説明

搬送装置

【課題】壁掛け姿勢においてもレール内への異物の侵入を防ぎ、スパッタ環境での充分な耐久性を有し、高負荷に対応する際に大型化することのない防塵カバーを有する搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置1は、直動装置を構成するレール10及びスライダ20と、スライドユニット30と、可撓性のシート5とを有する。スライドユニット30は、その移動方向に沿って、シート5を収容し、スライドベース31と、方向転換部40とを有する。スライドユニット30内に異物が侵入することを防ぐ側面カバー36が、レール10の長手方向に沿ってスライドユニット30と前記レールとの間の隙間の少なくとも一方を覆うように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械等に用いられ、断面凹形状をなすレール又はケーシングを有する直動装置と、前記レール又はケーシングに形成された開口部を覆うように前記レール又はケーシングに沿って張り渡される可撓性のシートとを備えた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の搬送装置は、横断面が略U字形状のレール又はケーシングに形成された開口部内に駆動力伝達機構と、前記開口部より少なくとも一部突出し、前記駆動力伝達機構によってスライド移動可能に設けられたスライドベースからなる。
このような搬送装置の例としては、特許文献1〜4に開示された搬送装置が挙げられる。
【0003】
特許文献1では、レール開ロ部上方に平板形状の上面力バーを、スライドベースの移動を妨げないよう配置した構成に関する技術が開示されている。この特許文献1では、上面力バーとレールとの間に必ず開口部が生じる問題を解決するため、横方向からの異物の侵入を防ぐ構成を開示している。具体的には、上面カバーとレール間の開ロ部の縁に沿って複数枚の帯状シールを配置し、開ロ部を塞ぐ構成を採用している。また、スライドベースには、シールを円滑に案内する案内部が別体で設けられ、上面力バーとレールとの間の開ロ部を閉鎖する閉鎖部材も備えられる。
【0004】
また、特許文献2では、特許文献1に開示されたシールの代わりに、フォームラバーで製作されたシール体が用いられる構成が開示されている。前記上面カバーは平板形状以外にコの字形状も示されており、前記シール体は、一端が前記上面力バー又はレールに固着されている。前記シ−ル体には、密着性を高めるため、レールの長手方向に亘ってばね部材が設けられている。また、スライドベースには、前記シール体を円滑に案内するための傾斜面が備えられている。
また、特許文献3では、金属シートが、ケーシングの開口部を覆い、かつスライドベースに設けられたスリットを通過するよう設けられるといった構成が開示されている。前記金属シートは滑りでスライドベース内を迂回する。この構成は、クリーンな環境下にてよく用いられている防塵機構である。
【0005】
また、特許文献4では、シートが、ケーシング開ロ部を覆い、かつスライドベースに設けられた貫通孔を通過するよう設けられた構成が開示されている。スライドベースには軸と長尺筒体から成るガイドロールが4つ備えられており、シートは、外側のガイドロールにより下から巻き掛けられ、内側のガイドロールにより上から巻き掛けられ、スライドベースを転がり案内で迂回する。また、シートとケーシングの開口部との密着性を高めるため、外側のガイドロールをばねで押し、シートをケーシング開ロ部に押さえ付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−230618号公報
【特許文献2】特開2002−206530号公報
【特許文献3】実公平8−4995号公報
【特許文献4】特開平8−85090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された構成は、高負荷に対応するには不利な形状である。負荷に対する防塵機構自体の強度を増すためには、スライドベースの強度を増す必要があるが、シールの案内部を設けなければならないため、どうしてもその部分の強度が弱くなってしまう。案内部の強度を増すためには厚さを大きくする必要があるが、その場合、全体の高さ寸法が大きくなるだけでなく、幅寸法も大きくなってしまう。スライドベースがシールを掻き分けて進む際に、シールは外側に折り曲げられるのであるが、案内部の厚さが大きくなるとシールの外側に折り曲げられる量も増えるため、その分幅方向にスベースが必要となるためである。スパッタの飛び交うような過酷な環境下で用いる場合は、シールの耐久性が懸念される。スパッタとは、様々な形状、サイズを持つ硬い金属粉であり、高熟である。シール材としてはゴム材が用いられるが、ゴムは耐熱性が高くないため、飛来するスパッタの熱で損傷してしまう。
しかも、シールは常に外に晒されている。また、シールに繰返し曲げが何度も加われば、いずれは損傷するのであるが、その際にもシールは外に晒されているため、損傷の影響は大きい。
【0008】
また、特許文献2に開示された構成も、特許文献1と同様に高負荷には不利な形状である。こちらは、スライドベースの強度を増す場合、幅方向寸法は増えることはないが、高さ寸法が非常に大きくなる。ばねと同じようにシール体の、自然長と許容縮み量を考慮しなくてはならず、単純に傾斜面の厚さを大きくした分だけ全体の高さが増すという訳にはいかない。縮み量が大きくなれば、比例して自然長も大きくなるため、全体の高さは大幅に大きくなる。また、フォームラバーは、柔らかく、耐熱性もさほど高くないため、スパッタが飛び交うような過酷な環境下での便用は極力避ける必要が生じる。
【0009】
また、特許文献3においては、例えばスパッタが飛び交うような過酷な環境下で用いることができない。金属粉が金属シートに降りかかり掛かった場合、金属粉と金属シートが擦れることにより、金属シートに加工硬化が生じてしまう。その結果、金属シートが変形してしまい、開ロ部を塞ぐことができなくなる。また、特許文献3では、金属シートの密着性を高めるため、磁石を用いているため、当然、金属粉は磁石に集まってくる。そして、金属シートが滑り案内であることもあり、結果として、金属シートの加工硬化をさらに及ぼし易くする構成となっている。
【0010】
また、特許文献4においては、シートの経年劣化による伸びに対する追従がなされない。そのため、シートに伸びが生じた場合、ケーシングの開ロ部からシートが浮上ってしまう。他の問題としては、軸の回転による損傷と、上記と同じく金属シートによる問題が懸念される。この構成では、軸の固定について何も言及されていない。軸が回転してしまうと、軸と軸を固定している部分とがすべり接触を繰り返すため、摩耗が生じてしまう。さらに、この摩耗が進行していくことにより、スライドベースの進行方向に対する軸の固定角度が直角でなくなり、長尺筒体に軸力が発生する。これにより、長尺筒体もスライドベースとすべり接触を繰返すことになり、摩耗が生じてしまう。
【0011】
また、単に軸の固定といっても、ビス止め、圧入が考えられるが、ビス止めスペースの確保や、組立工程が増える問題が発生する。シート材についても、同じく何も言及されていないが、金属シートでは加工硬化の間題と、外観寸法が大きくなる問題が生じる。金属であるため、曲げによる疲労破壊も考慮しなくてはならず、折り返す際の曲げRを大きくしなければならないためである。これは、シートの滑り案内より転がり案内の方が、その影響は大きい。なお、この特許文献3,4のようなシートを用いた構成では、壁掛け姿勢(平置き姿勢に対してボールねじ軸周りに90°回転させた姿勢)において、シート上には異物が堆積しないため、シート上に異物が堆積することによるシートの擦れによる損傷はないが、スライドベースとレールとの間の隙間から異物が侵入し、直接的に、もしくはシートの方向転換路内を経由して、レール内に異物が侵入してしまうという問題がある。この問題の回避方法として、スライドベースにスライドベースとレールとの間の隙間を塞ぐような板金などの部品を取付けることが考えられる。しかし、スライドベースは移動するため、隙間を塞ぐ部品はレールと接してはならない。つまり、必ず隙間が生じていることになる。隙間を塞ぐ部品の上方から飛来する異物に対しては保護してくれるようになるものの、レールの側面に堆積した異物を、隙間を塞ぐ部品が掻き分けるように進む場合、隙間を塞ぐ部品とレールとの間の隙間に異物が入り込んでしまう。そうすると、結局はスライドベースとレールとの間の隙間からレール内に異物が侵入してしまい、スライドベースの移動を損なうことにつながる。
【0012】
そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、壁掛け姿勢においてもレール内への異物の侵入を防ぎ、スパッタ環境での充分な耐久性を有し、高負荷に対応する際に大型化することのない防塵カバーを有する搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に係る搬送装置は、横断面が略U字形状のレール又はケーシングの上部に形成された開口部内に、駆動力伝達機構と、前記開口部より少なくとも一部突出し、前記駆動力伝達機構によってスライド移動可能に設けられたスライドベースと、前記開口部を覆うように前記レール又はケーシングに沿って張り渡される可撓性のシートと、
前記スライドベースに設けられて、前記スライドベースの移動方向に沿って、前記シートを収容し、前記シートの張り渡し方向を前記スライドベース内へ迂回させるように転換する方向転換部を有するスライドユニットとを備える搬送装置であって、
前記スライドユニットは、前記スライドベースと、前記方向転換部とを有し、前記方向転換部は、前記スライドベースに収容された前記シートの下面を上方に押し上げて張架する第1の方向転換部材と、該第1の方向転換部材の外側に設置され、前記シートの上面を押さえつけて、前記開口部を覆うように前記シートを案内する第2の方向転換部材とを有し、
前記スライドユニットには、前記シートの下面に対向して開口する第1の支持部と、前記シートの上面に対向して開口する第2の支持部とが形成され、
前記第1の方向転換部材及び前記第2の方向転換部材の少なくともいずれか一方が、前記シートの搬送方向の動きが制限されるように前記第1の支持部及び第2の支持部に着脱可能に嵌合された軸部と、該軸部に対して回転可能に設けられた筒体とを有し、
壁掛け姿勢において前記レール内に異物が侵入することを防ぐ側面カバーが、前記レールの長手方向に沿って前記スライドユニットと前記レールとの間の隙間の少なくとも一方を覆うように設けられたことを特徴としている。
【0014】
本発明に係る搬送装置によれば、側面カバーを設けたので、当該搬送装置を壁掛け姿勢にして使用したときに、前記レールの側面からの異物の侵入を側面カバーが防ぐことができる。その結果、前記レール内に異物が侵入することを防ぐため異物がレール内に侵入することによって生じるスライドベースの移動を妨げるような損傷を防ぐ搬送装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明の請求項2に係る搬送装置は、請求項1に記載の搬送装置において、前記シート上の異物が前記スライドユニット内に侵入することを防ぐガードプレートが、前記シートの表面と所定間隔を有して前記スライドユニットの進行方向の端部に設けられたことを特徴としている。
また、本発明の請求項3に係る搬送装置は、請求項1又は2に記載の搬送装置において、異物が前記スライドユニット内に侵入することを防ぐカバー部材が、前記シートを覆うように前記スライドユニットの上面部に設けられたことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る搬送装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の搬送装置において、異物が前記レール内に侵入することを防ぐ上面カバーが、前記開口部に所定間隔を有して対向して設けられたことを特徴としている。
また、本発明の請求項5に係る搬送装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の搬送装置において、前記軸部の両端部には、前記第1の支持部又は第2の支持部に前記シートの搬送方向に直交する方向に嵌合する軸方向に平坦な平坦部が1以上形成されたことを特徴としている。
【0017】
また、本発明の請求項6に係る搬送装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の搬送装置において、前記第1の方向転換部材及び第2の方向転換部材の少なくともいずれか一方を前記シートに押し付ける付勢手段が前記第1の支持部又は第2の支持部に設けられたことを特徴としている。
また、本発明の請求項7に係る搬送装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の搬送装置において、前記第1の方向転換部材及び第2の方向転換部材の少なくともいずれか一方には、筒体を保護するためのワッシャーが前記筒体と前記スライドユニットとの間に位置するように設けられたことを特徴としている。
【0018】
また、本発明の請求項8に係る搬送装置は、請求項1に記載の搬送装置において、前記側面カバーの長さが前記レールの長さよりも長いことを特徴としている。
また、本発明の請求項9に係る搬送装置は、請求項1に記載の搬送装置において、前記側面カバーの幅寸法が搬送装置の高さ寸法よりも小さいことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
上述のように、本発明に係る搬送装置によれば、当該搬送装置を壁掛け姿勢にして使用したときに、前記レール内への異物の侵入を側面カバーが防ぐので、壁掛け姿勢においてもレール内への異物の侵入を防ぎ、スパッタ環境での充分な耐久性を有し、高負荷に対応する際に大型化することのない防塵カバーを有する搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る搬送装置の第1の実施形態の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は縦断面図である。
【図2】本発明に係る搬送装置の第1の実施形態を示す図であり、(a)は直動案内装置の構成を示す斜視図、(b)は、ガイドロール支持ブロックの構成を示す下方から見た斜視図である。
【図3】本発明に係る搬送装置の第1の実施形態における方向転換部の構成を示す図である。
【図4】本発明に係る搬送装置の第2の実施形態の構成を示す正面図である。
【図5】本発明に係る搬送装置の第3の実施形態の構成を示す正面図である。
【図6】本発明に係る搬送装置の第4の実施形態の構成を示す正面図である。
【図7】本発明に係る搬送装置の第5の実施形態の構成を示す正面図である。
【図8】本発明に係る搬送装置の第6の実施形態の構成を示す正面図である。
【図9】本発明に係る搬送装置の第7の実施形態の構成を示す平面図である。
【図10】本発明に係る搬送装置の第8の実施形態の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る搬送装置の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る搬送装置の第1の実施形態の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は縦断面図である。また、図2は、本発明に係る搬送装置の第1の実施形態を示す図であり、(a)は直動案内装置の構成を示す斜視図、(b)は、ガイドロール支持ブロックの構成を示す下方から見た斜視図である。また、図3は、本発明に係る搬送装置の第1の実施形態における方向転換部の構成を示す図であり、(a)及び(b)は方向転換部に形成される平坦部の例を示すものである。
【0022】
なお、本発明に係る搬送装置は、壁掛け姿勢にして使用することを前提とするが、本実施形態の説明では、レール又はケーシングの開口部が開口する向きを上方とした平置き姿勢の搬送装置で説明する。
図1(a)〜(c)及び図2(a)に示すように、搬送装置1は、レール10と、スライダ20と、スライドユニット30と、可撓性のシート5とを有する。これらのうち、レール10及びスライダ20によって直動案内装置が構成される。
【0023】
<直動案内装置>
図1(a)〜(c)及び図2(a)に示すように、直動案内装置は、横断面が略U字形状をなすレール10と、該レール10に形成された開口部(凹部)11内でレール10の長手方向に沿ってスライド移動可能に設けられたスライダ20とを有する。
[レール]
レール10は、長手方向を同じくして離間した一対のレール袖部12,12と、これら一対のレール袖部12,12を連結するレール基部13とが一体構造をなして構成されている。離間したレール袖部12,12の各内側面と、レール基部13の上面とによって開口部11が形成される。
【0024】
[スライダ]
スライダ20は、該スライダ20の両側面に設けられた転動体転動溝20a,20aと、一対のレール袖部12,12の内側面に設けられた転動体転動溝12a,12aとの間に配置された転動体(図示せず)を介して、レール10の長手方向に沿って案内される。また、スライダ20内には、長手方向にボールねじナット51が一体で設けられる。スライダ20は、ボールねじナット51が転動体(図示せず)を介して、開口部11内に設置されたボールねじ軸52と螺合することにより、レール10の長手方向に沿って移動する。ボールねじナット51及びボールねじ軸52が駆動手段50を構成する。
このような構成により、この搬送装置1は、ボールねじ軸52の入力端部52aに取付けるモータ(図示せず)によって、ボールねじ軸52を回転することで、スライダ20が軸方向にスライド移動するようになっている。
【0025】
<スライドユニット>
スライドユニット30は、スライドベース31と、スライドベース31の移動方向の両端部に着脱可能に固定されたガイドロール支持ブロック32と、方向転換部40とによって構成されている。なお、スライドベース31と、ガイドロール支持ブロック32とは一体に形成されてもよい。
【0026】
[スライドベース]
スライドベース31は、図2(a)に示すように、スライダ20の上面に固定されるスペーサプレート基部31aと、スペーサプレート基部31aの側面に固定されるスペーサプレート側壁部31b,31bとを有してなる。スライドベース31は、スライダ20と一体に形成されてもよい。側壁部31b,31bの移動方向の両端部近傍には、側壁部31b,31bの上面に開口された第1の支持部31c,31cがスライドベース31の幅方向に亘るように対応して1対ずつ形成される。
ここで、スペーサプレート基部31aには、特許文献1及び特許文献2に記載されたような案内部がない。よって、高負荷に対応する際に幅寸法は増えることなく、最低限の高さ寸法が増えるだけで対応できる。結果として搬送装置1のコンパクト化に繋がる。
【0027】
[ガイドロール支持ブロック]
ガイドロール支持ブロック32は、図2(b)に示すように、直方体形状をなし、スライドユニット30の移動方向に貫通した貫通孔32aが形成されている。また、貫通孔32a,32aの形成位置に対応してスライドベース31の移動方向の両端部に孔部31d,31dが形成されている。孔部31dはねじ切り加工されている。これら貫通孔32a,32aと、孔部31d,31dとにねじSが螺合されて、ガイドロール支持ブロック32がスライドベース31に固定される。
【0028】
また、ガイドロール支持ブロック32には、スライドベース31に対向する面と下面とを貫通する開口部32bが形成されている。シート5は、この開口部32bに挿入される。開口部32bの下面側近傍の内側面には、ガイドロール支持ブロック32の幅方向に対応する位置に切り欠かれた溝形状の第2の支持部32c,32cが形成されている。
【0029】
[方向転換部]
方向転換部40は、シート5の張り渡し方向を、スライドベース31内へ迂回させるように転換する手段である。
方向転換部40は、第1の方向転換部41と、第2の方向転換部42とを有する。第1の方向転換部41は、円柱形状の軸部41aと、該軸部41aに対して回転可能に支持された筒体41bとを有する。また、第2の方向転換部42も、円柱形状の軸部42aと、該軸部42aに対して回転可能に支持された筒体42bとを有する。
ここで、軸部41a及び軸部42aの少なくともいずれか一方の両端部は、シート5の搬送方向(スライドベース31の長手方向)の動きが制限されて第1の支持部31c,31cの形状に嵌合するように加工される。
【0030】
例えば、第1の支持部31c,31cの形状が、スライドベース31の上面に矩形をなして開口する溝として形成される場合、図3(a)及び図3(b)に示すように、軸部41aの両端部には、シート5の搬送方向(スライドベース31の長手方向)の動きが制限されて第1の支持部31c,31cの形状(矩形)に嵌合するように、平坦部41cが形成される。同様に、第2の支持部32c,32cの形状が、ガイドロール支持ブロック32の下面に矩形をなして開口する溝として形成される場合、図2(b)に示すように、軸部42aの両端部には、シート5の搬送方向(スライドベース31の長手方向)の動きが制限されて第2の支持部32c,32cの形状(矩形)に嵌合するように、平坦部42cが形成される。そして、これら軸部41a,42aは第1の支持部31c及び第2の支持部32cが開口する方向に着脱可能とされる。
【0031】
すなわち、これら方向転換部(ガイドロール)は、スライドベース31に固定された軸部41a,42aに対して筒体41b、42bが回転する。これにより、軸部41a,42aは回転しなくなるため、軸部41a,42aの回転によって生じる支持部31c,32cとの摩耗を防ぐことができる。
なお、筒体41b、42bを保護するための円環形状のワッシャー35が筒体41b及び軸部42aの少なくともいずれか一方とスライドユニット30(スライドベース31又はガイドロール支持ブロック32)との間に位置するように設けられている。具体的には、ワッシャー35は、筒体41b、42bの両端部に配置されるように、軸部41a及び軸部42aの少なくともいずれか一方に遊嵌されている(図3(a)参照)。このワッシャー35が設置されることによって、筒体41b、42bの摩耗を低減でき、結果としてガイドロールの損傷に伴う搬送装置1としての寿命低下を防ぐことができる。
【0032】
また、開口部32b内に形成された第2の支持部32c,32cは、開口部32bと同様に下方に開口した形状とされるが、ガイドロール支持ブロック32がスライドベース31に固定された際に、開口部32bが側壁部12の上面によって閉じられるので、第2の方向転換部42が脱落することはない。このように、スライドベース31に設置される1対の第1の方向転換部41は、内側ガイドロール41として機能し、ガイドロール支持ブロック32に設置される1対の第2の方向転換部42は、外側ガイドロール42として機能する。これらにより、方向転換部を固定する際にビス止め、圧入などが必要ではないため、組立を簡略化することができる。
【0033】
[側面カバー]
ここで、スライドユニット30の移動方向に沿う側面及び下面と、レール10の長手方向に沿う側面及び下面との間の隙間は、スライドユニット30の移動方向を基準として両側に形成される。これらスライドユニット30の移動方向(レール10の長手方向)に沿う隙間の少なくともいずれか一方には、レール10内に異物が侵入することを防ぐ板形状の側面カバー36が、レール10の長手方向に沿って架設される。側面カバー36は、レール10の長手方向の両端部に設置されたスペーサー16,16に架設される。そして、側面カバー36は、スライドユニット30とレール10との間の隙間の少なくとも一方を覆うように設けられる。すなわち、側面カバー36は、スライドユニット30とレール10との間の隙間の一方を覆うように設けられてもよいし、スライドユニット30とレール10との間の隙間の両方を覆うように設けられてもよい。側面カバー36がスライドユニット30とレール10との間の隙間の両方を覆うように設けられる構成は、搬送装置1の姿勢が変わるような環境下でレール10内への異物の混入を防ぐことができる。このような環境としては、例えば、搬送装置1がロボットに取付けられ、規定された1つの姿勢でなく、反転したりする構成が挙げられる。
【0034】
ここで、側面力バー36の形状は、スライドユニット30とレール10との間の隙間の少なくとも一方(壁掛け姿勢にしたときに上方に位置する側)を覆う形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。側面カバー36の形状は、例えば、当該側面カバー36とレール10との間に設けられるセンサーとの位置関係や、剛性を考慮して状況に応じた形状としてよい。また、側面カバー36の長さは、レール10の長さよりも長いてもよい。
【0035】
[ガードプレート]
ガイドロール支持ブロック32の外側の端面(ガイドロール支持ブロック32に対向する面と反対側の面)には、ガードプレート37が設けられてもよい。
ガードプレート37は、シート5上の異物がスライドユニット30内に侵入することを防ぐために設けられるものであり、シート5の表面とガードプレート37のシート5に対向する側の端面とが所定間隔を有するように設けられる。
ガードプレート37は、シート5と接触はしていないため、擦れることによりシート5を損傷させることはない。なお、ガードプレート37を通過し、スライドユニット30内に侵入してくる異物は極小であり、ガイドロールで乗り越えることができるため、本構成に支障をきたさない。
【0036】
<シート>
シート5は、レール10の開口部11を覆うように、レール10の上面に沿ってスライドユニット30内で張り渡されている。具体的には、図1(c)に示すように、開ロ部11を覆うように取り付けられたベルト状のシート5は、第2の方向転換部42,42に対して下側から巻掛けられる。一方、第2の方向転換部42,42に対して下側から巻掛けられたシート5は、第1の方向転換部41,41に対して上側から巻掛けられる。
すなわち、搬送装置1に装着したシート5は、略U字形状のレール10の上面の開口部を覆っており、スライダ20の端部で方向転換し、スライドユニット30の上方に迂回して配置されている。
【0037】
この可撓性のシート5は、レール10の開口部11(レール袖部12,12間に形成される開口部)を覆うようにレール10に沿って張り渡されるとともに、シート5の両端は、図1(b)に示すように、レール10の両端それぞれに、リベットなどによって矩形板状をなす金属製の固定具15aが取り付けられており、この固定具15aをL型の固定具15bで押さえ付けることによりシート5は固定される。この矩形板状の固定具15aとL型の固定具15bは一体でもよい。なお、スペーサー16はL型の固定具15bの上方に固定されるが、スペーサー16とL型の固定具15bは一体でもよい。
従って、スライドユニット30の移動を妨げることなく、レール10内への異物の侵入を防止することができる。
【0038】
ここで、シート5は、伸縮性を備え、十分な引張強度、耐摩耗性、耐熱性、防火性を備えた材料からなるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。シートとしては、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、PBO繊維、炭素繊維、PPS繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維、ガラス繊維、レーヨン繊維、チタン繊維、及びそれらにアルミ、樹脂をコーティングさせたもの、例えば、「ケブラー(登録商標)」、「ノーメックス(登録商標)」、「アルミナイズドクロス(ジェンテックス社製)」、「コーテッドガラスM(ユニチカユーエムグラス社製)」、「HBシート(住友電工社製)」、「SGSシート(泰陽社製)」等が挙げられる。
【0039】
シート5の材料として、柔軟性を備えた材料を採用することにより、鋼製のシートが用いられていた従来の搬送装置に比べて、内側及び外側のガイドロールのロール径を小さくすることができ、搬送装置の小型化に寄与する。また、シート5は、スパッタ養生シ−トなどに用いられている防火布を用いれば、スパッタの熱にも難なく耐えられ、スパッタが飛び交うような過酷な環境下においても使用可能である。
【0040】
[付勢手段]
本実施形態では、スライドベース31に形成された第1の支持部31c、31cが、側壁部31b、31bの上面に開口されている。そこで、スライドベース31に形成された第1の支持部31cの底面31eと第1の方向転換部材41の軸部41aとに挟まれるようにして付勢手段43が設置されてもよい(図2参照)。この付勢手段43は、軸部41aをシート5に付勢する部材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、コイルばねなどの弾性部材が挙げられる。なお、軸部41aは、第1の支持部31cの開口部方向に摺動可能に設置されている。また、第1の支持部31cの開口する向きは、その第1の支持部31cに設置される付勢手段43によって軸部41aがシート5に付勢する構造を有するのであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
【0041】
第1の支持部31cの底面31eと軸部41aとに挟まれるようにして付勢手段43が設置されることによって、付勢手段43が常に軸部41aに付勢するので、シート5に任意の張力を負荷し、シートのたるみを吸収することができる。そして、付勢手段43が、シート5の伸びを吸収して、シート5の張架を維持する機能を有するため、シート5が伸びるにつれて付勢手段43の付勢力により、第1の支持部31c,31c間のシート5の高さはスライドベース31の移動方向に拡がっていく。
【0042】
このように、付勢手段43が設けられることによって、組立誤差、各部品の加工誤差を吸収し、シート5の経年劣化による伸びにも追従し、かつシート5に張力を与えることができ、レール10の開口部11へのシート5の密着性を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、当該搬送装置を壁掛け姿勢にして使用したときに、前記レール内への異物の侵入を側面カバーが防ぐので、壁掛け姿勢においてもレール内への異物の侵入を防ぎ、スパッタ環境での充分な耐久性を有し、高負荷に対応する際に大型化することのない防塵カバーを有する搬送装置を提供することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、方向転換部40として、シート5の下面を上方に押し上げて張架する第1の方向転換部材41、及びシート5の上面を押さえつけて、開口部を覆うようにシート5を案内する第2の方向転換部材42を、ガイドロールを例示して説明したが、第1の方向転換部材41及び第2の方向転換部材42は、第1の支持部31c及び第2の支持部32cに対して固定された軸部31a,41aと該軸部41a,42aに対して回転可能に設置された筒体41b,42bとを有する限りにおいて、シート5に対して上記のように作用するものであれば、滑り案内する部材が採用されてもよい。
【0044】
(第2の実施形態)
図4は、本発明に係る搬送装置の第2の実施形態の構成を示す正面図である。なお、本実施形態は、側面カバー36が設置された側とは反対側の側面にセンサーを設置した以外は、前述した第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。図4に示すように、本実施形態では、搬送装置1が、壁掛け姿勢でベッド60に設置されている。具体的には、ベッド60のレール取付面60aから張り出し、レール取付面60aに平行な肩部(段部)60bがベッド60に形成され、レール取付面60a及び肩部60bによって搬送装置1の取付基準面が形成されている。そして、レール取付面60aとレール10の底面とを当接させると共に、肩部60bとレール10の一方の側面とを当接させて、搬送装置1を取付基準面に係合させて、図示しない固定具によって固定されている。
また、レール10の他方の側面には、スライドユニット30とレール10との間の隙間を覆うように側面カバー36が設置されている。
このような構成とすることで、肩部60bに当接しているレール10の一方の側面に、センサー70を設置することができる。
【0045】
(第3の実施形態)
図5は、本発明に係る搬送装置の第3の実施形態の構成を示す正面図である。なお、本実施形態は、側面カバー36の設置態様を変更した以外は、前述した第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。図5に示すように、本実施形態では、支持板、サポートユニットに設けられているセンサーレール用の取付穴のみを利用して、スペーサー16を介して側面力バー36が取付けられている。
このように、センサーレール用の取付穴を利用するため、スペーサー16や取付穴を新たに設ける必要がなく、製造コストを低減することができる。
【0046】
(第4の実施形態)
図6は、本発明に係る搬送装置の第4の実施形態の構成を示す正面図である。なお、本実施形態は、側面カバー36の設置態様を変更した以外は、前述した第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。図6に示すように、本実施形態では、スペーサー16と、センサーレール用の取付穴において取り付けたスペーサー16とを介在させて側面カバー36が取付けられている。このような構成を採用することによって、側面カバー36の強度が増す。
【0047】
(第5の実施形態)
図7は、本発明に係る搬送装置の第5の実施形態の構成を示す正面図である。なお、本実施形態は、レールと側面カバーとの間にセンサーを設けた以外は、前述した第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。図7に示すように、本実施形態では、レール10と側面カバー36との間にセンサー70が設けられている。レール10の一方の側面側にセンサー70を設けなくてもよいので、レール10の一方の側面側のスペースを確保することができる。
【0048】
(第6の実施形態)
図8(a)〜(e)は、本発明に係る搬送装置の第6の実施形態の構成を示す正面図である。なお、本実施形態は、側面カバーの形状を変更した以外は、前述した第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。図8(a)に示す側面カバー36の形状は、リブ36aを形成して強度を向上させた形状である。また、図8(b)に示す側面カバー36の形状は、側面カバー36に屈曲部36bを形成して強度を向上させた形状である。ここで、これらリブ36a及び屈曲部36bを設ける箇所は、図8(a),(b)に示したように、側面カバー36の中央付近でもよいが、他の箇所でもよく、目的に応じて適宜選択される。
【0049】
一方、側面カバー36の形状は、その幅寸法が搬送装置1の高さ寸法よりも小さくてもよい。図8(c),(d),(e)に示す側面カバー36の形状は、搬送装置1を壁掛け姿勢で設置する対象であるベッド60の形状に応じて幅寸法を小さくしたものである。図8(c),(d),(e)に示す側面カバー36は、少なくともスライドユニット30とレール10との間の隙間を覆っている。具体的には、図8(c)に示す側面カバー36の形状は、ベッド60の一部が張り出してレール10の一部を覆っているため、この張り出し部分に合わせて幅方向の寸法が小さくされている。また、図8(d)に示す側面カバー36の形状は、曲げ部分を有することなく、側面カバー36の端部をベッド60のレール取付面60aに当接させている。また、図8(e)に示す側面カバー36の形状は、ベッド60の平坦面に向かって傾斜する傾斜部36cが形成されている。この傾斜部36cによって異物をベッド60に向かって落下させることができるので、結果として、レール10の内部への異物の侵入を防ぐことができる。
これら図8(a)〜(e)に示す側面カバー36の形状は、上述した第3の実施形態及び第4の実施形態にも適用することができる。
【0050】
(第7の実施形態)
図9は、本発明に係る搬送装置の第7の実施形態の構成を示す平面図である。なお、本実施形態は、カバー部材を設けた以外は、前述した第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。図9に示すように、本実施形態では、スライドユニット30の上面にカバー部材38が取付けられる。このように、スライドユニット30の上面を覆うカバー部材38を設けることで防塵性が高くなる。なお、この構成は、スライドユニット30に搬送物が設置されていない態様において効果を発揮する。
【0051】
(第8の実施形態)
図10は、本発明に係る搬送装置の第8の実施形態の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。なお、本実施形態は、上面カバーを設けた以外は、前述した第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。本実施形態では、図10(a)及び(b)に示すように、レール10の両端部に設置されたスペーサー16を介して所定間隔を有して開口部11を覆う上面カバー17が架設されている。この上面カバー17は、スライダ20の動きを妨げることなく開口部11を覆うことで、防塵性が高くなる。
【0052】
また、スペーサー16は、上面カバー17の高さを調整する部材としても設けられる。具体的には、スライドユニット30のスペーサプレート側壁部31b,31bの上面部に対する上面カバー17の高さを調整するようにスペーサー16の上面の向きの寸法が設定される。なお、スペーサプレート側壁部31b,31bに搬送物などが設置される場合、上面カバー17が前記搬送物によって擦られないようにスペーサプレート側壁部31b,31bの上面部は、上面カバー17の上面部よりも高くなるように設定されることが好ましい。上面カバー17がこのように配置されることによって、スライドユニット30をスムーズに案内することができる。また、スペーサプレート側壁部31b,31bの上面部と、上面カバー17の上面部とが略面一になるように、上面カバー17の高さが調整されてもよい。
なお、スペーサー16と固定具15は一体に成形されてもよい。また、スペーサー16の形状は角形状でなくとも、上面力バー17を取付けることができる形であればよい。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。例えば、上述の各実施形態では、スライドベース及びガイドロール支持ブロックに、内側ガイドロール及び外側ガイドロールをそれぞれ1対ずつ設置したが、各ガイドロールの数はこれより多くてもよい。少なくとも、シートを張架し、上向きに付勢する1対の内側ガイドロールがスライドベースに設けられ、下向きに付勢する1対の外側ガイドロールが両ガイドロール支持ブロックの両端部側に設けられれば、目的に応じて適宜増やしてもよい。また、ガイドロール支持ブロックに内側及び外側ガイドロールを設置し、スライドベースにガイドロールを設置しなくてもよい。また、スライドベース31は、レール10に対して設けられた2つのスライダ20と、これら2つのスライダ20a,20bの上面に固定された1つのスペーサプレート31f(スペーサプレート基部31a,スペーサプレート側壁部31b)からなるようにしてもよい。また、上記の各実施形態から、駆動力伝達機構(駆動手段50)を取り除くと、直動案内装置としても機能する。
【符号の説明】
【0054】
1 搬送装置
5 シート
10 レール
11 開口部
12 レール袖部
13 レール基部
15 固定具
16 スペーサー
17 上面カバー
18 スペーサー
20 スライダ
30 スライドユニット
31 スライドベース
32 ガイドロール支持ブロック
35 ワッシャー
36 側面カバー
37 ガードプレート
38 カバー部材
40 方向転換部
41 第1の方向転換部
42 第2の方向転換部
43 付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面が略U字形状のレール又はケーシングの上部に形成された開口部内に、駆動力伝達機構と、前記開口部より少なくとも一部突出し、前記駆動力伝達機構によってスライド移動可能に設けられたスライドベースと、前記開口部を覆うように前記レール又はケーシングに沿って張り渡される可撓性のシートと、
前記スライドベースに設けられて、前記スライドベースの移動方向に沿って、前記シートを収容し、前記シートの張り渡し方向を前記スライドベース内へ迂回させるように転換する方向転換部を有するスライドユニットとを備える搬送装置であって、
前記スライドユニットは、前記スライドベースと、前記方向転換部とを有し、前記方向転換部は、前記スライドベースに収容された前記シートの下面を上方に押し上げて張架する第1の方向転換部材と、該第1の方向転換部材の外側に設置され、前記シートの上面を押さえつけて、前記開口部を覆うように前記シートを案内する第2の方向転換部材とを有し、
前記スライドユニットには、前記シートの下面に対向して開口する第1の支持部と、前記シートの上面に対向して開口する第2の支持部とが形成され、
前記第1の方向転換部材及び前記第2の方向転換部材の少なくともいずれか一方が、前記シートの搬送方向の動きが制限されるように前記第1の支持部及び第2の支持部に着脱可能に嵌合された軸部と、該軸部に対して回転可能に設けられた筒体とを有し、
壁掛け姿勢において前記レール内に異物が侵入することを防ぐ側面カバーが、前記レールの長手方向に沿って前記スライドユニットと前記レールとの間の隙間の少なくとも一方を覆うように設けられたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記シート上の異物が前記スライドユニット内に侵入することを防ぐガードプレートが、前記シートの表面と所定間隔を有して前記スライドユニットの進行方向の端部に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
異物が前記スライドユニット内に侵入することを防ぐカバー部材が、前記シートを覆うように前記スライドユニットの上面部に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
異物が前記レール内に侵入することを防ぐ上面カバーが、前記開口部に所定間隔を有して対向して設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記軸部の両端部には、前記第1の支持部又は第2の支持部に前記シートの搬送方向に直交する方向に嵌合する軸方向に平坦な平坦部が1以上形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1の方向転換部材及び第2の方向転換部材の少なくともいずれか一方を前記シートに押し付ける付勢手段が前記第1の支持部又は第2の支持部に設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
前記第1の方向転換部材及び第2の方向転換部材の少なくともいずれか一方には、筒体を保護するためのワッシャーが前記筒体と前記スライドユニットとの間に位置するように設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項8】
前記側面カバーの長さが前記レールの長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記側面カバーの幅寸法が搬送装置の高さ寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−171087(P2012−171087A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38687(P2011−38687)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】