説明

搬送装置及びそれを備える組合せ計量装置

【課題】 コンニャクのように表面が滑らかで軟らかい塊状物であっても、略一定量ずつ搬送できる搬送装置を提供する。
【解決手段】 棒状体を螺旋形状に湾曲形成してなる回転体と、該回転体の外周を覆うカバー体と、を備えてなり、前記回転体による搬送力で前記カバー体内の物品を搬送する搬送装置であって、物品搬送方向へ進むにつれて、前記回転体の螺旋径及び前記カバー体の内周径が小さくなる一方、前記螺旋形状のピッチは大きくなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状体を螺旋形状に湾曲形成してなる回転体とその外周を覆うカバー体を備えてなり、回転体の回転力でカバー内の物品を搬送する搬送装置及びそれを備える組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組合せ計量装置では、複数備えられる計量ホッパに物品を供給し、各計量ホッパ内の物品の重量値を組合せ演算し、目標重量となる組合せを決定することにより、目標重量となる物品を計量する。目標重量となる組合せを成立し易くするためには、多数の計量ホッパに少量ずつ物品を供給しなければならないが、組合せ計量の対象となる物品が塊状物である場合には、物品を計量ホッパに対して安定的に略一定量ずつ供給できるようにする工夫が要求される。かかる要求に対し、螺旋形状に湾曲形成された回転体をテーパ形状のカバー体で覆い、カバー体の内部に投入される塊状物を上記回転体でほぐしながら搬送するスクリュー方式の搬送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−79889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記スクリュー方式の搬送装置は、佃煮昆布のように粘着性が高い物品をほぐしながら供給する場合には適しているが、例えば細かく刻まれたコンニャクのように、表面が滑らかで軟らかい塊状物を搬送する場合には、スクリューによる搬送力が物品にうまく伝わらず、物品を略一定量ずつ搬送できないことがある。すなわち、コンニャク等の物品は、その軟らかさ故にスクリューから付与される回転力で容易に撓んでしまい、また表面の滑らかさ故にスクリューとの間に十分な摩擦力を得られないため、結果として、スクリューの間をすり抜けるような状態となるためである。
【0004】
本発明は、斯かる実情に鑑み、コンニャクのように表面が滑らかで軟らかい塊状物であっても、略一定量ずつ搬送できる搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、棒状体を螺旋形状に湾曲形成してなる回転体と、該回転体の外周を覆うカバー体と、を備えてなり、前記回転体による搬送力で前記カバー体内の物品を搬送する搬送装置であって、物品搬送方向へ進むにつれて、前記回転体の螺旋径及び前記カバー体の内周径が小さくなる一方、前記螺旋形状のピッチは大きくなることを特徴とする搬送装置を提供する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の搬送装置であって、前記回転体の回転中心に直線状の棒部材を備えることを特徴とする搬送装置を提供する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の搬送装置を複数備えることを特徴とする組合せ計量装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、以下の優れた効果を奏し得る、物品が搬送方向に進むにつれて、それを搬送する回転体の螺旋径及び周囲を覆うカバー体の内周径が小さくなるため、物品はカバー体内部における充填密度が高められる。その結果、回転体に対する物品の密着度が高められ、回転体の搬送力が物品に対して確実に伝達されることとなり、たとえコンニャク等のように軟らかく表面が滑らかな物品であっても、また、それが少量であっても、回転体の回転角度に応じて、略一定量ずつ安定的に供給されるものである。その一方で、回転体の螺旋形状のピッチは、物品が搬送方向に進むにつれて大きくなるため、物品が押し潰されて損傷するような事態を避けることができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明が奏し得る効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。棒部材によって物品と回転体の密着度がさらに高められることで、搬送力が向上させられる。また、回転体の中心に棒部材を通すことで、螺旋形状に沿うように物品が搬送され、回転体の回転角度に応じて物品の供給量が決まるため、物品供給制御がし易くなるほか、物品が順次送り出されるため、大きな圧力がかかって損傷することが防止される。
【0010】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の発明が奏し得る効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。組合せ計量装置における物品の供給が適切に行われるようになって、計量精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る組合せ計量装置を備える物品供給システムの全体を示す図、図2は、本実施形態に係る組合せ計量装置を示す図、図3は、組合せ計量装置に備えられる搬送装置を示す(a)平面図及び(b)正面断面図である。
【0012】
図1に示される物品供給システム1は、人参・ごぼう・コンニャクを千切りしたもの及び大豆の各物品を所定重量割合で混合して供給する。そのため、物品を複数備えられる計量ホッパに供給して、各計量ホッパ内の物品の重量値を組合せ演算し、目標重量となる組合せを決定することにより、物品ごとに目標重量となる物品を計量することができる組合せ計量装置2〜5が備えられる。
【0013】
各組合せ計量装置は、物品を略一定量ずつ搬送する搬送装置と、搬送装置から供給される物品を受け入れて保持するプールホッパと、プールホッパから供給される物品を保持して計量する計量ホッパと、複数の計量ホッパから排出される目標重量となる物品の組合せをまとめる集合シュートSと、を備える。ここで、人参・ごぼうの千切りと大豆の搬送装置は、物品が載置されるトラフを斜め上下方向に振動することにより物品を搬送するが、コンニャクは弾力があって、振動を利用する搬送方法には不向きなため、スクリュー方式の搬送装置が採用される。
【0014】
コンニャクの組合せ計量装置2は、図2に示されるように、物品投入シュート6と、物品投入シュート6からの物品(コンニャク)を螺旋形状の回転体72の回転によって搬送する搬送装置7と、搬送装置7から落下供給される物品を受け入れて保持するプールホッパ8と、プールホッパ8から落下供給される物品を計量する複数の計量ホッパ9と、複数の計量ホッパ9から落下供給される物品を集合シュートSに導くための個別シュート10と、を備えてなる。
【0015】
搬送装置7は、図3に示されるように、不図示の回転駆動装置に連結されて軸回転させられる回転伝動軸71と、極太ワイヤー(棒状体)を螺旋形状に湾曲形成してなり、回転伝動軸71に後端72aを固定されて螺旋軸回りを回転させられる回転体72と、回転体72の外周全体を覆うように形成される筒状のカバー体73と、を備えてなる。また、回転伝動軸71には、回転体72の螺旋軸、すなわち回転中心に沿うように延びる直線状の棒部材74が固定されている。
【0016】
回転伝動軸71は、カバー体73の後端73aに設けられる軸受部731で回転支持されており、回転駆動装置に連結するための連結部711が、カバー体73の外側に突出するように形成されている。回転体72は、図3(b)に示されるように、回転伝動軸71に固定される後端72a側から先端72b側に向かうにつれて、螺旋径(回転体72からその回転中心までの距離)Rが小さくなる一方、螺旋ピッチ(回転体72の長手方向における隣接部分同士の距離)Pが大きくなるように形成されており、回転伝動軸71によって、カバー体73内部に投入された物品を後端72a側から先端72b側へ送り込む方向に回転させられる。
【0017】
カバー体73は、その後端73a寄りの外周上面に、物品を投入するための投入開口73cが形成され、図3(a)に示されるように、その上方に物品投入シュート6が備えられる。また、カバー体73は、図3(b)に示されるように、その後端73a側から先端73b側に向かうにつれて内周径Dが小さくなるように形成され、先端73bに物品排出口73dが開口形成されている。カバー体73の内周径Dは、カバー体73の長手方向で概ね三段階に変化し、投入開口73cを備える後端73a寄り部分が最大径Dをなし、中間部分がやや小さい径Dをなし、先端73b寄り部分がさらに小さい径Dをなしている。先端73b寄り部分は、さらに先端がテーパ状に絞られて、物品排出口73dの開口は最小径Dとなっている。
【0018】
上記のように構成される搬送装置7において、物品投入シュート6からカバー体73内部に物品を投入するとともに、回転伝動軸71を一定の回転速度で回転させることにより、投入された物品が回転体72によってカバー体73の後端73aから先端73b側へ送り込まれ、先端73bに形成された物品排出口73dから略一定量ずつ排出される。排出された物品は、プールホッパ8に保持された後、複数の計量ホッパ9に供給され、目標重量となるように組合せ計量された組合せの物品が個別シュート10を介して集合シュートSへ導かれる。導かれた物品は、集合シュートSで他の物品とまとめられ、攪拌混合された後、包装容器等に供給される。
【0019】
(搬送装置7の特徴)
上記搬送装置7は、上記のとおりであるから、以下のような特徴を有する。
【0020】
第一に、搬送装置7は、物品搬送方向に向かうにつれて、物品を搬送する回転体72の螺旋径Rと、その周囲を覆うカバー体73の内周径Dが小さくなるという特徴を有する。したがって、カバー体73に投入された物品は、搬送方向に進むにつれてカバー体73の内部における充填密度が高められる。その結果、回転体72に対する物品の密着度が高められ、回転体72の搬送力が物品に対して確実に伝達されることとなり、たとえコンニャク等のように軟らかく表面が滑らかな物品であっても、また、それが少量であっても、回転体の回転角度に応じて略一定量ずつ供給することができる。また、投入開口73cを備える後端73a寄り部分が大径に形成されているので、投入された物品がブリッジすることなく、カバー体73の内部へスムーズに送り込まれるものである。
【0021】
第二に、搬送装置7は、物品搬送方向に向かうにつれて、回転体72の螺旋ピッチPが大きくなるという特徴を有する。これにより、回転体72の螺旋径Rやカバー体73の内周径Dが小さくなって充填密度が高められても、カバー体73の内部の圧力上昇が緩和される。その結果、カバー体73内部で物品が押し潰されて損傷するような事態を避けることができる。
【0022】
第三に、搬送装置7は、回転体72の回転中心に直線状の棒部材74を備えるという特徴を有する。棒部材74によって、物品と回転体72の密着度がさらに高められるため、回転体72による搬送力が向上させることができる。また、回転体72の中心に棒部材74を通すことで、螺旋形状に沿うように物品が搬送されることになる。その結果として、物品の供給量が回転体72の回転角度に応じて安定したものとなって、物品供給制御がし易くなるほか、物品が順次送り出されるため、大きな圧力がかかって物品が損傷することも防止される。
【0023】
(上記実施形態の変形例)
上記実施形態では、搬送装置7は、組合せ計量装置2の一部として構成されていたが、組合せ計量装置以外の計量装置や包装機と組み合わせるようにしても良い。その他、本発明の搬送装置及びそれを備える組合せ計量装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る組合せ計量装置を備える物品供給システムの全体を示す図。
【図2】本実施形態に係る組合せ計量装置を示す図。
【図3】組合せ計量装置に備えられる搬送装置を示す(a)平面図及び(b)正面断面図。
【符号の説明】
【0025】
1 物品供給システム
2 計量装置
6 物品投入シュート
7 搬送装置
8 プールホッパ
9 計量ホッパ
10 個別シュート
71 回転伝動軸
72 回転体
73 カバー体
74 棒部材
D 内周径
P 螺旋ピッチ
R 螺旋径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状体を螺旋形状に湾曲形成してなる回転体と、該回転体の外周を覆うカバー体と、を備えてなり、前記回転体による搬送力で前記カバー体内の物品を搬送する搬送装置であって、
物品搬送方向へ進むにつれて、前記回転体の螺旋径及び前記カバー体の内周径が小さくなる一方、前記螺旋形状のピッチは大きくなることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記回転体の回転中心に直線状の棒部材を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の搬送装置を複数備えることを特徴とする組合せ計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−222398(P2008−222398A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65704(P2007−65704)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】