搬送装置
【課題】被搬送物を安定して搬送できる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置2は、無端体7と、無端体7に搬送方向に沿って並設した複数の搬送体8とを備える。各搬送体8は、無端体7に水平状態に固定した固定板部11を有する。固定板部11には、下方回動により容器Wを水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する回動板部12を上下回動可能に設ける。回動板部12には、回動板部12の下方回動時に容器Wが回動板部12上から滑り落ちないように容器Wを支持する断面略L字状の支持板部13を固定する。
【解決手段】搬送装置2は、無端体7と、無端体7に搬送方向に沿って並設した複数の搬送体8とを備える。各搬送体8は、無端体7に水平状態に固定した固定板部11を有する。固定板部11には、下方回動により容器Wを水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する回動板部12を上下回動可能に設ける。回動板部12には、回動板部12の下方回動時に容器Wが回動板部12上から滑り落ちないように容器Wを支持する断面略L字状の支持板部13を固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を安定して搬送できる搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばトレイ等の被搬送物の一側を支持して搬送する搬送無端ベルトと、被搬送物の他側を支持して搬送しその搬送前期において上昇傾斜部にて被搬送物の他側を順次上方に持ち上げて被搬送物を所定量傾斜させかつその搬送後期において下降傾斜部にて被搬送物の他側を順次下方に持ち下げて被搬送物を水平姿勢にする傾斜無端ベルトと、傾斜姿勢の被搬送物の一側縁を滑動可能に支え止める固定ストッパとを備える自動反転装置等の搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−101926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の搬送装置のように、傾斜姿勢にすることで側方に滑り落ちようとする被搬送物の一側縁を固定ストッパで滑動可能に支え止める構成では、被搬送物の傾斜姿勢を大きくしていく程、被搬送物は搬送無端ベルトおよび傾斜無端ベルトによる支持から、固定ストッパによる支え止めへと比率が移向して、固定ストッパと摺接することから、被搬送物の搬送の不安定さが増し、ある傾斜姿勢を過ぎると搬送できないおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、どのような傾斜姿勢においても被搬送物を安定して搬送できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の搬送装置は、被搬送物を搬送方向に搬送し、その搬送途中で被搬送物を水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する搬送装置であって、無端体と、この無端体に搬送方向に沿って並設され、被搬送物を搬送する複数の搬送体とを備え、前記各搬送体は、前記無端体に水平状態に固定された固定部と、この固定部に上下方向に回動可能に設けられ、下方回動により被搬送物を水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する回動部と、この回動部に固定され、前記回動部の下方回動時に被搬送物が前記回動部上から滑り落ちないように被搬送物を支持する支持部とを有するものである。
【0006】
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、搬送体の支持部は、回動部から立ち上がり、その立ち上り寸法が被搬送物の高さ寸法より大きい立上部分と、この立上部分の上端部から前記回動部側に向って突出した突出部分とを有するものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、搬送体の支持部が、回動部の下方回動時に被搬送物が回動部上から滑り落ちないように被搬送物を支持するため、従来のように被搬送物が固定ストッパと摺接するようなことがなく、被搬送物を安定して搬送できる。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、立ち上り寸法が被搬送物の高さ寸法より大きい立上部分とこの立上部分の上端部から回動部側に向って突出した突出部分とを有する支持部によって、被搬送物の滑り落ちを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1ないし図3において、1は洗浄装置で、この洗浄装置1は、上面部に略矩形の開口部W1を有する複数の被搬送物である容器W、例えば上面開口状の弁当箱を搬送方向に連続的に搬送し、その搬送途中で容器Wを水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更して洗浄水等の洗浄液の噴射により洗浄、例えば下洗いをする連続式容器洗浄装置である。
【0011】
洗浄装置1は、容器Wを搬送方向に搬送し、その搬送途中で容器Wの姿勢を開口部W1が上方を向いた上方向き姿勢つまり水平姿勢から開口部W1が搬送方向側方を向いた側方向き姿勢つまり傾斜姿勢に変更する搬送装置である搬送手段2と、搬送手段2にて搬送中の側方向き姿勢の容器Wの開口部W1に向けて洗浄液を噴射することによりこの容器W内の内容物、例えば食べ残しの残飯等を排出すると同時にこの容器Wの内面を洗浄する洗浄液噴射手段3と、搬送手段2にて搬送中の側方向き姿勢の容器Wの底面部に向けて噴射液である噴射水を噴射することによりこの容器Wの姿勢を側方向き姿勢から開口部W1が下方を向いた下方向き姿勢つまり反転水平姿勢に変更する水噴射手段4とを備えている。
【0012】
搬送手段2は、図4ないし図8にも示すように、搬送方向に長手状のレール等の案内体6と、案内体6にて案内されながらこの案内体6に沿って移動する無端状のチェーン等の無端体7と、無端体7にこの無端体7の長手方向に沿って隙間なく並設され容器Wを搬送方向へ載置搬送する略板状の複数の搬送体(プレート)8とを備えている。
【0013】
無端体7は、複数の回転体9に掛け渡され、モータ等の駆動手段(図示せず)からの動力で回転する。無端体7の上側の往路部が案内体6の上部にこの案内体6に沿って摺動可能に嵌合されている。
【0014】
各搬送体8は、無端体7に水平状態に固定された固定部である固定板部11を有している。固定板部11の搬送方向に沿った端部には、下方回動により容器Wを水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する回動部である回動板部12が上下方向に回動可能に設けられている。
【0015】
また、回動板部12の長さ寸法は傾斜姿勢となった容器Wがその状態を維持できるようにし、好ましくは容器Wの幅寸法の半分より長くしている。
【0016】
回動板部12の搬送方向に沿った端部には、回動板部12の下方回動時に、つまり水平な回動板部12が下方に向って略90度回動する間、容器Wが回動板部12上から自重で滑り落ちないように容器Wを支持する断面略L字状の支持部である支持板部(突片)13が固定されている。支持板部13は、固定板部11と回動板部12とがともに水平に位置した状態で(図4参照)、回動板部12の搬送方向に沿った端部から立ち上がりその立ち上り寸法が容器Wの高さ寸法より若干大きい立上部分14と、この立上部分14の上端部から回動板部12側に向って水平状にわずかに突出した突出部分15とを有している。
【0017】
この突出部分15は容器Wを傾斜姿勢とした時、容器Wの縁部が立上部分14から外へ滑り落ちない程度の突出となっている。
【0018】
また、各搬送体8は、回動板部12の下面を支持してこの回動板部12を回動させるガイドレール部17を有している。ガイドレール部17は、搬送始端側の第1レール18と、搬送終端側の第2レール19とを有している。
【0019】
そして、投入部21から投入された容器Wは、まず、ともに水平状態にある固定板部11および回動板部12の上に、開口部W1が上方を向いた水平姿勢で載置され、その水平姿勢のまま搬送体8にて搬送方向へ載置搬送される。次いで、搬送体8の回動板部12が固定板部11に対して下方回動すると、容器Wは、その搬送途中で水平姿勢(上方向き姿勢)から洗浄液噴射手段3による洗浄に備えた傾斜姿勢(側方向き姿勢)、例えば略90度の傾斜姿勢へと姿勢変更する。この回動板部12の下方回動の際、搬送体8の支持板部13は、容器Wがその自重で回動板部12上から搬送方向側方へ滑り落ちないように容器Wを支持する。
【0020】
そして、この傾斜姿勢の容器Wの開口部W1内に向けて洗浄液噴射手段3の洗浄ノズル25および洗浄パイプ26から洗浄液が噴射されると、容器W内の内容物(食べ残しの残飯等)が排出されると同時にこの容器Wの内面が洗浄される。このとき、容器Wは、回動板部12と支持板部13とによって傾斜姿勢に支持される。
【0021】
次いで、傾斜姿勢の容器Wの底面部に向けて水噴射手段4の噴射ノズル27から噴射水が噴射されると、容器Wは、支持板部13の立上部分14から上方に向って突出した状態の突出部分15を回動中心として回動して傾斜姿勢から開口部W1が下方を向いた下方向き姿勢(反転水平姿勢)に姿勢変更する。このとき、容器Wは、支持板部13の突出部分15とチェーン等の無端体31に並設された支持体32とによって反転水平姿勢に支持され、その後、メッシュコンベヤ等の搬出コンベヤ34にて次工程(メイン洗浄装置)へと搬出される。無端体31はその上側の往路部が案内体35の上部にこの案内体35に沿って摺動可能に嵌合されている。
【0022】
また、図2等に示されるように、洗浄装置1は、第1案内壁22と、第2案内壁39とを備えている。第1案内壁22は、搬送体8の回動板部12が回動中、水平状態を維持させるとともに側方をカバーする。第2案内壁39は、水噴射手段4による姿勢変更時に容器Wの手前側への移動を規制して容器Wの側縁部を支持体32の上面に向けて案内する。
【0023】
次に、上記洗浄装置1の作用等を説明する。
【0024】
食べ残しの残飯等の内容物が入った容器Wは、蓋が取り外れた後、開口部W1が上方を向いた上方向き姿勢である水平姿勢のまま、搬送体8の上に載置されて搬送方向へ搬送される。
【0025】
この搬送途中で、回動板部12がガイドレール部17の形状に対応して下方回動することによって、容器Wは搬送体8の上に載置された状態で搬送体8以外に触れることなく水平姿勢から所望の略垂直に近い傾斜姿勢へとなる。
【0026】
そして、洗浄液が洗浄ノズル25および洗浄パイプ26から傾斜姿勢の容器Wの開口部W1に向って直接噴射されると、容器W内の内容物が排出されると同時にこの容器Wの内面が洗浄される。この時、容器Wの開口部に向けて、洗浄液を強く噴射したとしても、容器Wは、回動板部12が容器Wの底面部を支え、支持板部13が容器Wの縁部を支えることから、ガタつくことなく洗浄および搬送がなされる。
【0027】
また、突出部分15は、傾斜姿勢となった容器Wの縁部が、立上部分14から滑り落ちない程度の突出であることから、容器W内の内容物は邪魔されることなく排出される。
【0028】
その後、噴射水が噴射ノズル27から傾斜姿勢の容器Wの底面部に向って噴射されると、容器Wは回動板部12から離反する方向に向かって突出部分15を中心として回動して下方向き姿勢である反転水平姿勢となり、容器Wはその反転水平姿勢のまま支持板部13と支持体32とにてよって搬送方向に搬送される。
【0029】
なお、容器Wの下方向き姿勢への姿勢変更時には、容器Wは、噴射ノズル27からの噴射水から受ける力で勢いよく回動して支持体32と衝突する。このため、洗浄液の噴射により排出されなかった内容物が残っていたとしても、容器Wと支持体32との衝突により内容物は容器W内から完全に排出される。
【0030】
このように洗浄装置1によれば、搬送体8の支持板部13が、回動板部12の下方回動時に容器Wが回動板部12上から滑り落ちないように容器Wを支持するため、従来のように容器Wが固定ストッパと摺接するようなことがなく、つまり搬送途中で容器Wが別部材と擦れることがなく、容器Wを安定して搬送でき、しかも、擦れ等による容器Wの傷付き等も防止できる。
【0031】
また、立ち上り寸法が容器Wの高さ寸法より大きい立上部分14とこの立上部分14の上端部から回動板部12側に向って突出した突出部分15とを有する断面略L字状の支持板部13によって、容器Wの滑り落ちを確実に防止できる。
【0032】
さらに、回動板部12の下方回動により容器Wの搬送方向一側部を下げる構成であるため、容器Wが搬送体8上で滑って停滞することなく搬送できることから容器Wの搬送方向一側部を上げる構成とした場合に必要なフックを設けなくてもよく、容器Wを互いに接触させて連続投入できる。
【0033】
なお、上記実施の形態では、容器W等の被搬送物を搬送しながらその搬送途中で被搬送物を傾斜姿勢にして洗浄する洗浄装置1に搬送手段2を適用した場合について説明したが、例えば被搬送物を搬送しながらその搬送途中で被搬送物を傾斜姿勢にして被搬送物内の内容物或いは被搬送物上の載置物を排出する物品排出装置(反転装置等)にも適用できる。この場合、被搬送物の傾斜姿勢は、被搬送物内の内容物或いは、被搬送物上の載置物を排出できればよく、緩傾斜から被搬送物の開口部を略真横に向けた急傾斜の範囲を自由に設定するもので、ある傾斜姿勢に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の搬送装置の一実施の形態を備えた洗浄装置の概略平面図である。
【図2】同上洗浄装置の概略正面図である。
【図3】図1におけるIII−III断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV断面図である。
【図5】図2におけるV−V断面図である。
【図6】図2におけるVI−VI断面図である。
【図7】図2におけるVII−VII断面図である。
【図8】図2におけるVIII−VIII断面図である。
【符号の説明】
【0035】
2 搬送装置である搬送手段
7 無端体
8 搬送体
11 固定部である固定板部
12 回動部である回動板部
13 支持部である支持板部
14 立上部分
15 突出部分
W 被搬送物である容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を安定して搬送できる搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばトレイ等の被搬送物の一側を支持して搬送する搬送無端ベルトと、被搬送物の他側を支持して搬送しその搬送前期において上昇傾斜部にて被搬送物の他側を順次上方に持ち上げて被搬送物を所定量傾斜させかつその搬送後期において下降傾斜部にて被搬送物の他側を順次下方に持ち下げて被搬送物を水平姿勢にする傾斜無端ベルトと、傾斜姿勢の被搬送物の一側縁を滑動可能に支え止める固定ストッパとを備える自動反転装置等の搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−101926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の搬送装置のように、傾斜姿勢にすることで側方に滑り落ちようとする被搬送物の一側縁を固定ストッパで滑動可能に支え止める構成では、被搬送物の傾斜姿勢を大きくしていく程、被搬送物は搬送無端ベルトおよび傾斜無端ベルトによる支持から、固定ストッパによる支え止めへと比率が移向して、固定ストッパと摺接することから、被搬送物の搬送の不安定さが増し、ある傾斜姿勢を過ぎると搬送できないおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、どのような傾斜姿勢においても被搬送物を安定して搬送できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の搬送装置は、被搬送物を搬送方向に搬送し、その搬送途中で被搬送物を水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する搬送装置であって、無端体と、この無端体に搬送方向に沿って並設され、被搬送物を搬送する複数の搬送体とを備え、前記各搬送体は、前記無端体に水平状態に固定された固定部と、この固定部に上下方向に回動可能に設けられ、下方回動により被搬送物を水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する回動部と、この回動部に固定され、前記回動部の下方回動時に被搬送物が前記回動部上から滑り落ちないように被搬送物を支持する支持部とを有するものである。
【0006】
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、搬送体の支持部は、回動部から立ち上がり、その立ち上り寸法が被搬送物の高さ寸法より大きい立上部分と、この立上部分の上端部から前記回動部側に向って突出した突出部分とを有するものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、搬送体の支持部が、回動部の下方回動時に被搬送物が回動部上から滑り落ちないように被搬送物を支持するため、従来のように被搬送物が固定ストッパと摺接するようなことがなく、被搬送物を安定して搬送できる。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、立ち上り寸法が被搬送物の高さ寸法より大きい立上部分とこの立上部分の上端部から回動部側に向って突出した突出部分とを有する支持部によって、被搬送物の滑り落ちを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1ないし図3において、1は洗浄装置で、この洗浄装置1は、上面部に略矩形の開口部W1を有する複数の被搬送物である容器W、例えば上面開口状の弁当箱を搬送方向に連続的に搬送し、その搬送途中で容器Wを水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更して洗浄水等の洗浄液の噴射により洗浄、例えば下洗いをする連続式容器洗浄装置である。
【0011】
洗浄装置1は、容器Wを搬送方向に搬送し、その搬送途中で容器Wの姿勢を開口部W1が上方を向いた上方向き姿勢つまり水平姿勢から開口部W1が搬送方向側方を向いた側方向き姿勢つまり傾斜姿勢に変更する搬送装置である搬送手段2と、搬送手段2にて搬送中の側方向き姿勢の容器Wの開口部W1に向けて洗浄液を噴射することによりこの容器W内の内容物、例えば食べ残しの残飯等を排出すると同時にこの容器Wの内面を洗浄する洗浄液噴射手段3と、搬送手段2にて搬送中の側方向き姿勢の容器Wの底面部に向けて噴射液である噴射水を噴射することによりこの容器Wの姿勢を側方向き姿勢から開口部W1が下方を向いた下方向き姿勢つまり反転水平姿勢に変更する水噴射手段4とを備えている。
【0012】
搬送手段2は、図4ないし図8にも示すように、搬送方向に長手状のレール等の案内体6と、案内体6にて案内されながらこの案内体6に沿って移動する無端状のチェーン等の無端体7と、無端体7にこの無端体7の長手方向に沿って隙間なく並設され容器Wを搬送方向へ載置搬送する略板状の複数の搬送体(プレート)8とを備えている。
【0013】
無端体7は、複数の回転体9に掛け渡され、モータ等の駆動手段(図示せず)からの動力で回転する。無端体7の上側の往路部が案内体6の上部にこの案内体6に沿って摺動可能に嵌合されている。
【0014】
各搬送体8は、無端体7に水平状態に固定された固定部である固定板部11を有している。固定板部11の搬送方向に沿った端部には、下方回動により容器Wを水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する回動部である回動板部12が上下方向に回動可能に設けられている。
【0015】
また、回動板部12の長さ寸法は傾斜姿勢となった容器Wがその状態を維持できるようにし、好ましくは容器Wの幅寸法の半分より長くしている。
【0016】
回動板部12の搬送方向に沿った端部には、回動板部12の下方回動時に、つまり水平な回動板部12が下方に向って略90度回動する間、容器Wが回動板部12上から自重で滑り落ちないように容器Wを支持する断面略L字状の支持部である支持板部(突片)13が固定されている。支持板部13は、固定板部11と回動板部12とがともに水平に位置した状態で(図4参照)、回動板部12の搬送方向に沿った端部から立ち上がりその立ち上り寸法が容器Wの高さ寸法より若干大きい立上部分14と、この立上部分14の上端部から回動板部12側に向って水平状にわずかに突出した突出部分15とを有している。
【0017】
この突出部分15は容器Wを傾斜姿勢とした時、容器Wの縁部が立上部分14から外へ滑り落ちない程度の突出となっている。
【0018】
また、各搬送体8は、回動板部12の下面を支持してこの回動板部12を回動させるガイドレール部17を有している。ガイドレール部17は、搬送始端側の第1レール18と、搬送終端側の第2レール19とを有している。
【0019】
そして、投入部21から投入された容器Wは、まず、ともに水平状態にある固定板部11および回動板部12の上に、開口部W1が上方を向いた水平姿勢で載置され、その水平姿勢のまま搬送体8にて搬送方向へ載置搬送される。次いで、搬送体8の回動板部12が固定板部11に対して下方回動すると、容器Wは、その搬送途中で水平姿勢(上方向き姿勢)から洗浄液噴射手段3による洗浄に備えた傾斜姿勢(側方向き姿勢)、例えば略90度の傾斜姿勢へと姿勢変更する。この回動板部12の下方回動の際、搬送体8の支持板部13は、容器Wがその自重で回動板部12上から搬送方向側方へ滑り落ちないように容器Wを支持する。
【0020】
そして、この傾斜姿勢の容器Wの開口部W1内に向けて洗浄液噴射手段3の洗浄ノズル25および洗浄パイプ26から洗浄液が噴射されると、容器W内の内容物(食べ残しの残飯等)が排出されると同時にこの容器Wの内面が洗浄される。このとき、容器Wは、回動板部12と支持板部13とによって傾斜姿勢に支持される。
【0021】
次いで、傾斜姿勢の容器Wの底面部に向けて水噴射手段4の噴射ノズル27から噴射水が噴射されると、容器Wは、支持板部13の立上部分14から上方に向って突出した状態の突出部分15を回動中心として回動して傾斜姿勢から開口部W1が下方を向いた下方向き姿勢(反転水平姿勢)に姿勢変更する。このとき、容器Wは、支持板部13の突出部分15とチェーン等の無端体31に並設された支持体32とによって反転水平姿勢に支持され、その後、メッシュコンベヤ等の搬出コンベヤ34にて次工程(メイン洗浄装置)へと搬出される。無端体31はその上側の往路部が案内体35の上部にこの案内体35に沿って摺動可能に嵌合されている。
【0022】
また、図2等に示されるように、洗浄装置1は、第1案内壁22と、第2案内壁39とを備えている。第1案内壁22は、搬送体8の回動板部12が回動中、水平状態を維持させるとともに側方をカバーする。第2案内壁39は、水噴射手段4による姿勢変更時に容器Wの手前側への移動を規制して容器Wの側縁部を支持体32の上面に向けて案内する。
【0023】
次に、上記洗浄装置1の作用等を説明する。
【0024】
食べ残しの残飯等の内容物が入った容器Wは、蓋が取り外れた後、開口部W1が上方を向いた上方向き姿勢である水平姿勢のまま、搬送体8の上に載置されて搬送方向へ搬送される。
【0025】
この搬送途中で、回動板部12がガイドレール部17の形状に対応して下方回動することによって、容器Wは搬送体8の上に載置された状態で搬送体8以外に触れることなく水平姿勢から所望の略垂直に近い傾斜姿勢へとなる。
【0026】
そして、洗浄液が洗浄ノズル25および洗浄パイプ26から傾斜姿勢の容器Wの開口部W1に向って直接噴射されると、容器W内の内容物が排出されると同時にこの容器Wの内面が洗浄される。この時、容器Wの開口部に向けて、洗浄液を強く噴射したとしても、容器Wは、回動板部12が容器Wの底面部を支え、支持板部13が容器Wの縁部を支えることから、ガタつくことなく洗浄および搬送がなされる。
【0027】
また、突出部分15は、傾斜姿勢となった容器Wの縁部が、立上部分14から滑り落ちない程度の突出であることから、容器W内の内容物は邪魔されることなく排出される。
【0028】
その後、噴射水が噴射ノズル27から傾斜姿勢の容器Wの底面部に向って噴射されると、容器Wは回動板部12から離反する方向に向かって突出部分15を中心として回動して下方向き姿勢である反転水平姿勢となり、容器Wはその反転水平姿勢のまま支持板部13と支持体32とにてよって搬送方向に搬送される。
【0029】
なお、容器Wの下方向き姿勢への姿勢変更時には、容器Wは、噴射ノズル27からの噴射水から受ける力で勢いよく回動して支持体32と衝突する。このため、洗浄液の噴射により排出されなかった内容物が残っていたとしても、容器Wと支持体32との衝突により内容物は容器W内から完全に排出される。
【0030】
このように洗浄装置1によれば、搬送体8の支持板部13が、回動板部12の下方回動時に容器Wが回動板部12上から滑り落ちないように容器Wを支持するため、従来のように容器Wが固定ストッパと摺接するようなことがなく、つまり搬送途中で容器Wが別部材と擦れることがなく、容器Wを安定して搬送でき、しかも、擦れ等による容器Wの傷付き等も防止できる。
【0031】
また、立ち上り寸法が容器Wの高さ寸法より大きい立上部分14とこの立上部分14の上端部から回動板部12側に向って突出した突出部分15とを有する断面略L字状の支持板部13によって、容器Wの滑り落ちを確実に防止できる。
【0032】
さらに、回動板部12の下方回動により容器Wの搬送方向一側部を下げる構成であるため、容器Wが搬送体8上で滑って停滞することなく搬送できることから容器Wの搬送方向一側部を上げる構成とした場合に必要なフックを設けなくてもよく、容器Wを互いに接触させて連続投入できる。
【0033】
なお、上記実施の形態では、容器W等の被搬送物を搬送しながらその搬送途中で被搬送物を傾斜姿勢にして洗浄する洗浄装置1に搬送手段2を適用した場合について説明したが、例えば被搬送物を搬送しながらその搬送途中で被搬送物を傾斜姿勢にして被搬送物内の内容物或いは被搬送物上の載置物を排出する物品排出装置(反転装置等)にも適用できる。この場合、被搬送物の傾斜姿勢は、被搬送物内の内容物或いは、被搬送物上の載置物を排出できればよく、緩傾斜から被搬送物の開口部を略真横に向けた急傾斜の範囲を自由に設定するもので、ある傾斜姿勢に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の搬送装置の一実施の形態を備えた洗浄装置の概略平面図である。
【図2】同上洗浄装置の概略正面図である。
【図3】図1におけるIII−III断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV断面図である。
【図5】図2におけるV−V断面図である。
【図6】図2におけるVI−VI断面図である。
【図7】図2におけるVII−VII断面図である。
【図8】図2におけるVIII−VIII断面図である。
【符号の説明】
【0035】
2 搬送装置である搬送手段
7 無端体
8 搬送体
11 固定部である固定板部
12 回動部である回動板部
13 支持部である支持板部
14 立上部分
15 突出部分
W 被搬送物である容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送方向に搬送し、その搬送途中で被搬送物を水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する搬送装置であって、
無端体と、
この無端体に搬送方向に沿って並設され、被搬送物を搬送する複数の搬送体とを備え、
前記各搬送体は、
前記無端体に水平状態に固定された固定部と、
この固定部に上下方向に回動可能に設けられ、下方回動により被搬送物を水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する回動部と、
この回動部に固定され、前記回動部の下方回動時に被搬送物が前記回動部上から滑り落ちないように被搬送物を支持する支持部とを有する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
搬送体の支持部は、
回動部から立ち上がり、その立ち上り寸法が被搬送物の高さ寸法より大きい立上部分と、
この立上部分の上端部から前記回動部側に向って突出した突出部分とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項1】
被搬送物を搬送方向に搬送し、その搬送途中で被搬送物を水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する搬送装置であって、
無端体と、
この無端体に搬送方向に沿って並設され、被搬送物を搬送する複数の搬送体とを備え、
前記各搬送体は、
前記無端体に水平状態に固定された固定部と、
この固定部に上下方向に回動可能に設けられ、下方回動により被搬送物を水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更する回動部と、
この回動部に固定され、前記回動部の下方回動時に被搬送物が前記回動部上から滑り落ちないように被搬送物を支持する支持部とを有する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
搬送体の支持部は、
回動部から立ち上がり、その立ち上り寸法が被搬送物の高さ寸法より大きい立上部分と、
この立上部分の上端部から前記回動部側に向って突出した突出部分とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2007−45569(P2007−45569A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231278(P2005−231278)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000116699)株式会社アイホー (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000116699)株式会社アイホー (65)
【Fターム(参考)】
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