、記録媒体の厚さ又は坪量が小さいと検知された場合に比べて、前記近づく方向の位置が記録媒体により近づく位置になるように可変することを特徴とする請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
記録媒体の搬送速度を可変できるように構成され、
前記移動手段は、記録媒体の搬送速度に応じて、前記近づく方向の位置を可変することを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
【請求項9】
記録媒体の搬送速度が速い場合に、記録媒体の搬送速度が遅い場合に比べて、前記近づく方向の位置が記録媒体により近づく位置になるように可変することを特徴とする請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記移動手段は、搬送される記録媒体の厚さ又は坪量が所定値以上の場合にのみ、記録媒体の後端が前記上流側ガイド部材の位置を通過する前に、前記突出部材を前記下流側ガイド部材の対向面を越えずに記録媒体から遠ざかる方向の位置から前記近づく方向の位置に移動させることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項11】
搬送される記録媒体の搬送位置を検知する検知手段を備え、
前記移動手段は、前記検知手段の検知結果に基いて、記録媒体の後端が前記上流側ガイド部材の位置を通過する前に、前記突出部材を前記下流側ガイド部材の対向面を越えずに記録媒体から遠ざかる方向の位置から前記近づく方向の位置に移動させることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項12】
前記突出部材は、カム形状の回転部材であって、
前記移動手段は、前記突出部材を回転移動させることで前記下流側ガイド部材の対向面に対して記録媒体に近づく方向に前記突出部材を突出させることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項13】
前記複数の上流側搬送経路に設置された複数の前記上流側ガイド部材のうち、少なくとも1つの上流側ガイド部材は、記録媒体を湾曲させながら当該記録媒体の前記合流部への搬送を案内する湾曲搬送ガイド部材であることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のいずれかに記載の搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−158399(P2012−158399A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17412(P2011−17412)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】