説明

搬送装置および記録装置

【課題】被記録媒体の仕様に関わらず、搬送機構から排出される被記録媒体の載置手段における落下位置のばらつきを抑えることにより、受容手段でのスタック性を高めることのできる搬送装置および記録装置を提供する。
【解決手段】本発明の搬送装置は、仕様の異なる複数の被記録媒体を搬送して搬送方向下流側へ排出する搬送手段と、搬送手段から排出された被記録媒体を受け止める載置手段と、搬送手段による被記録媒体の排出速度を制御する制御手段と、を備え、制御手段が、被記録媒体の仕様に対応させて排出速度を変化させるよう搬送手段を制御して、載置手段で受け止められる複数の被記録媒体の第1搬送方向に沿う前後いずれか一方の端部の位置を揃える機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から液体を用紙に対して付着させて記録を施す記録装置として、インクジェット式プリンターが広く知られている。このプリンターは、液体噴射ヘッドに供給されるインク(液体)を液体噴射ヘッドのノズルから噴射することにより用紙(被記録媒体)に印刷(画像形成)を施すようになっている。
【0003】
特許文献1には、プリンター本体部と、プリンター本体部の下流側に配置された搬送ユニットと、搬送ユニットの搬送方向の下流側に配置された集積ユニット(受容手段)とを備えるインクジェットプリンターが開示されている。このプリンターにおいては、ロールペーパーを引き出して印刷を行った後、所定のサイズに切断して搬送ユニットへと送り出し、搬送ユニットではプリンター本体部から排出されたプリントペーパーを、プリンター本体部におけるペーパーの搬送方向と交差する方向へ搬送して集積ユニットへ送り出すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−83123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロールペーパーから切り出されるプリントペーパーのサイズ(仕様)が異なっていると、プリンター本体部から搬送ユニットの搬送ベルト上に排出されるプリントペーパーの落下位置がばらついてしまい、集積ユニットのスタック性を低下させてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、被記録媒体の仕様に関わらず、搬送機構から排出される被記録媒体の載置手段における落下位置のばらつきを抑えることにより、受容手段でのスタック性を高めることのできる搬送装置および記録装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送装置は、仕様の異なる複数の被記録媒体を搬送して搬送方向下流側へ排出する搬送手段と、前記搬送手段から排出された前記被記録媒体を受け止める載置手段と、前記搬送手段による前記被記録媒体の排出速度を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段が、前記被記録媒体の仕様に対応させて前記排出速度を変化させるよう前記搬送手段を制御して、前記載置手段で受け止められる複数の前記被記録媒体の前記第1搬送方向に沿う前後いずれか一方の端部の位置を揃える機能を有する。
【0008】
これによれば、載置手段で受け止められる複数の被記録媒体の第1搬送方向に沿う前後いずれか一方の端部の位置を揃えることにより、載置手段での被記録媒体の受け止め位置のばらつきを抑えることができる。
【0009】
また、前記制御手段が、前記被記録媒体の前記第1搬送方向に沿う長さが短いほど前記排出速度を速くする構成としてもよい。
【0010】
これによれば、被記録媒体の第1搬送方向に沿う長さが短いほど、搬送手段からの被記録媒体の排出速度を速くすることにより、被記録媒体の仕様に関わらず、載置手段での複数の被記録媒体の受け止め位置のばらつきを抑えることができる。
【0011】
また、前記載置手段は、前記搬送手段による前記被記録媒体の前記第1搬送方向と直交する第2搬送方向に前記被記録媒体を搬送するように構成され、前記第2搬送方向の下流側には前記被記録媒体を受容して、前記第2搬送方向と直交する第3搬送方向に搬送する受容手段が設けられている構成としてもよい。
【0012】
これによれば、仕様の異なる複数の被記録媒体が載置手段で順次受け止められる際、第1搬送方向に沿う前後いずれか一方の端部の位置が被記録媒体ごとに揃うので、受容手段での被記録媒体のスタック性の低下を防止することができる。
【0013】
また、前記受容手段は、前記載置手段で受け止められる際に互いに揃えられた複数の前記被記録媒体の前記いずれか一方の端部が下側になるように起き上がらせて搬送する構成としてもよい。
【0014】
これによれば、受容手段での被記録媒体のスタック性の低下を抑えることができ、後のユーザー操作に影響を与えることが防止される。
【0015】
本発明の記録装置は、上記の搬送装置と、前記搬送装置の搬送手段によって搬送される被記録媒体に対して液体を付着させて記録を行う記録手段と、を備える。
【0016】
これによれば、搬送機構から排出される被記録媒体の載置手段における落下位置を一部揃えてそれらの落下位置のばらつきを抑えることにより、受容手段でのスタック性を高めることのできる記録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】仕分装置を備えたプリンターユニットの構成を示す斜視図。
【図2】仕分装置を備えたプリンターユニットの構成を示す上面図。
【図3】図2における2−2線矢視断面図。
【図4】図2における3−3線矢視断面図。
【図5】図2における4−4線矢視断面図。
【図6】案内部の構成を示す斜視図。
【図7】プリンターユニットの排出機構側の要部拡大図。
【図8】搬送ベルト上におけるカット用紙の落下位置を示す図。
【図9】搬送ベルト上におけるカット用紙の落下位置を示す図。
【図10】搬送ベルト上におけるカット用紙の落下位置を示す図。
【図11】搬送ベルト上におけるカット用紙の落下位置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、仕分装置を備えたプリンターユニットの構成を示す斜視図、図2は、仕分装置を備えたプリンターユニットの構成を示す上面図、図3は、図2における2−2線矢視断面図、図4は、図2における3−3線矢視断面図、図5は、図2における4−4線矢視断面図、図6は、案内部の構成を示す斜視図、図7は、プリンターユニットの排出機構側の要部拡大図である。
【0019】
以下、本発明の記録装置の一種であるインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」と略す場合もある)に具体化した実施形態を説明する。
また、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」を言う場合は、各図中に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0020】
図1および図2に示すように、プリンターユニット(記録装置)11は、プリンター100と、搬送装置(載置手段)110と、仕分装置(受容手段)120とを構成要素として備えている。プリンター100は、長尺状の用紙であるシート(被記録媒体)ST(図3参照)に対して記録(印刷)を施すとともに、シートSTの記録が施された部分を切断することで搬送物の一例としてのカット用紙(被記録媒体)CSとして排紙する。
【0021】
搬送装置110は、プリンター100から排紙された記録済みのカット用紙CSを仕分装置120に向けて搬送するとともに、仕分装置120がカット用紙CSを受容する受け渡し領域DAに向けてカット用紙CSを排出する。また、仕分装置120は、積載部材の一例としての複数のトレイ130を備えている。各トレイ130は、半透明の合成樹脂からなる。そして、仕分装置120は、各トレイ130が受け渡し領域DAに順次移動していくことで、カット用紙(印刷物:被記録媒体)CSを仕分けするようになっている。
【0022】
次に、プリンター100の構成について詳述する。
図3に示すように、プリンター100は、後壁の上部に排紙部12aを有する略直方体状の本体ケース12と、本体ケース12内の前側下部においてシートSTをロール状に巻き重ねたロール体RSの様態で保持する保持部13とを備えている。また、プリンター100は、本体ケース12内に、保持部13から排紙部12aに向かって延びる搬送経路に沿ってシートSTを搬送する搬送機構(搬送手段)14を備えている。また、本体ケース12内には、ロール体RSから巻き解かれたシートSTに対して記録を施す記録部15と、カッター16とが設けられている。また、本体ケース12内において排紙部12aと隣接する位置には、排紙機構(搬送手段)17が設けられている。
【0023】
搬送機構14によって搬送されるシートSTは、記録部15において表面に記録処理が施される。その後、シートSTは、表面に印刷が施された部分がカッター16で切断される。そして、切断されたシートSTの先端側の部分はカット用紙CS(単票)となる。
【0024】
保持部13は、ロール体RSを回転可能に支持する回転軸18と、回転軸18を回転させるための回転モーター(図示略)とを備えている。そして、回転モーターの駆動に伴って回転軸18が図3における反時計回り方向に回転すると、ロール体RSからシートSTが巻き解かれるようになっている。
【0025】
搬送機構14は、シートSTを搬送方向(第1搬送方向)X1の上流側から下流側に搬送する複数の搬送ローラー20〜24と、各搬送ローラー20,21,22,24との間にシートSTを挟持する従動ローラー30,31,32,34とを備えている。各搬送ローラー20〜24と、各従動ローラー30〜34とは、搬送経路を介して互いに対向する位置に配置されている。
【0026】
尚、以下の説明において、互いに対をなす搬送ローラー22と従動ローラー32を搬送ローラー対R2と言うことがある。また、搬送機構14は、搬送ローラー20〜24を回転させるための搬送モーター(制御手段)68と、搬送ローラー対R2と対応する位置に配置された搬送経路形成部材38とを備えている。
【0027】
記録部15は、搬送経路の上側に配置されたガイド軸42と、ガイド軸42に支持されたキャリッジ43と、キャリッジ43に支持された記録ヘッド(記録手段)44とを備えている。また、記録部15は、搬送経路を介して記録ヘッド44と対向する位置に配置された支持部材45を備えている。ガイド軸42は、搬送方向X1と交差(本実施形態では直交)するシートSTの幅方向Y1(本実施形態では左右方向)に沿って延びるように本体ケース12に架設されている。また、キャリッジ43は、ガイド軸42に案内されつつ幅方向Y1に沿って往復移動するようになっている。
【0028】
支持部材45の上面には複数の吸引孔(図示略)が開口している。また、支持部材45には吸引孔を通じてシートSTを吸着するための吸着機構46が内蔵されている。また、記録ヘッド44には、液体としてのインクを噴射する複数のノズル47が設けられている。そして、支持部材45に支持されたシートSTの表面(図2では上面となる記録面)に記録ヘッド44のノズル47からインクが噴射されることで、シートSTに記録が施されるようになっている。
【0029】
なお、プリンター100では、1つの印刷ジョブに含まれる印刷データを複数に分割し、分割された各印刷データに基づく印刷処理をキャリッジ43の走査毎に行うとともに、各印刷処理の合間に、シートSTの印刷が施された部分が間欠的に搬送されるようになっている。すなわち、記録部15では、幅方向Y1が長手方向となる帯状の画像の形成と紙送りとが交互に繰り返されることで、1つの印刷ジョブに基づく画像が形成されるようになっている。
【0030】
また、カッター16によるシートSTの切断は、搬送機構14によるシートSTの搬送を停止させ、上流側を支持部材45の吸着機構46で保持する一方、下流側を搬送ローラー対R2で挟持した状態で行われる。なお、本実施形態においては、印刷を行うためにシートSTの搬送を停止したときに、シートSTの切断を行うようになっている。そして、切断されたカット用紙CSは、搬送ローラー22〜24によって停止されることなく連続的に搬送され、排紙機構17により、排紙部12aを通じて搬送装置110側に排紙される。
【0031】
排紙機構17は、図3に示すように、駆動ローラー23,24および従動ローラー34を構成要素の一部として有している。駆動ローラー24と従動ローラー34との間にカット用紙CSを挟持して、搬送方向X1の下流側、すなわち搬送装置110側へと排出させる。以下の説明において、排紙機構17によって搬送方向X1の下流側へとカット用紙CSを排紙させる方向を、排出方向X1と呼ぶこともある。
【0032】
本実施形態の排紙機構17は、駆動ローラー24と従動ローラー34とによってカット用紙CSを所定の排出速度V1で排出する。ここで、カット用紙CSの仕様に応じて排出速度V1を適宜変化させており、搬送モーター68を通じて駆動ローラー24の回転を制御することにより実現されるようになっている。カット用紙CSの仕様とは、サイズ、材質、質量等であり、本実施形態では長尺状のシートSTを切断することによりカット用紙CSを作製しているのでカット用紙CS同士の材質は等しい。そのため、排紙機構17によるカット用紙CSの排出方向X1に沿う長さLに応じて排出速度V1を変化させるようになっている。
【0033】
具体的には、カット用紙CSの排出方向X1における長さが短い場合ほど、排出速度V1を速くするように駆動ローラー23,24が駆動される。本実施形態では、搬送ベルト53上に載置させることが可能なカット用紙CSの排出方向X1に沿う最大長さL1が例えば12インチとなっている。この最大長さL1に比べて短くなるにしたがって排出速度V1を速くする。これにより、排紙機構17から搬送ベルト53上に排出されるカット用紙CSの落下位置のばらつきを抑えることができ、仕分装置120でのスタック性の低下を抑えることができる。
【0034】
すなわち、カット用紙CSの排出方向X1における長さLが長い場合には、遅い排出速度で排出することにより排出距離を短くし、カット用紙CSの長さLが短い場合には、速い排出速度で排出することにより排出距離を長くすることにより、搬送ベルト53上に落下する際の各カット用紙CSの排出方向X1における後端(端部)CS(b)の位置を揃えることができる。
【0035】
なお、排紙機構17によってカット用紙CSを排出する排出速度V1は、カット用紙CSの仕様に応じて可変させていることから、搬送機構14によるシートSTの搬送速度と一致することもある。
【0036】
次に、搬送装置110の構成について詳述する。
図4に示すように、搬送装置110は、プリンター100の排紙部12aから排紙されたカット用紙CSを搬送方向(第2搬送方向)X2に上流側から下流側に向けて搬送するもので、基台部50上に載置されている。
【0037】
搬送装置110は、駆動ローラー51と、従動ローラー52と、駆動ローラー51および従動ローラー52に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト53と、駆動ローラー51を回転させるための駆動モーター54(制御手段:図2参照)とを備えている。そして、駆動モーター54の駆動によって駆動ローラー51が図4における反時計回り方向に回転することで搬送ベルト53が回転(周回移動)するようになっている。
【0038】
このような搬送装置110は、プリンター100の排紙部12aの下方に、搬送ベルト53の搬送方向X2における上流側が位置するとともに、搬送ベルト53の搬送方向X2における下流側が仕分装置120の受け渡し領域DAと隣り合う位置となるように配置されている。したがって、駆動モーター54の駆動時にカット用紙CSが搬送ベルト53の載置面53a(上面からなる水平面)に載置されると、カット用紙CSは仕分装置120の受け渡し領域DAに向かって搬送方向X2に搬送されるようになっている。
【0039】
このとき、搬送ベルト53は受け渡し領域DAの搬送方向X2における中央付近に向けてカット用紙CSを投げ出すような速度で回転される。そして、カット用紙CSは載置面53aの搬送方向X2における下端側に至ると、載置面53aから離間して仕分装置120の受け渡し領域DAに向けて排出される。
【0040】
図7に示すように、プリンター100における排紙機構17の排紙部12aの直下に搬送ベルト53が位置しており、この載置面53aと駆動ローラー24と従動ローラー34とのニップ位置との高さHは63.5mmである。また、排紙機構17からカット用紙CSが排紙される際、載置面53a(水平面)に対して傾斜した姿勢で排紙される。このときのカット用紙CSの排紙角度θは35°である。
【0041】
ここで、図2に示すように、プリンター100の排紙機構17におけるカット用紙CSの排出方向(搬送方向)X1と、搬送装置110によるカット用紙CSの搬送方向X2と、が略直交している。つまり、載置面53a上に排出されてくるカット用紙CSの排出方向X1は、搬送ベルト53の幅方向に沿うこととなり、搬送方向X2の下流側となる搬送ベルト53の側部53b側にカット用紙CSの先端CS(a)が落下し、搬送方向X2の上流側となる搬送ベルト53の側部53d側にカット用紙CSの後端CS(b)が落下する。
この際、カット用紙CSは、その用紙に応じてプリンター100から所定の排出速度V1で排出されるため、搬送ベルト53の載置面53a上に順次落下するカット用紙CSどうしの後端CS(b)の位置が一致することとなる。
【0042】
次に、仕分装置120の構成について詳述する。
図2に示すように、仕分装置120は、箱型の本体部59を備えている。仕分装置120は、本体部59において後ろ側となる位置に受け渡し領域DAを有しているとともに、本体部59において前側となる位置に反転領域RAを有している。さらに、仕分装置120は、本体部59の前後方向における受け渡し領域DAと反転領域RAとの間に、搬送装置110によって搬送方向X2の上流側から搬送されるカット用紙CSを仕分けするための仕分領域SAを有している。
【0043】
仕分装置120は、搬送装置110から仕分領域SAへのカット用紙CSの受け渡し領域DAにおいて、受け渡し領域DAに向けて搬送方向X2の上流側から順次投げ出される複数のカット用紙CSを受容する。また、仕分装置120は、受容したカット用紙CSを仕分領域SAにおいて仕分する。なお、受け渡し領域DAは、搬送方向X2と直交するカット用紙CSの仕分方向(第3搬送方向)X3において、仕分領域SAの上流側に配置されている。
【0044】
図5に示すように、仕分装置120は本体部59に収容された移動機構60を備えている。移動機構60は、歯車61,62,63,64と、移動体の一例として無端状のチェーン65と、歯車61を回転させるための駆動モーター(図示略)とを備えている。歯車61,63は駆動歯車で、駆動モーター(図示略)によって図4における反時計回り方向に回転させる。また、歯車62は従動歯車であるとともに、歯車64はばね(図示略)によって下側に付勢されるテンション歯車である。そして、各歯車61〜64は、チェーン65に対して内側からそれぞれ噛合している。
【0045】
チェーン65は、歯車61〜64に巻き掛けられるとともに、歯車64によって適度に張設された状態に保持されている。そして、チェーン65は、駆動モーターの駆動に伴って歯車61,63が回転すると、一定の周回移動経路を形成するように図5において反時計回り方向に周回移動するようになっている。
【0046】
チェーン65には、トレイ130を装着するための複数の保持部67が略等間隔に設けられている。トレイ130は、保持部67に装着される装着部70と、平面状の受容部71と、側面視において受容部71と略直交するように設けられた位置決め部72とを有している。そして、チェーン65の各保持部67には、それぞれ1つのトレイ130が周回移動経路に沿って並ぶように取着されている。
【0047】
各トレイ130は、チェーン65の周回移動に伴って移動する過程で、受け渡し領域DAに順次配置される。また、受け渡し領域DAでカット用紙CSを受容した各トレイ130は、チェーン65の周回移動に伴って受け渡し領域DAから仕分領域SAに移動し、さらに仕分領域SAにおいて仕分方向X3に移動することで、カット用紙CSを仕分けする。
【0048】
トレイ130は、受容部71が仕分方向X3の上流側から下流側に向けてやや低くなるように傾斜した受容姿勢で受け渡し領域DAに配置されるとともに、この受け渡し姿勢においてカット用紙CSを寝かせた状態で受け入れる。また、トレイ130の位置決め部72は受容部71の仕分方向X3における下流側の端部に受け入れられている。そのため、トレイ130の受容部71に積載されたカット用紙CSは自重によって仕分方向X3の下流側に移動し、位置決め部72によって仕分方向X3における位置決めおよび下端位置の位置決めが行われる。
【0049】
受け渡し領域DAにおいてカット用紙CSを受容した各トレイ130は、カット用紙CSを積載した状態で、チェーン65の周回移動に伴って受容姿勢から起き上がるように姿勢を変化させながら、受け渡し領域DAから仕分領域SAに向けて順次移動する。これにより、仕分領域SAにおいてチェーン65の上側に位置する複数(本実施形態では9つ)のトレイ130は、受容部71同士が互いに平行をなす仕分姿勢で仕分領域SAに配置される。
【0050】
トレイ130が仕分姿勢になっている場合は、位置決め部72が受容部71の下側に位置するため、カット用紙CSは図5に二点差線で示すように下面側が受容部71にもたれかかった状態で下端が位置決め部72に支持される。すなわち、トレイ130は、仕分姿勢にある場合、カット用紙CSを立てた状態で支持する。
【0051】
ここで、トレイ130ごとにカット用紙CSの受容位置がばらついていると、カット用紙CSが斜め姿勢で移動するなどして後端CS(b)全体が位置決め部72に当接しない可能性も出てくる。上述したように、カット用紙CSを受容した各トレイ130が、カット用紙CSを積載した状態で受容姿勢から起き上がるように姿勢を変化させながら順次移動するようになっている。ここで、本実施形態では、搬送装置110側から順次搬送されてくるカット用紙CSの後端CS(b)同士がその搬送方向X2に直交する方向(搬送ベルト53の幅方向)で一致している。このため、各トレイ130にカット用紙CSを順次受け入れて立ち上がるように姿勢を変化させた際にカット用紙CSの後端CS(b)が下端側となる。そして、トレイ130の姿勢変化に伴って内部のカット用紙CSが位置決め部72側へ滑るように移動して、後端CS(b)が位置決め部72に当接する。トレイ130ごとにカット用紙CSの受容位置が一部一致しており、カット用紙CSの後端CS(b)と位置決め部72との距離がトレイ130ごとに一定であって、トレイ130の位置決め部72との距離も短い。このため、少ない滑り量でカット用紙CSの後端CS(b)が位置決め部72に到達することとなり、その結果、カット用紙CSの後端CS(b)全体が確実に位置決め部72に当接することとなる。
このように、仕分装置120は、搬送ベルト53により搬送されてきたカット用紙CSをトレイ130にて受け止める際に、互いに備えられた複数のカット用紙CSの後端CS(b)側が下になるように起き上がらせて搬送するため、搬送ベルト53上における各カット用紙CSの後端CS(b)の位置を揃えておくことによって、仕分装置120でのカット用紙CSの搬送を良好に行える。
【0052】
なお、本実施形態では、各トレイ130に1枚ずつカット用紙CSを受容するようになっているが、1つのトレイ130に複数枚のカット用紙CSを受容させるようにしても良い。1つのトレイ130に複数のカット用紙CSを受容させた場合、トレイ130の立ち上げ時に用紙間の摩擦によって用紙同士が滑りにくくなり、カット用紙CSの受容姿勢にばらつきが生じやすい。このため、搬送ベルト53上でのカット用紙CSの後端CS(b)の位置を一致させておくことは、トレイ130に複数のカット用紙CSを集積する場合に特に有効である。
【0053】
図6において、トレイ130において受容部71の右端部側には、ユーザーによるカット用紙CSの取り出しを補助するために、2つの切欠部75,76が形成されている。なお、仕分装置120は、図6に二点鎖線で示す最小サイズのカット用紙CSから図6に一転鎖線で示す最大サイズのカット用紙CSまでの複数サイズのカット用紙CSを仕分する。したがって、切欠部75は主に小さいサイズのカット用紙CSの取り出しを補助し、切欠部76は主に大きいサイズのカット用紙CSの取り出しを補助する。
【0054】
搬送ベルト53は、受け渡し領域DAの搬送方向X2における中央付近に向けてカット用紙CSを投げ出すような速度で回転される。図6に示すように、受け渡し領域DAには、受け渡し領域DAに向けて投げ出されるカット用紙CSを受け止めてトレイ130の方に案内する案内板79および案内板80が設けられている。
【0055】
ここで、本発明に係る搬送装置は、上記した搬送機構14、排紙機構17、搬送装置110、仕分装置120を含んで構成されている。そして、図2に示したように、プリンター100の排紙機構17におけるカット用紙CSの搬送方向(排紙方向)X1と、搬送装置110によるカット用紙CSの搬送方向X2と、仕分装置120によるカット用紙CSの仕分方向X3とがそれぞれ略直交している。
【0056】
従来においては、カット用紙CSの仕様に関わらず一定の排出速度(搬送速度)で搬送ベルト53へと排出させていたため、カット用紙CSごとに載置面53a上における落下位置が異なり、各トレイ130にてバラバラにスタックされてしまう。トレイ130でのカット用紙CSのスタック性はユーザー操作に直接影響を与えてしまうため、各トレイ130内あるいは各トレイ130間にてカット用紙CSの姿勢にばらつきのない良好な状態で受容させる必要がある。
【0057】
図8〜図9は、カット用紙CSの仕様に関わらず一定の排出速度(搬送速度)で搬送ベルト53へと排出させた場合における、落下位置を示す図である。
各図において、搬送方向X1に沿うカット用紙CSの長さをLとし、搬送方向X2に沿うカット用紙CSの長さをL2で表す。
【0058】
図8に示すカット用紙CS(1)の大きさ L:L2=4インチ:8インチ
図9に示すカット用紙CS(2)の大きさ L:L2=4インチ:6インチ
図10に示すカット用紙CS(3)の大きさ L:L2=8インチ:4インチ
図11に示すカット用紙CS(4)の大きさ L:L2=10インチ:8インチ
【0059】
このように、図8および図9に示すように相対的に排出方向X1に沿う長さLが短いカット用紙CS(1),CS(2)と、図10および図11に示すように相対的に排出方向X1に沿う長さLが長いカット用紙CS(3),CS(4)とでは、搬送ベルト53の載置面53a上における落下位置が異なっている。具体的には、排出方向X1に沿う長さLの短いカット用紙CS(1),CS(2)に比べて、排出方向X1に沿う長さLの長いカット用紙CS(3),CS(4)の方がプリンター100の排紙機構17から遠ざかる位置に落下しており、排出方向X1に沿う長さLが異なるとその落下位置が異なってしまっている。
【0060】
本実施形態のプリンターユニット11では、プリンター100の排紙機構17が、その排出方向X1に沿ってカット用紙CSを投げ出すようにして搬送ベルト53上に排出する際に、カット用紙CSの仕様(サイズ、材質、質量等)に応じて排出速度V1を変化させている。これによって、図6に示したように、搬送ベルト53の載置面53a上に順次排出されるカット用紙CSどうしの後端CS(b)の落下位置を揃えることができる。上述したように、搬送装置110によるカット用紙CSの搬送方向X2と、仕分装置120によるカット用紙CSの仕分方向X3とは略直交しており、仕分方向X3の下流側となる、カット用紙CSどうしの端部(後端CS(b))を揃えておくことによって、各トレイ130内にカット用紙CSが良好な姿勢で受容されることとなる。したがって、後のユーザー操作が円滑に行われるようになる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
例えば、プリンター100は、長尺状のシートSTを切断してカット用紙CSとするものに限らず、予め単票とされたカット用紙CSに対して印刷を施すものであってもよい。
【0063】
プリンター100は、インク以外の他の液体の微少量の液滴を噴射したり吐出したりする液体噴射ヘッド等を備える液体噴射装置であってもよい。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここで言う液体とは、液体噴射装置が噴射させることができる材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。
【0064】
また、液体の代表的な例としては上記実施形態で用いたようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的は水性インクおよび油性インクならびにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解の形で含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造などに用いられる生態有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられる試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。
さらに、時計や精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信装置等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用しても良い。そして、これらのうちいずれか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
L…排出方向(搬送方向)X1に沿う長さ、V1…排出速度,X1…排出方向(第1搬送方向),X2…搬送方向(第2搬送方向),X3…仕分方向(第3搬送方向)、11…プリンターユニット(記録装置)、14…搬送機構(搬送手段)、17…排紙機構(搬送手段)、44…記録ヘッド(記録手段)、68…搬送モーター(制御手段)、CS…カット用紙(被記録媒体)、CS(b)…後端(端部)、ST…シート(被記録媒体)、V1…排出速度、110…搬送装置、110…搬送装置(載置手段)、120…仕分装置(受容手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕様の異なる複数の被記録媒体を搬送して搬送方向下流側へ排出する搬送手段と、
前記搬送手段から排出された前記被記録媒体を受け止める載置手段と、
前記搬送手段による前記被記録媒体の排出速度を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段が、前記被記録媒体の仕様に対応させて前記排出速度を変化させるよう前記搬送手段を制御して、前記載置手段で受け止められる複数の前記被記録媒体の第1搬送方向に沿う前後いずれか一方の端部の位置を揃える機能を有する、搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記被記録媒体の前記第1搬送方向に沿う長さが短いほど前記排出速度を速くする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記載置手段は、前記搬送手段による前記被記録媒体の前記第1搬送方向と直交する第2搬送方向に前記被記録媒体を搬送するように構成され、前記第2搬送方向の下流側には前記被記録媒体を受容して、前記第2搬送方向と直交する第3搬送方向に前記被記録媒体を搬送する受容手段が設けられている、請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記受容手段は、前記載置手段で受け止められる際に互いに揃えられた複数の前記被記録媒体の前記いずれか一方の端部が下側になるように起き上がらせて搬送する、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置の搬送手段によって搬送される被記録媒体に対して液体を付着させて記録を行う記録手段と、を備える、記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−140221(P2012−140221A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148(P2011−148)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】