説明

搬送装置及び搬送方法

【課題】等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給できる搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送装置1は、等間隔に配列された複数のワークWを把持して搬送し、任意の間隔で供給パレット7に供給し、ワークWを把持する第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14と、これら第1把持部11〜第4把持部14が連接された把持基体部20と、を備え、把持基体部20は、第1把持部11〜第4把持部14をワークWの配列方向に相互に近接、離間させる第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240を備え、第1把持部11〜第4把持部14は、それぞれ別個にワークWと係脱する第1係合部110a及び第2係合部110b、第1係合部120a及び第2係合部120b、第1係合部130a及び第2係合部130b、第1係合部140a及び第2係合部140bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び搬送方法に関し、詳しくは、等間隔に配列された複数のワークを把持して搬送し、任意の間隔で供給部に供給する搬送装置及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造工程において、複数のワークは、これらのワークを等間隔に配列するための切り出しパレットに一旦貯留される。搬送装置は、切り出しパレットにおいて等間隔に配列された複数のワークを把持し搬送し、所定の供給部に供給する。
【0003】
ここで、複数のワークは、そのワークの種類によって切り出しパレットにおいて配列されたときの間隔が異なることがある。したがって、搬送装置は、複数のワークを把持する把持部の位置を、切り出しパレットに配列されたワークの間隔に応じて可変する必要がある。
【0004】
特許文献1には、径がそれぞれ異なり同軸で互いに固定された複数の駆動輪と、該駆動輪にそれぞれ掛け渡された複数のタイミングベルトと、各タイミングベルトに取り付けられて物品を保持する複数の物品保持部と、複数の駆動輪を回転駆動する回転駆動手段と、を備える保持部により、等間隔で配置された複数の物品を保持する物品供給装置が開示されている。
この物品供給装置によれば、複数の駆動輪は回転駆動手段により一体的に回転し、各物品保持部が駆動輪の回転角度に応じた量だけ移動するので、各物品保持部は等間隔となり、かつ駆動輪の回転角度に応じた任意の間隔に可変できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−67752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、製造工程においては、切り出しパレットにおいて等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔で供給部に供給する場合がある。例えば、エンジンの製造工程において、ワークであるバルブガイドやバルブシートは、切り出しパレットにおいて等間隔に配列され搬送装置によりシリンダヘッドの吸気ポートや排気ポートに圧入可能な位置に供給されるが、シリンダヘッドの吸気ポートや排気ポートはそれぞれ略一直線上に配列されているものの、その間隔は不等間隔である。
【0007】
本発明は、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)等間隔に配列された複数のワーク(例えば、後述のワークW)を把持して搬送し、任意の間隔で供給部(例えば、後述の供給パレット7)に供給する搬送装置(例えば、後述の搬送装置1)であって、前記ワークを把持する複数の把持部(例えば、後述の第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14)と、前記複数の把持部が連接された把持基体部(例えば、後述の把持基体部20)と、を備え、前記把持基体部は、前記複数の把持部を前記ワークの配列方向に相互に近接、離間させる複数の摺動部(例えば、後述の第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240)を備え、前記複数の把持部は、それぞれ別個に前記ワークと係脱する少なくとも2つの係合部(例えば、後述の第1係合部110a及び第2係合部110b、第1係合部120a及び第2係合部120b、第1係合部130a及び第2係合部130b、第1係合部140a及び第2係合部140b)を備えることを特徴とする搬送装置。
【0009】
(1)によれば、等間隔に配列された複数のワークを把持して搬送し、任意の間隔で供給部に供給する搬送装置は、ワークを把持する複数の把持部が連接された把持基体部に複数の把持部をワークの配列方向に相互に近接、離間させる複数の摺動部を備え、複数の把持部にそれぞれ別個にワークと係脱する少なくとも2つの係合部を備えた。
【0010】
これにより、搬送装置は、等間隔に配列された複数のワークを複数の把持部の少なくとも2つの係合部で把持し、把持した複数のワークの間隔が供給部に供給するワークの間隔になるように、複数の摺動部でワークを把持した複数の把持部をそれぞれ相互に近接、離間させてから供給部にワークを供給できる。すなわち、複数の把持部で把持した複数のワークを少なくとも2つの系統に分けて、系統毎に任意の間隔で複数のワークを供給部に供給できる。
したがって、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給できる搬送装置を提供できる。
【0011】
(2)等間隔に配列された複数のワークを任意の間隔で供給部(例えば、後述の供給パレット7)に供給する搬送方法であって、前記複数のワークを複数の把持部にそれぞれ設けられた少なくとも2つの係合部で把持する工程と、前記複数のワークを前記供給部に搬送する工程と、複数の把持部を前記複数のワークの配列方向に相互に近接、離間させる複数の摺動部を駆動させることにより、少なくとも2つの前記係合部にそれぞれ把持された前記複数のワークのうちの一方である第1のワークを所定の間隔とする工程と、前記供給部に、前記第1のワーク(例えば、後述のワークWa)を供給する工程と、複数の把持部を前記摺動部を駆動させることにより、少なくとも2つの前記係合部にそれぞれ把持された前記複数のワークのうちの他方である第2のワーク(例えば、後述のワークWb)を所定の間隔とする工程と、前記供給部に、前記第2のワークを供給する工程と、を備えることを特徴とする搬送方法。
【0012】
(2)によれば、等間隔に配列された複数のワークを任意の間隔で供給部に供給する搬送方法において、複数のワークを複数の把持部にそれぞれ設けられた少なくとも2つの係合部で把持する工程と、複数のワークを供給部に搬送する工程と、複数の把持部を複数のワークの配列方向に相互に近接、離間させる複数の摺動部を駆動させることにより、少なくとも2つの係合部にそれぞれ把持された複数のワークのうちの一方である第1のワークを所定の間隔とする工程と、供給部に、第1のワークを供給する工程と、複数の把持部を摺動部を駆動させることにより、少なくとも2つの係合部にそれぞれ把持された複数のワークのうちの他方である第2のワークを所定の間隔とする工程と、供給部に、第2のワークを供給する工程と、を備えた。
【0013】
これにより、複数の把持部を相互に近接、離間させ、少なくとも2つの係合部にそれぞれ把持された複数のワークのうちの第1のワークを所定の間隔としてから供給部に供給し、複数の把持部を相互に近接、離間させ、少なくとも2つの係合部にそれぞれ把持された複数のワークのうちの第2のワークを所定の間隔としてから供給部に供給できる。すなわち、複数の把持部で把持した複数のワークを少なくとも2つの系統に分けて、系統毎に任意の間隔で複数のワークを供給部に供給できる。
したがって、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給できる搬送方法を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給できる搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る搬送装置1の構成を示す図である。
【図2】前記実施形態に係る切り出しパレット及び供給パレットを説明する図である。(a)は、切り出しパレットの断面図である。(b)は、供給パレットの断面図である。
【図3】前記実施形態に係る制御部の電気的な構成について説明する図である。
【図4】切り出しパレットにおいて等間隔に配列された複数のワークを把持して供給パレットまで搬送する搬送装置の動作を説明する図である。(a)は、切り出しパレットにおいて等間隔に配列された複数のワークの上部に搬送装置が配置された状態を示す図である。(b)は、複数のワークを搬送装置が把持した状態を示す図である。(c)は、搬送装置が複数のワークを供給パレットまで搬送し、複数のワークの一部を供給パレットの所定位置に合わせた状態を示す図である。
【図5】供給パレットまで搬送したワークを供給パレットに供給する搬送装置の動作を説明する図である。(a)は、搬送装置が複数のワークの一部を供給パレットの所定位置に供給する状態を示す図である。(b)は、搬送装置が複数のワークの一部を供給パレットの所定位置に合わせた状態を示す図である。(c)は、搬送装置が複数のワークの一部を供給パレットの所定位置に供給する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る搬送装置1の構成を示す図である。
搬送装置1は、切り出しパレット6において等間隔に配列された複数のワークWを把持して、ロボットアーム5によって移動されることでこれらのワークWを不等間隔で供給部としての供給パレット7(図2参照)に供給する。本実施形態において、搬送装置1は、エンジンの製造工程で用いられ、バルブガイドであるワークWを切り出しパレット6から把持して搬送し、供給パレット7(図2参照)に供給する。
【0017】
搬送装置1は、複数のワークWを把持する第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14と、これら第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14が連接された把持基体部20と、を備える。
第1把持部11は、ワークWaと係脱する第1係合部110aと、ワークWbと係脱する第2係合部110bと、を備える。第1係合部110a及び第2係合部110bは、相互に近接、離間する一対のチャック(図示しない)を備え、この一対のチャックのそれぞれを「締める」又は「緩める」ように作動させ、相互に近接、離間させることで、ワークWaやワークWbと係脱する。
【0018】
本実施形態において、ワークWaとワークWbとは同様のワークWであるが、説明便宜の為、第1係合部と係脱するワークWをワークWaと称し、第2係合部と係脱するワークWをワークWbと称する。ここで、ワークWaとワークWbとは、同じ種類のものであっても、互いに異なる種類のものであってもよい。
【0019】
第1把持部11と同様に、第2把持部12は、ワークWaと係脱する第1係合部120aと、ワークWbと係脱する第2係合部120bと、を備え、第3把持部13は、ワークWaと係脱する第1係合部130aと、ワークWbと係脱する第2係合部130bと、を備え、第4把持部14は、ワークWaと係脱する第1係合部140aと、ワークWbと係脱する第2係合部140bと、を備える。
【0020】
本実施形態では、搬送装置1には、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14の4つの把持部を備えているが、他の数であってもよい。また、本実施形態では、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14にそれぞれ2つの係合部を設けているが、2つに限らず、4つの係合部を設けることもできる。これにより、1つの把持部により、4つのワークを把持して搬送し、供給部に供給できる。
【0021】
第1係合部110aと第2係合部110bとは、制御部10(図3参照)によってそれぞれ個別に制御される。すなわち、それぞれのタイミングで、第1係合部110aはワークWaと係脱し、第2係合部110bはワークWbと係脱する。
同様に、第1係合部120aと第2係合部120bとは、制御部10(図3参照)によってそれぞれ個別に制御される。すなわち、それぞれのタイミングで、第1係合部120aはワークWaと係脱し、第2係合部120bはワークWbと係脱する。
また同様に、第1係合部130aと第2係合部130bとは、制御部10(図3参照)によってそれぞれ個別に制御される。すなわち、それぞれのタイミングで、第1係合部130aはワークWaと係脱し、第2係合部130bはワークWbと係脱する。
また同様に、第1係合部140aと第2係合部140bとは、制御部10(図3参照)によってそれぞれ個別に制御される。すなわち、それぞれのタイミングで、第1係合部140aはワークWaと係脱し、第2係合部140bはワークWbと係脱する。
【0022】
把持基体部20は、ロボットアーム5と接続された把持基体部本体21と、把持基体部本体21に設けられ、切り出しパレット6においてワークWが配列されている方向(図1中LR方向)に延びる2つのレール部22と、レール部22に摺動可能に係合する第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240と、を備える。
【0023】
第1摺動部210は、第1把持部11が接続され、制御部10(図3参照)の制御によって、レール部22に沿ってL方向又はR方向に移動する。これにより、第1把持部11は、第1摺動部210の移動に伴いワークWの配列方向(図1中LR方向)に移動する。
第2摺動部220は、第2把持部12が接続され、この第2把持部12を制御部10(図3参照)の制御によって、レール部22に沿ってL方向又はR方向に移動する。これにより、第2把持部12は、第2摺動部220の移動に伴いワークWの配列方向(図1中LR方向)に移動する。
第3摺動部230は、第3把持部13が接続され、この第3把持部13を制御部10(図3参照)の制御によって、レール部22に沿ってL方向又はR方向に移動する。これにより、第3把持部13は、第3摺動部230の移動に伴いワークWの配列方向(図1中LR方向)に移動する。
第4摺動部240は、第4把持部14が接続され、この第4把持部14を制御部10(図3参照)の制御によって、レール部22に沿ってL方向又はR方向に移動する。これにより、第4把持部14は、第4摺動部240の移動に伴いワークWの配列方向(図1中LR方向)に移動する。
このように、第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240は、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14をワークWの配列方向(図1中LR方向)に相互に近接、離間させる。
【0024】
第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240は、それぞれ、制御部10(図3参照)により制御されるモータ(図示しない)と、このモータにより回動するカム(図示しない)備え、このカムの回動により、それぞれ所定の位置までレール部22に沿ってL方向又はR方向に移動する。
【0025】
図2は、前記実施形態に係る切り出しパレット6及び供給パレット7を説明する図である。図2(a)は、切り出しパレット6の断面図である。図2(b)は、供給パレット7の断面図である。
切り出しパレット6は、ワークW(ワークWa,ワークWb)が所定の間隔x(例えば、40mm)で等間隔に配列されている。
【0026】
供給パレット7は、第1係合部110a(図1参照)と係合したワークWaが供給される供給パレット穴71aと、第2係合部110b(図1参照)と係合したワークWbが供給される供給パレット穴71bと、第1係合部120a(図1参照)と係合したワークWaが供給される供給パレット穴72aと、第2係合部120b(図1参照)と係合したワークWbが供給される供給パレット穴72bと、第1係合部130a(図1参照)と係合したワークWaが供給される供給パレット穴73aと、第2係合部130b(図1参照)と係合したワークWbが供給される供給パレット穴73bと、第1係合部140a(図1参照)と係合したワークWaが供給される供給パレット穴74aと、第2係合部140b(図1参照)と係合したワークWbが供給される供給パレット穴74bと、を備える。
【0027】
供給パレット穴71aと供給パレット穴71b、供給パレット穴72aと供給パレット穴72b、供給パレット穴73aと供給パレット穴73b及び供給パレット穴74aと供給パレット穴74bは、それぞれ間隔y(例えば、35mm)を空けて形成されている。また、供給パレット穴71bと供給パレット穴72a、供給パレット穴72bと供給パレット穴73a及び供給パレット穴73bと供給パレット穴74aは、それぞれ間隔z(例えば、50mm)を空けて形成されている。このように、供給パレット7において、ワークW(ワークWa,ワークWb)が供給される供給パレット穴71a、供給パレット穴71b、供給パレット穴72a、供給パレット穴72b、供給パレット穴73a、供給パレット穴73b、供給パレット穴74a及び供給パレット穴74bは、不等間隔で形成されている。
【0028】
本実施形態において、バルブガイドであるワークW(ワークWa,ワークWb)が供給される供給パレット穴71a、供給パレット穴71b、供給パレット穴72a、供給パレット穴72b、供給パレット穴73a、供給パレット穴73b、供給パレット穴74a及び供給パレット穴74bは、製品であるエンジンのシリンダヘッドに形成された吸気ポートや排気ポートの間隔と同じ間隔で形成されている。すなわち、間隔y,zは、製品であるエンジンのシリンダヘッドに形成される吸気ポートや排気ポートの間隔に応じて決定されている。
【0029】
なお、本実施形態では、供給パレット7における穴の間隔を、間隔yと間隔zの2種類としたが、間隔yの代わりに、図2(b)の供給パレット穴71aの側から順に間隔y1,y2,y3,y4・・・ynとし、間隔zの代わりに、図2(b)の供給パレット穴71bの側から順に間隔z1,z2,z3・・・znとし、全ての間隔を異ならせる等任意の間隔に設定することができる。
【0030】
次に、図3を参照して、制御部10の電気的な構成について説明する。
図3は、前記実施形態に係る制御部10の電気的な構成について説明する図である。
制御部10は、ロボットアーム5の動作を制御するロボット制御部50と、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14を個別に制御する係合制御部101と、第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240を個別に制御する摺動制御部102と、を備える。
【0031】
係合制御部101は、第1把持部11の第1係合部110a及び第2係合部110bと、第2把持部12の第1係合部120a及び第2係合部120bと、第3把持部13の第1係合部130a及び第2係合部130bと、第4把持部14の第1係合部140a及び第2係合部140bと、がそれぞれ個別に接続され、それぞれ個別のタイミングでワークW(図1参照)を係脱させる動作を制御する。
【0032】
摺動制御部102は、第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240がそれぞれ個別に接続され、それぞれ個別の所定の距離の移動を制御する。
【0033】
次に、図4及び図5を参照して、搬送装置1の動作について説明する。
図4は、切り出しパレット6において等間隔に配列された複数のワークWa及びWbを把持して供給パレット7まで搬送する搬送装置1の動作を説明する図である。図4(a)は、切り出しパレット6において等間隔に配列された複数のワークWa及びWbの上部に搬送装置1が配置された状態を示す図である。図4(b)は、複数のワークWa及びWbを搬送装置1が把持した状態を示す図である。図4(c)は、搬送装置1が複数のワークWa及びWbを供給パレット7まで搬送し、複数のワークWaを供給パレット7の所定位置に合わせた状態を示す図である。
【0034】
図5は、供給パレット7まで搬送したワークWa及びWbを供給パレット7に供給する搬送装置1の動作を説明する図である。図5(a)は、搬送装置1が複数のワークWaを供給パレット7の所定位置に供給する状態を示す図である。図5(b)は、搬送装置1が複数のワークWbを供給パレット7の所定位置に合わせた状態を示す図である。図5(c)は、搬送装置1が複数のワークWbを供給パレット7の所定位置に供給する状態を示す図である。
【0035】
まず、図4(a)に示すように、搬送装置1は、ロボットアーム5(図1参照)により、切り出しパレット6において互いに等間隔x(例えば、40mm)で配列された複数のワークWa及びWbの上部に配置される。このとき、第1把持部11の第1係合部110a及び第2係合部110bと、第2把持部12の第1係合部120a及び第2係合部120bと、第3把持部13の第1係合部130a及び第2係合部130bと、第4把持部14の第1係合部140a及び第2係合部140bとは、互いに等間隔xで配置されている。また、切り出しパレット6においてワークWbは、ワークWaに比べて浅く切り出しパレット6に挿入されている。
【0036】
次に、図4(b)に示すように、搬送装置1は、ロボットアーム5(図1参照)により、切り出しパレット6に配置されている複数のワークWa及びWbに近接され、係合制御部101(図3参照)の制御により、複数のワークWa及びWbを把持する。具体的には、第1係合部110a、第1係合部120a、第1係合部130a及び第1係合部140aは、それぞれ、ワークWaと係合する。また、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bは、それぞれ、ワークWbと係合する。このとき、ワークWaの搬送装置1より突出する長さは、ワークWbが搬送装置1より突出する長さより長くなっている。
【0037】
次に、図4(c)に示すように、搬送装置1は、ロボットアーム5(図1参照)により、把持した複数のワークWa及びWbを供給パレット7まで搬送する。このとき、搬送装置1は、摺動制御部102(図3参照)の制御により、第1係合部110aと係合したワークWaを供給パレット7の供給パレット穴71aの上部に、第1係合部120aと係合したワークWaを供給パレット7の供給パレット穴72aの上部に、第1係合部130aと係合したワークWaを供給パレット7の供給パレット穴73aの上部に、第1係合部140aと係合したワークWaを供給パレット7の供給パレット穴74aの上部に、配置する。
【0038】
次に、図5(a)に示すように、搬送装置1は、ロボットアーム5(図1参照)により、供給パレット7に近接される。これにより、第1係合部110aと係合したワークWaの先端部分は供給パレット穴71aに、第1係合部120aと係合したワークWaの先端部分は供給パレット穴72aに、第1係合部130aと係合したワークWaの先端部分は供給パレット穴73aに、第1係合部140aと係合したワークWaの先端部分は供給パレット穴74aに、挿入される。ここで、ワークWaの先端部分とは、ワークWbが搬送装置1より突出する長さより長くなっている部分である。
【0039】
その後、搬送装置1は、係合制御部101(図3参照)の制御により、第1係合部110a、第1係合部120a、第1係合部130a及び第1係合部140aにおけるワークWaとの係合を解除する。これにより、第1係合部110a、第1係合部120a、第1係合部130a及び第1係合部140aと係合していたワークWaは、落下し、供給パレット穴71a、供給パレット穴72a、供給パレット穴73a及び供給パレット穴74aにそれぞれ供給される。
【0040】
このように、搬送装置1は、摺動制御部102(図3参照)の制御により、第1係合部110a、第1係合部120a、第1係合部130a及び第1係合部140aに係合されたワークWaを所定の間隔(y+z)とし、これらのワークWaを第1の系統とし、この第1の系統のワークWaを一度で供給パレット7に供給する。
また、前述のように、供給パレット7における穴の間隔を、間隔yの代わりに、図2(b)の供給パレット穴71aの側から順に間隔y1,y2,y3,y4・・・ynとし、間隔zの代わりに、図2(b)の供給パレット穴71bの側から順に間隔z1,z2,z3・・・znとした場合、第1係合部110aと第1係合部120aに係合されたワークWaの所定の間隔はy1+z1となり、第1係合部120aと第1係合部130aに係合されたワークWaの所定の間隔はy2+z2となり、第1係合部130aと第1係合部140aに係合されたワークWaの所定の間隔はy3+z3となる。
【0041】
次に、図5(b)に示すように、搬送装置1は、摺動制御部102(図3参照)の制御により、第2係合部110bと係合したワークWbを供給パレット7の供給パレット穴71bの上部に、第2係合部120bと係合したワークWbを供給パレット7の供給パレット穴72bの上部に、第2係合部130bと係合したワークWbを供給パレット7の供給パレット穴73bの上部に、第2係合部140bと係合したワークWbを供給パレット7の供給パレット穴74bの上部に、配置する。
【0042】
このように、第1係合部110a、第1係合部120a、第1係合部130a及び第1係合部140aと係合するワークWaを、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bと係合していたワークWbと比べ、搬送装置1より突出する長さが長くなる様にすることで、ワークWaを供給パレット穴71a、供給パレット穴72a、供給パレット穴73a及び供給パレット穴74aに供給後に、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bを移動しても、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bと係合していたワークWbが、供給パレット7と干渉するのを防止できる。
なお、ワークWa及びワークWbの搬送装置1より突出する長さが同じであっても、ワークWaを供給パレット穴71a、供給パレット穴72a、供給パレット穴73a及び供給パレット穴74aに供給後、ロボットアーム5(図1参照)により、搬送装置1を供給パレット7から離間してから、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bを移動しても、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bと係合していたワークWbが、供給パレット7と干渉するのを防止できる。
【0043】
次に、図5(c)に示すように、搬送装置1は、ロボットアーム5(図1参照)により、供給パレット7に近接される。これにより、第2係合部110bと係合したワークWbの先端部分は供給パレット穴71bに、第2係合部120bと係合したワークWbの先端部分は供給パレット穴72bに、第2係合部130bと係合したワークWbの先端部分は供給パレット穴73bに、第2係合部140bと係合したワークWbの先端部分は供給パレット穴74bに、挿入される。
【0044】
その後、搬送装置1は、係合制御部101(図3参照)の制御により、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bにおけるワークWbとの係合を解除する。これにより、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bと係合していたワークWbは、落下し、供給パレット穴71b、供給パレット穴72b、供給パレット穴73b及び供給パレット穴74bにそれぞれ供給される。
【0045】
このように、搬送装置1は、摺動制御部102(図3参照)の制御により、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bに係合されたワークWbを所定の間隔(z+y)とし、これらのワークWbを第2の系統とし、この第2の系統のワークWbを一度で供給パレット7に供給する。
また、前述のように、供給パレット7における穴の間隔を、間隔yの代わりに、図2(b)の供給パレット穴71aの側から順に間隔y1,y2,y3,y4・・・ynとし、間隔zの代わりに、図2(b)の供給パレット穴71bの側から順に間隔z1,z2,z3・・・znとした場合、第2係合部110bと第2係合部120bに係合されたワークWbの所定の間隔はz1+y2となり、第1係合部120bと第2係合部130bに係合されたワークWbの所定の間隔はz2+y3となり、第2係合部130bと第2係合部140bに係合されたワークWbの所定の間隔はz3+y4となる。
【0046】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の搬送装置1は、等間隔に配列された複数のワークWを把持して搬送し、任意の間隔で供給パレット7に供給する。また、搬送装置1は、ワークWを把持する第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14が連接された把持基体部20に第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14をワークWの配列方向に相互に近接、離間させる第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240を備え、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14にそれぞれ別個にワークと係脱する第1係合部110a及び第2係合部110b、第1係合部120a及び第2係合部120b、第1係合部130a及び第2係合部130b、第1係合部140a及び第2係合部140bを備えた。
【0047】
これにより、搬送装置1は、等間隔に配列された複数のワークWを第1把持部11の第1係合部110a及び第2係合部110bと、第2把持部12の第1係合部120a及び第2係合部120bと、第3把持部13の第1係合部130a及び第2係合部130bと、第4把持部14の第1係合部140a及び第2係合部140bで把持し、把持した複数のワークWの間隔が供給パレット7に供給するワークWの間隔になるように、第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240でワークWを把持した第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14をそれぞれ相互に近接、離間させてから供給パレット7にワークWを供給できる。すなわち、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14で把持した複数のワークWを第1の系統のワークWaと第2の系統のワークWbとに分けて、系統毎に任意の間隔で供給パレット7に供給できる。
したがって、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給できる搬送装置を提供できる。
【0048】
また、本実施形態によれば、等間隔に配列された複数のワークWを任意の間隔で供給パレット7に供給する搬送方法において、複数のワークWを第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14にそれぞれ設けられた第1係合部110a及び第2係合部110b、第1係合部120a及び第2係合部120b、第1係合部130a及び第2係合部130b、第1係合部140a及び第2係合部140bで把持する工程と、複数のワークWを供給パレット7に搬送する工程と、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14を複数のワークWの配列方向に相互に近接、離間させる第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240を駆動させることにより、第1係合部110a及び第2係合部110b、第1係合部120a及び第2係合部120b、第1係合部130a及び第2係合部130b、第1係合部140a及び第2係合部140bにそれぞれ把持された複数のワークWのうちの一方であるワークWaを所定の間隔とする工程と、供給パレット7に、ワークWaを供給する工程と、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14を第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240を駆動させることにより、第1係合部110a及び第2係合部110b、第1係合部120a及び第2係合部120b、第1係合部130a及び第2係合部130b、第1係合部140a及び第2係合部140bにそれぞれ把持された複数のワークWのうちの他方であるワークWbを所定の間隔とする工程と、供給パレット7に、ワークWbを供給する工程と、を備えた。
【0049】
これにより、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14を相互に近接、離間させ、第1係合部110a及び第2係合部110b、第1係合部120a及び第2係合部120b、第1係合部130a及び第2係合部130b、第1係合部140a及び第2係合部140bにそれぞれ把持された複数のワークWのうちのワークWaを所定の間隔としてから供給パレット7に供給し、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14を相互に近接、離間させ、第1係合部110a及び第2係合部110b、第1係合部120a及び第2係合部120b、第1係合部130a及び第2係合部130b、第1係合部140a及び第2係合部140bにそれぞれ把持された複数のワークWのうちのワークWbを所定の間隔としてから供給パレット7に供給できる。
したがって、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給できる搬送方法を提供できる。
【0050】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 搬送装置
11 第1把持部
110a 第1係合部
110b 第2係合部
12 第2把持部
120a 第1係合部
120b 第2係合部
13 第3把持部
130a 第1係合部
130b 第2係合部
14 第4把持部
140a 第1係合部
140b 第2係合部
20 把持基体部
210 第1摺動部
220 第2摺動部
230 第3摺動部
240 第4摺動部
7 供給パレット(供給部)
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
等間隔に配列された複数のワークを把持して搬送し、任意の間隔で供給部に供給する搬送装置であって、
前記ワークを把持する複数の把持部と、
前記複数の把持部が連接された把持基体部と、を備え、
前記把持基体部は、前記複数の把持部を前記ワークの配列方向に相互に近接、離間させる複数の摺動部を備え、
前記複数の把持部は、それぞれ別個に前記ワークと係脱する少なくとも2つの係合部を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
等間隔に配列された複数のワークを任意の間隔で供給部に供給する搬送方法であって、
前記複数のワークを複数の把持部にそれぞれ設けられた少なくとも2つの係合部で把持する工程と、
前記複数のワークを前記供給部に搬送する工程と、
複数の把持部を前記複数のワークの配列方向に相互に近接、離間させる複数の摺動部を駆動させることにより、少なくとも2つの前記係合部にそれぞれ把持された前記複数のワークのうちの一方である第1のワークを所定の間隔とする工程と、
前記供給部に、前記第1のワークを供給する工程と、
複数の把持部を前記摺動部を駆動させることにより、少なくとも2つの前記係合部にそれぞれ把持された前記複数のワークのうちの他方である第2のワークを所定の間隔とする工程と、
前記供給部に、前記第2のワークを供給する工程と、を備えることを特徴とする搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−96342(P2012−96342A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248653(P2010−248653)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】